機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第130話

 

 ネオ・ヴェイガンのディーヴァへの挟撃作戦はエリスがガンダムAGE-Ⅵ 1号機にて出撃した事により失敗に終わった。

 ディーヴァへの挟撃に失敗したネオ・ヴェイガンは一度、撤退をするがディーヴァの追尾を断念した訳ではなかった。

 襲撃に失敗したが、ディーヴァを追尾していればいずれはEXA-DBへと案内してくれるからだ。

 どの道、挟撃に失敗したところでディーヴァをEXA-DBへの案内人にしている為、ネオ・ヴェイガンにとっては先の戦闘は失敗しても構わないとも言えた。

 戦闘が終了し、ディーヴァとバロノークはMS隊を回収してマッドーナ工房への向かっている。

 少なからず損害もあり、次の目的地であるアンバットまでは地球や月を越えねばならない為、エンジェルに向かう時以上の準備が必要となるからだ。

 マッドーナ工房へ戻る道中、ディーヴァの格納庫に収容された1号機の周囲に整備班が取りついていた。

 それを遠巻きに帰投したリックたちも眺めている。

 1号機は帰投したが、いつまで経ってもパイロットが降りて来なかった。

 1号機に勝手に乗ったのはエリスでエリスの様子がおかしかった為、リックたちも気にしていた。

 整備班が外からハッチを強制的に開閉して整備班が1号機のコックピットを覗き込む。

 1号機のコックピットにはエリスが力無くうな垂れていた。

 それを発見した整備班はすぐさま、エリスを機体から引っ張り出して医務室へと連れて行く事になった。

 医務室に運ばれたエリスは簡単な検査を受けるも体には異常はないと診断された。

 検査中も意識を取り戻す事は無く、検査に問題がない事が分かると後は検査が終わるのを待っていたリックたちに後を任せて医師は医務室を開けた。

 

「でもさ、エリスちゃんが起きたらどうすんの?」

「聞いたぜ? 何か性格違ってたんだろ?」

「うん……」

 

 医務室のベットで眠るエリスを見ながら、ジンがそういう。

 ジンもすでに戦闘中のエリスの言動については聞いていた。

 大人しく清楚と言うイメージを持っていたジンたちにとって1号機に乗っていたエリスの言動は衝撃的だ。

 その場にいたリックとエイミーも未だに信じる事は出来ないでいる程だ。

 どちらのエリスが本当のエリスか3人は判断出来てはいないが、エリスが目を覚ます。

 3人はエリスが目を覚ました事でドキリとするが、そんな3人の心情に気づいていないのか、エリスは3人を見つけるとニコリと笑う。

 

「おはようございます」

 

 エリスの言葉に呆気にとられるが、その様子からエリスは自分達の知る方であると確信して安堵する。

 

「ところでなぜわたくしはこの様なところに?」

「何でってエリスちゃん。さっきの戦闘の事は何も覚えてないの?」

「戦闘……そう言えば、先ほど船が大きく揺れて……そこからは何も覚えていませんわ(これで押し通す)」

「覚えてないってどう言う……」

「戦闘中に大きな揺れがあるのは珍しい事じゃないからな。その時に体を強く打ちつけて気を失ったって事か?」

 

 エリスの話しを信用するならそうなる。

 ジンも戦闘中にはディーヴァの中にいた為、たまに回避行動や被弾の際に船体が大きく揺れる事は何度かある。

 エリスはその時に壁にぶつかって意識を失ったと言う事になる。

 実際のところ、それは全てエリスの作り話に過ぎない。

 戦闘中に独断で出撃し、戦場で素で話していた事を戦闘後に気が付いて誤魔化す為にコックピット内から出なかった。

 そして、外から強制的にコックピットのハッチを開ける頃に意識を失ったフリをしてここまで運ばせた。

 その後は適当なタイミングで目を覚まして知らぬ存ぜぬを通すと言う算段だった。

 

「でもなら、どうしてエリスさんは1号機に乗っていたんだろう。それに僕達に指示を出した声は確かにエリスさんに良く似ていたんだよ」

「問題はそこよね」

 

 エリスの話しと現在の状況には決定的な矛盾があった。

 どんなにエリスが何も覚えていないと主張しても、エリスが1号機に乗っていたと言う事実は動かしようのない事実だ。

 

「まさか、1号機を動かしてたのはエリスの別人格だったりして」

(成程……それは良い手だ)

 

 余りに状況が混乱している為、エイミーが場を和ませようと適当な事を言うが、エリスはそこから状況を打開する新たな手を思いついた。

 

「うっ……」

「エリスさん!」

「すぐに先生を呼んで来る!」

「その必要はない」

 

 エリスは突然、頭を押さえて呻き出した為、エイミーが医師を呼びに行こうとするが、エリスがエイミーの腕を掴んで止めた。

 そして、エリスは顔を上げると心なしか先ほどよりも目つきが鋭くなっている気がした。

 

「中々良い感をしているようだな。娘」

「エリスさん?」

 

 エリスの態度が変貌した事にリックたちは少なからず動揺するが、エリスは止まる事は無い。

 

「いかにも私はエリスのもう一つの人格、呼び方は裏エリスでも闇エリスでも好きに呼べ」

 

 エリスが思いついた策とは自分が二重人格で1号機に乗っていた時のエリスは別人格と言う事にする事だ。

 

「マジかよ」

「私が嘘をついていると言うのか? この私がお前達に対して二重人格の演技し嘘をついて何の意味がある?」

 

 リックにも今のエリスが嘘をついているようには思えない。

 実際に今のエリスの方が素である為、演技をしているように見えないのは当然の事である。

 そして、エリスの言う通りエリスが二重人格だと装った事に意味があるとも思えない。

 実際に大した意味があって二重人格を装っている訳ではない為、それも当然の事であった。

 

「つまり、今のエリスさんは別の人格だと言う事ですか?」

「そう言う事だと言っている。私が表に出ている時はもう一人の私は眠った状態になるから、私の事は知らんが私は常に起きているし自分の意志で表に出る事も出来る。もう少し、隠れているつもりではあったが、そこの娘が意外と良い感をしているから見破られてしまったからこうして表に出たと言う事だ。娘よ。Xラウンダーでもないのに良い感をしている褒めてやる」

「はぁ……どうも」

 

 エリスと同じ顔と声だが態度が全く違う為、リック達は簡単に慣れず戸惑うばかりだ。

 

「でも、なんでそんな事に?」

「お前達は知らない方が良い」

 

 エリスはそう言って視線を下げた。

 そこから、エリスが二重人格である事は何か深刻な理由があると勝手に思わせる。

 その為、それ以上は聞く事は出来ない。

 

「貴女の事は表のエリスさんはご存じなんですか?」

「さっきも言ったが、表の私は今は寝ている状態にあるからな。私の事を知りようがない。だから、表の私には裏の私の事は話すな」

「どうしてですか?」

「表の私は優し過ぎる。自分の中にもう一人の私がいるとすればアイツは私に体の所有権を渡すだろう。アイツはそういう奴だ。誰よりも優しく他人の為なら平気で自分を犠牲にする優しい奴なんだよ。どの道、主人格はアイツの方だ。私は何かのきっかけで消えるかも知れん。人格が統合された場合も消えるのはアイツではなく私の方だ。それでもアイツは優しいから消えゆく私の為に心を痛めてしまう。だから、私の事など知る必要はない」

