とある至高の四十一人の日記   作:兵庫人

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日記1

【一日目】

 

 突然だが今日から日記をつけることにしてみた。日記をつける事にしたのは今現在俺に信じ難い出来事が起こった為、それを文章にすることで自分の中で情報を整理するためだ。

 

 皆は「転生もの」という言葉を知っているだろうか? 何らかの原因で異世界や過去、あるいは未来の世界に送られた主人公が新しい世界で活躍する物語の総称である。

 

 そして俺はその転生ものの展開に巻き込まれてしまったようなのである。

 

 ……いや、冗談なのではなくマジで。

 

 何故俺が転生ものの展開に巻き込まれたかというと話は数時間前にさかのぼる。今から数時間前、俺は自宅で「ユグドラシル」というDMMO-RPG……仮想世界の中に入り込んだかのように遊べる体験型ゲームを起動させようとしていたはずだった。

 

 ユグドラシルというのは今から十二年前にサービスが開始されたタイトルで、その広大なマップと異様なまでに高いプレイヤーの自由度から日本国内で爆発的な人気を誇り、一時期はDMMO-RPGの代名詞とまで言われた。

 

 しかしそれも今は昔の話。十二年も時間が経てばゲームの人気も衰え、大勢いたユグドラシルプレイヤーも一人、また一人このゲームから離れていき、最後までユグドラシルに残ったプレイヤーは俺を含めても数えるくらいしかいなかった。

 

 少し話が逸れたがそんな訳でいよいよユグドラシルもサービス終了となり、その知らせに悲しんでいた俺に所属しているギルド「アインズ・ウール・ゴウン」のリーダーであるモモンガさんから「サービス終了にギルド本拠地であるナザリック地下大墳墓に集まりませんか?」というメッセージが来たのだ。

 

 当然俺は「絶対に行きます」とモモンガさんにメッセージを返した。何せアインズ・ウール・ゴウンでの日々は俺にとってかけがえの無い思い出だし、モモンガさんはギルドのリーダーだけでなく最後まで二人でギルドを守ってきた大切な友人であるのだからユグドラシル最後の時は彼と二人で迎えたいと思ったからだ。

 

 ……だというのにサービス終了日の当日、俺は会社の残業のせいで自宅に帰るのが遅くなり、帰った時には日付変更の三分前という有様。こんな事になるんだったら有休を取っておくんだったと軽く後悔をしながら俺はユグドラシルを起動させようとしたのだが、その瞬間に俺は意識を失って、次に気づいた時には見覚えのない森の中で倒れていた。

 

 ここはどこだろうと空を見上げてみると、環境汚染が深刻なレベルで進んでいる前の世界ではまず見られない満天の星空に驚いた。

 

 次に自分の体を見てみると、自分の体が人間の体ではなくユグドラシルでの俺のアバター「クモエル」の体になっていて二度驚いた。

 

 一瞬俺はサービス終了が延期になったのかと思ったのだが、体に感じる風や足元の土の感触からここが現実だと理解した。

 

 突然の超展開にしばらく呆然とした後、色々と試してみるとどうやらゲームのスキルやアイテムは使えるらしく、その時にアイテム欄に白紙の本があったのを見つけたのでこの日記をつけてみることにした。

 

 とりあえず今日はもう夜だし仕事で疲れているから休むことにするけど……明日から一体どうしよう?

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