機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第140話

 

 

 

 コロニー「セカンドムーン」で待ち構えていた最後の試練であるガンダムZERO ZとエリスのガンダムZERO-EXAはセカンドムーンの付近まで接近して一進一退の攻防を繰り広げていた。

 2機はどちらもクライドの最高傑作とされる最強のガンダムだ。

 しかし、2機を比較した場合の性能面ではZの方に分があった。

 これはMSとしての性能を徹底的に追及したZに対して攻撃力は敵を撃墜出来る最低限に防御力は多少被弾しても大丈夫な程度にと無駄を徹底的に省き小型化を図ったガンダムZERO-EXAの設計コンセプトの違いによる物だ。

 今の時代においても過剰とも言える攻撃力と防御力をZは持っている。

 唯一ガンダムZERO-EXAがZを上回っている点は攻撃の手数と機動力だ。

 攻撃の手数は多数のファンネルを持つガンダムZERO-EXAに対してZは必要最低限の装備しか持っていない。

 尤も、幾ら攻撃の手数を持ったとしてもZの防御力を貫く事は容易ではない。

 機動力に関しては2機の推力は殆ど変らない。

 大型の光波推進システムでZは強引に機動力を得ているが、ガンダムZERO-EXAはZと同レベルの推進システムを小型化された機体に落とし込んだ物を搭載している。

 同じ推力で徹底的に小型化による軽量化がされ重量差は2倍近くある為、推力が同じならば圧倒的にガンダムZERO-EXAの方が早く動けると言うのは当然の事であった。

 

「流石私の元愛機。手強いな」

 

 ガンダムZERO-EXAがVSドッズライフルを放ち、Zはシールドで防いでスタングルライフルで反撃する。

 Zのシールドの強度には通常の回転数のVSドッズライフルでは傷一つつけることが出来ないが、ZのスタングルライフルではガンダムZER-EXAのビームシールドでは防ぐ事は出来ず直撃すればそれで終わりだ。

 

「あのシールドは最大回転数でも破れるか分からんな」

 

 かつての愛機だからこそ、Zの性能は設計者のクライドと並びエリスが一番良く分かっている。

 Zのシールドを突破するにはVSドッズライフルの最大回転数を使うしかないが、それでも突破出来るかは分からない。

 だが、防御力だけでなく機動力も高いZに最大回転数の一撃を撃ち込む事は至難の業だった。

 

「まぁ、シールドを破壊する必要もないがな。ファンネル」

 

 シールドを破壊する事が困難だと判断したエリスはすぐに戦い方を切り返す。

 Zを撃墜する為にシールドを破壊する必要はないと割り切りファンネルを使っての全方位攻撃で攻める。

 Zは単体での性能を追求したが故に装備は基本的な物しかない為、戦い方は単調である事もエリスは熟知している。

 それでも圧倒的な力の差があれば単調な攻めだろうと力で押し切る事が出来るが生憎とエリスとガンダムZERO-EXAとの力の差はない。

 ファンネルによるオールレンジ攻撃をZはシールドを使って確実に防ぎつつ頭部のビームバルカンでファンネルを落としていく。

 

「想定内の行動だ」

 

 ファンネルの数は確実に減らされているがそれはエリスの想定内の事であった。

 元よりエリスにとってファンネルは囮に過ぎない。

 Zがファンネルの相手をしている間にガンダムZERO-EXAは左腕のビームサーベルを展開して、Zの懐に飛び込んでいた。

 ビームサーベルをシールドで受け止めるとZは至近距離からガンダムZERO-EXAにスタングルライフルを向ける。

 ゼロ距離からの一撃を撃たれる前にガンダムZERO-EXAはスタングルライフルを蹴り銃口をずらす。

 そして、頭部と胸部のビームバルカンで弾幕を張って距離を取る。

 Zはシールドを掲げつつもスタングルライフルで応戦する。

 

「敵に回ると厄介だな……ファンネルの数も少ない。同じ手は使えんな。どうした物か」

 

 ファンネルを囮に使う手はファンネルの数的に使えない。

 元々策を練って戦うタイプではないエリスにとっては戦い方を考えると言う事は尤も苦手をする分野だ。

 大抵は自身の操縦技術と機体性能で押し切れたが、流石に力押しだと分が悪かった。

 

「さて……少しは頭を使うとするか」

 