 

 エリスはどこか寂しそうな表情をする。

 医務室の空気が重くなり、リック達は誰もエリスに言葉をかける事が出来ない。

 

「そう言う訳だ。お前達が私の事を話そうとすればその時は勝手に出て来て話しを聞かせないからそのつもりでな。誰にも言うでないぞ」

 

 エリスは言う事を言って目を閉じる。

 そして、少しすると再び目を開く。

 

「あれ……わたくしは一体……」

 

 目を開けるとエリスはリック達が知る方のエリスの演技に入る。

 リック達からすれば本来の人格に戻った為、先ほどまでの事を言う事は出来ない。

 

「どうかしたんですか?」

「えっと……」

 

 裏の人格を名乗るエリスから表の人格のエリスに裏の人格の事は話さないように言われている上に今も見ている筈な為、エリスに対して何を言えば良いのか判断に困り、互いに目で合図をかわすが、すぐに言葉が出て来る訳もなく、医務室の空気は思いままだ。

 そうしているうちに医務室にエリスの検査が終わったとの報告を受けたアセムが入って来る。

 

「お爺ちゃん」

「もう気が付いたみたいだな。悪いがリック達は席を外して貰えないか?」

「うん……」

 

 アセムが何の用でここに来てなぜ、自分達に医務室から出るように言ったのかは分からないが、エリスに関する重大な秘密を知って混乱している為、素直に医務室から出ていく。

 

「わたくしに何か御用ですか?」

「全く……」

 

 あくまでも演技を続けるエリスにアセムは呆れるが、エリスも素を知っているアセムに演技を続けたとてつまらないと判断して素に戻る。

 

「何だ」

「まずは礼を言わせて貰う。エリスが出てくれたおかげでこちらの被害は最低限で済んだ」

 

 エリスが1号機で出撃しなければ確実にディーヴァやバロノークの受ける被害は大きかった事は確かだ。

 勝手に出撃したとはいえ、単純な損傷だけでなく人的被害を抑えられた事は大きい為、素直に感謝している。

 

「尤もキャロルは格納庫でお前が勝手に動かした1号機の整備で大変だろうがな」

 

 人的被害を抑える事は出来たが、代わりに1号機の方が大変な事になっていた。

 1号機は元々、指揮官機として後方から隊の指揮や援護を行う事を目的に開発されたガンダムだ。

 指揮官でもあるパイロットを守る為の追加装甲などで重量が7機のゼクスシリーズの中でも3号機の次に重い。

 そんな1号機で先の戦闘のように敵MSを蹴り飛ばすなどすれば機体の関節にかかる負荷は大きい為、下手をすれば戦闘中に機体の足がもげたかも知れなかった。

 幸いそこまでの負荷はかからなかったが、大きな負荷がかかった事は事実で格納庫ではキャロルの指揮の元、整備班が1号機の整備に駆りだされている。

 

「知るか。何故、私が機体に合わせにゃならんのだ」

「そう言うな。アレでもまともに運用すればディーヴァの立派な戦力だ。少しは労わってくれ」

「やなこった」

 

 優秀なパイロットの条件の一つにいかに搭乗機の特性を活かせるかと言う事がある。

 1号機は高い通信能力やセンサー系を活かして指揮や後方支援を行いMS隊の戦闘を有利に運ぶ事が理想的な使い方だろう。

 しかし、エリスは指揮を執る事もなくセンサー系も必要最低限の機能のみを使い前線で戦って来た。

 そんな使い方でも十分な戦果を挙げたが、本来の使い方から外れた使い方をすれば機体を無理させる事になる。

 無駄だと分かっているが、アセムとしてはエリスには1号機を今後も使うのであればそのように使って欲しかった。

 だが、案の定エリスは自分の好きなように1号機を乗り回す気でいるようだ。

 エリスからすればMSは道具に過ぎず、道具の方に自分が合わせる気は毛頭ないのだろう。

 

「その事は今は置いておこう。それよりもだ。あの戦闘は一体どういう事だ? エリスらしくない戦い方だった」

 

 アセムもブリッジでエリスの戦闘は見ていた。

 その戦闘でグルドリンカスタムに対してのエリスの戦い方は明らかにおかしかった。

 余りにもらしくない戦いをしていた為、わざわざ直接エリスに問い質しに来た。

 

「分からん。私にも良く分からんのだ。あの金ツボとレギオンもどきと戦った時に異常な程の殺気を覚えた。5年前にキオと戦った時とは比べ物にならんくらいのな。私はアレに乗っていたパイロットの事は知らん筈だ……いや、違うな。私は知っているのだアレのパイロットの事を……誰よりもだ。だが、知らんのだ」

 

 エリスは今思い出しても自分がなぜ、あそこまでの殺意を覚えたのかが分からないでいた。

 グルドリンカスタムとレギーナのパイロットをエリスは知っているが知らないと頭の中が今でも混乱している。

 

「そうか……恐らくはアレに乗っているのがヴァレンティナ・イゼルカント。お前の娘を自称している奴だ」

「あれがね……少しはやるようだが、私の娘を名乗っているが私程ではないようだ。所詮、子は親には勝てんと言う事か」

「それは嬉しい誤算だったな」

 

 アセムもエリスの力は十分に知っている。

 それでも現在のネオ・ヴェイガンの指導者であるヴァレンティナとの直接対決に置いてエリスはヴァレンティナに圧勝し、エリス自身も自分よりも弱いと認識しているようだ。

 最悪、ヴァレンティナはエリスと同等の力を持っていると仮定していたが、それ程でないと言う事が分かったのは大きな収穫だ。

 

「次に戦場で出会った時は冷静にやれるな?」

「当然だ。アレは私の獲物だ。誰にも渡す気はない」

 

 まだ不安要素は残るが少なくとも前の戦闘の時のような事は無いだろうとアセムは判断する。

 少なくともヴァレンティナとヴァネッサに対してエリスは並々ならぬ殺意を持つ事はエリス自身が自覚している。

 自覚さえすればある程度は自分で抑える事が出来ると信じたい。

 例え、抑える事が出来ずとも厄介な敵はエリスが抑えてくれる事は確かな事だ。

 

「分かった。今はエリスを信じよう。だが、体の事はともかく余り無茶はしてくれるなよ」

「分かっている。残り少ない人生だ。最後に後悔して死ぬ気はない。私も死ぬ時は笑って逝くさ」

 

 ただでさえ残り少ない命でクライドのいない世界でエリスは死に急ぐかも知れないとアセムは危惧していたが、この様子だと死に急ぐと言う事は無さそうだ。

 尤も、クライドのように最後まで好きに生きて死んで逝くとなれば厄介事を引き連れて来る事は必至だろう。

 そのしわ寄せくらいは引き受けても思いつつも、もう若くない為面倒事はほどほどにして欲しいと思いながらアセムは医務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリスの参戦で撤退を余儀なくされたヴァレンティナはグレート・エデンに帰投していた。

