ブリッシュ公国のクーデター軍の放った一撃により、地球連邦軍総司令部ビッグリングや連邦政府は大混乱に陥っていた。
その一撃はビッグリングを大きく逸れて、直接的な被害はなかったがその時に観測されたエネルギー量から計算されたビームの威力はビッグリングの外壁を易々と破壊し、一撃でビッグリングを壊滅させる程であった。
つまり、彼らはビッグリングから遠く離れたところから一撃でビッグリングを落とすだけの兵器を持っていると言う事を見せつけたのだ。
その後、ローレンス・レミントンから連邦政府に対して、ブリッシュ公国が正式に連邦に加盟するとの文書が送られた。
しかし、その代りに連邦政府に対して理不尽とも言える要求を突き付けて来た。
普通なら、そんな要求を受けてまでブリッシュ公国を連邦に迎え入れる価値はないが、巨大なビーム砲の威力を見せ付けた後では事情が違ってくる。
もしも、受け入れを拒否すれば、あの巨大ビーム砲でビッグリングを破壊しようとすることは明白だ。
その為に威力を見せ付けた事は誰の目にも明らかである。
「私はブリッシュ公国を連邦政府に対する敵性国家と断定するべきだ」
ビッグリングのブリーフィングルームでフリットはそう言う。
ブリーフィングルームにはすぐに集まれる連邦軍の将校や、モニターには地上の政府の首脳陣が対策を会議している。
その中でフリットはブリッシュ公国を連邦の敵と判断すべきと主張している。
だが、軍人達はフリットの意見を大方は支持しているが、官僚達余り反応は良くない。
フリットの言う通りにブリッシュ公国を敵として行動すれば確実にあの兵器を使われる事は明白だ。
その為、それを恐れている。
「しかしだな……アスノ司令、彼らは連邦に加盟たいと言って来ているのだよ」
「連中はヴェイガンと繋がっているとの情報もある。そんな連中の事など、信用出来ません」
それ以前に加盟したいと言って来る前に強力な兵器の威力を見せ付けている相手の事など信用することなどとてもできない。
だが、目の前の首脳陣は自分達の命欲しさにその辺りの事を考えないようにしているように見える。
「ですが、現実問題として彼らの要求を無視ますと、あの兵器を使って来ます」
「ルエーガー副局長、あの兵器に関する情報はどうなっている」
フリットは不在のクライドの代わりに会議に呼ばれたクラリッサに巨大ビーム砲に関する報告をさせる。
クラリッサはモニターの前に移動すると前持って用意していた資料を映す。
「この巨大ビーム砲……この兵器は廃棄される予定のコロニーを再利用して作られていると思います。我々はこの兵器を便宜上、コロニーレーザーと名づけました。このコロニーレーザーの威力はフォトンブラスターキャノンの威力を大幅に上回り、射程はあの位置からでもビッグリングは当然事、下手をすれば地球上の拠点に対しても攻撃が可能である可能性もあります」
その説明に地上にいる官僚達もざわめく。
彼らは地上に居れば、宇宙での防衛線が破られない限り、ヴェイガンの脅威もないと考えているため、防衛線を突破することなく自身達の安全を脅かす兵器がそこにある。
それは今まで、戦時中にも関わらず地上に居れば絶対に安全だと言う前提を覆してしまった。
「副所長、コロニーレーザーの次発はどのくらいと予測される」
「正確な時間は分かりません。ですが、最短で数時間……最長で数日と言ったところです。この場合は最短の数時間と考えた方がよろしいかと……」
「つまり、我々の命は敵に握られていると言っても良い。奴らの要求を受け入れて今回はやり過ごせたとしても、我々は常に奴らに命を握られていると言う事です」
すでにフリットの言い方はブリッシュ公国を敵と確定しているが、官僚達は自分達の身の危険を感じており気づいていない。
「幸い、私達の特別技術開発研究所所属の戦艦がブリッシュ公国の付近でテストを行っています。その戦艦でコロニーレーザーを強襲し次発が放たれる前にコロニーレーザーを破壊すれば当面の危機は去ります」
自分達に迫った危機に見えた一筋の光に官僚達の眼の色が明らかに変わった事をフリットは見逃さない。
「その後、すぐにブリッシュ公国の制圧の為の部隊を編成し、武力制圧にかかります」
「アスノ司令、何としても奴らの暴挙を阻止して欲しい!」
「では、今回の一件は私に一存して貰えますか?」
「構わん。好きにしてくれ」
官僚達の許可が出たところで官僚達を宥めて会議が終わる。
「皆、聞いての通りだ。すでに私の方で制圧の為の部隊を編成し、アルグレアスを向かわせている」
これは出まかせだが、クライドがブリッシュ公国に向かったのは恐らくはコロニーレーザーの事を知っての事だろう。
つまり、あのフリットに借りた兵はその為に使うと考えられる。
