ノートラムを巡る連邦軍とヴェイガンの戦闘は、ヴェイガンの旗艦として使われていた移動要塞『ダウネス』が地球に降下する寸前でアセム達によって阻止された。
その後、連邦艦隊の旗艦のディーヴァもガンダムAGE-2 ダブルバレットの回収の為に地球に降下し、その為、両軍は旗艦を失い戦闘は泥沼化している。
すでにヴェイガンのノートラム制圧作戦は失敗し、作戦は予備作戦が実行されている為、戦闘の意味は無いがだからと言って戦闘がすぐに終結する訳でもなく両軍はこの戦闘から生き残る為には敵軍を倒すしかなく、両軍は撤退する事なく戦いは続いている。
「艦長! 右舷より敵MS接近! 数は3です!」
「主砲で牽制して!」
グノーシスのブリッジでエリーゼは次々と指示を飛ばすが戦場は混乱しており、すでに戦術が意味をなしていない。
「艦長! 敵大型艦が接近しています!」
「回避して!」
グノーシスの前方から姿勢制御が不能となったファ・ボーゼ級が接近して来る。
すでにグノーシスも被弾しており、火器の殆どが使用出来ない状態となっている。
「対ショック! 総員衝撃に備えて!」
「私が行きます!」
グノーシスの前方にレオーネのRGキャノンがハイパードッズキャノンを構えている。
しかし、ファ・ボーゼ級の前にゼダスMがビームバルカンを連射しながら突っ込んでくる。
RGキャノンは左肩のシールドで防ぐが、シールドの強度も限界にきている。
その為、RGキャノンはハイパードッズライフルをゼダスMをファ・ボーゼ級を両方射線に入れて放つ。
その一撃でゼダスMは下半身が吹き飛ぶが、同時に胸部にビームキャノンを放ちRGキャノンを撃ち抜く。
だが、RGキャノンの一撃はファ・ボーゼ級を撃沈する。
「レオ!」
RGキャノンが撃墜された事にアルベルトは気を取られ、流れ弾がアデル・ストライダーに直撃する。
「レクセル! クレマン!」
RGブレイドはドッズライフルでドラドを撃ち落とす。
そして、RGキャノンが撃沈させたファ・ボーゼ級の破片がグノーシスのカタパルトに直撃する。
「被害状況は!」
「右舷カタパルト大破! 第二格納庫の外壁部が破損!」
「火器管制システムに異常表示!」
「ダメージコントロール班を急がせろ!」
「ジゼル! そっちの状況は!」
次々を艦の損害の報告が上がり、副長のアーノルドで対応出来るところはアーノルドの判断に任せて、第二格納庫の様子を確かめる。
「悪いけど、今はそんな暇はない!」
モニターはノイズが多いが、ノーマルスーツのジゼルが第二格納庫から出るが、格納庫内の空気が漏れて、ジゼルは何かに掴まりながら、ブリッジからの通信に出ているようだ。
「第二格納庫は閉鎖するわ。すぐに退避して!」
「了解……」
ジゼルはすぐに通信を切る。
「皆! もう少し踏ん張って!」
エリーゼはクルーに激を飛ばして指示を伝える。
ダウネスが落ちようと戦場の各地では激戦が続いている。
デシルのクロノスはクロノスキャノンをジェノバースに放つ。
ジェノバースは回避して、接近する。
「いい加減にうざいんだよ!」
クロノスはクロノスガンのビームサーベルを展開して切りかかり、ジェノバースはシールドの折り畳み式シグルブレイドで受け止める。
「デシル!」
「何なんだよ! お前は!」
「友達!」
クロノスは距離を取ってビームバスターを放つ。
「私はデシルの友達だから……こんな事は……殺す事が目的の戦いを止めさせる!」
ユーリアにとってデシルは初めての同年代の友達だった。
デシルにとっては『友達』と言う単語は単にユーリアに近づく為の言葉であってもユーリアにとっては掛け替えの無い初めての友達だ。
そのデシルが未だに殺す事を目的とした戦いに身を投じている為、ユーリアはそれを止めたかった。
ユーリアは戦う事自体は止める気は無い。
自分も戦い以外の道を選ぶ事が出来たが結局軍人として戦う道を選んだ。
だが、それはかつての自分のように敵を殺す為に戦うのではない。
今では殺す為だけに戦う事がどんなに無意味であるかは良く分かっている。
だからこそ、殺す為だけに戦うデシルを止めたい。
しかし、デシルにとっては鬱陶しいだけであった。
「黙れってんだよ!」
クロノスはクロノスキャノンを乱射してジェノバースはスーパードッズライフルで応戦する。
「お前さえいなければ!」
「お前たちが攻めて来なければ!」
ティアーズ改のティアーズランスとガンダムZERO ⅢBのシールドのビームソードがぶつかり合う。
そして、すぐに二機は離れ、ティアーズ改はビームバスターを放ち、ガンダムZERO ⅢBは回避して両肩のミサイルを放つ。
そのミサイルはティアーズ改に届く前にティアーズビットに迎撃されるが、ガンダムZERO ⅢBはビームソードを展開して接近し、ティアーズ改もシールドの高周波ブレードで受け止める。
「マリオン様の仇……今日こそお前を落として見せる!」
ティアーズ改はガンダムZERO ⅢBを蹴り飛ばして、ティアーズビットで全方位から攻撃する。
ガンダムZERO ⅢBはハイパードッズライフルでティアーズビットを撃ち落とそうとするが、前にビッグリングで戦った以上に俊敏な動きを見せる。
ティアーズビットのビームがハイパードッズライフルに直撃し、ガンダムZERO ⅢBはハイパードッズライフルを捨てる。
「何だ……コイツ。前とは!」
「前とは違うんだよ!」
ティアーズ改は股の下からビームライフルを放ちつつ、ガンダムZERO ⅢBを攻撃する。
だが、完全にかわしきれずにシールドで受け止める。
エリアルドはエルピディオから今までとは比べ物にならない力を感じている。
エルピディオはこの戦闘で司令官のゼハートには無断で、ミューセルを持ちだしていた。
本来なら、Xラウンダーには必要はないが、エルピディオはミューセルを使う事で更にXラウンダー能力を引き出していた。
