宇宙要塞「ドラゴンファクトリー」
ヴェイガンの地球圏の生産拠点であり一大要塞だ。
その名の通りドラゴンの頭部に似た形状をしており、ファ・ボーゼ級や戦闘艦を多数配備されている。
その拠点に対して連邦軍は今まさに攻撃を仕掛けようとしている。
「この戦闘は連邦とヴェイガン、どちらに転ぶと思う?」
戦闘宙域から離れたところで光学迷彩を展開しているアブディエルのブリッジでセリアはクライドに尋ねる。
すでにファムのガンダムZERO Ⅲβは出撃し、後は事の行く末を見守る事しかない。
「さぁな。生憎と俺は指揮官じゃないからな。今回の戦闘は俺の仕込みは無しだからな……こればっかりはどうにも言えんな」
今まではある程度はクライドがいろいろと仕込んでいた為、大半が出来レースだったが、今回はクライドはファムを行かせた事以外は何も仕組んではいない。
「そんなところにファムを行かせたの?」
「アイツの希望だよ。それにいざと言う時はファムも知らない奥の手がベータには仕込んである。そいつを使えば最悪ファムだけは回収出来る」
クライドは意味深な事を言いそれ以上はセリアに説明をするつもりはないのだろう。
セリアも追求したところでクライドは適当にはぐらかすため、取り合えずファムに害の無い物だと言う事は確実であるのは確かだと言うのならばそれ以上は何も言うつもりはない。
そして、クライド達が見守る中、連邦軍のドラゴンファクトリー攻略作戦が開始される。
ドラゴンファクトリー攻略作戦の先鋒はブリッシュ公国で接収したナイトルーパーⅣの部隊が務めている。
高い機動性と重装甲を兼ね備えるナイトルーパーⅣは先鋒にはうってつけのMSと言える。
ナイトルーパーⅣは大型ランスのマシンガンで弾幕を張りつつ、ドラゴンファクトリーの防衛部隊を接触する。
防衛部隊の全面には重装甲型のバクトがビームバルカンで応戦する。
「騎士長達の為だ。恨みはないが!」
この戦闘の戦果次第では戦犯者として各施設に拘留されているブリッシュ公国の重鎮の減刑がかかっている為、ナイトルーパーⅣ部隊の士気は非常に高く、重装甲だとうと投入が25年前のバクトでは食い止める事が出来ずに大型ランスで次々と貫かれて破壊されていく。
先鋒戦は連邦軍が突破し、ドラゴンファクトリーからはバクト以外にもガフランやドラドも投入されて本格的な戦闘が開始される。
「邪魔なんだよ! 敗戦国の雑魚どもが!」
エルピディオのゼダスSはビームキャノンでナイトルーパーⅣを落とす。
「我々の敵はガンダムだ!」
その後方からはデメトリオ、ジーノ、フィルミーノのゼダスSも続く。
「出て来いよ! ガンダム!」
エルピディオ機はビームバルカンを連射して、ナイトルーパーⅣを蹴散らしてキャヴァリアー級戦艦をビームキャノンで沈めて連邦軍の先鋒隊を突破してディーヴァに向かう。
「木馬! まずはお前から沈める!」
「ディーヴァをやらせるかよ!」
ベルツ隊のGエウゼス改がドッズライフルⅡBを連射してエルピディオ機に向かう。
「ガンダムもどきに用はない!」
エルピディオ機はゼダスソードを付けてGエグゼス改の右腕を切り裂き、後方のジーノ機とフィルミーノ機の砲戦仕様のゼダスSのゼダスキャノンでGエグゼス改は破壊される。
「ベルツ!」
「ラーガン隊長! ベルツ隊長が!」
「慌てるな」
隊長機の撃墜で動揺するベルツ隊のパイロットを落ち着かせようとするが、意味を成す前に落とされていく。
ラーガンのジェノアスⅡがドッズガンで応戦して、何とかディーヴァに接近させないようにすることがやっとだ。
「お前たちはシルヴァーノの仇だったな! ガンダムの前に落とす!」
エルピディオ機を戦闘に4機のゼダスSはビームバルカンでラーガン小隊を襲う。
「くそ……」
ジェノアスⅡはビームを回避しつつ、かわせない分はシールドで防いでドッズガンで応戦するが、部下の3機のアデルは対応しきれずに