将校達もここ数日でフリットの右腕とも言えるアルグレアスがいない事にすでにフリットが水面下で動いていたためであったと納得している。
実際、先程の会議は官僚にブリッシュ公国に対する武力行使の許可を得るための出来レースだった。
事前にクラリッサと会議の内容を打ち合わせして、官僚の恐怖心を煽っていた。
その結果、官僚達は許可を出したため、これで軍を派遣しても国際問題となった時は事実を隠蔽し尻ぬぐいは政府がやってくれる。
その辺りは政府の得意分野であるのは火星移住計画の失敗した時から変わっていない。
「各自は落ち着いた対応してくれ」
フリットがそう言い、各将校達はすぐに各方面に状況の伝達を始める。
「まさか……あんな物を隠し持っていたか……」
マリオンはコロニーレーザーと名づけられた巨大ビーム兵器を見てそう言う。
マリオンもローレンスの強気な姿勢の裏に何かあるとは考えていたが、まさかコロニーサイズのビーム砲を隠し持っていたのは予想外だ。
「我々の見解としましては、あの兵器はコロニー国家間戦争時に開発された物である可能性が高いと言う事です」
「そんな事はどうでも良い。アレがあればビッグリングを落とす事も容易い。アレはもう一度使えると思うか?」
コロニーレーザーの作られた時代の事よりもマリオンはアレを使えるかの方が重要だ。
先の一撃は連邦軍の総司令部を落とすに十分な威力で敵の防衛網の外から超長距離砲撃を行う事が出来る。
「一度詳しく解析して見たいと分からない事には……」
連邦軍よりも進んだ兵器開発技術を持っているヴェイガンの技術者でも流石にコロニーレーザーを映像越しで見ただけでは限界がある。
「ならば、詳しく解析出来れば良いのだな?」
「まぁ……そうですね」
「マリオン司令……まさか、アレを!」
技術者の報告を聞いていたメデルもマリオンのやろうとしている事に気がつく。
恐らくマリオンはコロニーレーザーを奪取するつもりだ。
「無論だ。連邦もアレの奪取に乗り出して来るやも知れん。アレを連邦の手に渡らせる訳にはいかんだろう」
コロニーレーザーの射程は長く、下手をすればヴェイガンの拠点のある火星圏への攻撃も火星圏に来る事なく超長距離砲撃を行う事が可能かも知れない。
そうなれば、ヴェイガン全体に対する脅威となりえる。
「連邦も動く。余りこのような手を使いたくはないが、手段を選んでいる時ではない」
本来なら、マリオンは絡み手よりも正攻法な戦い方と望むが、ヴェイガン全体の危険になる可能性を野放しにすることは出来ない。
その為、今回ばかりは姑息な手を使わざる負えない。
「コロニーレーザー?」
「そっ、こっちではアレをそう命名したんだよ」
ブリッシュの港に停泊していたグノーシスはようやくクライドと連絡をつける事が出来ていた。
エリーゼも現状をクライドに報告するが、すでにクライドの方でもある程度は把握しているらしい。
「コロニー国家間戦争時に製造された巨大兵器……まさか、あんな物が残されていたなんてね。驚きだ」
「それで軍の動きはどうなっているの?」
「軍はブリッシュ公国を正式に連邦政府に対する敵性国家と判断し、武力行使を行う事を決定した。すでにブリッシュ公国制圧の為の部隊を編成して動かしている」
「待て! クライド、アレはローレンス・レミントンと裏切り者達が勝手にやった事だ!ヒルデガード様や国の総意ではない!」
通信を聞いていたルイーズが割り込み、そう言う。
だが、クライドはルイーズの抗議を面倒臭そうに返す。
「お前んとこの姫さんの意思は関係ないんだよ。こっちは正式な文書で脅迫を受けてるんだよ。その脅迫が冗談じゃないと言う事を分からせるような恫喝まで貰ってるしな」
連邦政府としてはクーデターを起こした相手かどうかは関係ない。
ローレンスはブリッシュ公国の代表として正式な文書で要求を送りつけて来た以上、それはブリッシュ公国の総意と言う事になってしまう。
「すでに軍が動きブリッシュ公国の制圧部隊を編成している。その部隊でブリッシュ公国の武力制圧に入る。エリーゼ達はそれまでにコロニーレーザーを破壊してくれ」
「私達だけで?」
「増援を寄こしている時間がないのは分かるだろ?」
すでにコロニーレーザーの一射目からかなりの時間が経っている。
最悪、すでに次発を撃てるようになっているかも知れない。
「最低でもコロニーレーザーの完全破壊は出来なくても当分の間は使えないようにしてくれれば良い」
コロニーレーザーの基本的な設計データはすでにクライドが父より受け継いだデータディスクに記されているため、無理に手に入れるいつ用はない。
状況的にコロニーレーザーを奪取するの手間と奪取した時のメリットを考えれば無理に奪取にかかれば無意味にグノーシス搭載機を失う可能性もある。
「簡単に言うわね」
「俺の作ったゼロなら可能だ」
