機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第6話

「ユーリア・ミルワードです……」

 

 戦闘を終えたクライド達は安全圏まで離脱すると、アブディエルのブリッジでユーリアの顔合わせとしていた。

 ユーリアが名乗るがブリッジの一同は茫然としていた。

 先の戦闘で共に戦ってはいたが、まさかユーリアが年端もいかない少女とは予想外だったからだ。

 

「えっと……ユーリアは年はいくつなの?」

「ななつ」

 

 そんな中、エリーゼが意を決してユーリアに歳を訪ねる。

 だが、ユーリアの歳を聞き更にブリッジの空気が重くなる。

 

「どうしてあんなところで戦っていたの?」

「分からない」

「お父さんかお母さんは?」

「知らない」

 

 エリーゼの質問にユーリアは感情のない声で淡々と答える。

 

「それでユーリアはこれからどうするつもりなの?」

 

 本来は戦力として確保するつもりだったが、エリーゼは若干7歳の少女を戦場に出す事は流石に気が引けたのでそう言う聞き方をした。

 

「クライドと一緒が良い。クライドは私を外に出してくれるって言ったから」

「そうは言ったが……」

 

 エリーゼは少し非難めいた目でクライドを睨む。

 自分の両親すら知らないユーリアは外に出ても行くところは無く、クライドの言葉は結果としてユーリアに無責任に希望を与える結果となった。

 

「大丈夫。私……強いから」

「MSで戦うつもりなの?」

「それしか出来ないから……」

 

 ここにいる者たちは多かれ少なかれ自分の意思で戦う道を選んだがユーリアは違っている。

 ユーリアは自分で戦う道を選んだのではなく、戦う道しか与えられていない。

 その事実が決して綺麗な生き方をして来た訳ではない、クライド達にのしかかる。

 

「ユーリア……」

 

 そんな、ユーリアをエリーゼは優しく撫でる。

 親を知らないユーリアはエリーゼに撫でられると心なしか嬉しそうにする。

 

「そうなっているとまるで親子みたいだな」

「はぁ!」

 

 その様子を見ていたクライドがポツリと言う、エリーゼがすっとんきょな声を上げてブリッジの空気が軽くなった気がした。

 

「だったら父親はクライドになるんじゃないの?」

「だから何で!」

 

 今度はアルフレッドがそう言い、エリーゼの矛先がアルフレッドに向く。

 クライドとエリーゼの関係は公言こそはしていないが周囲の事実でもあった。

 

「何なら、ユーリアだけじゃなくて、アブディエルの母親になったらどうだ?アブディエルの女でエリーゼが最年長だしな」

「クライド!」

 

 クライドの何気ない一言がエリーゼの逆鱗に触れる。

 アブディエルのクルーの大半は若い上に男の方が多く、エリーゼは現在は21だが、それでもアブディエルの女の中では最年長になってしまう。

 エリーゼは顔を真っ赤にして、クライドの腕を掴んでブリッジから連れ出していく。

 

「お父さんとお母さん……」

 

 皆はエリーゼがクライドを連れ出したことに気を取られていたが、ユーリアは少し嬉しそうにして、そう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で邪魔をしやがった!」

 

 ブラッドは戦闘艦のブリッジに戻ると否や、セリアの胸倉を掴んで問い詰めていた。

 先の戦闘ではガンダムZEROの新しいアーマーのせいで敗北寸前のところだったが、ブラッドからすれば戦いに水を刺されたのも同然で、水を刺したセリアに八つ当たりとしている。

 

「貴女を死なせる訳にはいかなかったわ」

 

 セリアは胸倉を掴まれて、苦しそうにしているがはっきりとそう言う。

 セリアはXラウンダーだが、その能力は一般のパイロットよりも強いと言うくらいでさほど高くはない。

 その為、セリアの役目は戦場でヴェイガンの中でも最強クラスのXラウンダーのブラッドを死なせないことであった。

 だからこそ、後でブラッドの八つ当たりを受けようともあの場はブラッドを連れて引くのがセリアの仕事だ。

 

「それがどうした!」

 

 だが、そんな事はブラッドには関係ない。

 セリアの役目はブラッドも無論知ってはいるが、ようやく自分と互角に戦える敵を見つけたと言うのに邪魔をされて怒りは増すばかりだ。

 

