忍びの世が始まりし時代から少しして、うずまき一族に伝わる伝承がある。
『世が再び混乱に落ちし時、全てを治める巫女顕る』
『その者、内に秘めしは全ての始まりの力と愛を持ち、そして全てを治めし者の側にある』
『その者、産まれ出流は暖かき光に包まれ、御験五色の彩雲と伴に顕る』
「ナルトー、朝だってばね!起きなさーい!!」
ナルトに声を掛けた彼女の名前は”うずまきアマネ” うずまき一族の生き残り。ナルトの伯母である。
そう、”うずまきクシナ”の双子の姉だ。
クシナが亡くなると同時に解放された。そして、ナルトを引き取り育てる事になったのだ。
「ふっ、ふあぁぁ…」
「ナルト、顔洗ってきな!早くしないとアカデミー遅刻するってばね!」
「!! そうだった!!今日は入学式だってばよ!!」
「朝ご飯は出来てるから、さっさと着替えな!」
「おぅ!」
ナルトは飛び起き、朝からドタバタと着替えを済ませ顔を洗って朝食を食べ始めた。
「アマネおばちゃ…いてっ!」
ナルトはアマネおばちゃんと言おうとしてこめかみがピクピクしているアマネから拳骨を食らった。
「ん?なんだってばね?」
「あっ…アマネ姉ちゃん、今日は入学式に来てくれるの?」
「あぁ。いつも買い物に行ってる姿になってから行くってばね」
「なんで、家に居る姿で外でねーんだってばよ?」
「色々あるんだよ。いずれ教えてあげるから、今は我慢しろってばね」
ナルトは頬を膨らませ、ぶーたれた顔をして不満顔だ。
「今日は帰ったら、一楽にでも行こうか」
「えっ!!マジ?やったぁぁぁ!!」
「入学祝いだってばね。さっさと支度してアカデミーに行くってばね」
「おぅ!!!」
アマネは変化の術で変化し、ナルトを玄関で待つ。アマネの姿はクシナと双子なだけあり、そっくりなのだ。しかし、アマネの存在を知る者は極々少数。存在を知られないようにしている。
変化した姿は、ナルトの父ミナトを女性にしたような容姿だ。中々に美人である。世間様にはミナトの妹という事にしてある。ミナトに妹はいない。その事を知っているものもいないので、丁度良かった。
「じゃ、九喇嘛。留守番頼んだってばね!!」
「あぁ、行ってこい。俺は寝てる…」
彼らが住んでいるのは、ナルトの父”波風ミナト”と母”うずまきクシナ”が住んでいた家。
ナルトは四代目火影の息子だ。ナルトもそれは知っている。木の葉の里の英雄の息子。自覚をしており、父の名に恥じぬように懸命に勉強や修行に精を出している。
”九喇嘛”はナルトに封印されし九尾。ナルトの影分身で表に出ている。最近やっとナルトが影分身を覚えてナルトが外へ出した。その大きさは普通の狐のサイズ。
アマネから色々教わり、体術・忍術・精神の修業をし、九喇嘛に認められ共存している。
街に出ると、ナルトに向けられる里の民からの視線は複雑な色をしている。
ナルトはそんな視線など気にせず、堂々と街を闊歩する。
アマネと手を繋ぎ、ニコニコしながらアマネの顔を見て更にニカッっと笑った。
そんなナルトをニコニコ顔で見るアマネ。何処から見ても親子にしか見えない。
「アマネちゃん!今日はナルトとお出かけかい?」
「マサさん、何言ってるのよ!ナルトは今日からアカデミーに通うのよ~。今日は入学式ね!」
「もうそんな大きくなったのか。ナルトは・・・だんだん四代目様に似て来たねぇ」
「!」
そう言われたナルトは、向日葵が咲いたような顔をした。
「じゃあ、いってきまーす!」
「豆腐屋のおっちゃん、行って来るってばよ!!」
「ナルト!しっかり勉強するんだぞ!」
「おぅ!」
アカデミーに着くと子供達はワイワイとはしゃぎ回り、親達は輪になって話をしている。ナルトは走って教室へ行ってしまった。
「あら!アマネさん!!」
「奈良さん、山中さん、秋道さん、おはようございます」
「おはよう。ナルト君、元気ねぇ。その元気、シカマルにも分けてほしいわ」
「シカマル君は落ち着いていて、羨ましいですよ。あのやんちゃ坊主…ちゃんとアカデミーでやっていけるか心配で…」
「大丈夫よぉ。四代目様の息子だもの」
「だと良いんですけど…あぁ、胃が痛くなりそう」
「あら、でしたらヨシノさん。秘伝の胃薬、分けてあげたら?」
「そうね、あまり酷い様でしたら言ってね?」
「ありがとうございます」
入学式が無事に終わり、ナルトとアマネは一楽に入った。