撃墜されていく。
「後はお前だけだ!」
「くっ!」
エルピディオ機がビームサーベルでジェノアスⅡに接近しようとするが、後方のグノーシスから出て来たMS隊の援護射撃で援護を受ける。
「生きてるな。ラーガン」
「何とかな……」
「こいつらは俺達に任せとけ、お前は残った奴を纏めてディーヴァの守りを頼む」
「任せた」
ラーガンのジェノアスⅡは辛うじて残っているディーヴァのMSを率いてディーヴァの防衛に回る。
「アルベルト、援護しろ。俺とエリアルドで仕留める。今日で連中ともカタを付けるぞ」
「了解」
Gバウンサーはエルピディオ機にドッズライフルを放ち、アデル改と要塞攻略であるため、砲戦用のブラスターアーマーを装備しているガ
ンダムZERO ⅢBもビームでゼダスSを攻撃する。
ブラスターアーマーのフォトンブラスターライフルのオーバーホールは終わっていないため、今回は装備していないがそれでも単体での
火力はMSクラスでは最高レベルの火力を保持している。
「ガンダムもどきに用はないんだよ!」
エルピディオ機は飛行形態に変形して、Gバウンサーを抜いてガンダムZERO ⅢBに向かう。
残りの三機はGバウンサーにビームバルカンを放ち足止めとして、Gバウンサーもドッズライフルで応戦する。
「邪魔なんだよ!」
「ウルフ、そいつらは俺の隊で相手をする。お前は二人の援護に向かえ」
「済まねぇ!」
シドウのRGブレイドがドッズライフルで三機のゼダスSを牽制し、Gバウンサーはエルピディオ機の方に向かう。
そして、ジェノバースがドッズファンネルを射出して、三機を散開させる。
「ラファルグの弔い合戦だ」
「了解」
ジェノバースはドッズファンネルを機体に戻し、機体をジーノ機に向かいながらスーパードッズライフルを放つ。
ジーノ機は攻撃をかわしながら、ゼダスキャノンで反撃する。
「仇はとらせて貰う!」
ジーノ機はビームサーベルを展開してジェノバースに接近し、ジェノバースもビームサーベルで応戦する。
二機はぶつかるとすぐに離れて、ジーノ機はビームバルカンを放つ。
ジェノバースはシールドで防ぎながらドッズファンネルを射出する。
ドッズファンネルはジーノ機に四方から攻撃し、ジーノ機はその攻撃をかわすが、ジェノバースの接近を許してしまい、ビームサーベルで右腕を切り裂かれる。
そして、体勢を崩したところをドッズファンネルの集中砲火を浴びて機体を撃ち抜かれて行く。
「止め」
ジェノバースはスーパードッズライフルでジーノ機に止めの一撃を入れてジーノ機は爆散する。
「ジーノさん!」
ジーノ機の撃墜で気を取られているフィルミーノ機はRGキャノンのスナイパードッズライフルの一撃をまともに受けてしまう。
その一撃で左膝に被弾し、続け様にRGキャノンの狙撃を受けて爆散する。
「フィルミーノ……地球種が」
デメトリオ機は機体を飛行形態に変形させて、RGキャノンに向かう。
「行かせるか」
RGブレイドはドッズライフルでデメトリオ機を牽制し、デメトリオ機はMS形態に戻りビームキャノンをRGブレイドに放つ。
RGブレイドはかわし、RGブレイドを攻撃している隙にスナイパードッズライフルからビームサーベルに持ち替えていたRGキャノンがビームサーベルを振るい、デメトリオ機の右腕を切り落とした。
「シドウ隊長!」
RGブレイドは両手に刀型のシグルブレイドを持ってデメトリオ機に突撃する。
デメトリオ機は左手にゼダスソードを付けてRGブレイドに振るうが、RGブレイドはかわしてシグルブレイドで左腕を切り裂く。
デメトリオ機の左腕を切り裂き、もう片方のシグルブレイドでデメトリオ機の胴体を両断した。
「クレマン!」
「はい!」
RGブレイドと入れ替わりで距離を取っていたRGキャノンはハイパードッズキャノンを構えている。