 ガンダムZERO-EXAはセカンドムーンへと向かう。

 それに反応してZも追いかけるがなぜかスタングルライフルを使わずにガンダムZERO-EXAを追い抜こうと加速する。

 

「撃って来ない? 成程。あそこにEXA-DBがあるんだ下手に攻撃は出来ないと言う訳か」

 

 元々は小型である事を利用してコロニー内の入り組んだ場所で戦うつもりだったが、Zはセカンドムーンの方向に攻撃が出来ないようだった。

 Zもまたシドと同様に自動操作で動いている事は明白だ。

 これ程のMSを動かす事の出来るパイロットはそうそういない。

 その上で戦闘パターンはエリスと良く似ている。

 恐らくはエリスの戦闘パターンを参考に戦闘AIが組まれているのだろう。

 Zの攻撃力は高い為、万が一にもセカンドムーンを破壊してしまえばセカンドムーンにあるEXA-DBを破壊しかねない。

 それを防ぐ為に戦闘AIにエリスの戦闘パターンとは別にセカンドムーンに当たらないように位置取りなどを考えるようにプログラムされているのだろう。

 過剰な装備で尚且つ最低限の装備しかない為、ZはガンダムZERO-EXAを追い抜いてセカンドムーンを背にしなければスタングルライフルは使えないと言う訳だ。

 

「与えられた命令を忠実に実行するしか出来ないか……まるで昔の私を見ているようだ」

 

 機動力ではガンダムZERO-EXAの方が高い為、距離は離れて行くばかりだ。

 それでもスタングルライフルを撃って来ないのはそうプログラムされているからだ。

 与えられた命令を忠実に実行する反面、忠実が故に柔軟性に欠けると言うのはかつての自分を見ているようで距離を広げられても追い抜こうとするZにエリスは憐みすら感じていた。

 しかし、だからと言って手を緩めることはない。

 ガンダムZERO-EXAはZを引き離しつつもセカンドムーンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 セカンドムーンのクライドの研究室でクライドからのメッセージが終わり室内の空気は重い。

 ここまでEXA-DBを手に入れること目的にここまで来た。

 その果てがクライドのメッセージのみと言うのは余りにも酷な事だ。

 元よりEXA-DBの事はどうでも良く、母の真実を知り母と共に歩く事が出来たヴァネッサも流石に納得の行く物ではない。

 ヴァレリに踊らされていたとしてもネオ・ヴェイガンの兵士はヴァニスを慕い、その娘である自分やヴァレンティナの為に戦って来た。

 この一連の騒動でも多くの兵の命が失われている。

 ネオ・ヴェイガンと袂を分かち敵対していたとしてもだ。

 映像が終わっても誰も何も言わない。

 苦労して辿りついて何も得ることが出来ずに誰もが茫然としている。

 それはアセムとて例外ではない。

 寧ろ、この中でアセムが最もショックを受けているだろう。

 連邦軍のエリートコースから外れても家族を守る為に海賊となり13年間もEXA-DBの捜索に費やした。

 戦いが終わりその必要がなくなり、家族の元へ戻り再びEXA-DBの捜索を始めようやくここまで辿りついてこの結果だ。

 受けたショックは計り知れないだろう。

 

「叔父さんは何がしたかったんだ」

 

 静まり返る研究室でアセムの声だけが響く。

 その声は必死に怒りを抑えているが、それに気づく程の余裕は誰にも無い。

 この中でクライドと面識を持っているのはアセムだけだ。

 他はクライドの事は歴史上の人物である程度の事しか知らない。

 クライドと面識を持っているが故にアセムは期待もしていた。

 クライドは同じ技術者のフリットとは違いMS開発に魂を売り渡したと表現する事が最も正しい人物だった。

 MS開発の為ならば戦争を長引かせる事も厭わず、自身が開発したMSにより殺戮が行われても全く気にすることもなかった。

 それでもMSは人の道具でなければならないと言う持論の元、技術者として超えてはならない一線を越えることもなかった。

 そして、何より自分の身内や友人をクライドなりに大切にしていた。

 身内や友人とそれ以外の全てを天秤にかけた場合、躊躇う事なくそれ以外の全てを切り捨てる事が分かり切っているような決して全うな人間ではなかったが、同じように海賊として全うな人生から外れて生きる道を選んだアセムには少しは共感を持つところもあった。

 だからこそ、本当に旅路の果てにEXA-DBがあると信じることも出来た。

 それが木端微塵に吹き飛ばされて裏切られた。

 研究室が静寂してどのくらいの時間が経ったのか誰も分からないが、メッセージがを終わり何も映されていないモニターが再びついた。

 

