機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第10話

「何でアタシらが買い出しなんだよ……」

 

 レオナールとともに物資の調達に出ているジゼルは歩きながらぼやいている。

 ジゼルは自分が補給よりも荒事の方が向いていると自負しているため、誰にでも出来そうな買い出しと言う仕事には不満を持っているが、だからと言ってクライドに与えられた仕事を放棄することも出来ずに買い出しをしている。

 

「でも、物資の調達は重要な仕事ですよ」

 

 文句を言うジゼルにレオナールがそう言う。

 MSの性能や資金面ではパラダイスロストは私設武装組織としては十分過ぎるが、物資の補給はどうしても必要になり、特に水や食料が尽きれば戦う事すら出来ない。

 連邦に追われる立場にいる彼らはまともな補給をする前に逃亡することもあり、補給を確実に行う事は生死にかかわる程の重要なことと言える。

 だからこそ、その重要な役目を任されたことが仲間として信頼されて来ているのだとレオナールはジゼルとは反対で気合が入っている。

 

「それに僕……デートって初めてなんですよね」

「はぁ? デートだぁ?」

 

 レオナールの突拍子もない発言にジゼルは立ち止まる。

 

「はい。姉さんが若い男女は二人で町に出るのはデートだと前に聞いたことがあります」

「デートねぇ……」

 

 ジゼルは度々、コロニーで停泊する時にクライドとエリーゼが町に出ていることを思い出す。

 あれもデートらしく、確かに若い男女が二人で町に出ると言うレオナールが言う条件を満たしている。

 多少ずれているのだが、まともな教育を受けていないジゼルは、レオナールの方が教養があることは自覚している。

 そのレオナールがそう言うと言う事は今の二人の状態も広い意味ではデートだと納得する。

 

「確かにそう言う事になるな」

「それでデートでは買い物は全て男の方が払うそうです」

「そりゃ良いな。レオはボンボンだから金は持ってんだろ。だったら、この際だ。たらふく食いもんを食わせて貰うぜ」

 

 そうなれば、ジゼルにとってこれが本当にデートかと言う問題はどうでも良い。

 この状況でレオナールの奢りと言う事だけが重要だった。

 

「分かりました。僕に任せて下さい」

 

 話がまとまりジゼルが歩き出そうとするが遠目で何かを見つける。

 それだけでなく、僅かだが振動も感じることが出来る。

 

「ん?何だ?ありゃ……」

「MSですかね……」

 

 遠目で見ているが、辛うじて人型が見え、見える距離と大きさを考えると人間ではなくMSの可能性が高い。

 

「さぁな……喧嘩か?」

 

 少し眺めているとシャルドールを先頭に連邦軍の基地の方面に向かうMSの一団が見ている。

 

「つっても……殆どがデスぺラードでマシンガンで武装してっけどまともに戦えるのかよ」

 

 肉眼で分かる限り、武装はしていても作業用のMSがばかりで戦闘が出来るとはとても思わない。

 

「分かりませんけど、僕達も早いところ、済ませて戻りましょう」

「だな……早く戻れば、祭りに間に合うかもしれねぇ」

 

 持たされている通信機で呼び出しがないと言う事は自分達とは無関係な戦闘になる可能性が高いが、戦闘がおこる以上、いつ自分達にその火の子が飛びかかって来るか分からない。

 そうなった時の為に、すぐに買い出しを終わらせてアブディエルに戻る必要がある。

 ジゼルとレオナールは寄り道をすることなく買い出しを急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ……このままじゃ……ジャンや皆が……」

 

 シャルルが隠れ家を探すが当然の事ながら使えるMSは一機も残されていない。

 全機が連邦軍の基地への報復に向かい、車両一つ残されてはいない。

 

「また……何も出来ないのか……俺は……」

 

 シャルルはその現実に打ちのめされながら前の戦いの事を思い出す。

 ヴェイガンのガフラン相手に手も足も出せずに部隊は壊滅し、自分一人が偶然にも生き残ってしまった。

 再び、仲間が死ぬかも知れない時に自分は何も出来ないことに絶望しながら、シャルルが膝をつくと、二基のコンテナを牽引しているトレーラーがシャルルの前に止まる。

 

