機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第143話

 

 木星圏におけるネオ・ヴェイガンのコロニーレーザー攻略作戦が開始された。

 作戦と言ってもコロニーレーザーに突入して内部から破壊し、使用不能にすると言う非常に単純な物で時間や兵力に限りのある連邦軍にはそれしか出来ることはなかった。

 連邦軍が木星圏まで来てコロニーレーザーの破壊に乗り出して来ると言う事はネオ・ヴェイガンの方でも分かっていた事で後はいつどこから攻めて来ると言う事だけだ。

 連邦軍もコロニーレーザーの射線上の正面から馬鹿正直に攻めて来る訳も無い為、仕掛けて来る方向もある程度は予測がついていた。

 その為、ARISUシステムを搭載した防衛部隊が交戦状態に入った事はコロニーレーザー内部の司令部にもすぐに伝わる事となる。

 

「ヴァレンティナ様! 第178部隊が全滅しました!」

「ほう……この短時間に」

「相手はガンダムがいるのだろう。当然の事だ」

 

 連邦軍と交戦した部隊は100機近い数のMSが配備されていたが、交戦して数分の内に全滅したようだ。

 その報告に兵の間で動揺が広がるがヴァレンティナは全く動じていない。

 これ程の規模の戦いとなれば連邦軍がガンダムを投入して来る事は分かり切っている。

 ガンダムが投入されればARISUシステムを搭載しているMS100機程度では時間稼ぎにしかならない。

 

「ヴァレンティナ様。いかがします? 私はコロニーレーザーの発射を進言します」

「その必要はない。少々早いが私が出る。ディーヴァとガンダムさえ落としてしまえば我らの勝利だ」

 

 ヴァレリの進言はヴァレンティナによって却下された。

 コロニーレーザーのチャージは数時間で完了する。

 チャージが完了して地球を攻撃すれば連邦軍の兵に与える精神的な打撃は相当な物になるだろう。

 下手をすれば総崩れになる事もあり得る。

 敵に大きな打撃を与えると言う事ではコロニーレーザーの使用が最も効率が良い。

 しかし、ヴァレンティナはそれを良しとしない。

 そんな方法で勝ったところで真の勝利とは言えないからだ。

 なぜならば、母ヴァニスもそのような事をせずにガンダムとの一騎打ちにて勝利を掴もうとしたからだ。

 ヴァニスの意志を引き継いだヴァレンティナにとってはガンダムを倒してこその勝利であった。

 そんなヴァレンティナの言動に内心はイラつきながらも、ヴァレンティナの決定である以上はヴァレリに口を出す事は出来ない。

 

「分かりました。ご武運を」

「任せた」

 

 ヴァレンティナは指揮をヴァレリに任せて自ら出撃の為に司令室から出て行く。

 

「ヴァレンティナ様が出撃なされる。ジェレミア達も出せ。その後、コロニーレーザーのチャージを始めろ」

「しかし……」

「何ごとにも保険が必要だ。万が一にも我らには敗北する訳にはいかないのだからな」

 

 コロニーレーザーの使用はヴァレンティナによって却下されていた為、兵は躊躇うが参謀であるヴァレリの指示を無視する訳にもいかなかった。

 ヴァレンティナが出撃し、コロニーレーザーは地球を討つ為にチャージが開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 コロニーレーザー攻略作戦の最初の交戦はガンダムの圧勝に終わった。

 マリィの改造によってほぼ全機が火力を強化している為、その火力を使って一方的に敵の防衛部隊を殲滅した。

 その後、連邦艦隊を引き連れてコロニーレーザーに向かっていた。

 

「ガンダム各機。対象からMSが出て来たら数はさっきの比じゃないわ。ディーヴァのフォトンブラスター発射後に散開し、各自の判断でコロニーレーザーに突入。手当り次第に破壊工作を開始。対象の使用を不能にするわ」

 

 ここから先はローザの1号機改の指揮は最低限の物となる。

 今回の戦いは熾烈を極める為、1号機改の指揮能力を当てにし過ぎるともしも1号機改が撃墜された時に対処が出来なくなる事があり得るからだ。

 他のガンダムも同様である程度は役目を割り振られてその通りに動くが、他のガンダムのパイロットは他のガンダムが撃墜された事も想定して単独で動く。

 作戦の最終確認が終わり、フォトンブラスターキャノンをここまで来る道中にチャージしていた為、ディーヴァはフォトンブラスターキャノンをコロニーレーザーに向けて放った。

