「分かったわ。すぐに出港の準備はするわ」
ウィンターガーデンでの作戦行動が決まった為、アルフレッドは一足早くアブディエルに戻り、エリーゼに作戦の事を伝えた。
それを聞いたエリーゼは大して驚いた様子はなかった。
クライドが念のためにとMSを持ちだした時点でMS戦になることは予想が出来ていた。
そのため、慌てることなく準備の指示を出す。
「ジゼルが陽動を行うから、それが合図で作戦が始まる」
「まさか、連邦にUEだけでなくマーロッソファミリーにまで喧嘩を売ることになるなんてね」
すでにパラダイスロストはUEだけでなく、連邦とも半ば敵対している。
彼らは独自に戦闘用のMSを所持している為、連邦軍からはテロリスト、または海賊と言う認識が強く以前にも連邦軍に武装解除を求められたが、拒否し連邦軍と交戦したこともある。
そして、今回の戦いで裏社会で幅を利かせているマーロッソファミリーに喧嘩を売ることとなる。
「本当だよ。連邦に追われている以上、裏社会では穏便に行きたかったんだけどね」
「それはクライドの船に乗った時点で諦めなさい」
「ご尤も……」
UEと戦う道を選んだクライドの仲間になった時点で平穏とは程遠くなることはアルフレッドも当に覚悟を決めているが、それでも何の躊躇いも無くマーロッソファミリーに喧嘩を売るクライドに一言を言いたくはなる。
アルフレッドはそう言いながら席につく。
アルフレットもマーロッソファミリーのやっていることを容認することも出来ないので、クライドに文句を言いつつも自分のやるべきことをやる。
「さぁて……今日はどの装備を使おうかな」
ジゼルはジェノアス・キャノンに搭乗しそう言う。
すでに作戦の為にクライドのガンダムZERO Nとアリスのデスドールはすでに作戦行動に入っている。
「どれも使えるけど、コロニー内での戦闘だから、あまり高い火力の武器はコロニーを破壊する恐れがあるから持って来てないよ」
コンテナトレーラー内からエミリオがどう言いながら、コンテナを開閉する。
コンテナの中には無数の火器が収容されていた。
「凄い数の武装だ……」
中の武装はマシンガンを始めとして市場に流通していない火器までも揃っている。
「これだけの武器をどこで仕入れてるんですか?」
「ん?ああ……何でもマッドーナ工房の工房長のおやっさんが趣味で作った武器を買い取ってんだよ。UEに対しては効果がない武器だけどよ、MS相手なら十分過ぎる威力は持ってんだ。これだけあれば戦争も出来るぜ」
その武器の数々はマッドーナ工房の工房長の、ムクレドが趣味で設計した武器をクライドが買い取った物だった。
ムクレドとしても作った武器を適当なところにばら撒いて、変に使われるよりかはクライドに売った方がマシで、尚且つ収入も入る。
クライドとしてもある程度の信用性のおける武器を格安で手に入る為、双方の利害が一致した結果、アブディエルにはいつ使うかは分からない武器が無数に詰まれている。
「おっし、今日はコイツをぶっ放すか」
ジゼルはそう言い、大きなガトリング砲を機体の手に持たせる。
そして、バックパックの左側に普段はジャイアント・バズーカが装備されている武装ラックにガトリング砲を取りつける。
ジェノアス改とジェノアス・キャノンのジャイアント・バズーカは通常弾頭は数が少なく、普段はトリモチ弾を使っているが、今回のように対UE戦以外の対MS戦では必要がないため、取り外して代わりの武器を装備することが出来る。
マッドーナ工房で仕入れた武器は買い取った後にジェノアス改やジェノアス・キャノンの武装ラックに付ける事が出来るようにしてある。
「お前はアタシの援護だろ。コイツを使えよ」
ジゼルはレオナールに長距離キャノン砲を渡す。
「これって相当威力がありそうですね。良いんですか?下手をしたらコロニーに被害が出ますよ」
ジゼルの渡した長距離用のキャノン砲は高い射程と威力を持っている為、コロニー内で使えばコロニー内に深刻な被害が出かねない代物だ。
