機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第12話

「アンバットを光学カメラで視認、敵艦及びMSを補足」

 

 ドレイク海賊団の依頼を受けたアブディエルはドレイク海賊団の戦艦とともに宇宙要塞アンバットに接近していた。

 宇宙要塞アンバットはその名の通り、蝙蝠を思わせる形をしており、連邦軍が老朽化の為に廃棄したが、バッカニア海賊団が占拠しておりある程度の砲台などが設置されている。

 そのアンバットの正面にはバッカニア海賊団の戦艦が10隻近く展開している。

 すでにMSも展開され、その数は100機近く展開され軍隊に匹敵すると言われているのもあながち冗談で無いことが窺える。

 

「改めて見ても凄い数だよね」

 

 アルフレッドはそう言うがその口調は固い。

 機体性能では自分達の方が高くてもあれだけの数を相手にするのは決して楽とは言えない。 

 

「そうね……クライド、準備は良い?」

「いつでも」

 

 クライドはガンダムZEROの中でシステムをチェックしながらそう言う。

 今回ガンダムZEROに装備されているアーマーは近接戦闘での攻撃力を重視したグラディエーターアーマーを装備している。

 アーマーは緑で統一され、ノーマルアーマーやブリーズアーマーと比べると装甲の厚さが窺える。

 武装は両腕と両足の爪先のアーマーに高出力のビームソードが装備され、戦闘時にマニュピレーターで保持する必要も無く、装甲に固定されエネルギーを機体から直接得ることが出来るため、ノーマルアーマーのビームサーベルよりも高出力で維持することが出来る。

 バックパックにはノーマルアーマーよりも大口径のスラスターを二基搭載し、それによりノーマルアーマー以上の重量でもノーマルに劣らない機動力を確保している。

 そして、グラディエーターアーマーの最大の武器の対艦刀「バルムンク」を背部に一振り装備している。

 両肩には大型シールドを右手にはビームショットライフルを装備している。

 

「全システム問題なし……アーマーとの接続問題なし……ガンダムZERO G(グラディエーター)……クライド・アスノ、出る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フン、ドレイクの奴……数を揃えて来たが、それでも我が艦隊には及ばんわい」

 

 アンバットに展開されたバッカニア海賊団の旗艦でバッカニア海賊団のリーダーのバッカニアが展開しているドレイク海賊団の艦隊を見てそう言う。

 

「でも、見慣れない船に見慣れないMSも何機かいるよ。父さん」

 

 旗艦の艦長席に座るバッカニアにパイロットスーツ来て戦闘準備が整った息子のエドウィン・バッカニアがそう言う。

 モニターにはガンダムZERO Gを始めとしたパラダイスロストのMSも展開しているのが分かる。

 

「たかが数機のMSでなにが出来る。あんなのは見掛け倒しだ。先生にかかればあの程度のMSなど敵ではないですな」

 

 バッカニアはそう言いブリッジの壁にもたれているシドウにそう言うと、シドウはモニターに映されているガンダムZERO Gを見る。

 シドウの見立てでもパイロットの腕は分からないが、機体の性能は相当な物だと言う事は分かる。

 

「良いだろう」

 

 シドウはそう言ってブリッジを出て行く。

 雇われの身である以上、相手がどのような力を持とうとシドウには関係ない。

 与えられた任務を全うするのみだった。

 

「エドウィン、あの見慣れない奴は放っておけ、お前はドレイクの娘には負けるなよ」

「分かっているよ。父さん」

 

 エドウィンもブリッジを離れ、バッカニア海賊団もMSを完全に展開させると戦闘が開始される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くよ!野郎ども!」

 

 フランの掛け声とともにドレイク海賊団は攻撃を開始する。

 フランが乗っているMS「グレートパイレーツ」は名前こそは大層だが、実際をジラをベースとして左腕に鎖で腕に繋がれている棘尽きの鉄球に右手にはバズーカを、腰にヒートホークを装備したカスタムMSである。

 グレートパイレーツは鉄球を振りまわして敵機を粉砕する。

 

「ほらほら!アタイのお通りだよ!死にたくない奴は下がんな!」

 

 バズーカで敵機を撃墜すると、グレートパイレーツに銃弾が飛んで来るが、グレートパイレーツは鉄球を振りまわして鎖で銃弾を弾く。

 