 グレート・エデンの格納庫では1号機に破壊されたナイトギラーガとミラーファルシア、ガンダムレギーナの修理が行われている。

 

「このガンダムは何なの」

 

 グレート・エデンの自室でヴァネッサは先の戦闘のデータを見直していた。

 圧倒的な力を見せて自分達を撃退した1号機は異常としか言いようはない。

 

「入るぞ」

「姉様」

 

 ヴァレンティナがヴァネッサの返事を待たずして自室に入って来る。

 尤も、ネオ・ヴェイガンの総帥ではあるが、この部屋はヴァネッサとヴァレンティナが共同で使っている為、この部屋はヴァレンティナの自室でもあった。

 

「何を見ている?」

「この前の戦闘データよ」

 

 ヴァネッサは持っていた端末をヴァレンティナに見せるとヴァレンティナは顔をしかめた。

 あの戦闘でヴァレンティナも屈辱を受けていた。

 ヴァレリが撤退を判断しなければ意地でも屈辱は返すまで戦い続けていただろう。

 

「ネッサ。お前も感じただろう。こいつは異常だ」

「分かってるわ」

 

 直接1号機と交戦したヴァネッサとヴァレンティナは1号機のパイロットは普通ではないと感じていた。

 今まで戦ったどのパイロットとも違う異質な存在だ。

 

「ヴァレリはこいつのパイロットは我らにとって最大の脅威と判断した。次の戦闘でこいつだけは確実に仕留める」

 

 今までヴァレンティナは今後の事でヴァレリと相談していた。

 その中で、ネオ・ヴェイガンが最も危険視すべき敵として1号機がAGEシステムを搭載したAGE-ZEROよりも上に来た。

 AGEシステムは実戦経験を積まなければ意味がないが、1号機のパイロットの力はすぐにでもネオ・ヴェイガンを脅かす事は確実だ。

 

「そう。じゃあクリストとカールも呼び寄せるの?」

「いや、ヴァレリはそれには及ばないと判断した」

「分かったわ」

 

 ヴァネッサは現状で最も危険視する事になった1号機を落とす為にヴァレリ、ジェレミア、アビーと共に親衛隊ガーディアン5に名を連ねるクリストとカールの兄弟も投入するのかと思ったが、どうやら違うようだ。

 ヴァレリはわざわざ任務で出ている二人を投入する必要はなく、現状の戦力で十分に対応できると考えての事だ。

 ヴァレンティナがヴァレリの意見に意を唱えない事はいつもの事なのでヴァネッサも特に意を唱えると言う事はしない。

 

「でも、私のグルドリンは当分使い物にならないわ。私が出なくても大丈夫?」

 

 ヴァレンティナのレギーナ、ジェレミアのナイトギラーガ、アビーのミラーファルシアは1号機に損傷をさせられたが、修理に大した時間はかからない。

 しかし、ヴァネッサのグルドリンカスタムの損傷は酷かった。

 元々、グルドリンの機体構造は簡略化されている為、修理自体は簡単だが、問題は修理に使う部品の方にある。

 機体構造が簡略化されているが故にドラドやダナジンと言った従来のヴェイガン系のMSの部品は殆ど流用する事が出来ない。

 その上、グルドリン自体生産数が非常に少なく部品の生産ラインも殆ど残っていない為部品を手に入れる事も難しい。

 その為、ヴァネッサのグルドリンカスタムの修理は殆ど手つかずの状態だ。

 

「案ずるな。お前の新しいMSは用意してある」

 

 ヴァレンティナはそう言いながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオ・ヴェイガンの襲撃をディーヴァは新型機を投入して切り抜けたと言う事は戦闘をモニターしていたギルバートが率いる粛清委員会の方でもすでに知るところとなっていた。

 その時の1号機の戦闘データは精鋭揃いの粛清委員会でも驚嘆に値するものだ。

 

「これほどのエースを温存していたとは、流石と言う所か……」

 

 今の今までこれ程までのエースパイロットを出さずに窮地に陥った時に効果的に投入すると言うアセムの手腕にギルバートは関心するのと同時にアセムらしくないとも感じていた。

 切り札を温存して隠すと言う事は決して間違った事ではない。

 切り札を無用に使えばデータが取られて対策が立てられるからだ。

 しかし、それまでに何機かのMSが落とされてパイロットは戦死している。

 アセムがパイロットを死なせてまで切り札を温存するとは考え難い。

 

「いや、寧ろそれほどまでの覚悟を持っていると判断するべきか……」

 

 アセムらしからぬ切り札の温存ではあるが、多少の犠牲を出しても切り札を温存しやり遂げる覚悟がそうさせたとも考えられる。

 1号機のパイロットに関する情報が余りにも少ない為、ギルバートもそれ以上の推測は逆に危険と考えて推測する事を一時中断する。

 

「だが、こいつのパイロットは……危険だ」

 

 モニターしていただけでも分かる事があった。

 1号機のパイロットは危険だと言う事だ。

 このまま野放しにすればいずれ世界を破壊するかも知れないと思わせる程の力をギルバートも感じていた。

 

「あの人がいれば悪いようにはならないとは思うが……手を打たないと言う事は危険か」

 

 アセムならそれ程の力を持ったパイロットを悪用する事なく上手く使えるかも知れない。

 だからと言ってそれ程のパイロットがいる事を知りながら何もしない訳にはいかない。

 ギルバートはするにローザを執務室に呼び出した。

 

「お呼びでしょうか。少佐」

「中尉に特務を命じる」

「特務ですか?」

「そうだ」

 

 執務室へと来たローザにギルバートは1号機の戦闘の映像を見せる。

 すでにローザも戦闘のデータには目を通している為、特に驚くと言う事はない。

 

「中尉にはディーヴァに同行して貰い、1号機のパイロットに関する情報の収集、及びディーヴァの目的の調査を頼みたい」

「……しかし、同行するにしてもどのようにしろと」

 

 ディーヴァに搭載しているAGE-ZEROに屈辱を受けている為、ディーヴァに同行しろと言うギルバートの命令に対して少し棘がある返しをする。

 しかし、実際問題として同行する事は難しいだろう。

 一度は敵対している為、同行を申し出ても拒否される可能性は高い。

 

「そうだな。それに関しては状況による。中尉はその任務の事を念頭に入れて置いて欲しい」

 

 ギルバートもまだ、ローザをディーヴァに同行させる方法については検討中だ。

 だが、いきなり言われるよりかはその時が来た時に冷静に動けるようにするためにも早い段階でその事を伝える必要もあった。

 

「それは分かりましたが、なぜ私なのですか?」

 

 ローザがAGE-ZEROやディーヴァに対して強い敵意を持っていると言う事はギルバートも知っているはずだ。

 それなのにローザを直接指名する事にローザ自身も疑問を持っている。

 

「向こうもこれからの戦いを考えると少しでも戦力は必要になって来るはずだ。我が隊のエースである中尉がこの任務には適任と判断した」

 

