ヴェイガンの攻撃を退けたディーヴァはMS隊を回収し、エリアルドもまた、ディーヴァに乗艦している。
現在は戦闘で損傷したAGE-1の改修と共にMSの整備が行われている。
「すっげえな……新型のガンダムだよ」
「だよね。あの専用の新型ライフルは普通のドッズライフルの二倍の威力らしいよ」
帰投したウルフ隊のパイロットはいつ敵の襲撃があっても良い様にアラートで待機している。
格納庫に置かれているガンダムAGE-2をマリィとアリーサは興味深そうにアラートから格納庫を覗きこんでいる。
「それにアレに乗ってた乗ってマリィの兄貴だろ?」
「見たいね」
エリアルドは帰投後すぐにウルフと共にミレースのところに出頭している為、ディーヴァでは顔を合わせてはいないが、AGE-2に乗っていた事は聞いている。
「アスノ中尉か……」
「オブライト中尉はお兄ちゃんを知ってるんですか?」
「まぁな。俺もトルディア基地にいたからな」
オブライトのディーヴァに配属される前はトルディア基地に配属されていた。
エリアルドはトルディア基地のエースパイロットであった為、トルディア基地に居れば名前を耳にする事は多い。
オブライト自身はエリアルドとは同じ隊にいた訳ではないが、演習で顔を合わせる事は数回あり、面識がない訳ではない。
「それにトルディアに居れば知らない奴の方が少ないぞ」
「だよね。あれでも一応は凄いらしいからね」
トルディアではヴェイガンの襲撃時にアセムがガンダムAGE-1に乗って戦った事を隠すためにエリアルドがヴェイガンを撃退したと言う情報操作を行っている為、トルディアでエリアルドの事を知らない方が少ない。
「それでこの新型機には誰が乗るんだろう」
「多分、アセムだよ。あの機体にはAGEシステムが搭載されているから」
「俺?」
「AGEシステムはアセムの乗っているAGEデバイスとディーヴァに乗っているAGEビルダーがあって初めて真価を発揮するからね。当然、パイロットはAGEデバイスを持っているアセムだろうね」
ガンダムAGE-2はAGE-1とは違い、AGEデバイスがなくても起動は出来る。
AGEシステムを起動せずとも高性能MSではあるが、AGEシステムを起動させれば実戦で戦えば戦う程に戦争を有利に運ぶ新しい武器の設計図を生み出す事が出来る。
それを使わない手は無い。
「俺の新しいガンダム……」
アセムは格納庫に置かれているガンダムAGE-2を見る。
新型のガンダムを新兵であるアセムに与えると言う事は周りからは贔屓だと言われる事になるが、すでにそれは慣れているし、自分がフリット・アスノの息子である以上、一生付き纏う事なので諦めている。
だが、このガンダムAGE-2で戦う事はこの戦争を終わらせる為に必要で重要な事でである。
フリットにこの機体を預けられると言う事はそれだけ自分が期待されていると言う事だ。
その事実が否応なく、アセムにのしかかる。
「成程……そう言う事」
エリアルドは艦長室でミレースに事情の説明を行っていた。
ミレースもビッグリングでの途中で補給を受ける事は聞いていたが、新型機が配備される事までは聞いていなかった。
その理由として敵に情報が漏れないように新型機が配備されると言う事は伏せていたからだとエリアルドに説明された。
「それにしても……あの新型のガンダム。RGライダーの……」
「はい。ラファルグ少佐の残したデータを組みこんでいます」
ウルフはガンダムAGE-2とRGライダーが似ている事には気づいている。
それがRGライダーの可変機構が取り入れられている事を知り納得する。
「それでガンダムAGE-2はこのままディーヴァの搭載機と言う事で運用しろと言う事ね」
「そう聞いています」
「お前はこれからどうする。ディーヴァには予備のMSは無いぞ」
