転生したけど後悔はしていない   作:HA.KO3

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第6話 クラス対抗戦だけど後悔はしていない

『聞きました?帝君のお母さん、病院に運ばれたんですって…』

 

『あら本当?じゃあ帝君はこれからどうなるのかしら…』

 

『あんなに良い子なのにね…。親戚に引き取られるかもしれないんですって…』

 

『大変ね…支那さんも体が弱かったばっかりに…』

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

休み時間

 

 

三葉が珍しく屋上で日向ぼっこをしながら空を見ていると…

 

バタンッ!!

 

扉が勢いよく開き、涙目の鈴が飛び出してきた。

 

「ひっく、うっ、うぅ…」

 

扉が閉まると鈴はその場にうずくまって泣き始める。

 

「…鈴さん?」

 

三葉が声を掛けると、鈴はビクッと体を跳ねてゆっくりと三葉の顔を見る。

 

「…なんであんたがここにいんのよ…」

 

目を腫らし、恨めしいとばかりに三葉を睨む鈴。

 

「鈴さんこそ何してるんですか?こんな所で…」

 

三葉は鈴の横に腰掛け、いつもの微笑みで鈴と話そうとする。

 

「……」

 

「……」

 

お互いに喋らず、時間は過ぎる。

 

 

 

「一夏のやつ…覚えてなかった…約束…覚えてなかったよぉ〜」

 

数分が経過したと思ったら、鈴が再び泣き始める。

 

「…辛かったですね…」

 

三葉は鈴の頭を子供をあやすように撫でる。

 

「うっ、うぅぅぅあぁぁぁ…」

 

鈴は泣いた…溜めていた思いをぶちまけるように…声を上げて泣いた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

「ごめん…なんか大泣きしちゃって…」

 

「良いですよ〜」

 

鈴の顔は赤く、目を真っ赤に腫らし、まだ少し涙目だ。

 

「はぁ、泣いたらかなりスッキリした!!ありがとね帝!!」

 

「ふふ…今日の夕食で手を打ちましょう…」

 

「うっ!あんたの食べる量尋常じゃないじゃない…でもまぁ良いわよ…世話になったし…」

 

「やりました〜」

 

三葉は両手を上げて喜びを表す。

 

 

 

「…ふふ」

 

「…くす」

 

 

「「あはははは」」

 

 

「元気でましたか?鈴さん」

 

「うん!あーあ、私が一夏に惚れてなかったら帝に惚れてたかも…」

 

「おや、嬉しいことを言ってくれますね?」

 

「一応言っとくけどお世辞じゃないからね?」

 

「はいはい」

 

「っかぁ!あんたもそっちの部類か!」

 

その通りである。

 

「うしっ!一夏の奴、クラスマッチでギッタンギッタンにしてやるんだから!」

 

二人の実力差を考えると真面目にシャレにならないのだが…。

 

「そろそろ戻りましょう…」

 

「そうね」

 

二人は屋上を後にした。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

クラス対抗戦当日

 

 

 

 

この日

 

代表の生徒達はそれぞれ違う思いを持って…この対抗戦に挑んでいた。

ただ単に試合に臨む者、恋心を燃やし挑む者、野心と闘志に滾る者、自分の力を出し切ろうと鼓舞する者、様々だった。

 

 

最初の試合は

 

一組vs.二組

 

 

 

ーーーーーーーー

 

お互いの代表がISを纏い中心で向き合う。

 

「一夏、遺書は書いてきた?」

 

「なんでだよ!」

 

「乙女の思いを踏みにじり…挙げ句の果てに人の事を…なんだって??」

 

この顔を正面から見て持ち堪える一夏を周りは素直に尊敬するべきである。なぜ鈴がこんなに怒っているのかというと、約束を歪曲して覚えられていたから、というだけではなく…鈴の事を

 

【貧乳】

 

と言ってしまったからだ。

 

「い、いや、あの時はつい心にもない事を…」

 

試合開始のブザーが鳴り響く。

 

ドォォォォン!!

 

一夏がいた場所を見えない砲弾が通過する。

 

「心にもない事を…

 

思い付きで口に出すものかぁぁぁぁ!!!!」

 

ドドドドドドドドド!!!!!!

 

 

鈴の専用機 甲龍(シェンロン)

その最大の武装である

 

【龍砲】

空間自体に圧力をかけ、砲身を作り、衝撃を砲弾として打ち出す衝撃砲。不可視なのは砲弾だけではなく、砲身すら目に見えないのが特徴。さらには砲身の稼動限界角度はないという死角の存在しない武装である。

 

「うぉぉぉ?!危ねぇ!!」

 

しかし一夏は勘の鋭さでその砲撃をなんとか避ける。

 

「イチカ、コロス ジヒハナイ!」

 

不可視の砲弾が雨のように降り注ぐ。

 

ーーーーーーーー

 

「鈴さん怖いですわね…」

 

「あのまま原型とどめなくなるくらい潰してくれないかな…」

 

簪がブラックなジョークをするが、誰もそれがジョークとは受け取れなかった。

 

不意に二人の間に居た三葉が立ち上がる。

 

「どこに行くんですの?帝さん…」

 

「ちょっと訓練機の調整に行ってきます。次は僕と鈴さんですし…万全の状態で闘いたいですから…」

 

その横顔は獲物を見つけた虎のようだった。

 

「そ、そうですか…」

 

「帝…応援してる…」

 

三葉は少し微笑みその場を後にする。

 

 

ーーーーーーーー

 

「一夏、どう?降参する気になった?」

 

「はっ!誰が!!」

 

「そう…じゃあこれで終わりよ!!」

 

不敵に笑う一夏に、鈴は龍砲の照準を一夏に定める。

 

 

ドゴォォォォン!!!!