クライドの相変わらず自分の作ったガンダムZEROに対する自身にエリーゼは呆れるも、確かにクライドの言う通りガンダムZERO Ⅲαの装備ならば完全に破壊とまではいかなくとも当面の間、コロニーレーザーの使用を出来なくすることは可能かも知れない。
「クライド……連邦軍が来る前に事を抑えて文書を送り付けたローレンス・レミんトンの首を差し出せば事は収まるのか?」
「どうだうな……まぁ、最低限の賠償を要求することになるかも知れんが、戦争は避けられるだろうな」
「ならば、我々のコロニーレーザーの破壊に協力しよう。恐らくは奴も防衛のためにコロニーレーザーにいるだろうかな」
「国の為に実の父を売るのか?」
「裏切り者の事などどうでも良い」
ルイーズはそう言い切る。
彼女にとっては王と裏切ったローレンスをすでに父とは思っていない。
その辺りはクライドには理解出来ない。
クライドなら連邦と家族を天秤にかけた時は一瞬で家族に傾くだろう。
だが、クライドにとってはルイーズがローレンスをどう思おうとも関係ない。
コロニーレーザー破壊の戦力としては使える。
「まぁ、軍が到着する前にケリをつけてローレンス・レミントンの身柄を引き渡せば何とかなるかもな。その辺りは任せる」
クライドはそう言い通信を終える。
「聞いていた以上に人が悪い様だ。アスノ局長」
通信を終えたクライドにアルグレアスがそう言う。
すでにアルグレアスの指揮下の艦体がブリッシュ公国に入り、コロニーレーザーの付近で展開して待機している。
その為、連邦軍が介入する前に収める事は不可能と言っても良い。
「俺は嘘は言ってない」
確かにクライドは嘘は付いていない。
実際に連邦軍はブリッシュ公国制圧の為の部隊を編成している。
ただ、それがすでに到着しいつでも制圧に乗り出せる事を話していないだけだ。
無論、アルグレアスもクライドが伝え忘れたなど思ってはいない。
「ですね。我々もグノーシスに合流しますか?」
「いや……俺達はタイミングを見計らって介入する」
元より、コロニーレーザーの攻略戦の前半はグノーシスとルイーズ達に頑張って貰う予定だ。
コロニーレーザーにはブリッシュ公国のほぼ全戦力が集まっている。
フリットの用意した艦隊を使っても自軍に被害が出るのは間違いない。
その為、ある程度はルイーズ達に押し付けるつもりだ。
そして、自分達はルイーズ達が敵を消耗させたところで動き、一気にコロニーレーザーを破壊する手筈だ。
「恐らく、ヴェイガンもコロニーレーザーの奪取に動くだろう。付近の索敵を厳重にしておけ」
クライドは後をアルグレアスに任せて、ブリッジを離れる。
その後を、アルグレアスも一通りの指示を出すとクライドを追いかける。
クライドがブリッジを離れて、人気のない通路にまで行ったところでアルグレアスもクライドに追いつく。
「一つ窺ってもよろしいでしょうか?」
アルグレアスは兼ねてからの疑問に思っていた事を作戦の前にクライドに尋ねるために後を追って来たらしい。
「今回の任務……局長自ら前線にまで出て来るような物には思えません」
コロニーレーザーは確かに脅威的な兵器だが、言ってみれば巨大なビーム砲に過ぎない。
そのコロニーレーザーにクライド自ら出向くのには違和感がある。
コロニーレーザーのデータ収集が目的でもクライド自ら動かずとも優秀な技術者は特研には揃っている。
つまり、クライドには自ら来るだけの理由があるとアルグレアスは考えている。
「簡単な話だ……俺は直接あの国を潰したい。それだけだ」
「局長は余程あの国が嫌いのようですね」
自ら前線にまで出向いて潰す辺り、クライドは相当ブリッシュ公国を嫌っているとアルグレアスは思うがどうも違うようだ。
「少し違うな……俺はガキの頃、父の仕事についてあの国に行った事がある。その時にある事が起きた」
「ある事ですか」
「そうだ。当時の俺はまだ小さいガキだったが、それでもアスノ家のMS開発技術を少しつづ勉強し始めていた。つってもMS開発の基礎の基
礎程度だったけどな。そんな時にな……あの女、ルイーズは俺に言ったんだよ。『そんな事をするよりも体を動かせ』ってな。俺にとってはそれはとても許せる事じゃなかったんだよ」
「そんな事で……」
アルグレアスはそこまで言うと自分の失言に気づくが、クライドは大して気にした様子もなく続ける。
「まぁ、そうだよな。俺もそう思う。けどな……ガキだった俺にはその一言はアスノ家の全てを否定されたように思えた」
クライドは幼少期からアスノ家の跡取りとしてMS開発の勉強をさせられて来た。
クライド自身、アスノ家を継ぐ事は苦でもなく、寧ろ継ぐ事を望みそれだけに全てを費やそうとしたと言っても過言ではない。
幼いルイーズの何気ない一言はクライドにとってはアスノ家の全てを否定されたように思えたのだ。