「相変わらずの力技だね」

「ようやくお出ましか!」

 

 エドウィンはゼノとベースとし、右手に片刃のヒートサーベルに左手にはピストル型の銃を持ったゼノカスタムで出撃していた。

 グレートパイレーツはゼノカスタムにバズーカを放つが、ゼノカスタムはバズーカの弾丸を回避し、接近してヒートサーベルでグレートパイレーツのバズーカを切り裂いた。

 

「幾ら、パワーがあっても僕には通用しないよ」

「うるせぇんだよ!」

 

グレートパイレーツはヒートホークを手に取り、鉄球を振りまわし、ゼノカスタムは銃を撃ちながら後退する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ! レオ! あの海賊女に負けてられるかよ!」

「あまり、力まないでくださいよ。ジゼルさん」

 

 ジゼルのジェノアス・キャノンはジャイアント・バズーカの代わりにウィンターガーデンでも使用したガトリング砲を装備し、レオナールのジェノアス改は大型レールガンを装備している。

 ジェノアス・キャノンはガトリング砲を乱射して、目の前の敵を殲滅して行きビームランスに持ち変えると近くのジラに突き刺す。

 ジラに突き刺したビームランスを抜くと、近くのバッカニア海賊団のダーウィン級の戦艦にビームランスを突き刺し、至近距離で肩のビームキャノンを撃ち込み、レオナールのジェノアス改がレールガンを撃ち込んでダーウィン級が轟沈する。

 

「うっし! 大物撃破!次行くぞ!」

「だから、少し飛ばし過ぎですって!」

 

 レオナールはフランに対抗意識を燃やし過ぎているジゼルをフォローするためにシールドに内蔵されているミサイルを放ち付近の敵を撃破する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちは随分と白熱していますが、私はいつも通り行かせて貰います」

 

 アリスのデスドールは両手にヒートナイフを逆手に持ち、近くのジェノアスを切り裂く。

 ジェノアスを撃破すると、背後からヒートホークを振り上げていたジラを振り向きざまに胴体にヒートナイフを突き刺した。

 

「レディの背後を狙うとは海賊と言うのは随分と下品なことをするものですね」

 

 デスドールはジラに接近すると、ヒートナイフで頭部を切り落とし出来た隙と突き、胴体にヒートナイフを突き刺してジラを撃墜した。

 そして、背後にジラとゼノがそれぞれの武器を振り上げていたが、シャルルのGレックスがビームライフルで撃ち抜く。

 

「余計な手出しだったか?」

「いえ……まずますの援護です」

 

 アリスはそう言いながらヒートナイフを投擲し、Gレックスの背後のジェノアスの頭部にヒートナイフが突き刺さり、ユーリアのジェノワーズがビームライフルでジェノアスを撃ち抜いた。

 

「油断……大敵」

「全く……仲間になって初めての戦闘が海賊と組んで海賊を相手にするとはね……」

 

 Gレックスは両腕の小型シールドに内蔵されたビームガトリング砲で放ち、周囲の敵を撃破して行く。

 そして、ミサイルを一斉掃射してキャノン砲を放つ。

 

「これも私達の仲間になった宿命です。諦めて下さい」

 

 デスドールがヒートナイフを投擲し、空いた右手にビームスプレーガンを持ち、ビームで牽制しつつ、左手のヒートナイフでジラを破壊する。

 

「そのようだね」

 

 Gレックスはヒートクローでジェノアスを切り裂き、ジェノワーズがビームサーベルを抜いてジラを切り裂きすぐさま別のジラを両断して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「装甲が重いが動けない程ではないな……」

 

 クライドはガンダムZERO Gを操縦しながらそう言う。

 ガンダムZERO Gはビームショットライフルを近くのジェノアスに向ける。

 

「コイツの威力はどうかな?」

 

 クライドが引き金を引き、ビームショットライフルから無数のビームが散弾して放たれる。

 ジェノアスはシールドで防ごうとするが、散弾しているビームはジェノアスのシールドを砕いて行き、ジェノアスをボロボロに破壊し、ジェノアスは爆散する。

 

「射程は短いが至近距離でなら十分使えるな……」

 

 ガンダムZERO Gはビームショットライフルで敵を撃破して行くと、ジラがZERO Gにグレネード弾を投げようとしていたが、ZERO Gは頭部のビームバルカンでグレネード弾を撃つと、グレネード弾はその場で爆発し、ジラの腕を吹き飛ばす。