「大丈夫だろ。MSに当てれば問題はねぇよ」
ジゼルは簡単に言うが、実戦経験の乏しいレオナールに外すことなく敵に長距離攻撃を決めるのは無理だが、経験不足が故に武器を選ぶ基準が良く分からないレオナールは従うしかなくそれを武装ラックに付ける。
「ジゼルはこれも」
そう言ってトレーラーから一枚の板が外に出される。
ジゼルは機体をその板に乗せると脚部を板に固定する。
「それは?」
「スノボー」
ジゼルはレオナールに完結に説明したが、ジェノアス改とジェノアス・キャノンの脚部のランドローラーはコロニー内でも多少は悪路でも問題はないが、今回の様な雪の上ではその機動力を発揮することが出来ないため、このスノーボードを装備する。
ボードにはエンジンが内蔵され、雪の上でも十分な機動力を確保することが出来る。
但し、扱いが難しいためレオナールは後方支援要員に回されている。
「そんじゃ、行って来るぜ」
ジェノアス・キャノンはボードに乗り雪の上を滑走していく。
「レオナールも所定の位置に急いでよ。僕はアブディエルに戻ってるからね」
「分かりました」
コンテナトレーラーのコンテナが閉じて、アブディエルに戻り、レオナールのジェノアス改も支援の為に移動を開始する。
「景気良く花火を上げて行こうか!」
ジゼルのジェノアス・キャノンはボード下部に装備されている小型のミサイルポッドからミサイルを放ち、事前情報でマーロッソファミリーの賭博場に爆撃を開始し、それが作戦開始の合図となる。
ジゼルのミサイル攻撃の振動で闘技場に潜入していたクライドも行動を開始する。
「天使はこの先だな」
クライドはアリスが集めた情報を頼りに闘技場を進む、時よりマーロッソファミリーの構成員が襲撃を受けて慌ただしく走っているが、クライドは堂々とその流れに混じって、アリスの情報にある闘士の控室の近くまでやって来る。
「ここまでは情報通りか……ここから先は情報にない。鬼が出るか蛇が出るか……出来れば天使が出て来て欲しいもんだ」
クライドは控室に入り口と思われる扉の前には警備が居た為、曲がり角の影に隠れて予め用意していたガスマスクを付けると催眠ガスが入ったガス弾を転がす。
ガス弾から催眠ガスが放出されて、警備の兵はすぐに眠り倒れる。
「お休みのところ悪いが、ちょっと御免よ」
クライドは警備の兵の服を探り鍵を見つけた。
「このご時世にこんな鍵を使っていると、簡単に奪えるぜ。次からはもう少し金をかけて、マシな防犯をするんだな」
クライドは眠っている警備兵にそう言いながら、鍵をかけて中に入る。
「こりゃ酷い。まるで牢屋だ」
クライドは中の様子を見てそう言う。
中は控室とは程遠い牢屋になっていた。
牢の中も生活に必要な最低限の物すら置かれていない。
クライドは銃を構えながら慎重に牢屋の中を確認していく。
「警備の連中はいるなよな……本当はこう言う荒事は苦手なんだからな……」
牢屋の中の闘士は何事かと、クライドを見たり時にはクライドに出してくれと懇願するが、クライドは取り合えず無視して目的のリトルエンジェルを探す。
「この感じ……俺と同じ奴……」
数個目の牢でクライドはそう感じる。
「おいおい……マジかよ。リトルエンジェルとは良く言ったもんだ」
クライドは牢の中を見てそう言う。
牢の中にはまだ年端もいかない少女が閉じ込められていた。
「誰……?」
少女はクライドを見てそう呟く。
その声に感情はない。
白く長い髪に顔は少し汚れているが10歳にも満たないように見える。
その表情にも感情が見られない。
アリスのように無表情と言う訳では無く、目の前の少女には年相応の感情が欠如しているように思える。
「君がリトルエンジェルで間違いないか?」
「……多分」
クライドの問いに少女は小さく頷く。
「まぁ、この際どうでも良い。君の本当の名前があるなら聞かせて欲しい」
