~八神はやてサイド~
「もう! そんなに心配せんでえぇから?」
『だけど・・・』
「えぇから! 病院の小さい子を楽しませなアカンで?」
『・・・・・分かったよ』
私は、私のことを心配してくれるお人好し過ぎる居候に自分が大丈夫だと伝える。
ついつい30分くらい長電話してもうたけど、アイツと話してるときが一番安らぐんや。
こんなことは口が裂けても本人の前では言わんけどな。
「はやてちゃん、調子はどう?」
私の病室にお世話になってる石田先生が顔を覗かせにきた。
「順調ですよ、石田先生。もう退院でえぇんちゃいますのん?」
「ダーメ! 少なくとも3日は様子を見るって言ったでしょ?」
「あと1日が長くて耐えられんって言うてるんです!!」
・・・・私の足は自由に動いてくれん。
原因は分からんけど、私の足は病気で動いてくれんようになった。
それで車椅子で生活しとるんやけど、一昨日に車椅子から落っこちてもうた。
私は大丈夫やって言うたんやけど、アイツが石田先生に密告して入院することに・・・。
思い出してきたら腹立ってきたわ。アイツ、ホンマにしばいたろか。
「彼に伝えてくれる? 子供達が喜んでるって」
「アイツ、小さい子にメッチャ好かれますからね?」
「そうね。今日も着ぐるみ着て頑張ってくれてるわ」
居候のアイツは、とにかく小さい子にメッチャ大人気や。
それに着ぐるみや服を自作してもうとるから、止めるに止められへん部分があんねん。
今日は何のコスプレで劇を盛り上げとるんやろか?
「はやてちゃん、ちょっと・・・申し訳ない話があるんだけど、いい?」
「な、なんですか?」
い、石田先生が珍しく暗い顔しとんで?
ま、まさか、私の足の病気が悪化してもうとるとか!?
「はやてちゃんと同い年くらいの男の子が3日前に入院してきたの」
「へ? 男の子?」
「そうなのよ。私は反対したんだけど、はやてちゃんと同じ病室にって・・・院長が」
「ぜ、全然かまへんですよ? どうせ、私は明日には居らんし」
「そ、それがね? へ、変な子なのよ」
「へ?」
ここまで動揺しとる石田先生は私も初めて見たで?
いったいどんな男の子が来るっちゅうねん。
「周りの患者さんも気味悪がってしまって、一番離れのここの病室に入れろって・・・」
私が入っとる病室は個室ではなく、四人の患者さんが入れるタイプのヤツや。
まぁカーテン閉めてしまえば変わらんやろ? 石田先生にはいつも世話になってるからな。
私が1日我慢すればえぇだけの話や。
「さっきも言いましたけど、私はかまへんですよ?」
「本当? でも・・・」
「どしたんですか?」
「はやてちゃん、何が来ても驚かないって約束できる?」
こ、こんなに真剣な石田先生は初めて見たかもしれん。
い、いったい何が来るっちゅうんや? こ、怖くなってきたで?
「先生! 彼を連れてきました!!」
う、噂をすれば何とやらや! 話題の男の子が病室の外に連れてこられとるらしい。
扉の向こうに噂の男の子がスタンバイしとるみたいや!
「え!? 院長のヤツ! まだはやてちゃんの許可をもらってないのに!」
「えぇですよ? 私が我慢すればえぇだけですから」
「でも・・・」
次の瞬間、私は自分の耳を疑いたくなった。
「ピンポンパンポーン♪ チュドドドドドドーーン♪ うひひひひひひひ♪」
「・・・・・・・・・・・今の奇声はなんですか?」
私の質問に石田先生が顔を私から背けてもうた。
「先生! もうこれ以上は!? 早く中に入れてください!!」
「やむ負えないわね。はやてちゃん、何が来ても心を強く持つのよ!?」
「もう私が退院したら丸く治まるんちゃう!? 何が来るっちゅうねん!!」
なんや!? 私が何をしたっちゅうねん!?
私が1日早く退院して、病室を明け渡したら済む話やろ!?
い、いったいどんな子が・・・・・・・・・・。あ!? 扉が開けられてまう!?