 コロニーレーザーとの距離が遠い為、ディーヴァの攻撃は殆ど意味を成さないが、それでも出て来たMSの数を減らす事は出来ている。

 フォトンブラスターキャノンの掃射が終わり、ガンダムはそれぞれの役目を果たす為に散開して各自でコロニーレーザーへと向かった。

 真っ先に敵MS部隊を接触したのは機動力に秀でている2号機改だ。

 

「射撃があんまり得意じゃない私でも狙いをつける必要が無くて助かるわ」

 

 ストライダー形態の2号機改はドッズブラスターキャノンとロングドッズライフルを連射して突撃する。

 敵の数が多く狙いを付けずとも適当に撃つだけで次々と撃墜して行く。

 2号機改はMS形態に変形するとロングドッズライフルを分割したドッズライフルを連射する。

 

「とにかく暴れるわよ!」

 

 この7年の経験で実力を付けたエイミーは射撃が得意ではないと言いながらもドッズライフルで敵を撃墜して行く。

 ゼイ・ドゥがビームアックスで切りかかるが回避して脚部のビームカッターでゼイ・ドゥの腕を切り落としてもう片方のビームカッターで胴体を両断する。

 すぐにその場から離れてバックパックのドッズブラスターキャノンで射線上のMSを撃ち抜きながら敵母艦を撃沈する。

 2号機改が暴れていると後方から1号機改と5号機改が2号機改を追い抜いて行く。

 

「姉様が出て来ている。どこに……」

 

 5号機改はドッズバスターライフルと胸部のビームバスターを放つ。

 ヴァネッサはこの戦場のどこかにヴァレンティナが出て来ていると言う事を感じていた。

 だが、ヴァレンティナの位置までは感じ取る事が出来ない。

 もっと強くXラウンダー能力を使えば位置を感じることが出来るが、今のヴァネッサにはそれは危険だ。

 

「姉様は母様に任せればいいわ。私は私の役目をするだけよ」

 

 敵の攻撃を掻い潜りながらバスタードッズライフルで戦艦を撃墜する。

 

「この反応……アビーのミラーファルシア……」

「あのガンダム……ヴァネッサ様の!」

 

 5号機改のレーダーにはヴァネッサも良く知るアビーのミラーファルシアの反応が出ていた。

 アビーに方でも5号機改の反応を捕えていた。

 

「行きなさい。ビット!」

 

 ミラーファルシアはミラービットを展開する。

 5号機改はバスタードッズライフルでビットを撃墜しようとするもビットはビームを回避して5号機改を囲んで攻撃する。

 

「くっ!」

 

 5号機改はとっさに重たいバスタードッズライフルを捨てて回避した。

 ミラービットから放たれたビームがバスタードッズライフルを破壊し、ミラーファルシアはビームソードを抜いて5号機改に切りかかる。

 

「ヴァネッサ様のガンダムで!」

「アビー!」

 

 5号機改はシールドライフルでミラーファルシアの攻撃を受け止める。

 ネオ・ヴェイガンと戦う覚悟をしたヴァネッサだが、接点の少ない一般兵はともかく自分に同行する事も多かった親衛隊のアビーと戦う事は簡単に割り切れることではない。

 

「アビー! 止めて。ここは引いて。貴女達はヴァレリに良いように利用されているだけなのよ」

「この声……まさか、ヴァネッサ様!」

 

 ヴァネッサはミラーファルシアに対して接触回線を開いた。

 意識操作を行われているヴァレンティナとは違い、アビーはヴァネッサをヴァネッサとして認識できていた。

 簡単に割り切れないヴァネッサは通信でアビーと話す事を決めた。

 それは7年前に自分となんとしても話しをしようとしたリックのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 3号機改が両腕のシグマシスキャノンとアームドキャノンで射線上の敵を一掃する。

 だが、数は多く次々と3号機改の正面は敵で遮られる。

 

「くそ! まだもっと前じゃないと効果的な一撃を与えることは!」

 