 そして、ガンダムZERO Gはジラに接近し、足の爪先の装甲に内蔵されているビームソードでジラを蹴り飛ばして両断する。

 

「他の装備も中々……相手が海賊ってのが少し不満だけどな……」

 

 クライドは近接戦闘を仕掛けて来る敵と左腕の装甲に内蔵されているビームソードや右手のビームショットライフルで迎撃しながら、モニターに映る機体を確認して行く。

 

「あの機体……」

 

 するとクライドは一機のMSを見つける。

 識別コードからドレイク海賊団の機体ではないため、バッカニア海賊団のMSだとすぐに分かる。

 機体を黒く塗装されたシャルドールだが、左腕にはジェノアス用のシールドを装備し、両手で刀型のヒートブレイドを持っている。

 腰にはヒートブレイドを収納すると思われる鞘がついている。

 独特の装備に加え、この戦場にシャルドールは珍しいが、それ以上に目を引いたのがそのカスタムシャルドールの動きだった。

 敵の攻撃を最低限の動きでかわして懐に飛び込むとヒートブレイドの一閃で敵機を両断する。

 その動きに一切の無駄が無く、パイロットの腕が相当の実力者である事が窺える。

 そして、事前情報からそれ程のパイロットは一人しか考えられない。

 

「あのシャルドールがシドウみたいだな……なら、その実力試させて貰う」

 

 ガンダムZERO Gはカスタムシャルドールにビームショットライフルを向けて放つ。

 ガンダムZERO Gから放たれたビームはカスタムシャルドールまで距離があったため、ビームが散弾してしまい、カスタムシャルドールには殆ど行かなかったが、それでも通常のMSの装甲を破壊するのには十分な威力がある。

 だが、カスタムシャルドールはそのビームを紙一重でかわす。

 

「あのMSは……」

 

 シドウも攻撃をして来たMSが旗艦のブリッジで見たガンダムZERO Gだと知ると敵の中で最も厄介な敵であると予測されるガンダムとZERO Gに向かう。

 

「あのシャルドール……普通のより速いな」

 

 シドウのシャルドールは素早く近接戦闘を仕掛けるためにスラスターの出力が向上しているため、通常のシャルドールよりも速い。

 ガンダムZERO Gはビームショットライフルを放つがカスタムシャルドールを捉える事が出来ない。

 

「ちっ……素早い……予想以上だ」

「このMS……見かけ倒しと言う訳ではないか……だが、付け入る隙はある」

 

 シドウはガンダムZERO Gの攻撃が途切れる一瞬の隙で加速して、距離を詰めてヒートブレイドでガンダムZERO Gの胴体に一太刀を入れる。

 

「糞!俺に一撃入れやがった!」

「なんと……無傷だと!」

 

 カスタムシャルドールの一太刀はガンダムZERO Gに入るが、現在の3つのアーマーの中で最も厚い装甲を持つガンダムZERO Gの装甲に傷を付けるのは至らなかった。

 

「流石はシドウ……パイロットとしての地力は向こうの方が上ってか……」

 

 クライドはシドウの能力を分析しつつも、カスタムシャルドールをビームショットライフルで牽制して引き離す。

 

「だが……幾ら装甲が厚かろうと何度も同じところを攻撃し続ければ……或いは」

 

 シドウは再びタイミングを見計らい、ガンダムZERO Gの懐に飛び込みヒートブレイドを振るう。

 

「そう何度も、やられるかよ!」

 

 ガンダムZERO Gは胴体とヒートブレイドの間の腕をねじ込む。

 カスタムシャルドールのヒートブレイドの一太刀はガンダムZERO Gの腕の装甲で受け止められる。

 

「何と!腕を入れて来たか!」

「その攻撃は一度見てんだ、二度目を食らう程、俺は弱くないんだよ!」

 

 ガンダムZERO Gはカスタムシャルドールに至近距離でビームショットガンを撃とうとするが、別方向からビームが戦場に降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何! 伏兵! どこからの攻撃よ!」

 