「自分はアスノ伍長が搭乗していたガンダムAGE-1に搭乗します」
アセムがAGE-2の専任パイロットになれば、必然的にAGE-1のパイロットが不在となる。
だが、AGE-1はAGE-2のようにAGEデバイス無しで起動させる事は出来ないが、その自体はクライドの方でも把握している為、エリアルドはAGE-1をAGE-2同様にAGEシステムを起動させていない状態で動かせるようにする方法をディーヴァの整備班長のディケに伝え、AGE-1の修理と並行してAGEシステムの凍結作業を行っている最中だ。
「ビッグリングまでは自分の少佐の指揮下に入るように指示を受けています」
「そいつは助かる」
今のウルフ隊にはウルフ以外に実験経験が豊富なのはオブライトくらいだ。
実験経験の少ないアリーサとマックスは自分のフォローが必要で、マリィは大人しく編隊を組んで戦う性格で無い為、オブライト以外にも実戦経験の豊富なパイロットが必要だとは思っていたところであった。
「分かりました。アスノ中尉。貴方を歓迎します」
ミレースはそう言いエリアルドは敬礼する。
ガンダムAGE-2の増援で、アセムのAGE-1を鹵獲する事に失敗したゼハートはダウネスに帰投していた。
先の戦闘でエルピディオは機体を失い、数機のドラドが落とされたが、ディーヴァの戦力の把握は出来た為、威力偵察は成功したと言える。
そして、ゼハートはダウネス内の一室を訪れた。
「入ります。デシル兄さん」
その部屋にはコールドスリープから目覚めたデシル・ガレットの姿がある。
25年前の蝙蝠退治戦役ではXラウンダー専用機のゼダスに乗りフリットやユーリアと戦った少年、デシルはあれから成長し、すでに子供ではなく大人へと成長している。
そして、デシルはファミリーネームから分かるようにゼハートの兄だ。
「久しぶりです。潜入作戦から戻りました。兄さんが目覚めたと聞いたので報告したい事があります」
ゼハートがそう言うとデシルはベットに座り、ゼハートを笑う。
その笑いには弟に久しぶりに会った嬉しさではなく、弟に対する侮蔑を含んでいる。
「潜入任務とは御苦労なこったな。評価の高いXラウンダーともなれば幼少期から自由な権限が与えられて前線で活躍して、雑用などする事もなく温存される。俺のようにな」
その言葉には潜入任務から戻ったゼハートへの労いは全く見られないどころか、潜入任務をやらされていた弟を見下している感じすら見える。
デシルは7歳の時にXラウンダー専用機のゼダスを与えられて地球圏の前線で戦っている。
それは自身のXラウンダーとしての能力が高いと評価された事であるとデシルは考えている。
「才能を見抜いてらっしゃるんだよ。イゼルカント様はな」
デシルはゼハートを完全に見下してそう言っているとアラームが鳴る。
「ゼハート司令官。よろしいでしょうか?」
「入れ」
ゼハートがそう言うと兵士が部屋に入って来るが、デシルにはそんな事よりも兵士の言葉の方が気になっていた。
「各部隊の作戦準備が整いました」
兵士はそう言うと部屋を出て行く。
その様子はまるで兵士が指揮官に報告するかのようだ。
「兄さんはコールドスリープで寝ていた為、報告が遅れましたが私は地球制圧軍の司令官をイゼルカント様より任されました」
ゼハートはそう言い部屋を出て行く。
「司令官だと……ゼハートがだと……」
ゼハートが部屋を出て行くと、デシルは拳を握り締めてゼハートが出て行ったドアを睨みつける。
地球制圧軍の司令官……Xラウンダーには一般兵以上の権限が与えられているが、地球制圧軍の司令官よりは権限は下だ。
つまり、それはゼハートが自分よりも上になっていると言う事だ。