そんな事をすれば当然、エルピディオの脳に影響が出るが、そんな事は関係なかった。
エルピディオにとってマリオンの仇と狙うエリアルドとガンダムZERO Ⅲを倒せるなら他はどうでも良かった。
ミューセルによって引き出されたエルピディオのXラウンダー能力とエルピディオの執念がエリアルドにプレッシャーとして圧し掛かって来る。
「っ……俺だって! 負ける訳には!」
ガンダムZERO ⅢBはビームサーベルを抜いて、切りかかる。
だが、ガンダムZERO ⅢBとティアーズ改の間にビームが割り込む。
「ちっ……邪魔を!」
「この感じ……何で……」
横槍にエルピディオはイラつくが、エリアルドは驚愕している。
エリアルドが感じたのは自分も良く知る感覚。
だが、その感覚はあり得ないからだ。
「ファム……」
横槍を入れたのはファムのガンダムZERO Ⅳだった。
アブディエルから出撃したファムはエリアルドとエルピディオの戦闘に横槍を入れて中断させた。
今回は専用の武器ではないが、ドッズライフルとシャルドール改やGエグゼス用のシールドを装備して来た。
ガンダムZERO Ⅳはティアーズ改にドッズライフルを放ち、ガンダムZERO ⅢBから引き離すと、ガンダムZERO ⅢBに突撃する。
「エリアルド!」
「ファム……君なのか! それにそのガンダムは一体!」
死んでいたファムの声が通信越しで聞こえ、エリアルドは混乱している。
確かにファムはドラゴンファクトリーでの戦闘で機体を落とされて死んだ筈だ。
しかし、通信越しのファムもファムである確信を持っている。
「エリアルド……こんな戦いはエリアルドらしくないわ!」
「何を言って!」
「邪魔何だよ!」
ティアーズ改はビームバスターを放ち、二機は離れる。
「行き成り現れて!」
ティアーズ改はティアーズランスを振るい、ガンダムZERO Ⅳはかわすと、ティアーズビットの攻撃を受けるが持ち前の機動力でかわす。
「ファム!」
ガンダムZERO ⅢBはショートドッズキャノンで援護する。
ティアーズビットでガンダムZERO Ⅳを抑えている間にティアーズ改はガンダムZERO ⅢBに向かう。
ガンダムZERO ⅢBはシールドのミサイルで迎撃するが、ティアーズ改はシールドで防いで突っ込んで来てティアーズランスを振るう。
それをかわそうとするが、ガンダムZERO ⅢBの右足が切断されて、体勢を崩す。
「エリアルド!」
「これでぇぇぇ!」
その隙をエルピディオが見逃す筈もなく、ティアーズランスを構えてガンダムZERO ⅢBに止めを刺そうとするが、間にガンダムZERO Ⅳが割って入り、ティアーズランスをシールドで弾く。
だが、ティアーズ改のシールドの高周波ブレードを振り下ろし、ガンダムZERO Ⅳを右肩から右足まで切り裂く。
「ファム! このぉぉ!」
ガンダムZERO ⅢBはショートドッズキャノンでティアーズ改を牽制するが、ティアーズ改は後退しながらも左手のビームバルカンを放ち
、装甲の薄いガンダムZERO Ⅳはズタズタに装甲が破壊されていく。
「二人まとめて始末してやるよ!」
ティアーズ改が再びガンダムZERO ⅢBに仕掛けようとするが、今度はファムの後から出撃して来たリカルドとセラフィナのゼダスがビームキャノンで攻撃してくる。
ティアーズ改はシールドで防ぎつつ、ビームライフルで応戦する。
「おい! そこのガンダム! さっさとそいつを連れてアブディエルまで後退しろ!」
リカルドのゼダスから通信が入り、アブディエルの位置情報が送られて来る。
「どう言う事だ!」
「説明していは暇はねぇよ! お前の親父が呼んで来いって言ってんだ!」
「父さんが……」
エリアルドはヴェイガンのMSに乗っている相手からクライドの事を不信に思うが、ティアーズ改の攻撃をまともに受けて装甲がズタズタになっているファムを戦場から遠ざける事の方が優先である為、ファムのガンダムZERO Ⅳを抱えると、示されている地点へと向かう。
「逃がすか! ガンダム!」
ティアーズ改はガンダムZERO ⅢBを追おうとするが、リカルド機がゼダスソードで切りかかり、ティアーズランスで受け止める。
「待てよ……俺の相手をして貰うぞ!」
「ゼダス……地球種の分際で我が軍のMSに乗るなど!」
ティアーズ改はリカルド機を弾き飛ばす。
リカルド機は飛行形態に変形して、セラフィナ機とティアーズ改を挟み込むように移動する。
「Xラウンダーが良い気になってんなよ!」
二機のゼダスは両サイドからティアーズ改にビームキャノンを撃つが、ティアーズ改は余裕で防ぐ。
「くそ……これだからXラウンダー専用機ってのはよ!」
「リカルド君!」
「分かってる! 足を引っ張んなよ!」
リカルド機はMS形態となり両手にビームサーベルを展開して、ティアーズ改に突っ込んでセラフィナ機は援護のビームバルカンを放つ。
だが、ティアーズ改はリカルド機を最低限の動きで回避して、背後にビームライフルを放ち、リカルド機の右腕を撃ち抜き、セラフィナ機に左手のビームバルカンを放つ。
セラフィナ機は両腕で防ぐが、二人の乗るゼダスには腕に電磁装甲がついていない為、セラフィナ機は両腕を破壊される。
「まずはお前からだ」
ティアーズ改は両腕を破壊されたセラフィナ機を先に狙い、ティアーズランスを構えて接近する。
セラフィナ機はビームキャノンを放つが、ティアーズ改に当たる事はなく、距離を詰められる。
ティアーズ改はティアーズランスを突き出す。
だが、間に飛行形態となったリカルド機が割り込んで来る。
ティアーズランスはリカルド機の胴体を貫く。
「たく……足を引っ張んなって言ったろ……これだから女ってんのは世話が焼けるんだよ」
「ごめんね……リカルド君」
リカルドのゼダスのモニターにノイズで向こうの様子が分からないが、セラフィナの声だけが聞こえる。
