機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第115話

連邦軍とUIEの決戦が開始され戦場ではエース機同士の交戦が始まっている。

 ラ・グラミスの正面ではジラード隊の3機がUIEのゼイ・ドルグ部隊を足止めをしている間に連邦軍がディグマゼノン砲で開いた穴の立て直しを図っている。

 

「たった三機で!」

 

 レーナ機がレギルスGにドッズライフルを放ち、レギルスGはシールドで防ぐ。

 

「この隊長機は少し厄介ね。タチアナ、チャージは?」

「もう少し」

 

 レギルスGはビームサーベルを振るいレーナ機はビームアックスを振るい互いの斬撃をシールドで受け止める。

 

「なら、こいつもお願い」

 

 レギルスGはレーナ機を蹴り飛ばしてレギルスライフルを放つ。

 レーナ機はシールドを掲げながらビットをレギルスGに差し向ける。

 レギルスGはビットの攻撃をかわすも、レギルスライフルに直撃してライフルを捨てる。

 ライフルが爆発を起こし、レーナ機はビームアックスでレギルスGに切りかかる。

 レギルスGはビームサーベルでビームアックスを弾き胸部の拡散ビーム砲を放つ。

 

「ちっ!」

 

 レギルスGのビームをシールドで防いでいるがビットが破壊される。

 レーナ機は持っていたビームアックスをレギルスGに投げつけてレギルスGはシールドで受けるがシールドにビームアックスが付き刺さり使い物にならない為、レギルスGはシールドを捨てる。

 

「まずはお前から!」

 

 レーナ機はツインビームサーベルを抜いてレギルスGに接近する。

 だが、レギルスGの後方からレギルスTがレギルスランチャーのチャージを終えて構えていた。

 

「下がって隊長」

 

 レーナ機の攻撃をレギルスGは回避する。

 そして、攻撃を回避されたレーナ機には致命的な隙が生まれていた。

 

「捉えた」

 

 タチアナはスコープにレーナ機が入った事を確認して引き金を引く。

 レギルスTから放たれたビームはレーナ機をあっさりと飲み込んで跡形もなく消滅させる。

 その一撃はレーナ機のみならず射線上の敵を破壊して行く。

 

「ご苦労様」

「次の砲撃まで時間を稼いで」

 

 レギルスGはビームバルカンでゼイ・ドルグを攻撃する。

 だが、ビームバルカンの威力ではゼイ・ドルグのシールドに対しては効果的ではない為、すぐにビームサーベルに切り替えてゼイ・ドルグに接近してビームサーベルで切り裂く。

 

「ジラード隊、もう十分だ。そろそろ君達の機体のパワーも危険域になる筈だ。一度、ラ・グラミスに……」

 

 司令部からアルグレアスがジラード隊に撤退の指示を出すが、アルグレアスが言い切る前にジラードは通信を強制的に閉じた。

 

「生憎と私達に命令を聞く義務はないのよね」

 

 レギルスGは拡散ビーム砲を放つ。

 かなり無理をさせたせいでレギルスGのパワーが危険域に達している。

 それはレギルスTもレギルスSも同様だろう。

 

「それに……この状況で戻れる訳がないわ」

 

 補給に戻るにもここで敵を抑えなければ総崩れになり兼ねない。

 その為、少なくとももう少しはここで粘らなければならない。

 連邦軍の勝利に貢献する気は無いが、素直に任務を放棄して補給に戻る気もなかった。

 ゼイ・ドルグのドッズライフルがレギルスGの左腕を貫く。

 レギルスGはレギルスビットを展開して応戦する。

 

「全く……私もヤキが回ったわね。連邦軍の勝利の為に命を捨てるなんてね……」

 

 ゼイ・ドルグをビームサーベルで切り裂きながらも、ジラードは自傷気味な笑みを浮かべていた。

 あれほど、連邦軍を憎むヴェイガンに寝返ってたのに最後は連邦軍の為に自らの命を捨てようとしている。

 滑稽な話しだった。

 

「けど……地球を破壊されるのも嫌なのよね」

 

 ジラードもかつては地球の為に連邦軍に志願している。

 連邦軍を憎むようになっても地球まで憎んでいた訳ではない。

 

「それに……疲れたのよね」

 

 幾ら憎んでもその恨みが晴れる事は無かった。

 決して晴れる事のない憎しみを抱き続ける事は苦痛以外の何物でもない。

 今になって思えば、だからヴァニスの側に付いたのかも知れない。

 だが、そのヴァニスもすでに死んでいない。

 ゼイ・ドルグのビームがレギルスGの右手に被弾し、次々と被弾して行く。

 

「ジラード……」

 

 今までは自分が名乗る事で自分の傍にいると思って来た婚約者の名前を呟きレギルスGは爆散した。

 その瞬間、ジラードは連邦への憎しみから解放され、婚約者の元に行ける為、安らかな顔をしていた。

 

「ちょっと! 隊長のシグナルが!」

「隊長……」

 

 レギルスGのシグナルの消失はタチアナをシェリーも確認している。

 タチアナはすぐに冷静さを取り戻すがシェリーはそうもいかない。

 レギルスSはレギルスサイズを振るう。

 

「シェリー! 落ち着きなさい!」

「私は! こんなところで!」

 

 レギルスTが援護に入ろうとするが、ゼイ・ドルグのドッズライフルで妨害される。

 ビームバルカンで牽制するが、ゼイ・ドルグはシールドで防ぎながらドッズライフルで反撃して来る。

 

「この! この!」

 

 レギルスサイズでゼイ・ドルグを切り裂いてレギルスビットを周囲に展開して手当り次第に敵を撃墜して行く。

 だが、やがてレギルスビットが出なくなる。

 

「何! 何のよ!」

 

 レギルスビットが出せなくなり、ようやくモニターにパワーの残量が危険域になっていると言う警告に気が付いた。

 レギルスビットの多用に高出力のビーム刃を展開しているレギルスサイズの併用でレギルスSのパワーはほとんど残されていない。

 レギルスサイズも次第に出力が低下して、ビーム刃が小さくなりついには消えた。

 それにより、レギルスSは残されたパワーをパイロットの生命維持装置が最優先に回された。

 だが、戦場でそんな事をしても大した意味はなかった。

 ゼイ・ドルグがビームアックスを抜いてレギルスSに切りかかる。

 レギルスSの右腕が切り落とされて別のゼイ・ドルグの一撃が左肩から腕を切り落とされる。

 

「私は……ただ、普通に生きて……」

 

 ゼイ・ドルグのビームアックスがレギルスSの頭部を切り裂いてシェリーの体は一瞬にして蒸発して消滅する。

 その後、レギルスSは爆発を起こした。

 

「シェリー……いよいよ私も潮時かしらね」

 

 レギルスSも撃墜されて残されているのたタチアナだけだ。

 どこかに行ったコーデリアが戻って来てくれるとは到底思えない。

 連邦軍の増援が来るまでまだ少し残されている。

 それまで耐える事が出来る事が出来ればラ・グラミスまで後退は出来る。

 しかし、砲戦仕様のレギルスTでは火力は高いが機動力は低い。

 タチアナ自身もMSの操縦に関してはそこまで高いとは思っていない。

 すべての状況から計算してもタチアナが生き残れる可能性はない。

 そう判断したタチアナはすぐに機体を後退させる。

 機体を左右に振り攻撃に当たらないようにしつつ、左手のビームバルカンで敵を牽制する。

 敵を牽制しつつ、タチアナはレギルスランチャーのチャージを確認する。

 

「もう少し……」

 

 今でもレギルスランチャーを撃つ事は可能だが、最大出力ではない。

 最大出力にまでチャージする事にはまだ時間がかかる。

 敵からの攻撃をかわし切れなくなって来るとレギルスTは左腕でレギルスランチャーを守る。

 