「言いわすれていたがEXA-DBの中のデータは消去するのは勿体ないからコピーしておいたんだわ」

 

 モニターにはクライドが映され悪びれることもなくそう言う。

 先ほどのような芝居がかった様子もなく、素のクライドがそこにいた。

 

「俺の死んだ後に誰が使おうと死んでいる俺には関係のない事だしな。EXA-DBの技術を使おうと俺のガンダム以上のMSを作り出す事は不可能だし」

 

 そう言うクライドはアセムの記憶の中で最も印象に残っているクライドであった。

 自身の才能を疑う事もなく、自分の設計したMSに絶対の自信を持っているアスノ家の天才技術者クライド・アスノだ。

 

「でだ、そのEXA-DBのコピーデータだが圧縮してZのメインシステムの中に隠しておいた」

 

 かつて、Zがエリスの手に渡った際にマリィからエリスにクライドから伝えられた伝言があった。

 それは『Zの隠された力を解き放つと世界を救う事も出来れば世界を滅亡させる事も出来る』と言う物だった。

 その言葉の意味はZの性能を全て使うと言う事だと思われていた。

 実際にそれだけの力があり世界を救って見せた。

 しかし、真の意味は違った。

 その時点でEXA-DBのデータのコピーはZのメインシステムに組み込まれていた。

 それを指してクライドはそう伝言していた。

 尤も、クライド自身ストレートにその事を伝えても良かったが、わざと遠回しにした方が何かそれっぽいと言う本人以外からすれば迷惑極まりない理由から意図的に分かり辛い言い回しがされていた。

 

「この映像が再生されていると言う事は最後の設計した新型のガンダムが完成しているかも知れないな。だとするとデータはそっちに移すようになってるからそっちにあると思う」

「新型……EXAか」

 

 この映像が残された時点ではガンダムZERO-EXAの設計は終えていなかったのだろう。

 クライドの言葉からもそれが分かる。

 そして、クライドの言葉を信じるのであればEXA-DBのコピーデータはエリスのガンダムZERO-EXAの中にあると言う事だ。

 皮肉にもここに来る前のトルディアでガンダムZERO-EXAを手に入れてディーヴァに搭載した時点でアセム達はEXA-DBを手に入れていたと言う事になる。

 ガンダムZERO-EXAと搭載してすぐに機体の解析がディーヴァで行われていた。

 万が一損傷した場合の予備パーツを用意する為だ。

 その過程でメインシステムの一部がブラックボックスである事が報告されていた。

 ディーヴァの設備でその部分を解析する事は不可能でマッドーナ工房のような設備が整った施設でなければまず無理と判断されていた。

 無理に解析すればクライドが設計したと言う事もあり、何が起きるか分からないと言う事もあり解析は行われていなかった。

 幸いにブラックボックス以外の部分の解析でブラックボックスの部分を解析せずとも予備パーツを用意する事は出来そうで機体を動かす事にも支障はなかった。

 アセム達は知らないがその判断は正しかった。

 ブラックボックスには正規の手順で解除を行わなければ自動的に機体に搭載された動力炉を暴走させてコロニーをも軽く吹き飛ばす大爆発を起こすトラップが仕掛けられていた。

 エリスがEXA-DBのガーディアンと言うのはエリスがガンダムZERO-EXAを操縦する事で機体を撃墜から守ると言う意味だったと言う事だ。

 

「ちなみにデータの解除方法は多分、最後に残しておいたZの破壊だからEXA-DBが欲しかったらZを倒して見せろ」

 

 それで今度こそクライドからのメッセージは終わった。

 EXA-DBを手に入れる最後の試練はガンダムZERO Zを倒すと言う事。

 EXA-DBが欲しければクライドが設計した最高傑作であるZを倒せと言う事だ。

 

「アレを倒せと……本当に人が悪いぞ」

 