 同行すると言う事はローザをディーヴァの戦力として迎え入れると言う事でもある。

 その際にディーヴァ側としても即戦力が欲しいと考えるだろう。

 ローザはギルバートの部下でも1,2を争うエースパイロットだ。

 特に小隊を率いる事に置いてはもっとも信頼がおける部下でもある。

 単体の戦力としては4機のガンダムがあるが、小隊指揮を執れる人材は今のディーヴァには欠けている為、ローザは戦力としては申し分ないだろう。

 だからこそ、ギルバートはローザにこの命令を出した。

 ディーヴァに同行すればディーヴァの目的も分かるだろう。

 そして、1号機のパイロットの事もだ。

 ローザがディーヴァに同行する事でアセムとのパイプ役として使う事も出来る。

 

「了解しました」

 

 ローザも未だにAGE-ZEROへの屈辱は忘れる事は出来ないが、上官の命令でもあり成果を出す絶好の機会でもある為、ギルバートの命令を了承した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コロニー「エンジェル」からディーヴァはようやくマッドーナ工房へと戻る事が出来ていた。

 それから数日でディーヴァは残りの修復と1号機のオプション装備その他諸々の準備を済ませて次の目的地であるアンバットを目指す用意は完了した。

 合流したビシディアンの母艦バロノークは補給を済ませて別ルートから先にアンバットへと向かい途中のコロニー「ミンスリー」にて合流する手筈だ。

 それに際してバロノークからGハウンドをディーヴァに積み替えた。

 ディーヴァとしては戦力の増強の必要があり、ビシディアンでは経験の少ないキャプテンのアンナをビシディアンの2代目のキャプテンをしていたアセムの下で経験を積ましたいと言う互いの利害が一致したためだ。

 

「取りあえず強襲揚陸モードとフォトンブラスターは使えるようにしたよ」

「また無理を言ったな」

 

 他の仕事もあると言うのにマッドーナ工房はディーヴァの修理を最優先で行ってくれた。

 そのお陰でディーヴァは数日で出航出来るようになっている。

 わざわざ、ディーヴァを優先してくれた事は感謝以外に言葉が見つからない。

 

「けど、気を付けてるんだ。フォトンブラスターは修理したとはいえ、完全とは言えない。1発撃てば修理が必要になるから」

「それでもないよりかはマシさ」

 

 ディーヴァの切り札であるフォトンブラスターキャノンは修理して使用可能にはなったが、完全に直す為には更なる時間が必要であった。

 だが、余り時間をかけたくは無い為、最低限の修理しか出来てはいない。

 その為、フォトンブラスターキャノンは1発撃つたびに修理をしなければならない状況のままだ。

 それでもフォトンブラスターキャノンは未だに艦載装備としては最強の兵器に分類されている。

 フォトンブラスターキャノンが1発でも使えるのと使えないのとでは戦術が大きく違ってくる。

 

「それにエンジェルの一件で覚悟は決まったからな。次に何が出て来ても驚かない自身はある」

 

 エンジェルで簡単に済むとは思ってなかったが、シドに大量のシド・スレイヴ、そして極め付けはエリスまで出て来た。

 流石にそこまでいろんな物が出てくれば次に何が出て来ても大抵の事は受け止める事が出来る。

 

「確かに……アセム、流石に地球を超えたあたりまでは僕達の支援は出来ない」

「分かっている」

「気を付けて」

 

 次の目的地のアンバットは地球と月を越えなければならない。

 以前はファクトリーシップである程度はフットワークが軽く状況に合わせて移動が出来たが、今の工房はコロニーである為、それも容易ではない。

 ある程度は工房から物資の支援を行う事は出来るが、地球を超えた辺りまで行くと流石に直接的な支援は難しくなる。

 支援が出来ない以上は気を付けてと言うしかロディに出来る事は無かった。

 

「ああ、精々叔父さんのお遊びに付き合って来るさ」

 

 ディーヴァの行く末を心配するロディにアセムも精一杯に強がりで返す。

 そして、ディーヴァはアンバットを目指してマッドーナ工房から出航する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 マッドーナ工房を出航したディーヴァはネオ・ヴェイガンの追撃を逃れる為に地球にギリギリまで近づくルートを進んでいた。

 この辺りはノートラムの防衛圏の近くである為、ネオ・ヴェイガンも手を出すとノートラムの防衛隊とも交戦しなければいけなくなる事を考えるとすぐに手を出さないと予測したからだ。

 ディーヴァはマッドーナ工房で船籍番号等を軽く偽装して来た為、今は民間船として誤魔化している。

 後は光学カメラで船体を確認されるまでの時間を稼いで宙域を離脱すれば無事にこの宙域をやり過ごす事が出来る筈だ。

 

「すご……これが地球」

「映像で見るよか、違うな」

 

 ディーヴァの展望デッキからエイミーとアンナは地球に近づいているお陰でデッキから地球を直接見る事ができ、今までは映像しか見た事のない地球を実際に見て映像とは違う地球に驚いている。

 

「そうか?」

 

 だが、ジンはそれ程、驚く様子もなく、リックも同様であった。

 

「感動が薄いわね」

「僕達は何度も見た事があるからね」

 

 リックもジンも生まれも育ちも地球だ。

 その上でジンは父親が宇宙で働いている事もあり、宇宙に上がる事は何度もあり、リックも同様だ。

 その為、エイミーとアンナとは違い地球を直接見た事は何度もあり、今更感動を覚えると言う事はない。

 

「エリスさんはどうです? 何か思い出す事はありませんか?」

「そうですわね……とても熱くなったと言う記憶はありますわ」

「じゃエリスも地球を前に見た事があるんじゃね」

「どうでしょう」

 

 エリスは4人よりも一歩引いたところで答える。

 エリスも何度も地球を見た事はあるし、そもそも風景を見る事自体に全く興味はない。

 ただ、地球には何度かMSで大気圏を突入して2度程死にかけている。

 1度目は大気圏にギリギリのところでの戦闘中にUIEのマドック・アークライトと交戦中に母艦へ帰投できなくなり最終手段として当時乗っていたガンダムAGE-2X改のストライダー形態で大気圏に突入しようとするも同様に戻れなくなったスラッシュのゼイドラに乗られて雪山に落ちた。

 その後に雪山を甘く見ていたせいで死にかけた。

 2度目はUIEが超ド級戦艦ノアを地球にぶつけようとした時だ。

 あの時はキオと共にノアの破壊を行い最後に力尽きてボロボロのガンダムZERO Zで地球に落ちた。

 その時は自身の死を受け入れて意識も失っていた為、どのように生き延びたかは分からない。

 それ以外でも何度も大気圏に突入しているが、余り良い思い出はない。

 

「余り無理はしないでください。ゆっくりと思い出していけばいいんですから」

 

 リック達はエリスにもう一つの人格があると分かって以来、エリスの過去には何か辛い事があったから第二の人格が生まれたと思うようになり今まで以上に気を使って接している。

 エリスにとっては下手に深く干渉して来ない為、非常に助かっている。

 

「あれ……」

 

 リックはふと何かを感じてデッキのガラスに顔を近づけて宇宙を見る。

 

「どうしたの? リック」

「分からない……でも、何か来る!」

 