RGブレイドが距離を取った事を見計らいRGキャノンはハイパードッズキャノンを放つ。
その一撃でデメトリオ機は跡形もなく消し飛んだ。
「その装備では動きが遅い様だな! ガンダム!」
エルピディオ機はビームバルカンを放ちながらガンダムZERO ⅢBを翻弄する。
ブラスターアーマーは対艦対要塞戦においては高い火力から重宝するが、対MS戦闘では素早い相手には対応しにくいと言う欠点も持っていた。
その上、近くにはアルベルトにアデル改以外にも友軍機や友軍の戦艦が戦闘をしており、下手に大火力で敵を一掃すると言う事も出来ない。
「ちょこまかと……」
スーパードッズライフルで何とか対応しようとするも、エルピディオのゼダスSの機動力に追いつくのがやっとでまともに攻撃を当てる事も出来ない。
アデル改もドッズキャノンで援護するが効果はない。
「部下の仇……取らせて貰う!」
エルピディオ機は両手にビームサーベルを展開し、ガンダムZERO ⅢBに切りかかる。
ガンダムZERO ⅢBは両肩のショートドッズキャノンで応戦するが、エルピディオ機はかわしてガンダムZERO ⅢBはビームサーベルで応戦する。
「この装備では……」
「エリアルド!」
シドウ隊に三機のゼダスSの相手を任せたウルフのGバウンサーがドッズライフルでエルピディオ機を牽制し、エルピディオ機は腕の電磁装甲でビームをいなしながら後退する。
Gバウンサーはそのままエルピディオ機にドッズライフルで攻撃する。
「ガンダムもどきが……」
エルピディオ機はビームキャノンをGバウンサーに放つが、Gバウンサーはかわしてドッズライフルを放ち、エルピディオ機の右足に被弾する。
「今だ!」
ガンダムZERO ⅢBとアデル改は被弾したエルピディオ機に集中砲火を浴びせる。
「Xラウンダーの力を舐めるなよ!」
エルピディオは自信のXラウンダー能力の持てる力を全て使い、集中砲火を見切る。
機体がその反応速度に悲鳴を上げるが手を止めてしまえば確実にやられる。
その甲斐もあってか、エルピディオ機への被弾は最小限の物で済んだが、これ以上の戦闘継続は不可能な状態になっている。
「これ以上の戦闘は……どこまで私をコケにすれば気が済む……ガンダム!」
戦闘の継続は不可能なのは明白であるため、エルピディオもこれ以上の戦闘は出来ない。
部下を殺されて仇すら取れない上に撤退するなど、彼にとっては何よりも屈辱だが、ここで死ぬ訳にも行かない。
エルピディオは屈辱を堪えて撤退する。
連邦軍のドラゴンファクトリー攻略作戦は当初こそは戦力で勝るヴェイガンの優位に思えたが、戦力の要の4機のゼダスSの内3機が落とされて、隊長機のエルピディオ機も機体を損傷させて後退しているため、勢いは連邦軍に傾いている。
「状況は我々に不利か……」
すでに防衛線もかなり突破されており、陥落するかは時間の問題となっている。
「総員、現時点を持ってドラゴンファクトリーは破棄する!」
「マリオン司令! ここを落とされては……」
ドラゴンファクトリーはヴェイガンの地球圏における重要な生産拠点だ。
それを破棄すればヴェイガンに大きな打撃を与える事になってしまう。
「分かっている。だが、これ以上イゼルカント様より預かった兵を失う訳にはいかん」
徹底抗戦をすれば、連邦軍の戦力を少しでも削る事が可能だが、それをすれば自軍に与える被害もまた増える。
「案ずるな。メデル……私もタダでここを破棄する気は毛頭ない。デウストを出す」
「あれは試作段階の機体です」
「私のティアーズはまだ使えん。それにデウストは大き過ぎて運べんだろう。すぐに可能な限り、戦力を回収する。特にティアーズとあの2機は後の戦いに約に立つ。その後はダウネスに戦力を撤退させろ。私が出来る限り、時間を稼ぐ」
