機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第111話

 

 

 

 

 地球圏に戻ったディーヴァとアブディエル改は司令部の指示で宇宙に上がったバロノークとバロノークの指揮下に入った2隻のディーヴァ級に出迎えられた。

 バロノークからはアセムが火星圏での情報を共有する為にディーヴァに移乗している。

 

「お姉ちゃんよ。どうしてもこれを着なくてはいかんのか?」

 

 ディーヴァのパイロット用の待機室でパイロットスーツを着たエリスが不満気にそういう。

 

「アレを扱うにはそのパイロットスーツは必須なんだって」

 

 マリィはパイロットスーツに繋いでいる端末の数値を確認している。

 エリスはパイロットスーツの窮屈感を嫌い着用する事はほとんどなかったが、ガンダムZERO Zを乗るに当たりクライドから専用に用意したパイロットスーツの着用が絶対条件として出された。

 それはガンダムZERO Zの性能をすべて引き出す為には必要な事だからだ。

 専用のパイロットスーツをなしにモードZEROは扱えない。

 

「数値は許容範囲内っと……」

 

 マリィはパイロットスーツが正常に機能している事を確認する。

 

「あれが父さんが開発した最強のガンダムか……思っていたよりも地味だな。もう少し派手なガンダムをイメージしていたのだが」

「だよね。装甲も厚いっちゃ厚いけどさ……それに火器もバルカンとライフルだけとかありえないって」

 

 エリスもマリィもクライドが長年をかけて完成させた最強のガンダムであるガンダムZERO Zの性能に懐疑的だった。

 数値上の性能は既存のMSとは次元が違うが、外見からは想像もつかない。

 特徴もバックパックの翼状の光波推進システムくらいで武器も最低限の装備しか用意されていない。

 

「それでもパパ曰く、このガンダムに隠された力を解き放つと世界を救う事も出来れば世界を滅亡させる事も出来るらしいわよ」

「それはずいぶんと大きく出た物だな」

「まぁね。後、パパからの伝言、ゼータのモードZEROは稼動実験が終わってないから終わるまで使うなだって。この意味は分かってるわよね」

「無論だ」

 

 ある程度の稼動テストは火星圏で終えているが、AGEドライヴのリミッターを解除した状態であるモードZEROはエリスが乗らなければテストも出来ない為、まだ一度もテストはしてはいない。

 パイロットスーツの確認を終えると次はガンダムZERO Zの最終調整に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディーヴァのブリーテフィングルームで火星圏で得た情報の共有が行われていた。

 

「まさか、これほどの数を集めていたと言うのか」

「こいつらの大半は旧式で無人機だろう。つまり、主力は温存してある筈だ」

 

 敵の動きにパイロットの癖がなく、すべてのMSが一糸乱れない隊列で進んでいる事からクライドはそう予想する。

 ノアの周囲に展開していたMSは無人機にすればパイロットを疲弊させる事も無くノアの防衛に当てる事が出来る。

 主力でないと判断した理由として大部隊の中にゼイ・ドゥのようなUIEの主力機が見られない事や火星圏を通過する時から防衛に使っている為、ある程度経ったらノアに収容して整備と補給の必要が出て来るので主力部隊をいつでも使えるようにまだ出してはいない筈だからだ。

 

「こちらの予測が最悪の形で当たったと言う事か……」

 

 連邦軍でもエリスの証言からUIEの狙いは戦力を集めて大規模な作戦行動を行う可能性も視野に入れていたが、その予測は最悪の形で当たっている。

 推定できる戦力はノアの周囲に展開しているMSの数は連邦軍の総戦力にも匹敵する。

 これで主力部隊を温存しているとなれば、連邦軍にとっては絶望的だ。

 

「それに敵の狙いが分かった。すぐにラ・グラミスに進路を取って欲しい」

「本当ですか?」

「まぁな。今回ばかりは外れて欲しいがまず間違いない」

 

 クライドは地球圏に来るまでに火星圏でUIEの拠点であるノアの事はラ・グラミスの司令部に報告しているが、UIEの目的がおおよその見当がついた事は報告していない。

 もしも、クライドが気づいたと言う事がUIEに気づかれた場合、UIEはクライドの口を塞ぎに来るだろう。

 ディーヴァとアブディエル改にはまともな戦力がいない為、UIEの襲撃を受ければ確実に沈む。

 その為、UIEの目的に関しては一切の口外を避けて来た。

 

