転生したけど後悔はしていない   作:HA.KO3

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第3話 模擬戦だけど後悔はしていない

模擬戦当日

 

第2アリーナ

 

いよいよ今日は一夏とセシリアによる、クラス代表決定戦が行われる。

 

「……来ないな、IS」

 

「……そうだな」

 

「…………」

 

 そう、政府から支給されるというISを箒と一夏はアリーナのAピットで一夏の専用機を待っているのだが、その専用機がまだ来ていない。

 

「……急に決まったことだからな。準備に時間がかかっているんだろう」

 

「って言ってももう試合始まっちまうぞ!」

 

「そんな事を私に言うな!!」

 

すると、

 

「織斑君織斑君!専用機が来ましたので至急こちらに来てください!」

 

胸部に圧倒的外部装甲を持つ一年一組副担任の山田真耶と、織斑千冬が現れる。

 

「織斑、至急準備しろ。アリーナの使用可能時間は限られている。ぶっつけ本番でものにしろ」

 

「良いか一夏、この程度の障害、男子たる者軽く乗り越えて見せろ」

 

「無茶苦茶だ…」

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

Bピット

 

セシリアはこの勝負で勝たなければならない。相手は素人、油断するつもりも慢心するつもりもないが、この試合で負ければ代表候補生の名折れだ。

そして何より、観客席で見ているであろう彼に、みっともない姿は晒す事ができない。

 

「絶対勝ちますわ…」

 

静かに燃えるセシリア

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

観客席

 

「人全然いないですね〜」

 

三葉はそんな独り言を漏らしていた。

これは模擬戦であり、公式の試合ではない、故に他のクラスにも実際はあまり知られていない。

それもそうだろう、なんせ貴重な男子が模擬戦をするというのだから、この試合を見ないわけにはいかない。そうなれば観客席は大混乱になる可能性があるとして、織斑 千冬をはじめとする他の教師陣が意図的に情報操作したのだ。

 

観客席にいるのは後輩から模擬戦のことをたまたま聞き、噂の男性操縦者を一目見ようとやってきた上級生や他クラスの一年生が数名と、一年一組の面々だけであり、三千人以上は入るであろう広い観客席は、ポツポツと人が居て、一年一組の塊以外はガランとしていた。

 

「あれ〜?だ〜れ〜?」

 

後ろから気の抜けた声がした。振り返るとそこには常時ほわほわとした雰囲気を纏ってる少女が居た。

 

「わ〜、みつばんだ〜」

 

「みつばん?だれのことでしょう?あ、もしかして僕ですか?」

 

「そうだよ〜、三葉だからみつばん」

 

「おお!はじめてまともなあだ名を付けられました…」

 

このあだ名がまともなのかはともかくとして。三葉は昔から格闘技が強く、子供の頃から帝という名前のせいで、『帝王』などと呼ばれていたのだ。今でも呼ばれているが…。他にも『番長』やら『カイザー』やら、彼の見た目や性格からは想像もできないほどミスマッチなあだ名が多かった。

 

「本音?どうしたの?」

 

「早くしないと試合始まるよ?」

 

少女の後ろから数名の女生徒が現れた。

 

「あ〜!そうだった!ねぇねぇみつばんも行こうよ〜」

 

「いいんですか?」

 

他クラスである自分が行って雰囲気が悪くならないか心配な三葉。

 

「え?!三葉くん?!なんで?!」

 

「ちょっと本音?!どういうこと?!」

 

「えっとね〜?みんなで見た方が楽しいでしょ〜?」

 

「そうじゃなくて……ああ‼︎もう!」

 

「えっと、やっぱり僕は1人で…」

 

「え〜!いこうよ〜!」

 

三葉が切り出すと、本音と呼ばれた少女がダボダボの袖の手で三葉の手を引っ張る。

 

「うん!行こう行こう!」

 

「別に三葉君がいて雰囲気悪くなるとか全然無いから!」

 

「そうそう!」

 

「では、お言葉に甘えて」

 

三葉は微笑んだ!!

その微笑みを見た女子全員にクリティカルヒット!!