ブリッシュ公国で黒いガンダムとの戦闘でマリオンのティアーズは大破し、現在は武装強化中ですぐには出せない。
その為、ドラゴンファクトリーで製造された試作MSにて出撃をするつもりだ。
そして、自分一人残り時間を稼ぐと言う事は撤退することがどう言う事かも分かる。
「しかし……」
地球侵攻軍の総司令であるマリオンを一人残して撤退することにはメデルを始めとした兵には抵抗がある。
「お前は火星圏に妻を残していたな。ならば、こんなところで死ぬ事はあるまい。それに引き換え私には家族はいない。私の兄は戦場にてヴェイガンの誇りを持って戦いガンダムに敗れて散った。ならば私も兄に習って最後までヴェイガンの誇りを胸に戦って散るさ」
マリオンは知らないが彼女の兄、ブラッドは好敵手とも言えるクライドと出会いヴェイガンの理想よりもクライドと戦い決着をつける事
に固執していたが、その事実はマリオンにとっては知らない方が幸せと言える。
「お前たちは生き残って必ず。イゼルカント様の理想を実現して欲しい」
マリオンはそう言い、指令室を出て行く。
それを見送る兵士達は皆マリオンをヴェイガン式の敬礼で見送る。
「これがデウストか……癖が強いが使いこなして見せよう」
指令室を出たマリオンはドラゴンファクトリーの格納庫に収容されている試作MS「デウスト」に乗り込んでいる。
デウストの最大の特徴はその巨体にある。
アンバットで投入されたデファーズとゼファーラを合わせた機体であるため、その全長は通常のMSの数倍の大きさとなっている。
その為、デウストは要塞破棄の際には回収する事が困難であるため、マリオンはこの機体を使う事にしたのだ。
武装は強大な腕が6本あり、指先にビームバルカンが内蔵され、掌には拡散ビーム砲が内蔵されている。
腹部には高出力ビームキャノンが3基内蔵され、肩には大型ビームキャノンが装備されている。
その他にも機体のいたるところにビームガンが内蔵されており、どの方位に対しても弾幕を張る事が可能となっている。
更にはバックパックには多数のデウストビットが内蔵されている。
「マリオン様! 私もお伴します!」
ドラゴンファクトリーに帰投したエルピディオが要塞の破棄とマリオンの単独で出撃する事を聞きつけてコックピットのところまでやって来た。
「エルピディオか……お前はメデル達共にダウネスまで退避しろ」
「嫌です!」
「駄目だ」
エルピディオはマリオンに心酔しているため、最後まで共に戦うつもりだったが、マリオンもその事を理解した上ではっきりと断る。
「なぜですか!」
「お前もヴェイガンの将ならば、私の為ではなくヴェイガンの為に戦え。お前の力はいずれ必要となる」
「ですが!」
「私のティアーズをお前に任せる。これはお前にだからこそ任せる事が出来る。他でもないお前だからだ」
エルピディオがマリオンと心酔するのと同時にマリオンもエルピディオの事を部下の中で最も信頼を置いている。
だからこそ、自分の愛機のティアーズをエルピディオに任せる事が出来る。
「マリオン様……」
「後は任せたぞ。エルピディオ」
エルピディオはマリオンの決意が固い事を悟り、敬礼をしながらコックピットハッチから離れて行く。
マリオンはエルピディオが十分離れた事を確認すると、ハッチを閉じて機体を起動させる。
「マリオン・イーヴィル……デウスト。出るぞ」
「敵要塞から、高熱源体の反応が!」
ドラゴンファクトリー攻防戦は佳境に入り、連邦軍の優位に進み、後はMS隊が道を切り開きディーヴァで止めの一撃を撃ち込めば勝利と言うところまで来ているが、ドラゴンファクトリーの竜の口に見えるところが開閉し、まるで本当に竜が口を開けているかのようだ。
その口から多数のビームが放たれて先鋒のナイトルーパーⅣ隊を破壊して行く。
そして、マリオンが搭乗するデウストが竜の口から出て来る。
