機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

24 / 155
第24話

コロニー「ファーデーン」に地球連邦軍の戦艦ディーヴァ及び施設組織パラダイスロストの母艦アブディエルが並んでいる。

 ヴェイガン側はファ・ボーゼを中心に戦闘艦が三隻とガフランとバクトを約50機近くの大部隊で展開している。

 それに対しザラム、エウバのMSが迫るヴェイガンの大軍を食い止める為に展開している。

 そして、戦闘の中核を担うディーヴァとアブディエルのMS隊も出撃し、敵を迎撃する準備が整った。

 

「ジェノサイドアーマー……ぶっつけ本番だが……」

 

 今回ガンダムZEROは火力に特化した新アーマー「ジェノサイドアーマー」を装備している。

 ジェノサイドアーマーは黒を基調とた装甲で武装は右腕に抱えているハイパービームランチャーのみでバックパックにはランチャー用のエネルギーパックを装備し、装甲はランチャーの排熱板を兼ねている。

 

「ランチャーの充填が終わって無い。時間稼ぎを頼む」

「任せとけって! 取り合えず、アタシらの力を見ててやるよ!」

 

 ジゼルのナイトルーパーは加速し敵陣に飛び込む。

 ナイトルーパーはビームライフルで先頭のガフランを破壊する。

 

「ザラムもエウバも必要ねぇよ! アタシらだけで蹴散らしてやるよ!」

 

 ナイトルーパーはシールドで攻撃をかわしながら、ビームランスに持ち替える。

 そして、後方からレオナールのジェノアス改のキャノン砲の砲撃の直撃を受けてバランスの崩れたガフランをビームランスで両断して破壊する。

 

「フン、アレがクライドの部隊か……野郎ども! ワシらも遅れをとるなよ!」

 

 ドン・ボヤージが専用機のガラの中でそう言いザラムのジラが一斉にマシンガンを連射する。

 だが、ジラのマシンガンではガフランの装甲に傷を付ける事は出来ないが、少しは動きが鈍りウルフのGエグゼスがビームライフルでガフランを撃墜する。

 

「成程な……コイツはやり易い!」

 

 Gエグゼスはジラの攻撃で足止めをされているガフランを撃ち落とす。

 彼らと取った作戦はシンプルであった。

 ザラムとエウバのMSではガフランやバクトの装甲を貫いて破壊することは不可能だ。

 だからこそ、足止めに徹してディーヴァやアブディエルのMSが敵を撃墜出来るMSの攻撃をいかに当て易い状況を作る事だ。

 

「これなら……行ける!」

 

 フリットのガンダムAGE-1Nはドッズライフルでガフランを撃墜し、今までの戦い以上に戦い易い事を実感している。

 

「アレがフリット坊ちゃんの作ったMSですか……別の道を歩きながらもガンダムを作るとは流石兄弟と言ったところでしょうか」

 

 デスドールはビームサイズでガフランを両断し、ガンダムAGE-1Nの戦闘を見ていた。

 

「ですが……パイロットとしてはまだ、荒削りですね」

 

 デスドールはガンダムAGE-1Nの背後をとったガフランを切り裂く。

 

「アリス!」

 

 だが、ビームサイズは威力は大きいがその分、大振りになってしまう為、必然的に攻撃後の隙も大きくなる。

 その為、その隙をついてガフランがビームサーベルを展開して接近するが、ラクトの専用機のエルメダで横からヒートソードで切りかかり、ガフランはその勢いで吹き飛ばされてガンダムAGE-1Nがドッズライフルで落とす。

 

「助かりました」

「何……少年やレディにばかり戦わせる訳にはいかんのでね」

「では、存分に働いて貰います」

 

 デスドールはラクトやエウバのMSを引き連れて敵機を落としていく。

 

「この!」

 

 ラーガンのジェノアスがガフランのビームライフルを何とかかわしながら、ビームスプレーガンで応戦する。

 ガフランは腕でガードして攻撃を防いでいたが、Gレックスが背後からビームサーベルで切り裂く。

 

「あれが私設部隊だってのか……正規軍よりも戦力が充実しているじゃないか」

「まだ、来るぞ」

 