「もう少し……もう少し……終わった!」

 

 レギルスランチャーの最大出力で撃てるようになり、レギルスTは足を止めてレギルスランチャーを構える。

 

「食らいなさい!」

 

 レギルスTはレギルスランチャーを最大出力で放つ。

 不意を突かれたゼイ・ドルグはかわし切れずにレギルスランチャーで破壊されて行く。

 何とか射線上より退避出来たゼイ・ドルグは一斉にレギルスTを攻撃する。

 ゼイ・ドルグの一斉砲火を浴びつつもレギルスTはレギルスランチャーの掃射を止める事は無い。

 それによってレギルスTは被弾して行く。

 ゼイ・ドルグの放ったビームがレギルスランチャーに直撃してようやくレギルスランチャーの掃射は止まる。

 

「……任務……完了」

 

 レギルスランチャーの掃射は止められるがこの攻撃で敵部隊に大打撃を与えたのと同時に連邦軍の増援部隊の到着までの時間を稼ぎ切った。

 ジラード隊の任務はラ・グラミス正面を守り切る事だ。

 隊の全滅を引き換えに任務を全う出来た。

 それはタチアナにとっては紛れもなくジラード隊の勝利であった。

 任務の完了をタチアナが見届ける事を待っていたかのようにレギルスTは爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2機のガンダムを送り出したディーヴァは敵MSの猛攻を受けている。

 エリスを追っかけて来たコーデリアのレギルスCがディーヴァの防衛に当たってはいるが、2機のガンダムの抜けた穴を埋める事は出来る筈がない。

 

「うじゃうじゃと!」

 

 レギルスCはレギルスブレードでゼイ・ドゥを一刀両断にして胸部の拡散ビーム砲を放つ。

 敵からの攻撃をレギルスブレードで防ぎ、クランシェカスタムがドッズライフルで撃墜する。

 

「余計な真似を……」

 

 レギルスCはレギルスブレードを構えて敵に突っ込んでいく。

 それをクランシェカスタムがドッズライフルで援護する。

 

「やれやれ……とんだ助っ人だな。レギルスのパイロット、聞いてくれ、ディーヴァを守り抜く為にはプロトタイプのガンダムを何とかしなければならない。あの2機の片方を任せたいのだが大丈夫か?」

 

 無人機は正確な動きをしている分、連携が厄介だが正確が故に動きを読む事は容易い。

 問題はプロトAGE-3だ。

 プロトタイプとはいえ、2機の性能は無人機よりも高く、パイロットがいる分臨機応変に対応して来る。

 その2機を何とかしない限り、ディーヴァが沈められるのは時間も問題だ。

 

「貴様に指図されるまでもない!」

 

 レギルスCはダブルバレットの方に向かって行く。

 

「やれやれだ」

 

 こっちの話しに全く聞く気のないコーデリアの態度に呆れるが、コーデリアもプロト3の脅威は分かっている為、それ以上は何も言わない。

 5年前は敵として戦った相手に任せると言う事は変な気分ではあるが、今は心強い。

 

「俺達も負けてられないぞ。オブライトさんは奴の足を止めて下さい」

「了解した」

「デレクとジョナサンは俺とオブライトさんが隙を作る。その隙をつけ」

 

 ダブルバレットはコーデリアに任せてセリックは目の前のストライダーの方に集中する。

 アビス隊の中で最も実戦経験が豊富であるオブライトにストライダー形態のストライダーの足を止めさせる。

 ジェノアスOカスタムはドッズライフルを連射する。

 ストライダーはMS形態に変形して回避しながら、シールドで守る。

 MS形態に変形した事でストライダーは足を止める事になってしまう。

 

「旧式のMSを改修した程度の奴が」

 

 ストライダーはジェノアスOカスタムにドッズライフルを向けるが、クランシェカスタムがドッズライフルでドッズライフルを撃ち抜いた。

 

「こちらの予測通りの行動だな」

 

 ジェノアスOカスタムは今や前線では殆ど使われてはいないジェノアスⅡを改修したMSで性能的にはクランシェⅡやアデルマークⅢよりも大きく劣るが、熟練のパイロットが乗れば脅威とは言えずとも面倒な相手である事は確実だ。

 その為、優先して狙う事は容易に想像がつく。

 ジェノアスOカスタムを狙えば別方向から狙い易い。

 セリックはその隙をついた。

 クランシェカスタムとジェノアスOカスタムは同時に攻撃する。

 2方向からの同時攻撃をストライダーはかわすが、デレクとジョナサンのクランシェⅡが左右からビームサーベルでストライダーを攻撃する。

 2機のクランシェⅡの攻撃はストライダーの両腕を切り裂きバランスが崩れる。

 それが決定的な隙となり、クランシェカスタムとジェノアスOカスタムの集中砲火によってプロトAGE-3 ストライダーは蜂の巣となり撃墜された。

 

「ふぅ……こっちは何とかなったな」

 

 ストライダーを撃墜し、コーデリアの方の状況を確認する。

 向こうは未だに戦闘が継続している。

 

「援護したいのは山々なんだがな……」

「隊長! ディーヴァの方に敵が!」

「分かってる。さて……どうした物か」

 

 コーデリアも援護があればより確実にダブルバレットを仕留める事は出来るかも知れない。

 だが、アビス隊がストライダーの相手をしている間にUIEのMSがディーヴァを撃沈しようとしている。

 他の艦からの護衛の部隊が対処しているが、余り状況は良いとは言えない。

 

「アビス隊各機はディーヴァの防衛に専念しろ」

 

 ディーヴァの守りが現時点での最優先事項である為、セリックはディーヴァの守りを優先した。

 

「死んでくれるなよ」

 

 クランシェカスタムは飛行形態に変形して、ドッズキャノンを放ちディーヴァの護衛に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 ダブルバレットはレギルスCにツインドッズキャノンを放つ。

 レギルスCは回避しながら取り回しの悪いレギルスブレードを捨てる。

 

「その程度で私を止められる筈もない!」

 

 レギルスCは両手にビームサーベルを出してダブルバレットに突撃する。

 ダブルバレットはツインドッズキャノンのバレルを外して大型ビームサーベルを振るう。

 その一撃はレギルスCの胴体から真っ二つにレギルスCを両断した。

 だが、レギルスCは止まる事は無く、ダブルバレットに接近する。

 

「馬鹿な! その状態で!」

「私の忠義を舐めるな!」

 

 レギルスCは下半身を失いながらもビームサーベルを振るいダブルバレットの右腕を肩から切り落とす。

 

「小癪な真似を!」

 

 ダブルバレットは胸部のビーム砲を放ち、レギルスCは左腕の小型シールドで防ごうとするが、シールドごと腕が吹き飛ぶ。

 

「終わらせる」

 

 ダブルバレットはドッズライフルをレギルスCに向けて放つがレギルスCは紙一重でかわしてビームサーベルでダブルバレットの右手を切り裂く。

 

「くっ!」

「貴様は私が落とす! 陛下の為に!」

 

 レギルスCはビームサーベルを突き出し、ダブルバレットは胸部のビーム砲を放とうとする。

 2機の攻撃は僅差でレギルスCのビームサーベルがダブルバレットのビーム砲を貫いていた。

 

「陛下……ご命令は……」

 

 発射直前であったダブルバレットのビーム砲は砲門が破壊された事でエネルギーの暴走が起こり、レギルスCをも巻き込んでの大爆発を起こした。

 

「何だ……この爆発は?」

 

 クランシェカスタムがビームサーベルで敵MSを切り裂く。

 クランシェカスタムの方でもダブルバレットの起こした爆発を補足していた。

 

「彼女がやったのか?」

 

 爆発が収まりダブルバレットがいない事に気が付く。

 しかし、それと同時にコーデリアのレギルスCもいない事に気が付く。

 