「俺は恩や借りは自分の都合で忘れる事はあるけど、恨みは例え何十年経とうと相手が忘れようと決して忘れない。いつまでも覚えて隙あらば何倍にも利子をつけて返してやる」
そう言うクライドにアルグレアスはクライドならやりかねないと思い恐怖を抱く。
「まっ、それだけじゃないえけど、聞きたいか?」
「……いえ、余り知り過ぎて後で消されたくはないですからね」
アルグレアスはこの数日の航海で何度もクライドと打ち合わせをしてある程度はクライドの事を理解して来た。
クライドにとって自分の以外の他者は4つ程に分けられる。
一つ目は身内だ。
それはフリットやエリアルドのように血縁者や、エリーゼの様な配偶者をはじめとし、仲の良い友人も入るだろう。
その身内に関してはどんなリスクと背負う事になってもクライドは動くだろう。
二つ目は自分にとって有益な相手だ。
クライドにとって有益であるため、利益がリスクを上回らない間なら多少は動いてくれるだろう。
三つ目は敵だ。
それはヴェイガンだけでなく、クライドにとって邪魔な存在、嫌いな相手の全て含まれる。
今回のように昔に恨みを買っただけでもいずれは手ひどい仕返しがされるだろう。
最後の四つ目はどうでも良い奴だ。
目の前で虐殺されようとも、クライドは顔色一つ変えないだろう。
意味もなく危害を加える事もないが、意味さえあれば躊躇う事なく危害を加えるだろう。
アルグレアスは今はフリットに目をかけられているため、二つ目に入れられていると自負しているが、いつひょんな事で二つ目や三つ目に入れられるか分かった物ではない。
その為、それ以上の事は聞かない事にした。
今回の任務は8割方は出来レースであり、任務の後はアルグレアスはこの一件の口止めと口裏合わせとして中佐への昇進がすでに確定している。
余り余計な事を聞いて後で知り過ぎたと消されるなどは御免だ。
クライドの指示通りに動くだけで昇進出来るのだ、下手にクライドを刺激する必要もない。
「賢い選択だ。フリットが目にかけるのも分かる。そう言う奴はいずれは出世するな」
クライドはそう言い残して自室に戻り、アルグレアスは思っていた以上に面倒な事になったと人知れずため息とつく。
クライドからコロニーレーザー破壊の命令を受けてブリッシュではその準備に取り掛かっている。
王宮に駐留していた、ウルフ隊もグノーシスへの帰還の準備と共にコロニーレーザー破壊の為の準備が進められている。
「エリアルドさん」
自分の機体をトレーラーに積み込み、他の機体と共にグノーシスに移送する準備を整えたエリアルドの元にヒルデガードがやって来る。
ヒルデガードはガンダムのパイロットであるエリアルドの事をかなり気に入り、時間があれば話を聞きに来ていた。
エクティスを出てからはまともに話しておらず、すぐに次の作戦に向かう為、エリアルドと話す機会はこれで最後かも知れないと思いヒルデガードはエリアルドの元にやって来た。
「少しお時間を頂けますか?」
「まぁ……少しなら……」
移送まで少し時間があるため、エリアルドはヒルデガードをトレーラーのパイロット用の待機室に通す。
待機室に通されたヒルデガードは待機室自体が珍しいのか、辺りをキョロキョロと見ながら椅子に座る。
「それで俺に話と言うのは?」
「エリアルドさんはこの国をどう思いますか」
エリアルドはブリッシュ公国の事を一般的な情報でしか知らず、今回も観光をした訳でもない為、答えようがない。
そんな様子を見ていたヒルデガードが話だす。
「私はこの国に必要な存在なんでしょうか……この一件でそう思うようになりました」
ローレンスの様なヒルデガードの祖父の時代から国に仕えて来た騎士のクーデターやそれに加担した騎士の数。
クーデターが起き、王が不在でもこのブリッシュは混乱も起きる事なく少し前に戦闘があった以外はいつもの日常が続いていたと潜伏していたメルヴィンから聞いている。
それを知ったヒルデガードは王である自分がいなくても国は動いている事から、この国に本当に自分が必要だったのかと思ってしまう。
その事をエリアルドは黙って聞いている。
「俺はこの国の人間じゃないから、詳しい事は知らないから分からない。だけど、ルイーズさんやメルヴィンさんは君に為に戦ってるんだ。少なくともあの人達は君の事を必要としている。それだけは言える」
クーデターが起き、追われる立場となってもルイーズはヒルデガードを守り、メルヴィンも逃亡しながらも情報を集めていた。
それはクーデターを鎮圧する為、ヒルデガードの為である事はエリアルドも十分に分かる事だ。
「エリアルドさん……」
「そろそろ、俺達も母艦に戻らないといけないけど、余り思いつめない方が良いと思う」
ヒルデガードは王宮に残るため、トレーラーを降りて、ウルフ隊のMSを積んだトレーラーはグノーシスへと戻っていく。