「いらっしゃい! おや、ナルトにアマネさんじゃないか。今日は随分早いね!」
「ああ!今日は入学式だってばよ!」
「入学祝いに、ナルトの大好きなテウチさんの世界一のラーメンを食べに来たの」
「っくー!嬉しい事言ってくれるねー!ナルトの分は俺からのお祝いだ!」
「おっちゃん、良いってば?」
「おぅ!常連さんだし、俺の作ったラーメンをいつも旨そうに食べてくれるからな!」
ナルトとアマネはニコニコ満足満腹で家路に着いた。
「九喇嘛~ただいまだってばよ!」
「おぅ、お帰り。アカデミーはどうだった?」
「何人か友達が出来たってばよ」
「それは良かったな。クシナは友達が中々出来なくて苦労してたしな。クスッ」
「え?母ちゃんって、どんな人だったんだってばよ?」
九喇嘛は懐かしそうにクシナの話をし始めた。
それを微笑みながらアマネも聞いていた。双子の姉と言っても妹と逢えたのは九喇嘛を介して精神世界で説明をする為に逢っただけだった。
思い出話を終え、その後ナルトの修業を行い夕食を終え風呂に入り就寝した。
アマネはナルトが完全に寝たのを確認して、自分たちを見張っている暗部の者へ話しかけた。
「ヒルゼン様に連絡を。都合の宜しい時間に例の場所へお越しいただくよう伝えてください」
「承知」
そう暗部の者は返事をして気配を消した。アマネは直ぐに準備に取り掛かる。
分身を作り、分身はナルトの傍でまた就寝。本体は巫女装束になって移動を開始した。
此処はうずまき一族の能面堂の地下。
アマネは時空間忍術で、能面堂地下へ到着し火影ヒルゼンを待っていた。
「アマネ様、御久しゅうございます」
「あら、そんなに畏まらないでください。ヒルゼン様」
「そうは仰られても。それと、何かございましたか?」
「お忙しいのに、御免なさいね。いえ、大したことではないのです。今日、ナルトがアカデミーに入学しました。ヒルゼン様の御蔭でナルトも真っ直ぐに成長できてます」
「アマネ様がナルトに愛情をたっぷり注いで下さってるおかげですわ。儂が引き取っておったらと思いますと…火影の身では大して構ってやれなかったでしょうしなぁ」
「さて、今日は”あの御方”から直接ヒルゼン様にお話があるとの事です。よろしいですか?」
「はい、お願い致します」
アマネは目を瞑り、暫くすると纏っている雰囲気が変わった。アマネに日の光の様な暖かな光が全身を包み込む。そして、アマネの姿は別人に変わっていた。
「ヒルゼンや、久しゅう」
「お久しぶりで御座います。ナルトに九尾が封印されて以来で御座いましょうか?」
「そうやのう。して今日来てもらったのはの、お主に伝えねばならぬ事があるからじゃ」
「…何やら善からぬ事でも起きるのでしょうか?」
「うむ。お告げとでも思っておいてほしい。次期火影候補をそろそろ決めておきなさい。決まり次第、アマネに用件を伝えずに妾に伝えてたもれ」
「…承知。私もそろそろ歳ですし、候補はおります。決まってからでよろしいのですね?」
「うむ。だが、お主が突然死ぬこともあろう。その場合のみ、アマネが直接5代目火影の元へ向かう様にアマネには伝えることにする。5代目となるものが信じるかどうかは、その者の力量であろう」
「解りました。その事を考慮し、次期火影を決めねばなりませぬな」
「あぁ。後はの…。妾からの願いなのだが…」
「お願いですか?」
「うむ。尾獣の件じゃ。三尾と七尾の人柱力に会いたい。直接、アマネの姿で逢わねばならぬ事情が出来てな」
「アマネ様が直接ですか…ちと難しいですなぁ…」
「やはりそうか。何とかならぬものかのう…」
「何やら事情がありそうですな」
「うむ、そうなのじゃが……話すことは出来ぬのぅ」
「判りました。人柱力の情報をつかみ次第、アマネ様にお渡ししましょう」
「うむ。くれぐれも他の者に妾の事を気づかれてはならぬぞ」
「承知」
「話は以上じゃ。忙しいところ、済まぬな」
「宜しく頼む。では」
会話が終わると、アマネは元の姿に戻った。
「お話は済んだようですね。では、私はナルトの元へ帰ります」
「ナルトの事、よろしくお願いしますぞ」
「えぇ」
アマネは返事をしながら時空間忍術で自宅へ戻った。
残されたヒルゼンは、暫く思案するとその場を離れた。
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