灰燼の禿鷲   作:SUNRISE

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お待たせいたしましたー!シナリオを再度書き直すってのは面倒だね!時間掛かっちゃったよ!(ただ怠けてただけです)


直談判

~巌谷 榮二 side~

 

「本州全土は奪還され、四国もすでに半分以上を取り戻すことに成功しています。」

「わずか1週間でこの戦果か・・・彼らは何者なんだろうな。」

 

1週間前、7月31日のBETAによる帝都進行。

最終防衛ラインである嵐山を攻め落とされ、帝都壊滅目前の状況を打開した傭兵たち。

彼らは撃震や瑞鶴などの腰ほども無い小さな戦術機を駆り、真正面から突撃級の軍団を”吹き飛ばした”と聞く。

数は総数で30機、その他の兵器類も多数展開しているが非常に少ない。

バリエーションが多く、現地にいた衛士からの証言では下半身が戦車のもの、最前線から撤退した者の証言では2つ足の無骨なもの、後方で野戦陣営を展開していた者の証言では4つ足のものと多種多様だ。

 

「しかし、傭兵に帝都を護られたともなれば、武家からの反発も大きいだろう。兎に角は、帝都を護る事ができてよかったと言えよう。彼らには感謝せざるを得ない。」

 

とりあえずの安堵を噛み締めて、窓の外を眺める。いつもと変わらないような、高く、広い青空が広がっていた。

 

 

~篁 唯依 side~

 

「奴らは、傭兵だと言っていた。」

 

真田教官が発した言葉は、日本ではあまり聞き慣れないモノだった。

 

「傭兵なんて、今の時代ありえるとは思えませんが。」

「俺もそう思うがな。だが、所属を示す信号やロゴマークは見当たらなかった。そもそも装備からして異質だった。」

 

教官が言うには、その戦術機は唐突に現れ、迫り来る要撃級を小さな体躯で根こそぎ吹き飛ばしていったと教官は言う。さらに、遮蔽物の無い都市上空を悠々と飛行する大型ヘリも見受けられたとも言った。

 

「とんでもないモノだった。光線級のレーザーを受けても損害が見受けられなかった時は唖然としたな。」

「レーザーを!?対レーザーコーティングでも数秒持つのが限界なんですよ!?」

 

桁違いな技術力と迅速かつ確実に遂行される作戦指揮能力。それに追従する個々の技量。とてもこの世のものとは思えない。

教官は、その後戦術機の燃料切れからその傭兵たちに救助されたそうだ。

 

「俺はもう長くないと思っていたんだがな。そう簡単に死なせちゃくれないらしい。」

「私も、生きていたのが奇跡のように思えます・・・」

 

一夜にして、寝食を共にした同級生の多くを失った。その不安や悲壮感、虚無感は拭えない。

 

「・・・失礼します。」

「・・・篁。辛いのはわかる。俺も若いころはそうだった。だがな、そうやって怖気づいていると余計に失うものは多くなるぞ。」

「・・・はい。」

「まぁ、頑張るんだな。俺が生き延びたのは、何かすべきことがあるのだろう。それまでに、一人前になってくれよ。」

 

教官の声を背中に受けて、退室する。

 

「怖気づく・・・か。」

「ゆいー!」

 

声のほうを向くと。元気に走り寄ってくる和泉の姿が見えた。奥には杖を付きながらゆっくりと歩く山城さんの姿もある。

 

「どこいってたのさー。不安になっちゃったじゃない。」

「ごめんね。気になることがあって、教官と話をしてたの。それと、無事でよかった。」

「ええ。それにしても、あれだけ攻め込まれて帝都に被害なしというのは一体どういうことですの?」

 

ゆっくりと歩み寄った山城さんが、素朴な疑問を述べる。

 

「私が気を失う瞬間に見たのは、普通の戦術機よりもはるかに小さい戦術機だった。それが気になって話を聴いてきたんだけど・・・傭兵だとかって。」

 

その単語を聞いて、山城さんの顔が曇る。

 

「傭兵?こんなご時勢に?ありえませんわ。」

「でも、私も見たけど帝国の人でもアメリカの人でもなかった。」

「仮にそうだったとしても。傭兵がBETAの大群を押し返すほどの戦力を揃えられるとは思えません。きっと何処かの国の部隊でしょう。」

 

少し声音を強くしながら。山城さんは言い切る。おそらく、武家としてのプライドが許せないのだろう。

 

「公表もしていない兵器を他国領土にそう簡単に出すとは思えないけど・・・。」

「では、なんですの?たかが傭兵に、国を背負った武家が遅れを取っているというのですか!」

「そういうわけじゃないけど・・・。」

「たかが傭兵が、なんだって?」

 

