木々の生い茂る森の中で青年は目を覚ました。
自分が何なのかはわかるが自分が誰なのかはわからない。そんなことを考えているといつの間にか周りを獣が囲んでいた。
「お前たちは食らっていい生命か?」
青年は獣達に聞いたが獣達からは勿論返事はなく、あるのは唸り声だけ。青年は獣達の返事が無い為唸り声を肯定と捉えたのか周りにいる獣を全て一瞬にして殺した。
青年は一番近くの獣に食らいついた。
一時間ほどで全ての20匹ほどの獣を食べつくし、空腹が多少満たされた青年は新たな食糧を求めて歩き出した。
都市から常闇の妖怪などと呼ばれている大妖怪ルーミアは手下や知り合いの妖怪達と宴会をしていた。
「足りないわ!もっとよこしなさい‼」
「おお、ルーミア今日は良く飲むな!でもほどほどにしておけよ?」
鬼の頭の麗鬼(レイキ)に軽く止められながらルーミアは浴びるように酒を飲んでいた。
「どいつも弱いくせに私に毎日挑みに来るのよ!飲まなきゃやってられないわ!」
「ハハハ!そう言ってやるな、奴らも必死なのさお前を食えば瞬く間に大妖怪だ」
「なら他の奴らに挑めばいいのよ!あんたとか」
「私だって毎日大量に挑戦者は来るさ、他の奴らに横取りされるけどね」
麗鬼は一升瓶を片手に相槌を打ちながら酔っ払い…もといルーミアの愚痴を聞いていた。
だが何か嫌な予感がしていた。
「麗鬼顔色が悪いけどどうかしたの?つまみが口に合わなかった?」
どうやら顔に出ていたようだ。ルーミアは気が付いて無いようだが知らせておいたほうが良いだろう。
「ルーミア、何か嫌な予感がする。それも今まで生きてきた中で一番の」
麗鬼の真剣な表情にルーミアは気が付きただ事でないと思い宴会参加者にも伝えようとするが「来たぞ」という麗鬼の言葉を聞き麗鬼の見ている方をルーミアも見た。
そこから出てきたのは何の力も感じない人間だった。
「麗鬼?あれかしら?」
「ああ」
ルーミアはどんな化け物が来るのかと思っていたために気が抜けてしまっていたが麗鬼はその青年を睨みつけていた。
「お前たちは食らっていい生命か?」
青年の言葉は宴会に居た妖怪たちに聞こえたようで妖怪たちは一斉に笑いはじめた。麗鬼を除いて。
「おい貴様『食らっていい生命』だと?人間が調子にのんじゃnグゲェ!!」
宴会に居る中で一番喧嘩っ早い妖怪が青年に殴りかかるが、麗鬼がその妖怪を殴り飛ばした
「一緒に飲むか?」
麗鬼は青年に酒瓶を投げて渡しながら青年に優しく話しかけた。これにはルーミアも笑っていた妖怪達も驚愕していた。
「これは何だ?」
「それは酒だ」
「酒とは何だ?」
「酒とは飲むものだ、こうやってな」
麗鬼はそういうと酒を飲んで見せた。それを見た青年は麗鬼と同じように酒瓶に口を当て麗鬼と同じように飲んだ。
「美味い」
青年の一言を聞き麗鬼は笑みを浮かべた。
「それは良かった。それは、私の一番好きな酒なんだ」
「美味い物をくれた礼にお前の願いを叶えてやる。願いは何だ?」
「…今なんて?」
これには麗鬼も驚き聞き返してしまった。
「願いを叶えてやる」
「願いか…なら、酒をくれないかな?さっきと同じのを」
「良いだろう」
青年がそういうと麗鬼が青年に渡したものと同じ酒が大量に青年の後ろに突然現れた。
「…」
麗鬼はその光景を見て驚きのあまり言葉を失っていた。
「量はおまけしておいた」
青年の一言で我に返った妖怪たちはただ青年を見ていた。麗鬼に殴られた妖怪以外だが。
「麗鬼ィ!よくも俺を殴り飛ばしたな!お前は前から気に食わなかったんだ‼‼ぶっ殺してやる」
妖怪は怒りで頭の中が真っ白になっていた。
「騒がしい、お前は食っていい生命か?」
妖怪の前には青年が最初と似た台詞で妖怪に聞いていた。
「てめえはさっきの野郎か!まずはお前からだ!食えるもんなら食ってみろ!出来ねえだろうがな!」
次の瞬間妖怪は自分の体が遠くにあるのを見ていた。
「は?なんで俺の体が……」
それが妖怪の最後の言葉だった。
それを見ていた他の妖怪たちは青年に恐怖した。
そして青年は殺した妖怪に食らいついた。
時系列的には青年が起きたのがナナシと永琳が会った時辺りです