5つの波動を持つ男   作:DYNA

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悪意の影と霧の守護者・・・?

~???サイド~

 冬馬が記憶喪失で狂っていた頃、英雄王の転生者は行方を眩ましていた。

入院していた病院から姿を消してしまい、警察が失踪事件として捜査する程の騒ぎになっている。

 

「あのモブがァ・・・」

「慌てることはないですよ。アナタは、この世界の主人公なのですから」

 

 黒スーツを着た謎の男が手酷く殺られた英雄王の転生者に付き添い、彼を励ましていた。

冬馬と雲雀に倒された英雄王の転生者は、ずっと謎の部屋に拘束され、治療を受けている。

 

「ロキ様! 俺にもっと力をくれ!! あの雑種を殺せる力を!!」

「慌てることはありません。次に戦うときは、これを使いなさい・・・」

 

 ロキと呼ばれた男が英雄王の転生者にある物を渡す。

 

「これは?」

「きっと気に入ると思いますよ。アナタも・・・踏み台の転生者達もね・・・・・」

 

~冬馬サイド~

 俺は久しぶりに小学校に顔を出している。

当初の予定の休んでいた理由は、おたふく風邪を拗らせて家で療養という仮病。

結果的に俺が休んでいた理由は、何者かにボコられ、記憶を失って入院するという謎。

英霊エミヤの転生者との戦いのあと、俺に何が起こったのか思い出せない。

 

 俺が数日間も入院している間に高町とフェイトが仲良くなってたのは謎だけど、ジュエルシードを協力して回収してるらしい。話を聞くと、二人で協力したらジュエルシードを簡単に封印出来たと満足そうに話してた。話の内容を聞く限り、原作でジュエルシードが暴走し、フェイトが無茶して止めるというイベントは終了してしまったようだ。

 もう原作なんて総崩れしているため、ジュエルシードが暴走しなかったらしい。

このまま無事に物語が進んでくれればよかったのだが、そうはいかないようだ。

 

「みんなに聞いてほしいことがある!!」

 

 一時間目の国語が始まる前、担任のゴリラが悲しい表情で俺達生徒の一人一人の顔を見ている。

まぁけっこうな騒ぎになってることだし、騒ぐのも仕方ないよなぁ・・・・・。

 

「みんなも知ってると思うが、金原が失踪してしまったのだぁぁぁ・・・」

 

 ちなみに、金原というのは、あの英雄王の転生者のことだ。

あの野郎、そのまま大人しく入院してたかと思いきや、姿を眩ましやがった。

事情を知らない大人達が必死になって探したが見つからず、警察沙汰になってる・・・。

なんか面倒くさいことになってて憂鬱なってるよ 俺は・・・・。

あとゴリラ、アンタの泣き顔で女子がドン引きしてるぞ?

 

「暴漢に襲撃され、入院していたが、そのまま突然失踪してしまったそうだぁ・・・。

先生は、もう心配で・・・心配で・・・・・夜も眠れん・・・・」

 

 ごめんね、ゴリラ? 結果的に病院送りにした暴漢は俺と雲雀なの。

だが、ただ姿を消したワケじゃねぇよな。まだ高町やフェイトのことを諦めてないはず。

それに俺が転生者だと知られているから、俺も闇討ちとかに気をつけねぇと・・・。

あと・・・・「て、寺嶋くんが変態を殺ったの?」っていう歓喜の視線で俺を見るな 高町。

 

「ぐすっ・・・皆も帰り道には十分に注意を払うようにな?

危険を感じたら防犯ブザーを鳴らすんだぞ! 先生が助けにいくからな!?」

 

 ごめんね、ゴリラ。防犯ブザーは遊んでたら壊しちゃったの。

・・・・・・・・・防犯ブザーを鳴らしたら、10km離れててもアンタは本当に助けにきそうだな?

