『初めまして帝君…今日から私達が君の家族だ…』
『よろしくね?帝君』
手を差し出す優しそうな初老の夫婦。
幼さの抜けきらない少年が、少し不安そうな顔でその差し出された手を取る。
ーーーーーーーー
帝の部屋
「誰だっけ?あの人達……
最近あんな夢ばっかりだなぁ」
ベットの上に座り込み、先程の夢の事を思い出す帝。
時刻は5時52分
コンコン コンコン
「帝さん?もう起きていられますか?」
「帝?もうすぐトレーニングの時間だよ?」
ドアを開けて顔を覗かせる二人の少女。
「はい。今行きます」
◇◆◇◆
IS学園一年一組
「全員席に着け!」
千冬が声を掛けると全員が軍人もビックリの速度で席に着く。もはやこれは1年1組のお家芸だろう。
「皆さん、今日は転校生を紹介します!」
真耶の言葉にクラス全体が騒ぎ出す。
「静かにしろ!入ってこい」
千冬の一声で全員が静かになり、教室の入り口から二人の生徒が入って来る。
「シャルル・デュノアです。日本に来たのは初めてなので、色々ご迷惑をおかけするかと思いますが、これからよろしくお願いします」
金髪の
「「「「き…」」」」
「?」
「「「「キャーーーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」」」」
耳をつんざく悲鳴が教室中を木霊する。
「男子!3人目‼︎」
「しかも守ってあげたくなる系!」
「織斑君とも三葉君とも違うタイプのイケメン‼︎」
「生きててよかった‼︎」
「織×デュ?いや三×デュもアリね…」
「いや!そこは屈強な三葉君が二人に…
つまり三×織&デュよ‼︎」
「「「「キターーーー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」」」」
何も来ていない。
「?!?!?!」
シャルルは目の前で何が起きたのかわかっていない様子である。
「静かにせんか!!」
ピタッ
全員の息が合う瞬間である。
「まったく…最初からそうしていればいいものを…ボーデヴィッヒ、挨拶をしろ」
「は!教官!!」
「ここでは織斑先生と呼べ…まあいい」
最近千冬は【諦め】というスキルに磨きがかかって来ている。誰のせいとは言わないが…。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「……」
誰も喋らない。
「あ、あの〜?い、以上…でしょうか……」
「以上だ」
そのまま自分の割り当てられた席に向かう途中、一夏の席の前で止まる。
「…貴様が…」
そのまま手を振り上げ一夏を引っぱたく。
パンッ!
「?!」
叩かれた一夏も周りも何が何だかわかっていない。
「ふんっ……私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか!!」
そしてラウラはズカズカと席に向かう。
「あー……ゴホンゴホン!ではHRを終わる。
各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は全クラス合同でIS模擬戦闘を行う事になっている。
では解散!」
その一声で全員動き出す。
「あと織斑、三葉と一緒にデュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だからな」
そう言って千冬と真耶も教室から出る。
「君が一夏君?初めまして。僕は―――」
「ああ、いいから。とにかく移動が先。女子が着替え始めちまうから」
一夏はシャルルの手を引いていそいそと教室を出ていく。
「とりあえず男子は空いているアリーナ更衣室とかで着替えるんだ。これから実習のたびにこの移動だから、早めに慣れてくれな?」
「う、うん……」
「あ!帝!!」
一夏達が走っていると正面の曲がり角から三葉が走っている。
「あ〜一夏です〜。早く早く〜」
足踏みをしながら二人が来るのを待ってくれている。
「すまん!遅れた!」
「遅いですよー。女子の方々に追いかけられちゃうかと思ってヒヤヒヤしてたんですから…」
三葉が冗談めかして言うと、
「ああっ!転校生発見!」
「しかも織斑くんと三葉くんと一緒よ!!」
フラグを立てた瞬間回収してしまった三葉くんであった。
「やばい!!逃げるぞ!!」
「はい!」
「ぁえ?!」
三葉と一夏に手を引かれるシャルル。
「ああ!3人が手を…手を繋いでいるぅぁぁ!!」
「「「「ヨッシャーーーー!!!!!!」」」」
腐のつく女子のエネルギーになってしまった。
「み、皆なんでこんなに騒いでるの⁈」
「そりゃ俺らが貴重な男子だからだろ!」
「え?」
「普通、男性操縦者はパンダより珍しいのでは?」
一夏はなぜパンダ基準なのだろうと横で聞いていて思っていた。
「あっ!―――ああ、うん。そうだね」
シャルルは慌てて二人に笑いかける。
「パンダの気分です〜」
「どっちかって言うと来日したハリウッドスターの感じに近いな」
「これだとSPが欲しいよね…」
とりあえずは三葉より強いSPを探す方が困難である。
「でもこのままじゃ遅れちまうぞ!」
「いい考えがあります!!