 アブディエルのブリッジで完全に予期せぬ方向からの奇襲でエリーゼが艦長席から立ち上がり叫ぶ。

 今回の戦闘ではドレイク海賊団とバッカニア海賊団の決闘と言う事で小細工なしの真っ当勝負が予定されていた。

 本来ならステルス性の高いアブディエルで奇襲をしたかったが、ドレイク海賊団の意向で無しとなりアブディエルも正面からの攻撃に参加している。

 それはこの戦いは戦争ではなく、あくまでも両者による喧嘩の延長上の戦いであり、伏兵のような奇襲をしないことが両者の暗黙の了解となっていた。

 だが、この攻撃は戦場全体に攻撃され、幸いパラダイスロスト所属のMSは上手くかわしているが、ドレイク海賊団やバッカニア海賊団のMSからはすでに多くがビームの直撃で落とされている。

 両者に攻撃を仕掛けると言う事は第三勢力の可能性があるが、この機会に連邦が動く可能性も考慮して、戦闘が開始される以前からアブディエルでも戦場の外まで警戒していたが、全く攻撃の予兆は発見出来ていない。

 

「今まで何の反応も……これは……」

 

 そして、モニターに映されたのは全長1キロを超え、三又に分かれた艦体が特徴的な大型の戦艦が何もない空間から突如現れた。

 それだけではなく周囲に圧倒的な数のガフランを引き連れている。

 それこそヴェイガンの大型母艦「ファ・ボーゼ」だった。

 

「周囲にUEのMS型が多数!」

「くっ……ドレイク船長、これ以上の戦いは勝ち目はありません! ここは戦闘を中止して逃げるべきです!」

 

 パラダイスロスト所属のMSならヴェイガンのガフランを相手にしてもそうそう遅れは取らないが、あれだけの数を相手に尚且つ、ファ・ボーゼを相手にするのは考えることも無く不可能だ。

 勝てないことが分かり切っていれば、取るべき手段は一つしかない。

 

「ああ……分かってる。おい! バッカニアも良いな!」

「当たり前だ! あんな奴らにお前との決着を邪魔されるのは癪だが、こんなところで死ぬ訳にもいかねぇ! 野郎ども! すぐにアンバットは破棄だ! さっさと逃げるぞ!」

 

 バッカニア海賊団の旗艦に通信を繋ぎ、ヘンリーとバッカニアの間ですぐに話が纏まる。

 流石に彼らもあれだけの数のガフランを相手にしながら旧敵との決着を付けるつもりはない。

 

「私達のMSが支援しますから、すぐに離脱をお願いします! ビーム撹乱弾を展開、全砲門で撤退するMSを援護! 出し惜しみはなしよ!」

 

エリーゼが矢継ぎ早に指示を出して戦いは撤退戦へと移行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「糞ったれ! 何でこんな時に出てくんだよ! 少しは空気読めよな!」

 

 ジゼルのジェノアス・キャノンがビームキャノンを連射しビームランスでガフランを両断する。

 

「そんなことを言っている場合でもないでしょう!」

 

 レオナールのジェノアス改がレールガンでジゼルを援護する。

 その援護がガフランに直撃するが、ガフランの装甲をへこますだけに留まるがガフランの動きが止まりジェノアス・キャノンがビームキャノンでガフランを撃墜する。

 

「わぁってる! 畜生が!」

 

 ビームランスを振りまわして迫るガフランを破壊して行くが数の暴力に圧倒されていく。

 

「数が多過ぎる!」

 

 ジェノアス改はシールドでガフランからの攻撃を防ぎながらマシンガンで応戦するが、マシンガンに流れ弾が当たり破壊された。

 

「くっ!」

「レオ! 避けろ!」

 

 レオナールのジェノアス改の前にビームサーベルを振り下ろそうとしているガフランが居るが、ジゼルの声が届いても間に合わなかったが、シドウのカスタムシャルドールがガフランをヒートブレイドで殴り飛ばし、ジゼルのジェノアス・キャノンのビームキャノンでガフランを破壊した。

 

「まだ大丈夫だな」

「はい……助かりました」

「礼とかは後にしやがれ! まだ敵がいんだぞ!」

 

 ジゼルがレオナールを叱責し、レオナールのジェノアス改はヒートランスを構える。

 

「そうですね……今はここを何とかしないと……」

「その意気だ……来るぞ」

 

 ジェノアス改とカスタムシャルドールは武器を構えて押し寄せるガフランに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「単に海賊相手の戦闘がよもやここまでになるとはね!」

 

