「そういえばなんでこ・・「みほ!」・・美穂は346PROに行きたいんだ?」
「実は私、スカウトされたんです。」
「スカウト?」
「はい、アイドルとしてスカウトされたんです。」
「アイドルって凄いな。」
「いえいえ、まだちゃんとアイドルになるって決まった訳じゃないんですよ、今日346に行くのも詳しい話を聞いたりレッスンを体験するためなんです。」
「ふーん。」
まさかアイドルの卵と知り合いになるなんて思わなかったな、美穂は普通に可愛いし緊張しやすいって言ってたが打ち解けたらこれだけ明るいんだしアイドル向きかもな。
しかしさっきから美穂を見てると色々目につくものがあるな・・
じっと見すぎたか美穂は顔を赤くしながら俺に声をかけてきた。
「あの~、さっきからじっと見られてるの恥ずかしいんですけど・・もしかして変な所ありましたか?」
「あ、悪い!変な所はないよ、ただ・・」
「ただ?」
「持ち物にクマが多いなって。」
そう美穂の私物はなんというかもの凄く熊が多いのだ。クマ型のカバンに羽織っているコートにもクマのワッペンが付いている。智絵里のクローバー好きといい勝負かもな。
「子供っぽいですか?」
「そんな事ないと思うぞ。」
「ほんとですか?友達にはよく子供っぽいって言われるんですけど。」
「俺の幼馴染にクローバーが好きな奴がいるんだ。今でもよくクローバー探しに付き合わされてるんだ。誰かに言われたからって気にする事はないって思うぞ。」
「そうですよね!私これからもクマさんを好きでいます!」
「お、おう。」
「成君は何か好きなものってある?」
その質問をされた瞬間俺は一瞬固まった。美穂にバレてないよな?と思い見てみると特にバレてないようだ・・・
「
「好きだった?」
「ああ、今はもう好きじゃないんだ・・」
「もし嫌じゃなければどうして好きじゃなくなったのか聞いてもいいですか?」
ここで断ることは簡単に出来ただろう・・けど断らなかったのはきっと彼女のまっすぐな目が話す気にさせたのだろう。
「少し長くなるけど時間は大丈夫か?」
「はい大丈夫です。」
「んじゃどこか座れる所に行くか・・」
そう言って俺達は近くの公園に移動した。公園のベンチに座り俺は話し始めた。
小さい頃からサッカーをしていて、試合の時には応援に来てくれた両親や幼馴染の事、小学校の時に一回だけ県のトレセンに選ばれた事、中学校に入って一時期腐りかけたことがあったが幼馴染に励まされてもう一度頑張った事・・ここまで聞くと嫌いになる要素はないが俺はあの出来事を話した。
「中学最後の大会だったから俺も気合入ってたんだよ、うちのチームはそんなに強いわけじゃないけど少しでもいい成績を残そうってね。」
美穂はさっきから何も言わずただ頷いて話を聞いてくれている。
「くじ運もあって結構いい所まで勝ち残れたんだ、そして準決勝・・」
俺はそこで一息いれた。ホントは話すのも嫌だがここまできたんだ話すしかない・・
「残り時間もあまりなくて2—1で俺達のチームが勝ってたんだ。相手チームのシュートをブロックしようとスライディングしたんだ。結果はブロックに成功してチームは勝ったんだけど周りは静かだったんだ。なんでだって不思議に思ってたら監督がすごい顔をしながらこっちに走ってきたんだ。俺は立ち上がろうとした瞬間激痛に襲われたんだ、そして足が変な方向に曲がってたんだ・・・俺は叫んでその場に倒れて救急車で病院に運ばれたんだ。」
美穂を見るとすごく悲しそうな顔をしていた。けどまだ終わってないんだよな・・
「病院で手術を受けて足は元に戻ったんだけど医者から言われたんだよね・・・もうサッカーをする事は無理だって・・・俺はその瞬間目の前が真っ暗になった気がしたんだ、そしてサッカーが好きじゃなくなったんだ・・・これで話は終わり。」
あの瞬間は今でも夢を見る、それなりに時間が経つのに・・・
美穂を見ると泣いていた。聞いたことの罪悪感なのか理由は分からないが泣いていた。
「ごめんなさい・・・」
と謝りながら。俺は美穂が泣き止むのを待っていた。
今回は好きなものを話した美穂ちゃんと好きだったものを話した成の話でした。
成の話でかなり暗い感じになってしまいました。作者はあまり暗い話は好きじゃないので書いててちょっと辛かったです。成の心の声も頑張って書きました。
過去編は次で終わりの予定です。成の話を聞いた美穂ちゃんはどうするのか?それではまた次回~