まさか、お目当ての相手が年端もいかない少女だとは予想外の事態ではあったが、元よりまともな場所とは思って無かったので、クライドはすぐに頭を切り替える。
「ユーリア」
「ユーリアか。俺はクライド、クライド・アスノだ。それでユーリア……君はここから出たいか?」
クライドがそう言うと少女、ユーリアは少し黙りこむ。
「出れるの?」
ユーリアが考えこんで出たのはその一言だった
「君が望めば」
「……出たい」
ユーリアがポツリとそう言うとクライドは満足そうな顔をする。
「だったら、俺達と来い」
「……うん……分かった」
そして、クライドは牢の鍵を開けるとユーリアを抱きかかえる。
すると他の牢が騒がしくなる。
明らかにマーロッソファミリーの人間ではないクライドがユーリアを解放したため、他の牢に捕らわれていた者たちも解放されることを望みクライドに懇願している。
クライドは近くの牢にユーリアの牢を開けて必要のなくなった鍵を投げ入れる。
「アンタ達も逃げるならそいつで勝手に逃げな」
クライドにとってはここにいる闘士達に助ける理由も無ければ価値も無いが、他の闘士も逃げだせばユーリアを連れ出したことをカモフラージュ出来る上に更に混乱が増し、自分達が逃げる隙も作れると判断したからだ。
クライドはそう言って牢から出て行く。
クライドが出て行くと牢に投げ入れられた鍵で牢に入れられていた闘士達は一斉に逃げ出し混乱は更に増していく。
クライドがユーリアを連れ出した頃、陽動のジゼルも交戦に入っていた。
賭博場の警備の為に配備されていたジラやゼノがマシンガンを持って内壁部に出て来る。
「うじゃうじゃと出て来やがったな、コイツでも喰らってろ!」
ジゼルのジェノアス・キャノンの装備していたガトリング砲を構えるとガトリング砲を放つ。
スノーボードで滑走しながらガトリング砲を乱射し次々と敵機を破壊していく。
「ちっ……弾切れか」
残りの残弾を気にすることなく、ガトリング砲を乱射して為、弾が切れるのも相当速い。
ガトリング砲は予備の弾装を装備していない為、すぐに弾切れを起こした為にジゼルは躊躇わずにガトリング砲をパージするとマシンガンに切り替える。
「レオ! 援護しろ! アタシが突っ込む!」
「はっはい!」
支援ポジションについたレオナールのジェノアス改がキャノン砲を構える。
「落ち着け……」
レオナールは自分にそう言い聞かせて引き金を引く。
ジェノアス改から放たれたキャノン砲の砲弾はジラに直撃してジラの上半身を吹き飛ばした。
「当たった……」
「やりゃ出来んじゃねぇか!」
ジェノアス・キャノンはマシンガンを乱射しながら、ビームランスをゼノに突き刺す。
ビームランスをゼノから抜くとそのまま滑走し、ビームランスを振りまわして周囲の敵機を破壊する。
「テメェらの戦力はこの程度かよ!こんなんじゃアニキに出る幕もなくアタシらで全滅させてやるよ!」
ユーリアを連れたクライドは闘技場内のMSの格納庫に辿りついていた。
「やっぱ、MSはジゼル達のところに回されてるか……」
闘技場のMS格納庫のMSも全てジゼル達の迎撃に投入される為、格納庫はものけのからになっていた。
本来ならここに運良くMSが置かれていればそれを奪い逃げる算段だったが、流石にそこまで上手くはいかない。
「クライド……アレ」
ユーリアは格納庫の一画を指刺すとそこにはピンク色のジラが残っていた。
どう言う訳か、ユーリアが試合で使っていたジラだけは投入されることなく格納庫に置かれている。
「あれは……お前のMSか?」
「うん」
「何で、コイツだけ……」
クライドはジラのコックピットまで登るとその理由を理解した。
このジラのコックピットのシートはユーリアに合わせているため、小さく大人では乗ることが出来ないため、使われることなく残されていた。
「成程ね……ユーリア、頼む」