 リックがそう言うのと同時にディーヴァ艦内に警報が鳴り響く。

 

 

 

 

 警報により艦内は慌ただしく動きまわるが、ディーヴァが大きく揺れる。

 敵の攻撃を受けた訳ではなく、敵艦からの砲撃を回避した揺れだ。

 

「余り地球により過ぎるな! 重力に捕まる!」

「そう言われても!」

 

 ディーヴァの操舵士はアセムの指示通りに地球の重力に捕まらないように操舵を取るも敵艦の攻撃を回避しようとすると必然的に地球の方に向かってしまう。

 アセムもその事は十分に理解している。

 それが操舵の責任ではなく、敵艦が意図的に回避可能な砲撃を行い、それを回避すれば地球の方に向かうと言う事を計算しての砲撃だ。

 回避しなければ被弾し、回避すれば地球の方に向かうどちらを取るかを考えれば地球の方に向かう方を選ぶしかない。

 

「こんなところで仕掛けて来るとはな……MS隊の発進を急がせろよ!」

 

 まさか、ノートラムの防衛圏のギリギリのところで仕掛けて来るのは正直予想外だ。

 向こうも連邦軍と必要以上に戦いたくはないと踏んでいたが、向こうは気にしていないと言う事だ。

 

「ガンダム各機に伝えろ。3号機以外には大気圏の突入能力はあるが、地球により過ぎるな。常に自分とディーヴァの位置、高度に気を付けるようにとな」

 

 AGE-ZEROやゼクスシリーズには大気圏の突入能力があるが、3号機はその重量から大気圏突入能力は無い。

 地球に落ちてしまえばディーヴァも回収する為に大気圏に突入して地球に降りなければならない。

 ディーヴァにも大気圏の突入能力はあり、強襲揚陸モードへの変形も可能となり重力下での運用も可能になってはいるが、ディーヴァ自身に大気圏の離脱能力は無い。

 その為、地球に降下すれば離脱するのは容易な事ではない。

 

「艦長! 敵MS接近! 数20……うち3機はXラウンダー専用機と……5号機です!」

「このタイミングで投入して来たか……」

 

 敵の数は20と多いが、ガンダムを投入すれば決して勝てない数ではない。

 そこにナイトギラーガとミラーファルシアが加われば厄介だが、今回はそれに加えて奪取された5号機も投入して来た。

 今まで使わなかったのは機体の解析の為でそれが終われば当然、敵も奪った5号機を投入して来る事は当然の事だ。

 

「Xラウンダー専用機は2号機と3号機で対処、5号機はゼロに抑えさせろ。Gハウンドを中心にディーヴァの守りを固める」

 

 すでに何度かエイミーとハーマンはナイトギラーガとミラーファルシアと交戦している為、ある程度は戦い方は弁えている。

 リックも5号機との交戦経験はある為、リックに抑えさせる。

 後は新しくディーヴァ所属となったアンナを中心にディーヴァの守りを固めて敵部隊を突破するだけだ。

 ディーヴァからMSが射出され戦闘が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 エリスの1号機を除く3機のガンダムが射出されて、アデル・ガーディアとGハウンドも射出されディーヴァの守りにつく。

 ネオ・ヴェイガンもガンダムが厄介と見ているのか、ナイトギラーガとミラーファルシア、5号機はガンダムの方へと向かいダナジンやドラドがディーヴァへと向かって来ている。

 

「こっちに来てんのは雑魚ばかりだ! リック達が厄介なのを相手にしてるんだディーヴァは死守すんぞ!」

 

 ここまでの航海の間でアンナは元々の気質もあって自分よりも年上も多いディーヴァのアデル隊をすっかり手懐けている為、アンナが仕切っても誰一人文句を言う事はしなかった。

 アデル・ガーディアはドッズキャノンで接近するネオ・ヴェイガンのMSを迎撃する。

 その攻撃で撃墜する事は殆どなかったが、砲撃の合間を縫ってGハウンドを先頭にドッズキャノンを装備していない指揮官機仕様のアデル・ガーディアがドッズライフルを撃ちながら迎え撃つ。

 

「野郎ども! アタシに続け!」

 

 GハウンドがドッズライフルⅡBの実体剣でドラドの右腕を切り裂き、後続のアデル・ガーディアがドッズライフルでドラドを撃ち抜いた。

 そして、GハウンドがドッズライフルⅡBを連射してダナジンは回避していたが、後方からの砲撃支援が直撃し体勢を崩したところを撃ち抜かれて破壊された。

 

「学生つってもここまでやって来たんだ。多少はやるようになって来てんだよ」

 

 Gハウンドはスネークソードを振るい連結部を解除して鞭にように使いドラドの頭部を潰す。

 ドラドを撃墜すると今度はアンカーシールドのアンカーショットを射出する。

 その先にはビームサーベルを振り上げてるドラドがおり、ドラドの腕にアンカーショットを搦めてドラドの動きを止めるとアデル・ガーディアがドッズライフルでドラドを破壊する。

 

「その調子だ! ディーヴァを攻撃した事を後悔させてやろうぜ!」

 

 Gハウンドはスネークソードを振るいダナジンを切り裂いた。

 2機のXラウンダー専用機と5号機と3機のガンダムは交戦状態に入っていた。

 AGE-ZEROが5号機にDCドッズライフルを向ける。

 

「この感じ……5号機に乗っているのはネッサ先輩!」

 

 リックは5号機からヴァネッサの気配を感じ取っていた。

 5号機にはリックが感じた通りヴァネッサが乗っている。

 グルドリンカスタムの修理に時間がかかると判断したヴァレンティナはヴァネッサの新しい搭乗機として5号機を選んだ。

 すでに5号機の解析は終わり予備パーツも少数ながら用意出来た事もあり実戦データを取りたいと言う要望が出ていた。

 ネオ・ヴェイガンの保有するMSとは操縦系が違う為、機種転換に置いて1度5号機に乗っているヴァネッサならその時間は必要ない。

 

「あのAGEシステムを搭載したガンダムは私がやるわ。ジェレミアとアビーは可変型と砲撃型を抑えて」

 

 5号機はシールドライフルを放ち、AGE-ZEROはビームシールドで防ぐ。

 

「先輩!」

「お前はここで落とす」

 

 リックの言葉にヴァネッサは耳を貸す事なくシールドライフルからビームサーベルを展開して振り下ろす。

 AGE-ZEROはビームブレードを抜いて受け止める。

 

「聞いて下さい! 先輩!」

「その気は無いと言ったわ」

 

 5号機はAGE-ZEROを蹴り飛ばして胸部のビームバスターを放つ。

 AGE-ZEROはビームをかわして何とか5号機に動きを止める為に取りつこうとするも5号機はCファンネルを展開して近づく事は出来ない。

 

「先輩!」

「ファンネル」

 

 リックは叫ぶが、リックの叫びを拒絶するかのようにCファンネルがAGE-ZEROを襲う。

 Cファンネルの攻撃をAGE-ZEROは回避し、5号機はレイザーブレードでAGE-ZEROに切りかかる。

 

「リック!」

 