「?!」
突然、三葉が二人を
抱える!!
ビュウゥゥゥゥン!!
三葉は二人を抱えたと思ったら恐ろしいスピードで全力疾走する。
すると先程まで後ろに居た女生徒達が見えなくなる。
◇◆◇◆
更衣室
「ふーなんとか間に合いました……」
「す、凄いんだね…三葉君って」
「それにしてもシャルルさんって…」
「え?」
「いえ、なんでもないです…」
「そ、そう…」
「それにしても本当にどんな鍛え方したらそうなるんだ?」
「毎日6,000キロカロリーくらい消費したら良いですよー?」
「ムリ!!」
ちなみにサッカー選手の一日の消費カロリーが大体3,500キロカロリーである。
「さあ、さっさと着替えねぇと千ふ…織斑先生の出席簿が飛んでくるぞ」
「そうですねー。そういえばあの出席簿って何でできてるんでしょうか?」
「やめとこう。知らない方が幸せだ…」
顔を見合わせる二人…。
「………」
「………」
スッ
二人は無言で着替えを始める。
「?おいシャルル早く着替えた方が良いぞ?」
「う、うん。着替えるよ?着替えるから…ちょっとあっち向いてて?」
「?別に困るもんでもないし良いだろ?なんで隠すんだ?」
「一夏はホモですか?」
ズコー
「ちっげえよ!!なんでそうなるんだよ…」
「だって男子の着替えが見たいとかホモ以外に何が…」
三葉はシャツを脱ぐ。
「うわ///三葉って本当に凄い筋肉だね…」
その言葉を聞いて三葉は、
「ふふん、ちょっと自慢だったりします」
少し嬉しそうに胸を張る。
「いや、本当にすげえよソレは…ん?シャルルもう着替えたのか⁈」
「え?う、うん」
「早いですね〜」
「本当にな…
にしてもこのISスーツってこう…引っかかるよな…三葉もそう思わないか?」
「ひっか?!」
「僕は下の方だけ下着代わりに着ちゃってます。一夏もそうしたらどうですか?」
「そっか…そうすればいいじゃん!!」
誰でもそう思うのが普通である。
「ん?どうかしたのか?シャルル?」
「ぅえ?!な、何でもないよ?!」
「そうか?」
「え、えっとじゃあ僕も先行ってるね?」
「え?もう行くのか?」
「うん。二人も僕が見てたら着替え辛いでしょ?」
シャルルのかおご大分赤いことに三葉が気付く。
「デュノアさん顔が赤いですよ?どうかしたんですか?」
「い、いや、本当になんでもないから!!」
シャルルは走って先に行ってしまった。
「一夏〜?着替え終わりました?」
三葉は既に着替えは終わってしまっている。
「ちょっと待ってくれ…良し‼︎行こうぜ」
◇◆◇◆
「今回から格闘、射撃などの実戦的な訓練を開始する」
「「「「はい!!」」」」
「嬉しそうですね…一夏?」
「おう!今回から実戦的な訓練なんだろ?やる気が漲るぜ!」
そこでふと女生徒達の視線が三葉に集まっていることに一夏は気がつく。
「ねえねえ、三葉君の筋肉…凄くない?」
「うん…なんていうか…綺麗だよね…」
「凄い引き締まってる感じ…」
「「「「かっこいいなぁ」」」」
という会話が聞こえた一夏は
(帝ぱねぇ)
と思ったりしたとかしなかったとか…。
「とりあえずは戦闘を実演してもらおうか…鳳‼︎オルコット‼︎」
「え?私?!」
「わたくしもですの?!」
何やら二人は不満な様子である。
「専用機持ちならすぐに始められるからな…」
「それなら一夏とかでもいいじゃない…」
「全くですわ…簪さんも居ますのに…」
「お前ら…少しくらいやる気を出さんか…まったく…仕方ない…ちょっと来い」
千冬は指をクイっと引っ張り二人を呼ぶ。
二人は何やら千冬に話をされ…
「よっしゃぁ!!やってやろうじゃない!!!!」
「ここはやはり、華麗にして高貴、美麗にして優雅…イギリス代表候補生である、このセシリア・オルコットにお任せ下さい!!」
えらい変わりようである。
「それで、お相手はどなたですの?私としては鈴さんとの勝負でも一向に構いませんが?」
「言うじゃないセシリア…。そろそろセシリアとは白黒はっきりさせとこうと思ってたし?返り討ちにしてやるわ」
「慌てるなバカども、相手は……
キィィィン……
空気を裂く音が周りに響き渡る。
「ああああっ!ど、退いてくださ〜い!!!!」
ISを纏った一組の副担任山田 真耶が一夏に向かって墜落してくる。
ドカァァァァン!!
