魔導書は冒険譚を綴る   作:日λ........

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VRMMO『ユグドラシル』の悪名高きPKギルド『アインズ・ウール・ゴウン』には、恐れられた一冊の魔導書がいた。
曰く、その魔導書をもった魔法職が全力で魔法を撃った結果、一つのギルドが8割ほど消し飛んだ。
曰く、その魔導書はオートで最上級のデバフとバフを掛けてくる上、神話生物まで召喚してくる。
曰く、デバフの耐性つけたのにも関わらず、その魔導書は耐性を貫通してデバブを掛けてくる。
etcetc……様々な逸話から、また、その理不尽っぷりから、異形種狩りのプレイヤーからは鬱陶しく思われ、PVPを趣向とするプレイヤーからはその奉仕っぷりからその書はこう呼ばれた。
『ナザリックの書』または『AOGの支援魔法の鬼』と……
そう、その魔導書はアイテムではなく、「魔導書」という種族のプレイヤーだったのだ。

名を、ぐりもあ。そのスキル構築を生きた魔導書というロールプレイに全振りするネカマプレイヤーであり、同じくアインズ・ウール・ゴウンに所属するあの男の親友であった。


プロローグ「終わりと始まり」

時は2100年代。世界は一世紀前から更に環境破壊が進み、外出は防毒マスク着用がデフォルトになって早数十年。かつてはインドア、アウトドアなどと呼ばれ区別されていた娯楽の区別は消え去りつつある。

 

自分もわざわざ体を弄くって人工物に替えるような手術を受けれるほど金持ちではなく、とはいえ独身の社会人故に金銭的には貧乏とは言えず、趣味と言えば家の中でゲームというのが日課となっていた。

 

VRMMO『ユグドラシル』

 

学生時代からの友人で、たまに今でも共にTRPGを楽しむ中であった友人がユグドラシルをβプレイしており、『ここの運営分かってるぞ!俺達にはうってつけのMMOだ』と興奮ぎみに誘われたのが切欠で始めた。

自分もいざキャラメイクとなるとその膨大な選択肢に自分も我を忘れるほど興奮し、貴重な休暇を数日かけて渾身のキャラメイクを行ったのはいい思い出だ。

態々このご時世に紙触媒のキャラシートを使って隅から隅まで育成方針やら設定やらイラストやらを思わず本職の本気を出して書き上げるほど、このゲームは衝撃的な存在だったのだ。

自作の3Dモデルが完成し、PCの作成をしていざゲームを始めた時には、その美しい世界に感動したものである。

緑がある。空がある。深い青を秘めた海がある。100年ほど前では当たり前のような光景だったそれは自分たちの世代からすれば、映像や写真しか見たことがない未知の世界。ここで始まるであろう冒険に、心踊らせながら自分はユグドラシルにのめり込んでいった。

 

……最も、人間種や亜人種以外のPCが想像よりも少なく、偏見に晒されることになってしまったのは想定外であった。

最序盤はそんな雰囲気も無く、実にほのぼのと気楽に種族は関係なく冒険できていたのだが、徐々に人が増え始めると声が大きい奴らが現れ始め、気がついた時には中世の魔女狩りか何かかと思うほど苛烈な『異形狩り』の風潮が広まっていった。

 

こりゃたまらんと友人__ユグドラシルでは異形種、ブレインイーターであり、タブラ・スマラグディナと名乗っていたアイツや、冒険中に出会った異形種仲間と合流し、パーティーを組み、これに対抗する形でPKKを自衛の為に行うようになっていった。

 

__思えば、あの時の行動が自分たちのギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の方針を決めるちいさな切欠だったのかもしれない。どんどん苛烈になっていくPKプレイヤーに、宅ゲプレイヤーとしての意地やロール的に全力で対抗してやると意気込んでいた自分やタブラはともかくとして、他の異形種仲間はその苛烈な争いに嫌気が差してやめてしまう人や、人間種でやり直す人も多かったのだ。

 