「まさか……」

 

 それはダブルバレットを撃墜したのと同時にレギルスCが撃墜されたと言う事になる。

 セリックは先ほどの判断が誤りではなかったのかと思うが、すぐに切り替える。

 今更考えたところで意味はなく、コーデリアは命を引き変えにダブルバレットを落としてくれた。

 今、自分に出来る事はその死を無駄にしない事しかない。

 だが、その一瞬で出来た隙に持っていたビームサーベルをゼイ・ドゥに蹴り飛ばされてゼイ・ドゥはビームアックスを振り上げていた。

 

「隊長!」

 

 ゼイ・ドゥがビームアックスを振り下ろす前にデレク機とジョナサン機がドッズキャノンでゼイ・ドゥを牽制する。

 

「助かった」

 

 ゼイ・ドゥが距離を取る中で戦場を漂うレギルスブレードをクランシェカスタムは手にしてゼイ・ドゥにに投げつける。

 ゼイ・ドゥはビームアックスで払おうとするが、レギルスブレードは重量がある為、ほとんど軌道を反らす事が出来ずにゼイ・ドゥにぶつかる。

 そして、クランシェカスタムはドッズライフルでゼイ・ドゥを撃ち抜いた。

 

「各機、決して油断するなよ。意地でもディーヴァを守り抜く!」

 

 クランシェカスタムはドッズライフルを放ち、アビス隊はディーヴァの防衛に専念する。

 

 

 

 

 

 

 小さい上に素早いベルゼブブにウルフとクリフォードは苦戦している。

 Gファングがハイパードッズライフルを放ち、AGE-3がシグマシスキャノンを放つ。

 だが、ベルゼブブは2機の砲撃の合間を縫うように回避する。

 

「ちっ! 素早い!」

 

 Gファングは接近するベルゼブブにシールドからビームソードを展開して振るうが、ベルゼブブには当たらず背後からビームバルカンの直撃を受ける。

 しかし、ベルゼブブは圧倒的な機動力の反面、攻撃力はほとんど無い為、直撃でも大した損傷を受ける事は無い。

 それでも直撃を受け続ければいずれは装甲が持たなくなる。

 

「白い狼もこの程度か!」

「あの馬鹿は面倒なMSを設計しやがって!」

 

 Gファングは連射速度の高いビームバルカンを使うも、ベルゼブブの機動性能には追いつけない。

 AGE-3も命中精度の高いシグマシスロングライフルを放つ。

 AGE-3 トラインのシグマシスロングライフルはパイロットがXラウンダーでなくとも、敵を自動追尾する。

 ベルゼブブを追尾するも、Xラウンダー能力で照準補正がされている時よりも精度は落ちている為、追尾しきれない。

 

「当たらない!」

「落ち着け。クリフォード、アイツは機動力は段違いだが、こっちの攻撃を当てれば一撃だ」

 

 ベルゼブブは高い機動力と引き換えに攻撃力だけでなく防御力も低い。

 その為、Gファングのビームバルカンでも直撃させれば致命傷を与える事は可能だ。

 しかし、小さく小回りの利くベルゼブブに一撃を与えるのが至難の業だった。

 

「フン、老兵と落ちこぼれがこの私に敵う訳がない!」

「クリフォード、回り込め!」

 

 AGE-3がシグマシスキャノンを連射して、かわすベルゼブブをGファングがハイパードッズライフルを放ちながら、シールドのビームソードで攻撃するが、ベルゼブブを捕える事は出来ない。

 ベルゼブブはGファングの背後からビームサーベルを両手に展開して接近する。

 Gファングは振り返りざまにビームソードを振るうがベルゼブブはビームソードをかわしてGファングの肘の関節をビームサーベルで切断する。

 

「ウルフ艦長!」

「この程度の損傷で騒ぐな」

 

 Gファングがビームバルカンを放ってベルゼブブを牽制している間にAGE-3がGファングと合流した。

 

「だが、こいつは面倒だな」

 

 ベルゼブブの攻撃力が低い事が機動力に翻弄されていても唯一の救いだったが、今みたいに関節部を狙われるとベルゼブブの攻撃力でも十分に脅威となって来る。

 

「くそ!」

「落ち着けって言ったろ。戦場じゃ焦ったら死ぬぞ」

 

 Gファングはハイパードッズライフルでベルゼブブを寄せ付けないようにする。

 その間にベルゼブブを倒す打開策を模索する。

 

「ラウラ、すぐにGセプターの準備をさせとけ」

「どう言う事ですか? 説明してください」

「そんな暇はねぇよ。クリフォード、良く聞け、お前がキモだ」

 

 ホワイトファングにはAGE-3の予備のウェアとしてGセプター、Gホッパー、Gバイパーが新規で製造されて搭載されている。

 ウルフはクリフォードに作戦を伝える。

 

「無茶苦茶だ」

「多少の無茶は気合でやって見せろ。このくらい出来なくてどうする」

 

 ウルフの作戦は無茶苦茶で一歩間違えればクリフォードは死にかねない。

 

「分かりましたよ! やりますよ!」

「それで良い。俺も可能な限り援護する」

 

 Gファングはハイパードッズライフルを放つ。

 ベルゼブブは回避しながら、ビームバルカンを連射してAGE-3へと向かう。

 AGE-3もシグマシスキャノンで応戦するが、ベルゼブブには当たらない。

 

「まずはお前から先に仕留める!」

「クリフォード!」

 

 ベルゼブブはビームサーベルを展開して、AGE-3の右腕の関節部を狙う。

 ベルゼブブのビームサーベルがAGE-3の関節を切り裂く前にAGE-3はコアファイターとウェアが分離して、ウェアだけがベルゼブブに突っ込んでベルゼブブを抑え込む。

 

「ラウラ!」

 

 ホワイトファングからGセプターが射出される。

 GファングがハイパードッズライフルでGセプターの援護を行いコアファイターとGセプターはドッキングしてAGE-3 ノーマルとなる。

 

「クリフォード、お前の親父だ。お前が決めろ」

「分かってます」

 

 ドッキングしたAGE-3はベルゼブブにシグマシスライフルを向ける。

 ベルゼブブは完全にウェアに押さえつけられて身動きが取れなくなっている。

 ビームバルカンやビームサーベルでウェアを破壊しようとするも、元々攻撃力の低いベルゼブブではウェアを破壊するだけでも時間がかかる。

 

「親父……」

「クリフォード! お前は父親を殺すと言うのか! 誰がお前をそこまで育てたと言うのだ!」

「もう黙れよ……」

 

 シグマシスライフルを向けるクリフォードにジェラールは声を荒げる。

 それを聞いていたクリフォードは血の気が引いて行く。

 結局のところ、父親は自分の都合のみで動いていたに過ぎない。

 UIEの側に付いたのも自分に都合の良い条件を出せたからで何か思う事もなければ信念もない。

 だから優位な時は相手を見下し、劣勢の時は父親ぶる。

 

「それがアンタの選んだ道だろ! そしてこれが俺の選んだ道だ!」

 

 クリフォードはシグマシスライフルの引き金を引く。

 シグマシスライフルから放たれたビームはウェアごとベルゼブブを吹き飛ばした。

 

「クリフォード……」

「大丈夫です。艦長」

 

 自らの手で父親を殺した事を振る切るかのようにクリフォードは引き金を引いてシグマシスライフルが放たれる。

 数機のMSを一掃して、腕部の装甲からビームサーベルを展開して振るう。

 

「そうか」

 

 ウルフもそれ以上は何も言わずに戦闘に専念した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3機のシドを相手にすでに2隻のディーヴァ級が沈められてMSも多数撃墜されている。

