side:山城 上総
『これより、ミッションブリーフィングを開始する。本州全土と九州の9割を奪還し、BETAは脚を留めることになった。』
本州最西端。開門海峡を望むその地は、BETAによって都市は蹂躙されながらもその雄大な自然は未だ健在であった。
帝都防衛戦から未だ二月も経っていないにもかかわらず、傭兵たちの力によって本州は愚か日本全土を奪還し、残るは福岡にあるハイヴのみとなった。そのハイヴをも、今や食い尽くさんとしている。
演台に立つのは、美しい金髪を携えメリハリの付いた魅惑的なスタイルを持つ女性だ。しかし、その
『まず最初に、大城山にて我々の支援中隊所属AC4機が核砲撃を敢行し、地表構造物ごと光線級による防衛圏を破壊する。』
「砲撃を行う前に光線級に蹴散らされるのでは?悪魔の証明のようなものではないか。」
『我々にとってBETAのレーザーは赤子のようなもので、例え重光線級であろうとそれが与える影響は皆無に等しい。心配はいらない。』
さらりととんでもないことを言いのけ、それに会場はざわつく。まるで常識が違うと言わんばかりに堂々と発言するあたり、その技術力に自信があるのだろう。
『まぁ、士気の向上だと思ってくれればよろしいだろう。これはあくまで下拵えだ。
砲撃後、我々の1個機甲中隊と陸軍斯衛軍混合戦術機甲部隊が侵攻、ハイヴ内へ進入し内部を制圧する。
ハイヴに到達するまでは我々の支援大隊が支援砲撃を行うので遠慮なく突っ切ってよろしい。
以上が我々の提示するミッションプランだ。質問は?』
「核砲撃後の放射能汚染はどうするいたしますの?今はBETAの本拠地とは言え元は人の故郷ですのよ。」
『ハイヴ周辺の状況や大陸に近い立地などからして、再び都市として復活させるのは困難だ。そこは割り切るほか無い。以上か?』
「・・・以上です。」
少し哀しい気分になりながら引き下がる。状況が状況であるとはいえ、国土が汚染されることは避けたかった。
ふと陸軍の将校がマイクを受け取った。
「最後に帝国陸軍より連絡がある。米軍や国連軍もこの作戦に参加する運びとなった。詳細は追って通達する、以上だ。」
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side:マグノリア・カーチス
帝国からの依頼でハイヴと呼ばれるBETAの巣窟を制圧することになり、ミッションブリーフィングに参加する羽目になった。
突撃級を蹴り転がして遊んぶ奴がいるほどに代わり映えのしない最近だったので、良い刺激と成り得るだろうが、損な役回りであった。
「いやぁお見事。交渉だけでなくブリーフィングまでこなせるとは。恐れ入った。」
「今までは個人傭兵だったし、最近は情報部の連中に任せてたからね。EGFにいたころはこういう役回りもしてたけど。」
リラックススペースのソファに腰掛けていると、
「で、その米軍とやらへのアプローチはどうするんだ。」
「単純よ。この作戦で戦果を挙げて売り込む。」
「それだと帝国が口出ししてきそうだがな。いや?ならいっそ帝国に仲介してもらうか。」
「いいんじゃない。どうせこの国に居候させてもらってるみたいなもんだし。報酬は目減りするだろうけどね。」
アメリカ軍、日本語略称米軍。この世界に置いて実質的な支配者たるアメリカの軍隊。
我々傭兵としては、これほど魅力的な雇用相手は見逃せない。支配者とは必然的に価値あるものを多く所有する。それは金銀であったり食料資材嗜好品であったり兵器であったりと様々だが、それらに共通するものは我々にとっては少なからず価値のあるものだということ。
さらに言えば、支配者であるということは世界の中心である。即ち、大きな看板を立てられる。これを機に取引先を一挙に広げられるのだ。
ここまで大胆な行動に出る理由としては、我々はどこに属するでもない
「それじゃあ、ハイヴに突入する部隊はどうする。」
「至近距離戦闘が多くなりそうだから、ブレード系が有利。パルスガンやプラズマガン、KEロケットなんかも有用ね。
「これまでみたくタンクにありったけの武装を積み込むのもよさそうだが・・・機動戦闘能力は必要だから却下だな。」
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side:能登 和泉
【明星作戦】の決行当日。作戦開始の1時間前。
私は作戦に参加する衛士として、福岡ハイヴから大城山を挟んだ地点の前線基地に待機していた。
その基地には、通常の戦術機の半分ほどもない小さな人型の兵器が鎮座していた。これが傭兵達の言っていた「アーマードコア」だと言う。
これほどに小さなものが突撃級を転がしていたなどという噂もあったが俄かに信じがたい。戦術機と比べても尚巨大な突撃級をどうすれば蹴飛ばせるのであろうか。気を失って彼らの勇姿を目に出来なかった私は、ただただ疑問に思うしかなかった。
しかし、彼らの勇姿を間近で見た衛士達は彼らのことを口々に語っていた。曰くその手に持つ突撃砲は一撃で地面をひっくり返しただとか、突撃級を正面から一撃で撃ち抜き跡形も無く吹き飛ばしただとか、光線を撃ち出しただとか・・・。
さらに遠くにはその体躯ほどもある巨大な・・・砲であろう塊を積んだ四足のモノがやはり鎮座していた。その両手にも背中のものほどではないが二つ折りになった巨大な砲を携えている。また、下半身が戦車のモノも見受けられ、その両手には戦艦の主砲を鼻で笑えるほどに巨大な砲を携えていた。
