第13話になります。ついに臨海学校に突入しました。
これからも『転生したけど後悔はしていない』を宜しくお願いします!
誤字脱字報告や感想などお待ちしております。
それでは皆様本編どうぞ!
『良いか帝…何があっても強い、正しい人間になれよ』
『貴方が一緒に居るだけで私は嬉しいのよ?』
『帝君?君は私達の家族だ。何も遠慮することはないんだよ?』
『あら、帝君背が伸びたんじゃないかしら?うふふ、もう直ぐ私の身長も追い抜かれるかもしれないわね?』
思いだ出すのは…少しだけ先の話。
◇◆◇◆
「では、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
千冬の言葉に生徒達は目の前の中年の女性に挨拶をする。
臨海学校初日、まずは旅館に荷物を置く前に女将に挨拶をしているのだ。
「ふふふ、今年の一年生も元気があって良いですね」
見た目の年齢は三十代前後といった女性は、大人の雰囲気の漂う美人で、割烹着を着こなしている。
「こちらが…?」
「はい。今年は男子が二人いるせいで入浴の時間分けが難しくなって申し訳ございません」
「いえいえ、どちらも感じの良い男の子達ではないですか」
女将は二人の男子を見て微笑む。
「え、えっと、織斑 一夏です。今日から三日間よろしくお願いします!」
「三葉 帝です。これから三日間よろしくお願いします」
二人の元気の良い挨拶に女将はウンウンと頷き、
「よろしくお願いしますね?私はこの旅館の女将を務めております清洲 景子と申します。それで、あの…帝君?よかったらなんだけど…
サイン…もらえないかしら?!」
グイグイ来た。三葉スキーの方々よりもグイグイ来た。
「え?ええ、構いませんよ?」
「本当?!良かったわ〜」
そう言いながらどこから出したのかサイン色紙とペンを差し出す。
サラサラ
「どうぞ」
「ありがとう〜!!!実は私格闘技大好きなのよ〜!この前の試合!すごかったわ〜、これからも応援してるからね!」
「あはは、ありがとうございます…」
千冬は初めて見る女将の姿に唖然とするが、そんな千冬を意に介さず女将は部屋を案内するべく移動する。色紙片手に…。
「それじゃあ皆さんお部屋の方にどうぞ、海に行かれる方は別館で着替えができます。もし場所がわからないということであればお気軽に従業員にお聞きください」
その言葉を聞き、一夏と三葉も動こうとするのだが…
「織斑、三葉、お前らの部屋は私と同じだ。水着への着替えもそこでして行け」
その言葉に三葉や一夏ではなく他の女生徒たちががっかりしたのは言うまでもない。
◇◆◇◆
「皆さーん!今11時でーす夕方までは自由行動、夕食には遅れないようにしてくださーい」
「「「「「「はーい!!」」」」」」
生徒達の返事の良い声が返ってくる。
白い砂浜青い海、少し先には緑の美しい島が見える。
「あ!織斑君と三葉君!!」
「え?!うそ私の水着変じゃないよね?!」
ある者は二人が来たことに目をぎらつかせ、ある者は自分の容姿におかしな所がないか確認する。しかし、その全員が二人を見た瞬間に同じことを考えただろう。
「いや〜日差しが強いですね〜」
「そうだな〜でも絶好の海水浴日和じゃないか?」
((((((((すごい筋肉…))))))))
それは三葉に限った話ではない。最近になって朝練に参加し始めた一夏も、筋肉が引き締まってきていたため、三葉には敵わずともなかなか良い筋肉をしていた。
「良いですか一夏?海に入る前にはちゃんと準備運動をしなくちゃいけません」
「おう!もちろんだぜ!」
「「イッチニー、サンシー、イッチニー、サンシー、イッチニー、サンシー」」
二人が真面目に準備運動をしていると後ろから大声を出して近づく影があった。
「い、ち、か〜〜〜!」
鈴が一夏に飛び乗って肩車の状態になる。
「うおっ!?」
「相変わらず真面目ね〜終わったんなら泳ぎましょーよー」
さながら猫のような鈴の姿は健康的でスレンダーな鈴の体型に似合うタンキニタイプのオレンジと黒のストライプの水着を着ていた。
「おい鈴、さすがに降りろ。恥ずかしいだろ」
「もーしょうがないわね〜」
「何がしょうがないだ!」
二人は何やら言い争いをした後海に走って行った。
「帝ー!」
「あ!シャル!と…」
帝が振り向くと、そこにはパーカーを着たシャルロットと…
