とある至高の四十一人の日記   作:兵庫人

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日記14

【二十八日目】

 

 今日はワーカーチーム「フォーサイト」とカッツェ平野にアンデッドモンスター退治に行く日だ。

 

 地図で調べてみたところ、カッツェ平野はリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国に挟まれる位置にあって、ここでは毎年決まった時期に両国による小競合いのような戦いが繰り広げられているそうだ。

 

 というかカッツェ平野がアンデッドモンスターであふれている理由ってそれだよな? 毎年毎年戦争なんかして戦死者を出していたら、そりゃあカッツェ平野もアンデッドモンスターの名産地になるわ。

 

 カッツェ平野は帝都から行くと徒歩で数日、馬車を利用したら二、三日くらいの距離らしい。フォーサイトの四人は徒歩で行くつもりだったが、徒歩と時間がもったいないので俺が戦車蜘蛛を呼び出して、それに乗って行くことにした。

 

 フォーサイトの四人は戦車蜘蛛を見た最初は驚いたもののすぐに慣れて、戦車蜘蛛の乗り心地の良さを誉めてくれた。特にフォーサイトのリーダーっぽい剣士は「速いし、風は気持ちいいし、何より馬車と違って金がかからなくて最高だな」と言ってくれた。……でも最後のはなんか違わない?

 

 そういえば昨日はまだお互いの名前を名乗っていなかったので、昼食をするときにフォーサイトの四人と自己紹介をし合った。そして自己紹介ついでに俺はフォーサイトの女の子、アルシェに何で少し前から俺のことをじっと見ているのか聞いてみることにした。

 

 するとアルシェは、まず自分には相手の魔力を感じ取ってどれくらいの魔法が使えるかを知るタレントがあると説明して、次にそのタレントの力で俺が第六位階以上の召喚魔法を使えるのを知ったと言う。彼女の知る限り、第六位階以上の魔法が使えるのはかつての自分の師だけで、俺のことをじっと見ていたのはそのせいだとか。

 

 アルシェの話を聞いて内心で俺は感心していた。

 

 確かに「人化の術」のスキルで人間の、スパイダーの姿になった今の俺はスキルのデメリットで身体能力が下がり、ムシツカイのスキルの第六位階くらいしか使えない。それを正確に見抜いたアルシェのスキルには感心するしかない。

 

 そう考えていると次にアルシェは「だから私は貴方が使える魔法が制限される代わりに魔法の効果を高めるタレントを持っていると考えている」と俺に言った。口調こそ仮定の段階だが、彼女も彼女の仲間達もそれで間違いないと信じ込んでいる表情だったので、俺は「そこまで分かっているなら言うことはないな」と言って彼女達の勘違いに便乗することにした。

 

 タレントによって蜘蛛系のモンスターしか呼ばないけど第六位階の召喚魔法を使える召喚術師か……。

 

 うん。中々いいな。今度からはその設定でいくことにしよう。

 

 

 

【二十九日目】

 

 今日はカッツェ平野に向かって戦車蜘蛛を走らせるだけで特に書くことは無し。

 

 強いて書くことがあれば休憩時間に目に殺気を宿らせたクレマンティーヌがフォーサイトに訓練(殺し合い)を申し込むのを止めるのに手間取ったことぐらいだろうか?

 

 

 

【三十日目】

 

 戦車蜘蛛を朝から走らせて昼過ぎくらいにようやくカッツェ平野にとたどり着いた。

 

 カッツェ平野は噂で聞いた通り霧に包まれていて、そこら中からアンデッドモンスターの気配が感じられた。

 

 そしてカッツェ平野についた途端、クレマンティーヌの奴、即行で戦車蜘蛛の背中から降りてアンデッドモンスターを狩りに行った。……アイツってばそんなに戦いたかったの?

 

 霧のせいで視界が悪く姿は見えなかったが、霧の向こうからクレマンティーヌの楽しそうな声とアンデッドモンスターの悲鳴っぽいうなり声が聞こえてきて、俺だけじゃなくてフォーサイトの四人もドン引きだった。

 

 ちなみに今日は何十体というアンデッドモンスターを退治して戦果としては大漁で、そのほとんどはクレマンティーヌ一人によるものであった。




次回でクモエルワーカー編(?)終了の予定です。
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