転生したけど後悔はしていない   作:HA.KO3

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15話は少ないです
申し訳ない…


第15話 福音と戦闘するけど後悔はしていない

「僕の知らない記憶?」

 

束の言葉に戸惑う三葉だったが、そんな三葉の様子など御構い無しに話し続ける束。

 

「そうだよ?みっくんは覚えてる?自分の過去を。大切な人との思い出を。みっくんにとって大切な記憶の事を。

 

 

家族のこと(・・・・・)を」

 

 

家族

 

三葉にはその言葉の意味を理解できなかった。

 

三葉には家族はいない(・・・・・・)はずだから。

 

家族は、最初からいない(・・・・・・・)はずだから。

 

自分の過去のことは自分が一番知っているつもりだから。

 

「僕に家族は居ません…僕は…」

 

「孤児だった?」

 

「………」

 

先に言われて黙るしかなくなった三葉は、束の次の言葉を待つ。

 

「じゃあみっくんは覚えてる?

 

孤児になったのはいつ?

どうして親が居なくなったの?

 

孤児になってどれくらい過ごした?」

 

 

「それは…」

 

 

 

思い出せない(・・・・・・)

 

いつ孤児になった?

少なくとも自覚している記憶は中学に入ってからの物であった。

 

どうして親が居なくなった?

そもそも親が居たのか?

 

どれくらい過ごした?

いつ孤児になったのかすら曖昧なのだ。分かるはずもない。

 

 

「思い出したい?」

 

 

束は澄んだ瞳でこちらを見つめてくる。そこには悲しみがあり、執念があり、恐れがあった。

 

「…もしも思い出したいのなら…」

 

そう言って懐から1つの紅い指輪を取り出し、手のひらに乗せて三葉に渡す。

 

 

「これは?」

 

 

「ISだよ?機体名は

 

 

【リコリス】

 

 

みっくんの専用機なんだ…」

 

 

 

【リコリス】

花言葉は「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」「転生」

 

 

 

『悲しい思い出』

 

 

 

 

「僕の…専用機?」

 

 

これに触れることで自分の知らない過去を知れるのならば…そう思った三葉はゆっくりと指輪に手を伸ばし、そっと指先で触れる。

 

 

カッ!!

 

 

三葉が指輪に触れた瞬間に、指輪は光を放ち、辺りを紅い光で埋め尽くす。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

「そろそろだな」

 

「…………」

 

 箒の声に、一夏は意識を前に向ける。

 遥か先の海上に、本作戦の標的、『銀の福音』の姿が映る。

 

磨き上げたように美しく、光を反射するほど綺麗な銀の装甲。頭部から伸びる、一対の巨大な翼。

 

「目標まであと10秒!加速するぞ一夏!」

 

箒は展開装甲の出力をさらに上げ、凄まじい速度で飛翔する福音に接近する。

一夏は箒の上で雪片を握り締め、福音を見据えながら零落白夜を発動させる。

 

 

 

 

「おおおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

零落白夜の一撃必殺の刃が銀の福音に迫る。

 

 

 

 

ーーーーだが、

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

福音はあろうことか最高速度の状態から一気に後退して零落白夜を纏った雪片弐型を僅か数ミリの精度で回避したのだ。

 

(避けられた!だけどまだだ!銀の福音は飛翔を辞めて俺らと戦闘を開始しようとしてる。この距離ならまだ当てられる!)

 

一夏は銀の福音が特殊武装を使用する前に【瞬間加速(イグニッション・ブースト)】で距離を詰めようと考えたが、

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

突如介入してきた箒によって、それは中止せざる負えなくなった。

 

「なっ!箒!」

 

箒は2対の刀で銀の福音を攻めるがその刃は軽々と避けられる。

 

「くそっ!やれるんだ…この機体なら!紅椿なら!」

 

(拙い!このまま零落白夜を当てに行ったら箒にまで当たる!)

 

一夏は箒が離れるタイミングを見計らって零落白夜を当てようと考えるが、

 

ガシャッ!