 リックを援護する為に2号機がドッズライフルを構えるが、ナイトギラーガがギラーガアックスを振るい妨害する。

 

「ヴァネッサ様の邪魔はさせん!」

「邪魔すんな!」

 

 2号機はドッズライフルを連射するが、ナイトギラーガは最低限の動きで回避しつつビームシールドで防ぐ。

 

「バートン! そいつを一人で相手にするな!」

 

 3号機がアームドキャノンを放ち、ナイトギラーガは回避してギラーガビットを展開する。

 ギラーガビットが2号機と3号機を襲い、2号機はドッズライフルを構えるが、いつの間にかミラービットにも囲まれていた。

 

「やば! こいつ!」

「俺がやる!」

 

 3号機はミラービットでは反射出来ない威力を持つアームドキャノンでギラーガビットを一掃するが、ミラービットまで破壊する事は出来ない。

 

「何と言う火力だ!」

「火力だけあっても動きがトロイのよ!」

 

 ミラービットは3号機を囲み一斉に攻撃する。

 3号機はアームドキャノンの掌からビームシールドを出すが、根本的に機動力の低い3号機にはミラービットの攻撃を完全に防ぐ事は出来ず、被弾して行く。

 

「見かけどおり硬いのね」

「アビーはそのまま砲撃型を抑えろ。先に可変型を叩く」

「任せて」

 

 ミラーファルシアは3号機に向かって拡散ビーム砲を放つ。

 ミラービットで反射したビームが次々と3号機に被弾して行く。

 3号機は重装甲である為、被弾が増えても致命的な損傷は受けてはいないが、重装甲の中には冷却装置やジェネレーターが内蔵されている為、見た目程の防御力を持っている訳ではない。

 

「先輩!」

 

 2号機がシグマシスキャノンでミラーファルシアを攻撃するが、ミラーファルシアは回避して2号機の前にナイトギラーガが立ちはだかりビームバルカンで牽制する。

 

「邪魔!」

 

 2号機はビームサーベルを振るいナイトギラーガはギラーガアックスの柄で受け止める。

 ミラービットに囲まれている3号機はアームドキャノンで強引にミラービットの包囲網を突き破る。

 

「動きは遅いが流石はガンダムと言ったところか」

「そうね。でも、ヴァネッサ様がもう1機を落とすまでの時間を稼げればそれで良いわ」

 

 ナイトギラーガはビームバルカンを放ち、ミラーファルシアは拡散ビーム砲を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 警報が鳴り敵が来たと分かってもエリスは面倒だと重い表の人格とされる方を使って出撃する気は毛頭なかったが、戦場から以前にも感じた気配を感じ格納庫の1号機に乗り込んでいた。

 1号機はすぐにでも出せるようにとすでに整備も終わっている。

 前回の戦闘で無理な戦いをさせた事もあって整備班が前回の戦闘データを反映させて少しはエリスの操縦に対応できるように調整も行われていた。

 そして、本来は指揮官機として後方からの援護を目的に考えられていた事もあって基本装備となっていたロングドッズライフルを装備せずに万が一敵MSとの直接的な戦闘になった時の為のオプション装備であるドッズガトリングガンを装備している。

 ドッズガトリングガンはロングドッズライフルと比べるとビーム一発の威力や射程は大幅に劣るがその分、連射速度は圧倒的に向上している。

 ロングドッズライフルを装備していない為、シールドの裏に装備されていたバズーカのバレルも装備せず、代わりにドッズガトリングガンを付けるラックが付いている。

 

「出るぞ」

 

 すでにエリスの裏の人格の事はエリスの表の人格には知られないようにクルー全体に知れ渡っている為、1号機に乗る今のエリスは裏の人格であると整備班もブリッジクルーも知っている。

 それによりエリスがいきなり1号機に乗って出ると言っても混乱する事なく出撃する事が出来た。

 

「感じるぞ……あの時の片割れか」

 

 出撃したエリスはすぐに気配の方へと機体を向ける。

 そこには攻撃部隊とは別働隊として出て来たヴァレンティナのガンダムレギーナがいる。

 1号機はグラストロランチャーを放つが、距離がある事もありレギーナは簡単に回避する。

 

「ちっ、この距離で当たる程間抜けと言う訳ではないか」

 

 1号機はドッズガトリングガンを放ちながらレギーナとの距離を詰めようとする。

 レギーナはそれを確認するとすぐに反転して1号機との距離を開こうとする。

 

「私を誘い込む気か……良いだろう。乗ってやるぞ」

 

 エリスはレギーナの動きから相手は自分を誘い込む気である事に気が付いているが敢えてそれに乗った。

 レギーナを追って暫くすると突然、ヴェイガンが使っていた戦闘艦と3機のダナジンが現れた。

 今まで3機のダナジンは戦闘艦の見えざる傘で隠れていたが、1号機が見えざる傘の範囲内に入った事で発見する事になる。

 

「やはり見えざる傘を使っていたか」

 

 だが、それはエリスも分かっていた事だ。

 1号機を誘い込もうとしたレギーナがある場所を境に姿を消したからだ。

 その境が見えざる傘の効果範囲だと言う事だ。

 それ以外でも例え、見えざる傘で姿を肉眼やレーダーから消してもパイロットの気配はXラウンダー能力で感知する事が出来る為、見えざる傘で隠れていたダナジンのパイロットの気配はエリスも感じていた。

 戦闘艦に関しては無人艦であるのか、乗員の気配は感じなかったが、ダナジンのパイロットの気配を感じればそこに隠れている事はすぐに見抜けた。

 

「これで私の位置をディーヴァが捉える事が出来ず、友軍の援護を受ける事が出来ずに孤立させて各個撃破と言う事が小賢しいな」

 

 見えざる傘の範囲内に入ったと言う事はディーヴァや友軍機の視界やレーダーから1号機は隔離されたと言う事だ。

 つまり、1号機は友軍の援護を受ける事が出来ず戦場で孤立させられたと言う事になる。

 

「だが、舐められたものだな。その程度の数で私を落とせると思うなよ!」

 

 1号機はドッズガトリングガンでビームバルカンを放っているダナジンを蜂の巣にして破壊すると、すぐに2機目のダナジンをシールドからビームソードを展開して切り裂いて破壊する。

 最後のダナジンがダナジンキャノンを放つが、1号機はビームシールドで防いでドッズガトリングガンで撃墜した。

 

「目障りだ」

 

 自動で敵機を追尾して主砲を撃って来る戦闘艦の砲撃を回避しながら、接近してグラストロランチャーで戦闘艦を沈めた。

 だが、撃沈された戦闘艦から大量の煙幕が発生した。

 その煙幕は戦闘艦に接近していた1号機を飲み込む程だ。

 

「目暗ましか……それに機雷付きとはな。イラつかせてくれるな」

 

 戦闘艦から発生した煙幕で視界を奪われるだけでなく、煙幕の中に機雷も交じっていた。

 機雷の威力は1号機の装甲に対して殆ど効果は得られないが、煙幕で視界が奪われている状況でモニターには煙幕と機雷の爆発が映るだけで鬱陶しくも感じていた。

 その為、1号機はすぐに煙幕の中から飛び出そうとした。

 煙幕から出た瞬間に1号機は急に減速する。

 