「アレは……」
「ヴェイガンの新型機か」
モニターにデウストが映されいる。
デウストは高出力ビームキャノンを放ち、射線上のMSを破壊しながらディーヴァの左に展開しているダーウィン級戦艦を撃沈させる。
「対ビーム拡散弾を発射!」
ミレースの指示で対ビーム拡散弾をばら撒いてデウストの攻撃からディーヴァを守ろうとするが、あれだけの火力の前ではあまり効果は期待出来ない。
「おいおい……冗談だろ。あんなデカブツを隠してやがったか……」
「隊長。俺が行きます。あれだけのサイズならブラスターアーマーの火力で落とします」
ブラスターアーマーは機動力の高いゼダスSに対しては戦い辛かったが、デウストの様な巨大な敵に対しては有効な攻撃力を持っている。
「それしかなさそうだな……だが、無茶はするなよ。時期にディーヴァのフォトンブラスターの射程に入る。それまであのデカブツの砲撃をディーヴァに撃たせないようにすれば良い」
「了解」
ガンダムZERO ⅢBはデウストへと向かい、それをGバウンサーとアデル改が援護する。
戦場に出たデウストはその火力を活かんなく発揮している。
6基の腕の指に装備されているビームバルカンを連射してデウストに取りつこうとしているナイトルーパーⅣを蹴散らす。
粗方、ナイトルーパーⅣを葬ると後方から主力MS体を補足し、ビームキャノンで一掃する。
「デウスト……まさか、これほどの物とはな」
単に巨大で火力重視の機体だと思っていたが、その圧倒的な火力で敵はデウストに接近することさえ出来ないでいる。
後方のダーウィン級がデウストに主砲を放つ。
主砲の一撃はダウストに直撃するが、デウストは多少の衝撃はあったが無傷だ。
「電磁フィールドも問題はないな。これなら行ける!」
デウストは火力ばかりを重視した機体ではなかった。
バクトに装備して以来、今では標準的に装備されている電磁装甲をバリアのように機体を覆う電磁フィールドをデウストは試験的に搭載している。
試験段階で電磁フィールド発生装置とそれを動かす動力炉のサイズが大きいため、デウストのサイズも大型になってしまったが、ビーム兵器に対しては絶対的な防御力を持つ事になった。
「このまま一機でも多く道連れにして見せよう!」
幾ら、デウストが圧倒的な攻撃力と防御力を持っていたとしてもデウストの起動時間は通常のMSよりも短く、単機で勝てる訳ではない。
友軍機を後退させた事で火力を抑える必要はないが、時期に稼働時間に限界が来るのは目に見えている。
「少なくともガンダムと木馬は落とす」
先の事を考えればガンダムとディーヴァは確実に障害となるため、確実にここで仕留めて起きたい。
ディーヴァは他の戦艦に守られるかのように進んでいる為、この戦闘の旗艦である可能性が高い。
そのディーヴァを沈める事が出来れば、敵の指揮系統も混乱しより多くの敵を仕留める事も出来るだろう。
デウストは拡散ビーム砲で付近のジェノアスⅡやシャルドール改、アデルを破壊して行く。
圧倒的な火力を行使するデウストにガンダムZERO ⅢBはハイパードッズキャノンを撃ち込むが電磁フィールドの前に無力化される。
「防がれた!」
「来たか……ガンダム!」
マリオンは倒すべき敵を見つけ、ガンダムZERO ⅢBにビームバルカンを連射する。
ガンダムZERO ⅢBはシールドで防御するがハイパードッズキャノンに被弾し、パージする。
「見た目通りの火力と言う訳か……」
ガンダムZERO ⅢBはスーパードッズライフルと両肩のショートドッズキャノンを放つが効果はない。
「行け!」
デウストはデウストビットを射出する。
デウストビットはガンダムZERO ⅢBへと向かい、全方位から攻撃する。
ガンダムZERO ⅢBはスーパードッズライフルでデウストビットを牽制しつつ何とかかわす。
「厄介な武器を……」