 Zの性能はクライドの死後、マリィやキャロルと言った様々な技術者が超えるべき課題として来たが、未だにそれに到達するには至っていない。

 ガンダムAGE-ZEROやゼクスシリーズも今の時代のMSでは飛び抜けた性能を持っているがそれでもZの域には到達してはいない。

 現状で対抗できる戦力はエリスとガンダムZERO-EXAだけだ。

 そのガンダムZERO-EXAにはEXA-DBのコピーデータが組み込まれている。

 クライドが残した最高のガンダム同士の戦いはどちらが勝っても無事では済まないだろう。

 示された通りに進めばエリスとガンダムZERO-EXAと合流する事はクライドの筋書き通りの展開だろう。

 となれば2機がぶつかるのもクライドの思惑通りなのだろう。

 そうさせたのはクライドがどちらのガンダムが強いのかを確かめたかったからだろう。

 自分の死後で試したところでクライドが知る術は無いので余計な事だと言いたいが、死人に対して何も言う事は出来ないし、すでに始まっている以上は止めることも出来ず止めたところでEXA-DBを手に入れる事は出来ない。

 

「すぐにディーヴァに戻って現状を確認する」

 

 今できることはエリスの戦いを把握してコピーデータを壊す事なくZを倒す事を考えることしかない。

 余りぐずぐずしていれば間に合わないかも知れない。

 アセム達はすぐにディーヴァへと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 EXA-DBのコピーデータがエリスのガンダムZERO-EXAの中にある事が判明し、捜索班はすぐにディーヴァに戻る。

 戻ってすぐにアセムはブリッジに向かいリックは自分のガンダムのところに向かった。

 

「ジン! ガンダムの修理は? すぐに出せる?」

「出せるけど突貫で直したんだ無理は出来ないぞ!」

「構わないよ」

 

 格納庫では整備班が総力を挙げてAGE-ZEROの修理を行った甲斐もあり何とか出撃可能なレベルまで直す事が出来ていた。

 その代わりAGE-ZEROの隣のハンガーの5号機の方は一切の修理が行われてはいない。

 人員をAGE-ZEROに全て割いたからだ。

 

「ありがとう。ジン!」

 

 リックはすぐにAGE-ZEROに乗り込みAGEデバイスをセットして機体を起動させる。

 

「リック。エリスはコロニー内で戦闘をしている。ディーヴァの守りはアデル隊とこっちに向かっている中尉達に任せる。お前はエリスの方を頼む」

「分かったよ。お爺ちゃん」

 

 ブリッジに戻ったアセムはすでに状況の把握を終えていた。

 コロニーの外で交戦していたエリスはコロニー内で戦闘をしている。

 ネオ・ヴェイガンの方はすでに撤退し、足止めをしていたローザ達も全員無事でこちらに向かって来ている。

 Zを撃墜するに当たり、エリスのガンダムZERO-EXA以外ではリックのAGE-ZEROくらいしか戦力として計算出来ない。

 ゼクスシリーズの性能も決して低い訳ではないが、2機の戦いに入るには役不足だった。

 下手をすれば邪魔になり兼ねない為、エリスの援護にはリックだけを向かわせて他はディーヴァの守りに回す事でエリスとリックにディーヴァの心配をさせずにZに集中させる。

 

「リック。母様を頼んだわ」

「はい。任せて下さい。先輩」

 

 ヴァネッサも援護に向かいたいが万全の状態でも役に立てるか分からないのに損傷した5号機では足手まといにしかならない事を自覚している為、行きたい心を抑え込む。

 

「リック・アスノ。ガンダムAGE-ZERO……行きます!」

 

 ディーヴァからAGE-ZEROが再び出撃し、Zと交戦するエリスの元に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 Zが手を出せない事を利用する為にコロニー内で戦闘を行っていたが、Zの動きに変化が生じていた。

 今まではコロニーに被害を出さない為に攻撃はビームセイバーによる白兵戦と頭部のビームバルカンで戦っていたが、Zはスタングルライフルを使って来た。

 ガンダムZERO-EXAは回避するが、その一撃はコロニーの居住区に直撃した。

 

「ライフルを使って来た? まだいい」

 

 スタングルライフルを使うようになったことでコロニー内で戦う最大のメリットがなくなるがエリスは気にしない。

 Zがスタングルライフルを使うようになった理由はエリスは知らないが、クライドの研究室でクライドのメッセージが終わり一定時間経つとコロニーを破壊しないようにすると言う制限が解除されるように仕込まれていた。

 メッセージが終わったと言う事はEXA-DBの在り処が知れたと言う事だ。

 そうなれば後はZを倒せば終わりとなる。

 だからこそ、制限を解除する事で制限を利用してZを倒す事が出来ないようになる。

 それともう一つ、今まで使わなかったZの切り札であるモードZEROも解禁される。

 

