ヴァニスの宣言から約一月が経っている。
その間にネオ・ヴェイガンによる攻勢はぴたりと止み、ネオ・ヴェイガンが健在の占領地域とラ・グラミスの防衛に専念しているだけであった。
そして、その間にディーヴァは戦力を整えていた。
レオナールを経由してビシディアンを連絡を付けて合流し、ラ・グラミス攻略作戦を慣行しようとしている。
その為にはラ・グラミスの最終防衛線として配置されているグレート・エデンを突破する必要があった。
ラ・グラミスのディグマゼノン砲の射線上に入らない為にラ・グラミスの後方から仕掛ける必要があるが、ラ・グラミスの後方にグレート・エデンが配置されている為だ。
ゼハートからの情報でラ・グラミスは要塞を形成している球体を一時的に分離させる事でディグマゼノン砲の向きを変える事は可能である為、速やかにグレート・エデンを突破してラ・グラミスに向かう必要があった。
グレート・エデンに接近する戦艦はディーヴァにバロノーク、ファ・ザードの三隻だ。
他にもレオナールが集めた戦力は地球圏に散らばっているネオ・ヴェイガンに対して仕掛ける事で増援の足止めを行う為に作戦行動に入っている。
「キオ、AGEシステムが新しいガンダムの装備を設計しつつある。戦闘中に完成するかも知れないからすぐにディーヴァに戻れるように意識しておいてくれ」
「分かりました」
今回の作戦上、キオは全面に突撃する必要があるが、AGEシステムがこれまでの戦闘データを元にFXの新装備を構築しつつあった。
今は設計段階だが、完成すればすぐにAGEビルダーで製造する。
その後、射出してFXに渡すとしてもFXが近くにいなければFXの元にたどり着く前に撃ち落される危険性がある。
その為、AGEシステムが新しい装備を作り出すと言う事を念頭に置いて作戦行動に入れば完成時にすぐにディーヴァに向かう事も出来る。
「キオ・アスノ、ガンダムAGE-FX……行きます!」
FXがディーヴァから射出される。
その後、ディーヴァからアビス隊のMSも射出される。
バロノークとファ・ザードからもMSが射出され、グレート・エデンからも防衛のMSが出撃し戦闘が開始される。
戦闘が開始され、FX、ダークハウンド、レギルスRが飛び出す。
作戦の第一段階として、グレート・エデンを突破した後にはラ・グラミスの戦力をも戦わなくてはならない。
その為、ここで戦力を消費する事はラ・グラミスを攻めきれない可能性が出て来る為、戦力の消費を最低限にする為にまずは各艦のエースパイロットが単独で防衛線に仕掛ける事で敵の防衛網をかき乱したところで本隊が一気にグレート・エデンを突破すると言う作戦に出た。
「思った以上に数が少ないな」
グレート・エデンから出て来るMSの数は当初の予測よりも少ない。
グレート・エデンは100機近いMSを搭載できるが、出撃しているMSは半分の50機程度しかいない。
だが、予備戦力として出撃させていないだけの可能性もある為、油断は出来ない。
「父さん! ゼハートさん! 来ます!」
防衛線に接近し、敵の射程に入った事で敵MSからの攻撃を受けて3機は散開する。
「Cファンネル!」
FXはCファンネルを展開する。
CファンネルはFXを守りつつも敵MSの頭部を正確に切り離す。
ヴェイガンのMSはコックピットが頭部にある為、それだけで戦闘能力を奪う事が出来る。
FXのCファンネルは正確に敵MSの頭部を切り落とす。
「悪いが手加減をしている余裕はないんでね」
ダークハウンドはドッズランサーで量産型レギルスを貫く。
アンカーショットをダナジンに引っ掛けると量産型レギルスに叩きつけてドッズガンを撃ちこんで破壊する。
「何だ……この感じは」
レギルスRはダナジンの頭部を切り離す。
ゼハートは交戦しながらも何かを感じ取る。
「誰かがディーヴァを狙ってる?」
キオもゼハート同様に何かを感じ取る。
すると、グレート・エデンの格納庫をぶち抜いてビームがディーヴァの方へと向かう。
幸いビームはディーヴァに直撃する事は無かったが、ディーヴァをかすめた
「外してやんの!」
「仕方がないでしょ。ハッチごとでこれだけ距離があればね」
吹き飛んだ格納庫にはタチアナのレギルスTがレギルスランチャーを構えていた。
レギルスTはグレート・エデンの格納庫からハッチで姿を隠した状態でレギルスランチャーにて接近するディーヴァに対して狙撃を行った。
しかし、ハッチで姿を隠していた為、タチアナは直接ディーヴァを補足する事が出来ず外からの情報だけが頼りであったが、距離もあり直撃させる事は出来なかった。