すでにリカルドのゼダスのコックピットのモニターには皹が入っている。
「全くだ……次はドジんなよ……」
「うん……」
リカルドはモニターは皹が入りノイズしか映さない為、外の様子は分からない。
その為、リカルドは知らない。
リカルドのゼダスを貫いているティアーズランスはリカルドのゼダスを貫いているだけでなくセラフィナのゼダスの頭部に突き刺さっている事を。
ゼダスのコックピットは頭部についている為、ティアーズランスはセラフィナをコックピットごと押しつぶしている。
セラフィナは辛うじて息があり奇跡的に通信が出来ているだけだった。
だが、そんな事をリカルドは知る良しもなく、二機のゼダスは爆散した。
「少し時間をかけ過ぎたか……」
二機のゼダスを撃墜したエルピディオは周囲を見るがすでにガンダムZERO ⅢBの姿は無かった。
戦場から離脱したエリアルドはアブディエルに乗艦していた。
エリアルドも資料でアブディエルの事は知っているが、すでに老朽化によって廃艦処分になっていた筈の戦艦だ。
それが普通に運用され、その格納庫には改良が加えられているが、クライドのガンダムZEROまでも置かれている。
「本当にどう言う事何だ……」
エリアルドは状況が掴めないまま、ハッチを開ける。
すでにガンダムZERO Ⅳはハンガーに置かれている。
「エリアルド」
「父さん……」
「質問は後だ。お前はファムを医務室に連れて行って来い」
クライドはエリアルドは質問する前に、ガンダムZERO Ⅳのコックピットから整備班に肩を借りてコックピットから出されているファムを指を差す。
「行って来い」
クライドにそう言われてエリアルドは整備班からファムを預かり、手の空いている整備班の案内でファムを医務室に連れて行く。
「エミリオ。コイツの足はベータの予備パーツに換装して、全部盛り装備しておいてくれ」
「ストライカーですか……あれは調整が終わったばかりですよ。行き成り実戦ですか? それもこんな乱戦で……」
「乱戦だからだよ。全部盛りを今使わずにいつ使うんだよ」
エミリオはクライドの言う「ストライカー」をガンダムZERO Ⅲαに装備する事に難色を示す。
それも当然だ。
ガンダムZERO Ⅲαの第四のアーマー『ストライカーアーマー』は攻撃力を重視したアーマーでようやく調整が終わった為、テストを一度も行っていない。
今までのアーマー同様に癖が強い為、テストも無しに投入する事は気が進まないが、だからと言ってクライドが引き下がる訳がない。
「それと俺のゼロツーを出す」
「師匠も出るんですか?」
「ああ……まだ、嫌な感じが消えない。こりゃ、戦闘が終わる前に一波乱あるぞ」
戦闘が始まる前にも感じていた嫌な感じが未だに消えないでいる。
すでにヴェイガンの移動要塞ダウネスが地球に落ちかけたと言う事態が起きていると言うのにだ。
その為、それを確かめるべく自身も出撃する気でいる。
「これ以上何が起きるんですか」
「俺が聞きたい。それを知る為に俺が出るんだよ。後は任せた」
クライドはそう言ってガンダムZERO2へと向かう。
クライドにファムを任されたエリアルドはファムを医務室に運んだ。
幸い、大きな怪我もなく意識もはっきりとしている。
ファムは医務室のベットに寝かされ、エリアルドはベットの横の椅子に座っている。
「生きていたんだな……」
「そうね」
「どうして父さんがここに? 父さんはヴェイガンと通じているのか?」
ファムが大丈夫だと船医から聞かされ、一安心するとエリアルドは疑問をファムに投げかける。
ファムはドラゴンファクトリーの戦闘で死んだ筈で、ヴェイガンである筈のファムの母艦に父がいる。
エリアルドには分からない事だらけだ。
「私が生きているのはベータに備わっていた緊急脱出装置のお陰よ。それと叔父様はヴェイガンと通じている訳ではないわ」
「でも、君はヴェイガン何だろ?」
「確かに私はヴェイガンの人間よ。でも、地球に戦争を仕掛けているヴェイガンではないわ」
ヴェイガンとは本来、軍隊の名称ではない。
本来は火星圏の独立国家の名称だが、国家全体で地球に戦争を仕掛けている為、軍隊の名称として地球では扱われている。
つまり、ファムはヴェイガンの人間だが、ヴェイガンの軍人ではないと言う事だ。
「私は地球圏で生まれたけど、母さんは火星圏で生まれたの……そして、私の両親はヴェイガンの兵士として戦った。だけど、アンバットで両親はヴェイガンを離れた。その後、エリアルドのお父さんと接触したの。そこである契約がかわされた」
「契約?」
「そう。お母さんが叔父様の下で動く代わりに叔父様は火星圏をまともに暮らせる環境にすると……」
セリアとクライドとの契約、それはセリア達がクライドの下について動く事でその後、クライドはアスノ家の技術やその頭脳を使い火星圏でヴェイガンの民を脅かしているマーズレイを何とかすると言う事だ。
未だにヴェイガンではマーズレイを完全に無効化する事もマーズレイに侵された人間を完全に治す方法を確立してはいない。
その為、セリアは地球圏でも高名なMS鍛冶の家系であるアスノ家の技術を受け継ぐクライドの頭脳なら、何とか出来ると思いクライドに従っている。
「何で……そんな契約を? ヴェイガンは地球を奪いたいんだろ? なのにどうして……」
「お母さんは良く言っていたわ。火星圏は地球圏程、綺麗なところもないけれど、お母さんにとっては火星圏が故郷何だって。いつか、私にも火星圏を見せてあげたいって……」
ヴェイガンの多くが指導者のイゼルカントの提唱するプロジェクトエデンを支持しているが、極少数だが、実際に地球圏に来た事で綺麗でマーズレイの影響もない地球圏ではなく自分達の生まれ育った火星圏の方を故郷とする者も出て来るようになっていた。
その為、セリアは火星圏でも安全に暮らせるのであればセリアはそれで構わない。