「最強クラスの能力を持ったXラウンダーをこんなところで死なせないのが私の役目よ」

「俺には関係ない!」

 

 ブラッドは怒鳴りながら、セリアをブリッジの床に叩きつける。

 

「うぐっ……」

「ちっ……おい!俺のギラドはどうなっている」

 

 ある程度の怒りを発散し、少しの冷静さを取り戻したブラッドはそう言うと、先程までブラッドの八つ当たりに巻き込まれないように退避していた黒マントの男達がおずおずと出て来る。

 

「はぁ……すでに8割が完成していると聞いています」

 

 ギラドとはヴェイガンが現在開発中の新型のMSで、ブラッドの専用機となる予定だが完成前なので先の戦闘ではブラッドはゼダスを使っていた。

 

「だったら、今から取りに行く。構わないよな?セリア」

「ええ……問題ないわ。あのガンダムとパイロットを相手にするにはギラドを使った方が確実よ」

 

 先の戦闘でXラウンダー専用機として開発されたゼダスが敗北した以上、次の戦闘ではゼダスを上回る性能を持ったギラドを投入した方が確実にガンダムZEROに勝てるとセリアは予測し、ブラッドを死なせない為にも高性能機を使った方が当然良い。

 

「決まりだ。さっさと艦をファ・ボーゼに向けろ!」

 

 ブラッドが怒鳴り、クルーがすぐさま戦闘艦の進路を変える。

 

「待っていろクライド・アスノ……今度はこの俺が勝つ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程ね……ヴェイガン、それが敵の組織の名前って訳ね」

 

 ブリッジから連れ出されたクライドは例の如く、二人の自室で先の戦闘で得た情報をエリーゼに伝えていた。

 クライドは先の戦闘で敵から交信を受けたことをエリーゼに話している。

 

「それにしてもあの可変タイプの新型に人が乗っていたのは驚きね」

「人かどうかは分かんないぜ?単に言葉が通じただけだ。あれだけの兵器を作った組織だ。こっちの言語に合わせただけで乗っていたのはタコみいな奴かも知れないぜ?」

「いつの時代の宇宙人よ……それ」

 

 流石に本気で言ったとは思ってないがエリーゼはクライドの発想の古さに苦笑いをするが、すぐに気を取り直す。

 今までUEはその名が示す通り、未確認の敵だったが、先の戦闘で相手が人間か知性体である可能性が出て来た。

 それは大きな前進ではあるが、同時に取り扱いの難しい事実でもある。

 

「それでそのことはどうする? みんなに伝える?」

「止めておこう。UEに人間が乗っているかも知れないとなると士気に関わる」

 

 一般的にUEは宇宙から来た宇宙人と言われることが多い。

 アブディエルのクルーは場合によっては連邦や海賊などの人間と戦う事もあるが、UEは共通した意識として人類の敵のモンスターとされているため、UEに人間が乗っていると言う可能性があると知れると、戦う事に迷いが出て来る可能性をクライドは懸念している。

 その為、UEは人類の脅威となるモンスターと言う認識の方がクライド達にとっては都合が良い。

 

「そうね……この件に関しては慎重にすべきね」

「すでに、ゼロの通信の記録は削除してある」

 

 戦闘時にブラッドからの通信記録はZEROに残っているため、クライドは帰還する前にその通信記録を消すことで敵に接触を受けたと言う事実を隠蔽していた。

 

「用意が良いわね」

「まぁな」

「それで次はどうするの?」

「そういや、決めてないな……取り合えず、おやっさんのところで武器を調達しないな。ジゼルとアリスが機体を壊したからきちんとした設備の場所で修理したいし……今から工房に行けば少し早いがグラディエーターとジェノワーズの完成するまで工房に厄介になってようぜ」

 

 エリーゼはその考え無しの発言にため息をつくが、武器などの補充は必要なので特に何も言う事なく話を進める。

 

「そうね……ユーリアが戦闘に出るなら、それ相応のMSを用意する必要もあるしね」

 

 エリーゼはユーリアが戦闘に出ると言う以上、ジラではこれからの戦いでは厳しいので、それ相応のMSをせめて用意しておきたい。

 

