Divine messenger   作:shogo

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第6話 開幕の時

「ふあ~良く寝た……」

 

寝ぼけ眼を擦りながら、立ち上がろうとする。

だが、下半身に違和感を感じる。

 

「何よもう…」

 

よく見ると、血塗れの空が私に膝枕させていた。

いや、もう膝枕というか、普通に横たわってるだけなのだけど。

 

「癒やしなさい、風よ『リストアブリーズ』」

 

吹き付けるだけで傷を癒やす風…

そんな物を想像しながら詠唱する。

すると、空の周囲が渦巻き始め、彼の傷を癒やし始めた。

 

 

 

体が痛い。

確か俺は、後ろから何かに刺されて……

俺はもう死んじまったのか?

…冗談じゃない。終わるには早すぎる。

 

「目が覚めた?」

「ん?ああ……」

 

俺は希の足の上に横たわっていた。

そういや、希を起こそうとしてそのまま寝てしまったのだった。

背中を血が伝う感覚は無い。

どうやら傷は塞がっているようだ。

 

「希がやったのか?」

「まあね。褒めてもいいのよ?」

「遠慮しとく」

「そう。残念ね」

 

希はそう言ってクスクス笑う。

こんな彼女を見てると、最初あんなに警戒してた俺が馬鹿みたいだ。

希も俺達と変わらない…普通の人間…まあ、今の俺達は普通じゃないがな。

 

「そういやここ何処だ?」

「転送地点からはそんなに離れてはないわね。そう…転送地点から東に2㎞ほどね」

「2㎞か、なら徒歩30分くらいか」

「え~こんなか弱い女の子を30分歩かせるの~?」

「茶番は結構だ」

「分かったわよ。行きましょう」

 

 

30分後。転送地点、始まりの町『アニマ』

 

 

この世界には、一般(ブランク)と呼ばれる、民間人が何十万人といる。

その人達は、この世界の発展のため予め送られた者達だ。

その為、農家だったり科学者だったりとそういった者達しかいない。

 

「ここが転送地点の町ね」

「転送地点だから、あまり大きい街ではないがな」

「なんで?広い方が良いじゃない?」

 

希はそう言ったが、すぐに意図を理解したようだ。

理屈は簡単だ。三級(カッパー)程度ならライセンスを持っている者は少なくない。

また、グループで入る際には、その内の一人でも二級(シルバー)以上のライセンスを持っていればいい。

その為、予想より多い人がゲートを利用する。

この町の住人が多いと、ゲートが渋滞してしまう。

結果として、ここに住めるのは三級(カッパー)以上のライセンス保持者、及びその者が認めた者達、一般(ブランク)の内科学者などの職業の者達だけだ。

 

「そういや、あいつらは一体どこに…」

「ま、探してれば見つかるわよ」

「そうだと良いがな…」

「全く、気楽ねえ。もうちょっと焦っても良いんじゃない?」

「何言ってんだ希、お前も気楽な発言してた癖に」

「今喋ったの私じゃないわよ?」

「は?」

「『は?』じゃないわよ!」

 

声と共に、固いもので後頭部を殴られる。

この感触は……

 

「なんで本なんか持ってんだよ恵……」

「知らないわよ。起きたら持ってたんだもの」

「あれ、それ魔導書じゃない!?」

「何それ」

「魔法を発動したり、魔法を発動する助けになる本よ!」

「え!?そうだったの!?」

「じゃあお前何に使ってたんだ」

「ずっと鈍器として使ってた…」

「だろうな!見事に使いこなしてやがる!鈍器としてだがな!いつもより痛えよ!」

 

こんなんでこの先大丈夫なのだろうか……

死んでいったクラスメートの敵討ち、そして、世界滅亡の阻止。

俺達には荷がまだ重いかもしれない。

だが、まだ物語は始まったばかりだ。

 

「絶対にやってやる。刺し違えてでも…な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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