「何だ……」

 

 1号機の動きが明らかに鈍り、それの原因が明らかになる。

 いつの間にか1号機の周囲に6機のダナジンがおり、その後方にもう1隻の戦闘艦とその付近にレギーナがいる。

 6機のダナジンからワイヤーが射出されており、それによって形成されていた網が1号機の動きを封じていたのだ。

 

「いつの間に……無人機か!」

 

 6機のダナジンや戦闘艦からは人の気配を感じない。

 つまりは無人機と言う事だ。

 そして、無人の戦闘艦が見えざる傘の中で更に範囲の狭い見えざる傘で無人機のダナジンを隠していた。

 見えざる傘の範囲内に入り込んだ事でエリスは範囲内で更に見えざる傘で隠れている敵はいないと思い込んでいた。

 煙幕で視界を遮られているうちに無人のダナジンは1号機を囲むように配置され煙幕から出て来た1号機を捕えたと言う事だ。

 その先入観がなく警戒をしていれば無人のダナジンを感知出来たかも知れない。

 または、1号機の索敵システムをフルに使っていれば見えざる傘で隠れていたダナジンと戦闘艦を発見する事は出来ていた。

 1号機に搭載されている索敵システムはヴェイガン側の技術者からの技術提供を受けて見えざる傘を使っていても高い精度で補足する事が可能であったが、エリスは必要ないと判断して索敵システムは必要最低限の物しか使っていなかった。

 

「ちっ!」

 

 1号機は網から抜け出そうとするが、抜け出す事は出来ない。

 そして、無人のダナジンは地球の方に1号機を連れていく。

 

「このまま地球に殺されるが良い」

 

 ダナジンが1号機を連れて地球へと向かう事を確認したヴァレンティナは撤退を始める。

 

 

 

 

 

 

「艦長! 1号機の位置特定出来ました!」

 

 1号機が見えざる傘の中に入り位置を捕捉出来なくなっていたが、ディーヴァの方でも位置を捕捉出来ていた。

 モニターに1号機の映像が映し出されるが、ダナジンにワイヤーの網で動きを封じられて地球へと降下を始めていた。

 1号機はビームシールドを最大出力で使い網を焼き切るがすでに1号機は地球の重力に完全に掴まっていた。

 

「地球の重力に捕まったか……すぐに強襲揚陸モードに変形し、1号機を回収する!」

 

 1号機はともかく、エリスを見捨てる訳にはいかない為、ディーヴァを地球に降下させる判断をする。

 幸い、ディーヴァは強襲揚陸モードへの変形が可能になっている為、地球に降りても運用は可能になっていた。

 

「MS隊に帰投命令を出せ!」

 

 すでにネオ・ヴェイガンのMSは一部を除き後退を始めている。

 敵の狙いはAGE-ZEROと1号機だったのだろう。

 その内の片方を地球に落とした時点で作戦は成功し後はディーヴァに適当なダメージを与えれば良いと言うところだ。

 

「帰投命令! 1号機が地球に落ちたのか!」

 

 GハウンドはドッズライフルⅡBを連射して敵をディーヴァに寄せ付けないようにしている。

 

「ケツはアタシが持つ! お前らはさっさとディーヴァに帰投しろ!」

 

 帰投命令は出ているが、敵は完全に撤退したと言う訳ではない為、アンナが殿を務める。

 GハウンドはドッズライフルⅡBでドラドを撃ち抜く。

 Gハウンドが敵を食い止めている間にアデル・ガーディアは援護射撃を行いつつもディーヴァへと撤退を始める。

 ダナジンの1機がダナジンキャノンを放ち、ディーヴァへの直撃コースであったため、回避する事が出来ずにGハウンドはアンカーシールドで防ぐが、アンカーシールドが腕ごと吹き飛ぶ。

 だが、Gハウンドは体勢を崩しつつもドッズライフルⅡBを連射してダナジンを牽制していると、2号機がドッズライフルでダナジンを撃墜する。

 

「アンナさん!」

「助かった! 後はアタシらとリックだけだ!」

「リックはまだなの?」

「とにかく俺達は先に帰投するぞ」

 

 未だにリックは戻っていないが、アンナやエイミーもここでじっとしている訳にもいかない。

 特にGハウンドと3号機には大気圏の突入能力はないから戻らねば大気圏で燃え尽きてしまう。

 

「……分かってます」

 

 リックを心配しつつも、エイミー達も緩やかにディーヴァへと帰還する。

 

「艦長! 敵MSが接近中です! 数3!」

「素直に地球に下す気は無いと言う事か……撃ち落せ!」

 

 ディーヴァは強襲揚陸モードへと変形し、先に落ちている1号機を追って大気圏に突入態勢を取っているが3機のドラドがディーヴァに仕掛けて来ている。

 すでにMS隊は1号機と未だに戻らないAGE-ZEROの2機を残して帰投している為、迎撃はディーヴァの防衛システムで行うしかない。

 だが、敵はディーヴァの主砲の射線に張らないように接近してビームライフルを放って来る。

 主砲以外のビーム砲ではドラドに対しても致命的な損傷を与える事は出来ない。

 3機のドラドはMSの防衛の無いディーヴァを狙うがジェネシスカスタムによって撃墜された。

 

「さて……ここからが賭けね。ディーヴァの艦長が少佐の言う通りであるなら……」

 

 ドラドを撃墜したジェネシスカスタムはディーヴァに接近する。

 ギルバートの指示でディーヴァが地球に降下するタイミングで接触を図ったが、ジェネシスカスタムに大気圏突入能力は無い為、このままでは確実に死ぬだろう。

 ディーヴァに接近すると光通信でディーヴァへの着艦許可を求める。

 ここから先は完全に賭けだ。

 向こうの艦長がローザのジェネシスカスタムの着艦許可を無視すればこのまま大気圏で燃え尽きて死ぬが、着艦を許可すればディーヴァに着艦して難を逃れる事ができ、ギルバートからの任務を全うする事が出来る。

 ギルバートはこの作戦で向こうが無視はしないと言う事に確信を持っている為、この作戦を命じたが、ローザは未だに懐疑的である。

 だからと言ってローザの立場からすれば作戦を拒否する事は出来ない為、ギルバートの確信が間違っていないと言う事を信じるしかない。

 

「頼むわよ。私はこんなところで死にたくはないわ」

 

 ディーヴァに接近すると、MS隊を収容後に閉じられていたカタパルトの片方ののハッチが開閉する。

 そこからMSが出て来ないところを見ると着艦の許可を出していると見て良いだろう。

 どの道、ディーヴァに乗艦できなければローザは死ぬしかない為、機体をカタパルトからディーヴァに着艦させる。

 

「ハァ……何とか首の皮一枚で繋がったと言う所ね」

 

 カタパルトのハッチが閉まり取りあえずは大気圏で燃え尽きて死ぬと言う事は回避された。

 機体をカタパルトから格納庫まで移動させるとディーヴァの搭載機の内何機かはジェネシスカスタムにドッズライフルを向けている。

 着艦の許可こそ出してジェネシスカスタムをディーヴァに着艦させたが、こちらの目的が分からない以上は信用しないと言うのは当然の事でドッズライフルを向けているMSはこちらが不審な動きを取った時にすぐに攻撃出来るようにしているのだろう。