弟のゼハートの事を自分よりも下であると見下していたデシルにとってそれは何よりも屈辱的な事であった。
デシルに司令官になった事を報告したゼハートは専用の赤い戦闘艦と他の戦闘艦を二隻引き連れてダウネスを離れている。
再び、ディーヴァに仕掛けるためだ。
時間を開けると更なる増援と合流され、威力偵察の意味が薄れるが、こちらも被害を受けている為、早過ぎても戦力不足となってしまう。
その為、ディーヴァに体勢を整える暇を与えず、早急に攻撃の準備を整えて出発している。
「作戦宙域に到達する前にゼイドラの調整は終わる予定です」
「予定では困る。戦局を左右する作戦だ」
ゼハートの搭乗艦にはゼダスRの代わりに新型機の『ゼイドラ』が搭載されている。
機体自体は完成したが、今はゼハートに合わせた最終調整の途中だ。
ディーヴァを落とす事はこの戦争を大きく左右する作戦と言っても過言ではない。
先の戦闘で新型のガンダムがディーヴァに配備された事は間違いは無い。
その性能はガンダムAGE-1以上であるため、あの機体に対抗するためにはゼイドラが必要不可欠となる。
「進化するMS……ガンダム。このガンダムの胸部にはAGEシステムと呼ばれるシステムのコアが搭載されている事が分かっている」
ヴェイガンでも連邦内部のスパイからフリット・アスノの開発したガンダムにAGEシステムと呼称されている特殊なシステムが搭載されている事を掴んでいる。
そのシステムは長期的な目で見ればヴェイガンにとっては非常に脅威的な存在となる事は間違いは無い。
「我々の目的はこのAGEシステムの鹵獲、もしくは破壊にある」
「その様なシステムが存在するとは……我々の予測を超えています」
「連邦軍でもAGEシステムのコピーは出来ないとされている。流石はアスノ家と言ったところだ」
アスノ家の技術力はヴェイガンの技術力と対等の物として見ている。
しかし、その技術力が高いが故に、連邦軍ではAGEシステム搭載機の量産が出来なくなっている。
「つまりは、このガンダムを抑えてしまえば連邦軍にAGEシステムは無くなる」
AGEシステム搭載機が連邦に無くなれば、後はアスノ家の技術を受け継いだクライドだけが、連邦軍のMS開発に置いて脅威と言えるが、特研に入り込んでいるスパイの情報によればクライドは戦争に勝つためにMS開発を行っている訳ではなく、完全に自分の趣味の域でMS開発を行っている為、開発される兵器の殆どが実戦で使える物ではないと報告を受けている。
その為、現在最も危険視するべきなのはAGEシステム搭載機だ。
そして、AGEシステム搭載機は二機は存在出来ない為、狙うべきは新型機の方だとゼハートは睨んでいる。
「新型のガンダムを搭載した戦艦の予想進路ですが……」
「待て」
ダズが宙域図にディーヴァの予想進路を表示する。
そこにはディーヴァの目的地であるビッグリングへの最短距離が記されている。
だが、ゼハートはそこから少し離れた岩礁宙域の事が妙に気になっていた。
ゼハートが妙に気になっていた岩礁宙域にはディーヴァが航行していた。
敵の攻撃が威力偵察であった場合、確実にもう一度仕掛けて来る事は予想出来る。
それも威力偵察から得た情報で確実にディーヴァを沈める事の出来る戦力を投入してだ。
その攻撃を避けるためにもディーヴァは少し遠回りになるが、索敵システムの能力が落ちる岩礁宙域を航行している。
「アセム……聞いているのか?」
「御免……聞いてなかった」
その道中でアセムはガンダムAGE-2に乗り、テストで最も長い時間AGE-2に乗っていたエリアルドから機体のレクチャーを受けている。
だが、アセムは前の戦闘でゼハートと交戦した事を思い出していた。
ゼハートがヴェイガンの人間で自分は連邦軍の軍人である以上は自分とゼハートは敵同士である事は分かっている。