「それはお前次第だ」

「クライド……君か」

 

 トレーラーからはクライドが降りて来てシャルルの元に歩み寄る。

 

「今更……何のようだ。君には俺達に用は無い筈だ」

 

 シャルルはクライドを見て一瞬、自分が乗っていたジェノアスの事を思い出すが、クライド達はジェノアスを売ると言っていた以上、修理をしている訳がない。

 

「確かにな……だが……」

 

 クライドがそう言い、指を鳴らすと二基のコンテナの内片方が垂直に立たされる。

 そして、コンテナが開閉しそこにはクライドがマッドーナ工房で改造したGレックスが収容されていた。

 

「このMS……」

「Gレックス……シャルル、コイツを貸してやらないこともない」

 

 クライドがそう言うとシャルルは驚きクライドの方を見る。

 先程はクライド達は自分達に協力するメリットはないと言い協力を断っているが、今度はMSを貸してくれると言う。

 

「どういう風の吹き回しだ? 君が俺達に協力するメリットは無い筈だ」

「確かに俺達がアンタ達を助けても俺達に得はない。けど……コイツの実戦でのデータを取って欲しいと頼まれていてな。適当な戦場に投入して実戦でのデータ収集がしたいんだよ」

 

 クライド達にとってここでの戦闘でどちらが勝利しようと関係ない。

 だが、Gレックスの戦闘データは欲しい。

 一方、シャルルは仲間を救うための力が欲しい。

 両者の望みが一致する。

 だからクライドは機体を貸す代わりに戦闘データを取れとシャルルに持ちかけていた。

 

「分かった。ありがたく使わせて貰う」

 

 シャルルは考えることも躊躇う事もなく答える。

 クライドの言葉が真実かどうかは、どうでも良かった。

 このGレックスの性能もどうでも良い。

 シャルルにとって重要なのはGレックスがあれば仲間を助けに行ける。

 それだけが重要だった。

 

「交渉成立だな。行っとくが、コイツはじゃじゃ馬だ。並みのパイロットではまともに扱えないぜ?それでも行くか?」

「当然」

 

 クライドが挑戦的にそう言いシャルルも挑戦的に返す。

 

「ついでに言うが、コイツは高級品だ。壊したらシャルルに弁償して貰うから、死んだ場合はお前の奥さんに請求させて貰う」

「だったら無傷で返さないとな」

 

 クライドも本気で言っている訳ではない。

 遠回しに生きて帰って来いと言っているのもシャルルにも分かっている為、反論はしない。

 シャルルも無論、生きて帰って来るつもりでいる。

 

「上等だ。コイツで暴れて来い」

 

 シャルルはGレックスに乗り連邦軍の基地に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「連邦軍の基地で戦闘?」

 

 エリーゼは町での買い物を済ませて、アブディエルに戻ると自分が少し前までいた連邦軍の基地で戦闘が行われているとの報告を受けていた。

 

「相手は?」

「分かりません。使用している機体からUEではないですが……」

 

 ヴェイガンのMSは特徴的で遠目から見ても間違えようはない。

 だが、それ以外のMSは様々なところに流出している為、機体から勢力を特定するのは難しい。

 

「多分、僕達が基地で聞いた武装勢力じゃないのかな?」

 

 エリーゼと一緒にブリッジに上がったアルフレッドがそう言う。

 アルフレッドはエリーゼとユーリアの買い物に付き合わされて、心なしかやつれている。

 だが、状況が状況な為、休んではいられない。

 

「だとすると、私達の出番は無いけど、もしもの時に備えてユーリアも待機しておいて」

「分かった……」

 

 ユーリアはそう言ってブリッジを離れて格納庫の自分の機体のところに向かう。

 

「面倒に巻き込まれるのは御免よ。すぐにジゼルとレオを呼び戻して、クライドとの連絡は?」

 