 

「今日も衛宮は休みか・・・」

 

 衛宮は、あの英霊エミヤの転生者のことだ。

相当痛めつけてやったから、当分学校に来られないはず。

心配はないと思うが、警戒はしといた方がいいな・・・。

 

 それよりも問題なのが・・・・・。

 

「剣崎、ここのページを音読してくれないか?」

「はい。・・・・・私が後ろを振り返ったときには・・・・・」

 

 問題なのが、騎士王の転生者が俺の予想よりも早く復活してやがったことだ。

阿修r・・・くっ!? 頭痛が・・・・。アルフ様が仕留めたはずなのに、復活してやがる。

流石は全て遠き理想郷(アヴァロン)か。しばらく精神は再起出来ないと踏んでたのに・・・。

それに、なんか雰囲気が違う気もするしよ?

 

 ・・・・・・・・・何か企んでんじゃねぇだろうな? あの変態騎士王様は・・・・。

 

「寺嶋君、一緒にお昼食べよ?」

「ごめん・・・ボク、トイレで食べるのが日課なんだ・・・」

「そんなキャラじゃないよね!? そんなに私と食べるのが嫌なの!?」

 

 高町が俺をお昼に誘ってきたけど、俺はやんわりと断る。

俺の原作介入はもう終わってるんだ。色々と不安要素があるけど、俺の役目は終わってる。

もう無闇にキャラと触れ合うのはマズイと思ってるんだ。・・・・・もう転校した方がいいのかな・・・。

 

「ちょっと!? なのはが可哀想でしょ!?」

 

 はぁ、おせっかいバニングスが俺に目をつけちゃったよ。

 

「はぁ、おせっかいバニングスが俺に目をつけちゃったよ」

「口に出てるよ? 寺嶋君・・・」

「なん・・・・だと・・・・・?」

 

 月村が俺に気まずそうに伝えてくる。

なんてことだ・・・・。わざとなんだから仕方ないんだけどね・・・?

 

「お、おせっかいって何よ!?」

「・・・・・・・そのままの意味だっつーの! 女子とお昼なんて男としては恥ずかしくてさ?」

 

 あーぁ、クラスの皆が冷えた目で俺を見てるよ。まぁ覚悟の上で言ってるんだけど・・・・。

 

「・・・・・っ・・・! 行こう! なのは! すずか!!」

「あっ・・・・」

「ちょっとアリサちゃん!?」

 

 それでいい。そのまま高町の手を引っ張って屋上に行っちまえ。

これでいい。俺は高町とあまり仲良くしない方が・・・・・・・。

 

「アンタも・・・・あの変態3人と一緒みたいね!! ・・・・・・・男なんて・・・・・皆一緒よ!!」

「世の中には言っていいことと悪いことがあるんじゃァアアアアア!!」

「「「キャァアアアアア!?」」」

 

 俺は変態達と同類扱いされたことが赦せなくて、思わず3人を鬼の形相で追いかける。

まったく!! 名誉棄損で訴えられたいの!? 人権侵害にも程があるわ!!

ピュー!と、屋上に逃げていった3人の背中を睨んだあと、俺は近くの廊下の壁に向き直る。

そして、壁に向かって頭突きをガンガン繰り返した。

 

「て、寺嶋ァアアアアア!? 血が噴き出しているぞォオオオオ!?」

「・・・・・・・・・・ホケンシツ逝キマス・・・・」

 

 俺は・・・なんかモヤモヤした気持ちを抱えて、保健室に向かった。

 

「お邪魔します」

「あ、寺s・・・・キャア!? な、何があったの!?」

 

 今日はいつもより張り切っただけなんだもん♪

・・・・・・・・・正直、俺もここまでするつもりはなかったけどな・・・・。

 

「どうしたの? いつもの寺嶋君らしくないよ?」

「ちょっと悩みごとが・・・・」

 

 頭に包帯を巻かれ、俺はベッドに横になってる。

京子先生がベッドの側にある椅子に座り、俺のことを心配そうに見つめてた。

 

「もう・・・なんで頭突きしちゃうのかな・・・」

「ごめんちゃい」

「はぁ・・・・。で、寺嶋君は何を悩んでるのかな?」

「なんでもないッス!」

 

 俺は悩みを話しても仕方ないと思って、布団を顔に被って狸寝入りする。

でも、いつの間にか本当に寝てて、起きたときには放課後になってた。

 

「ガッツリ授業サボッちまったな・・・。ん?」

 

 京子先生が座っていた椅子の上に置き手紙が置いてあった。

手紙には「寺嶋君へ」と、女の字で書かれてた。たぶん、京子先生からだ。

 

『何を悩んでるか分からないけれど、いつもの寺嶋君らしくないよ?