「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ♪ ずどどどどーーーん♪」
「ひぃ!?」
私は側にいた石田先生に抱きついてもうた。
な、なんやのアレ!? 全身包帯巻いたミイラ少年が病室の中を転がってるんやけど!?
「こ、こらぁ! 病室の中で転がるのは止めなさい!」
「フフフフフフン♪ ふっ! ふーーーーーーーー!!」
「ベッドの下に潜り込まないの!!」
混沌(カオス)や。私は今混沌(カオス)を見とるんや。
看護師さん二人が必死にベッドの下に逃げ込んだミイラを捕まえようとしとるけど、ミイラは意味の分からん宇宙語を話すだけで、ベッドの下から出てこぉへん。
「な、なんやの? あのミイラ少年は?」
「はやてちゃん、あの子を責めないであげて?」
「石田先生?」
石田先生が目の前で行われるコントを眺めながら、暗い顔しとる。
「彼、虐待に遭ってたかもしれないの」
「ぎゃ、虐待やって!?」
虐待? じゃあ、この意味不明過ぎる奇行って・・・嘘やろ・・・?
「彼がこの病院に運ばれたとき、瀕死の状態だったの」
「ひ、瀕死・・・」
「本来なら動けるはずがないんだけど、ああやって元気に動き回ってるわ」
「な、何があったんですか?」
「分からない。見舞いにきた女の子二人に話を聞いても・・・・何も答えてくれなかったわ」
ひ、酷い親がいたもんや。あんなにミイラ少年を追い詰めなアカンかったの?
「ただ・・・」
「ただ?」
「私達が彼の外れた頭のネジを見つけてみせるって・・・。必ず私達が見つけてみせるって・・・」
け、健気やな・・・。友達を助けようと自分達に出来ることを探すって意味やろ?
聞き方によっては物凄く酷い悪口やけどな・・・・。
「あぁもう!? 大人しくしなさい! 阿修羅!!」
「ッ!? ウワァアアアアアアアアア!!?」
「アナタは何を考えてるの!!」
石田先生が看護師の一人を怒鳴りつけて、パニックになってもうたミイラ少年を抱き締めた。
「患者のトラウマを言うなんて、看護師失格よ!?」
「す、すいません。つい、カッとなって・・・」
「アナタももういいわ。あとは私がなんとかするから」
石田先生の指示で看護師の二人が病室から退出してもうた。
阿修羅って言葉が禁句みたいやな? あぁ・・・あないに震えて・・・何をされたんや・・・。
「もう大丈夫よ? あら、アナタの大切な物を落としたらダメじゃない」
「そ、それって!?」
「? どうしたの? はやてちゃん?」
「な、なんでもないです・・・」
ミイラ少年がパニックを起こして、ポケットから落とした赤い箱に見覚えがあった。
同じや。アイツが持ってるオレンジ色の箱に瓜二つやで?
「この子、他にも同じような箱を4つ持ってるのよ。
取り上げようとしたら、今さっきみたいにパニックを起こしちゃって・・・。
指輪も大事みたいで、決して指から外そうとしないのよ」
石田先生の視線の先には、ミイラ少年が右手に着けとる5つの指輪があった。
妙や。この子、アイツと共通しとる部分がある。何か知っとるんやろか?
