機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第48話

ヴェイガンによるコロニー「フリーダムポート」を使ったコロニー落とし作戦はディーヴァとグノーシスの作戦によって奇跡的にコロニーの住民を犠牲にする事なく失敗に終わらせた。

 その戦闘中にガンダムZERO Ⅲαがアンバット攻略戦の時にガンダムZEROの起こした現象と酷似した現象を起こし、コロニーを跡形もなく消滅させてだ。

 戦闘終了後にガンダムZERO Ⅲαは回収されたが、グノーシスでは奇跡的な成功を喜べる雰囲気ではなかった。

 作戦は成功したこそしたが、搭載機の一機のRGライダーが戦闘中に撃墜されて戻っていない。

 格納庫にはRGライダーのおかれていたハンガーががらんとしており、空しさだけが残されている。

 整備班もあからさまに沈んでいる。

 

「お前ら! ぼさっとしてんなよ!」

 

 そんな様子を見かねたジゼルが整備班に喝を飛ばす。

 先ほどまで、シャルロットの戦死を聞いて取り乱していたレオーネの相手をしていたが、レオーネも少しは落ち着いた為、仕事に戻ってきたら、この有様だ。

 

「アタシらの戦いはこれからだぞ! 搭載機全てを次の戦闘までに完全に直して整備すんぞ! 下手打ったら、また数が減っちまうぞ!」

 

 ジゼルは力の限り激を飛ばす。

 整備班もたちまち、作業に戻る。

 ジゼルにとってシャルロットは戦友の娘だ。

 25年前にアンバット攻略作戦の前にはシャルルが娘が生まれた事を嬉しそうに語り、戦いの終わった後に会いに行くと言っていた事は今でも覚えている。

 それがシャルルと戦場以外で話した最後だったからだ。

 それから25年、シャルロットは成長し、自分の娘のレオーネともまるで姉妹のように仲が良かった。

  

「たく……分かっちゃいるけどな」

 

 これが戦争で戦っている以上、人が死ぬのは当たり前だ。

 そんな事はジゼルも蝙蝠退治戦役の時に嫌と言うほど知っている。

 だが、あれこれ悩むのも考えるのもジゼルの性ではない。

 今は、無事に帰還したMSを整備に次なる戦闘に備える事がジゼルに出来る事で体を動かしている内は余計な事を考えなくても良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘の報告は聞いた」

 

 戦闘が終了し、ビッグリングに今回の戦闘の報告をすると、何処からともかく、クライドからの連絡を艦へではなく、直接エリーゼの自

 

室の通信機に対して受けた。

 アーヴィンから姿を眩ませて行方不明だが、軍の情報を得る事が可能なところにいる事は確実だが、この通信からクライドの位置を特定

 

する事は困難で、今はそんな余裕もない。

 

「耳が早いわね」

「まぁな……まさかシャルロットが俺達よりも先に逝くとはな」

 

 クライドはそう言って俯く。

 特研的に言えばテストパイロットの一人の戦死ですぐに代わりを見つければ良い。

 だが、クライドにとっては優秀なテストパイロットの一人ではなく亡き部下の娘だ、そう簡単に割り切る事は出来ない。

 

「そうね。それでエリアルドのゼロが起きた現象について聞きたいの」

「報告は聞いている」

 

 戦闘中に起きた現象、アレはガンダムZERO Ⅲαに元から備わっていた武器とは思えない。

 

「俺もはっきりした事は分かってないが、恐らくはAGEドライヴが引き起こした物だと考えている」

「AGEドライヴが?」

 

 AGEドライヴ、25年前にクライドが父より託された動力機関だ。

 託されたのは3基でその内の一基をガンダムZEROに搭載し、それがガンダムZERO Ⅲαに移植されている。

 それにより、ガンダムZERO Ⅲαは通常のMSを大きく上回る出力を引き出す事が可能となっている。

 クライドが託され25年経つが未だにコア部分のブラックボックスの解析は出来ず、コアの量産が不可能な状態が続いている。

 

「そう。この25年の調べでAGEドライヴは人の強い感情に反応して何かしらの物理的な現象を引き起こすと俺は考えている」

「そんな事があり得るの? それが本当なら、オカルトの領域よ」

「重々承知だよ。だけど、そうであるなら説明がつく事もある。25年前のアンバット戦でシャルが死んだ時に俺がブチ切れた時に今回と同じ現象が起きている。そして、今回も状況は同じだ。どちらも仲間の死が引き金になっている」