機動性の低いブラスターアーマーではデウストビットの攻撃をかわすだけで精一杯だ。
何とかかわすが、スーパードッズライフルに被弾した為、スーパードッズライフルを捨てる。
「お前だけはここで落とす!」
デウストはデウストビットに気を取られているところに6基の腕の1基でガンダムZERO ⅢBを狙うが、その腕にビームが直撃して軌道が反らされた。
「堅いわね……アレが私の感じていた嫌な感覚の主……」
「アレは……ベータ……ファム」
その攻撃はガンダムZERO Ⅲβからの物であり、エリアウドは困惑する。
ファムはヴェイガンである筈なのに、連邦軍である自分を助けた。
「まさか……お前も来る出て来るとはな……ヴェイガンの名を騙った罪は重いぞ!」
デウストはガンダムZERO Ⅲβに拡散ビーム砲を放ち、ガンダムZERO Ⅲβは回避する。
「ファム! 一体どう言う事なんだ? ヴェイガンである君がどうして?」
「質問は後にして。今はコイツを倒す方が優先」
エリアルドはガンダムZERO ⅢBに通信を繋いで質問攻めだが、ファムはそれどころではない。
ガンダムZERO Ⅲβは攻撃をかわしながらバスタードッズライフルで反撃するが、デウストに効果はない。
ガンダムZERO ⅢBはショートドッズキャノンでデウストビットを落として援護する。
「今はファムを味方だと思っても良いのか?」
「それはエリアルドを決める事よ」
「だったら、味方だ」
迷う事なく言い切るエリアルドにファムは少し驚くが今は余所見をしている暇はない為、すぐに集中する。
「あの機体は多分、強力な電磁装甲で機体を覆っているんだと思う」
「どうすれば良い」
「電磁装甲はビーム兵器に対しては圧倒的な防御力を持つけど、物理的な攻撃には意味がないわ。この様にね」
ガンダムZERO Ⅲβは膝のニードルガンをデウストに撃ち込む。
装甲に阻まれて損傷を与える事は出来ないが、電磁フィールドに防がれる事なく、直撃はしている。
「つまり、アイツにビーム兵器以外の攻撃でダメージを与えれば良いんだな」
「そう言う事よ。援護をお願い」
「分かった」
ガンダムZERO Ⅲβは両手にベータソードを装着して突っ込む。
デウストは腕で薙ぎ払おうとするが、ガンダムZERO ⅢBが肩のミサイルを放ち、援護する。
「ファムはやらせない!」
「邪魔だ!」
ガンダムZERO ⅢBにデウストビットを差し向けて、ガンダムZERO Ⅲβを腕で払い退ける。
ガンダムZERO Ⅲβは腕でガードするが、後方まで吹き飛ばされる。
「ファム!」
「このくらい平気よ」
ガンダムZERO Ⅲβは体勢を整えつつ、ビームガンとビームバルカンを放つ。
「でも……厄介ね。物理的な攻撃でもあれだけの大きさとなるとそう簡単にダメージを与えるのは難しいわ」
電磁フィールドの弱点である物理的な攻撃でも装甲が厚過ぎてまともにダメージを与える事も出来ない。
「どうした物か……」
ガンダムZERO Ⅲβの最大の火器のバスタードッズライフルも電磁フィールドの前では意味がない。
物理的な攻撃でもニードルガンは攻撃力不足で、ベータソードも間合いが短い。
「エリアルド、前に私と戦った時の装備はすぐに使える」
「使えるが……母艦で換装する必要がある」
「だったら、私がそれまでの時間を稼ぐわ。エリアルドはその間にその装備に換装して来て」
ファムは以前の戦闘でエリアルドのガンダムが対艦刀を装備していた事を思い出す。
あれなら攻撃力は申し分もなく、間合いもベータソードよりも長い。
クラッシャーアーマーであれば、デウストに十分対抗できると考えて、エリアルドに装備して来るように言う。
「任せた」
エリアルドも現状の装備ではデウストを相手にするのは分が悪い事は理解出来、今、出来る事は速やかにグノーシスに戻りクラッシャーアーマーに換装して戻る事だ。