 はやく悩みが解決するといいね? それと頭突きはほどほどに・・・・・・

                            京子先生より』

 

 ・・・・・・・俺らしくない・・・・か・・・・。

自分でも分かってるけど、もう俺は原作には介入しないって決めてんだ。

変態3人がどう動くか知らねぇが、まだ悪さをするんなら相手をしてやる。

それでいいじゃねぇか。もう原作を崩壊させて物語を壊したくないんだよ。

 

 そんなことを考えながら、俺は夕陽が照らす廊下を歩いて教室に戻る。

教室に戻ったけど、誰も教室にはいなかった。当たり前か・・・。もう17時30分手前だもんな。

小学生がこんな時間まで小学校に残ってるのはザラだと思うんd・・・・。

 

「・・・・・寺嶋君・・・・」

「!? キャアァアアアアア!?」

 

 せ、背中から誰かが俺の名前を呼んだ!?

お化けじゃないよね!? 俺は、お化けなんて信じてないけどな!!

幽霊なんて非科学的な存在はいないんだよォオオオオ!!

 

「て、寺嶋君!?」

「・・・・・・・・高町・・・・・か?」

「なんで教卓の下に避難したの?」

 

 ヤバイ・・・。超恥ずかしいんだけど・・・。穴があったら入りたいんだけど・・・。

 

「なんか用?」

 

 俺は何事もなかったかのように教卓の下から出る。

高町と目を合わせられないけど、俺は勇気を振り絞って話しかけた。

 

「その・・・昼間のことなんだけど・・・・・」

「アレは全面的に俺が悪かったんだよ。だから、気に病むな」

「でも・・・・」

「ここで時間無駄にしていいのか? フェイトとジュエルシードを探しに行くんだろ?」

「ううん、フェイトちゃんには遅れるって伝えてあるの」

 

 少し・・・沈黙が教室を支配した。

高町は俺の顔を見てくるけど、俺はまっすぐ高町の顔を見ることができない。

 

「寺嶋君、なんか私と距離をとってるよね」 

 

 図星である。俺はわざと高町から距離を取りました。

 

「不快にさせたなら謝るよ。でも、俺は直す気ないから」

「どうして?」

「高町・・・?」

「わたし・・・何か悪いこと・・・・した・・・の?」

 

 あーぁ、未来の魔王が泣こうとしてるよ。

 

「何もしてねぇって! だから、泣くなよ」

「・・・・・・・・ホント?」

「あぁ。高町は何も悪くねぇって!」

 

 そう言って、俺は自分の席に向かう。

鞄を置いて帰るワケにはいかないからな。

 

「ん?」  

 

 俺が鞄を持ち上げると、手紙が床に落ちた。

なんか嫌な予感がした俺は、おそるおそる手紙を拾い上げる。

 

「だ、誰からなの?」

「高町さん、人の手紙を覗こうとしないで? プライベートのしんがーい♪」

「寺嶋君、オハナシする?」

「ごめんちゃい」

 

 さて、誰からだ。差出人の名前もないし・・・・。

ラブレターって感じじゃないし、鬼が出るか蛇が出るか。

俺は高町が見つめられながら、手紙の封を開けた。

 

『アナタの秘密を知っている。18時までに屋上に来なさい。

 来なければ、アナタの周りの人間の安全は保証しない。

 僕は、アナタと同じ転生者だ。覚悟をして来るように・・・』

 

 ・・・・・・・・・・・・・・クソが!!

俺は手紙を読み終わるのと同時に手紙を握り潰した。

俺と同じ転生者? フザけた真似をしやがって!!