 ジェノアスとGレックスはビームバルカンを放つガフランを相手に二手に分かれて、ガフランはラーガンの方を狙いビームバルカンを連射する。

 ジェノアスはビームバルカンの射線に入らないように動き、ガフランの注意を引きつけているとGレックスが背中を取りビームライフルで落とす。

 

「助かった」

「気にするな。今は助け合いが重要だ」

「そうだな……悔しいが俺にだって囮ぐらいは出来るさ」

「……邪魔」

 

 ジェノアスとGレックスの間をジェノワーズが通り過ぎ、戦場を単機で動き周り敵機を撃墜して行く。

 

「全く……最近の子供は凄いな……」

「同感だ。だが俺達のも大人としての意地がある。子供にばかり頼ってはいられないな」

 

 フリットと言い、ユーリアと言い自分達よりも10歳以上も歳下の子供が戦場で戦う事はラーガンにしろ、シャルルにしろ余り手放しに

 

歓迎出来る事ではないが、悔しい事に二人の方が自分達よりも戦力となるのも事実だ。

 だからこそ、大人で正規の軍人の自分達も手をこまないて見ている訳にも行かない。

 ラーガンのジェノアスはビームスプレーガンでシャルルのGレックスを援護して、Gレックスがビームライフルとビームサーベルを駆使し、敵を落としていく。

 

「行ける! このまま数を減らしていけば!」

 

 ガンダムAGE-1 Nはドッズライフルでガフランを撃墜する。

 今までの様な苦戦をすることなく敵を撃墜して行ける為、フリットは勝利を確信して行く。

 だが、不意にフリットは何かを感じ取る。

 

(何だ……何か……来る)

 

「この感じ……敵もXラウンダーを投入したのか」

 

 その感じは戦場の一番後ろでハイパービームランチャーのチャージを待っているクライドも感じていた。

 そして、その感覚は敵がXラウンダーを投入した事なのだとクライドには理解することも出来た。

 

「この無邪気な感覚はブラッドじゃない……無邪気過ぎる……子供か?」

 

 ブラッドとの戦闘で更に高まったXラウンダーとしての感覚がそこまで感じ取ることが出来るようになっていた。

 そして、戦場では投入されたゼダスによって次々とMSが撃破されていく。

 

「何なんだ! コイツは!」

 

 一機のジラがゼダスにマシンガンを連射するが、ゼダスには当たる事はない。

 

「遅いよ」

 

 ゼダスを駆るデシルはそう言い、ジラの左腕をゼダスソードで切り裂く。

 ジラはマシンガンでゼダスを追撃するが、弾丸がゼダスではなく近くのゼノに当たる。

 

「残念」

「何しやがる!」

 

 ゼノのパイロットはジラに攻撃された事を激怒するが、正面にゼダスが居た為にマシンガンを放つが、ゼダスは回避し先程のジラに当た

 

る。

 

「何すんだ!」

「そっちこそ!」

 

 ジラとゼノの互いのパイロットは口論を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その事はディーヴァにも届いていた。

 

「所詮はならず者か……」

 

 その様子を見ていたアダムスがそう言う。

 彼らは正規の訓練を受けている訳でもない為、戦術に従って戦闘を進める事など土台無理な話だった。

 

「いいえ、UEはわざとこちらに同士撃ちをさせようと動いているみたい」

 

 ミレースはゼダスの動きからそう予測する。

 ゼダスは自分の背後に別の機体が居るように位置取りをし、敢えて敵に攻撃をさせる。

 攻撃されるとすぐにかわせば自分の後に居た機体に攻撃が当たる。

 通常の戦闘ならば、以後は敵の位置を味方の位置を注意して戦えば良いが、今回の戦闘ではザラムとエウバが共闘している。

 フリットの説得で一時的に内戦を終結したとは言え、ザラムとエウバの戦いの歴史は深く、そう簡単に割り切れるものではない。

 ゼダスの起こした同士撃ちはザラムとエウバの敵対心を呼び起こすきっかけになった。

 その結果、ヴェイガンと言う共通の敵よりも旧敵との戦いに発展する。

 そんな戦いが戦場のあちらこちらで発生している。

 だが、その事はディーヴァの艦長のグルーデックも予測は出来ていた。

 そして、その対策もすでに考えている。

 

「奴らの同士撃ちは予測している。クライド! 行けるか?」

「フルパワーでは無理だ。50%くらいでなら行けるけど、どうする?」

「構わん。撃て」

 