アイツは何も話してくれへん。アイツは私に何も教えてくれへんのや。
「落ち着いたわね? よく眠ってちょうだい?」
パニックを起こして疲れ果ててしまったのか、ミイラ少年から寝息が聞こえる。
石田先生は、ミイラ少年の大事な持ち物という5つの箱をミイラ少年の枕元に置いて、お母さんみたいな顔でミイラ少年の顔を見とる。まぁ包帯を巻かれとるから顔は全然分からんけど・・・。
「はやてちゃん、彼も寝てくれたから静かになったわ。
私は仕事に戻るけど・・・大丈夫?」
「平気ですよ。ミイラ君も悪気があるワケやないみたいやし・・・」
「ミイラ君じゃなくて、寺嶋 冬馬君よ」
「寺嶋君やな。仲良うするで!!」
「流石ははやてちゃんね。不安だと思うけど、彼を見守ってあげて?」
そう言い残し、石田先生が病室から出ていき、仕事に戻っていった。
寝ている寺嶋君と二人っきりになった私は、彼の持ち物である赤い箱を調べたいため、ベッドのすぐ側に置いてある私の車椅子に座る。
「寝てる隙によく見させてもらうで」
内心申し訳ない気持ちがあるんやけど、アイツの秘密を知るために私は勇気を出すんや。
車椅子で寺嶋君が寝ているベッドに近付いて、音を立てんように枕元にまで移動する・・・。
よく見れば見るほど、よう似とる。違うところと言ったら、色違いだけやで ホンマ。
(ちょーっと、スマンなぁ・・・)
私は夢の中にいる寺嶋君に謝ったあと、彼の赤い箱を持ってみた。
い、意外と軽いんやな。もっと重いんやないか?とか思ってたけど・・・。
「えっと・・・なんて読むんや?」
こんなチャンスを逃したらアカンって思って、私は赤い箱をよく観察してみる。
そしたら、箱の側面に大層な装飾が施されたマークとアルファベットで名前みたいなモンが描かれてたんや。
「ヴォンゴラ? うーん、ボンゴレやろか・・・?」
自信はないんやけど、たぶんボンゴレや。
綺麗な宝石があしらわれた面の中心に何かを填めるくぼみがあるんやけど、さっぱりや?
いったい何を填めるモンなんやろ?
「んぅ・・・・?」
ア、アカン!? 寺嶋君が起きる!?
私は赤い箱を枕元に戻して、自分のベッドに戻ろうとする。
でも、寺嶋君が起きる前に足の不自由な私がベッドに戻りきれるワケないやん。
またパニック起こすかもしれんで・・・・。
「あー! タヌキだぁ!」
「誰がタヌキやねん!?」
私は車椅子をUターンさせて、上半身を起こしてた寺嶋君の頭を自前のマイハリセンで叩いてもうた。し、しもうた!? 体が勝手に・・・・・・おしまいや!? 堪忍してや!!
「・・・・・・あれ?」
私は寺嶋君がパニックを起こすと思って身構えてたんやけど、その様子はなかった。
私がハリセンで叩いた拍子に紫の雲みたいなマークが描かれた箱に視線が向いたみたいで、紫の箱だけを凝視しとるみたい。包帯巻かれとるから憶測やけど・・・・・・・。
「みーどーりたなびくー♪ なーみもーりのー♪」
・・・・・・歌ってる? なんで今歌い出すねん!?
私は寺嶋君の行動は理解出来んかった。なんでいきなり歌い出すんや!?
なんやねん!? このミイラ少年の目的はなんやねん!?
「だーいなくーしょうなくー♪ なーみがいいー♪」
ア、アカン・・・もうアイツに助けを求めるしかないやん。
私は携帯でアイツの番号に急いでかける。お願いや、このミイラ少年から私を救ってくれや。
寺嶋君に罪はないんやけど、ドスケベ達を相手にするより危険やと思うんよ・・・・・。
きっと、同じ変人なら通じ合えるはずや!! たぶんな・・・。
~騎士王サイド~
「・・・・・・ここの病院にはやてがいるのか」
俺は、3日前のことをどうしても思い出すことが出来なかった。
誰かが俺に馬乗りになって殴ってきたのは覚えてるんだけど、思い出そうとすると、頭に酷いノイズが走る。全て遠き理想郷(アヴァロン)のおかげで復活することは出来たが、全てが終わった後だった。額にデカイ鼻くそをつけて倒れていた弓兵のモブ、誰かの血痕が辺り一帯に夥しく拡がっている惨状。俺が気を失っている間に何が起こったんだ・・・・・?
でも、俺にフェイトが「お兄ちゃん♪」って呼んでくれたのはハッキリと覚えてる♪
「あぁ♪ 何度思い出しても幸せだぁ・・・」
いかん。思い出が幸せ過ぎて目的を忘れていた。
俺は他のモブに一気に差をつけるため、はやてにアプローチするつもりだ。
何故かはやてには上手く接触することが出来ず、まともに会話さえ出来ていない状況だった。
だが、今回のアプローチではやてのハートを射抜き、ヴォルケンズでハーレムしてみせる!
犬は適当に可愛がってやるよ、ペットとしてな!