 

「て、寺嶋君!?」

 

 俺は高町の戸惑う声を無視して、教室から1歩だけ足を踏み出す。

 

「高町、俺は急用が出来た。はやくフェイトのところに行ってやれよ」

「て、寺s・・・」

「じゃあな?」

「あ!?」

 

 俺は行き先を告げずに指定された場所「屋上」に走って向かう。

途中で嵐のボンゴレリングに炎を灯し、クソッタレな手紙を燃やした。

これは罠だろう。だが、関係ねぇ人間を巻き込むつもりなら、容赦はしねぇ・・・。

 

 そして、俺は屋上の扉の前に立つ。

嵐のボンゴレ匣を開匣し、俺はいつでもSISTEMA C.A.Iをブチ込める準備をした。

赤炎の矢を左腕に装備し、隼人を俺の右肩に乗せる。

 

「にょん?」(何の騒ぎだ?)

「隼人、説明はあとだ。おそらく・・・・戦いになる」

「にょん・・・」(やれやれだな)

 

 俺は生唾を飲み込み、ゆっくりとドアノブに手をかける。

こんな回りくどい真似をしたんだ。余程腕に自信があるということ・・・。

出会い頭に赤炎の矢(フレイムアロー)をブチ込むつもりでいねぇと殺られるかもしんねぇ・・・。

 

「来てやったぞ!! この野郎が!!」

 

 俺は扉を蹴り開けて、赤炎の矢をかまえる。

しかし、屋上には誰もいなかった。辺りを注意深く警戒しているが、人の気配はない。

右肩にいる隼人に目配せで確認してみるが、隼人も人の気配を感じないらしい・・・・・。

・・・・・・・・何処だ? こんなフザけた舞台を用意したバカは何処に・・・?

 

「クフフ、何をそんなに必死になって探しているのですか?」

「ッ!?」

「にょ!?」

 

 バカな・・・俺達が何も気付かずに背後を取られていた?

いや、それは些細な問題だ。俺達の背後を取った男は、この世界の住人じゃない。

・・・・・・・・アイツが・・・・・・・「六道骸」がリリカルなのはの世界にいるワケがねぇ!!

 

「お前は、誰なんだ・・・?」

「クフフ、アナタと同じ転生者と手紙に書いたはずですが?」

 

 目の前にいる六道骸をよく観察してみるが、黒曜中の制服に身を包んだ六道骸だ。

 

「・・・・・・俺に・・・・・何の用だ?」 

「殺し合い・・・ですかね? クフフ」

 

 本当に楽しそうに笑顔を浮かべる六道骸。

下手に動くことが出来ず、俺の中で焦りだけが募っていく。

 

「と、その前に・・・邪魔者が来る前に舞台を整えましょう・・・」  

 

 そう告げた六道骸は、現実を幻の風景へと塗り替えていく。

俺が立っている場所は屋上ではなく、蒼い満月が辺りを照らす何もない荒野だった。

 

「幻覚だと!?」

「クフフ、これで誰もアナタを助けにこれない。そもそも来る人はいませんがね?」

「にょん!」(冬馬!)

「分かってる! 赤炎の矢(フレイムアロー)!!」

 

 あのニヤけた余裕面を消したくて、俺は六道骸に向けてフレイムアローを撃っていた。

だが、フレイムアローは六道骸の体をすり抜け、無様に荒野の果てへと消えていく。

 

「酷いですね。やる気はあるみたいですが?」

「ッ!? フレイムランチャー!!」

 

 気付けば、俺の隣で六道骸が俺の顔を覗き込んでいた。

悪寒が俺の背中を駆け抜け、俺は嵐+晴のフレイムランチャーを無我夢中で六道骸に撃ち続ける。

だが、フレイムアローと同じように六道骸の体をすり抜けてしまっていた。

 

「にょん!」(冷静になれ! 冬馬!!)