「まぁ、良いわ。シェリー、出るわよ」
「隊長達には回さないわよ!」
グレート・エデンからレギルスTとレギルスSが出撃して3機のガンダムに向かう。
「砲戦仕様とXラウンダー仕様のレギルスか!」
「2機だけだが、砲戦仕様は厄介だ」
ダークハウンドとレギルスRは長距離でも戦艦を落とせる火力を持つレギルスTを抑える為にレギルスTに向かう。
レギルスTはレギルスランチャーをディーヴァの方に向けるが、ダークハウンドがストライダー形態に変形するとドッズガンを放って牽制を行う。
「ガンダムが2機は面倒ね。シェリー!」
「そっちは自分で何とかしてよね!」
2機のガンダムを相手に対MS戦闘を得意としないレギルスTでは分が悪いと判断したタチアナはシェリーを呼ぶもシェリーのレギルスSはキオのFXに向かっていた。
「アンタを倒して私の汚名を挽回するのよ!」
レギルスSはFXにレギルスサイズを振り落し、FXはスタングルライフルを腰につけて両手にビームサーベルを展開し、ビームサーベルをクロスさせて受け止める。
「あの子は何を言ってんの」
エンジェルの戦闘では機体を大破させ、格下相手に戦果を挙げるもエース級のパイロットを相手には結果を出せていないシェリーはFXを倒す事で自分の失態を挽回する事しか頭に無い為、タチアナを援護する気は毛頭ないようだった。
「さて……こっちはどうしようかしらね」
レギルスTはレギルスランチャーを放つが、ダークハウンドとレギルスRを捕える事は出来ない。
「ゴドム隊、援護するからガンダムを叩きなさい」
「ちっ……了解」
一番近くのゴドム隊にタチアナは指示を出す。
元連邦軍のタチアナに命令されることは気に食わないが、ガンダムを討つチャンスである為、ゴドムは部下を引き連れて2機のガンダムに向かう。
「あのMS……ディーン!」
「余所見するな!」
FXはレギルスSを弾き飛ばす。
そして、FXはディーンの量産型レギルスの方に向かい、レギルスSはビームバルカンを撃ちながら、FXを追いかける。
「相手はガンダムだ。油断するなよ!」
ゴドム機がレギルスガンを連射し、レギルスガンからビームサーベルを展開して突っ込む。
ダークハウンドとレギルスRはかわすが、後方から3機の量産型レギルスがビームライフルを放つ。
そして、回避しているところにレギルスTがレギルスランチャーを撃ちこむ。
その一撃を何とかかわすが、ダークハウンドに隙が生まれる。
「ガンダム! これで!」
「止せ! ディーン! それは罠だ!」
ダークハウンドに出来た隙をディーン機がビームサーベルを展開して接近する。
だが、今までの動きから考えればダークハウンドがこうも簡単に隙を作る事など考え難く、ましてはその隙を実践経験の乏しいディーンが付けるとは思えない。
そこから考えられる事はダークハウンドはわざと隙を作っていると言う事だ。
隙を作り敵を誘い込む。
当然、隙を作って誘い込むだけで終わる訳がない。
ダークハウンドはフラッシュアイでディーンの視界を奪う。
それにより今度はディーン機の方が致命的な隙を作る事になる。
ダークハウンドはドッズランサーをディーン機に突き出す。
しかし、ドッズランサーがディーン機を貫く前にドッズランサーとディーン機の間にCファンネルが1基入り込みドッズランサーの動きを一瞬止める。
Cファンネルはドッズランサーの一撃で破壊されるが、ディーン機をFXが掴んでドッズランサーの攻撃がディーン機を貫く事は無かった。
「キオ!」
「父さん! このMSには友達が乗ってるんだ! 僕に任せて!」
「……分かった」
FXはそのままディーン機と共に離れていく。
キオが友達が乗っていると言う以上、過去に友達と戦場で戦った経験のあるアセムは何も言う事は出来ない。
少なくとも、アセムは敵を前に手加減をする余裕はない。
そして、あの量産型レギルスと戦えばアセムは確実に勝つ事が出来る。
そうなれば、キオの友達をキオの父親である自分が殺す事になる為、キオに任せる。
「ディーン! ガンダム!」
ゴドム機はFXを追いかけようとするが、ダークハウンドがゴドム機の前に立ちはだかる。
「悪いが、キオの邪魔はさせない」
「海賊風情が!」
ダークハウンドはビームサーベルを抜き、ゴドム機もビームサーベルで応戦する。
「邪魔をするな!」
2機のビームサーベルはぶつかり合い、ゴドム機は交代しながらビームバルカンを連射してダークハウンドはアンカーショットを放つ。
ゴドム機はビームサーベルでアンカーショットを弾く。
「貰った」
