【三十八日目】
目的の地下墳墓に向かう道中、休憩時間に漆黒の剣の四人と話をすると、何と彼らの階級が銀から金と変わっていることに気づいた。
前にエ・ランテルと会話した時はまだ銀だったはずなのに、この短期間で階級を一つ上げるとは正直驚いた。
だが驚いたのは漆黒の剣の四人も同じだったそうで、俺達がワーカーになっていたとは予想だにもしてなかったと言われ、次に冒険者になれば上を目指せるのにと以前フォーサイトにも言われた言葉を言ってきた。だから彼らにも旅をしながら金を稼いで情報を集めるだけが目的だから冒険者になる気は無いとだけ答えた。
【三十九日目】
今日はある事実を書こうと思う。
この事実はずっと前から気づいていたのだが、俺は今日までそれに気づかないフリをしていたのだ。
しかし現実から目をそらすのもそろそろ限界なので、ここで日記に俺の気づいたある事実を書こうと思う。
俺には死神の観察眼というパッシブスキルがあって、これは即死攻撃の成功率だけでなく死期が近い人間を教えてくれることを覚えているだろうか?
死期が近い人間の頭上には【コイツ、十日以内に死ぬデス。殺すまでもねーデス】というやたらと軽い感じの文章が浮かび上がるのだが、それが数日目から見えているのだ。……俺とクレマンティーヌ以外のワーカー全員の頭上に。
漆黒の剣を初めとする冒険者達にはこの死期を知らせる文章が浮かび上がっていないところを見ると、やっぱりワーカー達の死因は今向かっている地下墳墓にあると考えるのが妥当だろうな。
その地下墳墓、どんな所なんだろうか?
【四十日目】
今日は色々なことがあって驚き疲れた。
間違いなく今日はクモエルとなってこの異世界に来てから一番長い一日だと思う。
(ここでページの書く場所が無くなり次のページに続く)
☆
ワーカー達が調査を依頼された地下墳墓は大地にめり込むような、まるでなにか上にあった物がへこんだような、盆地を思わせる場所に存在していた。
見渡す限りの草原にある地下墳墓を見てそれまで半信半疑であったワーカーと冒険者達は皆驚いた顔で、こんな所に未発見の遺跡があったとは思わなかったと口にする。ワーカーと冒険者にとって、未発見の遺跡を探索するというのはある種の憧れであるためここにほとんど全員が地下墳墓を注目している。
やがてワーカーと冒険者達は地下墳墓を探索する準備をするために離れた場所に設置したキャンプに戻っていくのだが、ただ二人だけがその場に残って地下墳墓を眺め続けていた。
残った二人はワーカーチーム「毒牙」の二人、スパイダーとクレマンティーヌであった。
「スパイダーさーん? 私達も準備しなくていーのー?」
「………」
クレマンティーヌがスパイダーに呼びかけるが、声をかけられた当人は相方の声が聞こえていないかのように地下墳墓を凝視していた。
「スパイダーさん? ねーってば。……全く。あの遺跡がそんなに気になるわけ? もしかして知ってるのー?」
「……………ああ、知っている」
「えっ!? マジで?」
呆れたような表情でため息混じり言うクレマンティーヌだったが、スパイダーの呟くような言葉に思わず驚いた顔になる。
「知っている。……間違いない。でもどうしてだ? どうしてここに……ナザリック地下大墳墓があるんだ?」
心ここに在らずといった表情で思わずスパイダーは呟く。だがその言葉を聞いていたのはクレマンティーヌ一人だけであった。