「あはは…ラウラだよ」
「そ、そうなんですか?」
三葉には今のラウラはミイラにしか見えない。タオルで身体をグルグルに巻いているので自分でも移動が困難になっているらしく動きがぎこちないのだ。
「ほら!帝に見てもらうんでしょ?大丈夫だって、ね?」
「だ、大丈夫かどうかを決めるのは私だ!」
「ら、ラウラさん…?」
ラウラの煮え切らない態度にシャルロットはついに動き出した。
「いいの〜?ラウラ?いつまでもそうしてるつもりなら僕だけ帝たちと遊んできちゃうけど〜?」
「うっ!そ、それはダメだ!え、えぇい!」
ラウラは覚悟を決めてタオルをcast offする。
それに合わせてシャルロットもパーカーを脱ぐ。
「わ、笑いたければ笑うが良い!」
「ど、どうかな…帝…」
「二人ともとっても似合ってますよ!シャルはすごく綺麗ですし、ラウラさんはとっても可愛いです」
「か、かわ!」////
「そ、そっか…き、綺麗…綺麗なんだ…」////
二人は顔を赤くして三葉に褒められたことに喜びを感じる。
シャルロットの水着は黒とオレンジのビキニタイプの水着で、シャルの爽やかな見た目と相まっており、そして彼女の大きく育った2つの果実がなかなかに自己主張していた。
一方ラウラは慎ましい胸でも可愛らしく見せる黒のビキニで所々レースの着いたフリフリの水着であった。さらに水着に合うように普段はストレートに伸ばしたままの美しい銀髪もサイドアップしている。
「ええ、二人ともとっても似合ってます」
そうしていると横から自分達を呼ぶ声が聞こえてくるのに気がつく。
「三葉くーん!ビーチバレーしようよー」
三葉は本音を通じて仲良くなった一組の面子に呼ばれ、シャルとラウラを連れてビーチバレーに向かった。
ーーーーーーーー
「ルールはお遊びで良いよね?タッチは三回まで、スパイクの
「良いですよ?サーブはそちらに譲ります」
三葉は腕を伸ばしクロスさせて身体を柔軟にしておく。
「ふっふっふっ。七月のサマーデビルと言われたこの私の実力を……見よ!」
つまり8月以降は本領が発揮できないのかぁ…と、三葉は思ったが決して口には出さなかった。決して…。
「甘いよっ!」
しかしサマーデビルのサーブはシャルロットによって打ち上げられ、
「もらいです!」
絶好のチャンスを逃さず三葉のスパイクがボールを弾き相手のコートに入る。 が、
ズドンッ!!
柔らかいはずのボールは本来ビーチバレーで出るはずのない音を発しながら砂浜にめり込んでしまった。
「「「「……え?」」」」
少女たちは一瞬で悟った。
((((本気でやらなきゃ…………………死ぬ!!!!))))
しかし、そこにある意味で奇跡の手が差し伸べられる。
「ほう…面白そうなことをしているではないか…」
織斑 千冬 最強のブリュンヒルデの登場であった。モデルのような体型に黒の水着を完璧に着こなしていて、その姿は女性であっても息を飲むほどだ。
「織斑先生!やりましょう!!私変わりますから!!」
サマーデビルは早々にこの
「ふむ…三葉との対決もなかなかに悪くなさそうだ…どうだね?山田君もやるか?」
「い、いえ!え、遠慮しておきます!」
一部始終を見ていた真耶にとってそれは「そこに立てば楽に逝けるぞ?」と言っているようなものだ。
「そうか…では三葉…闘るか…」
「良いですね…闘りますか…」
ゴゴゴゴゴゴゴ…
「なんか二人だけビーチバレーの空気じゃないんだけど…」
シャルロットの呟きも虚しく地獄のビーチバレーは始まった。
ズドンッ!
ズドンッ!
ズドンッ!
二人の殺人サーブによって砂浜には無数のクレーターが出来上がっていた。最早二人の頭の中に“スパイクの連続は禁止”という項目は完全に消え去っていた。
「しまった!」
突如千冬がボールの制御を誤り、ボールは高速回転をしながらあらぬ方向に飛び、ボーっとしていたラウラの顔面を突撃した。
「!!!」
バタン
「ラ、ラウラ!大丈夫?!」
シャルロットが近寄ってラウラの無事を確かめると、
「か、可愛いなどと…可愛いなどと…」
「え!まだ照れてたの?!あの状況で!?」
シャルロットにとっては今迄照れていたことよりもこの状況で尚照れていたことに対して驚いていた。
「ラウラさん!大丈夫ですか?!」
「っっっ!!!!」
ドドドドドド!!!