アンカーショットを回収するダークハウンドにレギルスTがレギルスランチャーを放つ。
ダークハウンドはビームをかわすが、威力を抑えてレギルスランチャーをレギルスTは連射する。
ゴドム機を先頭に量産型レギルスが連続してビームサーベルでダークハウンドに攻撃する。
レギルスランチャーの狙撃をかわしつつの連続攻撃に流石のアセムも捌くのに精一杯になる。
「アセム!」
レギルスRがレギルスキャノンで援護射撃を入れる。
「こいつらは俺がやる。アセムは砲戦型のレギルスを頼む!」
「任せた!」
ダークハウンドはストライダー形態に変形してレギルスランチャーをかわしながらレギルスTに向かい。レギルスRはビームバルカンでゴドム機を牽制する。
「裏切り者が!」
ゴドム機のビームサーベルをレギルスRはレギルススピアーで受け止めて蹴り飛ばす。
レギルスRの両サイドから量産型レギルスがビームライフルを撃ちながらビームサーベルで切りかかり、レギルスRは一体目の量産型レギルスの腕をレギルススピアーで切り落として、左手のビームサーベルで頭部を切り離す。
そして、すぐに2機目の量産型レギルスのビームサーベルをギリギリのところでかわして、レギルスキャノンで首から下を吹き飛ばす。
「舐めた真似をして!」
「ビット!」
レギルスRはレギルスビットをドゴム機に差し向ける。
ゴドム機は左腕の小型シールドの三連装ビームバルカンで迎撃しながらレギルスRに突っ込む。
ゴドム機はレギルスビットの直撃を受けて損傷するが、ゴドム機は止まる事なくレギルスRに向かうがレギルススピアーで胴体から真っ二つに切り裂かれる。
「デモンとグラッドの仇も取れずに終われるか!」
「まだ戦うのか!」
レギルスRはゴドム機にビームバルカンを向けるが、一瞬躊躇う。
ゴドム機はすでにまともに戦える状態ではない。
だが、ゴドムは刺し違えても自分を討ちに来ている。
ビームバルカンの威力でも十分にゴドム機は撃墜出来てしまう。
「ちぃ!」
突撃して来るゴドム機にレギルスRは腕に自分を守るようにする。
だが、ゴドム機がレギルスRに突撃する前にビームによって撃ち抜かれ爆発する。
「親父!」
「スラッシュか……」
後続の部隊がようやく戦場に到達してギラーガ改がレギルスRと合流する。
「親父?」
「何でもない。来るぞ」
ゴドム機を撃墜したのは恐らくはスラッシュである事はすぐに分かった。
スラッシュがゴドム機を撃墜したのも、劣勢であった自分を助けようとした為である事もだ。
スラッシュが自分の代わりに同胞を殺した事に後ろめたさを感じつつも、ゼハートは交戦を続ける。
レギルスTがダークハウンドにドッズライフルを放ち、ダークハウンドはMS形態に変形してビームサーベルを抜く。
レギルスTもビームサーベルで応戦する。
「後続も参戦して来たようだし、この辺りが引き際ね。後はラ・グラミスの部隊に任せれば……」
「そこ邪魔!」
ダークハウンドとレギルスTの間にレギルスSが割り込んでくる。
「あのガンダムはどこに行ったのよ!」
「私に聞かないで。それよりもそろそろ撤退するわよ」
「ふざけないでよ! このまま逃げ帰っても殺されるだけよ!」
実際のところ、グレート・エデンは守り切れと言う指示は出されてはいない。
始めからグレート・エデンの部隊は勝つとは思われてはおらず、あくまでもFX以外の戦力を減らせとしか言われてはいない。
その為、グレート・エデンの戦力は通常時よりも少なくそれを補う為にタチアナとシェリーが配置されている。
後は適当に敵の数を減らしながら、敵をラ・グラミスの方に通しても何も問題はない。
だが、シェリーはエンジェルでの戦闘でアキラが戦死してもヴァニスは何事もなかった。
それが部下に弱みを見せない為の強がりだとも考えられるがXラウンダー能力を持つシェリーにはヴァニスが本当にアキラの死に何も感じていない事が分かった。
元々、親衛隊は性別以外はすべてが実力で選ばれているが、ヴァニスにとっては自分の側近である親衛隊の生死すら気にも留める事ですらないと気付いた。
ヴァニスにとって親衛隊は結果を出せばそれで良いが、結果を出さなければ何の価値のない存在でしかない。
結果を余り出していないシェリーにとってはこの戦いすらもヴァニスに使い捨てにされるかも知れないと言う恐怖に駆られて結果を出す事に焦りを感じていた。
その事はタチアナも薄々は気が付いている。
ヴァニスが親衛隊に求めているのは結果のみで後は何も求めてはいないと言う事は。