その悔しさを糧に、レベリングや装備の強化を重ねていた頃、俺はある人にギルドに誘われた。

それが当時トッププレイヤーの一人として有名だった、その時既にワールドチャンピオンとして君臨していたたっち・みーさんだった。つい思わずトレードマークであった純銀の鎧に対して「純銀の鎧すごいですね」っと半分ネタと無意識にいってしまったら「それほどでもない」と返され、あっこの人リアルではモンクタイプっぽそうとか思ったらマジでそうだったのには驚いたものだ。

 

まあそれはともかくとして、自衛の為の消極的PKKを行っていた自分とダブラは種族的問題でやり方がえげつなかったからかいつの間にか異形狩りの連中のブラックリスト入りを果たしていたらしく、その警戒と一緒に異形種だけの社会人ギルドやってるんで君らも入らないかとお誘いが来たのである。

そんな誘いに異形としてのロールプレイを満喫してた自分たちが釣られない筈が無く、全力でOKサインをだした。

その姿を見ていたギルメン曰く、アナログという旧世代の遺物のマスコットのクマみたいな釣られっぷりだったという。

 

 

そうしてギルドに入り、メンバーが段々と増え、ギルド名を暫定の物から『アインズ・ウール・ゴウン』という名前に皆と話し合って決めたり、自分のPCの種族の適正を見直しソロ向けからPT戦向けの振りに修正可能だと思ったのでいっそ極振りするかと思って支援特化にしたり、ある出来事からギルド長がたっちさんからモモンガさんに変わったり、それとほぼ同時期にしていた対談で異形種への偏見を無くすことが現実的ではないと言う話から、ウルベルトさんの提案で自警団的な立ち位置から誇りある悪の軍勢として方針が変わったり、色々な出来事がユグドラシルで起こった。

 

 

そうして、皆が皆ユグドラシルに嵌まりきっていた頃に『アインズ・ウール・ゴウン』は、拠点としてダンジョン『ナザリック地下大墳墓』を攻略、これを占拠し、自分たちの拠点とした。この時が一番楽しかった。皆が大型連休時に予定を合わせて、広大なナザリックを攻略していったんだ。人間種などの精神攻撃や状態異常には耐性用の装備や魔法が必須で、旨味の少ない上に嫌らしい仕掛けが満載だったナザリックも、自分たち異形種に掛かればかなり少数での攻略も可能だった。

 

玉座に居座っていたボスモンスターを打ち倒し、テンションMAXになっていた時はラスボスの風格満載になってたモモンガさんを玉座に座らせようとしたりしたっけ。『ギルドは皆の物だから』っと遠慮するモモンガさんに対して、『じゃあモモンガさん中心で記念のSS取りましょうよ!』と提案した茶釜さんはマジでGJだったなぁとか、手に入れたナザリックをどう改造しようかとかタブラやブルー・プラネットさんと一緒に話し込んだりしたことは、今でも鮮明に思い出せる。その時のSSは、今でも部屋のフォトフレームに大事に飾られている。

 

それから、本格的にギルド『アインズ・ウール・ゴウン』は人間種プレイヤーの天敵として扱われ始め、始めての防衛戦や、大規模戦闘を経験していった。

この頃にぷにっと萌えさんがいなかったら自分達はとっくのとうに壊滅していただろう。あの人マジで孔明もかくやな策士なんだよなぁ。高々40人前後、全盛期の頃だと41人しかいなかった俺たちのギルドが上位の成績になれたのも、この人がいなかったら全く違う結果になっていただろうね。

 

ナザリックの内装から、外見まで手を加えたり、最強のギルド武器作ろうぜ!とるし☆ふぁーさんやタブラが意気込んで企画し、ボスラッシュともいうべき狩りに自分も参加したり、ウルベルトさんとの会わせ技の超級魔法で敵対ギルドを丸ごと吹っ飛ばしたり、その報復に来た連中が徒党を組んでやってきたので、モモンガさんが胸のワールドアイテムで吹っ飛ばしたら1500人ほど吹き飛んだりもしたなぁ。

 

 

 

……本当に、ここには思い出が詰まりすぎている。今日が最後の日だなんて、思いたくない程だ。

 