 Gレックスはビームライフルを両腰のバインダーキャノンに収納しバインダーキャノンでガフランを撃墜する。

 

「全くです」

 

 デスドールもビームサイズで周囲のガフランを一掃する。

 だが、それでもガフランの数は減ったように見えず、ガフランはビームバルカンやビームライフルを放ち、デスドールは被弾しないように回避する。

 

「だけど、海賊とは言え、UEに殺されるのを黙って見ている訳にも行かない!」

 

 Gレックスはキャノン砲を放ち、直撃を受けたガフランはダメージこそは無いが、動きが止まりGレックスがビームサーベルで切り裂く。

 

「熱いですね……あれが若さと言う奴ですか」

「でも……見捨てるのは嫌」

「仕方がないですね」

 

 ジェノワーズはビームライフルでガフランを撃ち抜き、デスドールはビームサイズでガフランを両断する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけんなよ! あいつら!」

 

 フランは横槍を入れたヴェイガンに対し怒りを隠すことなくガフランに突っ込んで行く。

 

「フラン! 止めろ! 僕らのMSの装備はUEには勝てない!」

 

 エドウィンがフランを抑えようとするがフランの怒りは収まらない。

 

「そんなのやってみないと分からないだろ! 戦う気の無い腰抜けは引っこんでな!」

 

 フランはエドウィンの制止を振り切り、敵陣に飛び込む。

 

「幾らUEってもアタイのグレートパイレーツのパワーの敵じゃないんだよ!」

 

 グレートパイレーツは鉄球を振りまわす。

 

「ブッ潰れろ!」

 

 しかし、フランは一番近くの敵を狙いそれはセリアのバクトだった。

 グレートパイレーツの鉄球はセリアのバクトが片手で止めた。

 

「片手で止めやがっただと!」

 

 グレートパイレーツはパワー重視のMSだが、それはあくまでも一般的なMSのレベルでは高いパワーを持つが、バクトのパワーの前では無力であった。

 

「この程度のパワーで私のバクトの敵ではないわね」

 

 バクトはそのまま鉄球を振りまわすと、グレートパイレーツも鎖で繋がっているため振りまわされる。

 

「くっそぉぉぉ!」

 

 遠心力で次第に勢いが増していくが、ガンダムZERO が腕のビームソードで鎖を断ち切り、グレートパイレーツを掴んで後ろに投げてバクトを蹴り飛ばす。

 

「死にたいのか! お前は邪魔だ! すっ込んでろ!」

 

 後方に投げ飛ばされたグレートパイレーツはフランを追って来たエドウィンのゼノカスタムに受け止められる。

 

「そいつを連れてさっさと逃げろ! お前たちの機体じゃ足で纏いだ」

「ふざけんなよ!」

「分かりました」

 

 フランはクライドに文句を言うがエドウィンがそれを無視してグレートパイレーツを抱えて撤退して行く。

 ガンダムZERO Gはバクトにビームショットライフルを放つが、バクトは腕で防ぎダメージを与えることは出来なかった。

 

「コイツ……相変わらず固い!」

「ガンダム……また新しい装備か!」

 

 バクトはビームバルカンを放つが、グラディエーターアーマーを装備しているガンダムZEROの装甲を破る事は出来ない。

 

「でも……コイツならどうだ」

 

 ガンダムZERO Gはビームショットライフルを腰に戻すとバックパックの対艦刀「バルムンク」を構える。

 

「さて……竜殺しの剣の威力……お前の体で試させて貰う!」

 

 ガンダムZERO Gは加速してバクトに向かい、バクトもビームバルカンで迎撃するがガンダムZERO Gの動きを止めることは出来ずに接近を許してしまう。

 

「だったらこれで!」

 

 バクトは腹部のビームスパイクで受けて立つが、ZERO Gのバルムンクはバクトの体を胴体から真っ二つに両断した。

 

「バクトの装甲を容易く!ここまでね……」

 

 セリアはすぐにコックピットハッチを開閉して機体を捨てる。

 機体の外に出ると近くのガフランがセリアを回収してファ・ボーゼに向かい乗り捨てられたバクトは爆散した。

 

「重装甲型は仕留めた……この戦場にアイツは……ブラッドはいるのか?それにナーガとか言う奴も……」

 

 クライドは周囲の敵影を確認していると不意にブラッドの気配を感じ取る。

 