 パラダイスロストにとって、連邦軍の基地がどうなろうと相手がヴェイガンで無ければ関係ない。

 自分達にその火が振りかかる前に補給を済ませて立ち去りたい為、艦の外に出ている三人を呼び戻さないといけない。

 最悪の場合は代えの効かないクライド意外はコロニーに置き去りにしてコロニーを脱出する必要も出て来るが、出来ればクレマン家の次期当主のレオナールを見捨てて行く訳にも行かず、準備をすることしかできない。

 

「それが……クライドさんから先程、連絡が入りエミリオがゼロとGレックスを持って行きましたが……」

「はぁ!どういう事よ!」

 

 エリーゼにはその話が通って無かったため声を上げる。

 Gレックスを持ちだした理由が分からないが、ガンダムZEROを持ちだしたと言う事は戦闘に使う可能性が高く、現在起きている連邦軍での戦闘とは無関係には思えない。

 クライドとガンダムZEROはパラダイスロストの要である為、更にコロニーを出る訳にはいかなくなった。

 

「あの馬鹿は……こんな時に何やってんのよ……」

「どうする。エリーゼ?流石にクライドとゼロを置いて行く訳にはいかないよ」

「分かってるわよ。アリスとユーリアはいつでも出せるようにね。アブディエルはいつでも出港が出来るように用意しておくこと、それと戦闘も逐一把握出来るようにしておいてよ」

「それしかないようだね」

 

 クライドの所在が分からない以上アブディエルを港から出すことも出来ないため、戦いに介入することなく警戒するにとどめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「糞……どうなってるんだ!」

 

 連邦軍の基地ではジャン達が襲撃していた。

 基地を強襲するまでは順調だったが、基地に突入するとそこにはジェノアスが待ち構えており、ジェノアスは30cmレール・カノンを装備している銃砲撃型の機体が一斉に攻撃を開始する。

 その攻撃を逃れたジャン達は基地の格納庫などを盾にして隠れながら反撃を開始するが、今度は通常のビームスプレーガンを装備しているジェノアスが接近戦を仕掛けて来る。

 攻撃を仕掛けたと思っていたが、逆に待ち伏せをされており、実戦経験の少ない反乱軍にはそこから立ちなおるだけの能力は無く、次々と撃破されるか無力化されていく。

 

「この野郎!」

 

 ジャンのシャルドールはマシンガンを連射して格納庫からの影から飛び出す。

 シャルドールのマシンガンはジェノアスのシールドで殆どが防がれて効果はほとんどなく、ジェノアスのビームスプレーガンでマシンガンを持っている右手が破壊され、ヒートスティックを持ったジェノアスがヒートステックを突き出し、シャルドールの右肩に突き刺さり、右肩から右腕を破壊されシャルドールは尻もちをつく。

 

「くっ……」

 

 ジェノアスはシャルドールに馬乗りになり、ヒートスティックで止めを刺そうとするが、ジェノアスの上半身が吹き飛ぶ。

 

「何だ……」

「大丈夫か! ジョン!」

「その声……シャルルか……どうして来た!」

 

 ジャンの窮地を救ったのはクライドにGレックスを借りたシャルルだった。

 Gレックスは両肩のキャノン砲を構えており、その砲撃でジェノアスの上半身を吹き飛ばしていた。

 

「君たちを見捨てることは出来ない! 俺も戦わせて貰う!」

 

 Gレックスは両腕のシールドに装備しているヒートクローを展開し基地に突撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だかんだで師匠も甘いですね」

 

 Gレックスをシャルルに渡したクライドは今だコロニーの地下にいた。

 シャルルにGレックスを渡して戦いに参加する訳でもないので、クライドも暇になりGレックスを持って来させた経緯をエミリオに話していた。

 

「全くだ」

 

 実戦データと言う口実こそ出したが、実際は故郷の為に戦うシャルルを見捨てることが出来なかっただけである事はエミリオにも分かる。

 クライドはヴェイガンへの復讐の為に戦う道を選び、その為なら手段を選ばないつもりでいる。

 その為、市街地での戦闘でも周囲への被害を殆ど気にしないでいるが、ヴェイガンが関わらない時には甘さが出ることもしばしばある。

 今回もその一つである。

 本来なら、Gレックスの戦闘データを得るためでもGレックスが連邦軍と交戦すれば、クライド達にも連邦からの疑いが向く可能性も少なくない。

 その危険性を考えると、Gレックスの戦闘データだけであリスクの方が多い。

 それでも、シャルルにGレックスを貸したのはクライドの甘さと言える。

 シャルルが基地に向かい少しすると、ジェノアスが10機近く地下に入って来る。

 

