今回はロックオンにとって大きな進展があります
決闘の後、俺はオルコットに部屋に来てくれと呼び出されていた。話がしたいとの事らしい。時刻は夜8時、簪には連絡済みだ。
部屋の前につき、ノックを二回
「どうぞ、入ってくださいまし。」
ドアを開け、中に入る。
少し高そうな寝間着のようなものを羽織ったオルコットが椅子に座っていた。
「今お茶を用意しますわね。」
そう言われて出されたのはいかにも高そうな紅茶。一口飲むと・・・・
「うまい・・・・」
「お口に合うようでよかったですわ、紅茶には少し自信がありますの。」
「家で習ったのか?」
「はい、淑女の嗜みというものですわ。」
もう一口紅茶を飲み、本題を切り出す。
「それで、話って?」
オルコットは改まって俺に向き直り、話し始めた。
「この度はあなたに対しての数々の暴言、本当に申し訳ありませんでした。」
深々とお辞儀をしてきた。
どうやらちゃんと反省してくれてるようだ、
「わかってくれたのならいいさ。だが、次はないぞ?」
「はい、気をつけますわ。それと、もう一つよろしいですか?
私自身に関することなのですが。」
話は謝罪だけじゃないってことか。
「ああ、構わない。」
オルコットは再び話し始めた。
「私はイギリスの貴族の家に生まれましたの。現地では名のある貴族で資産もかなりありました。ですが、ある時私の両親は亡くなってしまいました。当時の私は当主となるには幼すぎましたの。このままでは誰も認めてくれない。資産を奪われるかもしれない。そう考えた私は・・・・・」
オルコットが言葉に詰まる。
「ISの代表候補生になることを目指した・・・・・というわけか。」
周りはほかの貴族や資産を狙う者ばかり。まさに孤立無援。そんな状態で何年も一人で頑張ってきたのだろう。オルコットは。
「はい。代表候補生になるためには他者を蹴落とすしかなかったのですわ・・・・・今更何を言っても言い訳にしかなりませんが・・・・・」
先週教室で見せたあの高飛車な性格はそのせいか。自らの強さを誇示することで他者を寄せ付けない。当然そんなことをすれば周りに人は集まらない。ずっと一人で頑張ってきたのか。
「ところで、なんでそんな話を俺に?」
「決闘の最後、あなたの眼を見ましたの。その時に確信しました。この人になら話してもいいと。」
なんだよそれ。まあ信頼されてるってことでいいのか?だめだ、こんな年になっても女の気持ちがわからない・・・・・
「それはどういうことだ?いまいち俺にはわからないんだが・・・・・」
オルコットは真剣な顔になり、
「私に、ISの指導をしていただけませんか?
お願いします!」
そう言ってまた深々とお辞儀をしてきた。
・・・・・言葉が出ない。オルコットは代表候補生、つまりはイギリスでトップランクのIS操縦者だ。それがどうして俺に?
「一応理由を聞いてもいいか。」
「ロックオンさんの戦い方はとても射撃戦特化の機体とは思えませんでした。近接武器の使い方も心得ていて相手のリズムを崩すような戦い方でしたの。そんな戦い方を習得できれば私ももっと強くなれると思ったのです。引き受けてくださいませんか?」
本気・・・・・みたいだな。こっちも代表候補生の機体を見れるし悪い提案じゃない。ピットの性能も把握したい。
「まぁ、俺でよければ引き受けるよ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
そう言って笑顔を見せるオルコット。こっちが本当の素顔みたいだな。
「笑ってる方がオルコットには似合ってるよ。教室での仏頂面は似合わないな。」
しまった。つい、口に出てしまった。
オルコットは頬を赤くし、
「ななななにをおっしゃっていますの!そんなことレディに軽々しくいうものではないですわ!」
「おいおい、そんな慌てるなって。」
なんとかオルコットを落ち着かせる。最近の女の子はこんな感じなのか?前にも考えた気がするなこれ。いや、考えたらキリがない。やめておこう。
「その、ロックオンさん?」
ん、なんだ、まだ話があるのか
「なんだ?」
「私のことはどうかセシリアと呼んでくださいませんか?」
「どうして急にそんなことを?」
オルコットはもじもじとしつつも話し続ける。
「その、信頼の証・・・・・ではダメですか?」
まあ、いいか。そういうのも悪くない。
「わかったよ。改めてよろしく、セシリア。」
セシリアは出会ってから一番の満面の笑顔で
「はい!」
・・・・・不覚にも、可愛いと思ってしまった。
自然と俺も自分の事を話そうと思い始めていた。そんなことをしても俺にはデメリットしかない。わかっていても、セシリアには話さなければならない。そんな気がした。
「なあセシリア、まだ時間あるか?」
「はい、問題ありませんわ。どうかなさいました?」
俺も、向きあわなければならない。自らと。
「俺の過去に関する話だ。正直言うとセシリアには理解できない部分もあるかもしれないが、聞いてもらってもいいか?」
セシリアは首を傾げ、少し考えた後俺の顔を見て
「はい、話してください。」
真剣な話であることが伝わったのだろう。俺も自身の過去を話し始めた。
まず、自分がこの世界の住人ではないこと。次に俺がいた世界では紛争、戦争が多発していること。俺が紛争根絶を掲げた組織に所属していたこと。そして、死んだはずだということも。
「・・・・・」
セシリアは絶句し続けている。当然だろう。突然死んだことあるんだ俺とか言ってる人間が目の前にいたら信じられない。
「信じますわ・・・・・」
まあこの話を聞いて拒絶されてもしょうがな・・・・・は?
