「艦長! 高速で接近する機影を確認! UEと思われます!」
アブディエルのブリッジでオペレーターが戦闘艦から出撃して来たUEを補足していた。
「数は11……いえ、12です! うち10機がドラゴン型……残り2機はデータベースにはありません!」
「12! どうして今まで気がつかなかったの!」
エリーゼは怒鳴り付けるが、これはオペレーターの落ち度と言う訳ではない。
UEをここまで運んで来た戦闘艦は高いステルス性能を誇り、敵に奇襲されないように通常の戦艦よりも索敵能力を向上しているアブディエルを持ってしても完全に捉える事は出来なかった。
その為、完全に不意をつかれた形となる上に今までのデータに無い未確認のタイプまで出て来ている。
完全に奇襲を受けた上に新型まで出て来ている為、状況は良いとは言えない。
「艦長! 見確認の新型の1機が突っ込んできます!」
モニターには単機でアブディエルに突っ込んでくる赤いゼダスが映されている。
その速度はドラゴン型に変形しているガフランと比べても圧倒的な機動力を誇る。
「撃ち落として!」
エリーゼの指示でアブディエルの砲門が全てゼダスを狙い集中砲火を浴びせる。
「はっ! そんな攻撃! 見えんだよ!」
ゼダスはスピードを落とすことなく、アブディエルの砲撃をかわしてアブディエルに取りつくが、コロニーを脱出したガンダムZERO Nがビームライフルを放ち、アブディエルから引き離す。
「エリーゼ……コイツは俺がやる」
クライドはそう言って一方的に通信を切るとビームライフルを放ちながら、ゼダスを追う。
エリーゼは若干、いつものクライドらしくないと思ったが戦闘中な為、そのことを後回しにした。
「赤い新型機はクライドに任せるわ。アブディエルの全砲門を敵戦闘艦に合わせて!」
アブディエルの砲門は敵の後方に控えている戦闘艦の片方に照準を合わせる。
「主砲! 撃てぇ!」
エリーゼの指示と同時にアブディエルの主砲が放たれ戦闘艦に直撃するが、戦闘艦は無傷だった。
「主砲命中しました!」
「敵戦闘艦健在です!」
「急速回頭! ビーム拡散弾を周囲に展開! コロニーから離れつつMSを回収、現宙域を離脱するわ! MSは邪魔なUEを掃討しつつ、帰還命令を!」
エリーゼの判断は敵の数を減らしての撤退だった。
アブディエルの主砲が直撃を受けても撃沈しないどころか、傷一つつかないと言う事は現状のパラダイスロストの装備であの戦闘艦を落とすのは不可能に近いため、無理に戦闘をすることなく敵の数を減らしての撤退をエリーゼは選択した。
UEを前にしての撤退をクライドが良しとするかは分からないが、現状の装備ではこの戦いに勝つことは出来ない。
「ジゼルさん! 撤退ですって!」
「わぁってる! けどよ、こいつらの数を減らさなきゃだろ!」
ジゼルのジェノアス・キャノンはマシンガンでガフランを攻撃する。
「糞! 分かってたが、コイツは倒せねェ!」
ジェノアス・キャノンは肩に装備しているビームキャノンでガフランを狙うがガフランはかわす。
「すばしっこいんだよ!お前!」
ジェノアス・キャノンはビームキャノンを連射するが当たらない。
ガフランはビームを回避しつつ、ジェノアス・キャノンに接近してビームサーベルを振るう。
ジェノアス・キャノンはシールドで何とか受け止めた。
「ジゼルさん!」
レオナールのジェノアス改は作戦で装備していた長距離用のキャノン砲を放ち、砲弾はガフランに直撃するが、撃破には至らないがだが
、その一撃でガフランの体勢は崩れて、ジェノアス・キャノンは至近距離でビームキャノンを撃ち込んでガフランを撃墜する。
ジェノアス・キャノンのビームキャノンはガンダムZERO Nの高出力ビームライフルを流用している為、ガフランに対しても有効打を与えることが出来る。