 

 

2138年、自分がこのゲームを初めて10年以上がたった今。このユグドラシル最後の日。

それが、今日だ。

 

 

「……ぐりもあさん!?来てくれたのですね!」

 

 

そんな風に思いながら、皆がいないナザリック内を懐かしく眺めていた自分の前に現れたのは、ギルド長のモモンガさんだった。威厳たっぷりの黒い法衣を着こんだ骸骨姿は、前見た時の姿と変わらないままだ。

 

「例のメールを読んですっ飛んで来ました。いや、直前まで気がつかないでスイマセンでした。実はイラストの納品の期限が近くて、慌ただしかったんです。ギリギリになってしまって申し訳無いです」

 

自分のリアルでの職はデザイナーだ。自身独自のブランドでは無いものの、フリーで働いてそれなりに腕も認められている。節操無く、服飾からウェブ、玩具からキャラクターデザインまで様々な物を書いてはそれを納品する日々。仕事がある日にそれを全力でやり、無いときは収入がない職業なので、若いときは同時にバイトしながら夢を追っていたものだ。

腕を認められた今はコネも出来、それなりに毎日が忙しかった。なので、ユグドラシルにインしたのも結構久しぶりだったりする。引退はしていなかったのだが、半年振りのインである。

引退していないだけに、モモンガさんにギルドの管理を任せてしまったのが心苦しく感じる。

 

「いえいえ、来てくれただけでもありがたいですよ!じつはさっきまで、ヘロヘロさんもいたんですよ」

「あー……勿体ないことしましたね。最後だし、会いたかったなぁ。ブラック勤めと聞いたので、結構心配でしたし」

「ええ、疲れきってましたね……自分も結構黒い所のある会社に勤めてるとは思……おっと、ぐりもあさん。これ以上リアルの話はやめましょうよ。せっかくの」

 

最後の日なんですから。

そう、寂しそうにモモンガさんは言った。

 

 

 

「えっと、このNPCの名前は……」

「セバスですよ、セバス・チャン。たっちさんが作ったNPCで、ナザリックの家長です。たしか、リアルでのたっちさんがモデルだったなぁ」

「よく覚えてますねぐりもあさん」

「そりゃここにいるNPCの7割以上、一からだと3割くらいですが書いた事がありますからねー。セバスはたっちさんモデルなんでよく覚えてますよ。たしかナザリックだと珍しいカルマ極善だったような」

(……そうだった、この人あのタブラさんの親友だった)

 

あれやこれやと、ナザリック内を話し合いながら、思い出を語り合っていたのだが、ふとナザリックのNPCの話となり、その設定の話をしたが、結構覚えているものだ。あ、そうだ。

 

 

「最後に、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持って、NPCを連れて玉座に行きませんか?せっかくですし、誰も座ったことないアレに座っちゃってくださいよ、モモンガさん」

「ええっ!?いや、前も断ったじゃないですか。あの席は、空白のままの方がいいのでは……」

「大丈夫です。モモンガさんなら皆認めてくれますよ。タブラだって『モモンガさんになら俺の作ったNPC()を嫁に連れていってもいい』って言ってた位ですし」

「はいっ!?あのタブラさんが……なにいってんだタブラさん、あんだけ溺愛してたでしょうに……」

「モモンガさんだから、ですよ。何だかんだでモモンガさんなら、皆あの席に座るのを認めてくれます」

「……そうでしょうか」

「少なくとも、自分はあの席にふさわしいのはモモンガさんだと思います。皆が来なくなってからも、モモンガさんは全力でギルドを守り抜いてくれました。今自分たちのナザリックが残っているのは、あなたのお陰なんですよ。最後くらい、ワガママ言ってくださいよ、モモンガさん」

 

 

この人は、モモンガさんはいつもギルドの纏め役として頑張ってきてくれた。ギルドのリーダーなんて、大なり小なり面倒な事も沢山あるのに、嫌な顔一つせずにだ。自分は思うのだ。あの超個性的なメンバー達が、一つのギルドとしてやっていけたのは、自分のことは遠慮しがちで、いつもギルドの事を第一に考えてきたモモンガさんがいたからだと。だから俺達は気楽にこの世界を楽しめたのだと。