 3号機改はゼイ・ドゥのビームマシンガンに被弾しながらもビームを撃って前に出る。

 3号機改はまだ最大火力のツインハイパーメガダイダルキャノンを使っていない。

 コロニーレーザーとの距離がある為、今の距離で使ってもコロニーレーザーの打撃を与える前に射線上のMSや戦艦で威力を殺されるからだ。

 その為、少しでも前に出る必要があった。

 それを行う為にビームを撃ちながら強引に前進している。

 しかし、元々機動力が低い上にマリィの改造で火力が増強している3号機改の機動力は更に低下している為、MSと言うよりも多少は移動できる砲台でしかない。

 機動力が低い為、回避もままならず3号機改は被弾箇所が増えていく。

 今のところが運が良く火器へ損傷は殆どないが、いつまでも幸運が続く訳ではない。

 それでもハーマンは機体の足を止めることなく前進させていた。

 

「3号機は何をしている!」

 

 そんな様子を3号機改の近くにいた4号機のギルバートが叫ぶ。

 横から見ていてもすぐに分かるくらいに3号機改は無理やり前進しているのだ。

 すぐに4号機は3号機改のフォローに向かおうとする。

 ダイダルバズーカのバレルをパージして両手のダイダルバズーカをスタングルライフルにすると胞子ビットを展開して3号機改の周囲の敵を撃墜する。

 だが、4号機の左肩がビームで撃ち抜かれる。

 

「何! どこから!」

「兄貴!」

 

 体勢を崩しながらも胞子ビットを周囲に展開いて追撃に備える。

 片腕が破壊された4号機の援護に向かう為にロイドの6号機改はドッズガトリング砲とシグマシスロングライフルを連射する。

 しかし、今度は6号機改の右足が撃ち抜かれた。

 

「ロイド!」

「くそ! この乱戦で狙撃手が居やがる!」

 

 4号機と6号機改を襲ったビームは近くの敵からの攻撃ではない。

 2機から離れた位置にはクリストのゼイドラ・ハンターがライフルを構えていた。

 そして、体勢を崩した6号機改の背後からは高速飛行形態のマリンクロノス改がMS形態に変形してシグルクローを突き出す。

 とっさに肩のシールドを掲げるがタイミングが遅くシールドは破壊された。

 

「南極で邪魔してくれたガンダムだよな! お前から先にあの世に送ってやるよ!」

「やられて堪るかよ!」

 

 6号機改はミサイルで弾幕を張るがマリンクロノス改はバックパックのクロノスガンとクロノスキャノンでミサイルを迎撃すると、ビームバスターの発射体勢を取る。

 4号機が援護に向かおうとするもゼイドラ・ハンターが狙撃で妨害する。

 

「死ねや!」

 

 マリンクロノス改がビームバスターを撃とうとするが、別方向からのビームがマリンクロノス改に直撃する。

 

「は?」

「カール!」

 

 カールが何が起きたかを理解するよりも先にマリンクロノス改は爆散した。

 

「大丈夫か? ロイド、ギルバート」

「爺さんがやったのか?」

「話しは後だ。動けるなら動け。的になるぞ」

 

 マリンクロノス改を撃墜したゼハートのドラグーンはドラグーンライフルを連射して4号機と6号機改を庇うように戦う。

 ロイドとギルバートの二人は周囲を見るとゼハートの部下のクランシェⅢが到着して2機の援護している。

 良く見るとすでに周囲には連邦軍のMSが交戦している。

 

「お前達は下がれ」

「けどよ!」

「お言葉ですが……」

「下がれと言っている。その状態でコロニーレーザーに突入しようとしてもむざむざやられに行くようなものだ」

 

 ギルバートの言葉をゼハートは遮る。

 すでに4号機も6号機も被弾して損傷している。

 それにより戦闘能力も低下している。

 そんな2機がコロニーレーザーに突入しようとしていても自殺行為でしかない。

 

「お前達はディーヴァを守れ。あの船が沈めば総崩れになる」

 

 ディーヴァは旗艦である以上にヴェイガンとの戦いを生き抜いて来た戦艦だ。

 そんなディーヴァが沈めば指揮系統以前に兵士達の士気に大きな影響を及ぼす。

 この規模の戦闘ではそれは致命的な打撃となる。

 当然、敵もそれを狙って来る可能性は十分にあり得る。

 だからこそ、コロニーレーザーに向かえない2機を守りに回すと言うのがゼハートの判断だ。

 

「分かりました」

「後は任せたぜ。爺さん」

「ああ」

 