 グルーデックがそう言うとクライドはディーヴァとの通信を切る。

 

「まだ、早いが……まぁ、馬鹿どもを大人しくさせるくらいは行けるか……」

 

 ガンダムZERO J(ジェノサイド)はハイパービームランチャーを構える。

 

「全機に告ぐ。今からハイパービームランチャーを撃つ。死にたくない奴は射線上に入るな。以上!」

 

 クライドはそう言って引き金を引く。

 ハイパービームランチャーから強力なビームが戦場に放たれる。

 本体の威力の半分だが、その威力は絶大で射線上のガフランやバクトを破壊して行き、遂には戦闘艦を2隻を纏めて沈めた。

 その後もファ・ボーゼに直撃し、撃沈までにはいかなかったが、損傷を与える事が出来た。

 そのありにも凄まじい火力に同士撃ちとしていた兵達も茫然とし、戦場が鎮まり変える。

 

「何をしておる! 馬鹿どもが! ワシらの敵はUEだ!」

「そうだとも! 皆、落ち着いて対応し敵の思惑に乗せられるな!」

 

 ザラムとエウバの双方のリーダーの喝も入り、エウバとザラムの両軍は冷静を取り戻して共通の敵のヴェイガンへと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石ね……総崩れを防いだだけでなく、敵の大打撃を与えた」

「全くだよ。ゼロの力があったとは言え、投入するタイミングが絶妙だ」

 

 アブディエルでエリーゼとアルフレッドはグルーデックのクライドのガンダムZEROの投入のタイミングの絶妙さに下を巻いている。

 今まではガンダムZEROを全面に出しての力押しがアブディエルの基本戦術だったが、使い方に非情に難のあるジェノサイドアーマーを装備したガンダムZEROを上手く使い、自軍の総崩れの危機を回避しただけではなく、敵軍に大打撃を与えている。

 

「まっ、正規軍の中佐なんだから、これくらいはやって貰わないとな」

 

 自分の役目と終えたクライドはすでにアブディエルに帰還し、ブリッジまで来ていた。

 ジェノサイドアーマーの最大の弱点は唯一の武器のハイパービームランチャーが一度の戦闘で連射出来ないと言う事だ。

 最大威力ではない為、チャージ時間は最大時で撃った時よりも少なく済むがこの戦闘時に使うタイミングはないと判断し、クライドはアブディエルに帰還した。

 

「どっかの指揮官もどきとは質が違うさ」

「悪かったわね。もどきで」

 

 エリーゼは自分よりもグルーデックの指揮能力を褒める為拗ねている様子だが、エリーゼも指揮官としての能力が自分の方が劣っていると言う事は理解しているので本気で拗ねている訳ではない。

 

「冗談はそのくらいにして厄介な奴を向こうは投入したようだな」

「ええ……こっちでも確認しているわ。今回は赤い奴が居ないのが幸いね」

「でも、ユーリアは単独で動き回っているせいで今は黒い奴のところには行けないし、ジゼルは前に出過ぎていて戻るには時間がかかるよ」

 

 ゼダスに対抗しうる機体はジェノワーズかナイトルーパーだが、どちらもすぐには向かえない位置に居る。

 

「シャルルもアリスも性能的に厳しいか……ウルフも位置が近いがすぐには無理か……だが、フリットの位置なら行ける」

 

 戦場の全体図からクライドはそう判断すると、すぐにガンダムAGE-1Nに通信を繋いだ。

 

「フリット、聞こえるか?」

「兄さん! どうして母艦に?」

「俺の仕事は終わった。それよりも少し手ごわい奴が居る」

「うん……僕も何となくだけど……感じた」

 

 クライドはその言葉に内心驚いていた。

 フリットがゼダスの事を何となくとは言え感じ取る事が出来たと言う事はフリットにもXラウンダーとしての素質を持っており、戦場で覚醒しつつあると言う事になる。

 

「なら、話が早い。お前がそいつを抑えろ」

「僕が?」

「そうだ。その黒いMS型は手ごわい。お前とお前のガンダムでしか今は抑える事が出来ない。分かるな?」

「うん……あのMS型とは戦った事がある。普通のMS型とは比べ物にならない」

 