「今迎えにいくよ? はやて♪」
俺は病院に入ると、はやてに面会するために受付の皺皺モブババァに話しかける。
「すいません、八神はやてさんが入院してると思うんですが?」
「はやてちゃん? あぁ、明日退院しますけど?」
ギリギリセーフといったところか。
まだ昼の2時過ぎ。はやてのハートを射止めるのに余裕がありすぎて困るぜ。
「505の・・・あ、さっき男の子がはやてちゃんの病室に移されたみたいね?」
「なんだとォオオオオオオ!?」
「き、君!? 病院では静かにして!!」
ど、どういうことだ!? 皺皺モブババァよ!!
まさか、最近姿をみていない金ピカのモブが動いていたというのか!?
「名前は・・・寺s・・・・・・」
「はやては渡さんぞォオオオオオオ!!」
「病院では走ったらダメよ!?」
はやてに手出しするモブは、この俺が殺してやる!!
俺は505の病室へとダッシュで向かっている。何処の誰が知らんが、はやては渡さん!!
俺の野望であるリィンフォースに添い寝してもらう野望のためならば、モブが何人死のうが構うものか!!
「ふも!?」
「ぐはっ!?」
廊下の曲がり角を曲がろうとしたら、誰かに衝突してしまった。
くそ! 時間がないというのに・・・・何処のモブだ!? 今すぐ殺してやろうか!?
俺にぶつかってきたモブが生きてら・・・れる・・・と・・・・・・
「ふも?」
見覚えがあるぞ。前世で見覚えがある。
なんで・・・なんでフルメタル・パニックのボン太君がいるんだ!?
それに・・・なんかサイズが小さい気がするし・・・。
「お前! 転生者だな!?」
「ふもももも!?」
その反応は肯定と見るべきだな。
まさか、ボン太君の力を貰っている転生者がいようとはな?
マヌケなヤツめ。俺のような最強の転生者に殺されるかもと考えなかったらしいな。
「セイバー! セットアップだ!!」
神から授けられしデバイス「セイバー」で、俺はバリアジャケットを纏う。
そして、デバイスのセイバーが約束された勝利の剣(エクスカリバー)に姿を変える。
周りのモブ共が俺の変身を見て騒いでいるが、どうでもいい・・・。
貴様らモブはすぐにご退場願うんだからな!!
「結界!!」
「ふもも!?」
こんな病院を塵芥にしてもいいが、はやてが通う重要な病院だからな。
今頃、はやては結界に驚いて困っているのかな。俺がすぐに宥めにいってやるからな?
~その頃のはやて~
「ブーブー! ブーーーーン♪」
「うん、ブーブーやな・・・」
記憶を無くしている冬馬が匣を自動車に見立てて遊んでいるのに付き合わされていたため、結界が張られたとか全く気づいていなかった。
~騎士王サイド~
「ふもも・・・」
「俺の姿に驚いているらしいな。俺の能力はFateのセイバーの能力!
ただのパワードスーツであるお前に勝てる相手じゃないぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ふも?」
「なんだ? そのアナタが何を言ってるか分かりませんというジェスチャーは!?」
コイツ、恐怖で頭がおかしくなってしまったのか!?
ま、まさか・・・本当にFateのセイバーを知らないとでもいうのか!?
「オ、オイ・・・この剣に見覚えは?」
「ふもも?」
俺は約束された勝利の剣を試しによく見せてみる。
ボン太くんはマジマジと俺の剣を見つめてはいるが、本当に知らないようだ。
いや、俺を騙して殺すために演技をしているに過ぎんのかもしれん。
やはり、殺してしまった方が都合がいいに決まってる!
「ボン太君に恨みがないが、転生者であるなら話は別。
俺の野望を邪魔するかもしれないモブは全て殺さねばならない!!」
「ふもも・・・」
ライバルを確実に減らせるというのは心地がいい。
さぁ! 神の下に送り返してやろう!!
「くたばれーーーーー!!」
「ふもっふーーーー!!」
ガキィン!と本来鳴るはずのない鉄と鉄がぶつかり合う音が響いた。
俺の一太刀がボン太君風情に止められてしまった。バカな・・・帽子が十手に変化しただと!?