「やはり……アイツもこの戦場に来ている」

 

 クライドは機体をブラッドの気配を感じた方に向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クライドの向かった方向にはガフランとは違うMSが次々と逃げ遅れた機体を破壊している。

 濃い赤いガフランよりも一回り大きな装甲持つMS「ギラド」

 ヴェイガンがブラッド専用に開発した新型のMSである。

 両腕にはビームサーベルとしての機能は失われたが、ガフランのビームライフルに匹敵する威力のビームガンが内蔵されている。

 腹部には高出力の荷電粒子砲が内蔵され、両腰にはゼダスソードよりも大型で切れ味も上回るギラドソードが一基つづ装備し、尾のビームライフルが二基ついており、通常のビームライフルとしても使えるが、2本の尾を合体させてビームキャノンとしても使える。

 その上、両手と両足には大型のヒートクローが備わっている。

 攻撃的な性格のブラッドに合わせた攻撃的な機体だが、バックバックの翼は前方に向けることでシールドとしての機能を持ち、装甲にはバクトと同じ電磁装甲が使われているため防御力も高い。

 機動力もゼダスには及ばないが、大型の翼のお陰でガフランよりも高い機動力を持っている。

 そして、今までのヴェイガンのMSと違うのは宇宙空間での機動力に重点を置いている為、MS形態への変形機構を廃止している。

 

「はっ! 雑魚がどんだけ集まっても感じ無いんだよ!」

 

 ギラドは両手にギラドソードを装備して近くのMSを手当たり次第に切り裂いて行く。

 ジラやゼノ、ジェノアスがギラドに集中砲火を浴びせるがギラドは余裕でかわして撃墜する。

 

「弱い! 弱過ぎんだよ! お前らぁぁぁ!」

 

 尾のビームライフルを合体させたビームキャノンを放ち射線上の敵を掃討する。

 

「雑魚が……アイツが……クライド・アスノが戦場にいる事は分かってんだ。何処にいやがる」

 

 ブラッドもまた、戦場にクライドが居ることを感じ取り周囲の敵を無差別に破壊してクライドを探す。

 

「ちっ……チマチマ殺るのは面倒だ……一気に減らしてやるよ」

 

 ギラドの腹部の荷電粒子砲が展開される。

 

「消えろよ!雑魚どもが!」

 

 ギラドの荷電粒子砲がチャージされ荷電粒子砲が放たれ、バッカニア海賊団の戦艦の多くが宇宙の藻屑に消えた。

 

 

 

 

 

 

「ウソでしょ……」

「艦長……バッカニア海賊団の戦艦が約半数が消滅しました……」

「まるで悪夢のようだ……こんなことがあり得るのか……」

 

 ギラドの荷電粒子砲でバッカニア海賊団の艦体の半数近くが消滅したことをアブディエルのブリッジでも補足出来き、ブリッジには絶望感が漂っていた。

 只でさえ、ヴェイガンの戦艦に対しては決定打を与える武器を持たず、ガフランに対抗は出来てもあれだけの数を相手にするのは不可能で尚且つ、一撃で多くの戦艦を破壊出来るギラドまで出て来た。

 ギラドの荷電粒子砲が放たれたら自分達に防ぐ術は無い。

 不幸中の幸いはギラドの荷電粒子砲はチャージする時間がかかる為に連射が出来ないと言う事だが、発射されれば防ぐ手段はないため、気休めにしかならない。

 

「糞! あの野郎!」

 

 ヘンリーは怒りにまかせて艦長席のコンソールを殴る。

 ギラドの一撃でバッカニアの乗る旗艦も撃沈されている。

 あの状況でバッカニアが生きている可能性はゼロだ。

 ヘンリーにとってバッカニアは敵であったが同時に好敵手でもありバッカニアの事を憎んでいた訳ではない。

 長年に渡る好敵手をこんな形で奪われたため、ヘンリーは怒りがわき上がるが、ドレイク海賊団のリーダーとして、化け物の様な攻撃力を持つギラドに向かって言っても勝てないのは目に見え、自分の部下を犬死にに突き合わせる訳にはいかないために、その怒りのやり場がなくコンソールを殴る事しか出来ない。

 

「どうします? 船長……バッカニアの連中が生き場を無くしてますぜ?」

 

 旗艦とリーダーを失ったことでバッカニア海賊団は戦意を失い次々と破壊されている。

 