連邦軍の特殊部隊出身であるタチアナからすれば組織の上の人間は連邦だろうとネオ・ヴェイガンだとうと大差はなく、汚れ仕事をして来た身としてはいつ上に切り捨てられてもおかしくは無い為、一々切り捨てられる事など気にしていては精神が持たない。
「アンタもガンダムなら!」
レギルスSはダークハウンドにレギルスサイズを構えて突っ込む。
FXを見失ったがガンダムタイプのMSであるダークハウンドを撃墜すれば今までの失態も挽回できるあも知れない。
だが、今までの戦いを見る限りではダークハウンドのパイロットの実力は明らかにシェリーよりも上なのは確実で焦っているシェリーが挑んでも返り討ちに会うだけだ。
「全く……」
流石に仲間を見捨てる事も出来ずにレギルスTはレギルスランチャーで援護を行う。
3隻の戦艦と主力部隊が戦場に到着する。
3機のガンダムが敵の数をある程度減らしていた為、主力部隊もネオ・ヴェイガンを押している。
「隊長! こいつは……」
「戦えない敵には構うな!」
ディーヴァを防衛しつつ前進するアビス隊は戦場を漂う敵MSの頭部に遭遇する。
それらはキオとゼハートが切り離した敵MSのコックピットで友軍に回収された物もあればそのまま戦場を漂っている物もある。
戸惑う部下に対してセリックは頭部を無視するように指示を出す。
本来ならば、動けたずまともに戦う事も出来ない敵MSなど恰好の的ではあるが、この戦闘では勝たねば次はない。
補給を万全にしてきてはいるが無限ではない。
動けない敵を撃墜するのにもエネルギーは使う為、今は戦える敵を優先的に狙いディーヴァを前進させる事が最終戦だ。
その為、今は戦えない敵は無視して前に進む。
「キオ達が数を減らしてくれたおかげで楽に進む事は出来ているが数が少なすぎる。まだ予備部隊を温存するつもりなのか?」
クランシェカスタムはドッズライフルでダナジンを撃墜する。
戦闘開始当初は余り戦力を投入せずに温存していたかに思えた。
それから増援はあったが、それでも予想していた戦力よりも少ない。
「だが、それでも進むしかない!」
セリックを戦闘にアビス隊は前進する。
クランシェカスタムはビームサーベルでダナジンを切り裂く。
後方からジョナサン機とデレク機も飛行形態でドッズライフルを放ち、ジェノアスOカスタムが最後尾で前方の3機を援護する。
ディーヴァとバロノーク、ファ・ザードの戦力をすべて投入するも、ネオ・ヴェイガンの主力機である量産型レギルスを相手にする事は難しく。
戦闘開始当初はガンダムによって掻き乱されていた戦場も落ち着きを取り戻し、次第に量産型レギルスに撃墜されるMSも出て来る。
「やはり、量産型のレギルスは手ごわい!」
量産型レギルスのビームライフルをかわし、クランシェカスタムはドッズライフルで応戦する。
ダナジンやドラドに比べると量産型レギルスの動きは良く簡単に撃墜は出来ない。
量産型レギルスの攻撃をジョナサン機とデレク機も苦戦し、ジェノアスOカスタムの援護で何とか戦えていると言う状況だ。
だが、3隻の戦艦の後方からのビームが戦場を横切る。
そして、後方にホワイトファングが見えざる傘を展開して姿を現す。
「フォトンブラスターを発射後、MS隊を出撃させて」
ホワイトファングは宙域に到達するまで他の艦よりも時間がかかる位置にいた。
その事を利用してホワイトいファングが合流する事を待つ事もなく先に3隻でグレート・エデンに対して仕掛け、3機のガンダムが掻き乱した戦場が落ち着く頃に到着して増援にすると言う策でもあった。
そして、ここに来るまでにフォトンブラスターキャノンのエネルギーのチャージも終えている為、すぐに撃つ事が出来る。
ホワイトファングが到着した事で、3隻の戦艦とMS隊はフォトンブラスターキャノンの射線から退避する。
「フォトンブラスターキャノン、発射!」
ホワイトファングからフォトンブラスターキャノンが発射される。
だが、グレート・エデンはダウネス同様にギガンテスの盾を装備している。
フォトンリング・レイですら防ぐ事の出来るギガンテスの盾はグレート・エデンがダウネスよりも小型になっている分、出力は落ちるがそれでもフォトンブラスターキャノンを防ぐだけの防御力はある。
しかし、グレート・エデンはホワイトファングのフォトンブラスターキャノンを警戒して回頭をする事が出来なくなる。
フォトンブラスターキャノンの発射後、ホワイトファングからMSが射出される。
「俺とフリットは敵陣に切り込む。ファムとクリフォードは遊撃、キースとライルはディーヴァの支援だ」
ウルフの指示でホワイトファング隊は散開して戦闘に入る。