エリアルドはファムにその場を任せてグノーシスへと後退する。
「一機は後退するか、ならば母艦もろとも葬ってくれるわ!」
デウストは後退するガンダムZERO ⅢBに対してビームキャノンを放とうとするが、ガンダムZERO Ⅲβがビームバルカンを放つ。
電磁フィールドによって無効化されるが、マリオンの注意を引くには十分だ。
「小賢しい……まずは貴様から仕留める!」
デウストビットが射出され、ガンダムZERO Ⅲβを襲う。
ガンダムZERO Ⅲβはビームバルカンとビームガンを駆使して、デウストビットを討ち落としていくが、撃ち落とされてもすぐに新しいデウストビットが射出されて切りがない。
そして、デウストビットのビームがガンダムZERO Ⅲβのスタビライザーを討ち抜く。
「くっ……」
デウストは腕の拡散ビーム砲を放ち、ガンダムZERO Ⅲβはビームシールドで防御するが、防ぎ切れずに被弾して行く。
「何……コントロールが聞かない」
デウストのビームでガンダムZERO Ⅲβが被弾して行くと、機体のコントロールを受け付けなくなる。
ファムは操縦桿のボタンを押すが、何の反応も起きない。
そして、コックピットのモニターが次々とブラックアウトして行く。
ファムに時間稼ぎを任せたエリアルドは最大速度でグノーシスに戻る。
途中で敵機の攻撃を受けるが被弾も無視してグノーシスに帰還した。
帰還の途中の被弾はウェアごと交換するのと同時に格闘戦用のアーマー、クラッシャーアーマーに換装して再出撃した。
敵がビーム兵器の聞かない相手だと言う事で前回での戦闘で装備したバズーカも同時に装備して来ている。
全力で戦場に戻りファムの元に戻ろうとしたが、もう少しで到着する時にモニターにはガンダムZERO Ⅲβがデウストの拡散ビーム砲の集中砲火を浴びて、被弾しているところだった。
ビームはガンダムZERO Ⅲβの頭部や腕や足を撃ち抜いて行き、やがて大きな爆発が起こる。
「ファム!」
「武装を換装して戻って来たのか……丁度良い。次はお前を葬り去る!」
デウストは次の標的をガンダムZERO ⅢCに定める。
デウストの機体の周囲に装備されているビームガンを放ち、デウストは弾幕を張る。
ガンダムZERO ⅢCはシールドとバズーカを捨てて、対艦刀を両手に持ってデウストに突撃する。
「良くもファムを!」
「単機で突っ込んで来るかガンダム……良い覚悟だ!」
デウストは拡散ビーム砲を放ちガンダムZERO ⅢCを迎撃する。
対するガンダムZERO ⅢCは被弾などお構いなしに突っ込んで対艦刀でデウストの腕の一本を切り裂く。
デウストは他の腕でガンダムZERO ⅢCを払いのけようとするが、対艦刀を掌に突き刺し、そのまま拡散ビーム砲を切り裂いた。
「やはりガンダムはイゼルカント様の障害となる! お前はここで!」
デウストは至近距離からビームキャノンを撃とうとしたが、ガンダムZERO ⅢCは対艦刀をビームキャノンに突き刺す。
ガンダムZERO ⅢCはビームガンを至近距離から撃ち込まれて装甲が破壊されていき、対艦刀の突き刺さっているビームキャノンが爆発を起こし、その爆発でガンダムZERO ⅢCの左腕が吹き飛ぶ。
「お前はぁぁぁぁ!」
「貴様はぁぁぁぁ!」
デウストはガンダムZERO ⅢCに拡散ビーム砲を放とうとし、ガンダムZERO ⅢCはその腕に右膝のビームニードルを突き出す。
拡散ビーム砲が放たれる前にビームニードルがデウストの腕に突き刺さり、デウストはそのまま拡散ビームを放ち、ガンダムZERO ⅢCの右足を破壊するが、そのまま掌も破壊される。
「倒す!」
「仕留める!」
ガンダムZERO ⅢCは右手の対艦刀をデウストの腕の一本に投げつけて対艦刀は腕に突き刺さる。
そして、腰のアーマーに内蔵されているハイパービームサーベルを抜く。