 大型でありながら、高い機動性能に追尾するビームを一般の兵がかわす事は不可能に近い。

 ZERO Ⅲがバスタードッズライフルを放ち、シドは散開する。

 

「ファム!」

「任して」

 

 ファムのゼイ・ドルグがハイパーバズーカを連射してシドを攻撃する。

 大した損傷を与える事は出来ないが、シドの足を止める事が出来た。

 ゼイ・ドルグはビームアックスを抜いてシドに接近する。

 シドの砲撃をシールドで防ぎ、ビームアックスでシドの翼の片方を切断し、ZERO Ⅲがハイパードッズキャノンでシドを破壊する。

 

「まずは1機だ」

「次、行くわ」

 

 1機撃墜したが、シドは後2機も残されている。

 2機のシドはビームガンを放ち、ZERO Ⅲとゼイ・ドルグはシールドで防ぐ。

 そして、ZERO Ⅲがすれ違いさまにシールドからビームソードを展開してシドに一撃を入れて、すぐにゼイ・ドルグがツインビームサーベルをシドのモノアイに突き刺して破壊した。

 

「後1機、早く片付けて義姉さんの援護に!」

 

 残ったシドにZERO Ⅲがバスタードッズライフルを放つ。

 シドは攻撃を回避しながら、ビームガンで応戦する。

 ZERO Ⅲはシールドで攻撃を防ぎ、肩のショートドッズキャノンを放つ。

 シドはミサイルの弾幕を張り、バロックスの方へと向かう。

 

「行かせない」

 

 ゼイ・ドルグがドッズライフルでシドを牽制するが、シドはビームガンからビームサーベルを展開してゼイ・ドルグを攻撃して来る。

 

「ファム!」

「大丈夫」

 

 シドのビームサーベルの合間を潜り抜けてゼイ・ドルグはシドにドッズライフルを撃ち込む。

 距離が近かった事もあり、ゼイ・ドルグのビームはシドの装甲にヒビを入れた。

 ZERO Ⅲは対艦刀を抜いて、シドに接近する。

 ミサイルで弾幕を張り、シドの片翼を切り落とす。

 そして、残った翼のビームガンを撃とうとするが、ゼイ・ドルグがドッズライフルを至近距離から撃ち込んで妨害する。

 それにより出来た隙にZERO Ⅲがシドの胴体に対艦刀を突き刺す。

 シドに対艦刀を突き刺したZERO Ⅲは対艦刀から手を放してシドから距離を取り、バスタードッズライフルを撃ち込んでシドを完全に破壊する。

 

「シドはもういないな」

「うん」

「俺は義姉さんの援護に向かう。ファムは母艦の援護を」

「了解」

 

 ゼイ・ドルグはドッズライフルを連射しながら母艦の護衛に戻り、ZERO Ⅲはユーリアの援護へと向かう。

 エリアルドが到着する頃にはユーリアのジェノブレイズは取り回しの悪い手持ち火器を両方とも捨ている。

 アスモデウスのビームガンを左腕のビームシールドで防ぎツインドッズキャノンで応戦する。

 

「しぶといわね!」

「お前はここで!」

 

 ジェノブレイズはハイパービームサーベルを抜いてアスモデウスに接近する。

 アスモデウスはニードルガンを放つが、ハイパービームサーベルで叩き落とされる。

 ジェノブレイズの一撃をアスモデウスは左腕の巨大なハサミで受け止める。

 

「ただのXラウンダーの分際で!」

 

 アスモデウスはジェノブレイズを弾き飛ばす。

 その衝撃でハイパービームサーベルを落とすも弾き飛ばされながら胸部のドッズキャノンを放ち、アスモデウスの左腕を吹き飛ばす。

 しかし、アスモデウスも負けじと、多関節機構の右腕を伸ばしてジェノブレイズのコックピットでもある頭部を掴む。

 

「まずはメインカメラを潰して、それからいたぶって殺してあげるわよ!」

「デシルの仇を取らせて貰う」

 

 アスモデウスはジェノブレイズの頭部を掴みながらビームガンを撃ち込もうとするが、ジェノブレイズは膝のアーマーに収納されていたビームサーベルを抜いてアスモデウスの右腕を切断し、腰のミサイルをゼロ距離で撃ち込む。

 

「っ!」

 

 ミサイルはアスモデウスには致命的な損傷を与える事は出来なかったが、ミサイルの直撃で体勢を崩させる事は出来た。

 体勢が崩れた事がアスモデウスの致命的な隙を作る事になった。

 ジェノブレイズは体勢を整えようとしているアスモデウスに胸部のドッズキャノンを撃ち込む。

 体勢が崩れているのと、至近距離と言う事もあり、アスモデウスは回避行動を取る事も出来ずに直撃を受けて吹き飛んだ。

 

「仇は討った」

「義姉さん!」

「こっちは片付けた」

 

 シドを片付けて来たエリアルドがユーリアの援護に到着するも、すでに勝負は決まっていた。

 その為、エリアルドはユーリアと共に戦線に戻って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガンダムレギルスRとヴェイガンギアは激しくぶつかり合う。

 2機は距離を取り、レギルスRはビームバルカンで牽制するが、ヴェイガンギアは臆する事なくレギルスRに突撃して来る。

 

「ガンダム……破壊する」

「何だ、このパイロットは」

 

 ヴェイガンギアのヒートフックをレギルスRはレギルススピアで受け止める。

 

「倒す」

 

 ヴェイガンギアはレギルスRを弾き飛ばし、レギルスRはレギルスビットを展開して、ヴェイガンギアに差し向ける。

 距離が近かった事もあり、狙いは甘くなっていたが、ヴェイガンギアに直撃する。

 だが、ヴェイガンギアは当たる直前にコックピットのある胴体を両腕で守り直撃を受けるもヴェイガンギアの装甲を傷つけるには至らない。

 

「ヴェイガンギア……まさか、これほどの物とは……」

 

 ヴェイガンがガンダムの技術を取り入れ、クライドによって完成させられたレギルスの性能はヴェイガンのMSの中でも最高峰の物でレギルスビットもガンダムの装甲ですらも破壊出来る威力を持っている。

 しかし、ヴェイガンギアはその攻撃すらももろもとしない。

 

「これが大戦時のMSの力だと言うのか……だとしても!」

 

 レギルスRはレギルススピアーを構えてヴェイガンギアに立ち向かう。

 レギルススピアーの一閃をヴェイガンギアは回避してデルタゲイザーを放つ。

 レギルスRはレギルススピアーを回転せてシールド代わりに使うが、弾き飛ばされる。

 そこにヴェイガンギアはレギルスRに接近してヒートフックを振り下ろした。

 レギルスRはレギルススピアーで受け止めようとするが、デルタゲイザーを受け止めたレギルススピアーは損傷しており、ヒートフックを受け止める事は出来ずに切断されてしまう。

 

「俺は負ける訳にはいかない! 真のエデンの為にも!」

 

 レギルスRは両手にビームサーベルを展開し、周囲にレギルスビットを出す。

 そして、頭部のバイザーがスライドし、ツインアイが出て来る。

 

「ガンダム……」

 

 ヴェイガンギアはデルタゲイザーを放ち、レギルスRはレギルスビットを使い攻撃を防ぐ。

 接近するレギルスRにヴェイガンギアはヒートフックで迎え撃つ。

 レギルスRはヴェイガンギアの攻撃を敢えて避けなかった。

 ヒートフックはレギルスRの腹部にめり込み、レギルスRのビームサーベルはヴェイガンギアの頭部に突き刺さる。

 

「まだだ!」

 

 レギルスRはレギルスコアを分離させ、ヴェイガンギアにレギルスコアの唯一の装備であるレギルスキャノンを撃ち込む。

 レギルスビットよりも威力の高いレギルスキャノンであればヴェイガンギアの装甲を貫く事も可能だ。

 