「遊撃って言われてもな……」
「私達はとにかく敵を落とせば良いわ」
ファムのゼイ・ドルグはハイパーバズーカを放ちダナジンを撃墜する。
ハイパーバズーカを全弾撃ち尽くすと近くの量産型レギルスにハイパーバズーカを投げつけて弾いたところをビームアックスで破壊する。
「成程な。分かり易い!」
AGE-3 トラインはシグマシスキャノンを連射する。
命中率は高くはないが、確実に何機かは撃墜出来た。
ダナジンがビームサーベルを出してAGE-3 トラインに接近するがAGE-3 トラインはビームトンファーでダナジンをビームサーベルごと切り裂いて破壊する。
ディーヴァの援護の指示を受けたキースとライルはアビス隊と合流する。
「援護する」
キースのGバウンサーはドッズライフルを放ちドラドを撃墜する。
「助かる」
2機の増援を得た事でアビス隊も楽に戦えるようになる。
キースのジェノアスキャノンⅡがドッズキャノンを放ち、ダナジンは回避してダナジンキャノンを放とうとするが、ジェノアスOカスタムがビームサーベルでダナジンを切り裂く。
ドラドがビームサーベルを展開してジェノアスOカスタムに接近するが、ジェノアスキャノンⅡのドッズキャノンが足に直撃してバランスを崩れたところにドッズライフルに持ち替えたジェノアスOカスタムに撃ち落される。
「フリット。分かってると思うが……」
「分かっている」
敵陣に切り込みGファングはハイパードッズライフルで量産型レギルスを撃破する。
グランサもビームサーベルでドラドを切り裂き、グラストロランチャーでダナジンを何機かまとめて撃墜する。
フリットも完全に踏ん切りがついた訳ではないが、今はネオ・ヴェイガンを討ちファ・ザードのMSはすでに識別信号で友軍と識別されているが、運用しているのはダナジンやドラドで間違って討ちかねない。
だが、フリットはネオ・ヴェイガンとファ・ザードの搭載機との区別はして戦闘を行っている。
「なら良い。行くぞ」
Gファングとグランサは敵を撃墜しながら敵陣を突き進む。
ディーン機と共に戦場を少し離れたFXはディーン機と距離を取る。
「ディーン!」
「キオ! お前まだガンダムに乗ってんのか!」
ディーン機はビームバルカンを放つがCファンネルに阻まれる。
「ディーン! もうやめようよ! こんな戦いは間違ってる!」
「今更止める訳にはいかないんだよ! ルウの為にも!」
ディーン機はビームサーベルでFXに切りかかり、FXはビームサーベルで受け止める。
「どうしてルウの為なのさ!」
「この戦闘で結果を出せば地球で暮らす事が出来る! 地球で暮らす事が出来ればルウの墓を地球でも見晴しの良いところに作る事が出来るんだよ!」
それがディーンが軍に志願した理由だった。
ネオ・ヴェイガンでは若者は軍に入る事が半ば義務付けされているが、戦いで結果を出せば地球に住む権利を与えらえる。
そうすれば、ディーンは死んだルウの墓を地球に作る事が出来る。
「だからって、ヴァニスさんのやり方は間違ってるよ! 何の罪もない人達を大勢殺すんだ! そんな事ルウが喜ぶ訳がないよ!」
「そんな事は分かってる! だけど、俺に出来る事はこのくらいしかないんだよ!」
ディーンは死ぬ行くルウに何もしてやる事は出来なかった。
キオのようにルウを笑顔にする事もヴァニスのようにルウの苦しみを和らげる事もディーンには出来なかった。
だからこそ、大勢の命を奪う事になってもルウの墓だけは地球に作ってやりたかった。
「そんな事は無い! ディーンは僕と友達になれた! それは地球もヴェイガンも関係なく友達になれるって証拠だよ! 戦争を終わらせるきっかけになる事なんだよ!」
ディーンがキオと友達になった事はキオが地球生まれだと言う事を知らなかったとはいえ、キオがキオだから友達になる事が出来た。
それは地球圏に生まれた人間も火星圏に生まれた人間も友達になる事が出来ると言う事になる。
それは長きに渡って続いた戦闘を終わらせるきっかけになるかも知れない出来事でもある。
「でも! 俺はもう戻れないんだよ! 俺が裏切れば隊長や先輩達が罰を受ける事になる!」
ディーンもキオと戦いたい訳じゃない。
だが、ネオ・ヴェイガンでは小隊の一人が問題を起こせば小隊で罰を受ける仕組みになっている。
その為、ディーンがネオ・ヴェイガンを裏切れば実戦経験のないディーンをフォローしてくれたゴドムや隊の先輩達がディーンの代わりに罰を受ける事になる。
「僕はヴァニスさんを救う為にここに来たんだ! だから僕がそんな事はさせない!」