デウストは肩の大型ビームキャノンを放ち、ガンダムZERO ⅢCはかわしながら、大型ビームキャノンにハイパービームサーベルを突き刺す。
デウストは肩の大型ビームキャノンを破壊されつつももう片方の大型ビームキャノンを放つ。
その一撃はガンダムZERO ⅢCの頭部を掠り、頭部がその熱で熔解される。
頭部が破壊された事でコックピットのモニターが一瞬、ブラックアウトするがすぐにサブカメラからの映像に切り替わる。
「敵要塞、及び敵大型MS、フォトンブラスターの射程に入りました」
エリアルドとマリオンの激闘が続く中、ディーヴァはドラゴンファクトリーとデウストがフォトンブラスターキャノンの射程距離に入れていた。
「ですが、射程内にアスノ中尉のガンダムも入っています」
だが、ディーヴァがフォトンブラスターキャノンを撃てないのはこのまま撃てば敵要塞と敵MSと同時にエリアルドのガンダムZERO ⅢCも撃ってしまうからだ。
「すぐに下がらせろ」
流石のフリットも自分の甥を巻き込み敵を撃つ事は出来ずに指示を出すが、当然の事ですでに何度もエリアルドには射線上から退避する事を通達しているが、エリアルドには全く届いていない。
そして、エリアルドがどかなければフォトンブラスターキャノンを撃つ事が出来ない。
すでにヴェイガンは要塞を放棄し、撤退を始めている為、時間が経つにつれてフォトンブラスターキャノンによる攻撃で敵に与えられる打撃は少なくなっていく為、フリットは苛立ちを覚え始めている。
「俺が言ってどかして来る。フォトンブラスターの発射タイミングはそっちに任せる」
「頼む」
すでにフォトンブラスターキャノンの射線に入れているのに撃てない事情を理解したウルフがエリアルドの元へと向かう。
ヴェイガンの撤退で敵機は殆ど残っていない為、ディーヴァの防衛からウルフが外れても問題はない。
Gバウンサーはデウストの火線をかわしながら、エリアルドのガンダムZERO ⅢCに突っ込んで、ガンダムZERO ⅢCを無理やり射線上からどかせる。
「逃がすか!」
マリオンはガンダムZERO ⅢCを逃がさないように機体の腕を伸ばすが、Gバウンサーがドッズライフルを放つ。
電磁フィールドのお陰で損傷こそはしないが、ビームの直撃で腕を抑える事には成功している。
「ガンダムとGバウンサーが射線上より退避しました!」
「艦長」
「フォトンブラスターキャノン、発射!」
ミレースの掛け声と共にスタンバイされていたフォトンブラスターキャノンが放たれる。
放たれたフォトンブラスターキャノンはマリオンのデウストに直撃する。
「ここまでか……だが、ただでは死なん!」
電磁フィールドのお陰でフォトンブラスターキャノンの直撃にも少しの時間は耐える事が出来る。
マリオンはその時間で少しでも多くの兵を逃がそうとする。
「兄上……私も……」
電磁フィールドでフォトンブラスターキャノンを耐える事が出来たのは僅か数秒程度で、デウストはフォトンブラスターキャノンによって破壊される。
デウストを破壊したフォトンブラスターキャノンはその後方のドラゴンファクトリーに命中する。
フォトンブラスターキャノンの直撃を受けたドラゴンファクトリーは所々から火を上げて陥落した。
「敵の多くは要塞を破棄して撤退しましたが、どうします? アスノ司令」
「こちらも大きな被害を受けている。追撃したところで被害が増えるだけだ」
この戦闘で連邦軍も大打撃を受けている。
残りの戦力で撤退したヴェイガンを追ったところで更に被害が出る事は目に見えている。
当初の予定のドラゴンファクトリーの陥落と言う最低限の戦果が出ている為、深追いの必要はないとフリットは判断する。
ドラゴンファクトリーの陥落と司令官のマリオンの戦死を持ってドラゴンファクトリーへの反攻作戦は終了した。