 ゼダスはXラウンダー専用に作られている為、ガフランやバクトとは性能が一段階違う。

 フリットはその事は知らないが、フリットも技術者の端くれである為ゼダスが他の機体よりも高性能なのは分かる。

 

「だから、お前とガンダムで黒いMS型を抑えろ。出来るな?」

「……出来るよ。僕とガンダムなら!」

「良く言った。頼んだぞ」

 

 クライドはそう言って通信を切る。

 

「良かったの? 弟君を一人で行かせて?」

「相手の力は強力だ。下手に戦力を宛てても無駄に戦力を消費させるだけだろ? それにフリットの機体も俺と同じでガンダムだ。それにフリットは俺の弟だ出来ない訳がない」

 

 クライドはフリットならゼダスを抑える事が出来ると確信しているように見えるが実際は厳しいと思っている。

 フリットには実戦経験が乏しい上に相手は確実にXラウンダーだ。

 戦力差は明白で今のフリットにそれを埋める術はない。

 だが、フリットはゼダスの事を感じ取ることが出来た。

 クライドはXラウンダーの事を知り尽くしている訳ではないが、自分もブラッドとの戦闘でXラウンダーの能力が互いに共鳴し合うように向上した。

 Xラウンダーの素質を持っているなら、Xラウンダーにぶつけてみればその素質が目覚めるかも知れない。

 危険な賭けであるが、試す価値はあると考えている。

 

「一番近いのはウルフか……ウルフにもすぐにフリットの援護に向かうように伝えてくれ」

 

 賭けである以上、賭けに負ける可能性もある為、クライドは保険をかけておく。

 戦場で一番、近くに居るのがウルフのGエグゼスでフリットと同じディーヴァに乗っている以上、一緒に戦い易いと判断した。

 

「後はフリット次第だな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこだ……」

 

 フリットはクライドに指定されたポイントに向かうとゼダスが次々と友軍機を撃破していた。

 

「これ以上はやらせない!」

 

 ガンダムAGE-1Nはゼダスにドッズライフルを放つが、ゼダスは回避する。

 

「ようやく来たね。待ちくたびれちゃったよ。お兄ちゃん!」

 

 ゼダスはビームバルカンを連射しながら、ガンダムAGE-1Nに突っ込む。

 ガンダムAGE-1Nはシールドでビームを防ぎながらドッズライフルで反撃する。

 

「そんな攻撃じゃ僕には当たらないよ!」

 

 ゼダスはガンダムAGE-1Nの背後を取るとガンダムAGE-1Nを蹴り飛ばす。

 

「ぐっ!」

 

 フリットは蹴り飛ばされた衝撃を耐えながら、どう言う訳がファーデーンで出会った少年デシルの顔を思い出していた。

 フリットはそれに戸惑いながらも、ドッズライフルを連射する。

 

「前のガンダムに比べれば少しは出来るけど、相変わらず下手糞だね。お兄ちゃん!」

 

 ゼダスはビームバルカンを放ち、ガンダムAGE-1Nはシールドで防いで防戦一方に追い込まれる。

 ガンダムAGE-1Nは攻撃の隙をついてドッズライフルで反撃するもゼダスには当たらない。

 

「この! 当たれ!」

 

 何度もドッズライフルを放ってもゼダスに当たるところか掠りもしない。

 

「何で当たらないんだ! ノーラの時は!」

 

 以前にもノーラでゼダスと交戦しているが、あの時は偶然にもガンダムAGE-1Nに一緒に搭乗していたユリンのサポートもあってゼダスに掠らせる事は出来た。

 あれからウルフとの模擬戦やファーデーンでの戦闘を経てフリットの技量も上がっている筈だった。

 だが、フリット自身は気づいていない。

 なぜ、攻撃が当たらないのかを……

 今のフリットはクライドにゼダスの相手を任されている。

 昔からフリットはクライドの事をとても尊敬し、慕っていた。

 7年前に死んだを思っていた兄が生きていてヴェイガンと戦う為に独自に動いていた事を知り、フリットの中でのクライド像はフリットの理想とする完璧な兄となっている。

 兄に任された事がフリットの中で無意識の内に兄の期待に応えたいと言う焦りを生んでいた。

 その焦りが狙いを甘くしている事にフリットは気づく余裕はない。

 気づけないからこそ、焦りが強くなると言う悪循環に陥っている。

 