「分かりました。ディーヴァとアブディエルは責任を持って俺達がラ・グラミスまで送り届けます」

 

 話しがまとまりかけた頃、ディーヴァ艦内にアラートが鳴り響く。

 

「どうした?」

 

 すぐにグルーデックがブリッジに何事かと状況の把握を始める。

 

「何だと! すぐにMSの出撃をさせろ!」

「艦長、何が?」

「敵襲だ。UIEのMSがこちらに向かっている。数は推定で50、それとは別にシドと思われる大型MSが10機だそうだ」

 

 現在、ディーヴァに接近しているMSはUIEのナイトルーパー改が約50機に加えてシドが接近していた。

 恐らくは火星圏でブラッディゼイドラとバスタークロノスの2機と交戦した事でディーヴァとアブディエル改が戦闘データを地球圏に持ち帰った可能性を考えて司令部に伝わる前に叩いておこうと言う算段だろう。

 UIEの計算違いはバロノークとディーヴァ級が2隻、ディーヴァとアブディエル改と合流する為に火星圏方面に向かっていた為、仕掛ける前に合流してしまった事だった。

 その為、量産したシドを10機も投入して確実に叩こうとしていた。

 

「シドが10機……」

「ネオ・ヴェイガンが回収したシドの残骸はUIEに渡ったらしい。連中はコロニー国家間戦争時代の奴らだ、EXA-DBのデータがなくともシドの残骸からシドの複製を量産する事は容易いさ」

 

 アセムはシドの力は嫌と言う程知っていた。

 ナイトルーパーが50機であればすべての戦艦の戦力を総動員すれば勝ち目がない戦いではない。

 だが、そこにシドが10機もあれば勝ち目はない。

 かつて、クライドの指示で動いていたシドは5年前にエリスに大破させられてネオ・ヴェイガンに回収されていた。

 その残骸と解析データはヴァレリによってUIEに渡っている。

 UIEはコロニー国家間戦争時代に組織された組織である為、当時の技術を持っている。

 その為、クライドが未だに隠し持ち技術を独占しているEXA-DBの中のデータがなくともシドを量産する事はさほど難しい事ではなかった」

 

「どうする……」

「なかなか、お誂え向きの状況じゃないか」

 

 ただでさえも数で圧倒されると言うのにシドが10機もいる事で勝つ事よりもいかにクライドの情報をラ・グラミスにいるフリットに伝えるかを考え始めていたが、クライドは不敵にそう言う。

 

「そうか……あのガンダムを使うと言うのだな?」

 

 グルーデックもクライドの意図に気が付く。

 確かにナイトルーパー改に数で圧倒され、シドが10機と絶望的な状況ではあるがクライドが開発したガンダムZERO ZとAGEシステムが新たに考案したガンダムAGE-FX-CSならこの状況を打開できるかも知れない。

 ガンダムZERO Zはクライドが自身の生涯をかけて設計し、最強のガンダムだと自身を持ったMSでガンダムAGE-FX-CSはAGE-FXの戦闘データから新しく設計したMSで2機ともその性能は未知数だ。

 

「そうだとも。圧倒的な敵を前に新型機を投入する。中々燃えるじゃないか。尤も1機程邪魔なガンダムがあるが背に腹は代えられんか」

 

 クライドにとってはこの状況は好機であった。

 10機のシドを前に絶望的な状況ではあるが、それを自身の開発した最強のガンダムであるガンダムZERO Zがその力を持って打開すると言う展開はガンダムZERO Zのデビュー戦としては最高の演出だ。

 クライドの中にはガンダムZERO Zを投入して負けると言う可能性はあり得ない。

 問題点があるとすればディーヴァにはもう1機のガンダムであるガンダムAGE-FX-CSが搭載されていると言う事だ。

 ガンダムZERO Zが1機で十分だとは思うが、クライドとしては次回作の為にAGEシステムが生み出した新しいガンダムの性能も実戦で見てみたかった。

 

「新型のガンダムは2機とも調整が終わってない。少し時間を稼いで欲しい」

「分かった」

 

