俺は砂浜から真っ青な空を眺めていた。寒くて体が動かない、いや・・・それだけではないか。
なんとか首を動かすと体に本来付いている場所に自分の右腕がなかった。
視界が少し暗くなる。一人の女性の体が太陽光を遮ったのだ。
離島の住民は全員内陸に避難したはず、それなのにどうしてここに人がいるのだろうか・・・
その女性の体の周りに光るリングが表示された。無論、普通の人間がこのような事が出来る筈がない。
「お・・・お前は・・・」
メンタルモデル、我々人類の敵だ。俺達の仲間が大勢死に、全ての海から追い出されてしまった。そんなヤツが俺の、手を伸ばせば届きそうな所に立っているのだ。
止めを刺しに来たってのか。
「ク、クソ・・・」
なんとか逃げようと体を動かそうとするも全く動かない。無理に動かそうとすると全身に激痛が走る、コレは仮にこの場を生き延びられたとしても長くはないな・・・
するとさっきまで感覚がなかった手足に違和感を感じ始めた。
「な・・・なんだこれ?」
手が植物の様に生えてきた。というか出来上がって来ているのだ。
勿論俺は人間を辞めた覚えはない、知らない間に人体改造をされたのなら話は別だが・・・・
生えてきた手は何やらメカメカしい、SFチックなものだった。動かしてみると今までずっとそれがあったかのように自由自在に動かすことが出来た。
「立ってみて」
「え?」
メンタルモデルの彼女が俺に手を伸ばす。
「お前は一体・・・」
彼女の手を取り立ち上がった、さっきまでの激痛も無い。
「私の名前はオウミ、
「元?」
この女は何を言っているのか・・・
「私は今や霧から追われる身だ。そこで貴方に協力して欲しい」
「協力・・・だと?」
「そう、そのために私は貴方を生かした」
「生かした?つまりコレはお前の仕業なのか?」
俺は右手のロボット義手を見せた。
「そう、貴方の機能していない生体の維持は全部ナノマテリアルで補っている」
「こんな形にしたのは?」
「私は人体について未だに理解しきれていない箇所があるからな、関節やサーボは独自の構造のモノにさせてもらった」
試しに義手を触ってみる。感覚はあるし変な違和感もない、自分の手そのものだ。
「ついて来てくれ」
オウミの周囲にリングが展開される。そして海岸から沖合に向かって光が伸びていった。
「クラインフィールド・・・」
霧の艦隊が使うバリアの様なものだ。コイツのせいで人類は敵に傷一つ点けることが出来なかった。
こんな使い方もできるのか・・・
しばらく歩くとクラインフィールドで作った桟橋が途切れる。すると海面が盛り上がり始める。
全長224メートル、排水量39000トンオーバーの海の要塞。
「これが・・・霧の戦艦・・・」
突如海上に現れたのは紛れも無く長門型3番艦、近江だった。
タラップが伸ばされオウミが甲板へと上がってこちらを見下ろす。
「ようこそ我が艦へ。歓迎するよ、
架空艦について
戦艦近江 長門型戦艦3番艦、主な性能は長門型と同じです。
45口径41cm連装砲4基
50口径14cm単装砲20門
40口径7.6cm単装高角砲4門
53 cm魚雷発射管8門
コレを元にして霧の機関や装備に強化してあります。