アセム達の卒業式から2カ月が経ち、地球連邦軍の入隊式がトルディアで行われている。
式場にはトルディア以外のコロニーからも志願兵が集まっている。
その中にアセムやマリィの他にロマリーの姿も見受けられる。
卒業式の戦闘でアセムだけでなく、マリィとロマリーも偶然ゼダスRのパイロットがゼハートだと知ってしまった。
その後、心境の変化かロマリーは軍に志願し、マリィも整備班からパイロットに転向した。
人手不足の連邦軍はそれを受理し今日に至る。
会場には連邦政府首相のフロイ・オルフェノアを始めとしてビッグリング司令官のフリット・アスノと言った軍や政府の重鎮が顔を揃えている。
だが、本来ならば特研の局長たるクライドも出席しなければならないが、オーヴァンで開発中の新型MSの調整を理由に欠席している。
軍としても膠着状態を打開するために新型機の投入は急務であるため、欠席を認めたがただでさえ評判の悪い特研への風当たりが更に強くなる事を回避するためにクライドの代理で副局長のクラリッサが出席している。
「志の無い者に自由を享受する資格は無い。君たちはこれから起こり得る困難にゆるぎない勇気と正義を持って立ち向かわなければならない。我が軍の輝かしい歴史に恥じない歴史を君たちの手で作り出さなければならない!今こそ、共に戦おう!」
オルフェノアがそう言うと会場は拍手に包まれる。
オルフェノアの演説が終わると今度はマイクの前にフリットが立つ。
「地球連邦軍総司令部ビッグリング指令、フリット・アスノだ。これより配属辞令の交付を行う」
そして、新兵達はそれぞれの配属先が交付され、正式に地球連邦軍の軍人となる。
入隊式が終わりアセムとマリィは配属先のディーヴァが入港している宇宙港に来ていた。
アセムの搭乗機のガンダムAGE-1はディーヴァに搭載されてこそ意味がある為、ディーヴァに配属となる事はアセムの入隊前からの決定事項だった。
ディーヴァのMS隊はドラゴンファクトリーでの戦闘で半数近くが落とされており、残ったラーガンらも前線に転属となり、ガンダムAGE-1の配備と共にMS隊も新編成する事になっている。
その中にマリィも含まれている。
「アレがディーヴァ……」
「フォトンブラスターキャノンが搭載されてるんだよね」
アセムもマリィもディーヴァの事は歴史の時間で習っている。
25年前にアンバットを落とした戦闘での旗艦として運用された戦艦である事は連邦軍が改変した偽りの歴史でも変わっていない。
アセムは25年前に父の乗っていた戦艦に自分も乗る事に何とも言えない緊張感を持つが、マリィはディーヴァよりもディーヴァに搭載されているフォトンブラスターキャノンの方に興味を持っている。
「撃つところを間近でみたいなぁ」
「そんなにすぐに大規模な戦闘にはならないだろ」
ディーヴァのフォトンブラスターキャノンは威力が高い為、使うとなればそれなりに戦闘になるが、少なくとも新人が二人配属されいる戦艦にすぐにそこまでの戦闘はないだろう。
「ちぇ……」
「アンタがアセム・アスノ?」
マリィが心底残念そうにしていると後から声をかけられる。
「そうだけど。君は?」
「私はアリーサ。アリーサ・ガンヘイル。アンタと同じ期待のルーキーだよ」
アリーサはそう言ってアセムを値踏みするように見る。
「えっと……何で俺の事知ってんの?」
「そりゃ、総司令殿のご子息が軍に志願するってのは話題性があるから、噂にでもなってんでしょ」
アセム自身は余り興味はないが、アセムが軍に志願した事は有名な話となっている。
更には搭乗機が蝙蝠退治戦役で多大な戦果を上げた二機のガンダムのうちの一機だとすれば尚更だ。
「そう言う事。そっちのアンタは?」
「マリィ・アスノ。これの従姉弟よ。ここにいるって事はアリーサもディーヴァの配属?」
アリーサは自分でアセムと同じと言っていると言う事はディーヴァに配属となっているのは間違いない。