「キオ……」
FXのCファンネルがディーンの量産型レギルスの頭部を切り離す。
「だから……ディーンは心配しないで、僕がきっと……みんなを守る救世主になるから」
FXはディーン機の頭部を回収する。
「キオ……」
ディーンも機体が戦闘不能ではあるが、仮に戦えたとしてもキオとこれ以上戦う気にはなれなかった。
キオはみんなを守る救世主になると言った。
不思議とディーンはそれを信じたくなった。
FXはディーン機の頭部を持ったまま戦場へと戻って行く。
2機のレギルスとダークハウンドとの戦闘はゼハート達も加わり優勢に進んでいる。
「死になさいよ!」
レギルスSはレギルスサイズを振るうが、レギルスRはかわし、レギルスRの後ろからギラーガ改が飛び出して来てギラーガスピアを振るう。
レギルスTがレギルスランチャーで援護し、ダークハウンドがレギルスTにドッズガンを放ち、Gサイフォス・ブレイヴがドッズバスターHをレギルスSに放つ。
「ガンダムじゃ奴はどうでも良いのよ!」
「シェリー落ち着きなさいって」
レギルスTはダークハウンドにビームバルカンと放ちつつ、レギルスランチャーを放つ。
「これ以上は流石にきついわ」
一度は流れを戻しつつあったが、ホワイトファングの増援で完全に流れは持って行かれている。
敵は何機もエース機が投入されているのに対してこちらはタチアナとシェリーのレギルスが2機だけだ。
その上、シェリーは焦りからいつもの戦いが出来てはいない。
すでに3隻の戦艦はグレート・エデンを突破する為に左右に分かれている。
グレート・エデンは正面から来るほわいとファングのフォトンブラスターキャノンに備える為に回頭をする事が出来ない。
「アセム!」
「ウルフ隊長! それに父さんも」
更にタイミングが悪く、Gファングとグランサが到着する。
「爺ちゃん! ウルフさんも付いたんですね」
その上、ディーン機の頭部を持ったままのキオも到着する。
ただでさえ勝ち目のない戦いで更に勝機が遠のく。
「キオ! AGEシステムがFXの新装備を構築したんだが、こいつは射出して使う事は出来そうにない、一度ディーヴァに戻ってくれ」
「分かりました!」
戦闘の前にAGEシステムが新しい装備を設計する事を聞かされていたが、設計した装備はディーヴァから射出して使える装備ではなかった。
「キオ、行って来い。ここは俺達で十分だ」
「頼みます……爺ちゃん。僕はなるよ。みんなを救う救世主に……地球の人だけじゃない。火星圏の人もヴァニスさんも含めてみんなを救える救世主に……」
「……好きにしろ」
「うん!」
それが今のフリットには精一杯の答えであった。
未だに過去にヴェイガンに受けた事を許せはしない。
だが、ウルフの言われた通りアセムやキオを信じて見る事にした。
しかし、今までの拘りを簡単に捨て切れる事も無い為、今はそう答える事が限界だった。
それでも、フリットの思いはキオには届いていた。
FXはディーヴァへと戻って行く。
「良く言った。フリット」
「父さん……」
「ぼさっとするな。敵はまだいるのだぞ!」
グランサはシールドライフルを放つ。
「アセム、お前は先に行くのだろう。後ろは私達に任せろ」
次の策ではグレート・エデンを突破したディーヴァ達はそのまま、ラ・グラミスに攻撃を仕掛ける手筈になっている。
ホワイトファングは遅れて到着している為、そのままグレート・エデンの戦力を足止めしてラ・グラミスを仕掛ける部隊を挟撃させないようにする。
その為、フリットはアセムを先に行かせる。
「それで構わんな。ゼハート・ガレット」
「フッ……まさか、貴方と共に戦う日が来るとは……」
ゼハートのファ・ザードも突破後はグレート・エデンの後方を抑える役目になっている。
ゼハートからすればフリットはアセムの父である前にビッグリング攻防戦やノートラム攻防戦、オリバーノーツ攻防戦、ロストロウラン攻防戦などで煮え湯を飲まされた相手でもある。
そんなフリットと共にアセムやキオの背中を守る為に戦うと言うのは奇妙な感覚ではあるが、当時に頼もしくもあった。
「頼む。父さん、ゼハート、ウルフ隊長」
ダークハウンドはストライダー形態に変形すると、ギラーガ改とGサイフォス・ブレイズを牽引してバロノークの方まで向かう。
3隻の戦艦はグレート・エデンを突破するとファ・ザードはグレート・エデンの背後を抑えてディーヴァとバロノークは補給が必要なMSを回収してラ・グラミスに侵攻する。
「陛下! 敵戦艦がグレート・エデンを突破しました!」