「ジゼルさん、僕が砲撃で隙を作ります。ジゼルさんはその隙にUEを倒してください」
「っ……上等だ!」
ジゼルはレオナールが自分に指示を出したことに一瞬、切れかかるが本能的にレオナールの指示が正しい事を感じ取り、マシンガンを捨ててビームランスを構える。
このビームランスもガンダムZERO Nのビームサーベルを流用している為、ビームキャノン同様ガフランに対して有効な武器なので、マシンガンに比べると射程が短いが、ジゼルは射撃戦よりも格闘戦が好みと言う事もある。
「その代わりしくったら、承知しねぇぞ!」
ジェノアス・キャノンはビームランスを構えてガフランに突っ込んで行く。
「あれが……UE」
今まで、闘技場で暮らしていたユーリアにもUEの話を聞いたことはあるが、実際に見たのはこれが初めてだった。
「ユーリア、貴方の機体の装備ではUEには対抗できません。私の支援をお願いします」
「……うん」
ユーリアは小さく頷いてマシンガンをガフランに放つ。
ガフランは回避するが、ユーリアのジラは銃口を回避先に合わせている。
「見える」
そして、引き金を引きマシンガンを放ち、ガフランは両手で防ぐ。
マシンガンではガフランを倒せないが、防御したために足が止まり、アリスのデスドールは新しくバックパックに装備して来た新装備のビームサイズを振るいガフランを両断する。
このビームサイズはクライドがマッドーナ工房に注文した特注品で高出力のビームの刃がカマのように展開することからビームサイズと名づけられている。
その威力は凄まじく、ガンダムZERO Nのビームサーベルよりも攻撃力が高く攻撃範囲も広く、一撃で複数の敵を薙ぎ払う事も可能となっている。
だが、その半面ビームの刃を形成するエネルギー量が半端無い為長時間の使用が出来ない上に取り回しが悪いと言う欠点も持っている。
「後ろ」
デスドールはガフランを1機撃墜するも背後から迫る、もう1機のガフランがビームサーベルを振り上げていたが、ジラがマシンガンを放ち、動きを止めてデスドールがビームサイズで一刀両断する。
「グッジョブ、ユーリア」
「強いのが来る……」
アリスが高揚感の無い声でそう言い、ユーリアも高揚感の無い声でそう言うと二機の間にビームが走る。
「あれは普通のは違う……新型ですか」
「ジラの方には私達と同じ能力者が乗っているわね……でも敵に回ると言うのなら容赦はしない!」
セリアはジラのパイロット……ユーリアがXラウンダーであることを感じ取る。
そして、バクトはジラにビームバルカンを放つ。
「ユーリア」
デスドールはビームスプレーガンでバクトを攻撃するが、ガフランの装甲すら破れないビームスプレーガンではそれ以上の装甲を持つバクト相手では何の意味も成さない。
「邪魔しないで頂戴!」
バクトは片方のバルカンでデスドールを牽制する。
「火力は通常のタイプとさほど変わらないけど、あの装甲は厄介ですね」
デスドールはビームサイズを構えてバクトに突っ込む。
バクトはビームバルカンで応戦するが、何とか直撃を避けて接近しビームサイズを振るう。
バクトはビームサーベルで受け止める。
「少しはやるようだけど、このバクトのパワーの前では関係ないわ」
バクトはデスドールのビームサイズを押しどけると、腹部のビームスパイクを出す。
アリスはとっさに反応は出来たが、完全にかわす事が出来ずにデスドールの右足がビームスパイクで破壊される。
「良くかわしたわね……でもね。終わりにさせて貰うわ」
バクトはビームサーベルを展開して、デスドールに突き刺そうとするがユーリアのジラがマシンガンを放つ。
「その程度の攻撃は通用しないわよ……そっちを先に始末させて貰うわ」