セリア達にとって火星圏こそが自分達の故郷だからだ。
それを地球圏に来て見て気がついた。
「私はそんなお母さんの力になりたかった」
「ファム……それが君の戦う理由か……俺は、ヴェイガンが許せなかった。ファムを殺してシャルを殺した。ヴェイガンが地球に攻めて来なければ戦争は起きなくてファムもシャルも死ぬ事は無かったから。だから……俺はヴェイガンを倒すと決めたんだ」
「そんな事はエリアルドには似合わないわ」
エリアルドは奪われたから、もうそんな事はさせない為に倒すと決めた。
だが、ファムにはエリアルドが無理をしているように思えた。
「エリアルドは倒す為に戦うんじゃない。エリアルドは言ったよね。クリスマスのあの日……私を守るって。守る為に戦う。それがエリアルドの戦いなんじゃないの?」
「覚えてたのか……」
エリアルドがまだ、トルディアに配属されていた頃、まだファムがヴェイガンであると知らなかった為、ヴェイガンの攻撃の前にエリアルドはファムにファムを守ると言った。
「だから、エリアルドは奪う為に倒す為に戦っちゃ駄目よ。そんな戦いをしていればいずれ後悔するから」
「でも俺は……」
「奪わせたくないなら、奪われないように守る。その為にヴェイガンと戦う方がエリアルドらしいと私は思うわ」
「俺らしいか……」
エリアルドはそう呟いて立ちあがる。
「もう、行くよ。まだ戦闘は続いている。けど、俺はヴェイガンを倒す為じゃない。守る為にヴェイガンと戦う」
エリアルドはそう言って医務室を出て行き格納庫に戻る。
格納庫に戻ると戦闘で破壊されたガンダムZERO Ⅲαの足は無事である左足もガンダムZERO Ⅲβの物になっていた。
それだけじゃない、先ほどまではブラスターアーマーだったが、今は別のアーマーに換装されている。
左腕には基本装備のシールド、右手にはバスタードッズライフルを持っている。
両肩にはブラスターアーマーのミサイルポッドとショートドッズキャノン、バックパックにはライトニングアーマーのスラスターにハイパードッズキャノンに対艦刀が装備され、両腕にはビームソード、腰にハイパービームサーベル、脚部にはガンダムZERO Ⅲβの物を使っている為、ニードルガンが内蔵されている。
今までの各アーマーの特徴を盛り込んだのが第四のアーマーのストライカーアーマーだ。
白兵戦や砲撃戦の攻撃力はクラッシャーアーマーとブラスターアーマーの攻撃力を引きついている為、高いがその分、バランスが非常に悪い為、今までエミリオによって調整されており、ようやく実戦で使えるくらいに調整を終えたが、だからと言ってバランスが良くなったとはお世辞にも言い難い。
「新しいアーマー……父さんが用意してくれたのか」
エリアルドはガンダムZERO
そして、機体のシステムを立ち上げる。
「凄い……今までとは出力が段違いだ」
ストライカーアーマーに換装するに当たり、AGEドライヴのリミッターを緩めなければ全ての武装を扱う為の出力を得る事が出来ないのでリミッターを緩めていた。
「これなら……行ける。エリアルド・アスノ……ガンダムZERO ⅢS。出る!」
エリアルドは新たな決意と共に再び戦場へと戻る。
出撃したガンダムZERO ⅢSはバスタードッズライフルでファ・ボーゼ級を轟沈させる。
その後、ハイパードッズキャノンを放つ。
「この感じ……アイツか!」
エリアルドはこっちに向かって来るエルピディオの感覚を感じ取る。
ガンダムZERO ⅢSはティアーズ改にバスタードッズライフルを放つ。
ティアーズ改はかわして、ティアーズビットを射出する。
射出されたティアーズビットをガンダムZERO ⅢSはバスタードッズライフルで一掃する。
「新しい装備で来たか! それでも私はお前を倒す!」
エルピディオはミューセルを最大出力で使う。
そして、ビームライフルを放ちながら接近する。
ガンダムZERO ⅢSもバスタードッズライフルを捨てて対艦刀で迎え撃つ。
ティアーズ改のティアーズランスとガンダムZERO ⅢSの対艦刀がぶつかり合う。
「俺は……もう間違えない!」
ガンダムZERO ⅢSはティアーズ改のティアーズランスを弾くとシールドのビームソードを振り下ろし、ティアーズ改はシールドで受け止める。
「守る為に……お前を倒す!」
ビームソードの出力を上げた事でシールドを切り裂き、ティアーズ改はビームバスターを放つが、ガンダムZERO ⅢSはかわし、対艦刀をバックパックに戻すとハイパービームサーベル抜く。
「ガンダムがぁ!」
ティアーズ改はビームバルカンを連射するがガンダムZERO ⅢSはシールドで防ぎながら、突っ込みティアーズ改の左腕をハイパービームサーベルで切り落とす。
そして、バックパックのハイパードッズキャノンを構える。
「舐めるなよぉぉぉぉぉ!」
ティアーズ改はティアーズランスを振るおうとするが、一瞬動きが止まる。
今までミューセルによって無理やりXラウンダー能力を上げていたツケが今になって現れた。
すでにエルピディオの脳は殆ど破壊され、マリオンへの忠誠心で戦っていたが、それだけでは限界だった。
そして、ガンダムZERO ⅢSはハイパードッズキャノンを放つ。
「マリオンさ……」
その一撃はティアーズ改を飲み込み破壊し、ティアーズ改は撃墜された。
「戦場が混乱してやがる……お前ら! 俺から離れるなよ。各自がフォローし合え!」
戦場が混乱し、旗艦のディーヴァが地上に降下した以上、各隊ごと状況を把握し互いに援護し合う事でこの戦場を生き延びようとしている。
ウルフは部下にそう指示を出す。
幸い、この状況でもオブライトや、アリーサ、マックスは平常心を保つ事は出来ている為、ウルフの指示を実行する事は出来ている。
Gバウンサーはシグルブレイドでドラドを切り裂く。