だからと言ってそれを簡単に割り切るにはアセムには出来はしない。
「もう一度説明する。AGE-2はストライダー形態と呼ばれる飛行形態に変形することが可能な可変MSだ。この時の推力はMS形態の約3倍。MS形態の時と同じ感覚で動かせば障害物に激突する。だから慣れない内は余りストライダー形態を多様しない方が良い」
アセムは黙ってエリアルドの説明を聞き、頭に叩き込む。
そうしていた方が余計な事を考えないで済むからだ。
「メイン装備のハイパードッズライフルは通常のドッズライフルの二倍の威力を持つ。コイツを使えば複数の敵を同時に撃ち抜く事も、障害物ごと敵を落とす事も可能だ。だが、威力が強い分、友軍機や母艦の位置にも気を使わないといけない。下手に位置取りをすると味方まで撃ち兼ねないからな」
「分かった」
アセムはエリアルドの雰囲気に戸惑いつつも、必死に覚える。
エリアルドの雰囲気はトルディアにいた時とは違う。
トルディアにいた時は真面目ではあったが、アセムにとっては兄の様な存在でエリアルドからも弟のように思われていた。
だが、今はそんな感じがまるでしない。
アセムは非番の時のエリアルドしか知らず、これが軍人としてのエリアルドで自分の事は弟分ではなく、同じ軍人として見ている事だと納得する。
「位置取りが難しい場合はビームサーベルで対応しろ。コイツに装備されているビームサーベルは新型だから威力もAGE-1の奴よりも上がっているし、MS形態でも十分に敵に接近出来る」
エリアルドが機体の説明をしていると、艦内に警報が鳴り響く。
「どうした?」
エリアルドはAGE-2からブリッジに通信を入れて状況を確認する。
「敵MSを補足しました。中尉もMSで待機してください」
「分かった」
状況を把握すると、エリアルドはAGE-2から離れる。
「ディケ中尉。AGE-1は出せますか?」
「整備も完璧にしてある。すぐにでも出せる!」
「助かります」
AGE-1のAGEシステムの凍結作業と修理が終わっている事を確認したエリアルドはガンダムAGE-1に乗り込む。
ゼハートはディーヴァが岩礁宙域を通ると網を張り、ディーヴァはまんまと網にかかってしまったようだ。
敵を補足したディーヴァは戦闘態勢を取る。
ディーヴァが捕捉した敵MSの数は20機を超え、確実にディーヴァを沈める気で攻撃している事は明らかである。
その為、実戦経験の少ないパイロットは緊張している。
「新しいガンダムならやれる……俺だって……」
アセムはそう自分に言い聞かせる。
ガンダムAGE-2の基本スペックは今までのAGE-1を遥かに上回っている。
前の戦闘で宇宙での戦闘の感覚も掴んでいる。
「ガンダムAGE-2。アセム・アスノ……行きます!」
ディーヴァからMSが発進されて、ヴェイガンの迎撃に向かう。
「この感じ……ウルフ隊長! 後方からまだ来ます!」
「おいおい……マジかよ」
エリアルドが敵MSの後方から接近する気配を感じている。
そして、レーダーに映るそのMSは接近するドラドらの三倍近い速度で接近している。
岩礁宙域では敵MS以外にも岩礁に当たらないように行動しなければならない為、MSの移動速度は通常よりも落とす事が多い。
だが、その敵機は通常の移動速度よりも早い。
つまりはその機体は高い機動性を持ったMSでパイロットはその機動力を維持しつつも岩礁を速度を落とす事なく避ける事の出来る技術を持っていると言う事になる。
「お前ら! 敵はそいつだけじゃないぞ! 気ぃ抜くなよ!」
通常のMSの三倍近い速度で接近する見確認のMSは脅威だが、それだけではなく敵MSは20機も接近している。
Gバウンサーはドッズライフルを放ち、接近している敵部隊もビームバルカンを放ち、戦闘が開始される。