セリアは狙いをユーリアのジラにに変えて突っ込む。
ジラはマシンガンで応戦するが、バクトの足を止めることすら出来ない。
バクトはビームサーベルを振るうがジラは紙一重で回避する。
「かわした!」
バクトはすぐに尾のビームライフルを構えて放つが、ジラは紙一重でかわし続ける。
「何とか……見える」
「私の動きと読んでるの? Xラウンダーとしての能力は向こうの方が上の様ね……だったら、尚の事ここで始末しないといけないわね!」
バクトは攻撃をビームライフルからビームバルカンに切り替えてジラを攻撃する。
「くそ……くそ……当たれ!」
クライドは普段の冷静さを欠き無暗にビームライフルを連射している。
「あの赤い奴……」
クライドがここまで冷静さを欠くのは珍しいが相手が赤いUEだったなら話は別である。
6年前にオーヴァンを襲撃したガフランの中に1機だけ赤いカラーリングのガフランが混じっていた。
それを6年経った今でもクライドは忘れていない。
機種はガフランではなくゼダスと違うが、もしも、UEに人間またはそれに準ずる知的生命体が乗っているとすれば、機体を乗り換えても自分のパーソナルカラーで統一することは珍しい事ではない。
その為、赤いゼダスを見た瞬間にあの時のガフランを思い出し、クライドは頭に血が上り冷静さを欠いていた。
「やるじゃねぇか! そうでないとなぁ!」
ゼダスの中でブラッドはそう叫ぶ。
例え、冷静さを欠いていたとしても敵の動きを先読みして狙っているため、ブラッドも少しでも気を抜けばビームによって撃ち抜かれている。
それでも、攻撃は単純で先を読んでいてもその更に先に繋がった攻撃と言う訳でもなく、ブラッドには容易に見切ることが出来る。
「お前が!」
「楽しませてくれよぉ! えぇ! ガンダムとやらぁ!」
ゼダスはビームを回避しながら、旋回してMS形態に変形してビームサーベルで切りかかり、ガンダムZERO Nはシールドで受け止める。
「あぁ……ビンビン来るなぁ!」
「この野郎!」
ガンダムZERO Nはシールドでゼダスを押し戻すとビームライフルを放つ。
「良いねぇ! そう来ないとなぁ!」
ゼダスは回避し、腹部のビームキャノンを放つ。
ガンダムZERO Nはシールドで防ぐがシールドが吹き飛ぶ。
「ちぃ!」
「どうしたよ! その程度で終わりな訳がないよなぁぁぁ!」
ゼダスは左手のバルカンを放ちながら、右手に尾のゼダスソードを付けて突っ込む。
ガンダムZERO Nはビームライフルを放つが、ビームライフルは後先考えずに連射したツケでエネルギーが切れて、その隙にビームライフルはゼダスソードで両断された。
「まだだぁぁぁ!」
ガンダムZERO Nはビームサーベルを抜いてゼダスに突っ込む。
「そうだ! そう来ないとこの俺が出て来た甲斐がないってもんだぁぁ!」
ゼダスもゼダスソードで受けて立つ。
ガンダムZERO Nとゼダスは互いの剣がぶつかり合う。
「貴様がオーヴァンを!」
ガンダムZERO Nはもう一基のビームサーベルを抜いてゼダスを切ろうとするが、ゼダスはかわして飛行形態に変形して距離をとる。
そして、バルカンをZERO Nに放つ。
シールドを失っているZERO Nは防ぐことが出来るに被弾する。
ノーマルアーマーを装備しているため、致命傷を受けることはないが、確実に装甲が削られていく。
ガンダムZERO Nは高速で動き回すゼダスを追うが機動力に差がある上にビームライフルを失い火器は頭部のビームバルカンしか残っていないZERO Nでは捉える事が出来ない。
「畜生……」
ガンダムZERO Nはビームバルカンを放つがゼダスの速さに追いつくことが出来ずに何もないところを飛んでいく。