「何だよ。さっそく、親馬鹿発動か? 止めておいた方が良いぜ。小さい時から高価は玩具を与えるのはさ」

「ハァ……」

 

クライドもエリーゼの言いたい事も分かってはいるが茶化すような言い方にエリーゼは再度ため息をつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……どうしたものかな……」

 

 アブディエルの格納庫でエミリオは装甲を外し、フレームが剥き出しとなっているZEROの前でZEROのデータを見て唸っていた。

 ZEROが帰投後の整備を任されていたが、いろいろと問題が山積みな為、出来ればクライドの助言も欲しいところだが、これしきの事でクライドの手を煩わせたくないと言う思いもある。

 

「何唸ってんだよ。それよか、アタシのジェノアス・キャノンの修理が進んでねぇぞ」

 

 そこにジゼルがレオナールを引き連れて来る。

 

「そりゃ、ジゼルのジェノアス・キャノンは整備を補給を優先しているから修理はしてないからね」

 

 ジゼルのジェノアス・キャノンは先の戦いでゼダスにやられた損傷が直っておらず、修理をしている気配も無い。

 

「そんなに酷いんですか?ジゼルさんの機体の状況は?」

「そんなことないよ。左腕は直すよりも腕ごと新しい左腕に取り変える方が早いし、サマーウォールで予備パーツを搬入してるから、部品も足りてる。だけど、問題はゼロの方だよ」

 

 ジェノアス・キャノンの損傷は新しいパーツに変えた方が断然速いが、それ以上にガンダムZEROの方が深刻なのでジェノアス・キャノンはすぐに戦闘になろうとも最低限の戦闘が出来る程度の修理しかされていない。

 

「アニキはそこまで酷くやられてないだろ?」

 

 ジゼルがそう言うと、エミリオは持っていた端末を二人に見せる。

 

「見てよ。前の戦闘でブリーズを使ったから、こんなに機体に負荷がかかってるよ」

「一度の戦闘でこんなにですか?」

 

 端末に映されているZEROの状態は一度の戦闘での負荷とはとても思えないレベルと記されている。

 

「ブリーズの機動力が高過ぎてその分、機体にかかる負荷が膨大だと思う。あの機動力は圧倒的だけど、多用すれば遠からずゼロは修復不可能になるかも知れない」

 

 ブリーズアーマーの高い機動力はZEROのフレームにかける負担はノーマルアーマー以上で、一度の戦闘でも相当な負荷をフレームにかけていた。

 

「マジかよ……」

「だけど、師匠もアーマーを設計した時にある程度は予測していたみたいだから、ゼロのフレームの強化プランも立てているみたいだから、そこまで深刻な事態って訳でもないんだけどね」

 

 ZEROのブリーズアーマーとグラディエーターアーマーはノーマルアーマーと比べると特化した性能を持つが、それ故に機体への負荷が大きいことは設計当初からの問題点だった。

 だからこそ、ZEROの完成後もその問題を補うように日々改良プランをクライドは考えている。

 

「なら安心って事だろ?」

「そこまで単純でもないよ。そのプランに必要なデータを得てないからね。今回の戦闘でブリーズ装備時の負荷のデータを得たけど、グラディエーター装備時のデータは当たり前だけど、まだないからね。最低でも一回はグラディエーターを装備して戦闘しないとね」

 

 幾ら、改良プランを考えていても、実際にかかる負荷は計算上のものしか揃っていないため、実際にプランを立てるには実際に使って出たデータを使わなければ意味がない。

 そして、今回のデータだけでも意味が無く後数回は改良せずに使わなければならない。

 

「なんか大変ですね」

 

 機体への負荷の少ないノーマルアーマーはともかくとして他のアーマーを使う度にこうして大々的な補修作用が必要となってくれば、整備班の負担も大きい。

 

「まぁね……師匠の設計したガンダムZEROは高性能だけど、現状でその性能をフルに発揮するための技術が追いついてないって感じかな。だから、コツコツとデータを集めて改良して行かないって訳。だけど、まぁ……MS鍛冶としてはそう言ったデータを使ってゼロを進化させて行くのは少し面白いとは思うけどね」