「俺だってやれる……この前の見たいには行かない!」
ガンダムAGE-2はハイパードッズライフルを放ち、岩礁を撃ち抜いて岩礁に隠れていたドラドを撃ち抜く。
「やった!」
「アセム! 奴がそっちに行ったぞ!」
見確認のMS『ゼイドラ』は岩礁宙域を高速で移動しながらアセムのガンダムAGE-2に接近していた。
ゼイドラに乗るゼハートは機体の反応速度を試す様に岩礁を回避する。
「この機体は私に付いて来る!」
ゼハートはゼイドラの反応が自分に付いて来る事を実感していた。
ゼハートはXラウンダー能力を安定させて、機体に使える機能を持った仮面型のバイザーを付けている。
それにより、安定してXラウンダー能力を使いゼイドラを動かす事が出来ている。
そして、ガンダムAGE-2に接近すると手持ちの火器ゼイドラガンをAGE-2に放つ。
AGE-2は左腕のシールドで防ぐが、小型の火器でありながら威力の高いゼイドラガンを防ぐ事は出来たが、後方に弾き飛ばされる。
「この感じ……はやりパイロットはアセムか!」
ゼハートはAGE-2のパイロットがアセムである事を感覚的に理解する。
だが、攻撃の手を休める事は無い。
ゼイドラはAGE-2にゼイドラガンを放つ。
「あのMS……新型!」
AGE-2はゼイドラの攻撃を回避して、ハイパードッズライフルを放つ。
通常のドッズライフルの攻撃なら腕の電磁装甲で防げるのだが、威力偵察の時に見たAGE-2のハイパードッズライフルの威力は電磁装甲では防げないため、ゼイドラは回避する。
「成程……大した威力だ……だが、当たらなければどうと言う事はない!」
岩礁を簡単に破壊してしまうハイパードッズライフルの威力は脅威的でゼイドラとて直撃を受ければ無事では済まないだろう。
だが、どんなに威力の高い武器だろうと当たらなければ意味がない。
そして、ゼハートのゼイドラはゼハートの反応速度に付いて来る。
自分の反応速度に付いて来ることの出来るMSに乗れば敵の攻撃をかわす事などゼハートにとっては容易なことだ。
ゼイドラはゼイドラガンの先端からビームサーベルを展開して、AGE-2に接近しようとするが、Gバウンサーの横槍が入る。
「逃げ脚も早いじゃないか」
ゼイドラはGバウンサーのビームを回避しながら距離を取る。
「奴の力は雑魚とは段違いだ。エリアルド、オブライト。アリーサ達のフォローは任せる!」
ゼイドラの性能が今までの敵とは段違いである事はXラウンダー能力を持たないウルフも十分に理解出来る。
その為、アリーサ達のフォローをする余裕はない。
「了解」
だからこそ、アリーサ達のフォローはエリアルドやオブライトに任せて、自身はアセムと共にゼイドラを相手にする。
ウルフの離脱で当然、他のパイロットの負担は大きくなる。
アリーサのアデルはシールドで攻撃を防ぎながら後退しつつ、ドッズライフルを放っているが、前方に気を取られ過ぎていた為に後方が疎かになり岩礁に激突する。
それが決定的な隙となり、バクトは接近してビームスパイクを展開するが、マックスのアデルのドッズライフルがバクトの腕を撃ち抜き、バクトの足を止め、アリーサ機が至近距離からドッズライフルを撃ち込んでバクトを破壊する。
「助かりました!」
「アリーサ君! 一緒に戦おう!」
「はい!」
アリーサもマックスも実戦経験が乏しい為、ウルフ達のように単機で敵と戦う事は出来ない。
だが、共に援護し合えば今のように敵機を落とす事は可能である。
「二人とも! そっちに行った!」
マリィのGエグゼスがドッズライフルをドラドに放っている。
だが、相変わらず敵の攻撃を回避するのは上手いが、射撃は下手糞であるため当たらない。
それを見たアリーサとマックスもドラドにドッズライフルを放ち、ドラドを落とす。