「糞ったれが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たな……来やがったなぁぁぁ!」

「見つけた……あの新型!」

 

 クライドはギラドからブラッドの気配を感じ取りビームショットライフルを放つ。

 ガンダムZERO Gの放ったビームはギラドが羽根を盾のように使い防ぐ。

 

「新しい装備か! だが、その程度の威力じゃ俺のギラドには効かないんだよ!」

 

 ギラドは両腕のビームガンをガンダムZERO Gに放つが、ガンダムZERO Gは両肩をシールドを前方に向けて防いた。

 

「そう来ないとなぁぁぁ!」

 

 ギラドは両手にギラドソードを付けて、ガンダムZERO Gに迫る。

 対するガンダムZERO Gは両手にビームソードを展開して応戦する。

 

「あぁぁ……ビンビン来るなぁ! クライド・アスノォォォ!」

「厄介な機体に乗ってる!」

 

 二機はぶつかり合うがすぐに離れる。

 ガンダムZERO Gは頭部のビームバルカンで牽制するが、ギラドは尾のビームライフルを合体させたビームキャノンを放ち、ガンダムZERO Gは左肩のシールドで防ぐがシールドが吹き飛ぶ。

 

「ちっ! 攻撃力ばかり重視した機体って訳かよ! 面倒だよ! 全く!」

 

 ガンダムZERO Gはビームショットライフルを放つがギラドはビームを羽根で防ぎながら距離を詰める。

 

「その程度で終わりか!」

 

 ギラドはギラドソードを突き出し、ガンダムZERO Gのビームショットライフルを破壊しそのままガンダムZERO Gの右肩のアーマーを切り裂き破壊する。

 

「この野郎!」

 

だが、ガンダムZERO Gはその場で左手を振り下ろして機体を回転させて、脚部のビームソードでギラドの右腕を切り落とす。

 

「それでこそだぁぁぁ!」

 

 ギラドは左手のギラドソードを振るい、ガンダムZERO Gは左腕のビームソードで受け止める。

 

「クライド! ドレイク海賊団とバッカニア海賊団の生き残りは退避したわ! クライドもすぐに離脱して!」

「そうは言ってもな……」

 

 戦闘宙域から離脱しようにも、目の前のブラッドはそれを許すとは限らない。

 下手に背を向けて荷電粒子砲を撃たれてはクライドに防ぐ術は無いため、今のように近接戦闘で荷電粒子砲のチャージする時間を与えないようにするしかない。

 

「取り合えずコイツを何とかしないとな」

 

ガンダムZERO Gはギラドを押し戻すとバルムンクを構える。

 

「面白い……」

「聞こえるか、ブラッド」

 

 ギラドもギラドソードを立て直すと、ファ・ボーゼのブリッジからギーラ・ゾイがギラドに通信を繋ぐ。

 

「何だ? 今良いところだ。後にしろよ」

 

 ブラッドはクライドとの戦いに水を差されてイラついて答える。

 

「アンバットは抑えた。作戦は終わりだ。すぐに帰投しろ」

 

 ギーラ・ゾイがそう言うとブラッドの機嫌は更に悪くなる。

 すでにバッカニア海賊団は宇宙要塞アンバットを放棄している。

 ヴェイガンの目的であるアンバットを抑えた以上、これ以上の戦闘は無意味となった。

 

「ふざけんなよ。すっ込んでろ」

「たかが地球種一人に熱くなり過ぎだ。ナーガからも戻るように指示を出されている」

「……あの野郎……まぁ良い。今日のところはこのくらいで我慢してやるか。楽しみはとって置くのも悪くない」

 

 ブラッドはナーガの名が出された途端に怒りを納めるが忌々しくその名を呟く。

 そして、ブラッドは機体をファ・ボーゼに向けて帰投する。

 

「引いた? アイツが……」

 

 クライドは以前にブラッドと通信した時のブラッドの言動から、この場で撤退する奴には思えなかったが、これ以上の戦闘はクライドにとっても好ましく無いため、クライドも戦闘宙域から離脱した。

 それにより戦闘は終結した。

 この戦いで宇宙要塞アンバットは陥落したが、その勝者はパラダイスロストでもドレイク海賊団でもなく、途中から乱入したヴェイガンである事は誰の目にも明白だった。

 

 

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