 現在、2機のガンダムはクライドにとってはタイミングが非常に良く専属のパイロットに合わせた最終調整の途中で出撃は出来ない。

 その為、MS隊が時間を稼がなくてはいけなかった。

 圧倒的な敵を前に時間を稼ぐのも難しいが、今は生き残る為には新型のガンダムが出撃するまでの時間を稼ぐしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 接近するUIEのMS隊に対応する為にバロノークやディーヴァ級からMSが射出される。

 クランシェⅡが飛行形態で先行する。

 クランシェⅡは指揮官用であったクランシェカスタムを一般兵士用に正規採用したMSでカラーリングがクランシェと同じになっている以外はクランシェカスタムとの差異はない。

 先行するクランシェⅡの部隊がドッズキャノンとドッズライフルでナイトルーパー改に攻撃を開始する。

 ナイトルーパー改はかわしつつ、ドッズバスーカで応戦する。

 クランシェⅡはMS形態に変形するとビームバルカンで牽制しつつ、攻撃をかわす。

 だが、ARISUシステムで稼働しているナイトルーパー改は一糸乱れない完璧な連携が可能である為、ドッズバズーカをかわしたクランシェⅡの背後からロングビームサーベルで切り裂く。

 そのまま、ドッズバズーカの火力に圧倒されて先行していたクランシェⅡの部隊は追い込まれるが、バロノークから出て来た2機のGブラスターのシグマシスライフルで何機かまとめて撃墜される。

 

「新型のガンダムが出て来るまで時間を稼ぐぞ」

 

 アセムのAGE-2はハイパードッズライフルを放つ。

 一撃目でナイトルーパー改のドッズバスーカを持つ右腕を撃ち抜いて二撃目でナイトルーパー改を撃ち抜いて破壊する。

 後方からGブラスターがシグマシスライフルを放つ。

 ナイトルーパー改はGブラスターにドッズバズーカを向けるも、2機のクランシェカスタムがビームサーベルを抜いて同時に攻撃してナイトルーパー改を撃墜する。

 

「シドが出て来る前に少しでも数を減らさないとな」

 

 シドはまだ距離がある為、すぐに交戦すると言う事は無い。

 だが、いずれは戦場に到着するだろう。

 そうなれば状況は一気に変わる。

 そうなる前に少しでも敵の数を減らしたい。

 AGE-2はハイパードッズライフルでナイトルーパー改の足を撃ち抜いてバランスが崩れたところにジョシュアのアデルマークⅢがビームサーベルでナイトルーパー改を破壊し。グラストロランチャーを放つ。

 ある程度の数を減らす事が出来たが、ついに戦場にシドが到着する。

 シドのビームガンにクランシェⅡは成す術もなく撃墜される。

 

「シド……各機あれに不用意に近づくなよ」

 

 AGE-2はストライダー形態に変形するとハイパードッズライフルを放ち、シドに向かって行く。

 後方からはアデルマークⅢがグラストロランチャーでGブラスターはシグマシスライフルで援護を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘が開始され、シドが戦線に到着してもまだ2機のガンダムの調整は終わらない。

 

「まだ終わらないんですか!」

 

 FX-CSのコックピットでキオは叫ぶ。

 外の戦闘を感じ取れるが故に出撃出来ない事に苛立ちを覚えている。

 

「こっちの調整は終わり。後はこいつをコンソールにセットして」

 

 FX-CSの調整をしていたマリィがFX-CSの力を引き出す最後のカギであるAGEデバイスを放り投げてキオに渡す。

 

「これって……AGEデバイス? マリィさんがどうして?」

 

 5年前にFXのコックピットに置きっぱなしにして来たAGEデバイスをマリィが持っていた事を疑問に思いつつも、今はそんな事を考えている暇はない為、キオはAGEデバイスをコンソールにセットして機体のシステムを立ち上げる。

 同様に最終調整を終えたガンダムZERO Zと共にFX-CSはディーヴァのカタパルトに移動される。

 

「父さん……大丈夫だよな」

「案ずるな」

 

 外の戦闘の情報が殆ど得られないが、自分達が調整の終わっていない新型機の調整が終わる事を待たされると言う事は新型機の力が必要な状況である事は理解できる。

 キオはアセムの力を信じてはいない訳ではないが、状況が分からない為どうしても心配になってしまう。

 

「エリスさん?」

「主役は遅れて来ると相場は決まっている。今事は私達の新型機の華々しいデビューに向けてステージが整っている頃だろうな」

 

 エリスがそう言っている間に2機はカタパルトにセットされる。

 