その後ろではウルフに言われた通りに互いを援護し合う、二機のアデルにジェノアスⅡが確認出来、ウルフも部下と合流し、ドッズライフルを放つ。
「良いか……ここから先は敵を落とす事よりも生き延びる事を優先しろ」
すでに戦いの勝敗は決した以上、敵を落とす事よりも敵に落とされない事の方が重要だ。
いずれ、この戦闘も収まりヴェイガンは撤退して行くだろう。
それまで落とされる事なく生き延びる事は今は重要だ。
その為に自分を落とそうとして来る敵を優先して落とす。
「アレは……何でアイツがこんなところにいんだよ」
ウルフは戦場にクライドのガンダムZERO2を発見する。
Gバウンサーはドッズライフルを放ちながら、ガンダムZERO2の方に向かい、アデルとジェノアスⅡもそれに続く。
「クライド! お前、何でここにいやがる!」
「ウルフか……嫌な感じがする。この戦闘はまだ終わらない」
「どう言う……」
「隊長!」
ウルフがどう言う事かを問い詰めようとするが、その前に戦場のMSが次々とビームで破壊されていく。
ガンダムZERO2やGバウンサー、アデル、ジェノアスⅡはシールドで防ぐが連邦軍とヴェイガンのMSはどちらも破壊されていく。
「このタイミングで出て来るのか……よくよくセコイ手を使って来る」
「あのMSは……ブリッシュで出て来た奴らか!」
戦場に乱入して来たのはブリッシュ公国でも乱入して来たゼイ・ドゥだ。
今回はあの時とは規模が違いその数は100機近い。
だが、今回はそれだけではなかった。
「ウソだろ……」
「マジかよ……何でノアが……」
ゼイ・ドゥの後方からはその母艦もいたが、驚愕すべきはその巨大さだ。
ヴェイガンの大型母艦ファ・ボーゼ級は全長1キロで、そのファ・ボーゼ級を移動用要塞ダウネスは駐留出来る大きさを持つが、クライドがノアと読んだ母艦はそれを遥かに上回り、コロニーと言われたら、そう信じこむ程だ。
「知ってんのか?」
「アレは俺が昔お遊びで設計した超ド級戦艦『ノア』だ。全長4千キロで内部にはMSの工場から居住区、農業施設から人間が生きるのに必要な物を全て完備している戦艦だ」
クライドは昔、10年程前にお遊びで設計した兵器の一つがノアだ。
ノアは戦艦としての戦闘能力は差して高くないが、その巨大さ故に内部に兵器工場や居住ブロックなど、様々な物を詰め込む事が可能だった。
しかし、ノアは製造に必要な資金、人材、時間などがコロニーを建造するよりも掛かり、その為、連邦政府からは製造の許可が下りず、クライドもお遊びで設計したので設計が終われば満足だった。
「何処からか情報が漏れてたのか? でもアレを作れるだけの資材や資金は何処から……」
クラリッサがヴェイガンのスパイとして情報を持ちだそうとしていた事も、クライドがクラリッサの事を気付いている事に気づかれないように漏れても構わない情報はクラリッサに持ちださせていたが、ノアの情報はクラリッサも持ち出してはいない筈だ。
そこから漏れていないとなると、クラリッサとは別の人間が情報を持ちだした事になる。
裏切る可能性のある者はオーヴァンでまとめて始末した為、クライドが裏切る可能性の低いと判断した者から情報が漏洩していたと言う事になる。
そして、ノアの建造には莫大な資金や人材、時間を要する為、情報を持ちだした者の背後には相当な組織がついている事になる。
「んな事を考えるのは後だ。まだ出て来るぞ!」
ノアのMSカタパルトのからMSが出撃して来る。
その2機を見てクライドは更に驚く。
「馬鹿な! 何でツヴァイが出て来る!」
それはトリコロールカラーのガンダム……ガンダムZERO Ⅱだ。
クライドが開発するもその設計思想が自身の技術者としての矜持を余りにも外れている為、実戦に投入する事をする事なくオーヴァンに隠されていたガンダムだ。
ガンダムZERO Ⅱの設計データは完全に抹消している為、そのデータは残されておらず、設計データが流出をしないようにアリスに徹底させていた。
設計データが流れていないとすれば、出て来たガンダムZERO Ⅱはオーヴァンに隠してあった物だろう。
恐らくはクライドが自爆システムを起動させた時にはすでにオーヴァンから持ち去られていた後なのだろう。
ガンダムZERO Ⅱの武器は手持ちの大型ライフルに両腰にはビームサーベル、頭部のバルカンに胸部にはフォトンブラスターキャノンが内蔵されている。
そして、バックパックからはリミッターを完全に解除して、その余剰エネルギーでビームの翼が形勢されている。
「最悪だ……よりにもよってツヴァイが奪われるとは……」
「アイツはそんなに強いのか?」
「桁違いだ。現状のMSではどれもアレには及ばない」
クライドはガンダムZERO Ⅱが現状の連邦、ヴェイガンのMSを遥かに凌駕していると確信を持って言える。
あのMSにはそれだけの力をクライドは持たせたのだから。
ガンダムZERO ⅡにヴェイガンのMSが何機も接近して行く。
ガンダムZERO Ⅱは持っていた大型ライフル「ペンタクルライフル」を向ける。
ペンタクルライフルは中央の銃口の周りに四つの銃口を持つ珍しい形のライフルだ。
そして、中央の銃口を囲む、四つの銃口からビームが時間差で放たれる事でガトリング砲のように放たれた。
ヴェイガンのMSは腕で防ごうとするも、意味をなさずズタズタに撃ち落とされる。
その後、ファ・ボーゼ級がガンダムZERO Ⅱに主砲を放つが、中央の銃口を囲う四つの銃口が展開されてビームシールドを形勢してファ・ボーゼ級からの砲撃を防ぐ。
主砲を防ぐと展開していた銃口が元に戻り、ペンタクルライフルをファ・ボーゼ級に向ける。
今後は中央の銃口と周囲の四つの銃口のビームを収束させた高出力にビームが放たれて一撃でファ・ボーゼ級を撃沈する。
背後からドラドがビームサーベルを振り上げているが、ガンダムZERO Ⅱはペンタクルライフルの先端から高出力のビームソードを展開して、振り向きざまにドラドの上半身を消し飛ばす。