「そう言うもんか?」

「そう言うものだよ。早いところ、ゼロの整備を完了しないといけないから、用がないなら手伝うか、邪魔にならないようにしてよ」

 

エミリオはそう言って、視線を端末に戻して、ジゼルとレオナールを片手で追い払い作業に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘匿通信が入っている?」

 

 ウインターガーデンでの戦闘から数日が経ち、マッドーナ工房を目指していたアブディエルに秘匿回線での通信が入っていた。

 

「秘匿回線ね……誰だ?」

 

 通常回線ではなく、秘匿回線での通信と言う事はその回線を知っている人間は限られている。

 

「どうする。クライド?」

「面倒な予感がする。無視の方向で……」

「そう言う訳にも行かないでしょ。アルフレッド、繋いで」

「了解」

 

 クライドを半ば無視する形でアルフレッドが秘匿回線を繋ぐ。

 

「いつまで待たせるつもりだ。さっさと出やがれ」

 

 モニターには40代くらいの厳つい男が映されている。

 

「キャプテンドレイク……アンタかよ。と言うか何で秘匿回線のコードを知ってんだよ」

 

 クライドは通信の相手の事を知ってはいたが、秘匿回線のコードを教えた記憶はない。

 

「それは、僕が前に会った時にキャプテンに教えたからだよ。ドレイク海賊団の情報網は役に立つと思ったからね」

 

 アルフレッドはクライドにそう言う。

 モニターの中の人物、ヘンリー・ドレイクはこの辺りと始めとした宙域を取り仕切っている2大海賊の1つのリーダーをしている。

 ドレイク海賊団は戦力こそはパラダイスロストのMSの質には足元にも及ばないが、海賊団の中ではトップクラスの戦力を持ち、多くの海賊団を傘下に入れ、その情報網も広く持っている。

 それ故に前に接触した時にアルフレッドが独断でパイプを作っていた。

 この広い宇宙では戦力や資金だけでなく広い情報網も必要な力となっている。

 その為、広い情報網や伝手を持つドレイク海賊団との繋がりは、情報網に乏しいパラダイスロストとしては非常に魅力的な物だ。

 

「それでキャプテン、俺達に何のようだ?世間話をするために秘匿回線で通信を寄こしたんなら、流石に切れるぞ」

「生憎と俺達もそこまで暇じゃないんだよ。通信をの訳だが、お前ら少し時間があるか?あるなら、コロニー『ブライド』に来て欲しい」

「ブライドね……悪いが、今の俺達の場所からじゃ距離がある。その上、俺達はマッドーナ工房による予定だ」

 

 現在、アブディエルが航行している宙域とヘンリーが指定したコロニー『ブライド』とはそれなりの距離がある。

 そこまでの道中では別のコロニーを経由する必要もあり、はっきり言って面倒だとクライドは感じている。

 

「わざわざ、秘匿回線で通信を送る位だ。それなりの用事なら要件次第では行かないこともないぜ?」

「この通信が傍受されている可能性も否定できない以上、この場で話すことは出来んが、そこまで急ぎと言う訳でもないからな。工房によった後でも構わない」

「成程ね……こっちも、その次の目的地が決まっている訳でもないからな。工房を出る時に行き先が決まって無かったら向かうが、それで構わないな?」

 

 ある程度の時間が経っても構わないと言うのであれば、急ぎの用事もある訳ではなく、次の目的地も決まっている訳ではないので、ドレイク海賊団と接触するのも悪くない。

 

「それで良い。お前たちが来ることを期待するぞ」

 

 ヘンリーはそう言い秘匿回線を閉じる。

 

「さてと……次の目的地候補が決まったが、意見は?」

「僕は構わないと思うよ。キャプテンの用事が何かは分からないけど、聞くだけの価値はあると思う」

「私も同意見よ。どの道、次の目的地も決まってない訳だし、何の目的もなくマッドーナ工房を出るよりかは目的があった方が工房で必要と思われる装備を仕入れることも出来るしね」

 

 エリーゼとアルフレッドも異論がないとなれば、次の目的地は決まったも同然である。

 

「決まりだな。となると、そこまでの進路か……マッドーナ工房は今はどの辺りだっけ?」

 