 

しかし鈴の攻撃は突如現れた乱入者によって遮られてしまった。

 

「な、なんだ!?」

 

ーーーーーーーー

 

整備室

 

「?なんでしょう…このIS…」

 

三葉は整備室のモニターから訓練機を整備しながら一夏と鈴の闘いを見ていたが、

急に現れた黒いISによって試合の様子は一転した。

 

 

ガギィンッ!!ドォォォォン!!

 

 

鈴と一夏が黒いISと戦闘を始めた。

恐らくは他の生徒達に被害が出ない内に叩くつもりだろう。

 

プシュゥゥウ…

 

モニターを見ていた三葉の背後で、ドアが開く音が聞こえる。

 

「……こっちもですか…」

 

三葉が振り向くと、そこには今アリーナで鈴達と戦闘をしているISと同じデザインのISが、

居た。

 

「どうしましょうか…ISは整備の途中ですから使えませんし…」

 

色々な管に繋がれた訓練機に目を向ける。

 

ガチャッ

 

だが、そんなことなどお構いなしとばかりに腕の銃を向けてくる敵IS…。

 

「……」

 

ーーーーーーーー

 

「ウオオオオォォォォォォォォォ!!」

 

 

一夏は叫びながら黒いISに向かって【零落白夜】を発動しながら雪片弐型を振り下ろす。

 

 

ドォォォォン!!

 

 

斬撃を受けたISは機械の破片や部品を撒き散らしながら爆散する。そこには人間の体や血はなく、このISが無人機であった事を告げる。

 

「はぁ、はぁ、鈴!!無事か?!」

 

「ええ無事よ!一夏の方は?」

 

「ああ、俺も無事だけど…」

 

地面に大の字になって、もう動けないとばかりに横になる。

 

「全くだらしないわねぇ」

 

「しょうがねえだろ?」

 

『よくやった二人とも、教師陣が向かうまでその場で待機していろ』

 

千冬の通信が入り、鈴も地面に腰を下ろす。

 

ーーーーーーーー

 

 

整備室

 

「織斑先生…これはどういうことなんでしょうか…」

 

「………わからん」

 

その場にはアリーナで戦った機体と同じと“思われる”機体のみ(・・)が転がっていた。

“思われる”というのは、そのISが

 

原型を留めていなかった。

 

所々ひしゃげ、武装は潰れたり折れたり曲がったりと様々。

腕や脚はあらぬ方向に曲がっている。

顔など半分はあり得ないくらい凹んでいて、もしこの機体に人が乗っていたらと思うとゾッとするような光景だ。

機体の色とアリーナのISと酷似している転がった部品を見て、なんとか判別している次第であった…。

 

「誰が…どうやってこんなことを…」

 

「………」

 

千冬は何かを考えながら整備室を後にする。

 

 

ーーーーーーーー

 

千冬は端末を操作し、誰かに電話をかけている。

 

「もすもすひねもすー?みんなのアイドル、天才の篠ノ之 束さんだよー?」

 

通話終了のアイコンをタッチしようとする千冬

 

「わぁぁ!待って待って!切らないでちーちゃ〜ん!そうだよね?!みんなのアイドルはちーちゃんだもんね?!」

 

「巫山戯るな!!!!」

 

千冬は顔を真っ赤にして怒りを露わにする。この光景を第三者に見られたら怒鳴る千冬に対して何事かと思うであろう。

 

「もう…ノリ悪いな〜、どうしたの?ちーちゃんからかけて来るなんて随分と珍しいね?」

 

「もうわかっているのだろう?

あのISはお前の仕業か?」

 

「そうだよ〜?でもでも安心して良かったのに〜…ちーちゃんの大切な他の生徒さん達やいっくん達が怪我しないように、細心の注意を払って製造したんだから♪」

 

「そういう問題ではないのだが…まぁその話は追々するとしてだ…整備室の方で大破していたIS…あれはなんだ…」

 

「あれは束さん的にもびっくりだよ!!まさかみっくん(・・・・)があそこまで強かったなんて…」

 

「?三葉のことか?まさかあのISはあいつがやったのか?」

 

「ちーちゃん…」

 

いつもの軽くて嬉々とした口調とは一転して、真剣な口調に切り替わった束に、千冬も少し驚く。

 

「ちーちゃん…みっくんのこと、よろしくね?あの子は…誰よりも強くて…カッコよくて…優しくて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れてるから…」

 

 

 




遅くなりました…こんかいも少し少ないです。やっと束さんを出せた…。
唐突ですけど麦チョコってコーヒー豆に似てませんか?
感想などなどお待ちしております。
帝の過去とは?束が知る帝とは?これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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