「増援はどうなっている」
「増援は敵部隊の襲撃を受けて応戦中です! ノートラムにはガンダムタイプのMSも確認されています!」
すでに増援で来れる範囲の部隊にはレオナールが集めた部隊に襲撃を受けている為、ラ・グラミスに来る事は出来なくなっている。
そして、ネオ・ヴェイガンにとっても重要な拠点であるノートラムにはバロックスを旗艦をした部隊が仕掛けている。
バロックスにはガンダムZERO ⅢSとジェノブレイズが配備されている為、ノートラムの防衛用に残して来た部隊では手に負えなくなっている。
「接近中の敵部隊の中にはガンダムが2機もいるとの事です!」
ラ・グラミスのブリッジは劣勢の中で動揺が広がっている。
圧倒的な戦力差で始まった戦闘だが、戦闘が開始されるとネオ・ヴェイガンが劣勢となり、今はグレート・エデンが突破されている。
その中心となっているのがディーヴァで接近中の敵部隊にはディーヴァと2機のガンダムと言う50年前のアンバットの悪夢を再現してるかのようだった。
その悪夢が再現されると言う事はこの戦いでネオ・ヴェイガンが負けるかも知れないとラ・グラミスの将校も考え始めている。
ネオ・ヴェイガンは連邦から寝返った兵も少なくはないが、ラ・グラミスの司令室には元ヴェイガンの兵しかいない為、50年前の悪夢を知らない者はいない。
「狼狽えるな。ジラードとコーデリアの出撃準備だ。私も出る。それとディグマゼノン砲をいつでも撃てるようにエネルギーをチャージしておけ。照準は連邦首都ブルーシアだ」
ヴァニスの指示で一応は動揺は収まる。
まだ、ラ・グラミスにはヴァニスとその親衛隊が残されている。
絶対的な力でネオ・ヴェイガンをまとめたヴァニスを将校達は誰も負けるとは思ってはいない。
ヴァニスは指示を出すと司令室から出て行く。
司令室を出たヴァニスは格納庫に向かう前にある場所へと足を運ぶ。
そこは前指導者のイゼルカントの為に用意された部屋だ。
イゼルカントはマーズレイの病で余命幾ばくも無い為、すでに自分では歩けない程衰弱している。
その部屋に備え付けられているベッドにイゼルカントは横になっていた。
「ヴァニスか……」
「間もなく最後の戦いが始まる」
「そうか……ヴァニス、私は戦争をしたかった訳ではない。世界を変えたかったのだ。人が人である世界を創造したかった……」
「人が人を愛するのが人が人である世界だと言うのであれば人が人を殺し合うのもまた人だ」
古来より人間は争いを繰り返して来た。
主張が合わない事から戦う事もあれば、大切な物を守る為に戦う時もあった。
故に戦いを続ける事もまた、人間らしさと言う事でもある。
「お前は何故戦う」
「それが私の存在理由だからだ」
「そうか……」
イゼルカントは目を閉じて眠りにつく。
次に目覚めるかは分からないが、次に目覚めた時に世界がどう変わっているかと言う事を考えながら。
そして、ヴァニスは最後の戦いに赴く。
ディーヴァに帰投したキオはディーンの乗る量産型レギルスのコックピットを格納庫にゆっくりとおいて機体をハンガーに戻る。
「ディーン!」
ハンガーに戻すとディーヴァの整備兵がロディの指示でFXの整備と新装備の装備に取り掛かる。
キオは機体から降りるとディーンの元に向かう。
ディーンもコックピットから出ると少しバツが悪そうにする。
「キオ……俺」
「分かってるよ。ディーン。ディーンはルウの為にやったんだよね」
キオもディーンがルウの為に戦う道を選んだと言う事は理解している。
自分がヴァニスを止める為に戦う道を選んだ事を同じだ。
キオとディーンはそのままパイロットの待機室に移動する。
「俺さ……自分がルウの為に何も出来なかったから、ルウの為にせめて墓は地球に作ってやりたいと思ったんだ」
「そんな事は無いよ。僕だってルウに何かをしてあげられた訳じゃないよ」
キオはただルウと話して遊んでいただけに過ぎない。
それはキオがオリバーノーツにいた時から友達と毎日何気なくやっていた事に過ぎない。
「でも……ルウやディーンで出会う事が出来たから僕は僕の戦いを見つける事が出来たんだ」
セカンドムーンでの出会いがあったからこそ、キオはキオの道を見つける事が出来た。
だからこそ、キオはここにいる。
「キオ! ガンダムの整備が終わったぞ!」
ディーンと話しているうちにFXに追加装備と簡単な整備と補給が終わり、ウットビットが呼びに来る。
「ディーン、僕はヴァニスさんを止めて戦いを終わらせるよ。そうすればきっとルウのお墓を地球に作る事が出来る」
「キオ……頼む」
「うん」
