昼休みの屋上。
封鎖されているはずのそこには、例の転校生の少女がいた。
彼女は携帯を見て、ため息を吐き、呟く。
「後3分……何故、彼等は来ないの?」
「……遅れて悪かったな」
俺達が遅れたのは、武器をこっそりここに持って来るのに手間取ったからだ。
竹刀なんかを持って堂々とここには来れないし、かと言って持って来ない訳にはいかなかった。
根拠は勘だ。
俺の勘はよく当たる…からな。
「…で、俺達に何の用だ?」
「用は無いわ。ただ、あなた達に後3分、ここに留まって欲しいだけ」
「3分後に何が起きる?」
「言えないわ」
「……どうする?空。無理矢理吐かせるか?」
「却下。なんで拷問する羽目になるんだ」
神先希という転校生は動かなかった。
手に武器を持ってる訳でも無い。
……そして、何事も無く3分が過ぎた。
「3分経ったわ」
恵は携帯をしまって言った。
俺は頷くと、転校生に向き直った。
「…で、お前の目的は何…」
俺はそのセリフを最後まで言えなかった。
足元が揺れ、崩れ落ちる音と共に、俺の視界は暗転した。
楽しい時間は永くは続かない。
俺は目の前の現実を見て、それを悟った。
俺は瓦礫の上に…学校があった場所に立っていた。
「生存者は私含めて5名。それ以外は死んだわ」
俺の背後に、あの転校生が立っていた。
「どういう意味だ!」
「そのままよ。私、貴方、日向輝、天知恵、鳴海雫。生きてるのはこの五人だけよ」
「貴女は、最初からこうなるって知ってたの?」
雫が俺の竹刀を持ち、転校生に突きつけている。
こんなに感情的になる雫を俺は初めて見る。
「ええ、そうね。私は知ってた…けど」
転校生が突然、東を指差した。
その方向から、こちらに何かがやって来る
「あいつらどうにかしないと、私達も死ぬわよ?」
東からやって来たのは、刀を持った鎧兜。
しかし、驚くべき所はそこではない。
本当に鎧兜だけが動いてるのだ。
「何だあれは…」
いつの間にか、輝が俺の横に来ていた。
その頭からは血が流れている。
そういえば、恵はどこだ?
周囲を見渡す。そして、最悪な位置に恵は居た。
俺達と鎧兜の丁度真ん中で、気を失っているようだった。
「待て、空!今行ったら死ぬぞ!」
「じゃあどうする!?あの鎧兜に殺されるのを待つ気か!?」
「…これを」
カチャカチャと音を立てて、俺達の足元に真剣と弓矢が放り出される。
「使えってか?」
「なら、どうする?黙って殺される?貴方にはやることがあるんじゃないの?」
考える暇も無かった。
俺は真剣を手に取り、弓矢を輝に渡す。
「空。やることって何?」
雫の手には、転校生から渡されたであろう槍があった。
何故彼女がそんな物を持ってるかは分からないが。
「まずは恵を助ける。話はそれからた」