コロニーレーザーの攻撃から十数時間が経過し、コロニーレーザーの周辺にはクーデターを起こしたクーデター軍が防衛線を敷いている。
その数はキャヴァリアー級戦艦が10隻以上、MSも100機を超え、ブリッシュ公国の総戦力の大半が集まっていると思われる。
そして、その防衛線にグノーシスが接近している。
周囲にはルイーズ達のキャヴァリアー級の戦艦が数隻付いている。
「艦長、敵防衛線を補足」
「MS隊の出撃をお願い。シドウ隊にはウルフ隊が敵防衛線を突破するための道を切り開かせて」
「了解しました」
グノーシスからMSが射出されて、キャヴァリアー級からもルイーズ専用のナイトルーパーⅤをはじめとしたMSが射出され、コロニーレーザーをめぐる戦いが開始される。
グノーシスからはシドウ隊の4機のMSが射出され、作戦の要であるガンダムZERO Ⅲαはギリギリまで温存するためにGバウンサーとアデル改と共にカタパルトで待機させている。
出撃したシドウ隊のMSの中で最も高い機動力を持つシャルロットのRGライダーがストライダー形態に変形し、背部にユーリアのジェノバースを乗せて敵陣に切り込む。
ソードライフルとビームガンを連射して敵陣に切り込むとジェノバースがRGライダーの背から降りて、スーパードッズライフルを放つ。
敵陣に切り込んだ事でナイトルーパーⅣの集中砲火を浴びるが、2機は回避し反撃する。
「砲撃行きますよ!」
その後方ではレオーネのRGキャノンがハイパードッズランチャーを構えいる。
RGキャノンがハイパードッズランチャーを放ち、ジェノバースとRGライダーは射線上から離れ、射線上のナイトルーパーⅣはその一撃で破壊されていき、キャヴァリアー級の戦艦を轟沈させた。
RGキャノンの一撃で敵防衛線に穴が開くがすぐにその穴を埋めるようにナイトルーパーⅣがやって来る。
そして、高火力を持つRGキャノンを落とすためにナイトルーパーⅣが大型ランスのマシンガンを連射を連射して接近戦に持ち込もうとするが、その間にシドウのRGブレイドが割り込みドッズライフルでナイトルーパーⅣを撃墜する。
「悪いがここは通さん」
RGブレイドは腰のシグルブレイドを抜いて、RGキャノンに取りつこうとするナイトルーパーⅣを両断する。
その後ろのRGキャノンもハイパードッズランチャーをチャージする間に肩のアーマーに内蔵されているミサイルやバックパックのビームガンでRGブレイドを援護する。
「後は隊長とレオーネに任せれば良い。私達はウルフ隊が抜ける穴を開ける」
ジェノバースはスーパードッズライフルを放ち、バックパックのドッズファンネルを射出する。
ナイトルーパーⅣはドッズファンネルに対応しようとするも、小さい上に小回りの効くドッズファンネルの動きに対応しきれずにドッズファンネルに四方からの攻撃を受けて破壊される。
ナイトルーパーⅣを破壊したドッズファンネルはすぐに別のナイトルーパーⅣに向かい、ナイトルーパーⅣは大型ランスのマシンガンで応戦するが、ドッズファンネルに気を取られ過ぎたせいでジェノバースの接近に気付くのが遅れ、ジェノバースのシールドに装備されている折り畳み式シグルブレイドで胴体から真っ二つに両断される。
「了解」
RGライダーはストライダー機体に変形し脹脛に内蔵されているミサイルを一斉掃射する。
放たれたミサイルで敵はマシンガンを連射しながら、散開しRGライダーはビームガンを連射する。
ビームガンの威力は小さい為、重装甲のナイトルーパーⅣには致命傷を与える事は出来ないが、それでも直撃すれば無傷と言う訳ではない。
ビームガンの直撃で損傷したナイトルーパーⅣをジェノバースがスーパードッズライフルで撃墜する。
前線の2機で戦場の中央がかき乱されているところにRGキャノンのハイパードッズランチャーの二射目が横切る。
その射線上にいたナイトルーパーⅣはことごとく破壊され、戦場の中央に大打撃を与えた。
「そろそろ、俺達の出番だ。気を引き締めろよ」
「うっす」
「了解」
ブリッジから聞こえて来る戦況から、ウルフはそろそろ、自分達を出撃させるタイミングだと予想しており、その予想通りブリッジからウルフ隊の出撃命令が出される。
「エリアルド、お前は俺とアルベルトでエスコートする。お前は敵を落とす事よりも、あのデカブツに辿りつく事だけを考えろ」
「分かりました」
今回、ガンダムZERO ⅢαはガンダムZEROのジェノサイドアーマーを発展させた、ブラスターアーマーを装備している。
ブラスターアーマーはジェノサイドアーマー同様黒い砲戦用のアーマーだ。
武装は通常装備に加えて、バックパックにRGキャノンと同じハイパードッズランチャーを装備し、両肩のアーマーには至近距離用のショートドッズキャノンが2門と小型ミサイルが内蔵されている。
全身には小型ミサイルの内蔵された追加装甲を装備し、重装甲高火力の装備となっている。