ザバーン!!!
ラウラはオリンピック選手顔負けのスピードで海に飛び込んでいった。
「お、追いかけた方が良いでしょうか…?」
「そ、そっとしておいてあげたほうが良いと思うな…」
ーーーーーーーー
結局、ビーチバレーは
ボールの破裂
という結果で幕を閉じ、勝負は引き分けとなった。
その後は一夏が海で足を攣ったという鈴を背負いながら砂浜に戻ってきたり、ラウラが頭を冷やして(物理)帰ってきて、他の生徒たちにも褒められてまた照れる、ということになったりと色々あった。
◇◆◇◆
旅館大宴会場
「うん!うまい!さすが本わさ!」
「本わさ?」
三葉達は宴会場で夕食を食べていた。高級な食事のため、生徒達も学園の食事とは違った食事に胸を躍らせていた。
そしてシャルロットは一夏の「本わさ」という言葉に疑問を抱き山葵の山を丸ごと口に放り込んでしまった。
「っ!?!?!!」
「お、おいシャルロット!?」
「ふ、ふうみがあって、お、おいひいよ?」
鼻を抑えながら必死に笑顔を作り、涙目で尖った香りと舌を裂かれんほどの辛さと格闘していた。
「ど、何処まで優等生なんだよ…」
一夏はお茶をシャルロットに渡し流し目で他のメンバーを見る。
鈴は二組なので二組の友達と食事をしており、箒は自分の隣で黙々と食事を進めていた。
セシリアとラウラはテーブル席の方で食事を摂っており、簪は四組の生徒達と食事を、そして肝心の三葉も、三組の面々と食事をしているため、先程の箒と鈴以外のメンバーはチラチラと目を三葉の方向に向けていた。
彼女達からすれば組ごとに食事をする場所を決められた事に激しく殺意を覚えたことだろう。
そんな視線と会話の飛び交う食事も終わりを迎え、夜になった。
◇◆◇◆
セシリアは決意を胸に、ある部屋に向かっていた。
「たとえ織斑先生がいようとも、このセシリア・オルコットは屈しませんわ…この臨海学校で、他の方々と少しでも距離を離しておきませんと…それに、お話…お話をするだけ…何もやましいことはありませんわ…」
それは一種の自己暗示でもあり、これから鬼のいる部屋に向かうための祈りのようなものだ。しかし、年不相応の下着を着けていてこの言葉を言ってもあまり説得力はない…。
「…?」
セシリアが教員室に近づいたことに気がつくとふと、教員室の前に人の塊が見えた。
箒、鈴、簪、ラウラ、シャルロットの五人である。何やら部屋の前で聞き耳を立てていた。
「何をしているんですの?」
セシリアは「やはり皆考えることは同じか…」と若干ため息を吐いた。
「シッ!!静かにしなさい…!バレたらどうすんのよ…!」
鈴の小声で諌めるような口調に、何が起こっているのかあまり理解できなかったセシリアは全員と同じように自分も聞き耳を立ててみる。
『千冬姉、久しぶりだから緊張してる?』
『そんなわけあるか馬鹿者。…お前にしてもらうのも久々だが、上達したんじゃないか?』
『そうか?』
『ああ、前よりも上達しているな。んっ!す、少しは手加減しろ…』
『はいはい、じゃあここは?』
『なっ!そこはっ、や、やめっ!』
『すぐに良くなるって。それにだいぶ溜まってたみたいだしね?』
『あぁぁ!!』
普段は聞かない千冬の艶かしい声に悶々としていた。
「こ、こ、これはいったい…ど、どういうことですの?い、一夏さんはお、織斑先生とまさか、そのような関係でしたの……?!」
セシリアの問いに答えるものはいない。箒と鈴はお通夜のような雰囲気を出し、残りのメンバーは頬を染め妄想の中にトリップした。
『それじゃあ次は…』
『一夏、少し待て』
全員が頭に?マークを浮かべる。そしてさらに襖に耳を近づけるがーーーー
バタンッ!