「従姉弟って事はあのアスノ局長の?」
「多分、その局長の娘。てか、良くうちのパパの事知ってるわね」
「うちのオヤジも軍で技術職やってるからさ」
クライドはフリットと違って知名度に差がある。
軍の実質トップのフリットの知名度は高いがその兄のクライドとなると総司令の兄程度の知名度であるところもあれば、軍の中でも最上級の設備の揃った特別技術開発研究所の所長で地球圏でもトップクラスの技術者であると言うくらいに差がある。
大抵は前者だが、民間や軍に限らず技術系の人間ならば大抵は後者で名高い。
アリーサは父親が技術職についている為、クライドの事は後者で知っている様だ。
「ふぅん」
「それよりさ、うちのオヤジはアスノ司令とは幼馴染でさ……つまりはアンタのオヤジとうちのオヤジはダチって訳。だから、私達も仲良くしないとな」
「すっごい理屈」
親同士が友達だからと言って子供同士が友達になる必要は何処にもない。
「細かい事は気にすんなってマリィはやっぱ整備士?」
「私もパイロットよ」
「そっか。だったらこれからよろしくな。アセム、マリィ」
アリーサの勢いにアセムもマリィも押され気味ではあったが、新しい環境で新しい仲間と出会う。
トルディアで軍の入隊式が行われている頃、ヴェイガンの大型母艦ダウネスに帰投していた。
そして、今ブリッジに火星圏のイゼルカントからの通信を受けていた。
「長きに渡る。潜入任務御苦労だったな。お前に入手したデータによって戦局は我らに傾くであろう」
「しかし、私は任務は果たせずに戻って来ました」
トルディアに潜入している間にゼハートは連邦軍の情報を集めて持ち返る事には成功したが、本命のガンダムの鹵獲、もしくは破壊の任務をこなす事が出来ずに逃げ帰って来た。
「気にする事は無い。アレは特殊な物だ。ゼハート・ガレット……お前に地球制圧軍の司令官を任せる」
「ありがたき幸せ。イゼルカント様の為に今度こそご期待に添える様に戦います」
前司令官の戦死から半年近く経つが、未だに次の指揮官が決まっていなかったが、イゼルカントはゼハートを指名した。
そして、ゼハートは潜入任務での失敗を取り戻すために指揮官となる事を受け入れる。
地球制圧軍の司令官に任命されたゼハートはダウネスの乗組員を一か所に集めた。
これから、自分が正式に司令官になった事を乗組員に公表するためだ。
乗組員達は集められた理由に心当たりがなく、困惑気味で待っている。
ゼハートは乗組員の前に出る。
「今日から、地球制圧軍の司令官となるゼハート・ガレットだ。よろしく頼む」
ゼハートがそう言うと乗組員がざわめきだす。
この反応は当然の事でゼハートも分かっていた事だ。
半年近くもの間不在だった司令官の地位に年も若いゼハートがついたのだ困惑するのも当然と言える。
「突然、この若造を司令官だと言われても受け入れられないのも無理はない」
「その若さで司令官となる事に妬む者もいましょう」
ゼハートの補佐に任命されたダズがそう言う。
ゼハートはXラウンダーとは言え18と言う若さで司令官に任命されたのだ、指導者のイゼルカントの指名であっても、ヴェイガンの兵士
も人間である以上、若くして司令官に昇進したゼハートを妬むのは当然だ。
「それにそう簡単にマリオン前指令の死を受け入れる事も出来ないのであろう」
ゼハートは乗組員に交じり、ゼハートを睨みつけているエルピディオに気づいてそう言う。
エルピディオだけでなく、他にもマリオンを慕っているが故に後任のゼハートを司令官として受け入れる事が出来ないと言うのも理由の
一つであろう。
「ならば、まずは功績を持って信頼を勝ち取って見せるとしよう」
司令官である以上、部下から信頼される事が絶対条件でその為には実戦で戦果を上げなければ部下は自分を司令官だとは認めはしないだ