声の方向へはっと振り向く。そこには、見たことも無い軍服を着た男が立っていた。

 

「あなたは?」

「失礼、俺は1週間前の作戦に参加した傭兵団のリーダーだ。」

「!」

 

話をすれば、という奴だろうか。議題の中心人物が目の前にいることは幸運であったが、あれほどの傭兵団を纏め上げるリーダーが、ここに独りでいるというのは疑問だった。

 

「聞きたいことがあります。あなた方は何者ですか。」

「何者って、さっき言っただろう?傭兵団だって。」

 

和泉の素朴な疑問を、素っ気無く投げ返す。私はそれを追伸して投げ返す。

 

「今の社会情勢を鑑みればそれはおかしいことです。」

「そう言われてもな。俺もあまり理解できちゃいないんだ。」

「確証がないのでしたら、さっさと白状しなさい!どこの国の所属ですか!」

 

軽率な発言ばかりを繰り返していることに憤りを感じたのか、山城さんが声を荒げる。

 

「あーあーわかったわかった。だからそう声を荒げるな。」

「では、詳しく説明してください。」

「それなら少々話が長くなる。立ち話もなんだし、何処か落ち着けるところへ行かないか?」

 

 

~傭兵 side~

 

 

多少面倒な相手に引っかかってしまった。俺は面倒が嫌いなんだ。

病院のリラックスルームと呼ばれる所に場所を移した。そこそこ高い階層にあるため、都市(帝都と呼ばれている)の容貌が良くわかる。

 

「コーヒーです。」

「ありがとう。こっちの世界に来たばかりなモノでね。」

「先ほどからこっちの世界だとかっておっしゃってますが。どういうことなのでしょう?」

「まぁそう急ぐ必要はないだろう。これからゆっくりと話すんだし。あと、そうかしこまらなくてもいいぞ。」

 

そう言い放って、もらったコーヒーを飲む。こっちのシステムはわからないことだらけなので、代わりに買ってきてもらった。

うん、なかなかおいしい。ちゃんと淹れているらしく、香りも味わいも不足無い。

 

「さて、まずは俺がここに来るまでの顛末からだ。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「・・・というわけだ。」

「・・・」

 

自分達の詳細、前の世界のこと、ACやその他兵器類とその技術を説明し終えたところだが。

ぽかーん。そういう効果音が流れそうなほど少女たちは唖然としていた。

 

「まぁ、要するに俺達は平行世界の未来から来たと思われる。」

「そ、そんなのオカルトですわ!い、今すぐ病院に行って脳の検査を・・・」

「落ち着け、ここが病院だ。あと俺は正常だ。」

「じ、事情は理解しましたが・・・その証拠はあるのですか?」

 

ロングヘアーの少女、上総は怒りと錯乱が混じって少々抜けた発言を放つ。

和泉と言うツインテールの少女は、非現実感から未だ抜け出せずにいた。

多少錯乱しながら、唯一落ち着いていた唯依という少女がまたひとつ疑問をぶつけてきた。

 

「なんなら、一度来てみるか?俺達の基地に。」

「そのようなことをしても良いのですか?いくらリーダーと言えど、機密漏洩なんて重大な過失じゃ・・・」

「部品ひとつ盗まれようが再現できなければたいした被害にはならん。1000年以上の技術差はそう埋められるもんじゃない。」

「攻撃される可能性は想定しないんですか?相手は見知らぬ軍隊ですよ?」

「そんな奴は昔から相手にしてる。いかなる事態も想定済みだ。」

 

ここまで自信満々に言うが、正直なところ来て貰われるとちょっと面倒だ。確かに進入後の攻撃は想定済みだが、今はとりあえず顧客がほしい。そんな中で帝国は唯一世界と繋がれる扉だ。

 

「・・・わかりました。後日、正式な依頼書を作成して再度お伺いします。」

「了承した。これが連絡先だ。あと1ヶ月くらいは帝都に滞在するだろう。」

「・・・すでに陸軍の基地を借用してるのですか?」

「まぁな。理由くらいは言わなくてもわかるだろう?」

「・・・」

 

少女の曇った表情を尻目に、コーヒーを飲み干す。

 

「それじゃあ。準備ができたら連絡してくれ。あと、コーヒーの代金はここに置いておく。」

 

レシートの上に使い道がいまいちわかっていない小銭を置いて、言葉を置き土産にリラックスルームを出た。

 

「接待の準備を頼む。帝国軍の重鎮たちがお出でなさいそうだ。」

『了解りょうかーい。って!エラい人たち来るのー!』

 

携帯端末を取り出して基地に短い通達をする。用意は早めにしておくものだ。

招いたとして、相手はどう出るか。面倒ではあるが、少々楽しみでもある。

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