勢いよく襖が開き、全員はもたれかかっていたため、急に開いた襖に対応できずに地面に伏すことになる。
「まったく…何をしているか…馬鹿者共が」
「「「「「「……こ、こんばんわ……………織斑先生……」」」」」」
ーーーーーーーー
「マ、マッサージ…だったんですか…」
苦笑いしながらシャルロットは千冬が甘美な声を発していた理由を知った。
「何してると思ったんだ?」
「それはもちろん男j ングッ!」
それは全員が思った事だがそれをラウラに言わせないためにラウラの口をふさぐ。
「なにって…べ、別に…」
「特に何というわけでは」
「お、おほほほ……」
「べ、別に同人誌的な事を期待していたわけでは…」
「ちょ!簪さん!」
一夏に悟られないように誤魔化す五人だが、簪の場合墓穴を掘っていた。しかし幸いな事に一夏にはそこらへんの知識はなく、簪が何を言っていたのか理解できなかった。
「はぁ、一夏…マッサージをして少し汗を掻いただろう。風呂にでもゆっくり入って来い。今なら三葉も入っている頃だしな」
その言葉に四人ほど反応し、風呂に入っている三葉を想像したのだが、それは割愛するべきだろう。
「ん、そうするよ、じゃあ皆、ゆっくりして行ってくれよ」
そう言って一夏はタオルと着替えを持って風呂に向かっていった。
『……………』
取り残された六人は座ったままの姿勢でじっとしている。
「おいおい、葬式か通夜か?いつものバカ騒ぎはどうした?」
「い、いえ、その……」
「お、織斑先生こうして話すのは、ええと……」
「は、初めてですし……」
「お姉ちゃんが怒られてるイメージしか湧かない…」
その言葉を半ば聞き流しながら冷蔵庫から星マークのついた缶ビールを取り出し、
「ふん、まぁいい…そろそろ肝心な話をするか…」
プシュッ!
爽快な音を立てて缶ビールを開ける千冬に、一同は「え?」という表情に変わる。
ゴクゴク
「ぷはぁ!くぅ〜!っで!鳳と篠ノ之、お前らあいつのどこが良いんだ?」
唐突に呼ばれ、しかもそれが思い人の話題であり、二人はかなり動揺した。
「「え」」
「まぁ確かにあいつは役に立つ、家事も料理もかなりのものだし、マッサージも上手い、付き合える奴は得だな。どうだ、欲しいか?」
「「くれるんですか!?」」
「やるか馬鹿…」
「「え〜…」」
二人の落胆した顔を見れて満足した千冬は次の言葉を放つ。
「女ならな、奪うくらいの気持ちで行かないでどうする。自分を磨けよ?餓鬼ども…」
「「う〜」」
そして次はと言わんばかりに千冬は残った面々に視線を配る。
「さて、次はお前らだ…あいつの何処が良い?」
その問いをかけられた四人は真剣な眼差しで千冬を見据え、各々が語りだす。
セシリアは語る。
「わたくしは…帝さんの…信念に憧れました。帝さんに会う前まで、わたくしは家のことやISの事で周りを見ようとしませんでした。そんなわたくしを救ってくださったのが…帝さんです。わたくしの知っている男とは違う…何かに向かうひたむきな姿勢に…その信念に、あの眼差しに…わたくし救われたのです」
簪は語る。
「…私も…帝に助けられました。自分一人で抱え込まなくて良い一人でできる事なんてほんの少しだから…他の人の力を借りれば、違う速度で進めるってこと…私は私だって事を…帝に…教えてもらった。それを教えてくれた帝…側にいたい…今度は私が…帝のことを助けてあげたい…」
シャルロットは語る。
「僕も…かな…。今僕がここでこうしてられるのは、帝のお陰だから…あの時帝が、僕の手を引いてくれなかったら…僕は本当に刑務所にいたと思う。だから帝には感謝してる…でも、それとは別に…僕は帝の色々なところが好きなっていったんです…。笑顔とか…優しいところとか…たまにおっちょこちょいなところとか…それを含めた全部が僕は好きなんです…」
ラウラは語る。
「私は…嫁の強いところが好きです。私には無い。色々な強さを持っています。確かに…助けられた事に対する感謝もあります…しかし、それ以上に…私は嫁に近づきたい。嫁の…帝の隣にいたい…帝のことをもっと知りたい…そう…思いました…」
それは…四人の想い
それは…四人の信念
それは…四人の……
ーーーーーーーー決意ーーーーーーーー