転生したけど後悔はしていない   作:HA.KO3

1 / 21
第1話 特典を選んだけど後悔はしていない

夜空より真っ暗な空間

 

正面には白いドアが1つ

 

体は動かせるのにそこに体がないという不思議な感覚。なのに何故か違和感は感じられない。

 

(あれ?…なんでこんなとこに居るんだろう?)

 

言葉も発することができない。

 

(あのドアにでも入ってみよう…)

 

ガチャ ギイィ

 

ドアの向こうも真っ白な空間で、違うところといえば中心に気だるげな表情でボサボサの髪、どこにでありそうな机と、これまたどこにでもありそうな椅子に座り、何やら履歴書のような書類に目を通している中年の男がいたくらいだ。

 

「ん?ああ、久しぶり(・・・・)。また来たんだ…。とりあえずこっち来なよ…。どういう状況なのか、まだわかってないでしょ?」

 

(誰だ?この人…)

 

「いいからこっち来なよ…。説明するから…」

 

どうやら俺の考えていることが分かるようだ。だが、なぜか驚く事はない。それを当たり前と思っている自分がいる。

 

「まあとりあえず、君は今世で死んだんだ。覚えてるかい?」

 

男に言われてだんだん思い出してきた。

 

(そっか…、僕…死んだんだ)

 

事故死だった。工事現場のそばを通ったら、上から鉄骨に腹を貫かれ、そのまま死んだ。

死ぬ感覚は思い出したくないほどに苦しかった。ゆっくりと冷たくなっていくのが分かって、しまいには光がなくなってしまう。あんなの二度と御免被りたい。

 

(そう言えばさっき、《久しぶり》って言ってましたけど…)

 

「ああ、そのことね?君、前にもこの部屋に来たんだよ。覚えてないだけで…」

 

男はだるそうな顔で話し始める。

 

(前にもこの部屋に来たってどういうことですか?というかここはそもそも何のための部屋なんですか?)

 

「ここは簡単に言えば《転生》するための部屋さ…」

 

(《転生》?)

 

「まあ、正確には違うんだけど…。普通は死んだらこの部屋をスルーして、魂にへばりついた記憶を洗浄したあとに転生するんだ…。君の場合ちょっと違うんだよね…。君…今世で条件をクリアしたから、ここを通って記憶を洗浄せずに転生することになってるんだ…」

 

だるそうに返す男。

 

(条件?ってなんですか?)

 

「ん?ああ、規則でそれは教えられないんだ…ごめんね?」

 

そう言って少しだけ申し訳なさそうに謝る男。

 

(えと、前にもここに来たっていうのは…)

 

「覚えてないのも無理ないよ…。なんせそれが前世で君が望んだ特典なんだから…」

 

(特典?僕が望んだ?)

 

「そう。余程前世の記憶を消したかったんじゃないのかなぁ?まあ、今回はそんなことどうでもいいでしょ?特典っていうのはそのまま来世で活用…できるかは君次第だけど…まぁいわゆる才能とかそんなところだよ…。でも、君の場合は自分で選べるけど、普通、他の魂は転生する前にこっちで新しくランダムに特典をつけるんだ」

 

その前の記憶を聞こうとしたが、男から発せられる不思議な圧力のせいで聞くことは叶わなかった。

 

(特典とは、所謂ネット小説なんかで見る感じのものなんでしょうか?)

 

「んー、ちょっと違うよ、あんな漫画やアニメの能力とかそんな感じじゃあないかなあ?

例えば物覚えが良いとか、カリスマがあるとか、武道の才能があるとか、そんな感じだね」

 

(なるほど…)

 

「んで、君が来世に行くにあたって、貰える特典を選んでもらえるんだけど…」

 

(その前に聞いても良いですか?)

 

「ん?何かな?規則で話せないこともあるんだけど……」

 

(僕の前の特典って何なんですか?)

 

「…それくらいなら良いよ。ハイ」

 

そう言って男は机の上に書類を置く。

 

 

氏名 ○○ ○○

 

特典 記憶の消去

 

格闘技の才能

 

性別 男

 

備考

今世の出来事に極度のコンプレックスと忌避感がある模様

 

 

書類には俺の前世の名前であろう氏名と前世の俺が選んだ特典が記載されている…。

 

「選べる特典は2つだけなんだけどね?君、2つとも選んでるから普通は選べないんだ…規則で来世でも特典が影響されるから。でもこの“記憶の消去”は例外の1つでね?この特典は最初の一回だけ適用されるから新しく別の特典を選んでもらわなきゃならないんだ…。もし、もしも君が記憶を消したいんなら、そのまま新しい来世用の書類に記載するんだけど…どうする?」

 

僕は少しだけ考える。

前世は悪いものじゃなかった、むしろ良い方だったと言えるだろう。暖かい家庭、空手の全国大会で優勝もできたし、友人も良い人達ばかりだった。だからこそ、この思い出を忘れたくない…。

 

(…特典…を選ばせてください)

 

「わかったよ…じゃあこの中から選んでくれるかな?」

 

男は机の引き出しから書類とは別の紙を取り出して俺に渡す。

 

特典表

 

高い身体能力(才能とは別とする)

 

高い経済能力(才能とは別とする)

 

高い視力

 

物作りの才能

 

武道の才能

 

格闘技の才能

 

幸運事故(ラッキースケベ)

 

幸運

 

圧倒的カリスマ

 

物語を作る才能

 

瞬間記憶能力

 

高い空間把握能力 例.自分の周りに何がいるか、何があるかよく分かる等

 

球技の才能

 

音楽の才能

 

周りに気付かれにくい才能

 

モノマネの才能 説明 一度見たものをかなり完成度が高い状態で模倣する。

 

整った容姿

 

モテる体質

 

高い理解力

 

優しい家族

 

料理の才能

 

記憶の消去

 

発明の才能

 

読心術(ただし、感覚的にしかわからない)

 

人付き合いの才能

 

etc.