「キオ・アスノ。ガンダムAGE-FX-CS……行きます!」

「エリス・アスノ。ガンダム。出るぞ」

 

 2機のガンダムはディーヴァから射出されて戦場へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 シドが到着した事で連邦軍は確実に押され始めている。

 クランシェⅡはすでに全滅状態であった。

 

「化け物が!」

 

 AGE-2はシドの注意を引く為にハイパードッズライフルを放つ。

 シドはビームガンを放ち、ビームはAGE-2を追尾する。

 アセムの卓越した操縦技術を持ってAGE-2はシドの砲撃をかわして懐に入りハイパードッズライフルをシドに向ける。

 だが、別のシドの攻撃でAGE-2は攻撃を中断してシドから離れる。

 

「ちぃ!」

 

 そして、シドの砲撃は更に増えてAGE-2を襲う。

 1機だけであればアセムの操縦技術ならかわし切る事も可能だが、これだけの数はアセムの操縦技術を持ってしても回避する事は不可能だった。

 

「隊長!」

 

 AGE-2はシールドで胴体を守るが、シドのビームで右腕や頭部、左足などが吹き飛ぶ。

 

「ぐっ!」

 

 シールドで何とか胴体を守ってはいるが、いずれはシールドも限界が来る為、流石に今回ばかりは諦めかけるが、AGE-2の前にCファンネルが割り切んでビームを防いだ。

 そして、シドをビームが撃ち抜いて一撃でシドを破壊する。

 

「父さん!」

「キオ……それにエリスなのか」

「待たせたな。主役の登場だ」

 

 後方からガンダムZERO ZとFX-CSがAGE-2を追い抜く。

 

「副隊長、父さんを頼みます。アイツらは僕達で抑えます!」

「頼む」

 

 アデルマークⅢが大破したAGE-2を回収し、Gブラスターの援護射撃と共に後退して行く。

 

「抑えるか……まどろっこしいな。殲滅して皆殺しで構わんだろう」

「無茶苦茶ですよ」

「安心しろ。敵は無人機のみだ。人は殺さんよ」

 

 ガンダムZERO Zはスタングルライフルを放つ。

 その一撃は射線上のナイトルーパー改をあっさりと消滅させる。

 

「脆いな」

 

 ガンダムZERO Zの火力を確認したエリスはわざと足を止めてナイトルーパー改はドッズバズーカを放つ。

 だが、ガンダムZERO Zはシールドで受け止める。

 ビーム拡散フィールドを展開するまでもなく、シールドの防御力だけでシールドは傷一つつかない。

 

「ガードは固いな。まるで私のようじゃないか」

 

 ガンダムZERO Zは頭部のビームバルカンと放つ。

 本来は牽制やミサイルの迎撃用のビームバルカンではあり、威力は大した事は無いがそれはガンダムZERO Zの武器と比較してであった。

 重装甲の筈のナイトルーパー改の装甲をビームバルカンは易々を貫いて破壊する。

 

「成程、あの父さんが最強と銘打つだけの事はあるか。次は機動性だ」

 

 エリスはペダルを強く踏んで一気に加速する。

 ガンダムZERO Zは既存のMSとは段違いの加速を行い、ガンダムZERO Zはビームセイバーを抜いた。

 通常のビームサーベルよりも高い出力を持つビームセイバーにガンダムZERO Zの高い機動力を合わせるとナイトルーパー改では対応できない。

 ドッズバズーカを放つも当たる事は無くビームセイバーで切り裂かれて破壊された。

 

「凄い……」

 

 FX-CSはビームニードルガンを放ちナイトルーパー改を撃墜する。

 掌に内蔵されているビームサーベルをスライドさせて手持ちにする。

 FX-CSのビームサーベルはヴェイガン製のMSのように掌から直接ビームサーベルを展開する事も出来るが、手持ちのビームサーベルとしても使う事が出来る。

 それにより直接展開するタイプよりもビームサーベルの取り回しが良くなる。

 ビームサーベルの出力を上げて鞭のように使いナイトルーパー改を撃破する。

 

「Cファンネル!」

 

 FX-CSはCファンネルを展開する。

 Cファンネルはナイトルーパー改の胴体を正確に貫いて破壊する。

 その後もCファンネルとビームニードルガンは正確にナイトルーパー改を撃墜する。

 FX-CSの最大の武器は攻撃の正確性である。

 キオが敵のパイロットを殺さないようにコックピットを正確に避けて武装などを破壊する為の正確さではあるが、今回のように相手が無人機の場合はキオも手加減する事なく撃墜する事が出来る。