ろう。
ディーヴァに乗艦した三人は艦の内部をまともに見学する暇もなく格納庫に呼び出された。
アセム、マリィ、アリーサの他にも新人同然のマックス・ハートウェイとトルディア基地からの転属のオブライト・ローレインが並んで
いる。
格納庫にはAGEビルダーの他にディーヴァの搭載機であるジェノアスⅡが一機、アデルが二機にGバウンサー、アセムのガンダムAGE-1にマリィのGエグゼスが置かれている。
エリアルドがガンダムZERO Ⅲαに乗った事で乗っていたGエグゼスはパイロット不在でトルディア基地に置かれていた。
ウルフが乗っていた時のままであった為、操縦性の悪いピーキーな機体でトルディア基地でもエリアルドしかまともに乗りこなす事が出来なかったので、機体を遊ばせていた。
だが、マリィが軍に入隊する前にマリィが乗りこなせて見せた為、マリィの搭乗機としてディーヴァに配備されている。
武装などは変更はないが、機体の色が白からジェノアスⅡやアデルのように青と白のツートンに変更されている。
その為、ディーヴァのMS隊の隊長として赴任して来たウルフが艦長のミレースに抗議し、先ほどまで艦長室で口論していた。
「全員揃ったな。俺がディーヴァのMS隊を仕切る隊長のウルフ・エニアクルだ」
ウルフがそう言うとアリーサがアセムに耳打ちする。
「上に煙たがられてる荒暮れらしいぜ」
「確か、パパのところに飛ばされたって聞いたけど」
「お前かこの前の戦闘でガンダムに乗っていた奴は」
ウルフはアセムの前に来てそう言う。
2か月前の戦闘の時にはすでにウルフはトルディア基地に転属となり、あの戦闘でコロニーの外から入りこんだドラドの迎撃に出ていた。
その時にアセムとゼハートの戦闘の終盤は目撃していた。
「向こう水なところは親父にそっくりだな」
「そうですか?」
「お前も暫く合わない内にクライドの奴に似ちまって」
「そんなに褒めないで下さいって」
ウルフは皮肉ったつもりだが、当のマリィは褒め言葉として受け取っている。
「父を知ってるんですか?」
「まぁな。お前の親父達兄弟とは昔からの付き合いでな。まぁ、そんな事は今はどうでも良い。俺はお前たちのボスだ。戦場では俺の指示は絶対だ。良いな?」
ウルフの言葉にマリィ以外は揃って返事をして、マリィだけは気だるそうに返事をして、ディーヴァのMS隊の顔合わせは終わる。
「やばいよ。ウルフ隊長の下にいると命がいくつあっても足らないって話だぜ」
顔合わせが終わり、ウルフはディーヴァの整備班長のディケの元に向かい、ウルフ隊に配属されたパイロット同士は交友を深めるためも兼ねての雑談をしている。
「でも、昔は白い狼って軍でも一目を置かれた凄腕のパイロットって話ですよ」
「今はどうなんだろ?」
ウルフは蝙蝠退治戦役でガンダムに劣るとも勝らない戦果を上げているが25年もの前の話だ。
今では50近くになっている為、腕は落ちていてもおかしくは無い。
「パイロットとしてはうちのパパの作った試作機をまともに動かせるから良いと思うわよ」
クライドの作る試作機は操縦性に難がある為、並みのパイロットでは扱えない物が多いが、ウルフはそれを扱えると言う事はパイロットとしての腕は確かである証拠だ。
「だけど、スケベなおっさんよ。前にうちのパパとお酒を飲んだ時に私、延々と良い女の条件を聞かされたわ。ついでにレーサー時代の女性歴を自慢してたわ」
「うわぁ……」
パイロットとして優秀である事は間違いないのだが、マリィの幼少期にクライドと酒をかわした時に羽目を外し過ぎたウルフはマリィに良い女(但し、男目線で)とは何たるかを延々を語り更にはウルフが軍に入る前のレーサー時代の中でも最もモテいた次期の自慢話をした事がある。
当時はマリィも幼かった為、途中から言っている意味が理解出来なかったが、エリーゼが強制的に終了させ、今ではとても子供に聞かせる話で無い事だった事は理解出来る。