MSが残っていたのは運が良かったが、マーロッソファミリーのパイロットでは大き過ぎて使えなかったのはクライドでも同じ為、操縦をユーリアに任せた。
「わかった」
ユーリアがシートに座り、クライド何とかシートの後ろに乗り込む。
小さいのはシートだけではなく、コックピット自体もユーリアのサイズに合わせている為、シートの後にいるだけでもクライドの体格では窮屈だ。
「ユーリア、今から指定する場所に向かってくれ」
ユーリアはコクリと頷いてクライドの指示通りの場所に向かう。
闘技場から抜け出した二人を乗せたジラが向かった場所にはガンダムZERO Nとデスドールが待機していた。
「ユーリア、ハッチを開けてくれ」
ハッチが開くとクライドはZERO Nに乗り移る。
ZERO Nはコロニー内でのMS戦を想定しており、ビームライフルのほかにマシンガンを携帯している。
ZERO Nに乗ったクライドはすぐにデスドールとジラと回線を開く。
「こちらがリトルエンジェルですか?」
「そうだ。目的は達した。さっさと逃げるぞ」
クライドはそう言いながらアブディエルに通信を入れる。
「エリーゼ、こっちは終わった。そっちの状況は?」
「こっちはトレーラーを回収して、もうウィンターガーデンを出港しているわ」
「上出来だ。こっちもすぐにコロニーの外に出て合流する。周囲の索敵を忘れるなよ」
「言われなくてもしているわ。周囲に敵影とかはないけど急いでね」
「了解だ」
クライドはアブディエルとの通信を終える。
「聞いての通りだ。すぐにここを出る。ユーリアはコイツを使え」
クライドはZERO Nに装備していたマシンガンをユーリアのジラに手渡す。
ジラは格納庫に置かれている状態では一切の武装がされていないので、敵の追撃を振り切るのにはどうしても武器がなければ足手まといになりかねない。
「ジゼル、レオ、目的は達した。お前たちも適当なところで外に逃げろ」
「分かった。アニキ達も気を付けろよ」
ジゼル達に指示を出していると、ジラを追って来た敵機に囲まれていた。
「囲まれてる」
「だったら、突破するまでだ」
ZERO Nはビームサーベルを抜いた。
そして、出口の方向に進み進路を塞いでいたジラをビームサーベルで両断する。
「UE相手でなくても手加減をするつもりはない」
ゼノはマシンガンを放つが、ZERO Nはシールドで防ぎながら接近してビームサーベルで切り裂かれた。
「凄いMS……」
ユーリアはその様子を見ながらマシンガンを放ちジラを破壊し、ヒートホークでゼノに接近戦を仕掛ける。
ゼノはランスを突き出すが、ユーリアのジラは紙一重でかわしてヒートホークでゼノを破壊する。
「成程……クライド様が欲しがる訳ですね」
アリスのデスドールは高く飛び上がると、脚部に装備している投擲用のヒートナイフをマニピュレーターの指に挟んで空中で機体を回転させて投擲する。
UEの装甲には効果がなかったが、ジラやゼノの装甲には有効で投擲されたヒートナイフは正確に敵機のコックピットに突き刺さった。
地面に着地したデスドールは格闘戦用のヒートナイフを両手に持ってジラに接近する。
ジラはマシンガンで応戦するも雪の上とは思えない機動性能で左右に振ってかわして、接近するとヒートナイフでジラの腕を切り落として、もう片方のヒートナイフをジラの胸に突き刺す。
「レオ!掴まれ!」
ジゼルのジェノアス・キャノンはクライドの指示で撤退を開始する。
ジェノアス・キャノンはレオナールのジェノアス改を掴むとボードの後ろに乗せて滑走する。
「アタシ達はこのまま先にコロニーの外に出るぞ」
ジェノアス・キャノンは腰に装備されているミサイルを放ち、前方のジラを破壊して突き進む。
進んでいるとコロニーの外壁が見えそこから外壁に繋がる道がある為そこに入る。
内壁と外壁の間には雪はないため、ボードを乗り捨てるとランドローラーでコロニーの外まで逃げる。
「どうやら、ジゼルとレオは無事に逃げたみたいだな」