だから、最後の最後位、ナザリックの偉大な支配者として玉座に座ってもいいと思うのだ。ふふふ、モモンガさんが支配者ムーブしてる所をssに残し後で皆に配ろうかな。最後に来れなかった事を後悔するような良い出来でとってやる。

 

 

 

「そう、ですね。最後くらい、皆許してくれますよね……行きましょう、ぐりもあさん」

「ありがとうモモンガさん。あ、そうだった。ちょうどいいからセバス達も連れていきましょう。支配者っぽく命令してくださいな」

「支配者っぽくですか。では……ごほん、『付き従え』」

 

こんな感じですかねぇ。とのほほんと呟くモモンガさんだったが、実にこのナザリックの支配者にふさわしい一声だった。

この人キリッとした話し方になるとカリスマ感出るんだよなぁ。ウルベルトさんが悪の才能を感じると言ってた理由がよくわかる。

そう思いながら、第十階層の玉座に歩いていった。

 

 

 

 

長く、主人がいなかったその玉座にモモンガさんが座る。片腕に持つギルドの象徴にして急所、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンが納められ、彼がその手を離すと自然と杖に仕込んだエフェクトが発生し、宙に浮く。

そして周りに跪くのは、皆が作った多種多様の異形種NPC達。自分が作った子や、ダブラが大分課金して設定してたこの階層の守護者、『アルベド』の姿もあった。

 

「確か、アルベドだったか。このキャラはダブラさん製だから……うお!凄い設定の書き込みっぷりですね」

「確かに今読み返してみるとタブラらしい設定だなぁ。アイツギャップ萌えでしたから……んん?」

 

メニュー画面を開き、スクロールされていく文章の最後

『ちなみにビッチである。』

そうかかれている部分を見て、モモンガさんは頭を抱えた。

 

「いやいやいや……ここまで書き込んでおいて最後ビッチとか……」

「……まあ、確かに最後なんでこれでそのままとか可愛そうかなぁ?10文字……あ、そういう事か。ちょっとモモンガさん、ギルマス権限でこの設定の書き換えをお願いします」

「え?ちょ、なにするんですか?」

 

モモンガさんの手を取り、そのまま設定の編集を押す。そしてそのまま

 

「モ・モ・ン・ガ・を・愛・し・て・い・るっと」

「ファッ!?え、ちょ、まずいですよぐりもあさん!?勝手にダブラさんのキャラ設定書き換えたら……」

「いやいや、多分僕がこうする事想定済みの文字数ですよコレ。ほら、言ってたでしょ?『モモンガさんになら娘を嫁に連れてってもいい』って。こういう事なんじゃないかなぁ?ほら、アルベドタブラのワールドアイテム、『真なる無』持ってるじゃないですか。嫁入り道具代わりかな?なるほど、アイツ其処まで考えて……」

「え、どういう事ですか?」

「……タブラ、NTR属性好きなんですよ。寝取られる側の方の。多分今頃自分の望みどおりになって大笑いしてるんじゃないかな?」

「ええええええ……マジかー……」

 

モモンガさんが脱力しているようだが、自分もあの趣味だけは理解できないので多分同じ気分かと思う。まさか最後の最後でこんな今明かされる衝撃の真実ゥ!って感じに性癖晒すとか、アイツは本当に度し難い奴だよ……

 

「まあ、このままサービス終了にむかっちゃうより一途でいいんじゃないですかねー」

「そうですね……前向きに考えましょうか」

 

そうこうしている内に、いつの間にかサービス終了も後十分を切っていた。おっと、イカンイカン。自分のロール的にコレ忘れたらイカンよ。

 

「『擬態解除』」

 

スキルを発動し、自らの外装……というか、精霊形体の姿を解く。自分の種族『スペルブック』は、強力な力を持った魔導書が自我を得て、一人手に動き出すようになった種族だ。今の中性的な美少女の姿はあくまでも本来の姿ではない。ユグドラシルプレイヤーキャラ「ぐりもあ」の本来の姿は__人の革で綴られた、冒涜的な大きめの魔導書である。