「俺はウルフ隊長の部隊にいた事がある」
マリィの暴露から話が変な方向に進みそうだった為、今まで会話に参加していなかった、オブライトが口を挟む。
「模範的な軍人とは言えないが、隊長としては最高だ」
確かにウルフは軍人としてはお世辞にも模範的とは言えない。
だが、パイロットとしての確かな技術となんだかんだで面倒見の良い性格はしている為、直接的な上官である隊長としては最高であると以前にもウルフの下にいた事のあるオブライトは自信を持ってそう言える。
「ガンダムを乗せた連邦軍の戦艦がトルディアから移動しました」
司令官に就任したゼハートは手始めにトルディアでやり残したことを終わらせる為にトルディアを監視していた。
ディーヴァは蝙蝠退治戦役でもガンダムの母艦として運用されていいた戦艦だ。
その為、今回もガンダムを搭載している可能性が高い。
「これがディーヴァか……」
「進路から行き先はビッグリングかと思われます」
「輸送艦か……ディーヴァとランデブーするつもりか」
ディーヴァの進路はビッグリングである事は大かた予想はつく、そして、このまま進むと連邦軍の輸送艦の進路をランデブーする事になる。
「となると、ディーヴァに補給物資を届けると言う事か……ならばディーヴァが補給を受ける前に一度仕掛けて見るか」
「すぐに出せますのはマサト・ラングレの部隊です」
「そうか。ならば、マサト・ラングレの部隊を威力偵察に出す。ダズ、私も出るぞ」
「しかし、ゼイドラはまだ完成していません」
現在、ダウネスではマリオンのティアーズの姉妹機の一つのゼイドラの建造が進められている。
だが、ドラゴンファクトリーを失った為に完成が遅れている。
「ゼダスRで出る。それと、エルピディオにも出撃命令を出せ」
「ですが……」
「言いたい事は分かる。だが、今回は威力偵察が目的だ。無理をして叩くつもりはない」
ゼダスRはすでにゼハートの反応速度に付いていけない為、ゼダスRで出撃するのは不安要素がある。
「それにそう簡単に兵の信頼を勝ち取る事は出来ない。このくらいはやって見せないとな」
「分かりました。すぐに用意させます」
ダズもゼハートが引く気はない事を知るとゼダスRとMS隊の出撃準備に入る。
ダウネスからMSが発進し、ディーヴァの索敵範囲内に入るとディーヴァも戦闘態勢に入っている。
「良いか、お前らウルフ隊の初陣だ。折角、いじめ甲斐のある部下で出てたんだ。全員生きて帰って来い! 操縦桿にかじり付いてもだ」
ウルフはそう良いウルフ隊はディーヴァより発進する。
「敵はドラドが10機程度だ。量産機が相手だからって油断するなよ。特にルーキーども!」
「はい!」
ドラドは10機だが、内一機は隊長機仕様のドラドLだ。
ドラドは尾のビームライフルを放ち、戦闘が開始される。
ウルフ隊のMSは散開し、ドラドはビームバルカンを放つ。
Gバウンサーはドッズライフルでドラドの腕を撃ち抜いて、更にビームを撃ち込みドラドを撃墜する。
「これが戦場……」
アリーサは初めての実戦の雰囲気に飲まれながらもマックスのアデル一号機と固まりドッズライフルを放つ。
「こんの!」
マリィのGエグゼスは三機のドラドのビームライフルを神がかった動きで回避して、ドッズライフルを放つ。
しかし、その一撃は見当違いの方に飛んでいく。
「外れた!」
ビームを外し、ドラドはビームバルカンや拡散ビーム砲で反撃し、Gエグゼスは全てかわしてドッズライフルを撃つがどれ見当外れの方向に飛んで行って当たらない。
「遊んでいるのか!」
オブライトのジェノアスⅡが後ろからドラドをドッズガンで落とす。
「そんな訳ないじゃない! なんか当たんないの!」
Gエグゼスは敵の攻撃をルーキーとは思えない動きで回避して見せるが、攻撃に関しては素人以下だ。