その他にも、私達とも馴染み深い戦車や、二つの大きなローターを持つ巨大なヘリ、上半身に盾を持ち無限軌道によって駆動する防衛兵器や、四足のものと同じであろう砲を担いだ上半身の無い奇妙な兵器が多数鎮座していた。
「作戦を開始まで間も無くだ!各衛士は戦術機を起こせ!」
コートを脱ぎ、トレーラーに係留してある戦術機へ走り寄った。
コックピットに乗り込みコンソールを叩いてシステムを起動する。外では整備士がジェットエンジンやバッテリーを始動させている。
各計器が規定位置、規定数値で動作していることを確認し、整備士に合図を送る。整備士もエンジン始動の合図を送り、コックピットブロックを閉める。
網膜投影システムが起動し、視界が戦術機の頭部センサーに切り替わった。
『和泉!』
「唯依?」
『落ち着いて・・・仇を討ちたいなら、大局をよく見て行動すること。』
「・・・うん。わかった。」
『こちらハイドラ。ホワイトファング、準備はいい?』
『ホワイトファング、準備OKです。』
『この戦いが瀬戸際よ。生きて帰りましょう。』
『『『「了解!」』』』
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side:グレイ・ジョン
「衛士強化装備・・・開発者の趣味丸出しだなぁ。」
整備士の男が下衆た言葉を口にする。確かに眼福だがなんとも解せないデザインだ。兵器やその周辺のシステムというのはつくづく合理的でなければならないのだが、いささか足りない部分が多いのではないかと思う。
「まぁ目の保養として受け取って置こう。それよりも、HUGE CANNONのタービンは動作良好か?」
「異常はないな。中も暖まってるだろうし、もう作戦を開始してもいいだろう。」
「了解だ。ACを立てるぞ。」
整備士の男はACから飛び降りた。シートがコアの機関部ごと下がり、操縦桿が姿を現す。HMDヘルメットを被り、コンソールのGenerator powerをIdolからRaceに切り替え、ハッチのハンドルを掴んで閉める。コントロールパネルの光のみがコックピットを照らすが、すぐさま内部の簡易ライトが点灯する。
ハッチのロックが作動して気密状態が保たれ、ジェネレーターが静かに出力を上げていくのが僅かな振動で伝わる。無線周波数を規定数値に切り替えて、酸素マスクをヘルメットに装着した。
「テステス・・・聞こえるか。」
『感度良好、問題はない。』
「そうか。他の連中は?」
『まさか私に白羽の矢が立つとは思わなかった。聞こえるか?』
『こっちは聞こえる。私の声は聞こえる?』
「問題ない。あと一人は。」
『・・・出力安定までまだかかりそう。感度はどう?』
『少し悪いな、周波数を調整してくれ。』
DDIに表示されたコンデンサ容量が埋まっていく。武装のシステムを読み込み、各パーツにエネルギーラインが接続された。
コンソールのImage sensorのランプが緑色に点灯し、HMDスイッチをoffからonへ切り替えてヘルメットのHMDを下げる。
HMDがコックピットのコンソールを除いて機体の外を映し出す。コンソール上部のHUDを立ち上げ、サイティングサークルが表示される。
「右腕、左腕、両脚、サブレッグ、ブースター、レッグブースター、ボックスブースター、光学センサー、リコンランチャー、ラジエーター、FCS、WCS、ETD、MCP、IFF、FCD、DDI、ACI全て問題なし。」
『UAVからの情報では今までとはタイプの違う光線級がいるそうだ。恐らくは重光線級とやらだろう。』
「その他の情報は?」
『周囲にいるBETAは極少数だったが、どういったものがいるのかは不明だ。UAVもすぐに落とされてしまったしな。』
「やはり精度はすばらしいな。貴重なデータが得られるやもしれん。」
『支援中隊は対TE装甲を装備してる?猛烈な攻撃を受けそうだけど。』
『増設した程度だが、それでも耐えられるだろう。』
今回の作戦にはマギーも参加する。左腕を失っているが死神部隊と同じメカニズムとタワー内にあった「A.M.S」とやらの技術も用いているため、操縦が可能になっている。
『こちら支援中隊。いつでもいけるぞ。』
『準備は整ったか。帝国軍とも連絡を取り合ってこよう。』
「機甲中隊、いけるな?」
『了とした。刃は研いである。』
『こっちもいつでも行ける。』
『私も大丈夫よー。』
間近に迫った大戦乱に胸躍らせながらも、妙に冷静な自分は一抹の不安のようなものを抱えていた。
それは仲間の死などではない。傭兵という立場上、いつでも死ぬ覚悟は皆持っている。別れる事も容易い。
「たかが知れてしまう」ということを畏れているのだ。
決して、そうならないことを祈ろう。
コックピットを若干公式設定よりも改良しました。
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)にカメラの情報を載せて360°の視界を確保するっていうのは現実でもF-35戦闘機で実用化されてます。また、カメラ情報はムリでもHUDと同様の機能を果たすことも現行戦闘機で実用化されてます。
酸素マスクは無線マイクの防音が目的です。戦艦の砲とか撃ってるんですから防音処理は必要だろうと思いまして。(酸素はおまけですが)
あと今回から主人公の名前を「グレイ・ジョン」としました。主人公の名前無いとか言ってたのに・・・
3/16 ハウザーの存在を思い出し、支援中隊から支援大隊に大型化。曲射って・・・ロマンだよね。