転生後からIS学園入学式前まで描きます。
転生後はその環境に馴染み、普通に過ごした。
転生前と違い親は存在せず、祖父母の元で育てられた。
当然前世とは祖父母の容姿等は全く異なっていた。
祖父母が言うには俺が生まれてすぐに両親は事故死してしまったらしい。
転生前の記憶が残っていたため幼年時代は上手く誤魔化すので必死だった。
ただ漢字に関しては特に誤魔化さずに済んだ。
なぜかと言うと俺の名前の漢字は半数以上が小学校低学年で習う漢字ばかりで特に違和感を抱かれなかったからだ。
中学に上がってからは前世の記憶をフル活用して過ごし、成績等はほぼ転生前と同じくらいだった。
そして織斑一夏が偶然にもISを動かしてしまったあの日、俺は敢えて干渉しなかった。
やっぱりISの世界には織斑一夏が必要だと感じたからだ。
転生までの一瞬で俺の頭の中に神様から送られてきたこの世界の様々な事象のおかげでこの世界はある程度理解した。
しかし記憶と言うものは厄介なもので幼年時代で事象の殆どは忘れてしまい、最終的に記憶に残った事象はこの「織斑一夏がISを偶然動かしてしまう」という事象のみだった。
そして織斑一夏がISを動かした結果、織斑一夏以外にも男性でISを動かせる人間はいるのでは無いのだろうかと言う結論に政府は至り、全世界で一斉に男性によるIS適性試験が実施された。
神様によって秘匿されていた専用機を既に受領している為俺はISを動かせる事は百も承知だ。
そして適性試験を綺麗にパスし、俺は2人目の男性IS操縦者となった。
適性試験後は政府のバックアップのもと、俺の入学準備やマスコミへの発表などが進められた。
入学準備中は自宅待機を命じられ、ほぼ毎日家に押しかけてくるマスコミへの対応に疲れる日々だった。
政府閣僚会議の結果、入学式までの間俺の身柄は日本政府が保護、と言う名目のもとIS学園の寮で保護される事になった。
なんでもIS学園はどの機関からも隔絶されておりどんな干渉も受けないだとか。
確かに保護してもらうには最適な場所というわけだ。
それにしても一人の学生の処遇で閣僚会議をやるって男性IS操縦者がどれだけ貴重なんだろう…と改めて考えさせられた。
軽く荷物を整えた俺は祖父母に別れを告げ、IS学園へと向かった。
「ここがIS学園か…」
小一時間ほどかかってIS学園に着いた。
「よく来たな。ここがIS学園だ」
ふと後ろから声をかけられたので振り返るとそこには黒いスーツを見に纏った女性が仁王立ちしていた。
ここだけの話、ここで感じた威圧感が入学式への布石だったなんて言えない…
「私は織斑千冬だ。ここで教師をしている。お前が2人目のIS適応者だな?」
「ええ、てかこれだけ荷物持ってりゃ気付いてもおかしく無いと思いますけど…一応ここで保護してもらうわけですし」
「それもそうだな。部屋へ案内する。着いてこい」
織斑先生に着いて行くとかなり立派な部類に入る部屋に着いた。
「ここがお前の部屋となる。保護対象とはいえここの生徒になる人間だ、施設の内部構造は知っておくべきだろう。3時間後に校内を案内するから部屋の中で大人しくしていてくれ」
確かにそれは一理あるな、と思った俺は素直に
「分かりました」
とだけ言った。
3時間後、織斑先生が来て校内を案内してもらった。
食堂や大浴場、前世でも見かけなかった施設の数々、さらに食料だけでなくもはやデパート状態になりつつある売店もあり、ここは凄い施設だな…と思い知らされる事となった。
一通り施設を回り部屋に戻ると、織斑先生から一冊の分厚い本を手渡された。
「織斑先生、これは何ですか?」
「参考書だ。必読だからしっかりと読んでおくように」
参考書を見た時俺は恐らく死にそうな顔をしていただろう。
何故なら電話帳と見間違えてもおかしくないくらいの分厚さで、しかも内容は辞書並みに細かく書かれていた。
しかもISの専門技術だけでなく国語、数学と言った普通の学校で習う教科も同時にやる事も言われ意識が飛びかけたのはここだけの話だ。
入学式までは2週間程度の時間が与えられた。
世間一般の春休みとほぼ同等だ。
部屋には情報収集用と思われるパソコンが一台、シャワールームにキッチンと少し大きめのベッドが一台置いてあった。
織斑先生が言うには本来二人部屋のところを一人で使わせるのだからそこそこ広さはあるだろうと言われた。
とは言え正直やりたいと思う事はあまり無かった。
極力部屋から出るなと言われていたので必然的にやる事が限られていたのだ。