 その時にFX-CSの正確な攻撃は正確に敵の急所を攻撃する事で最小限の労力で敵を破壊する事が出来る。

 

「敵の動きはいつも以上に見える」

 

 ナイトルーパー改の動きはキオにはいつも以上に先読みする事が出来る。

 そして、その反応速度にFX-CSは完璧について来る。

 ナイトルーパー改をビームニードルガンで破壊したFX-CSにシドがビームガンを放つ。

 FX-CSはビームシールドで防ぐ。

 

「シド……一気に決める!」

 

 FX-CSはバーストモードを起動させた。

 機体が青白く発光し、両腕のビームシールドの発生装置から巨大なビームソードが発生する。

 一気にシドに突っ込むがシドはビームガンで応戦する。

 シドのビームガンの攻撃をFX-CSから発せられている青白い光がFX-CSを守る。

 バーストモードを起動しているFX-CSはAGEドライヴが引き起こして来た超常現象を小規模ながら発動する事が出来る。

 それによってバーストモードを起動しているFX-CSは圧倒的な防御力を持つ。

 その上、ビームシールドから出ている巨大ビームソードも同じ現象によって作られている。

 その為、巨大ビームソードはあらゆる物を切断する事が出来る最強の剣でもあった。

 FX-CSはシドを巨大ビームソードにて一撃で両断して破壊した。

 

「キオも中々やるようになったな。ショタではなくなった癖に」

 

 ガンダムZERO Zはナイトルーパー改にビームセイバーを突き刺した。

 

「あれでは私が目立たんではないか……」

 

 ビームセイバーをナイトルーパーから抜くとナイトルーパー改は爆散した。

 

「さて……モードZEROは絶対に使うなか……それは使えと言う振りなのだな。父さん」

 

 エリスは使うなと伝言されていたモードZEROを起動させる。

 すると、コックピット内のコンソールに「MODE ZERO」の文字が表示される。

 次にガンダムZERO Zが赤く発光し、光波推進システムの翼が大きく展開する。

 そして、それは起きた。

 ガンダムZERO Zはその場から消えた。

 消えたガンダムZERO Zはいつの間にか、シドの後方に移動しシドは切り裂かれて爆散した。

 それを見ていた人間が居ればガンダムZERO Zは瞬間移動をしたように見えただろう。

 これがガンダムZERO ZのモードZEROの力でクライドがガンダムZERO Zを最強のガンダムを言う所以だ。

 モードZEROを起動したガンダムZERO Zは瞬間的に機体を光速まで加速させる事が出来る。

 それにより一見しては瞬間移動しているかのように見えたのだった。

 光速で動くMSに対していかに高レベルのXラウンダーとて反応する事は実質的に不可能で奇跡的に反応する事が出来たとしてもそれに対応する事は出来はしない。

 敵を一撃で破壊出来る攻撃力を持つガンダムZERO Zに光速で移動する事の出来る機動力を合わせた事で反応出来ず防ぐ事の出来ない一撃にて敵を破壊する事が出来る為、クライドはガンダムZERO Zを最強のガンダムとした。

 

「ハァハァ……何だ。父さんはとんだ化物を作ってくれたな」

 

 機体を光速まで加速させると当然の事ながら、それ相応のGがパイロットを襲う。

 その対策としたコックピットを新設計し、専用のパイロットスーツも特殊素材や薬理的にパイロットにかかるGを軽減させるなど、様々な対G対策をしているがそれでも完全ではなく、とんでもないGがエリスにかかっていた。

 加速した瞬間に本能的に操縦桿を力の限り握った為、操縦桿から手が離れる事は無かったが、エリスにかかるGで一瞬だけだがエリスはブラックアウトをしかけた。

 これが普通の人間ならばブラックアウトでは済まず、Gに押しつぶされて死んでいただろう。

 だが、エリスの肉体は普通の人間とは比べものにならない程、強靭だった為にブラックアウトをしかけただけで済んだ。

 

「だが……私ならば使いこなして見せるさ!」

 