帝「くっ…一夏がやられたか…」
鈴「なに…奴は我ら四天王の中でも最弱」
簪「いざとなったら我らが出れば良い…」
帝が小芝居を始めると、鈴と簪がそれに乗ってきた。
そしてその一夏はというと。
土煙を上げ、地面は抉れ、大きなクレーター が出来上がりその中心には…
ムニュ ムニュ
真耶の
「わ、わー!す、すいません山田先生!!」
一夏はラノベの主人公のようなラッキースケベを繰り出していた。だが肝心の真耶は、
「私は教師で彼は生徒…ああでもでも織斑先生の義妹になるというのもそれはそれで魅力的…」
と、なにやら見当違いな想像……妄想の世界に入り込んでしまっている。
ビュウゥン!!
「うわぁぁ!!」
一夏の足元にレーザーが被弾する。
「は、ハレンチですわ!!今すぐ消し去ります!!」
「覚悟はできた?一夏?私はできた」
「なんのだよ?!」
鈴が青龍刀を一夏に向かって投擲する。
ガキィン ガキィン
だが、二人が一夏を屠る前に、真耶が青龍刀をライフルで撃ち落とす。
「織斑君?怪我はありませんか?」
真耶はいつもの優しい笑顔で一夏を気にかける。
「は、はい…」
全員が真耶の射撃に息を飲む。
「山田先生は元代表候補生だ…あの程度の射撃は造作もない」
「昔のことですよ…それに候補生止まりでしたし…」
謙遜するがそれでも充分に凄いのだ…。ここにはその候補生にすらなれなかった少女達がほとんどなのだから。
「さて小娘共、始めるぞ…」
「え?2対1ですの?!」
「い、いやそれはさすがに…」
流石にそのような事をするのは彼女たちにとって憚られるものがあった。
だが、千冬は不敵な笑みを浮かべ、
「安心しろ…今のお前たちならすぐ負ける」
二人はその言葉にプライドを傷付けられ、険しい表情になる。
◇◆◇◆
数分後
「これで諸君にも、教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように!!」
「「「「はい」」」」
真耶がニコニコする少し向こうで
「あんた!何面白いくらいに回避先読まれてんのよ!」
「鈴さんこそ!無駄にバカスカと撃って、一発も当たっていないじゃありませんか!!」
と、クレーターの中でいがみ合いながら言い合いをしている鈴とセシリアの姿があった。
「す、凄かったんだな…山田先生って…」
「一夏?山田先生の世代の代表候補生は今の代表候補生とは比較出来ないんですよ?」
「え?そうなのか?」
「はい。山田先生達が訓練を受けていた頃、使用していた機体が今よりも良くなかったっていうのは分かりますよね?」
「ああ、昔のことだしな…」
「だから必然的に求められるのは操縦技術と才能なんです。当時、山田先生の実力はその時国家代表だった織斑先生が居なかったら、間違いなく国家代表だっただろうって話だったんですよ?」
「え‼︎そ、そうなのか?!
「あんまり知られてないですけどね…。でも、これも学園で閲覧できる情報ライブラリに載ってたことです」
その説明を聞いていた一夏も周りも感心し、千冬はうんうんと頷き、真耶は、
「うっ、うぅぅぅ…」
泣いてた。
「では、グループ毎に分かれて訓練行う。リーダーは、織斑、オルコット、鳳、更識、ボーデヴィッヒ、三葉にやってもらう。三葉、訓練機をあらかじめ装着しながら教えて行け。各員、準備を始めろ!!」
「「「「はい!!」」」」
ーーーーーーーー
「織斑君、よろしくね?」
「デュノア君、デュノア君の操縦技術を見たいな〜?」
「三葉君!あ、あの、ふ…腹筋…触ってみてもいい?」
「あ!ずるい!!抜け駆け!」
「私も私も!」
とまさに【男は裸百貫】を体現したような三葉であったのだが…
「あらあら、帝さんったら大人気ではありませんか…でも皆さん?あんまり
「そういえば武装の最終調整をまだやってなかった…まあ…良いか…標的はいっぱいあるし…」
とセシリアと簪の対話(脅迫)によりその場は収まった。
連続投稿ですね。
画面が割れたのでケータイ変えたのですが、初期不良によって一日を無駄にしてしまい…その上保存していたメモも消えました…。
そんなこんなで大幅に遅れましたが投稿させていただきました。
これからはブラックラビッ党の本領発揮する。(ドヤァ)
原作では2組と合同→全クラス合同となっております。