「クッソがァ!!」

 

 隼人の声を無視し、断トツの威力を誇る赤炎の雷(フレイムサンダー)を撃った。

だけど、結果は同じで六道骸の体をすり抜けていってしまう・・・。

 

「アナタのことはずっと見ていましたよ。頑張ってたじゃないですか」

「ッ・・・」

「にょん!!」(冬馬を惑わす気だ! 耳を貸すな!!)

 

 隼人が俺に警告してくる。分かってるよ・・・。でも・・・

 

「アナタの戦いには笑いを堪えるのが大変でしたよ。

特に・・・・・・・あの英霊エミヤの転生者との戦いは・・・最高でした」

「見てやがったのか!?」

「えぇ、アナタが英雄王の転生者を窒息死させようとするシーンもね?」

「覗き見は趣味悪いだろ。あと、アレは故意にやったワケじゃねぇよ」

「クフフ、僕はアナタのファンなんですよ。アナタの戦いは実に面白い」

 

 そう笑顔を絶やさずに俺に話しかける六道骸。

そして、俺は目を疑う。六道骸がズボンのポケットから出した物が・・・・・

 

「霧のボンゴレリング・・・」

「そう。霧のボンゴレリングだ。偽物じゃないですよ?」

 

 六道骸が霧のボンゴレリングを右手の中指に着ける。

そして、霧のボンゴレリングから霧の炎が灯された。

 

「本物なのか・・・」 

「本物ですよ。ある転生者から命懸けで奪った物ですけどね」

「他の転生者から・・・奪った?」

「そのときの詳細も話してもいいですけど、僕にも予定がある。

アナタの迷いを断ちきるためにも・・・始めましょうか!!」

「ガッ!?」

 

 六道骸がついに攻撃を始めてきた。

フレイムアローで迎撃しようとしたが、俺の懐に一瞬で入り込み、強烈なパンチが俺の鳩尾に突き刺さる。呼吸困難になった俺は、右膝を地面につけてしまった・・・。    

 

「にょん!?」(冬馬!?)

「クフフ、アナタの無様な姿を見るのも面白いですね?」

「ハァ・・・ハァ・・・俺が・・・・迷ってる?」

「えぇ、アナタは原作をこれ以上崩壊させまいと考えているようですが・・・

僕から言わせてもらえば、そんなくだらない考えは捨ててしまいなさい」

「なん・・・だと・・・?」

「アナタは原作に巻き込まれないように努力していたようですが、そんなものは無駄だ。

この世界は、新しい命として根付いたアナタを受け入れ、廻っているんですからね・・・」

 

 何を言ってるんだ? 世界が俺を受け入れて廻っている?

 

「それに・・・もう原作に拘っている場合ではないんですよ。

アナタは、あの男を怒らせてしまっている・・・。

あの男を殺さなければ、大変なことになりますよ?」

「あの男?」

「えぇ、必ずアナタを殺しにくるでしょうね。そして、アナタは死ぬだけだ」

 

 何を根拠にベラベラと・・・。ワケも分からねぇことを抜かしやがって!!

 

「赤炎の(フレイム)・・・」

「遅い!!」

「うァッ!?」

 

 六道骸に赤炎の矢の銃口を向けたが、俺は顎を蹴り上げられてしまった。

その拍子に仰向けで倒れ、六道骸に俺の左腕ごと赤炎の矢を踏みつけられてしまった。

 

「にょぉおおおおお!!」(冬馬から離れろォオオオオ!!)

「ペット風情が邪魔をしないでもらおうか!!」

「にょ!?」(ぐぁっ!?)

「隼人ッ!!?」

 

 俺を助けるために六道骸に飛びかかった隼人だったが、六道骸に殴り飛ばされてしまった。

 

「開こ・・・」

「無駄だ!!」

「ッ!? ツルだと!?」

 

 雲雀達を開匣しようとしたが、地面から植物のツルが出現し、あっという間に俺の右腕を縛りつけてしまった。これじゃあ、匣に死ぬ気の炎を注入出来ねぇ・・・。

 

「こうなってしまったアナタは、ただの非力な少年だ。

どうです? 何も出来ない自分が憐れでしょう」

「ッ!」

 