ペンタクルライフルはその一つで、「通常射撃モード」「ガトリングモード」「シールドモード」「高出力モード」「ビームソードモード」の5つのモードで使う事が出来るマルチウェポンだ。
ガンダムZERO Ⅱは胸部のフォトンブラスターキャノンの発射体勢を取る。
発射体勢を取ったガンダムZERO Ⅱはフォトンブラスターキャノンを放ち射線上のMSや戦艦を一掃する。
「化け門じゃねぇか……」
「だから俺はアイツを投入したくなかったんだよ」
ガンダムZERO Ⅱは圧倒的な戦闘能力を持つが故にMSでありながらクライドの嫌う大量破壊兵器と同等に位置づけ出来る程だ。
それ故にクライドはガンダムZERO Ⅱを忌諱した。
しかし、自分で作っておきながら、気に入らないと言う理由で破棄する事はクライドにはどうしても出来ず、結局オーヴァンに隠してくだけに留めたが、その判断の仇となり結果、今の事態を引き起こしている。
ガンダムZERO Ⅱの攻撃が終わるとノアから立体映像が映しだされる。
映しだされたのは軍服を来た男だ。
歳は40歳後半くらいで顔にいくつもの傷を持ち、いかにも歴戦の猛者を思わせる風貌だ。
「私はUIE所属のアルベリック・バルベル大将である」
「おいおい……何の冗談だよ」
「けど、あの顔には歴史の教科書で見覚えがあるぞ」
男はアルベリック・バルベルと名乗り、ウルフもクライドもその顔と名前に見覚えがある。
歴史の教科書に乗っている歴史上の人物だ。
かつてコロニー国家間戦争時における陣営の一つにUIEと呼ばれる陣営があった。
Universe Intelligent Evolutionの略称で人類は宇宙に進出する事でより知的に進化する事が可能だと唱え、人類は積極的に宇宙、それも地球から比較的近い地球圏ではなく、火星圏や木星圏、そして外宇宙に進出すべきと主張していた。
その思想に共感する者も多く、潤沢な資金源を持ち地球の覇権争いに参戦していた。
その勢力は拡大して行き、いずれはエウバやザラムと対等以上に戦えるとまで言われていた。
だが、その戦争中にある日を境に忽然と世界の表舞台から姿を消した。
それに様々な憶測が飛び交い、エウバやザラムに潰されたのだと言う説もあれば、潤沢な資金源を使い巨大宇宙船を建造して外宇宙に旅立ったともされる説もある。
だが、その真相は未だに解明されていないコロニー国家間戦争の謎の一つだ。
「コロニー国家間戦争が終結しようとも愚かにも地球を巡り争う連邦政府とヴェイガンに対し、我らは両軍に対し、武力を持って制裁する事をここに宣言する!」
「つまりは宣戦布告って事かよ」
「みたいだな。コロニー国家間戦争でその名を馳せたアルベリック・バルベルとは思えないセコさだよ」
アルべリックは連邦軍とヴェイガンの両軍に対して宣戦布告を行った。
だが、明らかに両軍が大規模戦闘で疲弊したところを狙って来ている。
アルベリック・バルベルと言えばUIEの中でも名将で歴史の教科書にも載るほどだ。
自らもMSを駆り、戦場で多くの戦果を上げた超エースパイロットで有名だ。
「だが、そんな事はどうでも良い。それよりもツヴァイだ。アイツを仕留めるのは今しかない」
「この状況でか?」
「アイツのシステムにはAGEシステムを解析し応用したシステムが搭載されている。だから、戦闘経験を積ませるのは危険だ」
ガンダムZERO Ⅱにはクライドがフリットの開発したAGEシステムを解析し、応用したシステムが搭載されている。
実戦経験を積む事で機体に情報を蓄積して、交戦している敵に対して有効な攻撃や策をパイロットに提示すると言うものだ。
AGEシステム同様、実戦経験が無ければ情報の蓄積もなく、機能しないが、戦闘を重ねる度に情報が蓄積し、どんな敵に対しても有効な策を導きだす事の可能な無敵のMSとなる。
だが、今はその為、今の内ならば破壊は容易で戦闘を重ねれば重ねる程、ガンダムZERO Ⅱは強くなっていく。
その為、クライドは機体をガンダムZERO Ⅱの方に向ける。
ウルフはクライドを追おうとするが、ゼイ・ドゥがビームマシンガンを放ち、Gバウンサーはシールドで防いでドッズライフルで反撃する。
連邦軍とヴェイガンへの宣戦布告を済ませたアルべリックはノアの複数存在するブリッジの中でも全てのブリッジを統括しているメインブリッジで艦長席に座る。
「なかなかの演説でしたね」
艦長席の後で白衣の男がそう言う。
年齢は20歳後半で茶髪に碧の目をしている。
顔色は白く余り体型も痩せ形で余り健康的とは言い難い。
「フン。それでアスノ博士。奪ったガンダムの性能は良いようだな」
「ええ……あのガンダムは私のジエンドと同じ単機で戦争に勝利する為に設計されたガンダムの様です。しかも、それを設計したのは兄の子孫であるアスノ家の人間とか……私を否定したアスノ家にも良い才能を持った後継ぎがいて幸いです。インウィディアもあのガンダムを上手く乗りこなせている様ですしね」
男……ダグ・アスノはガンダムZERO Ⅱを見てそう言う。
クライドの予想通り、ガンダムTHE ENDを製造したのはアスノ家の汚点とされるダグ・アスノ本人だった。
THE ENDを開発した事により当時のアスノ家の当主だった彼の兄に一族を追放されたダグは表舞台から姿を消していたUIEによってアルべリック同様に現代までコールドスリープによって眠っていた。
「アスノ家か……あの家は常に戦争の中心にいる呪われた家系だな」
「仰る通り。それこそがアスノ家なんですよ」
「それよりも他のMSは出せるか?」
「回収したデータからナイトルーパー改とARISUシステムの調整は未完成ですが、アスモデウスとベルフェゴールの調整は終わっています」
「ならば、すぐに出撃させろ」