俺の剣がボン太君を斬りつけようとした瞬間、ボン太君の帽子が十手に変化し、俺の一太刀を止めてしまっている。あり得ない。ボン太君にこんな能力など・・・・・。
「ふもももももももももももももも!!」
「ぐぅッ!?」
その上、ボン太君が十手で見事な突きを高速で打ち出してくる。
しかも、寸分違わず俺の急所を狙ってきていた。その動きには一切の無駄などない。
セイバーの力を持つ俺が攻めあぐねてしまっている・・・。
つ、強い。見た目はアホのくせに・・・・。
「ふぅ・・・もッ!!」
「ガッ!?」
バ、バカなァ・・・。俺がボン太君にぶっ飛ばされて外に弾き出されているだとォ・・・?
俺の懐に侵入したボン太君が俺の顎目掛けてアッパーを放ち、俺を4階の窓から外にぶっ飛ばしていた。そして、落下している俺を追撃しようと十手を翳し、ボン太君自身も4階の高さから飛び降りてきている。
「ナメるなァ!!」
ボン太君が攻撃を仕掛けてくる前に、俺は魔力を乗せた衝撃波を落下しているボン太君に放つ。
しかし、ボン太君の十手に邪魔をされ、俺の衝撃波は剃らされてしまった。
そして、着地した俺達は、互いに距離をとって睨み合う。
「貴様! いったい何者だァ!?」
そう聞かずにはいられない。俺が毎日のように戦ってきたモブ野郎達とは格が段違いだ。
ありえない・・・。セイバーの力を授かった俺がボン太君風情に押されている事実なんて赦せない。
「ふもも!!」
「ガッ!?」
今度は銃だと!?
ボン太君が持っていた十手が拳銃に変化しただと・・・?
そして・・・俺が何の対処も出来ずに右肩を撃ち抜かれたというのか!?
「なんなんだ!? お前のその能力はァ!?」
「ふもっ・・・ふーーーー!!」
答える義理はないと言いたいらしい。
俺の足を狙い、2つの弾丸がボン太君の持つ拳銃から撃ち出されていた。
一つは叩き斬ることに成功したが、もう一発の弾丸が俺の脛を貫通していった。
「ぐっ・・・だがァ!!」
俺には全て遠き理想郷(アヴァロン)がある。
お前にどれだけ傷つけられようが、俺は戦える!!
ボン太君につけられた傷は全て遠き理想郷(アヴァロン)で治っていく・・・。
やはり、俺を倒せる転生者はいないようだな。
「ふも!?」
「驚いているようだな。ならもっと驚かしてやろう」
俺はボン太君を確実に葬るため、約束された勝利の剣(エクスカリバー)の発射体勢に入る。
これを喰らって生き残れると思うなよ? お前は強かったが、所詮・・・モブはモブなのだからな。
「ふも・・・」
約束された勝利の剣(エクスカリバー)の射線状にボン太君を捉え、両手で剣を天に翳す。
さぁ、この酷い悪夢ともお別れしよう。ボン太君風情に追い詰められた悪夢とはなァ!!
「もうお前が逃げようとしても遅い! もう十分に魔力は溜まった!!」
「・・・・・・・・・・ふもっふ・・・・・・」
『了解シマシタ ボス。X BURNER 発射シークエンスヲ開始シマス』
「!? 貴様、何をするつもりだ!?」
ボン太君が銃を元の帽子に戻したと思ったら、機械的な声がボン太君の頭から聞こえてきた。
大の字に体勢を変え、燃えている着ぐるみの左手からオレンジ色の炎を噴き出している・・・。
『レフトバーナー 炎圧上昇 4万5000・・・5万・・・・・』
『ライトバーナー 炎圧上昇 3万8069・・・4万6539・・・』
くそ!? 俺の知らないアニメの能力だというのか!?
いいだろう。お前の技と俺の約束された勝利の剣(エクスカリバー)のどちらが上か勝負だ!!
「約束された(エクス)・・・・・・」
「ふもっ・・・・」
『ゲージシンメトリー! 発射スタンバイ!!』
勝負だ ボン太君の着ぐるみを被った化物め!!