ZERO Nはジラを切り捨てて、ジゼルとレオナールが無事に逃げた事を確認する。
「後は俺達だけだ。ユーリア、アリス、俺達も逃げるぞ」
ジラとデスドールは先の二機とは別の場所から外壁の中に繋がるダストから外の出る。
「コイツはおまけだ。とっとけ」
ZERO Nはシールドについているミサイルを雪山に放つ。
雪山の頂上付近にミサイルは着弾して、雪山の雪が一斉に崩れおちる。
「これで俺達を追って来れまい」
雪崩が起きるのを見届けるとZERO Nもダストに飛び込む。
ウィンターガーデンから離れた宙域に二隻の暗い緑色をした戦闘艦が駐留していた。
その外見は連邦軍の物でもなければ、パラダイスロストの物でもない。
「戦闘が起きているか?」
その戦闘艦のブリッジに当たる場所で赤い逆立った髪の男がそう言う。
「みたいね」
それに金髪で透き通るような白い肌をしている女が答える。
そのブリッジにはその男女の他にも複数の者がいるが、その二人以外は黒いマントに仮面をしている。
「それで、ブラッド……どうするつもり?」
「ビンビン来る」
ブラッドと呼ばれた楽しそうに男はそう言う。
逆に女の方はブラッドの抽象的な言い方に訳が分からないと言う表情をしている。
「ビンビン来るんだよ。セリア……あそこに俺と同類が居る」
「例の少女?」
ブラッドが自分と同類が居ると言う為、セリアは自分達がここに来た目的の少女を思い出す。
「違うな……この感じはその程度の雑魚じゃない。俺と同等の力を持った奴がいる」
「ブラッドと?まさか……」
セリアはその言葉を素直に信じられない。
ブラッドは彼らの所属している組織の中でもトップクラスのXラウンダー能力を持ち、それと同等の能力者が居るとブラッドは言う。
つまり、その者も相当なレベルのXラウンダーと言える。
すると、コロニー内部から数機のMSが出て来るのが映される。
「あのMS……確か、サマーウォールでガフランを三機も落とした機体ね……ガンダムに似ているらしいわね」
「ガンダム?」
「昔の戦争で活躍したMSの事よ」
セリアがそう言うと、ブラッドはガンダムZERO Nを見て面白に笑う。
その目はまるで獲物を見つけた肉食動物のようにギラ付いている。
「コイツだ。コイツの乗っている奴だ……コイツから感じる。コイツとなら最高の戦いが出来る……ゼダスで出る」
「良いの?ゼダスは……」
「アイツのお下がりなのは気にいらねぇがガフランでどうこう出来る相手じゃねぇだろ。だから、ゼダスで出る。文句は言わせぇ」
ブラッドはそう言いブリッジから出て行く。
「どうします?」
仮面の男の一人がセリアに尋ねる。
「構わないわ。私もバクトで出るわ」
どの道、ブラッドの言う事が正しいなら、ブラッドが出なければ相手は出来ない可能性が高い。
セリアもそう言いブリッジを後にする。
「ブラッド、貴方はまた……パイロットスーツを着たらどうなの?」
船の格納庫に来たセリアはブラッドを見てそう言う。
セリアはパイロットスーツに着替えてきたが、ブラッドは着替えていない。
そして、格納庫にはガフランが何機もおかれている。
彼らこそがUEと呼ばれる組織の構成員にあった。
「知るか。俺がやられる訳がないんだ。必要ないだろ」
一般的にパイロットスーツは機体が撃墜された時に機体を捨てて生身で宇宙空間に出た時の生命維持の役目があるが、戦闘でやられる気のないブラッドは無用だと良いパイロットスーツを着た試しがない。
ブラッドはそう言ってゼダスに乗り込む。
ブラッドが乗り込んだMSはXラウンダー用に開発された高機動可変型の『ゼダス』だ。
通常のゼダスはダークグレーとブラウンだが、このゼダスは機体の全体を赤で塗装されている。
そんなブラッドにため息をつきながら、セリアも重装甲型のMS『バクト』に乗り込む。
「ガンダムか……この俺を楽しませてくれよ!」
戦闘艦から赤いゼダスは出撃し獲物へと向かっていく。