 

 

いろいろな特典がある。そんなことを思っていると気になる特典を見つけた。

 

 

異才(強力な特典をランダムで会得し、すべての特典が本来の効果以上の効果を発揮する)

 

(これって…)

 

「それは説明の通りだよ。僕にも何が出るかわからないんだ。でも特典によってはペナルティを受けることもあるんだよ」

 

(ペナルティですか…)

 

「うん、例えば世界最強になれるとかだったりすると、それは別の才能なんかが劇的に下がったりしたり、特定条件下においてのみの世界最強になったりするんだよ。と言っても、ペナルティも人それぞれだし、いろいろあるよ?」

 

別の才能が下がるというところに疑問を抱く。

 

(なるほど。では、もしペナルティに他の才能が下がるといったものだった場合、今決定してる格闘技の才能が下がったりはしないんですか?)

 

「それはないよ、格闘技の才能はすでに決定している一つの特典だ。異才を選んだからって格闘技の才能が下がったりすることはないよ。というか格闘技の才能があるから格闘技をやってれば自ずと世界最強になれると思うんだけどね?」

 

(じゃあ、これにします)

 

「良いの?特典は決めたら規則で戻せないんだよ?」

 

(はい、他に選びたい特典もないですし…)

 

「…そっか…わかったよ、じゃあ次は君の転生する世界についてだ…」

 

(え?僕は元いた世界に転生するんじゃないんですか?そもそも他にも世界というものがあるんですか?)

 

「そりゃああるさ。そもそも君が知ってるアニメや漫画の世界の幾つかは他の世界の転生者が知識と世界観を物語にしたり、自分にあった出来事のifの話や、その先の展開を想像したりしたものなんだよ」

 

(へぇ、知りませんでした…)

 

「知ってたら逆にびっくりだよ……話を戻すけど。君がいく世界はなかなかに厄介な世界みたいだね…。僕には応援するくらいしかできないけど、頑張ってね?」

 

(ありがとうございます。詳しくは教えてくれないんですね…)

 

僕が冗談めかして言うと男は少し苦笑いをして、

 

「ごめんね?規則だから、そのくらいしか説明できないんだ」

 

と優しそうに微笑んだ。

 

「次に君の性別はどっちにする?」

 

(男でお願いします)

 

「そっか…わかったよ…」

 

男は少しだけ何かを考え、悔しそうな表情をした後、了承した。何かあるのだろうか。説明すると恐らく規則とやらに引っかかるのだろう。勘だが。

 

「じゃあ、このくらいかな?ああ、あと君の来世は人だって決まってるから。じゃあ、そこの青い扉を通ってくれるかな?」

 

(はい、本当にありがとうございました)

 

「いやいや、これも仕事だから。良い人生を」

 

(はい、ではさようなら)

 

そう言って俺はドアを開けて光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今回君はどんな人生を送るのかな?」

 

 

◇◆◇◆

 

IS学園 食堂

 

ここで、世界でも希少なIS男性操縦者、織斑 一夏、そして彼の幼馴染である篠ノ之箒は夕食を摂っていた。

 

「まったく、なんなんだあのオルコットとかいう奴。日本のこと散々馬鹿にして行きやがって。今度の模擬戦、絶対勝つぞ!箒!」

 

10人中10人がイケメンと答えるであろう程の顔立ちをしている織斑 一夏は隣の席の黒髪ポニーテールの美少女に語りかける。

 

「やる気があるのは良いことだが…、一夏の方もイギリスのことを侮辱していたことを忘れるなよ?」

 

「うっ!あの時はついカッとなっちまって…」

 

二人がそんな話をしていると…

 

「ねぇねぇ、聞いた?一組のこと」

 

「聞いた聞いた、来週クラス代表をかけて勝負するんでしょ?」

 

「一組は大変だね〜?あー、三組で良かったー」

 

「ほんとだよね。千冬様のクラスになれなかったのは悔しかったけど、希少な男子と同じクラスになれたのは嬉しかった〜」

 

「その上超カッコいいし!!」

 

そんな会話が一夏の耳に届いた。

 

「なあ、箒、俺以外にも男子っているのか?」

 

「何を言っているんだ一夏?ニュースを見ていないのか?お前がISを動かした後、検査で見つかった男子が一人居たんだぞ?」

 

箒は若干呆れ気味に一夏の質問に答える。

 

「そうなのか⁉︎それなら早速会わなきゃな!」

 

流石に超がつく程鈍感な一夏も、女だらけの中男一人という環境には精神的にくるものがあったが、他に男子がいるというなら話は別だ。

 

「三組って言ってたよな!ちょっとさっきの子達に聞いてくる!」

 

そう言って空になったトレイを持ち上げ一夏は先ほどのの少女達の元へ向かおうとするが…

 

『一年一組、織斑君、至急職員室まで来てください。繰り返します。一年一組、織斑君、至急職員室まで来てください』

 

「残念だったな一夏…おそらくは昼間のことで呼び出しだろう。…同情はする」

 

世界最強と言われるブリュンヒルデの称号を持つ一夏の姉 織斑 千冬に怒られるのだろうことを箒は理解して、一夏に憐れみの視線を送る。

その言葉を聞いて一夏は項垂れながらトボトボと職員室へと向かう。

 

そして、入れ替わりでもう一人の男性操縦者が食堂に入っていったことを彼が気付くことはなかった。

 

 




どうも眼鏡すらいむです。
自分の作品は書きだめしてから一斉に投稿するといったかんじです。
なのでなかなか遅いのでご容赦ください。
あと、もう一つの作品の方もよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。