「今、なんて?」
「信じますと言ったのです。貴方の目は真剣でした。とても嘘を言ってるような目ではありません。私は信じますわ。」
信頼されるってこんなに嬉しいことなんだな。長らく忘れてた。
「ありがとうセシリア、あと俺のことはニールと呼んでくれ。」
「ニール?」
「ロックオン・ストラトスってのはコードネーム、要は偽名だ。俺の本名はニール・ディランディっていうんだ。」
「わかりましたわ。ニールさん。」
本名をさらっと教えて、経歴まで全部喋ってしまった。ガンダムマイスター失格かな、俺は。
さて、お互いを理解できたしそろそろ俺は失礼して部屋に戻ろうかな。
「じゃあ、俺はそろそろ部屋に戻るよ。」
「はい、それではまた明日、ニールさん。」
部屋から出たあと、ミス千冬へ電話をかける。
「どうしたこんな時間に。」
「頼みたいことがある。」
「・・・・・ということなんだが。」
「な!?お前、何を言ってるのかわかってるのか!?」
「俺はもう決めたんだ、頼む。」
「はあ・・・・・わかった。」
翌日、学年集会と称して一年が体育館に集められていた。
「静かにしろ!これより学年集会を行う。と、言っても案件は一つだけだ。出てこい。」
壇上に立つ。
「今日話すのは俺のことについてだ。まず第一に、俺はこの世界の住人じゃない。」
体育館がざわめく。そりゃ信じられないだろう。だが話を続ける。
「突然のことで理解できないと思うが、それでも聞いて欲しい。俺のいた世界では紛争が日常茶飯事の世界で、毎日どこかで人が紛争で亡くなっている、そんな世界だった。俺はそんな世界で紛争根絶を掲げた組織に入っていた。だが、それでも紛争は無くならなかった。そうして気づいたら俺はここにいたんだ。」
死んだことは伏せておく。そんなことを言ってしまったら今以上の混乱が起こる。
「この世界のISを最初に見たとき、この世界でも紛争が起こると俺は思った。ISを戦争に使ってはいけない、兵器としての運用は禁止するって条約があると聞いたがどこかの国がそれを破るかもしれない。そうなったらこの学園はまっさきに狙われる。だから俺は、この世界からISによる紛争をISで根絶させたいと考えている。矛盾していることは自覚しているし、すぐには理解できないと思う。だけど、少しでも俺のことを理解して欲しくて今日集会を開いてもらった。話を聞いてくれてありがとう。それと、最後に一つ。
俺の名前はニール、ニール・ディランディだ。俺の話はこれでおわりだ。」
お辞儀をする。もうここにはいられないかもな・・・・・
・・・・・しばらくの静寂
小さいながらも拍手が聞こえる。
顔を上げる。
セシリアは俺を見て拍手をしていた。
すぐあとに四組からも拍手が。
簪もセシリアに続いてくれた。
続いて一夏が、一組が、四組が、最後には体育館にいる全員が、拍手をしてくれた。
こんなに嬉しいんだな、受け入れてもらえるっていうのは。
「皆、ありがとう。これからもよろしく頼む!」
ロックオン・ストラトスとしてではなく、ニール・ディランディとしての生活が幕を開けた。
話の展開が急になりましたwww
今回もあまり自信がないです・・・・・
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