 ロイドもギルバートもディーヴァの重要性は理解している為、大人しくディーヴァの方へと緩やかに後退して行く。

 

「未来あるお前達を死なせる訳にはいかないからな。ゼハート隊各機に告げる。俺はこれよりロイドとギルバートが抜けた穴を埋める為にコロニーレーザーへと向かう。ついて来たい奴は俺について来い!」

 

 ドラグーンはビットを展開しながらコロニーレーザーに向かう。

 ガンダムが2機抜けた穴を自らが埋める為にだ。

 二人を下がらせた理由はディーヴァの守りや無茶だからと言うのもあったが、それ以上に孫達に決死の作戦をやらせたくはないと言う思いもないとは言えなかった。

 だからこそ、自分のワガママで開いた穴を自分で埋める為にコロニーレーザーへと向かう。

 しかし、それに部下たちを付きあわせる訳にはいかなかったが、部下は誰一人として躊躇う事なくゼハートのドラグーンの後を追ってコロニーレーザーへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 コロニーレーザーに接近していたAGE-ZEROはシグマシスロングキャノンと拡散ビーム砲を放つ。

 コロニーレーザーに接近するにつれて敵の守りも強固になっている為、AGE-ZEROは中々前進する事が出来ないでいた。

 

「どいてくれ!」

 

 AGE-ZEROはDCドッズライフルでゼイ・ドルグを破壊する。

 その後はDCガトリングで弾幕を張りながら前進する。

 

「来る!」

「見つけたぞ! ガンダム!」

 

 ジェレミアのナイトギラーガはビットをAGE-ZEROに差し向けてギラーガアックスを振るう。

 AGE-ZEROは回避してDCドッズライフルを放つ。

 

「邪魔をしないでくれ!」

「貴様だけは無人機ではなく私の手で!」

 

 ナイトギラーガはギラーガアックスを振るい回避したAGE-ZEROにビットが襲い掛かる。

 

「重装甲だろうと!」

「今はこんなことをしている場合では……」

 

 追加装甲のお陰でビットの直撃でも大した損傷を受けることはないが、いつまでも受け続けることは出来ない。

 

「世界が平和になろうとしているのにこんな戦いに何の意味が!」

 

 AGE-ZEROはビームバルカンでビットを落としてシグマシスロングキャノンを放つ。

 だが、そのビームはナイトギラーガを捕えることは出来ない。

 ナイトギラーガを狙っているうちに再びビットによる集中砲火を受ける。

 

「このままやられる訳にはいかないんだ! 僕は!」

 

 AGE-ZEROは小回りの効かないシグマシスロングキャノンをパージして機体を軽くしてナイトギラーガを追う。

 ナイトギラーガはビットを展開して左手のビームバルカンを放つ。

 

「ヴァレンティナ様の邪魔は!」

 

 ビットが全方位からの攻撃に対して正面は拡散ビーム砲で対処し、背後からのビットにDCドッズライフルを投げた。

 

「落ちろ! ガンダム!」

 

 ナイトギラーガはビームバスターを放ち、AGE-ZEROはシールドで防いだ。

 ナイトギラーガはビームを撃ちつつもビットを更に出してAGE-ZEROに差し向ける。

 AGE-ZEROを包囲したビットが全方位からAGE-ZEROに襲いかかる。

 度重なる被弾によって装甲の対ビームコーティングは殆ど意味を成さなくなっていた。

 ついにはシールドの耐久度が限界を超えて爆発した。

 爆風からAGE-ZEROが両手にビームダガーを持って飛び出して来た。

 シールドが破壊され、ビットによる総攻撃を受ける直前にリックは追加装甲や拡散ビーム砲を全てパージした。

 爆発はシールドや追加装甲の物でパージした事でAGE-ZEROの損傷は最低限で済んでいた。

 

「ガンダム!」

「僕達は!」

 

 一気に接近したAGE-ZEROはビームダガーを振り下ろす。

 ナイトギラーガはギラーガアックスの柄で防ごうとするが、ビームダガーは易々とギラーガアックスを切り裂きもう片方のビームダガーをナイトギラーガの胸部に突き刺した。

 

「ヴァレンティナ様……ヴァネッサさ……」

 

 ナイトギラーガからビームダガーを抜いて距離を取りナイトギラーガは爆発を起こした。

 