キオはウットビットと共に格納庫に戻る。
「これが……AGEシステムが導き出したガンダムの新しい装備……」
「ああ、FXのフルアーマー仕様、その名もフルアーマーAGE-FXだ!」
格納庫にはAGEシステムが新たに設計したFXの新装備を装備した姿となっている。
ウットビットが言うように新たな装備は武器だけでなくウェアとは違い、FXの全身に新たな武器と共に装甲を増設したフルアーマー仕様であった。
左腕にはシールドの先端にダークハウンドのドッズランサーのランス部に良く似た槍が装備され槍の部分には4門のドッズガンが内蔵されているシールドランス、右手には追加バレルを新規で製造してスタングルライフルの装着したダイダルバズーカ、右肩にはダブルバレットが装備していたツインドッズキャノンを2門合わせたダブルドッズキャノンが装備されている。
左肩にはシグマシスキャノンが装備され、全身の追加装甲には小型のカーフミサイルが内蔵されている。
全体的に火力は増加されているが、重量が増えた為に機動力が低下しているが、シールドにはビーム拡散フィールドを展開する事で機動力を低下しても防御力を上げる事で補い、追加装甲にも小型の光波推進システムが内蔵されている為、機動力の低下は最低限になっている。
それでも機動力の低下はしている事もあり追加装甲は必要に応じてパージする事が可能となっている。
全身に追加装甲を装備した事でCファンネルはバックパックのスラスターに集約して新規に製造された物が14基装備されている。
「フルアーマーAGE-FX……凄い装備だけど……」
「これから戦うヴァニス・イゼルカントって化け門みたいに強いんだろ? お前がその人を説得しよとする前にお前がやられち待ったら意味がないだろ?」
「それはそうだけど……」
追加装甲と全身に装備を追加され過剰とも言える装備を使う事はキオは余り気が進まない。
だが、ヴァニスを救おうとしても、一度はヴァニスと全力でぶつかり合う事は避けられない。
自分を守る為には今はこの装備が必要であるとキオは自分を納得させてフルアーマーAGE-FXに乗り込む。
フルアーマーAGE-FXにキオが乗り込み再度発進準備に入る間にキオは機体の装備を確認する。
「キオ・アスノ。フルアーマーAGE-FX……行きます!」
ディーヴァからフルアーマーAGE-FXが射出され、キオはヴァニスとの戦いに向かう。
決戦に臨むヴァニスは更衣室で専用に用意されていたパイロットスーツを着用していた。
今までは必要がないと言う事で切る事は無かったが、今回はギリギリの戦いになった時に少しでも長く戦えるようにパイロットスーツを着用するのだった。
そして、パイロットスーツを切るとヘルメットをつける前に仮面を取る。
今回は全力でキオを倒す為、自身の能力を制御する仮面はもはや必要はない。
仮面を取ってヘルメットをつけると格納庫に向かう。
そこには更なる武装強化を施したガンダムレギオン・アブソリュート・イレイザーがヴァニスを待っていた。
レギオン・アブソリュート・イレイザーはレギオン・イレイザーを更に武装強化を施したMSだ。
最大の特徴は両肩にシドから得たデータを元にシドの両翼をレギオンのサイズまで小型化した翼を装備しているところにある。
左右に3門つづのビームガンが装備され、シド同様にビームが追尾する事が可能だ。
右腕にはレギオンライフルが装備されておらず、レギオンキャノンが展開した状態となっており、右腕にも左腕同様にレギオンシールド改が装備されている。
バックパックのCファンネルが装備されている光波推進システムの翼の間には8連装ミサイルポッドが追加されている。
両肩にシドのウイングを追加した事で左右に射線を取る事の出来た肩のシグマシスキャノンは前方に対してのみしか撃てなくなり、バックパックに追加された8連装ミサイルポッドのせいでミサイルポッドをパージしなければ脱出装置であるレギオンコアは機能しなくなっている。
その上、上半身に武装が集中している事もあり、重心がかなりずれている為、格納庫ではワイヤーで固定しなければすぐにバランスを崩してしまう。
ヴァニスはレギオン・アブソリュート・イレイザーに乗り込む。
「キオ……最後の決着をつけるぞ。ヴァニス・イゼルカント……ガンダムレギオン・アブソリュート・イレイザー、出る」
前方のハッチが開閉されると機体を固定するワイヤーを無理やり引きちぎり、レギオン・アブソリュート・イレイザーはラ・グラミスから出撃する。
そして、ヴァニスとキオの最後の戦いが幕を開けた。