 

 AGEドライヴが黒いオーラを発生させる現象が起きたのは2度とも、仲間の死がきっかけとなっている。

 クライドは目の前で仲間が死ぬ事で一時的に感情が高まりそれにAGEドライヴが反応して起きた事だと考えている。

 例えそれが科学の域を超えた事だとしても、クライドが技術者である以上、目の前の現象を否定する事は出来ない。

 

「起きた現象は似ていても起きた形が違うのは恐らくはその時の俺とエリアルドの感情の違いなんだろうな」

 

 クライドはシャルルが殺された時、殺したナーガに対する憎しみでナーガを殺す事で頭がいっぱいであった為、攻撃の対象がナーガを最優先とした攻撃となった。

 対するエリアルドはシャルロットの死を受け入れる事が出来ずに全てを無かった事にしたいと心の奥底で思い、文字通り全てを無かった事にした。

 

「取り合えず、暫くの間エリアルドをゼロに乗せないわよ」

 

 只でさえ、仲間の死で精神的に不安定になりつつある。

 その上に黒いオーラは無差別に触れた物を粒子に変えて消滅させる。

 それが敵に対してのみ効果があるのであれば、強力な武器となるが、強い感情で引き出されると言う事はエリアルド自身で自由に使いこなすのは不可能だろう。

 使いこなせないであればガンダムZERO Ⅲαは敵味方問わずに広範囲を破壊する恐るべき大量破壊兵器と同類だ。

 

「俺もそうした方が良いんだけどさ……グノーシスには次の任務があるんだよ」

「こんな時に?」

 

 今はグノーシスのクルー、特にパイロットや整備班はまともに戦える状態とは言い難い。

 それなのに、新しい任務があると来ている。

 

「まぁね。グノーシスにはディーヴァと共に連邦軍艦隊と合流し、ヴェイガンの一大拠点のドラゴンファクトリー攻略作戦に参加して貰う」

「正気なの?」

 

 ドラゴンファクトリーはヴェイガンの地球圏での拠点の中でも最大級の戦力を誇る。

 そこにはヴェイガンのMSを生産する工場があり、そこで大量のMSが生産されている為、防衛も他の拠点よりも厚い。

 只でさえブリッシュ公国の一件や、今回のコロニー落としの後始末などで軍は忙しく戦力も分散させている。

 そんな時に敵の一大拠点に攻撃を仕掛けるなど正気に沙汰とは思えない。

 

「だよな。フリットも政府に抗議したんだけど、こんな時だからこそ、ヴェイガンの重要拠点を落として流れを掴むと言われたらフリットも納得せざる負えないって事だ。だから、少しでも勝率を上げるためにうちにまで協力の要請が来たと言う訳だ」

 

 ヴェイガンを殲滅志向の強いフリットですらも現状でドラゴンファクトリーに仕掛けるのは無謀だとは思っている。

 だが、軍としても政府にやれと言われれば断る事は出来ない。

 

「ブリッシュ公国で回収したMSや捕虜にしたパイロットも前線で使うってんだ。フリットも勝つために必死なんだよ。その戦いにエリアルドのゼロの力が絶対に必要となる。悪いけど、お前たちにはもう一戦だけ踏ん張って欲しい」

 

 ブリッシュ公国の騒動から殆ど日の経っていない状態でブリッシュ公国の兵を使えば国を滅ぼした連邦軍に反旗を翻してヴェイガンにつく可能性もあると言うのにブリッシュ公国の兵士を使うと言うのはそれだけ事態が追い詰められている事だ。

 兵器の質で劣る連邦軍はアデルの投入で戦線を維持しているが、決して優位に進んでいる訳ではない。

 

「それが終わればベータの捜索は一旦、打ち切る」

「分かったわ。何とかしてみるわ」

 

 ここのところ立て続けに起きている事態を考えれば連邦政府も少しでもヴェイガンとの戦争に優位に立ちたいのであろう。

 

「助かる」

 

 クライドはそう言って通信を切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャルロットの戦死でエリアルド、レオーネ、アルベルトはエリーゼの指示でグノーシスのシャルロットの自室の私物を片づけるように指示を受けた。

 だが、三人はシャルロットの私物を箱にしまう作業が一向に進まない。

 シャルロットが自室に持ち込んだ物が多いからではない。

 未だにシャルロットの死を受け入れず、その為、部屋を片づけるのに抵抗があるからだ。

 

「俺のせいだ。俺が……」

 