「それで打つ手がねぇんなら……死んどけ!」
ゼダスがビームキャノンをガンダムZERO Nに放とうとするが、ジゼルのジェノアス・キャノンが放ったミサイルがゼダスに直撃する。
ミサイルが直撃したがゼダスは無傷ではあったがビームキャノンの発射の阻止には成功した。
「アニキ! 何してんだよ!」
ジゼルがクライドに通信で怒鳴りつける。
「あんな戦い方はアニキらしくねぇよ! 無暗に突っ込んで戦うのはアタシの領分だ! アニキの戦い方はもっといやらしいだろ!」
ジゼルのジェノアス・キャノンはゼダスにビームキャノンを放つ。
ジゼルの言う通りクライドはいつもの戦い方をしていない。
ガンダムZEROに乗り換えてからは、ガンダムZEROが非常に高性能な為、性能で劣る相手に機体性能で押す戦い方をしているが本来は自分と相手の機体の特性を把握した上で自分の機体の特性を最大限に活かした上で、相手の機体の特性を封じる戦い方を得意としていた。
だが、今のクライドは頭に血が上っているだけでなく機体性能では相手のゼダスはガンダムZERO Nとほぼ互角、機動力においてはゼダスの方が勝っている。
Xラウンダー能力はクライドとブラッドはほぼ互角でもパイロットとしての技量はブラッドの方が勝っている。
この条件でクライドが力押しで戦えばブラッドのゼダスに勝てないのは当然の結果と言える。
「お前に用はねぇんだよ。すっ込んでろ」
ゼダスはビームバルカンをジェノアス・キャノンにに放ちシールドで防ぐ。
「アイツとの間に何があんのか知んねぇけど、アニキがアニキの戦い方で戦えば新型だろうと目じゃねぇ筈だろ!」
「ジゼル……」
クライドはジゼルに怒鳴られて呆気にとられるがすぐに気を引き締める。
「ジゼル、少し時間を稼いでくれ」
「どうすんだよ? アニキ」
「ブリーズを使う」
クライドはそう言いアブディエルに向かう。
ガンダムZERO Nは武器の大半を失い、機動力ではゼダスには到底勝てない。
だが、アブディエルに詰んでいる新しいアーマーのブリーズアーマーならば、ゼダスの機動力に十分対応が出来る。
「逃げんのかよ?」
ゼダスがガンダムZERO Nを追撃しようとするが、ジェノアス・キャノンがビームキャノンで妨害する。
「ちっ……邪魔だな」
「レオ……アタシ達でアニキが出て来るまで時間を稼ぐぞ……」
「分かりました……全力で援護します」
ジゼルとレオナールの二人は全力でブラッドの足を止める為に攻撃を開始する。
「エリーゼ! ブリーズを使う。すぐに準備させろ!」
戦闘を離脱したガンダムZERO Nはアブディエルに通信を繋ぎそう言う。
「クライド! でも……ブリーズの最終調整は終わってないんでしょ?」
エリーゼの言う通り、ウィンターガーデンへの道中でガンダムZEROとのマッチングのテストは完了していたが、最終的な調整をする時間がなく後回しにしていた。
その為、ブリーズアーマーの調整は完全とは言えない。
「終わってないが大丈夫だ」
「本当に?」
「出来なきゃ俺達はここで全滅だ」
クライドはそう言い切り、エリーゼはすぐに決断した。
確かにクライドの言う通り、ゼダスの機動力は驚異的でそれに対抗するにはガンダムZEROのブリーズアーマーを使うしかない。
「分かったわ。それしかなさそうね……」
エリーゼはそう判断すると、すぐに格納庫に通信を入れる。
「エミリオ、今からクライドが戻るから、すぐにブリーズへの換装の準備をしておいて」
「ブリーズって! まだ調整が終わってないですよ。師匠も知っている筈です」
「つべこめ言わない! すぐにやる!」
エリーゼはそう言って有無を言わさず格納庫との通信を切る。
「ぶっつけ本番ね……技術者のやることとは思えないね……」