「どうしたの? お兄ちゃん……早く本気を出さないと終わっちゃうよ」

 

 ゼダスはガンダムAGE-1Nに接近するとゼダスソードを振るいガンダムAGE-1Nはシールドを掲げるもシールドはゼダスソードで両断された。

 

「シールドが!」

 

 シールドを破壊されるも、フリットの脳裏に再度デシルの顔が思い浮かぶ。

 

(もしかして……この機体に乗っているのは……)

 

 フリットは漠然とゼダスにはデシルが乗っていると思う。

 だが、フリットにそんな事を考えている余裕もなく、ゼダスに蹴り飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ……流石に数が多いな……」

「ジゼルさん……一旦引いて体勢を整えましょう」

「だな……アニキの砲撃でだいぶ敵の数も減ったしな」

 

 最前線で交戦していたジゼルのナイトルーパーは一旦本隊に合流するためにレオナールの援護の元後退を始める。

 

「ん? アイツ!」

 

 その道中でジゼルはある光景を目にする。

 一機のジラにバクトが接近している。

 だが、そのジラは大破し武器を持っていない。

 

「あの野郎!」

 

 機体が大破している為、反撃することも逃げる事も出来ないジラをバクトは無慈悲にビームサーベルで貫いた。

 

「糞ったれ! 戦えない奴を!」

 

 倒せる敵は倒せる時に倒す。

 それは戦場では当たり前の事だが、機体を大破させて動けない相手をわざわざ狙う行動をジゼルは許す事が出来なかった。

 だが、その様子を見ていたのはジゼルとレオナールだけじゃない。

 ザラムのリーダーのドン・ボヤージのそれを見た怒りはジゼルの比じゃない。

 

「ワシの部下に何しやがる!」

 

 ボヤージは怒りのままに、装備していたマシンガンを内蔵したモーニングスターでバクトに殴りかかる。

 だが、ボヤージの怒りとは裏腹にバクトはその一撃を軽々と受け止めた。

 そして、モーニングスターの柄を握り潰すと至近距離からボヤージのガラにビームマシンガンを浴びせる。

 

「おっさん!」

 

 ナイトルーパーはビームライフルを連射して、バクトの攻撃を遮る。 

 だが、ガンダムZERO用のビームライフルを装備していようと、バクトの電磁装甲を破る事は出来ない。

 

「だったらよ!」

 

 ナイトルーパーはビームライフルを投げ捨てるとビームランスを持ってバグトに突っ込む。

 

「直接たたっ切ってやる!」

 

 バクトもビームサーベルで応戦しようとするが、横からレオナールのジェノアス改のキャノン砲が直撃しバランスが崩れたところでナイ

 

トルーパーがバグトの電磁装甲で覆われていない部分をビームランスで切り裂いてバクトを破壊する。

 

「おい! おっさん! 生きてるか!」

 

 ジゼルはバクトの攻撃で大破し、今でも爆発しそうなガラの駆け寄りボヤージの生存を確認する。

 

「なんて様だ……」

 

 ガラの中から辛うじてボヤージはそう言う。

 機体が大破し、コックピットの中も無茶苦茶になり、機体を何とか動かせると言う状況になっている。

 その時にボヤージも負傷し、傷の痛みで何とか意識を保っていられる。

 ボヤージは痛みを堪えながらも機体の状況を確認する。

 機体の状況はお世辞にも良いとは言えず、動くのが精一杯だ。

 だが、そんな状況でボヤージは不敵な笑みを浮かべていた。

 そして、力強く戦う意思の残った目はまっすぐファ・ボーゼを向いている。

 

「良く聞け! ザラムとエウバの者どもよ! 目の前に居るのはコロニーを破壊し人類全体を脅かす我々の共通の敵だ! これは喧嘩ではない! 戦争だ!」

 

 ボヤージはそう言って機体をファ・ボーゼに向ける。

 

「何をするつもりだ? 止めろ! ボヤージ!」

 

 武器を持たず、敵艦に突っ込むなど自殺行為である為、ラクトがボヤージを止める。

 だが、ボヤージは止まる事はしない。

 特攻するボヤージの前にバクトがビームバルカンを撃つ為に構えているが、ジラが横から突っ込んで撃たせない。

 