「やっぱりな……戦力を基地に向かわせて、襲撃した連中はまだ潜んでいたか」

 

 連邦の取った策は待ち伏せだけではなく、頭に血が上った反乱軍が全ての戦力を基地に向かわせることを見越して、戦力を地下に残して戦力のいない拠点も襲撃する二重の策を取っていた。

 そうすることで、もしも基地の襲撃を失敗し撤退して反乱軍が戻って来ても反乱軍の拠点は破壊され、更には待ち伏せも出来る。

 すでに反乱軍は後退すら出来ない状態になりつつあると言う事だ。

 

「師匠の読み通り来ましたね。どうします?」

「取り合えず食後の運動をして来る」

 

 クライドはガンダムZERO Nを起動させる。

 

「ふん……テロリストどもが……兄さんの策にハマりもぬけの殻だな」

 

 ジェノアスの戦闘の銀色の高機動型ジェノアスに乗っているジョーン・サザーランドがそう言う。

 

「少佐、テロリストがMSを隠していたと思われる場所を発見しました」

「よし、その周辺を徹底的に破壊する。どうせその辺りの奴らは皆、テロリストの仲間だ」

 

 ジョーンがそう言いジェノアス部隊が進もうとすると一機のジェノアスがビームに撃ち抜かれる。

 

「敵襲か!まだ戦力を残していたのか!」

「疑わしきは罰するか……悪いけど、ここから先に行きたくば、俺を倒して行けってね」

 

 クライドのガンダムZERO Nはビームライフルを構えてそう言う。

 

「何だ……あのMSは……奴らにMSを開発することは出来ない筈だ」

「アイツらと一緒にするなよ。俺はただの通りすがりの私設武装組織だよ」

「そんな奴がなぜ、我々の邪魔をする! お前たちもテロリストにするぞ!」

 

 ジョーンはそう言い、クライドは苦笑いをしている。

 すでにクライド達は連邦軍にはテロリストと半ば認定されているから、今更そんな脅しをされても意味が無かった。

 

「どうでも良いよ。そんなのは、だけど……晩飯くらいの仕事はさせて貰う!」

 

 クライドはそう言ってジェノアスに突っ込む。

 

「撃て! 奴もテロリストだ!」

 

 ジョーンの指示でジェノアスは一斉にビームスプレーガンを放つが、ガンダムZERO Nはシールドで防ぎビームサーベルを抜く。

 ガンダムZERO Nはビームサーベルで近くのジェノアスを切り裂く。

 ジェノアスはビームスプレーガンをガンダムZERO Nに向けるが、シールドに装備しているビームガンでジェノアスを破壊する。

 

「ジェノアス相手じゃ弱い者いじめになっちまうな」

 

 クライドは軽口を叩いているが、数の上では圧倒的にクライドの不利だが、それを覆す程の性能をガンダムZERO Nは持っている。

 ガンダムZERO Nはビームバルカンでジェノアスを破壊し、左手にもビームサーベルを持ち、次々とジェノアスを破壊して行く。

 

「あのMSは化け物か! だが……俺のジェノアスの機動力を見せてやる!」

 

 高機動型ジェノアスはスラスターを最大出力で使う。

 その機動力は通常のジェノアスの倍近くの機動力で移動している。

 

「どうだ! 幾ら攻撃力が強くても当たらなければどうと言う事はない!」

「そう言うセリフは俺の攻撃をかわせるようになってから言え。それが出来ないで行っても空しいだけだ」

 

 高機動型ジェノアスは通常のジェノアスよりも出力の高いスラスターを搭載し、機動力が大幅に向上しているが、それは通常のジェノアスと比べての話だった。

 総合的に高い次元の性能で作られているガンダムZERO Nを相手にするには高機動型のジェノアスの機動力はブリーズアーマーは愚かノーマルアーマーのZEROにすら劣る。