そして、今回の作戦の要の装備であるフォトンブラスターライフルがバックパックに装備されている。
フォトンブラスターライフルはディーヴァに搭載されているフォトンブラスターキャノンをMSの火器に転用した装備だ。
まだ、実験段階であるため、実用化には程遠いがその威力はMSの火器としては破格の威力を持つ。
その半面、一発撃てばライフルの大々的なオーバーホールが必要となり、この戦闘で使えるのは1度限りだ。
その一撃でコロニーレーザーに大打撃を与える事が出来なければこの作戦の難易度は各段に上がる。
だからこそ、ギリギリまでウルフ隊を温存させている。
「分かってれば良い。ウルフ隊、出るぞ!」
ウルフ隊の3機はサブフライトシステムに乗り射出され、シドウ隊の戦闘で混乱している中央からコロニーレーザーへと向かう。
「なかなかやるじゃないか」
ルイーズはグノーシスの4機の戦闘を見てそう言う。
当初は4機のMSで中央を開けるのは無理に思えたが、言うだけの事はある。
ルイーズはシドウ隊の戦闘を見ながらも敵機を落とす。
ルイーズのナイトルーパーⅤは専用のカラーリングで朱色の塗装がされている。
「だが……あの男は戦場に出て来ていないのか?」
中央や自分の担当している戦場にはローレンスのMSらしき敵はいない。
「しかし、いずれは出て来る筈だ。その時は私がケリをつける」
ルイーズは改めてローレンスを撃つ覚悟を決めながら、腹部のドッズキャノンでキャヴァリアー級戦艦を撃沈する。
コロニーレーザーは元々はコロニーであった物を兵器へと改造した物であるため、コロニーレーザーの内部にコロニーレーザーの管制室やMSの格納庫もある。
その格納庫には予備戦力のナイトルーパーⅢが数機と1機のMSが置かれていた。
そのMSはツインアイに全身を騎士を思わせる装甲や装飾がされている。
このMSこそ、かつてクライドが先代の王であるグレアム・ブリッシュの為に開発したMS「ペンドラゴン」だ。
ペンドラゴンは開発当時に試作されいたガンダムZERO Ⅱ(ツヴァイ)の予備フレームを流用し、最新の技術を多く使い開発さている。
その為、非常に高い機体スペックのMSとなっている。
武装は左手に大型シールドを装備し、右手には大型のビームランスを持っている。
頭部にはバルカン、腹部にはビームキャノンを内蔵し右腰には必要以上に派手な装飾のされたヒートソードが装備されている。
ブリッシュ公国の象徴にする為のMSとして開発されたペンドラゴンはブリッシュ公国の防衛でグレアムが駆り戦果を上げて来た。
そのペンドラゴンにローレンスが搭乗している。
「行くのか」
管制室から、エイブがそう言う。
「ああ……連邦軍の動きが早い。恐らくは裏にクライド・アスノがいるだろう。こうなっては我らに勝機はない」
すでに連邦軍が近くまで部隊を派遣している事はすでにローレンス達も知っている。
ヴェイガンを語る何者かに生産プラントを破壊された以上、長期戦は出来ずコロニーレーザーも一撃撃つのがやっとの状態であった為、二射目にはまだ数日かかる。
その時間を連邦政府の会議で潰してくれるか、コロニーレーザーの威力に命惜しさにこちらの要求を飲んでくれればよかったが、ローレンスもビッグリングの司令官のフリットの事は話に聞いている。
そのフリットが武力に屈することは考え難い為、会議で時間を潰してくれる事を願うが、その願いは届く事は無かった。
「ならば、当初の予定通りに行動するしかあるまい」
すでにクライドとの繋がりと絶ってしまったため、今更かも知れないが当初の予定通りに行動するしか残された手段はない。
「エイブ達はすぐにレオパルドを破棄し、投降しろ」
「部下はそうさせるが、ワシはここに残らせて貰う」
「正気か?」
「無論じゃよ。お前が騎士として忠義を全うするなら、ワシは技術者として国に忠義を全うするだけじゃ」
「そうか……」
自分がすでに覚悟を決めているのと同じで、エイブの覚悟も強い事を悟るローレンスはそれ以上何も言わない。
そして、ローレンスはペンドラゴンにて出撃する。
グノーシスを出撃したウルフ隊はシドウ隊の援護の元、敵防衛線を中央突破にかかっている。
ウルフ隊の3機はサブフライトシステムを使い前方の敵をエリアルドのガンダムZERO ⅢB(ブラスター)がスーパードッズライフルと両肩のショートドッズライフルで落とし、左右からの敵をウルフのGバウンサーとアルベルトのアデル改がドッズライフルで迎撃している。
「ちっ……うじゃうじゃと」
GバウンサーはドッズライフルでナイトルーパーⅣを破壊し大型ランスを突き出して来たナイトルーパーⅣの一撃をかわして、シールドに装備されているシグルブレイドの一閃で両断する。
「エリアルド! 止まらずに突っ込め!」
「分かってます」