「ハァハァ……何だ。この感じ……まさか!」

 

 何とかナイトギラーガを撃墜したが、息をつく暇もなくリックは何かを感じ取っていた。

 リックは考えるよりも先に機体を最大速度で加速させてコロニーレーザーの発射口の方へと向けた。

 

 

 

 

 

 

 連邦艦隊がコロニーレーザーの攻撃部隊を交戦する中、ローザの1号機改は敵の手薄な場所を選んでいち早くコロニーレーザー内部に突入していた。

 すでにリニアバズーカとドッズランチャーをパージしてロングドッズライフルを持っている。

 

「ここがコロニーレーザーの……」

 

 1号機改はコロニーレーザーの発射口に出た。

 すぐにバックパックのゼフルドロランチャーとミサイルランチャーを全て撃ち尽くした。

 残弾の切れたミサイルポッドをパージする。

 

「この程度で使用不能に出来るとは思ってないわ」

 

 1号機改はロングドッズライフルについているバズーカを全弾撃ち尽くして銃身をパージしてロングドッズライフルを放つ。

 内部から破壊しているが、MS1機の攻撃力では発射口に与えることの出来るダメージはたかが知れている。

 それでも尚1号機改は攻撃を続ける。

 1号機改はグラストロランチャーを構えて放つ。

 

「これでもダメか……ならMSの方を先に」

 

 1号機改の最大火力のグラストロランチャーでも大した損傷を与えることが出来ない為、ローザは発射口よりも先にコロニーレーザーないに搭載されている予備兵力を先に叩こうとやり方を切り替えた。

 少しでも損傷を与えて置く為にロングドッズライフルを撃ちながら再びコロニーレーザーの内部に向かおうとするが、内部に入るよりも先に1号機改を光が包んだ。

 

 

 

 

 連邦艦隊も敵部隊を交戦を開始し、ディーヴァも対ビーム拡散弾を散布しつつミサイルと主砲を放ち、ディーヴァの周囲には4号機と6号機改を中心に防衛部隊が守りについている。

 

「艦長! コロニーレーザーが!」

「くっ!」

 

 モニターのはコロニーレーザーが発射される様子が写し出されている。

 この戦いはコロニーレーザーによる攻撃を防ぐ為の戦いであったが、コロニーレーザーが発射されたと言う事は作戦は失敗したと言う事になる。

 しかし、放たれたコロニーレーザーは地球へと到達するよりも先に何かがレーザーを受け止めている。

 

「艦長!」

「アレは……リックのガンダムか!」

 

 レーザーの先端にはビームシールドを展開したAGE-ZEROが映されている。

 コロニーレーザーの一撃を受け止めていたのは事前にXラウンダー能力により察知していたリックのAGE-ZEROであった。

 

「止せ! 無茶だ!」

 

 アセムは思わず立ち上がり叫んだ。

 幾らAGE-ZEROのビームシールドの出力が高いと言ってもコロニーレーザーの攻撃を受け止めると言う事は不可能だ。

 このままではAGE-ZEROはコロニーレーザーによって確実に消滅するだろう。

 

「地球は撃たせない!」

 

 リックはそんな事は関係なかった。

 止められるかどうかではない止める。

 それしか考えてはいなかった。

 AGE-ZEROのコックピットでは警告がなっているが気にする事は無かった。

 

「僕が守るんだ! みんなを世界を! 守るんだ! ガンダムで!」

 

 ようやく長きに渡る戦いに終止符が打たれようとしている。

 それを守る事しかリックの頭にはない。

 それはリックの曾祖父のフリットの代からの悲願だ。

 そして、その想いに応じるかのようにAGE-ZEROは虹色の輝きを放つ。

 AGE-ZEROにはクライドが手に入れた3基のAGEドライヴが搭載されている。

 1基はガンダムZERO Ⅱに搭載され、1基はガンダムZERO Zに搭載されていたが、いずれもエリスの手によって破壊されAGE-ZEROに搭載されている物が最後の1基だ。

 AGEドライヴはパイロットの想いを力に変える力を持っている。

 過去に何度もパイロットの想いに応じて超常現象を起こしている。

 AGE-ZEROから放たれた虹色の光はコロニーレーザーから放たれたレーザーを包み込み、そしてレーザーを消滅させた。

 