 なんとかツルを外そうと暴れてみるが、ツルは締め付ける力を増していった。

 

「僕の幻覚に囚われているアナタでは、このツルは絶対にほどけませんよ?」

「クソッ! クソォオオオオッ!?」

「いいですね? その自分が殺されるかもと恐怖を感じている表情は・・・」

 

 今度は俺の左腕にもツルが巻きついてきて拘束してしまった。

 

「グッ・・・」

「クフフ、では・・・ゲストをお招きしましょうか?」

 

 そう呟き、幻覚の荒野の世界に不可思議な穴が開く。

その不可思議な穴から見えるのは、さっき俺がいた屋上だった。

俺は焦る。何故なら、穴の向こうには屋上にいないはずの高町がいたからだ。

 

「キャッ!?」

「ッ・・・お前ェ・・・」

「さぁ、楽しみましょう」

 

 六道骸が開けた不可思議な穴から高町が引っ張り出されてきた。

高町は、今の状況を理解出来ずに辺りを見渡して戸惑っている。

 

「え!? て、寺嶋君!?」

「来るな!!」

「そうです。君は僕と遊びましょう」

「ッ!? んーーーーーッ!?」

 

 六道骸が高町を背中から捕らえ、高町の口を左手で塞いでいる。

 

「やめろ!! 高町は関係ないだろ!?」

「いえ、関係ありますよ? アナタをそこまで迷わせている女の子ですからねぇ・・・」

「高町に手を出してみろ!? お前を殺してやるぞ!!」

「クハハハハ! 負け犬の遠吠えは聞く価値もない」

 

 俺の叫びを一蹴したあと、六道骸が右手に霧の炎で何かを構築していく。

そして、俺は言葉を失った。霧の炎で構築されたのは、一本のサバイバルナイフ。

それをゆっくりと高町の首に近付けていく。

 

「んーーーーーーー!?」

「やめろーーーーーー!?」

「なら、はやくアナタの真価を示してください。

アナタは、そんなものではないはずだ。

アナタが力と覚悟を示さないと・・・この子、死にますよ?」

 

~なのはサイド~

 私、どうなっちゃうの?

寺嶋君が植物のツルで地面に拘束されてるし、私は怖い人に殺されかけてる・・・。

何がどうなってるか分からないよぉ・・・・。

 

「さぁ! 僕に"嵐の守護者"の力を見せてください!!」

 

 嵐の守護者? それって寺嶋君のことを言ってるの?

 

「高町を離してやってくれ・・・・・。

高町は関係ないんだ・・・。俺達の・・・争いには巻き込まないでくれ・・・」

「アナタは、そうやって諦めるのですか?」

「・・・・・・そうだ。俺を殺していい。だから、高町を離してやってくれ」

 

 寺嶋君!? 何を言ってるの!?

 

「それが・・・・アナタの"覚悟"ですか?」  

「そうだ。高町がそれで助かるなら・・・・・」 

「んーー!!! んーーーーー!?」

 

 ダメだよ!? なんで寺嶋君が殺されなくちゃいけないの!?

 

「分かりました。興醒めです」

「え?」

 

 こ、怖い人が私を離してくれた?

 

「お前・・・・」

「さぁ、君はもう自由だ。彼の元にお行き?」

 

 怖い人が優しく声をかけてくる。

私は寺嶋君のところに1秒でも早く駆け寄りたかった。

だから、迷わずに寺嶋君のところに向かおうと走り出したの・・・・。

 

「やめろォオオオオォオオオ!!?」

「えっ?」

「クフフ・・・」

 

 寺嶋君の叫びで顔を後ろに向けると、怖い人が私を背中から刺そうとしていたの・・・。

 

~冬馬サイド~

「後悔するがいい。アナタの・・・・選択を!」

 

 高町が殺される・・・。俺のせいだ・・・・。

俺にもっと力があれば・・・高町を巻き込まなくて済んだのに・・・。

 

「にょおおおおおおん!!」(させるかァアアアアアア!!)