「ドン! 行って下さい!」

 

 そのジラのパイロットがボヤージにそう言っているとバグトはジラに腕を突き刺して破壊する。

 それを見たボヤージは顔を顰めるが、ここで止まれば今死んだ部下の命を無駄にするため、止まる事はしない。

 そうして、突き進んでいると二機のジラがボヤージに付き合うかのように追走する。

 

「馬鹿野郎! お前ら何をしている! さっさと戻って一機でも敵を倒せ!」

「ノーです。ドン、それは出来ません」

「ドンの成されようとしていることを手伝うのが俺達の役目……それに俺達の機体ももう満足に戦えません」

 

 すでに二機のジラの所々が被弾し破壊されて部下の言う通りまともに戦える状況ではない。

 だが、だからと言って自分の特攻に部下をつき合わせる訳にも行かない。

 しかし、例え、死んでも自分について来てくれる部下の存在はとても心強い。

 

「本当に馬鹿野郎どもが……良し! 行くぞ! お前ら! 今こそ、男の花道を飾る時だ!」

 

 それ程までに自分について来てくれる部下の思いをボヤージは無下には出来ない。

 だからこそ、自らとともについて来させる事を選んだ。

 ボヤージは二人の部下を引き連れて、ファ・ボーゼへと突き進む。

 

「ラクトよ……」

 

 ボヤージは別の場所で戦っているかつての好敵手のラクトに通信を繋ぐ。

 

「派閥争いの無い。平和な時代などあり得ると思うか?」

「今はそんな場合か!」

「答えろ!」

「さぁな……だが、来て欲しいとは考えるようになった」

 

 本当の戦いを知った今となってはかつてのようにザラムとエウバと二つに分かれて戦う事が愚かとも思えるようにボヤージもなっていた

 

 そう思うようになったのは恐らくはファーデーンでの内紛を止めたフリットの影響だろう。

 あれほど、エウバとの戦いを誇らしく思っていた思いは今では毛頭ない。

 その思いがラクトも同じだと知ると後の事はラクトに任せても良いと感じ未練は無くなった。

 ボヤージの前にバグトが立ちふさがるとビームバルカンが放たれて部下の一人がボヤージの盾となり撃墜された。

 だが、ボヤージは止まらない。

 今止まってしまえば部下の犠牲が無駄になるからだ。

 

「どうやら、あの坊主に教えられてしまったようだな」

 

 戦いを止める時のフリットの言っていた事は子供の意見だったが、子供の意見だからこそ正しいと思い知らされた。

 

「ラクト……我が軍はお前に任せる……後は頼む」

「ボヤージ!」

 

 ラクトならば、自分の部下を悪いようにはしない。

 上手く纏め上げてくれるだろうと信じている。

 だから自分は思い残す事なく先に行ける。

 後は残された若者達が作るだろう。

 ボヤージに出来る事は自分の生きざまを残された者達の脳裏に焼き付ける事だけだ。

 その道中で自分に付き合って来てくれたもう一人の部下の機体も落とされた。

 

「坊主!」

「ボヤージさん!」

 

 ボヤージは最後に通信をフリットに繋ぐ。

 

「坊主……お前なら世界を変えられるかも知れんな……」

 

 ボヤージは最後に希望をフリットに託すが機体がボロボロで最後まで言葉をフリットに伝える事が出来ないが、この思いはフリットに伝わったと信じている。

 

「良く見ておけ! 異星人ども! これがザラムの……いや、人間の意地だぁぁぁぁ!」

 

 ガラはビームに被弾しながらも止まる事なく、ファ・ボーゼに突っ込む。

 そして、先ほどのガンダムZERO Jの砲撃でダメージを追った部分に激突しガラは爆発を起こして散った。

 ボヤージの人類の意地を込めた最後の一撃は確実にファ・ボーゼに届いた。

 砲撃のダメージもあり、ファ・ボーゼから火の手が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅぅぅ……あぁぁぁぁぁぁ!」

 

 フリットはボヤージの壮絶な最期を目の当たりにして力の限り叫んでだ。

 そして、最後の言葉もフリットには伝わっていた。

 だからこそ、フリットは悔しくて堪らない。 

 ガンダムAGE-1Nはドッズライフルをゼダスに連射するが、ゼダスにははやり当たる事はない。

 