「ガン……ダ……ム、たお……」

 

 レギルスキャノンの攻撃でヴェイガンギアは破壊されて行き、やがて爆発する。

 

「ゼハート様! ご無事ですか!」

「フラムか……何とかな」

 

 レギルスRの反応がレギルスコアの反応に切り替わった事でファ・ザードからMS隊に指示を出しているフラムがゼハートに通信で安否を確認する。

 ゼハートの無事を確認したフラムは安堵している。

 

「フラム、一度帰投する。ゼイドラの用意をさせて置け」

「しかし! ゼイドラの性能は……」

「構わない。レギルスコアよりかは戦力となる」

「……分かりました」

 

 レギルスコアの状態となり、本体はヴェイガンギアと共に破壊されている。

 その為、レギルスコアの状態で戦い続けるよりも、旧式のゼイドラで出る方がまだマシと言える。

 レギルスコアはレギルスキャノンを使いつつも、ファ・ザードに帰還する。

 ファ・ザードに帰投したゼハートは格納庫でレギルスコアを乗り捨てて、フラムの指示で出撃準備の出来ているゼイドラに乗り込む。

 

「ゼハート様、ゼイドラはゼハート様のXラウンダー能力には完全に対応できません。その事をお忘れにならないように」

「分かっている。出るぞ」

 

 ゼイドラはXラウンダー専用機としては優秀なMSと言える。

 後にゼイドラの量産機であるジルスベインが開発された事からも明らかだ。

 それでも、ゼイドラではゼハートの反応速度に完全には付いてこれない。

 かつては仮面をつける事で戦闘では十分な程にゼハートの反応速度につて来る事が出来たが、今は仮面を付けてはいない。

 レギルスRと同様にXラウンダー能力を使えば確実にゼイドラはゼハートの反応速度にはついて来れなくなる。

 これ程の大規模な戦闘では手加減をしている余裕もない。

 ゼイドラがファ・ザードから射出されて戦場に戻る。

 

「この機体でやるしかない」

 

 出撃したゼイドラはゼイドラガンを放つ。

 一発目がアデルの腕を撃ち抜き二発目がアデルの胴体を撃ち抜いて破壊する。

 ゼイドラソードを左手につけてゼイドラガンを連射しながら、ゼイドラソードでドラドを一刀両断にする。

 

「ゼハート様!」

「ティアナか」

「そのMSでは……」

「問題ない。残存部隊は俺の指揮下に入れ」

 

 ティアナのFXバウンサーはドッズライフルで敵を撃ち抜く。

 ゼイドラにて再出撃をしたゼハートが防衛に加わり、ファ・ザードはディーヴァの後方支援を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギラーガスピアをレギルスMは腕のシグマシスキャノンで受けとている。

 

「ネオ・ヴェイガンの次はUIEか! ずいぶんと節操がないんだな!」

「生憎と私は勝てる方につくのだよ!」

 

 2機は距離を取り、レギルスMがシグマシスキャノンを一斉掃射してギラーガ改は回避する。

 

「勝てる方だと! お前には信念はないのかよ!」

 

 ギラーガ改はギラーガスピアのビーム砲でレギルスMを牽制する。

 

「信念? あるさ! 私は頂点に昇りつめる! その為にならすべてを利用するさ!」

「頂点! そんな物の為に同胞を裏切って地球を破壊しようとしている奴らに加担するのかよ!」

 

 ギラーガ改はギラーガスピアを振り下ろし、レギルスMはシグマシスキャノンで受け止める。

 レギルスMはギラーガスピアを受け止めているシグマシスキャノンとは別のシグマシスキャノンでギラーガ改を殴り飛ばす。

 

「それがどうした。地球など滅びてしまえば良い!」

「ふざけんな!」

「これは報いだ! 地球種は地球圏でのうのうと暮らしている。私がなぜ、マーズレイの死病にかかると怯えなければならない。この私が!」

 

 レギルスMはシグマシスキャノンを連射する。

 

「勝手な事を言ってんな! 確かに地球の人々は死病をは無縁な世界で生きて来た。ヴェイガンはそれを恨んで来た。でも! ようやく世界は一つになろうとしてんだ!」

「知った事ではない! この私が頂点でない世界など私の手で滅ぼす! そして、私がこの世界の頂点に立つ! UIEはその為の駒に過ぎない!」

 

 レギルスMの放ったビームがギラーガ改の右足をかすめる。

 それによりギラーガ改の右足は溶解されてなくなる。

 

「そんな理由で!」

「生まれながらに持っていた貴様には分かってたまるか!」

 

 レギルスMはビームバスターを放つ。

 ギラーガ改はギラーガビットで弾幕を張って防ぐ。

 

「分からねぇよ! 分かってたまるかよ!」

 

 ギラーガ改はギラーガビットを展開する。

 ギラーガビットをレギルスMの四方から攻撃させて、レギルスMはシグマシスライフルで撃ち落としながら回避する。

 

「だけど、お前の勝手な理屈を押し付けられて堪るか!」

 

 ギラーガビットの相手をしている間にギラーガ改はレギルスMの背後に回り込んでギラーガスピアを振るう。

 ヴァレリもとっさに反応して回避行動を取るが、レギルスMの両足が膝から切断された。

 

「薄汚れた混血風情が!」

「ヴァレリ!」

 

 レギルスMはシグマシスキャノンを連射するが、ギラーガ改は旋回して回避し再びレギルスMに向かう。

 ギラーガ改は攻撃を掻い潜りレギルスMに接近してギラーガスピアを2分割にして片方でレギルスMの右腕を切り落とす。

 そして、もう片方のギラーガスピアをレギルスMの胸部に突き刺す。

 

「この私が地球種との混血に!」

「お前のやり方を認める訳にはいかないんだよ……」

 

 レギルスMが爆散する前に胸部に刺さっているギラーガスピアを抜いてギラーガ改は距離を取り、レギルスMは爆散した。

 

「ヴァレリ……」

 

 かつての部下を倒した事でスラッシュは軽く目を瞑るがすぐに戦列に戻って行く。

 レギルスMの爆発の煙の中からレギルスコアが飛び出して来る。

 機体が爆発する直前に爆風に紛れてヴァレリはレギルスコアで離脱していた為、爆発に巻き込まれる事もなかった。

 

「この私が……まぁ良い。私はまだ負けた訳ではない。私の手にはまだ切り札が残されている。アレさえあれば私はまだやれる」

 

 レギルスコアはそのまま戦場から離脱して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 各戦場で決着がついているが、アセムとアルベリッヒの戦闘は膠着している。

 ダークハウンドは近接戦闘を主眼に置いている為、懐に飛び込めばアセムの技量と相まって無類の強さを発揮する。

 しかし、アルベリッヒもダークハウンドの装備からダークハウンドが近接戦闘用MSであると言う事はすぐに見抜きファンネルを使い懐に飛び込めないようにしている。

 それによって距離を保ったままでの戦闘になり、アリーサとマックスの援護があってもアセムはダークハウンドの得意な距離に持ち込む事が出来ずにいる。

 一方のアルベリッヒのゼイ・ガルムも距離を保っての戦闘で優位には立っているが、ダークハウンドに勝てる程の優位と言う訳ではない。

 

「あれがアルベリッヒ・バルベルか……教科書通りの強さと言う事か」

「得意のレンジに入り込ませないようにしているが粘るな。流石はガンダムか」

 

 ダークハウンドはゼイ・ガルムのファンネルを回避し、ロングビームライフルのビームも回避してストライダー形態に変形して旋回する。

 ドッズガンで弾幕を張ってストライダー形態の機動力で近接戦闘に持ち込むが、ゼイ・ガルムのファンネルのビームをかわす為にMS形態に変形して避ける。

 ダークハウンドの後方からアリーサ機とマックス機がドッズライフルで援護射撃を行う。

 