ガンダムZERO ⅢBの正面の敵をアデル改のドッズキャノンとGバウンサーのドッズライフルで撃破しガンダムZERO ⅢBは先に進む。
それでも敵も黙ってウルフ隊を通す訳もなく、ナイトルーパーⅣはウルフ隊を止める為に大型ランスのマシンガンなどで足であるサブフライトシステムを狙おうとするも、ジェノバースとRGライダーに阻止される。
「悪いけど、邪魔させて貰うから」
「私達が相手」
ジェノバースはスーパードッズライフルを連射して、ウルフ隊の進路を塞ごうとするナイトルーパーⅣを牽制し、足を止めたところをRGライダーがソードライフルで切り裂く。
ウルフ隊の背後からの敵をジェノバースとRGライダーに任せてウルフ隊は防衛線を突破にかかる。
RGキャノンの砲撃支援もありウルフ隊は防衛線を突破すると、Gバウンサーとアデル改はサブフライトシステムを乗り捨てて反転する。
「後ろは俺とアルベルトが抑える。お前はデカブツを破壊して来い!」
「任せたぜ!」
「了解!」
Gバウンサーとアデル改はドッズライフルでガンダムZERO ⅢBを追撃する敵MSを牽制し、エリアルドはコロニーレーザーへと急ぐ。
防衛線を突破したエリアルドだが、その前に予備戦力としてコロニーレーザーに駐留していたナイトルーパーⅢの相手をしている。
ナイトルーパーⅢはビームライフルやバズーカでガンダムZERO ⅢBに集中砲火を浴びせる。
ガンダムZERO ⅢBはサブフライトシステムを乗り捨てて盾の代わりに使った。
機体の代わりに敵の集中砲火を浴びる事となったサブフライトシステムは破壊されるが、ガンダムZERO ⅢBはスーパードッズライフルでサブフライトシステムの爆発でガンダムZERO ⅢBを見失ったナイトルーパーⅢを破壊する。
「後少しだ……」
すでにコロニーレーザーの近くまで接近しているため、サブフライトシステムがなかろうと差ほど時間がかからないが、エリアルドは強
い敵が接近している事を感じる。
「アレか!」
ガンダムZERO ⅢBはその気配のする方向にスーパードッズライフルを放つ。
「良い感をしているな」
そこにはローレンスのペンドラゴンがいる。
ペンドラゴンはビームをかわしてビームキャノンで反撃し、ガンダムZERO ⅢBはシールドで防ぐ。
「あれは……大将機か!」
すでにルイーズから敵の大将機としてペンドラゴンのデータがグノーシスのMSにも渡っている為、すぐに識別が出来る。
ガンダムZERO ⅢBはペンドラゴンをスーパードッズライフルで牽制しつつも、コロニーレーザーへと向かう。
「成程……あくまでも狙いはレオパルドか……」
ペンドラゴンはビームをかわしながらガンダムZERO ⅢBに接近しビームランスを振るう。
ガンダムZERO ⅢBはその一撃をかわして、ショートドッズキャノンで応戦する。
ペンドラゴンはシールドで防ぎ、ビームキャノンを放つ。
ガンダムZERO ⅢBはシールドで防ぐが、今度は防ぎ切れずにシールドが破壊される。
「その程度か! ガンダム!」
ペンドラゴンがビームランスを構えて突っ込んでくる。
ビームランスの一撃をガンダムZERO ⅢBはかわすが、すぐに二撃目を振るい、左手でビームサーベルを抜いて受け止める。
「強い!」
「感も良い。反応速度も良い。とっさの判断力も良い。後数年も経験を積めば良いパイロットになるだろう……だが!」
ペンドラゴンはガンダムZERO ⅢBを蹴り飛ばして、ビームランスで何度も突きを繰り出す。
ガンダムZERO ⅢBはビームサーベルで突きといなすが、機体の装甲を掠めて無傷と言う訳ではない。
「フォトンライフルだけでも……」
エリアルドは多少の損傷を受けてでも今回の作戦の要であるフォトンブラスターライフルだけは死守しようとしているが、このままではフォトンブラスターライフルだけが無事で機体の方が先に破壊されてしまう。
「その背負っている武器が切り札と言ったところか……」
ガンダムZERO ⅢBはビームバルカンで牽制するが、ペンドラゴンは距離を取りシールドで防ぐ。
そして、勢いをつけてビームランスを突き出す。
その一撃はガンダムZERO ⅢBを貫くかと思われたが、その前にルイーズのナイトルーパーⅤがペンドラゴンに突っ込んで防ぐ。
「見つけたぞ!」
「そのMSは……ルイーズか」
ナイトルーパーⅤの突撃で弾き飛ばされたペンドラゴンは体勢を整えてビームランスを構える。
「ルイーズさん……」
「この男は私が倒す。お前はコロニーレーザーを破壊しに行け」
「……分かりました」
エリアルドはコロニーレーザーへと向かい、ローレンスもそれを追おうとするが、ナイトルーパーⅤが腕のビームガトリング砲で牽制する。
「どうあっても邪魔をするか」
「国を……民を裏切ったお前だけは私の手で倒す!」
ナイトルーパーⅤは一気に接近して大型ヒートソードを振り落とす。