 

「馬鹿な! 俺のジェノアスの速度について来るだと!」

「遅いんだよ」

 

 ガンダムZERO Nはビームサーベルで一閃し、高機動型ジェノアスの腕を切り裂く。

 

「その程度の速度で高機動型とは聞いて呆れるな」

 

 腕を切り裂いたガンダムZERO Nはもう片方のビームサーベルで高機動型ジェノアスの両足を切断して、高機動型ジェノアスは仰向けに倒れる。

 

「それに機体の機動性を活かす腕も無い。機体自体はそこまで悪く無いのにパイロットの腕が三流以下じゃもったいない」

 

 動けなくなった高機動型ジェノアスにガンダムZERO Nはビームサーベルを突き付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連邦軍の基地に突入したGレックスはヒートクローでジェノアスを切り裂く。

 

「この機体……聞いてはいたけど!」

 

 シャルルはGレックスの出力に振りまわされつつも、何とか乗りこなし、両肩のミサイルを一気に撃ち尽くし両腕のシールドの裏側のビームガトリング砲を乱射しジェノアスを撃墜して行く。

 

「パワーがジェノアスとは段違いだ! コイツなら行ける!」

 

 そのまま、脚部のキャタピラーで前進しながらヒートクローでジェノアスを切り裂いて行く。

 だが、大量のミサイルがGレックスに降り注ぐ。

 

「何処で作られたMSかは知らんがこのジェノアスの火力なら宇宙人どもですらイチコロだ」

 

 ジョセフが金色の重爆撃型ジェノアスに乗りそう言う。

 重爆撃型ジェノアスにミサイル攻撃の爆風が晴れるとそこには多少装甲が傷つくもほぼ無傷のGレックスが立っている。

 

「あれだけの攻撃で無傷か……凄いな。これでクライドに修理費を請求されないで済む」

「ありえん……」

 

 ジョセフがあれだけの爆撃に耐えたことに驚いていると、上空から無数のビームが基地を襲いジェノアスが破壊されていく。

 

「まだいるのか!」

「あれは……UE……」

 

 攻撃を行ったのは反乱軍でもクライド達でもなく、セリアのバクト率いるヴェイガンだった。

 

「ガンダムの前に邪魔な連邦を仕留めるつもりだったけど……」

 

 セリアはそう言いGレックスを拡大する。

 

「あの機体はデータに無い機体ね。まぁ良いわ……あの機体のデータもここで取っておくわ」

 

 セリアのバクトはGレックスの方に向かい、他の二機のガフランは基地に降り立つ。

 基地に降りたガフランはビームバルカンで基地を破壊して行く。

 迎撃のジェノアスをビームバルカンやビームサーベルで撃破し、基地を破壊する道中で戦闘で被弾して戦闘不能となっていた反乱軍のデスぺラードも破壊して行く。

 

「何なんだよ……これは……これが戦いなのかよ!」

 

 ジョンはその光景を見てそう叫ぶ。

 連邦軍にC地区の仲間を襲撃された時にはそれが非道に思えたが、戦う力を持たない者まで圧倒的な力で無慈悲なまでに殺されていくこの光景は更に上を行きまさに地獄絵図と言っても良い。

 クライドがこの程度と言った意味をようやく理解する。 

 だが、それを理解したところでこの状況が好転する訳でもない。

 

「この宇宙人どもめが!良くも私の基地を!」

 

 ジョセフの重爆撃型ジェノアスがバクトにミサイルを放つがバクトはビームバルカンで容易く迎撃する。

 

「少しはカスタムしているみたいだけど、ジェノアス程度のMSを幾ら改造しようと無駄よ」

 

 バクトは重爆撃型ジェノアスの前に降りると、ビームサーベルで重爆撃型ジェノアスの両足を切り裂く。

 両足を失ったジェノアスは基地に倒れ込む。

 

「新型機のデータ収集の前に邪魔な貴方を先に始末するわ」

「止めろ!」

 