「アセム!」

「こっちは大丈夫だが……正攻法では時間がかかり過ぎる」

「どうすんの? 余り時間はかけられないよ」

 

 ゼイ・ガルムとの戦闘そのものは互角と言っても良い。

 だが、時間をかけ過ぎると自動的に連邦軍の敗北が決まる。

 UIEはノアを地球にぶつけるまで時間を稼げばいい。

 それを阻止する可能性を少しでも上げる為にはゼイ・ガルムを少しでも早く倒して敵の数を減らすしかない。

 

「分かってる。ならば、やり方を変えるまでだ」

 

 ダークハウンドは肩のアンカーショットを手に持ってゼイ・ガルムに射出する。

 普通に撃ったところでゼイ・ガルムには万に一つ当たる事は無いだろう。

 その為、アンカーショットのワイヤーを蛇行させる事で少しでも攻撃の軌道を読み難くした。

 

「小賢しいな。その程度の事で揺さぶりをかけられると思うな」

 

 蛇行するアンカーショットの軌道をアルベリッヒは難なく見切りシールドで弾く。

 だが、それを見切られるのも計算の内だった。

 ダークハウンドは持っていたアンカーショットを捨てるとゼイ・ガルムに接近しながらドッズランサーを勢い良く投げつける。

 

「ワイヤーは囮か……考えたな。だが」

 

 ダークハウンドの蛇行させたアンカーショットは軌道を見切る為に注意をアンカーショットに向けた上で貫通力のあるドッズランサーを投げつける事で距離を何とかする。

 それすらもアルベリッヒの予測の範囲内の事であった。

 ゼイ・ガルムはロングビームライフルをドッズランサーに向けて放つ。

 ロングビームライフルから放たれたビームはドッズランサーを撃ち抜くかのように思われた。

 しかし、ビームが当たる直前にドッズランサーは急に後退した。

 

「何だと!」

 

 それによってビームはドッズランサーを撃ち抜く事は無い。

 ドッズランサーのあり得ない動きに流石のアルベリッヒも驚いている。

 ドッズランサーはダークハウンドの方へと戻って行く。

 ダークハウンドはアンカーショットを持っており、そこから射出されたアンカーがドッズランサーのグリップに引っ掛けられ、ワイヤーでダークハウンドの元に引き寄せられている。

 

「アンタ程のパイロットならあの程度の奇襲は読むと思っていた」

 

 アセムはアンカーショットを蛇行させての囮からドッズランサーを投げつける策をもアルベリッヒ程のパイロットなら見抜けると想定していた。

 ゼイ・ガルムがロングビームライフルをドッズランサーに向けた時点で見抜かれたと判断し、アンカーショットでドッズランサーを引き戻すと言う次の手を打った。

 ドッズランサーがダークハウンドの元に戻るのと同時にストライダー形態に変形し、ハイパーブーストで急加速する。

 そのまま減速する事なく、ダークハウンドはゼイ・ガルムに突っ込む。

 そこまでは見抜く事が出来なかったアルベリッヒだが、それでも反射的にシールドで機体を守っている。

 ダークハウンドのドッズランサーでの突撃はゼイ・ガルムを貫く事は無くシールドで逸らされてしまった。

 完全にダークハウンドの攻撃を防ぎ切れた訳ではなく、シールドは貫通し左肩をもぎ取られる。

 しかし、その対価としてダークハウンドのドッズランサーもハイパーブーストで勢いをつけた事もあり、シールドを貫通し左肩をもぎ取った時点で壊れてしまった。

 

「これだけの手を打ってあの程度の損傷か……」

 

 複数の奇策を使ってゼイ・ガルムのシールドと左腕を破壊したが、ダークハウンドもメインウェポンのドッズランサーを失ってしまった。

 ゼイ・ガルムに与えた損傷と比べると本体に損傷は少ないが割に合わない。

 その上でダークハウンドはアンカーショットも2基とも使い捨てている。

 残る装備はストライダー形態用のビームバルカンと腰のビームサーベルしかない。

 ダークハウンドはMS形態に変形すると両手にビームサーベルを抜いた。

 

「だが……アンタはここで仕留めさせて貰う」

 

 ダークハウンドは二刀流のビームサーベルを構えてゼイ・ガルムに突っ込む。

 ゼイ・ガルムはファンネルでダークハウンドの動きを制限しようとするが、後方からアリーサ機とマックス機の援護でファンネルが数基落とされる。

 

「ちっ!」

「行け! アセム!」

 

 ゼイ・ガルムはロングビームライフルでダークハウンドを迎え撃つが、ダークハウンドは紙一重で回避する。

 今までは確実に回避しようとしていたが、今はギリギリになっても最低限の動きで回避している為、ダークハウンドを止める事が出来ない。

 

「小童が!」

「アンタはすでに過去のエースだ。なら、スーパーパイロットとしてアンタも超えさせて貰う」

 

 ゼイ・ガルムの攻撃を掻い潜りダークハウンドはビームサーベルでロングビームライフルを切り捨てる。

 すぐにビームソードに持ち替えて突き出すが、ダークハウンドはフラッシュアイでアルベリッヒの目を暗ませる。

 今までアルベリッヒに対して一度もフラッシュアイを使う事は無かった。

 その為、アルベリッヒはフラッシュアイの光で目をやられた。

 反射的に目を瞑ったため、影響はさほどないがこの距離で一瞬でも目を瞑って出来た隙は致命的な物となる。

 フラッシュアイの閃光が途切れたが、すでにダークハウンドによってゼイ・ガルムの右腕はビームソードごと切断されていた。

  

「くっ!」

 

 すぐにメガバルカンをダークハウンドの至近距離から放つが、ダークハウンドは肩のバインダーをシールド代わりに使って防ぐ。

 バインダーはメガバルカンでズタズタになるが、ビームサーベルでゼイ・ガルムの頭部に突き刺してメインカメラを潰した。

 もう片方のビームサーベルを振り上げてゼイ・ガルムに止めを刺そうとする。

 ダークハウンドがビームサーベルを振り落すよりも先にゼイ・ガルムはダークハウンドの方に少し移動する。

 それをしたところでビームサーベルから逃れる事が出来る訳もない。

 ビームサーベルでゼイ・ガルムの胴体を肩から斜めに切り裂く。

 アセムはゼイ・ガルムを撃墜した時に爆発に巻き込まれないように撃墜後にすぐに距離を取れるようにあらかじめ距離を取っていたが、アルベリッヒは最後の前進した事でダークハウンドはゼイ・ガルムの爆発に巻き込まれた。

 

「アセム!」

「嘘でしょ」

「大丈夫だ」

 

 ゼイ・ガルムの爆発はダークハウンドを巻き込むが、ダークハウンドは爆発が起きる直前に腕とバインダーで胴体を守っていた。

 それによって爆発で両腕とバインダーを失うも何とかアセムは無事だった。

 

「とはいえ最後にやってくれたな」

 

 最後の少しの前進がなければダークハウンドはここまでの損傷を受ける事はなかった。

 恐らくはアルベリッヒが自身の敗北を確信した時にせめてアセムのダークハウンドを道連れにするか最低でも戦線を離脱させようとしての前進だったのだろう。

 アルベリッヒの思惑通り、ダークハウンドはまともに戦えるだけの状態ではない。

 

「バロノーク、ナトーラ艦長」

「アスノ隊長、どうかしましたか?」

「ダブルバレットの射出を頼む」

「しかし……分かりました」

 