「グッジョブ!」
「油断するな。まだ来るぞ」
オブライトのジェノアスⅡがバクトにドッズガンを放ち、牽制しエリアルドのガンダムAGE-1がビームサーベルで切り裂く。
バクトを落としたAGE-1はドッズライフルを放ち、バクトを撃墜すると、ドラドからのビームライフルをかわして、ドッズライフルを撃ち込む。
「すげぇ……」
その様子を見ていたアリーサ達は実戦経験の豊富なパイロットの技量に関心するが、動きが止まり、ドラドに狙われるがジェノアスⅡがドッズガンでドラドの腕を撃ち抜き、体勢が崩れたところにドッズガンを撃ち込んでドラドを破壊する。
「動きが止まっているぞ。的になるぞ」
「はい!」
アリーサ達も気を引き締めて対応に当たる。
ゼイドラとガンダムAGE-2とGバウンサーは睨み合っていたが、ウルフのGバウンサーが初めに動く。
だが、ドラドLを先頭に2機のドラドがGバウンサーの行く手を遮る。
3機の敵機はGバウンサーにビームライフルを放ち、Gバウンサーもドッズライフルで応戦するが、ガンダムAGE-2とは引き離されていく。
「これで邪魔者はいなくなった……行くぞ! アセム!」
ゼイドラは一気に加速してAGE-2に接近し、AGE-2は両手にビームサーベルを持ち応戦する。
ゼイドラとガンダムAGE-2は互いのビームサーベルで切り結ぶ。
二刀流のAGE-2の方が手数は多いが、ゼイドラは確実にAGE-2の攻撃を見切り防ぎ、隙を見つけては反撃する。
アセムも必死に機体を動かしてゼイドラの動きについて行くが、決定打を与える事は出来ない。
敵の動きはAGE-2の動きを完全に見切っているかのようだ。
そして、アセムにはその動きに見覚えがあった。
「お前……ゼハートなんだろ!」
AGE-2はゼイドラに切りかかり、ゼイドラは受け止める。
そして、接触回線にてゼイドラに通信を繋ぐ。
ゼイドラの動きは卒業式の日に戦ったゼダスRの動きに良く似ていた。
そして、ゼダスRは前の戦闘でも出て来ていた。
そうなれば、この戦闘にゼダスRのパイロットのゼハートが出て来ても不思議ではない。
「だとしたら……何だと言うのだ!」
ゼイドラはAGE-2を蹴り飛ばす。
「やっぱり、ゼハートなんだな!」
「私が相手ならなんだと言うのだ!」
「私ってなんだよ!」
「戦いたくないなら、お前が戦場から消えれば良い!」
ゼイドラは左手のビームサーベルを展開させながら加速しAGE-2に向かう。
「引く覚悟もないくせに!」
AGE-2はゼイドラのビームサーベルを真っ向から受け止める。
「私はヴェイガンの為にガンダムを倒す! その為にここにいる!」
「友達だって思ったのは俺だけかよ!」
アセムはゼハートがヴェイガンの人間として敵MSに乗っている事を分かっていてもゼハートを敵だと割り切る事が出来ない。
それはゼハートも同じなのだとアセムは思いたい。
だが、ゼハートは答えない。
「俺だって……このままやられる訳にはいかない!」
父、フリットに新型のガンダムを託された。
その責任は真っ当しなければ、自分はフリットに認めては貰えない。
アセムは自分にそう言い聞かせて戦う。
「その程度で私に立ち向かうのか! ガンダム!」
AGE-2の斬激をビームサーベルでゼイドラはいなしながら、AGE-2をディーヴァから引き離すためにゼイドラは後退する。
「逃がさない! ゼハート!」
AGE-2はストライダー形態に変形して、ゼイドラを追いかける。
「アセム! ディーヴァから離れ過ぎだ! 熱くなり過ぎだ! 頭を冷やせ!」
アセムが周りを見えておらず、孤立仕掛けている為、ウルフがそう言うがアセムは通信を閉じてゼイドラを追う。