「艦長! AGE-ZEROの反応が!」

「リック……」

 

 AGEドライヴの放った虹色の光と共にコロニーレーザーの一撃がかき消された事はディーヴァでも補足していた。

 それと同時にAGE-ZEROの識別信号がロストしていた。

 

「2号機に繋げ……リックのガンダムの捜索に向かわせろ」

「ですが……了解」

 

 識別信号が消えたと言う事は撃墜された可能性が高い。

 コロニーレーザーを正面から受け止めたのだ。かき消した事自体奇跡だ。

 アセムは機動力の高い2号機改にAGE-ZEROの捜索の指示を出した。

 識別信号が消えた時点で撃墜と判断するべきで貴重な戦力を裂く訳にはいかないが、肉親の情がそうさせた。

 クルーもその事を理解した上でエイミーにその事を伝えた。

 

「そんな……リックが……」

「すぐにガンダムの捜索に向かって下さい」

「分かったわ!」

 

 エイミーはすぐに機体をストライダー形態に変形させて戦列を離れていく。

 

「リック……どこなの……生きてなさいよ……」

 

 ディーヴァの方から送られて来たデータを元にエイミーはリックの機体を探す。

 

「見つけた!」

 

 データの位置からは多少離れていたが、すぐに見つけることが出来た。

 AGE-ZEROは無残にも破壊され、胴体のみが辛うじて残っていると言う状況だ。

 コロニーレーザーを受け止めた事でAGEドライヴもオーバーロードを起こして完全に機能が停止している。

 AGE-ZEROの残骸を見つけたエイミーはすぐに駆け寄り回収すると安全な宙域まで離脱する。

 そして、AGE-ZEROのコックピットハッチを強引は剥がして中を確認する。

 

「リック!」

 

 機体から降りてエイミーはリックの安否を確かめる。

 コックピットのモニターなどは皹が入ってはいるがリックには目に見えての外相は無く意識を失っている。

 

「エイミー……?」

 

 うっすらと目を開けたリックはエイミーの名を呟く。

 リックが生きていることを確認したエイミーはずっと堪えていた涙が溢れて来る。

 

「この馬鹿! リックの癖に無茶して!」

「ごめん……」

 

 エイミーはシートでうな垂れているリックを強く抱きしめた。

 リックもエイミーの事を感じながらも弱くだがエイミーを抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

「コロニレーザーを使ったのか……ヴァレリの奴め」

 

 ヴァレンティナはクイーンレギルスの中でコロニーレーザーの発射を確認していた。

 ガンダムレギーナは7年前の戦いでエリスによって大破させられていた。

 それをヴァレリのキングレギルスを使って修復した機体がクイーンレギルスだ。

 キングレギルスをベースにしている為、外観や装備にガンダムレギルスと差異はない。

 クイーンレギルスはレギルスライフルでクランシェⅢを撃墜する。

 

「そこにいたのか」

「あのガンダムはあの時の新型!」

 

 エリスのガンダムZERO-EXAがVSドッズライフルをクイーンレギルスに放つ。

 クイーンレギルスはレギルスライフルで応戦する。

 

「あの時の借りを返させて貰う!」

「さて……少しお仕置きの時間だ!」

 

 ガンダムZERO-EXAはビームサーベルを出し、クイーンレギルスはビームサーベルで受け止める。

 

「聞こえるな。ティナ!」

「誰だ!」

「私の真似をしているようだが馬鹿げた真似をしてくれたものだな」

「私だと!」

 

 エリスは通信を開いてヴァレンティナに語りかける。

 ヴァレンティナは相手をエリスと認識してはいない。

 

「忘れたとは言わせんぞ! この母の事を!」

 

 ガンダムZERO-EXAはクイーンレギルスを蹴り飛ばしてビームバルカンを放つ。

 クイーンレギルスはレギルスライフルを向けるがビームバルカンに被弾して破壊される。

 

「何を言って!」

 

 クイーンレギルスはビットを展開する。

 

「こんな馬鹿げた行いをしたところで私になる事も超えることも出来はしない! 所詮は偽物でしかないのだからな!」

 

 ガンダムZERO-EXAはバーストモードを起動させて青白く発光する。

 ビットの群れに突っ込みファンネルを盾に使ってクイーンレギルスに突っ込む。

 

「偽物だと! この私の事を良くも!」

「ヴァレリのような小悪党に利用され何が私の娘だ!」

 