 ガンダムZERO Zは再び光速まで加速する。

 今度は前もって分かっていた為、Gに耐える事が出来るが一瞬でも気を抜くと操縦が狂いそうになる。

 ビームセイバーでナイトルーパー改を薙ぎ払いシドの後ろを取るとスラングルライフルでシドを撃ち抜く。

 

「エリスさん!」

 

 シドはガンダムZERO Zにビームガンを放つ。

 ガンダムZERO Zは通常モードで追尾するビームをかわしてスタングルライフルでビームを迎撃する。

 

「次だ。今度は連携攻撃を決めるぞ。キオ」

「はい!」

 

 ガンダムZERO ZはモードZEROを起動し、FX-CSはバーストモードを起動する。

 赤と青に発光する2機はシドに向かって行く。

 シドはビームガンを撃とうとするも、光速で移動するガンダムZERO Zの方が早くビームセイバーで翼の片方が切り裂かれる。

 そして、背後からガンダムZERO Zはビームセイバーを構えてシドに向かう。

 FX-CSは巨大ビームソードで残っている翼を切り裂く。

 2機は互いに当たらないようにシドの前後からビームセイバーと巨大ビームソードをシドに突き刺した。

 2機はシドから離れるとシドは爆発を起こして破壊される。

 

「さて……シドは残り5機か……ここからも私達のターンだ」

 

 圧倒的な性能を持つガンダムZERO ZとガンダムAGE-FX-CSにシドが5機集まったところで戦いになる事は無く一方的に戦いは終わった。

 その圧倒的とも言える戦いに戦場の誰もが息を飲んでいた。

 

「これが最強のガンダムの力か……流石の私もこいつはキツイな」

「エリスさん?」

 

 戦闘が終わると気が抜けたのかエリスは意識を失う。

 元々、モードZEROはパイロットへの負担が異常でエリスでなければ確実に死に至る程でそれを何度も起動させて機体を光速まで加速させると当然エリスへの負担も大きくなる。

 その為、エリスの体は限界だった。

 エリスが意識を失った事でキオがエリスのガンダムZERO Zをディーヴァまで運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2機のガンダムにより圧倒的な戦力差は覆された。

 その後はUIEも仕掛けて来る事は無く、ラ・グラミスにディーヴァは入港する事が出来た。

 ディーヴァがラ・グラミスに入港するとすぐにクライドはフリットに呼び出されてラ・グラミス内の会議室に向かった。

 

「兄さん、帰還してさっそくで悪いが兄さんはUIEの狙いについて分かったと聞いている」

「今の俺は機嫌が良いから、言いたくない事以外なら何でも答えてやる。火星圏でのノアの進路と速度を見た時にピンと来たね。奴らの目的は計画名のそのままだと言う事にな」

「計画名……まさか」

 

 計画名と言う事ですぐに出て来るのはウルフが得たブレイクアース計画だ。

 そのままの意味で考えると地球を破壊する計画だが、現実味のない事からミスリードの可能性が高いと考えられていた。

 しかし、クライドはそれがそのままの意味であると火星圏で気が付いた。

 その言葉に集められた軍の将校達も動揺を隠せない。

 現実味はないが、クライドが言い切る以上は何かしらの確証は掴んでいると言う事だ。

 

「しかし、お言葉ですが地球を破壊する可能性のある兵器はEXA-DBの中にもないと以前、アスノ博士は言っていたではないですか」

 

 クライドが連邦軍に戻って来てすぐに地球を破壊する程の兵器の情報がEXA-DBの中にあるかは聞いている。

 だが、クライドはそんな物は存在しないと言っていた。

 

「それにそれだけの兵器を建造したとして軍が気づかない訳がありません」

 

 ノアを建造した時はUIEの存在その物を知らなかった為、気づく事は無かったが、連邦軍はヴェイガンやネオ・ヴェイガンとの戦争中もUIEの動向には気を配っていた。

 地球を破壊する程の超兵器を建造していたとなると、それだけの資材や資金が動く事になる。

 流石に連邦軍がそれを見逃すとは考えられない。

 

「確かにな。だが、アルグレアス……君は地球を破壊する為に超兵器が必要だと考えてそれを作れば気づかない訳がないと思っているな? そこが盲点だった。そもそも地球を破壊する為に超兵器は必要ないんだよ」

 

 地球を破壊するとなった時に破壊方法として誰もが思う事は地球を破壊出来る程の威力を持った超兵器の存在だ。

 それはクライドも考えたがそれ程の兵器は存在しないと結論づけた。

 それがそもそもの間違いだった。

 