 

銀色の翼。

スラスターでもあるそれの、走行の一部がまるで翼を広げるかの様に開く。

 

 

(しまった!これは―――)

 

 

砲口

一斉に開いた砲口を一夏に向かわせるために、両翼を前へと迫り出す福音。

次の瞬間、幾重もの光の弾丸が撃ちだされた。

 

「ぐぅっ!?」

 

その弾丸は、高密度に圧縮されたエネルギーで、ちょうど羽のような形をしている。

それがISアーマーに命中したかと思うと、次の瞬間には一斉に爆ぜた。

爆発するエネルギー弾は驚異の威力を持っていたが、何より問題なのは、

 

(くそ!なんて連射速度だ!)

 

決して命中精度は高くはない。だが、その数と速度に圧倒される一夏と箒。

 

―――やるしかない!

そう思って刀を握りしめる一夏だったが、そこに福音の射撃による全面反撃が待っていた。

 

「La………♪」

 

甲高いマシンボイス。

その刹那、ウイングスラスターはその砲門全てを開く。

その数、実に三十六。さらには全方位に向けての一斉射撃。

 

「はぁぁぁぁ!!!」

 

箒が光弾の雨を紙一重でかわし、反撃をし、銀の福音を抑え込む。

 

「一夏!今だ!」

 

「任せろ!」

 

絶好のチャンスとばかりに一夏は箒と福音に急接近するが、

 

 

 

「!」

 

 

しかし、一夏は福音とは真逆の、直下海面へと全速力で向かった。

 

 

「一夏!?」

 

 

「うおおおっ!!」

 

 

瞬間加速(イグニッション・ブースト)を行いながら零落白夜を発動。

その両方を最大出力で行い、数発の光弾に追いついた一夏はそれをかき消す。

 

 

「何をしている!?せっかくのチャンスに───」

 

 

「船がいるんだ!海上は先生たちが封鎖したはずなのに…」

 

「船だと!?」

 

箒は望遠機能を使い船を確認し、データの照合を行うが、

 

 

【国籍不明】

 

【NO DATA】

 

「密漁船ではないか!この非常事態に!」

 

 

「La………♪」

 

 

福音によるエネルギー弾の雨は止むことはなく、一夏と箒に降り注ぐ。

 

「ぐっ!」

 

一夏はエネルギー弾を必死に弾き、船に当たらないようにする。

だが、それも長くは続かなかった。

 

キュゥゥゥゥゥンン……

 

一夏に握られた《雪片弐型》の光の刃が消え、展開装甲が閉じる。

 

 

エネルギー切れ

 

 

最大にして唯一のチャンスを失い、そして作戦の要も、たった今失った。

 

「馬鹿者!犯罪者など庇って……そんな奴らは放っておけばーーーー」

 

 

「箒!!」

 

 

「ッーーーー!?」

 

 

「箒、そんなーーーーそんな寂しいことは言うな。言うなよ。力を手にしたら、弱い奴のことが見えなくなるなんて……どうしたんだよ、箒。らしくない。全然らしくないぜ」

 

 

「わ、私は……」

 

明らかに動揺の色を浮かべ、俯向く箒だったが、銀の福音はそんな隙を見逃さず、エネルギー弾を箒に向ける。

 

(拙い!)

 

一夏は一直線に箒に向かう。

雪片を投げ捨て、最後のエネルギーを使い果たして瞬間加速を行う。

 

「箒ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

一夏は福音の射線上に、エネルギー弾から箒を守るべく滑り込む。

雨のように降り注ぐ光弾に撃ち抜かれ、爆発に装甲を抉られ、それでも一夏は両腕を大きく広げ、一歩も退かずにそこにいた。

 

「一夏ぁぁあ!」

 

エネルギー弾の雨が止むと、白式は消え去り、一夏は海面へと落下していく。

 

 

「一夏!一夏あああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

箒の叫びだけがむなしく響く。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ああ、俺は

 

堕ちたのか…。

 

なんてザマだ。

 

結局何も守れない。

 

帝に勝つために、あの背中に追いつく為に、強くなるって、護り抜くって決めたのに、

 

 

このままじゃ終われない!!

 

終わりたくない!!

 

力が欲しい。

 

大切なものだけじゃない。全部を護り抜くだけの力が。

 

頼む。

 

白式!

 

俺に力をくれ!

 

俺に護り抜くための、

 

 

 

勝つための地力を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺に寄越せ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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僕はキメ顔でそう言った
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