「エリスさん!」

「リックか。EXA-DBは見つけたのか?」

「はい! EXA-DBはエリスさんのガンダムの中でそのガンダムを倒さないといけないみたいです!」

「良く分からんが、アイツを倒せば良いのだな」

 

 エリスはリックの説明が最低限である為、完全には理解してはいないがZを倒さねばならないと言う事は理解した。

 元々、そのつもりだった為、やる事は変わらない。

 ガンダムZERO-EXAはVSドッズライフルを放ちZはシールドで防ぐ。

 

「ちっ……やはりあのシールドを何とかしないと駄目か……」

「僕が援護します」

 

 AGE-ZEROがDCドッズライフルとDCガトリング砲でZを牽制し、ガンダムZERO-EXAがビームサーベルで切りかかる。

 Zはシールドで受け止めてスタングルライフルをガンダムZERO-EXAに向けるが、ガンダムZERO-EXAは至近距離から頭部と胸部のビームバルカンを使ってスタングルライフルを破壊する。

 すぐにZはビームセイバーを抜いてガンダムZERO-EXAに切りかかる。

 ガンダムZERO-EXAはビームサーベルの出力を最大にしてビームセイバーを弾く。

 最大出力のビームサーベルでもZのビームセイバーとの間の出力差を埋めることが出来ない為、鍔迫り合いはせずに弾くしかない。

 

「エリスさん!」

 

 AGE-ZEROがドッズブラスターキャノンで援護をしてガンダムZERO-EXAは距離を取る。

 

「僕が前に出ます!」

 

 DCドッズライフルを可能な限り連射してAGE-ZEROはZへと突っ込んで行く。

 Zは頭部のビームバルカンでAGE-ZEROを迎撃するが、AGE-ZEROはバックパックのGブラスターを分離して単体で突っ込ませる。

 GブラスターはZのビームバルカンの直撃を受けてやがて爆発するが、AGE-ZEROは爆発に紛れてZに近づく事が出来た。

 そして、腰のビームダガーを抜いて突き出す。

 Zはシールドを掲げるビームダガーを防ぐ。

 圧倒的な防御力を持つZのシールドもここまでのダメージとビームダガーの出力を防ぎ切れずにビームダガーはシールドに突き刺さる。

 ビーム刃が余りにも短い為、ビームダガーはシールドを貫通する事は無かったが、それで十分だった。

 

「エリスさん!」

「良くやったぞ。リック!」

 

 リックがZに突っ込んで行く間、エリスは何もしていなかった訳ではない。

 ガンダムZERO-EXAはVSドッズライフルの回転数を最大まで上げてZに向けていた。

 AGE-ZEROがビームダガーを手放したと同時にガンダムZERO-EXAは最大回転数のVSドッズライフルを放つ。

 シールドに突き刺さるビームダガーを正確に狙った一撃は寸分たがわぬ正確さでビームダガーに命中する。

 その一撃がビームダガーで脆くなったシールドを破壊する事に成功した。

 

「やりましたね!」

「ああ……だが、まだだ。ライフルとシールドを失った程度ではアイツを落とすには足りない」

 

 ライフルとシールドを失った事でZの戦闘能力は大きく低下するが、それで勝てれば苦労はしない。

 Zは未だに切り札を使ってはいないのだから。

 ライフルとシールドを失った事で遂にZはそれを使う。

 Zは赤く発光し、光波推進システムから光の翼が展開された。

 

「これは……」

「モードZERO。正面から見たのは初めてだな」

 

 Zの切り札であるモードZEROは瞬間的に機体を光速まで加速させる事が出来る。

 その切り札を前にエリスは落ち着いている。

 

「ならばこちらも切り札を切るまでだ」

 

 エリスはそう言いコンソールを操作する。

 するとガンダムZERO-EXAは青白く発光する。

 ガンダムZERO-EXAには短距離ワープを可能にするモードZEROともう一つバーストモードが搭載されていた。

 Zから低下した攻撃力を補い為に搭載されたバーストモードは攻撃力と防御力を極限まで高めるだけでは無く、ZのモードZEROに対抗する事が出来る機動力まで持っている。

 赤と青に発光する2機のガンダムは瞬時に加速してぶつかり合う。

 常人ならば何が起きているのか分からない程の光速でのぶつかり合いをリックはXラウンダー能力を最大限に使う事で何とか目で追う事が出来る。

 バーストモードにより出力の限界を超えて展開されるガンダムZERO-EXAのビームサーベルと両手にビームセイバーを持つZは何度もぶつかり合う。

 