これは幼少期より、クライドの試作したMSで遊んでいる内にピーキーな機体を扱う事に長けてはいるが、その時は動かすだけで攻撃をし
た事は一度もないため、MSを動かす事に関してはその辺のパイロットとは比べ物にはならないが、攻撃に関しては素人も同然になってしまっている。
更に操縦技術が高い分、射撃の下手さが目立つ。
「兄妹揃って手間掛けさせやがる」
Gバウンサーはドッズライフルでドラドを撃墜する。
「射撃が当たらないってんなら、近接戦闘で仕留めろ」
マリィほどのMS捌きなら敵の距離を詰めて近接戦闘で十分に敵を落とす事は出来る。
Gエグゼスは当たらないビームを牽制代わりに撃ちながら、ドラドに接近してドラドはビームサーベルを振るうが、Gエグゼスはかわして背後を取りドッズライフルの銃口をドラドに向ける。
「この距離なら外さないでしょ」
Gエグゼスは至近距離からドラドにドッズライフルを撃ち込んで撃破する。
ウルフはビームサーベルで近接戦闘を仕掛けろと言っていたつもりだが、白兵戦用の武器よりも重火器を好むマリィは近接戦闘だろうとあくまでも火器を使う事にした。
「たく……滅茶苦茶なところも親父譲りかよ。まぁ良い。アセムは何処だ?」
取り合えず、マリィやマックス、アリーサは固まって互いをフォローし合えば問題は無い。
だが、近くにアセムのガンダムAGE-1の機影は見えない。
「ちっ……敵の狙いはガンダムか」
アセムのAGE-1は単機でドラドと交戦している。
次第に自分達から引き離す様に敵が攻撃している事から、敵の狙いはガンダムを孤立させる事にある。
GバウンサーはAGE-1の救援に向かいたいが、ドラドLが追加装備の小型シールド内に内蔵されている三連ビームバルカンを連射してGバウンサーはシールドで防ぐ。
「こっちもすぐには行けそうにないな……」
「アセム! ディーヴァから離れているわ!」
「分かってる! 分かってるけど!」
ガンダムAGE-1の専属オペレーターとなったロマリーが状況を伝えるがアセムには余裕がない。
ロマリーもアセムとマリィ同様にディーヴァに配属となっていた。
それはディーヴァの要であるガンダムの専属オペレーターとして学生時代からの付き合いがあり、MSクラブでもオペレートの経験のあるロマリーを抜擢する事で互いの信頼関係を気づく手間を省いている。
AGE-1はドラドにドッズライフルを放ち、ドラドは回避して拡散ビーム砲を放つ。
AGE-1は何とかシールドで防ぐ。
すでに友軍機とは離れ、敵の攻撃を防ぐ事でアセムは精一杯だ。
アセムも高校で宇宙遊泳の実習は受けている為、無重力空間での活動は慣れているが、宇宙空間での実戦は初めてだ。
シミュレーターで何度も経験した事はあるが、実際に宇宙戦はまるで違う。
その上、友軍機が人間が乗っている事も初めてであるため、シミュレーションとは何もかもが違う。
「俺だってシミュレーターで練習したんだ……」
AGE-1はドッズライフルを撃つが当たらない。
「何でなんだよ!」
「アセム! 早いMSが二機、そっちに行ってる!」
「アイツは……ゼハート!」
ドラドはウルフ達の方に向かい、代わりに二機のMSがガンダムAGE-1に接近していた。
ゼハートのゼダスRとエルピディオのゼダスSの二機だ。
「分かっていると思うが、あのガンダムは極力落とすな」
「胴体が残っていれば良いん……ですね」
エルピディオもゼハートの司令官就任を認めない一人だが、イゼルカントが直々に任命した以上、以前の様な態度を取る事も出来ない。
「そうだ。胴体が残っていれば多少破壊しても構わん」
「なら、好きにやらせて貰いますよ!」
ゼダスSはビームバルカンを撃ちながらAGE-1に突っ込む。
AGE-1もドッズライフルで応戦するが二機は回避する。
「アセム……」
ゼハートも再びアセムと対峙して複雑だが、司令官に任命された以上、指揮官として認められなければならない。