 クライドは周囲の宙域図を出してそう言う。

 マッドーナ工房の大型ドック艦は移動しており、その位置によってはブライドまでの航路を変えなければならない。

 

「確か、ファーデーン方面に行くって言っていたから……この辺りかしら?」

 

 エリーゼは前に聞いていた情報を元にマッドーナ工房の大型ドック艦の位置を予測する。

 

「その辺りで合流してブライドに向かうルートで連邦と遭遇しないルートだと、ミンスリーを経由が安全だと思うけど、クライドはどう思う?」

 

 ミンスリーは連邦に加盟していない為、運悪く連邦軍と遭遇しない限りは連邦軍と交戦する可能性は低い。

 

「それだと確かに安全かも知れんが、時間がかかるだろ?」

「だけど、仕方がないよ。僕達は連邦からも追われる立場なんだよ」

 

 パラダイスロストは対UEを目的に掲げて出来た組織だが、場合によっては連邦軍と交戦になることも多く、一般的に海賊やテロリストとされている。

 だからこそ、アルフレッドは連邦軍と遭遇する確立の低いルートを出したが、目的のブライドまでは遠回りとなる為、どうしても時間がかかってしまう。

 

「それは分かってるが、あまり時間をかけ過ぎてキャプテンが来ないと判断して、コロニーを去られてもそれはそれで寂しいものがあるだろ?秘匿回線だっていつも出来るとは限らないんだし」

 

 呼び出したのはヘンリーだが、クライドも必ず行くとは返事をしていないので、あまり時間をかけ過ぎるとヘンリーも来ないものだと判断し、ブライドを出て行く可能性も十分あり得る。

 その後で、ブライドに到着しても無駄足にしかならないため、時間をかけ過ぎる訳にもいかない。

 

「ミンスリー経由が駄目なら、サザーランドポートを経由するか、ルーアンを経由するルートが比較的連邦と交戦する確立の低いね」

「ルーアンの近くには宇宙要塞アンバットがあるわね。アンバットはバッカニア海賊団が根城にしているって噂を聞いたわ。ドレイク海賊団寄りの私達が近よれば、狙われる危険性が高いわね」

 

 バッカニア海賊団はドレイク海賊団と二分する海賊団で昔からドレイク海賊団とは犬猿の仲である為、ドレイク海賊団との繋がりと持つパラダイスロストは彼らからすれば敵に近い。

 その上、バッカニア海賊団は特定の拠点を持たずに宇宙を航海しているドレイク海賊団とは違い、破棄された宇宙要塞を再利用しており、戦力と言う点では軍隊に匹敵するとも言われている。

 

「バッカニアは数だけは軍隊並みだからな……今の戦力では戦いたくはない相手だ。素直に避けてサザーランドポートを経由して向かう方が得策か……サザーランドポートに駐留している連邦軍はいつものように金を積めば見逃してくれるだろうしな」

 

 連邦軍と一言に言っても様々だ。

 基本的にUEと戦うと言うのは共通だが、熱心に海賊やテロ組織を潰すところもあれば、金さえ積めば犯罪者を見逃すところもある。

 サザーランドポートにも連邦軍が駐留しているが、そこの連邦軍は後者だ。

 

「そうね。そのルートだと、敵と遭遇する可能性は低く、時間もそれ程かからない訳だし……後はUEと遭遇しないことを願うだけね」

 

 先の戦闘でUEがヴェイガンと言う組織である事は分かったが、それ以上は何も分かっていない。

 ある程度は過去のデータからヴェイガンの現れる場所は予測出来るが絶対ではない。

 幾ら、避けようとしても避けられる訳でもなく、寧ろ、ブラッドが組織の名前などを漏らした為、口封じの為に狙われる可能性すら出て来ている。

 

「その時は俺が倒すから問題ない」

 

 だが、クライドからすれば敵も自分達に照準を合わせてくれる分、探す手間も省けると考えている。

 

「その時は任せるわ。それじゃ進路はそのままでまずはマッドーナ工房に向かいましょう」

 

 来るかどうか分からない敵に怯えるよりも、来た時に確実に返り討ちに出来るように準備を整える方が先決と考えたエリーゼは、マッドーナ工房に急ぐことにした。

 

 

 

 

 

 

 

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