 

『やっぱり、玉座に魔王が座ってるのに魔導書が人型のままとか無いですよ』

「魔王って、まあ確かに骸骨ですけれども。久しぶりに見ますね、その姿。ここ最近はあまり人数も集まらなかったから人型の方でいる方が良く見ましたし」

 

俺は、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンがふわふわと浮いている隣に移動する。……相変わらずノロいなこの姿の移動速度は。これが致命的なのもあり、ギルドメンバーにこの姿を最大活用できる人がいないときは普段の姿でいないといけないのだ。

到着。そして当たりを見渡すと、玉座にはモモンガさん。直ぐ脇には自分達ギルドの象徴、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。そして、その逆には魔導書である俺が。そして周りには、跪いたNPC達……

 

完璧じゃないか!まさしく悪の軍団のラスボスって感じの姿だっ!!ssパシャリと。うん、実に素晴らしい映え具合。後で他の皆にメールで送ろう。

 

「……ぐりもあさん、俺、待ってて良かったです。最後まで残ってくれる人が誰もいなかったらって、実は心配だったんですよ」

『……モモンガさん』

「このゲームは、俺にとって遅れてきた青春でした。忘れられない思い出と、大切な仲間を得られたんです。だから……辞めることなんて、出来なかった。櫛の歯が欠けてくみたいに、皆が引退していく中、最後まで残ってくれた事、感謝してます」

『そんな、自分はただ最後まで惰性で残ってただけですよ。現に今の今まで連絡の返信すら出来ませんでしたし』

「それでも、ですよ。正直、皆が帰って来なかったことは残念ですが、ぐりもあさんが最後まで一緒にいてくれて、救われてます。もしも、ユグドラシルに続編が出たら、また一緒に冒険しましょう」

『……そうですね。また、一緒に』

 

そういった後、会話も途切れ、自分達は残り数十秒のユグドラシルの時間を待った。

サービス終了の、深夜0時まで残り5秒。4、3、2、1……0。

 

これで、『ぐりもあ』としての日々も終わりか……などと思う事、数秒間。

 

瞑った目を開けると、そこにはまだログアウトしていない(・・・・・・・・・・)モモンガさんの姿があった。

 

どういう事だ……?

 

『モモンガさん、コレは・・・・・・サーバーダウンの予定が延びたのでしょうか?』

「いえ、そんなメッセージは来ていません。一体何が……」

 

異常を感じたモモンガさんは、すぐさまシステムコマンドを開き運営に連絡をしようとする。しかし、画面は現れなかった(・・・・・・・・)

何度押しても、悲しく宙を切るばかりである

 

『ッ!?せ『精霊化』ッ!』

 

自分も確認しようとして、すぐさま少女の姿に戻る。そして同じようにコンソールを出そうと思い、コマンドを入れようとした所で、同じように宙を切った。

 

「そんな馬鹿な……」

 

仮想現実式のゲームは原則として、システムコマンドの出し入れが可能な事が義務付けられている。五感のほぼ全てを機械に預けて遊ぶゲームであるが故に、セーフティの面におけるルールは、非常に厳重に守られているのだ。しかしそれが出せない。どういう、事だ?

 

「一体なにが起こっているっ!」

 

モモンガさんも、コレには怒りを感じているようだ。折角の最後の別れに、思いっきり水を差されたのだ。もしもコレが運営のミスであるならば、自分も怒りを隠せなくなりそうだ。

 

「モモンガ様?ぐりもあ様?どうか、なされたのでしょうか?」

「え?」

 

しかし、そんな自分たちの姿に、反応する者がいた。

それは、親友が作り上げたNPCである筈の、アルベドであった。少し前までの人形のように固定された表情が嘘のように、彼女には意思を知性を感じられた。

……一体全体、どういう事なんだ?コレは……




続きは未定です。でもその前に書籍版買い揃えないと(遠い目)
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