 Gレックスは重爆撃型ジェノアスに止めを刺そうとしているバクトに体当たりとして吹き飛ばす。

 

「っ! このバクトを!」

 

 ガフランに比べて重装甲のバクトをGレックスは不意を突いたとは言え容易く吹き飛ばした。

 

「シャルル!何でそいつを助ける! そいつが何をしたのか忘れたのか!」

 

 ジャンはシャルルの行動に対してそう言う。

 

「忘れた訳じゃないさ……忘れてないから、コイツのしたことは俺達人間の手で裁かないと駄目なんだ」

 

 シャルルはそう言って機体をバクトの方に向ける。

 

「だから、こんな奴らにやらせる訳にはいかない」

「成程ね……パワーは相当な物を持っている訳ね」

 

 バクトもGレックスの方を向き二機は取っ組み合いになる。

 

「なんてパワーだ!」

「私のバクトのパワーを相手にここまで耐えることが出来るのは褒めてあげるわ」

 

 二機のパワーがほぼ互角だが、若干バクトが上回り次第にGレックスが押されていく。

 

「このままでは押し切られる……」

 

 Gレックスはバクトのパワーに押し切られそうになるが、横からのビームでバクトの両腕が肘から撃ち抜かれる。

 

「あれは……ガンダム!」

「クライドなのか!」

「連邦相手なら手を出すつもりはなかったが、UEが相手なら話は別だ。こっからは俺がやる」

 

 クライドは本来なら、地下の拠点を襲撃に来た連邦軍の排除だけしか手伝うつもりはなかったが、その後にヴェイガンがコロニー内に侵入したことを知り、襲撃を受けると予測された連邦軍の基地に最短距離で向かっていた。

 そして、ガンダムZERO Nはバクトにビームライフルを放つ。

 

「ここでガンダムが出て来るのは予想外ね……この状態じゃまともに戦えないわね」

 

 ガンダムZERO Nの不意打ちで電磁装甲で覆われていない部分を狙われ両腕が破壊された為、これ以上の戦闘は不利と判断したセリアは機体を引かせる。

 

「逃げたか……まぁ良い。コイツは手土産だ」

 

 クライドはそう言ってクライドによって胴体を残して大破している高機動型ジェノアスの胴体を投げる。

 

「これは……」

「こいつらは、お前たちの留守を狙ってたんだが、たまたま通りかかった俺に喧嘩を売って来たから返り撃ちにしておいた。コイツの処遇はお前たちで好きにしろ」

 

 クライドはそう言ってビームサーベルを持ち、ガフランに向かっていく。

 ガフランは拡散ビーム砲を放ち、ガンダムZERO Nはシールドで防いで懐に飛び込むと、ビームサーベルを振り下ろガフランの腕を切り落とすと、左手にもビームサーベルを持ち、ガフランの腹部に突き刺す。

 残ったガフランがガンダムZERO Nにビームバルカンを放つが、ガンダムZERO Nはシールドで防ぎながら、ビームサーベルを投げてガフランの頭部に突き刺さる。

頭部にビームサーベルが突き刺さり、ガフランの動きが止まりガンダムZERO Nはビームライフルでガフランを撃ち抜く。

 

「本当にUEを倒したのか……」

 

 ジャンは話には聞いていたが、目の前でガフランを撃破したガンダムZERO Nの力を目の当たりにした。

 

「クライド様」

 

 戦闘が終了すると、バクトとガフランが出たことを知ったアブディエルからの増援のデスドールとジェノワーズが到着する。

 

「もう……終わってる……」

「その様ですね」

 

 増援が到着したが、すでに戦闘は終結しているため、二人が来た意味はない。

 

「見ての通りだ。物のついでだ。お前たちの戦いも終わりにしておけよ」

 

 クライドがそう言い、ヴェイガンの介入で連邦軍も反乱軍も大きな被害を受けているので連邦軍基地での戦闘も終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘が終結し、結果としてはシャルルやジョンの反乱軍の勝利に終わった。

 機体から引きずり降ろされたジョセフとジョーンは反乱軍の生き残りに連行されていく。

 彼らは正規軍ではないため、サザーランド兄弟を始めとした連邦軍人は捕虜と言う訳ではないため、この後の扱いは酷い物になるだろうがクライドには関係ない話だ。

 