「ッ!? 邪魔をするなァ!!」

「隼人!!?」

 

 高町の背中にサバイバルナイフが刺さろうとした瞬間、隼人が六道骸の右手に噛みつき、高町が刺し殺される未来を変えてくれた。

 

「寺嶋君!!」

 

 隼人が作ってくれた隙で高町が俺に駆け寄ってくる。

六道骸は、隼人に噛まれた右手を庇いながら、俺の元に帰ってくる隼人を睨んでいた。

 

「嵐猫ごときに僕が手傷を・・・・」

「にょおん!!」(冬馬! アレをお見舞いしてやろう!!)

 

 隼人が俺を拘束しているツルを嵐の炎を纏った爪で切り裂いてくれた。

そして、赤炎の矢に飛び乗り、六道骸を睨みつけている。

 

「高町、俺の側から離れるなよ!」

「うん・・・」

 

 俺は、高町を俺の後ろに移動させたあと、嵐のボンゴレリングから嵐の炎を灯す。

そして、隼人とアイコンタクトを取ると、あの言葉を叫んだ。

 

「隼人! 形態変化(カンビオ・フォルマ)!!」

「ニャァアアアアアア!!」

 

 六道骸・・・・いや、六道骸の真似事をしてる転生者、俺はテメェだけは赦さねぇぞ。

関係ない高町を殺そうとしやがって。お前の正体を暴いて、必ずブッ倒してやる!!

 

「猫さんが・・・弓に・・・?」

「ほう・・・・・それが荒々しく吹き荒れる疾風と謳われた・・・・・」

「そうだ。初代ボンゴレ嵐の守護者 Gの武器・・・・・Gの弓矢(アーチェリー)だ!」

 

 初代嵐の守護者 Gが使っていた弓矢を参考に造られた嵐のボンゴレ匣の真価。

その弓矢の威力は、修羅開匣したザクロの右腕を葬り去ったほどだ。

もう・・・・・この戦いを終わらせてやる!

 

「クフフ、アナタが本気になってくれたのは嬉しいですが、お忘れですか?」 

「何をだ?」

「アナタは僕の幻覚の術中にある。威力の高い攻撃も当たらなければ・・・・」

「心配するな。お前は、もうすぐ負ける!」

「なんですって?」

「俺がただ拘束されていたと思ったら大間違いだ!!」

 

 俺は蒼く輝いている月にGの弓矢を翳す。

そうすると、六道骸に焦りの表情が浮かんだ。

 

「ま、まさか!? 私の実体の位置を見破ったというの!?」

「口調が女になってるぞ」

「しまっ!?」

 

 六道骸が俺を殴ったとき、六道骸の右肩から微かに霧の炎が出ていた。俺の攻撃がすり抜けたのは、ただの幻覚から有幻覚へと切り替えていたからだと推測した俺は、本体がいると確信した。だから、10年後の雲雀恭弥が幻騎士に使っていた死ぬ気の炎を薄く放射してレーダー代わりにする技を実戦してみたぜ。見つけるのに時間がかかって焦ったが、調子に乗った分のツケはちゃんと払ってもらうぜ?

 

「果てろ・・・」

「キャーーー!!? ちょっとタンマお願いシマーーースッ!!?」

 

 六道骸が女口調で大慌てしてやがるな。

喧嘩はそっちから吹っ掛けてきたんだ。大人しく天に召されやがれ。

 

「赤竜巻の矢(トルネード・フレイムアロー)!!」

「し、死んじゃうーーーーーーーーーッ!?」

 

 俺の放った赤竜巻の矢が蒼い満月を捉え、蒼い満月に赤い波紋を拡げていく。

蒼い満月は嵐の炎に焼かれながら、大きく亀裂が走っていった。

 

「フゥ・・・一時はどうなることかと・・・・・・」

 

 俺と高町は、幻覚の世界から無事に生還することが出来た。

あの偽者の六道骸は霧のボンゴレリングを遺して霧散し、長い戦いが終わった。

形態変化を解いて、隼人を嵐のボンゴレ匣に帰したあと、俺は霧のボンゴレリングを見る。

とりあえず、この霧のボンゴレリングは回収しといた方が吉だな・・・・・。

 

「タ・マ・モ☆キッーーーーク!!」

「ギャァアアアアア!?」

「寺嶋くーーーーん!?」

 

 what's happen !?