 ガンダムZERO-EXAは一瞬にしてクイーンレギルスの左腕を肩から切断して背後を取った。

 

「妹すら忘れてお前の戦いの先に何がある!」

「妹……ネッサを私が忘れてたと言うのか?」

「私の娘を名乗るのであれば誰に利用される事なく自分の行きたい道を進め! 自分の意志で!」

 

 背後を取ったガンダムZERO-EXAはレギルスキャノンを掴んでクイーンレギルスを蹴り飛ばす。

 レギルスキャノンがもがれてクイーンレギーナは蹴り飛ばされつつも体勢を整える。

 防戦一方でありながらも、ヴァレンティナは不思議と悔しさを感じていない。

 寧ろ、こうなる事は当然かのように思えている。

 意識としては認識していないが、遺伝子レベルでヴァレンティナはエリスが母であると感じ取っているからだ。

 それ故に最強の存在として半ば神格化すらされているエリスに勝てる訳が無いと心の奥底で思いかけている。

 

「それが出来て初めて私の娘を名乗る事が出来ると言うものだ!」

 

 体勢を整えてビームバスターを撃とうとするもそれよりも先にガンダムZERO-EXAはクイーンレギルスの胴体を切り裂き、首を切り裂き頭部を回収する。

 

「これが……母上の力か……」

 

 7年前と同じで完全なる敗北だったが、あの時のように悔しさや屈辱は一切なく、寧ろエリスの力を身を持って体感した事に喜びすら感じていた。

 そして、ヴァレンティナは意識を失った。

 その様子はまるで母親の腕の中に抱かれる赤ん坊のように安らかな寝顔をしていた。

 

「全く……世話のかかる娘だ」

 

 クイーンレギルスの頭部を回収したエリスはため息交じりでディーヴァの方に向かう。

 

 

 

 

 

 ヴァレンティナの乗るクイーンレギルスの頭を回収したエリスはディーヴァに着艦した。

 機体をハンガーに戻すと頭部を格納庫に置いた。

 

「この中には私の娘が乗っている。扱いには気を付けろよ」

 

 外部スピーカーでそう言うが、整備班はそんな事を気にしている余裕はない。

 着艦したガンダムZERO-EXAの整備に取り掛かるの事が最優先だからだ。

 

「キャプテン。状況はどうなっている?」

「現在、ローザがコロニーレーザーに突入するも機体の識別信号がロストしている。リックとエイミーは戦線を離脱し、ロイドとギルバートはディーヴァの護衛に回っている。ハーマンはコロニーレーザーに向かっている。ヴァネッサは敵Xラウンダーと交戦中だ」

「了解だ。どうやら私も出ないといけないようだな」

 

 状況を確認するが、余り思わしくない。

 最初に突入したローザの1号機改はコロニーレーザーの発射と同時に識別信号がロストしている事からコロニーレーザーの発射に巻き込まれたのだろう。

 リックとエイミーも現在は戦線を離脱している。

 ロイドとギルバートのガンダムは損傷からディーヴァの護衛を行っている。

 ハーマンとヴァネッサのガンダムだけが前線で戦っている事になる。

 

「頼む」

 

 敵の大将を討ち取って来たばかりだが、エリスを再び出さざる負えない。

 エリスは状況を確認すると通信を追えてヘルメットを取る。

 

「私はまだ……やれる」

 

 ここまでの戦闘で疲れが溜まっているのかエリスの手はプルプルと振るえているが何度か拳を握る。

 そして、左目の眼帯を外した。

 左目は殆ど見えていないが、右目だけよりかは少しはマシだ。

 

「命ある限り最後まで戦い抜く……それが私の選んだ道だ」

 

 モニター越しに機体に予備のファンネルが付けられている事を確認して整備がもう少しで終わると言う事を見るとコックピットに忍ばせた薬を全て飲んでヘルメットを付ける。

 すぐに再出撃する為、整備も最低限でライフルとシールドを新しい物に代えて盾として使ったファンネルの補充を終えるとガンダムZERO-EXAはカタパルトに移動を始める。

 

「さて……これが私の最後の戦い、最後の出撃だ。エリス・アスノ。ガンダム。出るぞ!」

 

 エリスは自身の最後の戦いへと出撃した。

 

 

 

 

 

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