 エリアルドがポツリとそう言い、レオーネとアルベルトの手が止まる。

 エリアルドはシャルロットの死を自分のせいだと考えている。

 あの時のエリアルドの頭の中には戦場にいるかもしれないファムを探す事で一杯だった。

 そのせいで一人で突っ走り、ゼダスS4機を相手にするシャルロットを一人残してしまった。

 

「そんな事……ないよ」

 

 レオーネの言葉もエリアルドには気休めにもならない。

 もしも、あの時シャルロット一人に任せずに二人で戦っていたら結果は変わっていたかも知れない。

 戦闘において「もしも」など幾ら考えたところで結果が変わる事などあり得ないが、次から次へともしもあの時ああすればと考えてしまう。

 その度にエリアルドは自分を責めてしまう。

 

「何だ。まだ片付いてないのか?」

「隊長……」

 

 ウルフが片づけの様子を見に来たのか、部屋の片づけが殆ど進んでいない事を指摘する。

 

「ちんたらしてないで早いところ、終わらせろよ」

 

 その言い方にエリアルドはウルフが上官であれど、ムッとする。

 ウルフにはまるでシャルロットの死など取るに足らない事のように見えた。

 ウルフもシャルロットの死を気にしていない訳がない。 

 だが、蝙蝠退治戦役から戦い続けて来たウルフは仲間の戦死を自分の中でカタをつける術を知っている。

 それはユーリアやシドウも同じでだからこそ、エリーゼは3人にシャルロットの私物の整理を命じた。

 遺品となった私物を片付けさせる事でシャルロットは死んでいないと言う事を認識させる為だ。

 

「隊長はシャルが死んで何も思わないんですか!」

 

 エリアルドはウルフに叫ぶ。

 普段なら、上官に対して反抗的な態度を取る事はないが、シャルロットの死に責任を感じているため、ウルフに八つ当たりで当たってしまっている。

 

「割り切れ……シャルロットは死んだ」

 

 ウルフの言葉がエリアルドだけじゃなく、レオーネやアルベルトにも現実を突き付ける。

 現実を突き付けられて、アルベルトは俯き、レオーネは散々泣いたにも関わらず、涙を浮かべている。

 

「そんな言い方!」

「それが事実だ」

「そんなの分かってますよ! 俺のせいでシャルは死んだ! そんなの事!」

 

 ウルフに喰ってかかるエリアルドの襟をウルフは掴む。

 

「お前のせいで死んだ? うぬぼれるなよ」

 

 ウルフはエリアルドを突き倒して、エリアルドは尻餅をついた。

 

「つい最近まで基地勤務で碌に実戦を経験した事の無いルーキーが何言ってやがる。お前一人が上手くやって誰も死ななかったら苦労はな

 

いんだよ。Xラウンダー能力を持って生まれて親父から新型のガンダムを与えられてそれで戦争に勝てる気でいるのか? だったら、戦争はとっくに終わってる。それでも終わらないから俺達が必至こいて戦場で戦ってんだろ」

「俺は……」

 

 エリアルドはウルフに何も返せない。

 確かに父、クライドの設計したガンダムZERO Ⅲαの性能は現在の連邦軍のMSとは性能が大きく異なる。

 そのガンダムをクライドに託されてそれを使いこなされば決して負ける事がないと心のどこかで思っていたのかも知れない。

 

「忘れろとは言わない。何も感じるなとも言わない。俺は仲間の死を何とも思わない糞野郎に命を預ける気もないし、守る気もねぇ。けど

 

、お前ももう守られる方のガキじゃねぇ。守る軍人だ。いつまでもウジウジしてんな。シャルロットの死に責任を感じてんなら、歯ぁくいしばって戦ってシャルロットの分まで守って見せろ」

 

 ウルフはそう言い残して部屋を出て行くが、暫くの間は誰一人話す事も作業を進める事もなく沈黙だけが流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「済まんな。本当は俺の仕事でもあったんだがな」

 

 シャルロットの自室から出たウルフにシドウがそう言う。

 

「俺は言葉で何かを伝えるのは苦手でな」

「それは俺も似たようなもんだ」

 

 シドウもウルフも言葉で相手に伝える事よりも実際に行動で示した方が得意としているが、今回ばかりはそうも言ってられない。

 

「俺の出来る事はしたが、後はあいつら次第ってところだ」

 

 ウルフも言いたい事は全て言ったつもりだ。 

 それで、エリアルド達が仲間の死を乗り越えてくれるかは分からない。

 戦場では仲間の死で連鎖するように仲間が死ぬ事が多々ある。

 そうならない為にも、エリアルド達には乗り越えて欲しい。

 

