秤毎 思案の偏見学《はかりごとしあんのへんけんがく》 作:WACK
どーもどーも初めまして。
このコーナーの進行役を任されました、
突然ですが、みなさんは映画や漫画をご覧になりますか?
恋愛ものやサスペンス、ドキュメンタリー、ホラー、パニック系にコメディまで。
楽しい作品はたっくさんありますよね!
中でも根強い人気を誇るのが、ファンタジーもの。
魔法、特殊能力、古代文明、宇宙、異世界、エトセトラエトセトラ⋯⋯。
なんでもアリのやり放題。
作った人のロマンがぎっしり詰まってます。
しかーし。
根幹にあるのが人間の空想なためか、ツッコミどころ満載なカテゴリでもあるんですよ。
このコーナーでは、そんな世に溢れる創作物のおかしな点を嫌になるほど現実的に考えていこうと思います。
さてさて。
記念すべき第一回目のテーマはズバリ!
『時間を止める』
どうでしょう。
みなさんもどこかの何かで見かけた事はありませんか?
無いにしても、『時間よ止まれー!』と思った事はありませんか?
私はありまーす。山ほどありまーす。
でもこれ、ちょーっとおかしいのですよ。
時間を止めたいと思う時って、ほぼ間違いなく『自分以外の時間よ止まれ』と考えてますよね。
遅刻しそうな時。
仕事が間に合わない時。
バレずにイタズラをしたい時。
そんな時に考えるものですから、仕方ない事なのかもしれないですけど。
自分の時間まで止まっちゃったら意味がありませんからね。
はい、ここポイント!
『自分以外の時間を止める』
もうツッコミどころ来ちゃったよ‼︎
早くもめちゃくちゃじゃないか‼︎
⋯⋯え? 何がだよって?
うーむ、では実際にやってみましょうか。
んっふっふ。こんな事もあろうかと、ファンタジー設定を検証できる『超ご都合主義的バーチャル空間』を用意してあるのですよ! しかも助手付きで!
ちなみにこの『超ご都合主義的バーチャル空間』には、ある都市の風景を再現してあります。
できるだけリアルな場所で検証した方が実感が湧きますからねー。
では早速助手くんを呼んでみましょう。
現場のなんちゃーん?
「ちょ、ちょっと秤毎センパイ! ちゃんと紹介してくださいよ! これ第一回なんですからね!」
うるさいなー。君の名前なんかさして重要じゃないんだからいーじゃない。
読者さんはそんなにヒマじゃないの。
「ひどっ⁉︎」
いいから早く時間を止めなさい。
ぼーっと道路に突っ立ってないで。
「え、ほんとにこのまま行く流れなんですか⁉︎」
ほんとにこのまま行く流れでーす。
「わ、わかりましたよ!
⋯⋯さらっと自己紹介しやがった。
まあいいや、ちゃんと時間停止装置は持ってるよね?
「あ、持ってます持ってます。ええと、このボタンを押せばいいんですよね?」
そうそう。それ押せば君以外の時間が止まるから。
バーチャル空間内だけだけどね。
「じゃ、行きますよー」
いっちゃってー。
「へぶぅっ⁉︎」
ぷっ⋯⋯あっははは‼︎
一瞬でミンチったー‼︎
⋯⋯こほん。失礼。
えー、という事で、自分以外の時間を止めると『その場で瞬時にヒキニクになる』との結果が出ました。
では何が起こったか考えていきましょー。
今なんちゃんがやったみたいに、なーんにも考えず自分以外の時間を全て止めると瞬く間に召される事になります。
なぜかというと。
みなさん、慣性というものをご存知ですよね。
走行中の車や電車に乗ってる時にブレーキをかけると前に引っ張られるってアレです。
時間を止めると、その慣性が一気に牙をむいて襲いかかって来るのです。
あれれ。でもおかしいですねー。
どうして乗り物に乗らずボーっと突っ立ってただけのなんちゃんが潰れてしまったんでしょう。
勘のいい方ならもうお気づきですね?
そう。自転です。
なんちゃんは地球の自転まで止めてしまったのです。
普段は何も感じない地球の自転ですが、実はとんでもない速さで回っています。
そのスピードを見てみると。
赤道では約1667km/h。
日本でも約1372km/h。
軽くマッハを超えてますねー。
これをいきなり
時速100km以下の車でも衝突するとエライ事になるというのに、その十倍以上ですよ。
しかし、自転を止めただけならば拳銃の弾丸みたいなスピードですっ飛ぶだけで良かったはずです。
⋯⋯。
それはそれで大惨事ですね、はい。
でも、そうはなりませんでした。
何故なのか。
なんちゃんが止めたのは『自分以外の全ての時間』でしたよね?
それってつまり『着ている衣服』と『大気』も止めた、って事ですよね。
時間が止まっている訳ですから、衣服と大気は一切変化の起こらない、とんでもない硬度の物質に変わっていたはずです。
言うなればダイヤモンドより硬い物質に隙間なくビッチリ覆い尽くされた状態。
いくら気体の分子には隙間が沢山あると言っても、それは固体や液体と比べた時の話。
変化しなくなった大気はカッチカチの壁でしょうね。
壁というか、コンクリに埋まってる感じ?
さあでは考えてみよー。
問
『弾丸よろしくなスピードで、自分をビッチリ覆うダイヤモンド超えの硬度のコンクリートの中で動いたら』
答え
『自分の肉体を構成する物質がいい感じにミクスチャーされた人間型の塊になる』
これが私の結論でーす!
もうね、
『固まった空気に包まれて動けなくなるー』だとか、
『不老不死現象が発生するー』だとか、
『分子同士の弾性衝突がうんたらかんたらー』
って言う意見もあるみたいですけどね、そんなヒマ無いだろうと思う訳ですよ。
その前に一瞬でミンチるだろうと。
人間の形をしたガラス容器いっぱいの真っ赤なケチャップみたいな状態になって終わりだろうと。
そう思う訳ですよ。
言った人は自転が止まるのをお忘れなんですかね?
そんな感じで、ファンタジー作品の『時間が止まる』はツッコミ所まみれな訳です。
それをやる為には、
自転停止の慣性除去、もしくは自転が止まらない
大気は動く
触れた物も動く
分子の弾性衝突は起きない
などなど、その他にも山ほど条件をクリアする必要があるのです。
⋯⋯いやいや。無いから。
ご都合主義が過ぎるから。
私が用意したバーチャル空間の比じゃないから。
物理法則ナメてんの?
はい。
という訳で今回は『時間停止』について考えてみました。
まあこれは私個人の意見。
バーチャル空間で起こった事も設計した私の偏見が反映されてますから、これが正解だという保証はありません。
実際に時間を止めてみなきゃ全部はわかりませんからねー。
あーやってみたい。誰か発明してー。
それでは、お話は尽きませんが今回はこの辺で。
次回は何を考えましょうかねー?