ペンドラゴンはビームランスで受け止める。
「折角、見逃してやったと言うのに」
「黙ってろ!」
ペンドラゴンはナイトルーパーⅤを押し戻し、ビームキャノンを撃つ。
ナイトルーパーⅤはビームをかわして、大型ヒートソードで切りかかるがペンドラゴンはかわして、ビームガトリング砲で追撃する。
ペンドラゴンはシールドで防ぎ、ビームキャノンを連射する。
「舐めるなよ! その程度の攻撃が!」
ナイトルーパーⅤは大型ヒートソードで切りかかるも、ペンドラゴンはかわす。
「動きが大振りだ。それでは新兵すら切れんぞ」
「黙れを言った!」
ルイーズは完全に頭に血が上っている為、動きが単調で大振りとなっているのでローレンスにはかわす事は容易い。
ペンドラゴンは最低限の動きでナイトルーパーⅤからの攻撃を回避して、ビームランスを振るう。
ビームランスはナイトルーパーⅤの両足を切断した。
「お前では私には勝てんよ」
「騎士の誇りを捨てたお前に私は負ける訳にはいかない!」
ナイトルーパーⅤは苦し紛れに大型ヒートソードを振るうが、ペンドラゴンに当たる事はない。
ペンドラゴンはビームキャノンを放ち、ナイトルーパーⅤの右腕を大型ヒートソードごと吹き飛ばす。
そして、ナイトルーパーⅤの頭部にビームランスを突き刺す。
「これがお前の未熟さが生んだ結果だ」
完全な敗北の前にルイーズはローレンスに返す言葉がない。
「王家と言うだけで盲目的な信奉をし、無能な主を正す事すらしない……お前は騎士の恥だ。せめて親である私の手で葬ってやる」
ペンドラゴンはビームランスにてナイトルーパーⅤのコックピットを突き刺そうとするが、戦場に横からビームが飛んで来る。
そのビームは戦場だけでなく、ペンドラゴンも狙っている。
「あれは……」
「このタイミングで介入してくるか……」
戦場に介入して来たのはクライドが用意させた艦隊だった。
すでに連邦軍の艦隊は戦場を包囲するように展開しMSも出撃させている。
「どう言う事だ……連邦軍が何故……」
ルイーズは事態に付いて行く事が出来ない。
クライドの話では連邦軍は部隊を編成している途中の筈だ。
それからここまで派遣させるにしても早すぎる。
「戦闘中のブリッシュ公国に告げる。私は地球連邦軍所属、フレアデック・アルグレアス少佐だ。君たちはすでに完全に包囲された状態に
ある。今すぐ戦闘を中止し武装を解除しろ」
オープンチャンネルにてアルグレアスの降伏勧告が流される。
「……成程。まだ希望はあると言う事か……」
それからローレンスは何かを感じ取る。
ローレンスはルイーズへの止めを刺す事なく、アマデウスの方に機体を向ける。
「さて……連中はどう出ますかね」
降伏勧告を終えたアルグレアスは艦長席の隣に座っているクライドに尋ねる。
「降伏しますかね」
「しないだろうな」
クライドはきっぱりと言い切る。
アルグレアスはその根拠を聞きたいが、恐らくはその辺りは踏み込めばただは済まないだろう。
「と言う訳だから、俺が出る」
「分かりました」
アルグレアスはクライドが出ると言う事に驚いた様子はない。
オーヴァンに寄った時にクライド以外にもある物を乗せている。
それを乗せた時点でクライドが出る事は予想していた事だ。
その為、特に止める事なくアルグレアスはクライドを送り出す。
アマデウスの格納庫には搭載していたMSを出撃させているが、一機だけ残っている。
それはクライドが蝙蝠退治戦役時に使っていたガンダムZEROだ。
蝙蝠退治戦役時に使っていたガンダムZEROはAGEドライヴを回収した後に廃棄されたが、その後クライドは個人的に再製造していた。
AGEドライヴはガンダムZERO Ⅲαに使われている為、動力炉にはガンダムZERO Ⅲβに搭載されているタイプの物を搭載している。
アーマー換装システムを完全に廃止し、ノーマルアーマーで固定し装甲は他のジェノアスⅡやシャルドール改同様に強化されている。
そして、システム面でもクライドの操縦をサポート出来るように改良をされている。
クライドは自分がアマデウスに乗艦する際にオーヴァンからガンダムZEROも持ちこんで来ていたのだった。
クライドは格納庫に到着すると、ガンダムZEROに乗り込む。
「実戦は25年ぶりか……」
クライドはガンダムZEROの操縦桿を握り感慨にふける。
復讐を終えてからは完全にパイロットを廃業し、技術者に徹していた為、実戦に出るのは実に25年ぶりだ。
「まぁ、何とかなるか」
「アスノ局長、余り無理をなさらないように」
「分かっている。俺も若くないからな」
クライドがアルグレアスと話しているうちに射出準備が整っている。
「クライド・アスノ……ガンダムZERO、出る」
ガンダムZEROが射出されコロニーレーザー攻防戦にクライドも参戦する。