「勝利の剣(カリバーーーーーーーーーーーーーー)!!」
「ふーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ボン太君の右手から凄まじい炎の砲撃が発射された。
認めたくないが、俺の約束された勝利の剣(エクスカリバー)と拮抗している。
「ふも・・・・ふもっふーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「なんだとォ!?」
ヤツめ、本当に何者なんだ?
ヤツの砲撃の威力が爆発的に増大し、俺の約束された勝利の剣(エクスカリバー)を押し返してきている。
「認めるしかないな。お前は・・・俺が出会った中で・・・・・最強の・・・転生者だ」
ヤツの砲撃が完全に約束された勝利の剣(エクスカリバー)を押し返し、ヤツの炎の砲撃に俺は身を焼かれる。なのに、なんだ? この暖かさは? まるで・・・俺の中の邪念が溶かされているようだぜ・・・・・。俺は・・・ボクは・・・・どうなる・・・んだ・・・・・・?
~???サイド~
俺は所謂、転生者って呼ばれる存在だ。
俺の大好きな漫画の能力を神様から貰い、この世界に転生した。
望んでいた世界に転生できなかったみたいだけど、俺が生きていく新しい世界だった。
そこで俺はある女の子と出会い、1年間一緒に生活をした。
その子は・・・「八神はやて」は、足に難病を抱える女の子。
見ず知らずの怪しい俺を受け入れる程に優しい女の子。
次第に俺は八神はやてという女の子を護りたいと思うようになってた。
俺と同じ境遇の子に戦いを挑まれたけど、俺はなんとか勝つこと出来た。
最後に何か俺に喋ったみたいだけど、よく聞こえなかったな・・・。
あの戦いで自信作のボン太君の着ぐるみがお釈迦になっちゃったし・・・。
今夜にでも修復しなくちゃいけないなぁ・・・。
「はやて、遅くなった」
俺ははやてから今すぐ来てほしいと言われてたため、はやての病室に駆けつける。
なんかエラく慌ててたみたいだけど、いったいどうしたんd・・・・・・・。
「シュシュポポ シュシュポポ ポッポーーーーー♪」
「うん、シュシュポポやよぉ・・・・」
俺は疲れてるな・・・。可哀想な復讐者(ヴィンディチェ)が踊ってる幻覚が見える・・・。
「待たんかい!? なんで無言で病室から出ようとしてんねん!?」
はやてが大慌てで出ていこうとした俺を呼び止めてくれた!
「よかった!? はやては正気なんだね!?」
「なんで私が正気じゃない前提で考えてんねん!?」
「だって! あの子のことを遠い目で見てたじゃないか!」
「"ツナ"がはやく来てくれへんからやろ!?」
今の俺の名前をはやてが呼んでくれる。
本名じゃないけど、そう呼ばれることに馴れてしまった。
「で、アレは?」
「寺嶋 冬馬君や! メッチャ可哀想な子なんよ!!」
はやてから聞いた寺嶋 冬馬という男の子の情報を整理してみる。
①3日前に瀕死の状態でここに入院してきた。
②そのため、全身に包帯を巻かれている。
③阿修羅という言葉を聞くと、パニック起こす。
④俺と同じ物又は酷似した物を持っている。
⑤虐待されていたのかもしれない。
⑥その虐待のせいで奇行に走ってる。
うん・・・なんだ、この子? どういう人生を送ったの?
「それに・・・・俺の右腕みたいだし・・・」
俺は本当に驚いている。
復讐者(ヴィンディチェ)が嵐のボンゴレリングを持ってるんだから・・・。
仕方ない・・・なんとかしてみよう。部下を護るのがボスの務めだ・・・。
~冬馬サイド~
「トーマ! 本当にトーマなんだよね!?」
「もう狂ってないよね!?」
俺は気付いたら病院のベッドの上にいた。
英霊エミヤの転生者を倒したところまでは覚えてるんだが、その先を思い出そうとすると、酷い頭痛に襲われてしまう。あんなに探していた武の匣も手元にあるし・・・・。
「高町、フェイト・・・お前らの持ってるネジは・・・・・なんだ?」
高町とフェイトが大事そうに持ってるネジが俺の何か大切な部品のような気がする。
でも、二人は何も答えてくれず、無言で高町が窓の外に放り投げていた・・・。