AGE-2とゼイドラの二機は岩礁を避けながら移動し、AGE-2はMS形態に変形して両手にビームサーベルを持つ。
ゼイドラもゼイドラガンと左手にビームサーベルを展開してAGE-2を迎え撃つ。
二機は高速で移動し、何度もぶつかり合いながらビームサーベルで切り結ぶ。
AGE-2が右手のビームサーベルを突き出すが、ゼイドラはAGE-2のビームサーベルを蹴りあげて手から離す。
ゼイドラはビームサーベルを振るい、AGE-2も左手のビームサーベルで受け止めるが、受け止めた体勢が悪くビームサーベルが弾かれる。
だが、すぐにハイパードッズライフルをゼイドラに向けている。
一方のゼイドラも胸部のビームバスターの発射体勢を取っている。
二機は同時にビームを放つ。
ハイパードッズライフルのビームとビームバスターのビームはぶつかり合い、巨大な爆発を起こす。
アセムはその爆発でゼイドラを見失う。
その隙にゼイドラは最大加速と共にAGE-2に突っ込んで来ていた。
ゼイドラはAGE-2に最大加速の勢いをそのままに蹴りを入れる。
その渾身の一撃をAGE-2はかわす事が出来ずに直撃を受ける。
「うあぁぁぁぁぁ!」
ゼイドラの一撃をまともに受けたAGE-2はそのまま、後方の巨大な岩礁に叩きつけられる。
AGE-2は目立った損傷は受けなかったが、ゼイドラはAGE-2の首元にビームサーベルを突き付けている。
勝負は完全に決まっている。
「私の勝ちだ。アセム」
ゼハートはアセムに勝利宣言を行う。
ゼハートの言う通り、完全にアセムの敗北である事は明らかでアセムもそれを痛感している。
そして、ゼイドラはビームサーベルを突き刺す。
アセムは目をつぶるが、いつまで経っても何も起こらない為、目を開けるとゼイドラのビームサーベルはAGE-2の胴体ギリギリのところで岩礁に突き刺さっている。
「これがXラウンダーの力だ。お前が戦いに向かないのは甘さだけじゃない」
ゼハートはXラウンダー能力を持つが故にここまで強い。
そして、アセムはその能力の才能がないのか、未だに目覚めていないのかXラウンダー能力を持たない。
それが、ゼハートが言うアセムが戦いに向かない理由だとアセムにはそう聞こえた。
アセムもXラウンダーの話は聞いた事がある。
Xラウンダーはその力を持つが故に戦場で多大な戦果を上げている。
アセムの身近にも父のフリットや叔父のクライド、従姉弟のエリアルドやユーリアもXラウンダーだと聞いている。
皆、Xラウンダー能力を持つからこそ、戦場で戦果を上げていると言う事だ。
「アセム!」
ドラドLらを落として来たウルフがアセムの援護に到着して、ゼハートはAGE-2から離れる。
Gバウンサーはドッズライフルを放ち、ゼイドラをAGE-2から引き離す。
「アセム……二度と俺の前に現れるな」
ゼハートはそう言い捨てて離脱する。
アセムは敗北のショックからゼハートの一人称が先ほどまでの『私』とは違い『俺』に戻っていた事に気づく余裕はない。
ゼハートの去り際の言葉はヴェイガンの兵士としての言葉ではなく、アセムの友人として言っていたのだろう。
ゼハートもまた、アセムと戦う事を完全に割り切れてはいなかった。
そうでなければ先ほどの一撃でAGE-2のコックピットを潰してアセムを殺す事が出来た。
だが、ゼハートはそれをする事なく、圧倒的な差をアセムに見せつけてアセムを戦場から遠ざけようとした。
それはヴェイガンの兵士としてのゼハート・ガレットとアセムの友人としてのゼハート・ガレットとしてその狭間で揺れ動いた結果の選択だったのだろう。
しかし、そんなゼハートの苦悩をアセムは知るよしもなく、アセムの中ではゼハートが自分を見逃した事による屈辱とXラウンダー能力を持たない自分の無力さ、それらから来るゼハートへの敗北感だけが残されていた。