「凄い……だけど……」

 

 最高の名に相応しい2機の戦いを目の当たりにしてリックは飲まれかけるも何とか自分に出来ることを探す。

 2機の戦いは互角だ。

 だからこそ、自分が勝敗を決める事になるからだ。

 リックはXラウンダー能力を使い冷静に勝機を見定める。

 そして、それは訪れた。

 ガンダムZERO-EXAの右腕のビームサーベルが出力の負荷に耐え切れずに爆発を起こしビームサーベルが消えたのだ。

 その決定的な隙をZが見逃す筈もない。

 ZはビームセイバーをガンダムZERO-EXAに突き出した。

 それにより勝敗は決したように見えた。

 しかし、コックピットのエリスは勝利を確信した笑みを浮かべていた。

 ZのビームセイバーがガンダムZERO-EXAを貫くよりも先にZの腕を横からAGE-ZEROの撃ったDCドッズライフルのビームが砕いた。

 

「完璧だ。リック!」

 

 一見、エリスが決定的な隙を作ったように見えたが実際は違っていた。

 エリスとリックはXラウンダー能力による先読みであのタイミングで右腕のビームサーベルが使えなくなると言う事は分かっていた。

 その隙をZが見逃さないと言う事もだ。

 だからこそ、リックがそこを狙った。

 腕を破壊された事で状況は逆転したガンダムZERO-EXAはVSドッズライフルを連射した。

 VSドッズライフルの威力もバーストモードにより上がっている。

 銃身が焼け切れる事を気にすることもなくガンダムZERO-EXAはZにVSドッズライフルを撃ち込む。

 流石のZも直撃に耐えることが出来ずに次々と被弾して破壊されていく。

 

「さよならだ」

 

 ガンダムZERO-EXAは左腕のビームサーベルでZの胴体と一刀両断してビームバルカンを撃ち込んで追い打ちをかけた。

 それによりZは完全に破壊されて爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 AGE-ZEROを出撃させたディーヴァはセカンドムーンの宇宙港から出てセカンドムーンから距離を取っていた。

 内部で戦闘を行えば最悪、港まで被害が出るかも知れない。

 そうなればディーヴァは足手まといとなる。

 そうならない為とネオ・ヴェイガンがいつ戻って来るか分からないからだ。

 戦いの邪魔をされないようにディーヴァが周囲の警戒を行っている。

 

「艦長。状況はどうなっています?」

「分からん。後はリックとエリスを信じるしかない」

 

 コロニー内部の状況は明確には分からない。

 外から見る限りたまにコロニーの外壁をぶち破るビームが見えることくらいだ。

 少なくともガンダムZERO-EXAとAGE-ZEROの識別コードは不安定ながらも捕捉している為、2機は無事である事は分かる。

 どの道、アセム達が何かを出来る状況ではない為、今できることは二人を信じることだけだ。

 

「艦長! コロニー内部で高熱源を探知! 恐らくはMSの爆発かと思われます!」

 

 その報告にブリッジの空気は一気に緊張する。

 内部でMSが爆発したと言う事は3機の内の1機が撃墜されたと言う事だ。

 爆発からはどのガンダムがやられたのか分からない。

 

「艦長! ZEROとEXAがコロニーの外に!」

 

 次の報告で今度は緊張が一気に抜けた。

 本来はアセムが抜けた空気を締めなければならないがアセムも気が抜けていた。

 2機がコロニーから出て来たと言う事はさっきの爆発はZの物と言う事になる。

 つまりリックとエリスは勝って戻って来たと言う訳だ。

 

「リック……エリス。やったんだな」

 

 モニターに2機が映されて映像を見る限りでは二人とも無事だと言う事が分かる。

 

「お爺ちゃん。やったよ。僕達」

「当然だ」

 

 2機から通信が入り、どちらも怪我もしていない為、本当に無事だと言う事が確認できた。

 

「ああ……良くやったな」

 

 無事である事が確認してアセムも安堵している。

 後は2機を回収して地球圏に戻るだけだ。

 まだ、問題は残っているが後は自分やキオ達大人が何とかする問題だ。

 今はEXA-DBを手に入れて無事に戻って来た事を純粋に喜ぶ時だ。

 こうして、人類は再びEXA-DBを手に入れることが出来た。

 だが、この日を境に地球圏からネオ・ヴェイガンは完全に姿を消した。

 

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