という茶番があった。

 

◇◆◇◆

 

試合開始前、一夏とセシリアはアリーナの中央で向かい合っていた。

 

「織斑一夏さん、まずはお詫びしなければいけませんわ」

 

「お詫び・・・?」

 

「ええ。代表を決めるときに言ってしまった言葉、態度。行ってはならない愚行をしてしまったことを深く謝罪致します。申し訳ありませんでした」

 

それはセシリアなりのけじめだった。戦う前にそれだけは言っておかなければいけない、でないとあの人の隣に立つなど烏滸がましいにもほどがある。そう考えたのだ。

観客席を見ると一組の和に違和感なく混じっている彼を見つける。何故一組に居るのかは気になるが、後でクラスメイトに聞くことにした。

 

「いや、俺の方こそ色々言っちまって…こっちこそ悪かった」

 

「では、これでお相子…という事でよろしいでしょうか?」

 

「ああ、それで良いぜ」

 

「ふふ…では、しかとその目に焼き付けなさいな!!

わたくしとブルーティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

 

試合開始のブザーが鳴る。

 

 

 

 

二人の試合が始まると、試合は意外な方向に進んだ。

 

最初はセシリアのライフルとビットの攻撃を一夏が紙一重で避け、一夏はなかなか近づくことができずにジリ貧でまさに防戦一方的な状況であったが、一夏がセシリアの攻撃に慣れ始め、一夏の方に幾分か余裕が見え始めた。そして一夏の専用機が一次移行(ファースト・シフト)を終えると、試合は決まったかもしれない、と観客観客の誰もが思った。ここからが一夏の反撃になるだろうと…。三葉と千冬以外は。

 

一夏はセシリアの攻撃の穴場とも呼ぶべき隙間を通り抜けて、自身の必殺の一撃であるワンオフアビリティ【零落白夜】を放つ。

 

 

だが、それはセシリアの想定内…否、すべて仕組まれたことであった。

 

「かかりましたわね?ブルーティアーズは…6機ありましてよ!!」

 

セシリアのスカートのような装甲に取り付けられたフィンアーマーからミサイルを発射する。

ミサイルは一夏に直撃し、爆煙を撒き散らし、煙の中から純白のISを纏った一夏が落下する。

 

 

『勝者 セシリア・オルコット』

アリーナにはアナウンスの無機質な声が鳴り響く。

 

◇◆◇◆

 

Bピットセシリアサイド

 

セシリアがピットで休んでいるとのほほんとした雰囲気を常に纏うクラスメイト、布仏 本音と三葉が現れる。

 

「せっし〜」

 

「オルコットさーん」

 

「え?本音さんと、三葉さん?!」

 

「ども〜」

 

「何をしているんですの?!」

 

二人は手を振りながらドアをくぐる…肩車をしながら。

もちろん三葉が肩車をする側だ。

余談であるが、三葉の背は190センチ前半でかなり高い。

肩車すれば約2メートルにもなる高さは苦手な人にはそれなりにくるものがあるのだが…

 

「すっごく楽しいよ〜」

 

本音は大丈夫なようだ…。

 

「セシリアさんもします?」

 

「い、いえ、遠慮しておきますわ」

10歳そこそこの年齢ならいざ知らず、流石に15歳にもなって同年代の異性から肩車など、ある意味拷問であるだろう。

その上好きな異性にしてもらうなんて乙女にとって恥では済まされないレベル…社会的に死ぬも同然だ。

 

「あ、そうだオルコットさん」

 

「はい?どうしたんですの?」

 

「おめでとうございます。カッコよかったですよ?」

 

 

 

 

ぼっ

 

 

 

 

セシリアは三葉に褒められ、自分の顔がゆでダコのように赤くなっていることに気がついて、顔を伏せる。

 

(ほうほう、流石はみつばんだね〜)

 

と本音は思ったりしたり。

 

「ようし、僕もあれくらい動けるように頑張りますよ〜!!」

 

セシリアの苦悩など知らず、三葉は第一の目標を定めたのだった。

 

 

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