 ダークハウンドの状態ではすでに戦う事は出来ない為、戦闘前に積み込まれていたAGE-2のダブルバレットのウェアを射出するようにバロノークのナトーラに指示を出した。

 AGE-2はAGE-3のように戦場でウェアを換装する事を前提に開発されている訳ではない為、戦場でウェアを換装する時には無防備をなり非常に危険だ。

 しかし、アセム程のパイロットをこのまま戦場から離脱させるのは酷い痛手である為、ナトーラはすぐにダブルバレットの射出を格納庫に指示する。

 事前にダブルバレットを射出する可能性も視野に入れていた為、ダブルバレットはすぐにダークハウンドに向けて射出された。

 

「アリーサ、マックスさん、援護を頼む」

「任せとけって!」

「無茶な事を……少しは年を考えなさいって」

 

 アリーサとマックスの援護を受けて、射出されたダブルバレットを速度を合わせる。

 四肢のウェアをパージすると、無人牽引機に固定されれているダブルバレットに換装する。

 ダブルバレットに換装すると無人牽引機を無理やり破壊して、ダークハウンドはツインドッズキャノンのバレルをパージして手持ちのドッズライフルにして、バインダーから巨大なビームサーベルを展開して周囲の敵を切り裂く。

 

「待たせた」

「暴れて来い。アセム!」

 

 ダークハウンドはドッズライフルを放ちながら、カーフミサイルを放つ。

 そして、大型ビームサーベルで敵を薙ぎ払う。

 ダークハウンドは大軍との戦闘を視野に入れているダブルバレットの本領を発揮する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノア内部に侵入したF-ZEROとグランサにガンダムTHE ENDが襲い掛かる。

 THE ENDはビームサーベルで2機に切りかかり、2機は散開する。

 幸い、通路はMSの行動がある程度は制限されるが、全く動けないと言う程でも無い為、回避行動を取るだけの広さはある。

 

「内部じゃ火器は使えない筈だ。兄さん」

「だが、こっちは撃ち放題だ」

 

 F-ZEROはシールドのビームキャノンを、グランサはグラストロランチャーを放つ。 

 ノアの内部で高火力の武器を使えば内部からノアを破壊してしまう恐れがある為、THE ENDは右肩のビームランチャーは使えないがクライドもフリットも内部からノアが破壊されても問題がないどころか、内部破壊が二人の任務であるので躊躇う事は無く高火力の武器を使う事が出来る。

 2機の砲撃をTHE ENDはシールドで防ぐ。

 

「防いだだと?」

「成程ね。内部破壊はされたくないらしい。更に好都合だな」

 

 THE ENDは回避できる攻撃を回避せずにシールドで受け止めた。

 シールドも無限に攻撃を防げる訳ではない為、回避できるのであれば回避するのはMS戦における常識だ。

 それをしない理由は限られて来る。

 今の状況から考えられる理由としてはノアの内部破壊を避けたいと言う事だ。

 内部から破壊されれば計画に狂いが生じる可能性はゼロではない。

 それを避ける為にはTHE ENDは攻撃を避けずに受け止めると言う指示が出ているのだろう。

 THE ENDの性能はF-ZEROとグランサが2機がかりでも勝つ事は難しい事はクライド達にも理解できる。

 覆すにはそれなりの策が必要だった。

 そこにTHE ENDは高火力の武器は使えないと言う事に更には内部の損傷を避ける為に回避行動はほとんど取れないと言う事も加わった。

 

「なら、そこを突かない手はないよな」

 

 F-ZEROとグランサはTHE ENDに集中砲火を浴びせる。

 クライドの推測通りTHE ENDはシールドで防ぐが、回避行動を取る事は無い。

 だが、THE ENDはシールドを掲げたまま、突っ込んだ。

 2機の攻撃をシールドで防ぎながら、THE ENDはシールドでF-ZEROを弾き飛ばす。

 

「兄さん!」

 

 THE ENDは通路に倒れるF-ZEROにビームサーベルを突き刺そうとするが、グランサがシールドライフルを放ち、シールドで受け止める。

 グランサの攻撃を防いでいる間にF-ZEROはフィンファンネルを射出してTHE ENDの四方から攻撃する。

 フィンファンネルの攻撃をTHE ENDはシールドで防ぎつつビームサーベルで落としていく。

 

「丁寧な事だな!」

 

 フィンファンネルの相手をしている隙にF-ZEROは立ち上がりシグルサイズを振るう。

 だが、シグルサイズの刃はTHE ENDに届く事は無く回避される。

 

「こいつは避けるのか」

「兄さん、距離を取って責めるぞ」

 

 シグルサイズのような近接戦闘用の装備は回避してもノアに損傷を与える事は余程の事がない限りは無い為、THE ENDも受け止める必要はない。

 グランサがグラストロランチャーでTHE ENDの動きを止めて、F-ZEROもTHE ENDから距離を取る。

 

「だよな。この場合は」

 

 F-ZEROもビームキャノンを放つ。

 2機の集中砲火を回避出来ないTHE ENDはシールドで防いでいるがやがてシールドは破壊されるが、回避する事もなく攻撃を受け続ける。

 

「これでも回避せんとはな……」

「哀れだ。それに気に入らんな」

 

 THE ENDの装甲が破壊されても攻撃を避ける素振りがないのは、THE ENDに生体ユニットとして搭載されているナーガが命令以外の事を状況に合わせて思考する事が出来ないからだろう。

 生体ユニットにされているナーガがどうんな風になっていようが、クライドには興味はない。

 そこに存在している事自体が許せないだけだ。

 しかし、パイロットを生体ユニットとして使うTHE ENDはクライドの理念ではあってはならない存在である為、それが気に入らない。

 半壊しているTHE ENDはビームサーベルを持ったまま、突っ込んで来る。

 ビームサーベルを振るいF-ZEROの腕が肩から切り落とされて通路に叩きつけられる。

 

「しぶとい! さっさとくたばれよ!」

 

 ビームサーベルが付きだされて、F-ZEROは左腕のパイルバンカーをTHE ENDに突き出す。

 今度はTHE ENDもかわしている余裕はないのか、胴体にパイルバンカーが突き刺さる。

 だが、胴体を貫かれながらもTHE ENDはビームサーベルをF-ZEROに向けて突き刺そうと振り上げている。

 THE ENDのビームサーベルがF-ZEROを貫くよりも先にグランサがビームサーベルでTHE ENDの腕を切り落とす。

 F-ZEROは機体からワイヤーアンカーを射出して通路の適当なところに突き刺して、ワイヤーを引き戻して強引にTHE ENDから離れる。

 

「フリット!」

「ああ!」

 

 F-ZEROが離れた事でグランサはシールドライフルとグラストロランチャーに一斉射撃を行う。

 すでにボロボロのTHE ENDは最後まで攻撃をかわす事もなく、グランサの一斉射撃で完全に破壊された。

 破壊されたTHE ENDの破片をF-ZEROがビームサーベルで念入りに破壊して行く。

 

「これで父さんと母さんの仇は」

「そうだな……ようやく終わった」

 

 THE ENDの破片を念入りに破壊した事で生体ユニットをして搭載されていたナーガを完全に始末したと判断した事で何十年にも渡る親の復讐に幕が下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両親の仇と取った感傷に浸る間もなく、クライドとフリットは先に進んでいる。

 両親の仇を取っても地球が破壊されては何の意味もないからだ。

 

「ここから先はMSではいけないな……仕方がない」

 

 ノアの管制に行くためにはこれ以上はMSでは進む事は出来ない。

 クライドはコックピット内に常備してある銃を取り出して確認する。

 

「フリットはここで待機しておいてくれ」

「兄さんが降りるのか?」

「F-ZEROにはアリスがいる。俺が居なくても平気だ。それに俺の体はフリットよりも頑丈だからな」

 

 F-ZEROはアリスが殆ど動かしている為、クライドが降りても自立稼動が出来る。

 その上、クライドの体の一部は義手などで機械化されている為、頑丈だ。

 尤も、クライドもフリットもすでに若くない為、白兵戦になったら勝ち目はない。

 ここから先は敵の歩兵と遭遇しない事を願いつつ進むしかない。

 