アルべリックの指示で調整の終わっているアスモデウスとべルフェゴールが出撃する。
アスモデウスとベルフェゴールはどちらもクライドが設計した7機のMS……通称大罪シリーズの内の2機だ。
どちらも七つの大罪と関連する悪魔をモチーフとしており、設計をするもモチーフや機体名称に悪魔の名前を使われている事や、癖が強いなどから、製造される事の無かったMS群だ。
その設計データをUIEは入手して製造していた。
どちらもツインアイの上下にサブカメラが付いている6つ目でアスモデウスは紫を基調として頭部には山羊を連想させるアンテナが2本付いており、左腕には巨大なハサミとなっており、右腕は多関節機構になり伸縮が可能で先にはビームガンが内蔵され、三本指のクローとなっている。
腰にはヴェイガンのMSの様な尾が付いており、そこからニードルガンが内蔵されている。
ベルフェゴールは茶色を基調をし四肢の装甲が厚く、両腕には強力な爪が装備されている。
「こんな戦場に私達を投入するなんてね。陛下の為とは言え……」
アスモデウスのパイロット、ルクスリア・ラストがそう言う。
「まぁ、機体のテストには持って来いでしょ」
それに対してベルフェゴールのパイロット、アケディア・スロウスはそう返す。
出撃した2機に対して、存在に気がついた連邦軍のMSが向かって来る。
「雑魚はアンタに任せたわ」
ルクスリアはそう言って迫るアデルやジェノアスⅡ、シャルドール改をアケディアに任せる。
「しょうがないなぁ」
ベルフェゴールは腕のクローをシャルドール改に振う。
シャルドール改はシールドで防ぐが、ベルフェゴールのクローはシールドごと、シャルドール改を切り裂く。
後方からアデルがドッズライフルを放つが、ベルフェゴールの四肢の装甲によって阻まれる。
「このベルフェゴールにそんな攻撃は聞かないんだよね。残念な事に」
ベルフェゴールの四肢の装甲から、特殊粒子が展開される。
それにより、アデルやシャルドール改のレーダーからベルフェゴールの機影が消え、粒子によって視界も悪くなる。
そして、ベルフェゴールを完全に見失うとベルフェゴールのクローで破壊される。
これこそがベルフェゴールの武器だ。
機体の四肢に内蔵されている特殊な粒子によって範囲内のMSのセンサーを狂わせた上で圧倒的な防御力とパワーにて敵を粉砕する。
それがアケディアのベルフェゴールの能力だ。
ベルフェゴールと別れたアスモデウスにもヴェイガンのMSが攻撃を開始していた。
アスモデウスは左腕のハサミでバクトを両断し、右腕を伸ばし、ドラドの頭部を掴むと至近距離からビームガンを撃ち込む。
そして、尾のニードルガンを放ち、ガフランは腕で防ぎ、ガフランの腕にニードルガンが突き刺さると、ガフランは痙攣するかのように動きが止まる。
アスモデウスのニードルガンには特殊なウイルスが仕込まれている。
それが敵機に突き刺さる事で敵MSのOSにウイルスが侵食し、OSを破壊する事が可能だ。
そのせいでコックピットで幾ら動かそうとしても機体が動く事は無い。
動かなくなったガフランをアスモデウスはビームガンで止めを刺す。
「つまらないわね……」
余りも呆気ない戦闘にルクスリアは退屈だったが、画面の端に交戦中のクロノスとジェノバースを見つける。
「あれなら少しは楽しめそうね」
アスモデウスはクロノスとジェノバースの方に向かう。
そして、2機にビームガンを撃ち二人の戦いに乱入する。
「あ? 何だあのMSは」
「嫌な感じがする……」
「私も混ぜてよね!」
アスモデウスは左腕のハサミを振るい、2機の間に割って入る。
クロノスはクロノスキャノンを放ち、ジェノバースはスーパードッズライフルを放つ。
「何だなんだ! コイツは!」
「早い……」
2機の攻撃をかわした、アスモデウスはクロノスにビームガンを放ち、ジェノバースは間に入りシールドで防いで機体に固定してあるドッズファンネルで攻撃する。
「ユーリア! テメェ! 邪魔してんじゃねぇぞ!」
クロノスはクロノスガンの先端からビームサーベルを展開して、アスモデウスに切りかかる。
「デシル! アレは危険よ!」
ユーリアの制止も聞かずにデシルは突っ込むが、クロノスの一撃はアスモデウスのハサミで受け止められる。
「ただのXラウンダーが私達に勝てる訳がないでしょ!」
アスモデウスは尾のニードルガンを放つが、デシルはそれがやばい事を直感的に感じて距離を取りつつ、クロノスガンを連射する。
「デシル。あのMSは危険なのは分かっているでしょ。ここは二人で……」
「五月蠅い! 俺一人で十分なんだよ! あんな奴!」
クロノスは左手にもビームサーベルを展開して、アスモデウスに突っ込んで行き、ジェノバースもそれに続く。
アスモデウスはクロノスのビームサーベルをハサミで弾くと右手のビームガンを向けるが、ジェノバースのドッズファンネルの牽制が入り、先にドッズファンネルの一基をビームガンで破壊する。
「余計な事してんじゃねぇぞ!」
「関係ない!」
ジェノバースはスーパードッズライフルでアスモデウスを狙うがアスモデウスに当たる事は無い。
「なかなか良い感を持っているみたいだけど、所詮はXラウンダーってところね」
アスモデウスはビームガンを放ち、ジェノバースの左肩を撃ち抜く。
クロノスがビームバスターを放つが、アスモデウスは余裕でかわして、ビームガンでクロノスキャノンを破壊する。
「舐めやがって! あの野郎!」
クロノスはクロノスガンを連射しながら、アスモデウスに突っ込む。
「さっきから単純な攻撃ばかり……機体テストはもう十分でしょ」
アスモデウスはクロノスの攻撃にカウンターでクロノスの胴体をハサミで胴体を真っ二つに切り裂く。
「デシル!」
「さようなら……坊や」
「さっきから舐めてんじゃねぇぞ!」
下半身から下を失ったクロノスだが、その状態で両手のビームバルカンを放ちながら、アスモデウスに突撃する。