「戦いに勝利し、自由を手に入れることが出来たのも君たちのお陰だ。感謝する」

 

 ジョンはそう言いクライドに頭を下げる。

 だが、クライドはこの戦いが終わったとは思っていない。

 確かにこの基地は陥落したが、連邦軍がコロニーからいなくなれば、周辺の海賊などが堂々をコロニーに来ることが出来る。

 その海賊などがコロニーで暴れた場合ジョン達にそれを鎮圧しコロニーを守れるとは到底思えない。

 ここの連邦軍は腐っていたかも知れないが、コロニーを海賊などの外敵には抑止力となっていたことも事実だった。

 彼らはその抑止力を自由と引き換えに排除した。

 それは彼らの意思で行ったことの為、クライドはそこまで言うつもりはない。

 

「それで……クライド、君に頼みがある。俺も君たちと行ってもかまわないだろうか?」

「は?」

 

 クライドはシャルルの予想外の言葉に驚く。

 クライドはてっきり、シャルルはコロニーに残ると思っていた。

 ここにはシャルルの妻もいてシャルルの子供も生まれる。

 ここにはシャルルの帰る場所があり、それなのに自分達と来ると言う事になるとは思っていなかった。

 だが、クライドとしては好都合でもある。

 先の戦闘はクライドは途中から見ていたが、シャルルはGレックスはある程度は乗りこなしていた。

 後は何度も乗って慣れれば扱いこなせるとクライドは見ている。

 現在、Gレックスは予備機として決まったパイロットはいないが、性能は優秀で戦力としては申し分もない。

 問題はシャルルの真意だった。

 シャルルが自分達の仲間になり、自分達の力を利用するとなればある程度は利害の一致で問題はないが、Gレックスの戦力以上に利用するつもりなら、その申し出でを断らざる負えない。

 

「理由を聞かせてくれ」

「君たちはUEと戦い、それを倒すでけの力を持っている。UEを倒せば外の敵も無くなり連邦も内部の事にも目が向く筈だ。そうすれば連邦の腐敗を正すことが出来ると思うんだ」

「成程ね……」

 

 シャルルがそう言うが、それは言う程簡単な問題ではない。

 外の敵がいなくなれば、中に目が行くかも知れないが、連邦が腐敗しているのはヴェイガンだけのせいではない。

 結局、ヴェイガンが出て来なくても腐る組織は腐る。

 その上一度腐った組織を正すのは容易なことではない。 

 シャルルの行っていることは青臭い理想論でしかない。

 シャルルの言葉を否定するのは簡単だが、シャルルの行っていることが100%不可能と言う訳でもなく、何よりヴェイガンを戦ってくれるなら断る理由も無い。

 

「だが良いのか?俺達は連邦から追われてるぜ?」

「でも……君たちは意味も無く他者を傷つけることはない」

 

 随分と買い被られたとクライドは思う。

 確かにクライド達はヴェイガン以外では不要な争いは避けている。

 それは正義感や誇りではなく、単に無駄に敵を増やしたくはないだけだった。

 

「意味があれば誰でも傷付けるぜ?」

 

 だが、クライドの言う通り理由があれば海賊行為ですらも辞さないのがパラダイスロストでもある。

 

「だろうね……でも、UEを倒して世界を平和に出来る可能性があるなら、俺はそれに賭けてみることにしたんだよ」

 

 そう言うシャルルの目はそう信じて疑っていない目をしている。

 

(世界を平和にね……青臭いがシャルルの実力は本物だ)

 

 クライドは世界の事などどうでも良い。

 だが、Gレックスを扱えるシャルルの実力は認めている。

 世界の事などどうでも良いが、ヴェイガンと戦うと言う事についてはシャルルと利害は一致する。

 

「OK……それなら歓迎するぜ」

 

 クライドはそう言い、シャルルに手を差し出し、シャルルもそれを握る。

 こうして、コロニー「サザーランドポート」での内乱は今後の課題を残しながらも終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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