「そういう訳だ。フリット、俺がやられた時は直接エネルギーコアを破壊に向かってくれ」

 

 二人いたところで白兵戦での勝率は変わらない。

 だからこそ、クライドは単独で管制室に向かい、フリットはガンダムで待機させた。

 もしも、運悪く白兵戦になった場合はフリットが直接エネルギーコアを破壊に向かわなくてはならない。

 その場合、フリットがノアから退避する時間は無い為、クライドが敵と遭遇した時はフリットの命運もそこで尽きる事になるだろう。

 

「分かった。兄さんも気を付けてくれ」

「善処する。一応はな」

 

 ここが敵の本拠地と言う事を考えれば敵と遭遇しない可能性はまずありえない。

 フリットもクライドもその事十分に理解はしていた。

 クライドは銃と小型端末を持ち機体から降りて通路の脇から人間用の通路に入る。

 その道中に電子ロックされている隔壁を持ってきていた小型端末で解除しつつクライドは先に進む。

 

「ここか」

 

 先に進むクライドは敵と遭遇する事は無かった。

 それはTHE ENDが敗北するとは想定されていなかった為、この辺りに人員を裂くのは無駄と判断された事と指示を出す人間が出撃しているので内部の事に目を向ける余裕がないなどの事が次々と重なった奇跡と言っても良い。

 クライドはある一室の前で止まり、その扉のロックも解除して中に入る。

 中にはモニターはコンピュータ類で埋め尽くされている。

 そこはどう見ても管制室には見えない。

 

「やっぱりここにあったのか」

 

 明らかに管制室ではないが、クライドの目的地はここだった。

 ここはノアを設計する際にクライドが自分用にと設計したMS開発用の研究室だ。

 クライドは研究室のコンピュータに小型端末を接続しながらモニターに情報を出す。

 

「俺ばかり技術を盗まれるのは割に合わないんだよな」

 

 クライドは研究室でそこにあるUIEの兵器情報を盗む為に研究室まで来ていた。

 フリットを置いて来たのも作戦の予備の為ではなく、一人で行動しなければここに来る事も出来ないからだ。

 

「それにここからでも管制にハックは出来るしな」

 

 データを閲覧する片手間でクライドは管制室にハッキングしてエネルギーコアを意図的に暴走させる細工を施している。

 

「こいつは……」

 

 データを閲覧する中でクライドは面白い物を見つけて詳細なデータを出す。

 

「UIEの奴ら、コロニーレーザーまで用意しようとしてたのかよ」

 

 クライドの見つけた物はUIEが建造しようとしていたと思われるコロニーレーザーの設計図だ。

 データを見る限りではコロニーレーザーは木星圏で建造されていたが、完成する事もなく建造は中止されているとある。

 その理由は定かではないが、コロニーレーザー程の巨大な構造物を建造すれば連邦軍に見つかる危険性が高い為、連邦軍に見つかり難いMSを大量の集める方を集中したのだろうと考えつつもコロニーレーザーのデータに目を通す。

 

「凄いな。てか、こいつの建造に成功していたらこっちに勝ち目は無かったのにな」

 

 データ上のコロニーレーザーは木星圏から地球圏を狙撃出来る出力を持っている。

 これが連邦軍に見つかる事がなく建造されていれば、木星圏から地球圏を超長距離狙撃が可能となる。

 そうなれば連邦軍には勝ち目はなくなり、ノアを地球にぶつけるのも容易とだった。

 

「誰だね。私の研究室に勝手に入っているのは?」

 

 突如、背後から声がした為クライドは銃を構える。

 そこにはダグ・アスノがいた。

 

「私の研究所ね……ここは俺の研究所になる予定だったんだがな」

「お前は……クライド・アスノか! なぜここにいる!」

 

 クライドはダグの事は顔は知らないが、ダグはクライドの顔は知っている。

 しかし、ダグの発言からクライドも相手が誰なのかは大体想像がついている。

 

「ダグ・アスノだな」

「だったら何だ!」

「アンタさ、アスノ家の汚点になってるって知ってるか? だからアンタは現当主である俺がこの手で始末させて貰うが、悪く思うなよ。お前が悪いんだからさ」

「私が悪いだと? お前もアイツらと同じか! 私はただ自分のやりたい事をしたに過ぎない! それのどこが悪い! MSなど所詮は人殺しの道具ではないか!」

 

 ダグはクライドに銃を向けられている事も忘れて怒鳴り散らす。

 ダグが一族から破門された理由はやり過ぎたからだ。

 自分のやりたいようにMS開発を行った結果、殺戮を生み出す兵器を多く開発した事で当時のアスノ家当主であった父に一族を破門にされて当主の座はダグの弟が継ぐ事になった。

 怒鳴り散らすダグをクライドは冷ややかに見ている。

 

「別に悪くはないな。俺もそうだ。けど、俺は一流でお前は二流だ」

 

 クライドも自分のやりたいようにMS開発を行って来た為、ダグの言い分は十分に理解できる。

 だが、クライドは自分とダグを同じだとは見ていない。

 

「今の世の中、技術者には世の為人の為と言ってMS開発を行う連中も少なくない。それが本当に自分のやりたい事なら良いが、そうじゃない奴も大勢いる。そんな技術者は三流だ。その点、お前は自分のやりたい事を素直にやっている点は評価して三流ではないと認めよう。だが、一流ではない。お前のやっている事は所詮は自分だけの自己満足に過ぎない。一流の技術者ってのは自己満足しながらも世界に認められる技術者なんだよ」

 

 クライドとダグの最大の違いはそこにある。

 クライドに聞こえの良い理由で自分のやりたい事をしない技術者は三流の技術者と見ている。

 そして、一流の技術者とは自分のやりたい事をやりつつもそれを世間から認められる技術者の事を指す。

 アスノ家が百年以上もMS鍛冶の家系として名門一族と言われているのも、銀の杯条約で戦闘用MSの開発が禁止されてからも作業用や競技用と条約の穴を見つけて来たからだ。

 それによりアスノ家や他のMS鍛冶は堂々と技術の継承を続ける事が出来た。

 一方のダグは自分のやりたい事だけとやり、その結果誰からも認められる事がないどころがMS鍛冶の名門一族のアスノ家からは汚点とまで見られている。

 それでも自分のやりたい事をやると言う所はクライドも評価している。

 尤も、評価はしているはパイロットを生体ユニットとして使っているなど、クライドの「MSは人の道具である」と言う理念からは外れて行為である為、認めてはいない。

 

「そういう訳だ。アスノ家の為に死んでくれ」

 

 クライドは躊躇う事もなく引き金を引いた。

 ダグは避ける事も出来ずにクライドからの銃弾を受ける。

 その後も確実に仕留める為にダグに数発の銃弾が撃ち込まれた。

 

「仇も討てて一族の汚点も始末出来た。後は全世界に俺の最強のガンダムを見せつける事が出来れば最高だな」

 

 クライドはダグが死んだ事を確かめて次の事を考える。

 先ほど両親の仇を討つ事には成功している。

 そして、今一族の汚点であるダグを始末する事も終えた。

 次はクライドが生涯をかけて開発した最強のガンダムをいかに世界に見せつける事だ。

 すでにいくつかのプランは考えてある。

 後はそれを実行するのみだ。

 

「フリット、こっちの準備は終わった。すぐに戻る」

「分かった。急いでくれ」

 

 小型端末で残して来たフリットに準備を終えた事を報告する。

 クライドはすぐに来た道を戻りF-ZEROの元に向かう。

 その道中でクライドはガンダムZERO Zを世界に見せつけて歴史に残す為の策をシミュレーションしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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