「あいつらなら大丈夫だ。俺達はそう信じるしかない」

「かもな」

 

 どの道、後はエリアルド達が自分達で乗り越えるしかない。

 ウルフとシドウが出来る事は乗り越える事を信じるしかない。

 

 

 

 

 

 

 

「決めたみたいだな」

 

 エリーゼの通信を終えたクライドは再び、ヒルデガードと対面していた。

 ヒルデガードは長かった髪をバッサリと切り落とし、服もブリッシュ公国にいた時の様なドレスではなく、普通の服だ。

 その為、とても元王女とは見えない。

 

「それがお前の出した答えって訳だな」

「はい」

 

 ヒルデガードの出した答えはクライドが出した別の人間として生きると言う道だ。

 ヒルデガードには何故、父がこの様な頼みをしたのかは未だに理解出来ないところもある。

 だが、すでに国に自分は必要とされていない。

 一度は死ぬ事も考えたが、それでは自分の為に出た犠牲が無駄になってしまうと思いとどまった。

 

「良いんだな」

「はい」

 

 ヒルデガードは今まで一人で生きて来た訳ではないため、今後は一人で生きなければならない。

 それは籠の中で生きて来たヒルデガードには想像もつかない苦労があるだろう。

 その事を理解しつつもヒルデガードはしっかりと頷く。

 

「私は貴方の事を一生許す事は出来ません」

「それで良い。俺の事が憎いなら憎めば良い。無理に憎い相手を許す必要はない」

 

 憎しみは人が生きる上で糧となる。

 かつての自分がそうであったようにだ。

 

「俺を憎むのは勝手だ。けど、俺に復讐するのはやめておけ世間知らずのお姫様にどうこう出来る相手じゃないからな。それに復讐者ってのは復讐を遂げようと碌な結末が待っている訳じゃない」

 

 クライドは復讐を遂げる代償として自身の右目、右腕、左足を失っている。

 同じ復讐者だったグルーデックはその功績を讃えられる事なく反逆者の汚名を着て牢の中だ。

 クライドはエリーゼやフリットが残されていたため、今では真っ当とは言えないがそれなりの暮らしをしている。

 だが、ヒルデガードには何も残されていはいない。

 その上、クライドも黙って復讐をされる程、お人よしと言う訳ではない。

 

「折角、お前の父親の頼みで自由にしてやったんだ。お前は若いんだ。復讐よりも年相応の生活をして人生を謳歌する事を勧める」

「……分かりました」

 

 その後、ヒルデガードはクライドから偽造した新しい自分の戸籍の事やクライドが事前に用意していた口座などを受け取り、アブディエルを降りる。

 今後、クライドとヒルデガードが対峙する事は二度と無いだろう。

 こうして、ブリッシュ公国の一件は人知れず完全に幕を下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アブディエルがソロンシティに入港し、ヒルデガードを下しアブディエルはマッドーナ工房へと進路を取り数日が経っている。

 その間にアブディエルにも様々な情報が集まっている。

 

「ドラゴンファクトリーに連邦軍が侵攻……」

「連中も必至なのさ。地球に引きこもっていても戦争の火が飛んで来るかも知れないって分かったからな」

 

 連邦軍のヴェイガンの一大拠点ドラゴンファクトリーに対する反攻作戦の情報はアブディエルにも届いている。

 

「うちのグノーシスもそれに駆り出されている」

「小父さま、連邦軍は何か策があるんでしょうか?」

 

 そうでなければドラゴンファクトリーを落とす事など難しい。

 

「さぁな。作戦の指揮はフリットが直々に取るらしいから、少しは策を考えているとは思うがな」

 

 今回の作戦ではビッグリングの司令官のフリットが直接、戦場で指揮を取る事になっている。

 その為、何も策を無しに攻めるとは思えない。

 だが、ファムの顔色は優れない。

 

「どうした?」

「いえ……何か嫌な予感がするんです」

「嫌な予感か……」

 

 恐らくはファムのXラウンダーとしての感がそう告げているのだろう。

 言われてみればクライドも何処となく、そんな感じがする。

 

「気になるのか」

「少し……」

 

 ファムはそう言うが、とても少し気になると言う感じではない。

 