アルフレッドは苦笑いしながら、エリーゼにそう言う。
「同感よ。でもやるしかなさそうね」
「確かに……」
二人は肩をすくめていると離脱して来たガンダムZERO Nが見える。
「ゼロが戻ったわよ。ハッチを開閉して!」
ガンダムZERO Nの帰還とともにアブディエルのカタパルトのハッチが開閉する。
ガンダムZERO Nはカタパルトに入る前に機体を反転させて背中からカタパルトに侵入すると、カタパルトに着地して固定される。
すると、カタパルトの左右の壁が開閉し、細いアームが幾つか出て来る。
そのアームが出て来るのを確認するとクライドはアーマーの固定を解除し、アームがノーマルアーマーを次々を剥がしていく。
アブディエルのカタパルトにはガンダムZEROのアーマーを素早く換装出来るようになっている。
完全にノーマルアーマーが剥がされると今度は青いブリーズアーマーを持ったアームが次々とZEROにアーマーを装着していく。
僅か数分でZEROはアーマーの換装を終えた。
「ガンダムZERO B……クライド・アスノ、出る!」
青いブリーズアーマーに換装したガンダムZERO Bは再び戦場に舞い戻る。
「新型だろうとな!」
ジェノアス・キャノンはビームランスを突き出すが、ゼダスは回避しビームサーベルでビームランスの柄を両断する。
「多少は、素質があるようだが、その程度じゃなぁ! つまんねぇんだよ!」
ゼダスは至近距離でビームキャノンを放ち、ジェノアス・キャノンはシールドで防ごうとするが、左腕ごとシールドが破壊される。
「雑魚はさっさと死んでろ」
「ジゼルさん!」
ゼダスはビームサーベルをジェノアス・キャノンに突き刺そうとしているとガフランが次々と破壊されていくことに気がついて手を止め
る。
「何だ……コイツらの他に誰かいんのか……違うな……このビンビン来る感覚はガンダムか!」
「アニキ!」
「くっそ……なんて加速性能だ……これじゃ微風ってレベルじゃねぇな……」
ブリーズアーマーを装備したガンダムZERO Bの機動力は圧倒的だが、クライドにかかるGも凄まじく少しでも気を緩めると機体のコントロールを失いそうになる。
ガンダムZERO Bはガフランのビームライフルをかわしてロングソードでガフランを両断する。
「だが……コイツならいける」
ガフランを両断するとそのまま別のガフランに接近し、ガフランが尾のビームライフルを構えるが、ビームを放つよりも先にガンダムZERO Bはガフランの横を通り抜け、すれ違いざまにガフランを両断していた。
「さっきとは色が違う……別のガンダムか?違うな……このビンビン来る感じはさっきの奴だ」
ゼダスはジェノアス・キャノンに止めを刺すことなくガンダムZERO Bに向かっていく。
「この感じ……さっきの新型!」
クライドもブラッドの接近を感じ取り機体をゼダスに向ける。
「今度はさっきのようにはいかない」
ガンダムZERO Bは両肩のウイングスラスターに内蔵されているビームキャノンを放ち、ゼダスもバルカンを撃ちながら、2機は交差して離れていく。
2機は反転して急制動をかける。
そして、ガンダムZERO Bは全スラスターを最大出力で使い急加速をする。
「くっ……」
クライドはその加速時のGに耐えながらゼダスに向かう。
「良いねぇ……コイツは高機動戦闘型か……俺のゼダスも得意だ!」
ゼダスも一気に加速し2機は高速で何度もぶつかり合う。
「あぁぁぁ……楽しいなぁ……楽しいなぁ!ガンダム!」
ゼダスはゼダスソードを振り下ろす。
対してガンダムZERO Bはスラスターを使い、進路を急に変えてゼダスの後ろの周り込んだ。
「これでぇぇぇ!」
ガンダムZERO Bはロングソードでゼダスの右腕を切り落とす。