 モニターの端に映る整備班と思われる者達も一応は武装をしている事からもまだ歓迎されていないと言う事は明白だ。

 

「これから先は私の腕の見せ所と言う訳ね。少佐も無茶な任務をさせるわ」

 

 ローザは機体のシステムを停止してハッチを開いて身を乗り出す。

 両手を上げて武器を持っていないと言う事を見せる。

 その後、保安要員と共に拘束され、次期に訪れる衝撃に備える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディーヴァが1号機を追って大気圏に突入態勢を取る頃、AGE-ZEROにもディーヴァへの帰投命令は届いていたが、ヴァネッサの5号機が行く手を塞いでいた。

 5号機はCファンネルを牽制に使いレイザーブレードでAGE-ZEROに切りかかりAGE-ZEROはビームブレードで受け止める。

 

「先輩! どうして僕の話しを聞いてくれないんです!」

「ネオ・ヴェイガンの前に立ちはだかるガンダムは倒さなければならない」

 

 AGE-ZEROはビームバルカンを連射しながら距離を取ろうとする。

 5号機はレイザーブレードを腰に戻してソードライフルを放つ。

 

「それが母様の無念を晴らす事になる!」

「くっ!」

 

 片方のソードライフルでビームを放ちつつ、もう片方のソードライフルにビームサーベルを展開して5号機は攻撃する。

 AGE-ZEROはビームブレードでビームサーベルを弾く。

 

「機体が重い……地球に近づき過ぎている」

「お前がキオ・アスノの息子である限り私達が話し合いで戦いを止める事などあり得ない!」

 

 5号機は尾の鉄球を股の下からAGE-ZEROに向けて射出する。

 AGE-ZEROはビームシールドで防ぐが、地球の重力で加速した鉄球はAGE-ZEROを吹き飛ばす。

 

「うあぁぁぁぁ!」

「私をリックのどちらかは死ぬまで戦いが終わる事は無い!」

 

 両腕のシールドライフルからビームサーベルを展開してAGE-ZEROを追撃する。

 AGE-ZEROは何とか体勢を持ち直して回避するが、地球の重力に引かれて思うように加速が出来ずに距離を取る事が余り出来なかった。

 攻撃をかわされた5号機だが、何とか背後を取ったAGE-ZEROに尾の鉄球を射出する。

 AGE-ZEROはビームバルカンで鉄球の勢いを殺して回避するが、5号機が体勢を整える時間を作り出す事は出来た。

 

「だからお前を倒す!」

 

 5号機はレイザーブレードを抜いてAGE-ZEROに切りかかり、AGE-ZEROはビームブレードでレイザーブレードを受け流す。

 

「そんな事!」

「それが私とお前の宿命だ! 殺し合う以外に私達が分かり合う事などはあり得ない!」

「だからって! そんな事認められる訳ないじゃないですか!」

 

 AGE-ZEROは5号機を押し飛ばす。

 5号機はビームバスターを放ち、AGE-ZEROはビームシールドで防いだ。

 

「連邦とヴェイガンだって今は分かり合って共にあります! 確かに何十年も戦争をしていましたけど、今は共にあるんです! だから!」

「だから私とお前が分かり合えると言うの! 私は母様の理想を遂げる為にガンダムを倒す!」

「先輩!」

 

 5号機はビームバスターを放ち、レイザーブレードを振るう。

 AGE-ZEROはビームバスターを回避してレイザーブレードをビームブレードで受け止めて2機は距離を取る。

 

「僕は!」

 

 リックが叫ぶとそれに反応するかのようにAGE-ZEROが青白く光り輝く。

 そして、コンソールにはBurst Modeと表示されている。

 

「何……何が起きて……」

 

 その様子にヴァネッサは茫然をしていた。

 AGE-ZEROが青白く光るが特に何かが置いているようには見えない。

 Xラウンダー能力でも何も感じ取る事が出来ない。

 何もだ。

 つい先ほどまでAGE-ZEROからリックを感じる事が出来ていたが、それすらも感じなくなっている。

 これこそがAGE-ZEROが対Xラウンダー能力用と位置付けられた所以だ。

 Xラウンダーは脳のX領域を活性化せる事で先読み能力を始め様々な力を得る事が出来る。

 かつてヴェイガンはミューセルを使い強制的にX領域を活性化させる事で疑似的にXラウンダー能力をパイロットに与えていたが、バーストモードとなったAGE-ZEROはその逆に機体を中心に周囲のXラウンダーに対して特殊な電波を発生させる事でXラウンダーのX領域を強制的に鎮静化する事が出来る。

 それにより周囲のXラウンダーはXラウンダー能力をバーストモードの発動中は強制的に能力が使えなくなる。

 AGE-ZERO自身、Xラウンダーが乗る事を前提に設計されている為、コックピットとパイロットスーツに特殊処理が施されてバーストモードの起動中の戦場で唯一AGE-ZEROのパイロットのみがXラウンダー能力を使う事が可能となる。

 しかし、その対象はパイロットを除く範囲内の全てのXラウンダーである為、友軍のXラウンダーからもXラウンダー能力を奪ってしまう事からウットビットもバーストモードは諸刃の剣と言っていた理由だ。

 今回に限っては友軍のXラウンダーであるエリスは地球に落ちている為、範囲内にはいない事もあってバーストモードのデメリットはない。

 

「あのガンダムのせいか……」

 

 Xラウンダー能力が突然使えなくなった理由は明らかにAGE-ZEROが青白く輝いてからだ。

 5号機はシールドライフルを放つが、AGE-ZEROは回避して5号機に接近して来る。

 

「先輩! 戦わなくても人は分かり合えるんです! 僕のお父さんもその為に戦って来た! だから先輩のお母さんを殺したっていうのも何かの間違いなんです!」

 

 AGE-ZEROはレイザーブレードを振り上げる5号機の腕を掴んで止める。

 5号機はAGE-ZEROに至近距離でビームバスターを放つが、モードZEROは単にXラウンダー能力を封じるだけでなくAGE-FXのバーストモードと同様に機体の性能を向上させる機能を併せ持っている為、至近距離のビームバスターの直撃ですら無傷だ。

 

「黙れ!」

「黙りません! 先輩が僕の話しを聞いてくれるまで黙りません!」

「黙れを言っている!」

 

 5号機は腕が掴まれている為、AGE-ZEROを蹴り飛ばし頭部のビームバルカンを放つ。

 それでもAGE-ZEROは5号機の腕を離す事は無い。

 2機はもつれ合いながらも地球の重力に引かれて地球へと落ちていく。

 

「僕は何度だって言います! お父さんはそんな事はしません!」

「黙れぇぇぇぇ!」

 

 リックは懸命にヴァネッサに叫ぶがヴァネッサは半ば半狂乱のようにリックの言葉を遮ろうとする。

 そして、2機は取っ組み合いになりながら地球へと落ちた。

 

 

 

 

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