「だったら、出るか? ここからならベータの足なら戦闘中にはドラゴンファクトリーに付く筈だ」

「良いんですか?」

「別に良いさ。アブディエルは連邦とヴェイガンに存在が知られるのは不味いから、余り接近は出来ないけどな」

 

 Xラウンダーとしての感が嫌な予感を感じたと言う事はこの戦闘で予想以上の何かが起きる可能性が高い。

 最悪に事態に備えてファムを行かせた方が良い。

 

「お前一人で接近して貰う事になる。その後は現場の状況に合わせて好きに動いてくれて構わない」

「分かりました」

 

 ファムはクライドの許可も出た為、出撃の準備に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コロニー落とし作戦の阻止をし、クライドに新しい任務を与えられたグノーシスは引き抜いたフリーダムポートのコロニーコアの移送を

 

別の部隊に引き継ぐとディーヴァと共にヴェイガンの拠点「ドラゴンファクトリー」への反攻作戦の艦体と合流している。

 艦隊は全部で9隻の戦艦から構築されている。

 ブリッシュ公国で接収したキャヴァリアー級の戦艦が3隻とダーウィン級の戦艦が4隻、それにディーヴァとグノーシスを含めた全9隻だ。

 

「本艦はこれより、ヴェイガンの拠点ドラゴンファクトリーに対しての攻略作戦に参加するわ」

 

 ブリーフィングルームではエリーゼがグノーシスのパイロットに対して作戦を説明するためにパイロットを集めている。

 ウルフの激もあってか、エリアルド達もシャルロットの自室の片づけの時に比べると少しはマシな顔つきになっている。

 

「今回の作戦指揮はフリット・アスノ中将が行い、陣形はブリッシュ公国で接収したキャヴァリアー級戦艦三隻を全面に展開し、その側面をダーヴィン級戦艦が二隻づつで展開、旗艦のディーヴァはその後方に配置、本艦はディーヴァの後方に配置されるわ」

 

 エリーゼの説明に合わせるようにモニターに戦闘の戦艦の位置が記されていく。

 

「そして、作戦は艦隊が一団となって敵拠点の防衛線を押し戻しつつ、敵拠点をディーヴァのフォトンブラスターキャノンの射程に入れ、フォトンブラスターキャノンにて敵拠点の破壊……以上よ」

「おいおい……んな力任せの作戦をこの戦力でやれってか? 敵はこっちの倍以上の戦力があるって話だ」

 

 今のところ、連邦軍で確認出来ているドラゴンファクトリーの戦力はファ・ボーゼ級が数隻に戦闘艦が最低でも10隻は確認している。

 そこに仕掛けるにしては戦艦9隻では勝算は薄い。

 

「そうね。でも、この作戦はアンバット攻略作戦でも使われた物だから、今回も上手く行くと言うのが政府の見解よ」

 

 確かに、今回の作戦は25年前にアンバットを落とした時の作戦とほぼ同じと言っても良い。

 だが、当時は戦力差が大きい為、この様な強引な策を取らざる負えなかった。

 今ではMSの性能差はあれど、昔のように一方的な戦いになる事は少なく、ドラゴンファクトリーを落とすならそれ相応の作戦を立てる必要性をフリットも政府に抗議した。

 しかし、その抗議も地球で暮らしていれば戦火に巻き込まれないと思っていた政治家連中がブリッシュ公国のコロニーレーザーや、ヴェイガンのコロニー落とし作戦で地球も安全ではないと言う事が分かり、少しでも戦況を優位に持って行きたいが為に軍に対して作戦の強行を命じた。

 フリットも作戦の無謀さを進言するも、聞きいれては貰えず、結局コロニー落とし作戦の阻止がノーラの脱出劇で使われた方法を使い奇跡的に住民を避難させて、作戦の阻止が出来た事を理由に今回の作戦も上手く行くと押し切られてしまった。

 その為、少しでも作戦の成功率を上げるためにフリット自ら前線指揮をする事になりディーヴァに乗船している。

 

「政府に作戦の決行を命令された以上、軍はそれをやらざる負えないって訳。話を戻すわよ。ウルフ隊とシドウ隊は出撃後、旗艦のディーヴァを防衛しつつ進路を切り開いて」

「俺らが一番の激戦区を任されたって事か」

「そうなるわね。質問は他に?」

 

 エリーゼがブリーフィングルーム内を見渡すが、誰も質問がないようなので作戦の説明が終わる。

 そして、連邦軍の反攻作戦が開始され、ヴェイガンの一大拠点のドラゴンファクトリーへと侵攻する。

 

 

 

 

 

 

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