ただし外に出なければできない事は食事を持って来てくれる時に頼めるためそこまで不自由では無かった。
結局参考書を覚え込む事にして、あらかじめ持って来た荷物の中からノートと筆記用具を取り出した。
また巡回に来た先生に頼んで付箋を買って来てもらった。
中学時代なら付箋なんて必要は無いのだがこの参考書は電話帳並みの分厚さでページ数を覚えるだけでも面倒なのだ。
さらにISに関する事がびっしり詰まっているため付箋を使って少しでも楽に出来ればと思ったのだ。
気が付いたら夜になっていたようで、織斑先生が食事を持って来た。
「予習をしているのか?」
「ええ、あの分厚さですから今からやっておいた方が良いと思って」
「勉強に対する意欲は中々のものだな。話を変えるが明日、実際にISを動かしてもらう。既に専用機は受領したと聞いているが」
「はい、既に受領済みです」
「本来ならば適性ランクなどを見た上で専用機を与えるかは判断するのだが今回は男性操縦者という事もあり特例で専用機を用意する事になった。本来と手順は異なるが明日適性ランクなどを測定する。実戦形式も行ってもらうぞ」
「実戦形式って相手は…?」
「明日になれば分かる。一筋縄でいかすつもりは無いから心してかかれ」
「分かりました。ありがとうございます」
こうして明日、急遽ISを実際に動かす事が決まった。
夜は軽く学習した後、明日に備えて早く寝た。
そして次の日、適性ランク測定が行われた。
測定結果はBと先生いわく平均的な結果となった。
そして次はIS動作試験なのだが、機体を決め忘れていた。
神様に頼んで任意選択制にしてもらったは良いが、いざこういう時になると悩んでしまうものだ。
対戦相手は山田真耶という女の先生だ。
「やまだまや」と読むため回文で、どうやら先生は少し気にしているらしい。
対戦場所となるアリーナのピットに着いた後、織斑先生から説明があった。
「30分でまずお前の機体のファーストシフトを済ませる。その後10分のインターバルを置いて試合形式で動作確認等を行う」
30分かけてファーストシフトが行われた。
これでこのISは晴れて俺専用となったらしい。
そして試合の時間になった。
「夜月、時間だ。発進しろ」
「分かりました。夜月大牙、レギルス出る!!」
俺が選択した機体は機動戦士ガンダムAGEに登場した機体、ガンダムレギルスだ。
ビームサーベル、ビームライフルを持ち、円形のビットを装備した機体だ。
「では試合形式によるIS動作試験を開始する。制限時間は10分だ。始め!」
担当教官の合図で試合が始まった。
山田先生が使っているISはラファール・リヴァイブという現段階で配備されている量産ISとしては最後発と言われている機体だ。
ただその分扱いやすく、訓練用として適しているISだと参考書に書かれていたのを思い出した。
山田先生はガトリングを斉射、かなりの広範囲だ。
俺は即座にレギルスビットを展開、ビームバリアを作り出した。
ビームバリアでガトリングを相殺しながらバルカンとビームライフルを連射し近づき、ビームサーベルで斬りかかったその時、大型ガトリングが俺を襲った。
咄嗟に退避するもののシールドエネルギーは減少、ほぼ五分の状況に持ち込まれた。
好機を逃した結果こう着状態となり、両者とも決め手を欠いたまま5分が経過した。
残り2分を切った時、状況が動いた。
砲台のようなガトリングガンを山田先生が使用して来たのだ。
最初のガトリングよりも範囲は広がり、ビームバリアでも防ぎきれるかどうかの威力だ。
俺は勝負に出ることにした。
まずビームバリアを纏い突進、砲台と機体を分断する。
そしてビームバリアを収納しビームライフル、ビームサーベルを上手く使い敵の懐に潜り込む。
そして最後はビットを連続発射しシールドエネルギーを削り切った。
「そこまでだ。勝者、夜月大牙」
教官の声が響き渡る。
俺は初戦で勝利を収めたのだ。
ピットに戻ると、織斑先生から声をかけられた。
「良くやった、夜月。元代表候補生の山田先生を倒すとは中々だな」
「えっ、山田先生って元代表候補生だったんですか?」
「ああ、見た目はあれだが実力は高いぞ」
代表候補生、それはモンド・グロッソと呼ばれるIS世界大会の国家代表となり得る資質を持つIS操縦者の事で言い方を変えればエリートだ。
俺には正直あの雰囲気を見せる山田先生が元エリートだとはどうしても思えん。
その後は予習の毎日で入学式前日までを過ごした。
小説って難しいですね…
書き溜めを投稿している形なんですがこれで良いかどうかは読者さんしかわかりませんし…