その為にマリオンが最も信頼していたエルピディオを連れて来た。
エルピディオと共に戦う事で少しでも連帯感を持ち、信頼の第一歩としたかったが、エルピディオはガンダムへの強い対抗心からゼハートを共に戦う気がまるでない事が感じる事が出来る。
「ゼハート!」
AGE-1はドッズライフルを撃ちながら、ゼダスRに突っ込むがゼダスSがビームキャノンで妨害する。
「邪魔をするな!」
「お前は俺が倒してマリアン様への手向けにしてやる!」
ゼダスSはゼダスソードを振るい、ドッズライフルを切り裂く。
そして、ゼダスRはビームキャノンをAGE-1に放ち、AGE-1はシールドで防ぐ。
「うあぁぁぁ!」
だが、シールドはAGE-1の左腕ごと吹き飛ぶ。
「アセム……今度こそ、終わりだ」
ゼダスRはビームサーベルを展開してAGE-1に振り下す。
その一撃はAGE-1の右腕を切り落とした。
「止めだ! ガンダム!」
「止せ! 目的は捕獲だ!」
ゼハートの制止を振り切り、ゼダスSがゼダスソードを振り上げるがビームによってゼダスSの腕が吹き飛ぶ。
「なんだ!」
「敵の増援か?」
「あれは……」
ゼダスSの腕を撃ち抜いたのはストライダー形態のガンダムAGE-2だった。
ディーヴァと合流予定だった輸送艦もこの戦闘は捕捉し、ディーヴァに輸送中のガンダムAGE-2を急遽出撃させた。
ゼハートも輸送艦にMSが搭載されているのであれば、増援として投入される可能性は考えていたが、ストライダー形態の機動性能ならばその予測時間以上の速さで戦場に到着することが出来た。
「アセム。大丈夫だな」
「エリアルド兄さん!」
「大丈夫なら下がれ。ここは俺が抑える」
エリアルドにそう言われて、アセムは大人しく後退する。
「この感じ……あの新型機のパイロット、あのガンダムの奴か!」
エルピディオはAGE-2に乗っているのはガンダムZERO Ⅲαのパイロットと同一人物である事を感じる。
「だったら、お前は殺す! 構わないよな!」
「ああ、あの新型の性能は未知数だ。手加減をする必要はない」
二機は飛行形態に変形するとビームバルカンを撃ちながらAGE-2に向かう。
AGE-2はビームバルカンで二機を牽制しながらMS形態に変形する。
「あの新型もガンダムだと言うのか」
「そんな事はどうでも良い!」
ゼダスSはMS形態に変形させて、ビームサーベルを抜いてAGE-2に切りかかる。
「あのMSはシャルを殺した奴か!」
AGE-2もビームサーベルを抜いてゼダスSの攻撃を受け止める。
「マリアン様の仇を撃たせて貰うぞ! ガンダム!」
「シャルの仇は取る!」
ゼダスRはビームキャノンを放ち、AGE-2は距離を取りゼダスRにハイパードッズライフルを放つ。
「なんて火力だ」
ゼダスRはかわすが、ハイパードッズライフルの威力に驚嘆する。
「エルピディオ、あのガンダムを仕留めるのは協力する必要がある」
「知った事か!」
エルピディオはゼハートの言葉を無視してAGE-2に接近する。
「迂闊に接近し過ぎだ!」
「そんな単調な動きで」
AGE-2はゼダスSのビームサーベルをかわすとゼダスSの腕をビームサーベルで切り裂くとビームサーベルをゼダスSの胴体に突き刺す。
「ちぃ!」
ゼダスRはビームバルカンでAGE-2を牽制しながらゼダスSに接近するとビームサーベルでゼダスSの首を切断し、頭部を回収する。
「これ以上の戦闘は不利か……全機後退しろ」
元より威力偵察だった為、新型機のガンダムAGE-2とこれ以上の戦闘の必要もなく、ゼハートも反応速度が付いてこないゼダスRでガンダムAGE-2と戦っても勝てる保証はないため、ウルフ隊の足止めをしているマサト・ラングレ隊にも後退命令を出す。
「あれが新しいガンダムの性能か……」
ヴェイガンの撤退により戦闘は終了する。