そして、もう片方のロングソードを突き刺そうとするが、間にバクトが割り込み、ロングソードは重装甲のバクトの装甲を貫くことが出来なかった。
「もう1機の新型か!」
「セリア!てめぇ!邪魔すんな!」
「貴方をここで死なせる訳にはいかないわ」
バクトはビームバルカンを連射するが、ガンダムZERO Bは機動力を活かして回避する。
ガンダムZERO Bはバクトの攻撃をかわしながら、接近しロングソードで切りかかるがバクトは腕で防ぐ。
「コイツ……堅い!」
「その機体は速いけど、攻撃力は低いようね」
セリアの指摘通り、ブリーズアーマーの最大の特徴は機動力。
機動力を重視しているため、攻撃力ではノーマルアーマーにも劣っていた。
その為、重装甲のバクトに対しては攻撃が通らない。
「ブラッド、この場は引くわ。今回ばかりは貴方の言う事は聞けないわ」
流石にブラッドもこの状況では戦うのは無理だと判断して反論しない。
セリアがそう言うとブラッドはガンダムZERO Bに通信を開く。
「おい……そこの地球種……てめぇの名は何だ?」
「ブラッド!」
ブラッドはガンダムZERO Bに対して通信回線を開いた。
ブラッドの行為に流石のセリアも驚いていた。
今まで彼らは連邦やその他から宇宙人と揶揄されるように徹底的に自分達の存在を隠して来たが、ブラッドはあっさりと敵に交信しているのだから、セリアが驚くのも無理はない。
「通信だと……」
それは通信の相手のクライドも同様だった。
UEは今まで人類側に対して一切のコンタクトもメッセージも寄こさずにいたが、今回初めて接触をして来たからだ。
その上、相手は自分達の同じ言語を使っている。
「さっさと、名乗れよ地球種」
「パラダイスロストのクライド・アスノだ」
「パラダイスロストのクライド・アスノか……」
ブラッドはクライドの名を噛みしめるように反復する。
「その名は覚えたぞ。俺はヴェイガンのブラッド……お前を殺す男の名だ覚えておけ」
「ブラッド……一つ聞きたい。その赤い機体……お前が6年前にオーヴァンを襲ったのか?」
クライドはこのチャンスに少しでも敵の情報を集めようとした。
ブラッドとの会話で敵の組織の名前が『ヴェイガン』と言う事は分かったが、それ以外の敵の素性、規模、目的などは分かっていないため、この機に出来るだけ情報を集めて起きたかった。
だが、それよりも赤いMSに乗るブラッドがクライドの故郷オーヴァンの襲撃に関わっているかの方が重要だ。
もしも、ブラッドが襲撃に関わっていたのならば、クライドの復讐すべき敵をようやく見つけたことになる。
そうなればこの場でどんな手を使ってでもブラッドを仕留めなければならない。
「オーヴァン?知らねぇよ。この赤い機体はナーガのお下がりだからな……襲ったんならナーガじゃねぇか。けどよ……んなことは俺達には関係ねぇよ。次合った時はお前は俺が殺す。覚えておけよ。クライド・アスノ」
ブラッドはそう言って撤退し、セリアのバクトも撤退していく。
「ヴェイガン……ブラッド……そして……ナーガ……」
クライドには自然とブラッドに言っていることに嘘がない本当の事だと理解出来た。
即ち、クライドが復讐すべき敵はナーガなる人物である事が遂に判明した。
本来なら、そのことを更に詳しく追及するために、追撃してブラッドを捕らえたいと思ったが、最終調整前のブリーズアーマーで超高速戦闘をしているため機体のフレームが悲鳴を上げており、これ以上戦闘を続けることが出来ないとクライドは判断した。
この戦いでブラッドは自分に強い敵対心を持っていることは明らかなので、この場は引いてもいずれは向こうから出向いてくれる筈なのでこの場は諦めてクライドはアブディエルに帰還する。