「フリット! やっと完成したぞ! ガンダムの新しいウェア! その名もスパローじゃ!」

 

 ディーヴァのバルガスから通信が入り、ガンダムAGE-1の新しいウェアが完成した事を告げられる。

 前回の戦闘やノーラでゼダスと交戦したデータからAGEシステムが新しい武器を設計していたのがようやく完成した。

 

「出して!」

 

 今の状況ではゼダスに勝つことは難しい。

 だが、AGEシステムが導きだした答えならばゼダスにも対抗出来る。

 フリットはそう考えてバルガスにスパローを出すように頼んだ。

 

「時間がないんだ! このまま戦場で換装する!」

「どうなっても知らんぞ!」

 

 本来ガンダムAGE-1はウェアを戦場で換装することを前提としていないが、ディーヴァに戻っている暇もない為、バルガスも仕方がなくスパローのウェアを専用の牽引ユニットごと戦場に射出した。

 

「来た!」

「行かせないよ!」

 

 フリットは何とか、ゼダスを引き離そうとするが、デシルはそうはさせてはくれないが、クライドの指示でウルフのGエグゼスが間に入りビームライフルでゼダスを牽制する。

 

「悪いな……フリットが換装を終えるまで付き合ってもらうぜ!」

「邪魔しないでよ! 今良いところなんだからさ!」

 

 Gエグゼスはビームライフルでゼダスを牽制する。

 ウルフの援護でゼダスをまいたガンダムAGE-1Nは牽引ユニットと速度を合わせると牽引ユニットどドッキングする。

 そして、機体の四肢をパージすると、スパローのウェアに換装する。

 換装を終えると牽引ユニットから離脱して換装が完了する。

 ガンダムAGE-1Sは高速戦闘を重視したガンダムだ。

 ノーマルの様な汎用性やタイタスの様なパワーはないが、スピードにおいて二つのウェアを遥かに凌駕している。

 

「ウルフさん!」

 

 換装を終えたガンダムAGE-1SはGエグゼスの元に舞い戻る。

 そして、腰に装備している短剣「シグルブレイド」を抜く。

 

「ここは僕が! ウルフさんはザラムとエウバの方を!」

 

 ガンダムAEG-1Sはシグルブレイドでゼダスに切りかかりゼダスもゼダスソードで受け止める。

 その間にウルフはザラムとエウバの元に向かう。

 

「新しいガンダムかぁ……そいつは強いの? ねぇお兄ちゃん!」

 

 新たなウェアに換装したガンダムAGE-1Sとゼダスは高速戦闘に入り切り合う。

 

「へぇ……この機体のスピードについて来るなんて凄いじゃん!」

 

 ガンダムAGE-1Sは機体の膝に隠されているニードルガンを放ち、ゼダスはゼダスソードで払う。

 

「残念でした!」

 

 だが、ガンダムAGE-1Sはゼダスに接近してゼダスの肩の装甲をシグルブレイドで切り裂く。

 

「良くもやったな!」

 

 ゼダスはビームキャノンを放つが、ガンダムAGE-1Sの機動性能では捕らえることが出来ない。

 

「嘘! かわした!」

 

 そして、一機に懐に飛び込み、シグルブレイドを振るう。

 ゼダスもゼダスソードで受け止めるがシグルブレイドはゼダスソードをも切り裂き、そのまま右腕を切り落とした。

 

「そんな!」

「これで決める!」

 

 ガンダムAGE-1Sは腕の装甲のスラスターで加速して、ゼダスを何度も切り付けた。

 その連続攻撃でゼダスの装甲はボロボロになり後退を余儀なくされた。

 

「僕の力はこんなもんじゃないんだ……こんなもんじゃ……」

 

 デシルは自分が負けた事を受け入れる事が出来ないが後退しガンダムZERO Jの砲撃とドン・ボヤージの特攻で損害を受けたファ・ボーゼは後退して行き、ガフランやバクトもそれに続いて行く。

 撤退戦になったヴェイガンに対して、ボヤージの最後の意地を無駄にしない為にとエウバとザラムの士気は高く、形成は一気に逆転した。

 そして、ヴェイガンは完全に撤退すると、ファーデーン防衛線は完全に人類側の勝利に終わった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。