「どういう事だ。兄さん」

「非常に簡単な答えだ。ノアを地球にぶつければ良い。それで地球は終わる」

 

 クライドの言葉に誰もが一瞬、思考が停止した。

 余りにも唐突だが、確かに可能だ。

 ノアは全長4千キロにも及ぶ超ド級戦艦でそれを地球に落とせば地球を破壊する事は不可能ではない。

 

「ノアは設計後に大きな欠陥が見つかった。それは余りにも質量が多すぎる為にメインスラスターである一定以上に加速をするとサブスラスターでは止める事が出来ないと言う事だ。そして、すでにノアの速度を自分で止める事が出来ない速度になって地球に真っ直ぐ向かってる。これだけ言えば馬鹿でも分かる」

 

 ノアが製造されなかった理由として資金や資材の問題が挙げられていたが、それだけでなくノアの後部にはメインスラスターが搭載されているが、それで加速した場合、一定以上の速度になると艦に搭載されているサブスラスターでは減速させる事が出来ないと言う致命的な欠点がある事が判明した。

 元々、クライドは遊び半分で設計したため、当然の欠点だったと言える。

 

「つまり、今からノアを制圧しても止める事は不可能と言う訳か……ならば、破壊するしかないか」

「しかし、あれだけの戦艦です。破壊するにしても容易ではありません」

「分かっている。だが、アレを地球に落とせば地球は終わりだ。地球の住民の全てをコロニーに避難させるなど不可能だ。ならばやるしかないだろう。兄さん、ノアを破壊する事は可能なのか?」

 

 ノアを破壊すると言っても全長4千キロもある為、簡単に破壊出来る代物ではないが、破壊しなければ地球は終わりだと分かっている以上は破壊するしか地球を守る術はない。

 

「可能かどうかで言えば可能だけど、全長4千キロに連中にとっても失敗の出来ない作戦だ。防衛網は厚いぞ」

 

 ノアを破壊されてしまえばUIEの作戦は失敗し、次はない。

 作戦を確実に成功させる為に今までUIEは戦力を集めて来たのだ。

 推定できるだけでも連邦軍の戦力の何倍も戦力を集めている事は確実だ。

 

「それも承知の上だ。だが、地球を守る方法がノアの破壊と言うのであれば我々は地球を守る為にノアの破壊を完遂するしか道はない」

 

 動揺していた将校も、地球を守る為にはノアを破壊するしかないと聞くと腹を括る。

 

「ようやく、ヴェイガンとの戦争も終結の兆しが見えて来たのだ。地球は何としても死守しなければならん。兄さん、我々に残されている猶予はどのくらいある?」

「そうだな……防衛線を幾重にも張って最終防衛線をギリギリのところで見積もると一か月と言う所か」

「一か月……それが我々に残された猶予と言う訳か」

 

 クライドの計算ではノアを破壊した時の余波が地球に影響を与えない最終線を超えるのは一か月と予測した。

 一か月後と言うと長く感じるが、実際に防衛線の準備をするとなると猶予はほとんどない。

 

「すぐに戦力の確保に入る。地球圏の全域から連邦軍の部隊を防衛線の付近に集結させる。他にもマッドーナ工房を初めとした工房や退役した軍人、MSの搭乗経験を持つ人材の確保、ネオ・ヴェイガンの残党軍や反政府勢力にも呼びかけを行う」

 

 連邦軍だけでは確実に戦力は足りない。

 UIEは確実に連邦軍と戦っても勝てると踏んで行動を起こしている筈だからだ。

 まずはマッドーナ工房のように比較的連邦軍に協力を取り付け易い工房や、今は退役している退役軍人、過去にMSの搭乗経験のある者を集めて戦力を確保するがそれでも戦力が十分とは言えないだろう。

 その為、危険な賭けではあるがネオ・ヴェイガンの残党軍や反政府勢力の戦力もあてにするしかない。

 彼らも連邦軍に属する事はないが、地球の危機となれば力を貸してくれると信じたい。

 

「皆、我らの故郷である地球を守る為に一丸となって尽力をして欲しい!」

 

 一か月後にUIEが超ド級戦艦「ノア」を地球に落として破壊するブレイクアース計画を阻止する為に連邦軍は動き出す。

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