誰かが俺の後頭部にライダーキックしてきやがったぞ!?

俺が霧のボンゴレリングを拾おうとしたら、誰かに後ろから飛び蹴りを喰らった。

当然、俺は顔面から冷たい屋上のコンクリと熱烈なKissをするはめに・・・。

 

「みんなのアイドル♪ タマモちゃんを殺す気ですか!?」

「こっちの台詞じゃーーーーーーーー!!?」

「寺嶋君!? 鼻血が凄い出てるよ!?」

 

 俺を襲ってきたバカがバカなことを言ってやがる。

ん? あの顔・・・・fate extraのキャス狐か!?

 

「あぁんもう! 私のつけ尻尾が焦げちゃったじゃないですか!!」

「うるせぇ!? こっちは高町を殺されかけたんだぞ!?」

「えと・・・・・・アナタは誰なの?」

 

 高町の質問にキャスターがにやり♪と笑う。

 

「いつもニコニコ♪ アナタの隣に這い寄る混沌♪ ニャルラトh・・・・・・ 」

「マァァァァァベラスッ!!!」 パァン!!<ビンタ音

「あひぃん!!?」

 

 俺は、ニャル子ネタをブッ込んできた駄狐に思いきりビンタした。

 

「やりますね・・・。流石はボンゴレX世の右腕です・・・」

「なんで真剣な顔でアホなことを言ってんだ!?」

 

 嘘だろ!? こんなバカに俺は・・・・・・あんなに追い詰められてたの!?

 

「いやぁ~♪ 何か思い詰めてたみたいなんで、タマモが一肌脱ごうと思ってたんですけどぉ、

あの覚悟は本物でしたし、問題無いッスね? んじゃ、お疲れ様でしたー♪」

「・・・・・・・・・・・逃がさないゼ♪」

「んきゃあああ!? タマモ ピーーーンチ!? 殺さないでくださぃいいいいい!!」

 

 なんで自然に逃げようとしたの!? 逃げられると思ってんのか!?

俺は、自然な感じで何処かに帰ろうとしたキャス狐をアイアンクローで捕らえている。

 

「オイ! 色々と知ってそうだな!? 喋るまでお前を逃がさないからな!!」

「いやん♪ タマモの貞操がピンチですぅ♪」

「お前の貞操なんかいらねぇよ!!」

「寺嶋君! その子に何する気なの!?」

「高町も変な勘違いすんなーーーー!?」

 

 なんだ、この混沌(カオス)過ぎる展開は!?

さっきまでのシリアスはドコに消えたの!?

岸波白野さぁん!! この駄狐を躾る方法を俺に伝授してーーーー!?

 

「今です! 太陽拳!!」

「閃光弾だとォ!?」

「ま、眩しいの!?」

 

 しまった!? キャス狐の飼い主にテレパシーを送ってたら隙を突かれた!?

キャス狐は、サングラスをかけて懐に隠し持ってた閃光弾で俺達の視力を奪いやがった!

 

「私は頭脳派ですからね♪ また遊んであげます♪」  

「待てェ!?」

「待ちません。予定は山積みですからね。

・・・・・・今日、警告したことを忘れないでくださいね? 御主人様♪」 

「誰が御主人様じゃ!?」

「ロキという男に気をつけて。アナタの命を狙っていますから・・・」

「なんのことだ!?」

「とにかく気をつけてくださいね! 何をやってくるか分かりませんから!!」

「待て!? 詳しく説明しろォーーーーーーーー!!」

 

 結局、俺と高町を襲ってきたキャス狐の転生者は、霧のボンゴレリングと共に姿を消した。

俺の命を狙うヤツがいる? 何がどうなってんだよ!? 何が起こってんだ!!?

 

 霧のボンゴレリングを持っていたキャス狐・・・。本当に・・・・・・何者なんだ?

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