「往生際が悪い男は嫌いなのよ!」
アスモデウスはビームガンでクロノスを攻撃するが、クロノスはビームガンの直撃を受けて装甲が破壊されて行くがクロノスの勢いは止まる事は無い。
アスモデウスは左手のハサミでクロノスに止めを刺そうとするが、クロノスに注意が向いていた為、ジェノバースから注意が逸れており、ジェノバースのスーパードッズライフルの直撃で軌道がそれて、クロノスのなにもない下半身の部分にハサミを振るい完全に攻撃を外す。
そして、クロノスはアスモデウスにビームサーベルで左腕を切断する。
「どうだ……これが俺の力なんだよ……」
「デシル! 後ろ!」
だが、左腕を失ったアスモデウスはクロノスにビームガンを撃ちこみクロノスを今度こそ完全に破壊する。
「デシル!」
ジェノバースはビームサーベルを抜いてアスモデウスに切りかかる。
左腕を失っている事で受け止める事が出来ない為、アスモデウスは回避してビームガンを放つ。
そのビームがジェノバースの頭部や右足を撃ち抜く。
「これ以上、付き合い切れないわ」
アスモデウスは撤退して行くが、被弾の多いジェノバースは追う事が出来なかった。
ガンダムZERO Ⅱの始末を付ける為にクライドはガンダムZERO Ⅱへと向かっていた。
その道中でシドウと合流して、2機がかりで何とか、ガンダムZERO Ⅱを仕留める気だ。
「アレか……」
「俺が援護する。シドウは前衛を頼む」
「心得た」
RGブレイドはドッズライフルでガンダムZERO Ⅱを攻撃するが、ガンダムZERO Ⅱは最低限の動きでかわすとペンタクルライフルの通常射撃モードで反撃する。
RGブレイドはかわすと後方のガンダムZERO2が両肩のシールドのビームキャノンを放つ。
それをペンタクルライフルのシールドモードでガンダムZERO2は防ぎ、RGブレイドは刀型シグルブレイドを抜いて、ガンダムZERO2に切りかかる。
ペンタクルライフルのシールドモードは他のモードとは違い四つの銃口を展開している為、そのモードでは通常射撃モードでしか攻撃が行えない。
その為、シドウならばその射撃をかわす事は容易だ。
RGブレイドはシグルブレイドを振るうが、ガンダムZERO Ⅱは防ぐ事なく回避する。
攻撃をかわされたRGブレイドはすぐに切り返してガンダムZERO Ⅱの背後を狙う。
「シドウ! そいつの背後は不味い!」
クライドが叫ぶがすでに遅かった。
ガンダムZERO Ⅱは背中からビームの翼を展開する。
その翼は攻撃力を持ち、RGブレイドを切り裂きRGブレイドは爆散する。
「シドウ……」
RGブレイドを撃破したガンダムZERO Ⅱはビームサーベルを抜いてガンダムZERO2に接近し、ガンダムZERO2もビームサーベルを抜いて受け止める。
「お久しぶりですね……アスノ局長」
「お前……マルガリータか」
ガンダムZERO Ⅱから通信が入る。
その声をクライドは知っている。
特研の技術者の一人のマルガリータだ。
「お前もスパイだったとはな! 気がつかなかったよ!」
「あの糞ビッチ女が馬鹿みたいに分かり易かったからですよ。それと今はインウィディアです!」
ガンダムZERO2をガンダムZERO Ⅱが弾き飛ばす。
特研からノアや大罪シリーズの設計データを盗み、ガンダムZERO Ⅱを持ちだしたのはマルガリータ・クリフチェンコこと、インウィディア・エンヴィであった。
始めからスパイだと分かっていたクラリッサを隠れ蓑に使い、インウィディアは上手く情報を盗む事に成功していた。
「ノアに大罪シリーズと好き勝手にパクリやがって」
「それだけではないですよ。ナイトルーパー改の設計図にARISUシステムのデータ、局長が隠してあった量産型AGEビルダーも全て貰っておきました……なので死んで下さい!」
インウィディアが持ちだしたのはそれだけでは無かった。
クライドが再設計したナイトルーパー改の設計図にARISUシステムのデータ、100基の量産型AGEビルダーもインウィディアの手引きでUIEの手に渡っている。
「やなこった!」
ガンダムZERO2は両肩のシールドのビームソードを展開して、ガンダムZERO Ⅱを攻撃するが、ガンダムZERO Ⅱは距離を取りペンタクルライフルの通常射撃モードで攻撃する。
「もう、貴方の役目は終わったんですよ!」
「勝手に決めるなよ。それを決めるのは俺だ」
ガンダムZERO2は胸部の拡散ビーム砲を放ち、ガンダムZERO Ⅱはシールドモードで防ぐ。
「古い物はさっさと消えた方が良いですよ」
「お前たちが言うなっての!」
ペンタクルライフルのガトリングモードを両肩のシールドで防御するが、シールドが破壊されるのは時間の問題だ。
「さて……どうするかな」
機体性能の差は歴然だ。
その上、相手にはAGEドライヴを搭載している。
まだ、二基も残されている為、一基を破壊する事はこの際、仕方がない。
だが、一対一で戦っても勝機はない。
「父さん! あのガンダムは一体?」
「エリアルド……丁度良い。コイツを仕留める。手を貸せ」
エリアルドのガンダムZERO ⅢSがクライドと合流する。
機体性能ではガンダムZERO Ⅱに劣るがエリアルドが合流した事で打つ手はある。
「アイツを野放しにする事は出来ない。あの化物を作った責任を俺が取らなくてはならん」
「良く分からないけど、俺は何をすれば良い?」
「敵の攻撃を引きつけておいてくれ。後は俺が何とかする」
「分かった」
ガンダムZERO ⅢSはショートドッズキャノンを放ち、ハイパービームサーベルを抜いてガンダムZERO Ⅱに接近する。
ガンダムZERO Ⅱはペンタクルライフルのガトリングモードで応戦し、ガンダムZERO ⅢSはシールドで防ぎ突っ込む。
シールドは破壊されるが、ガンダムZERO Ⅱはビームサーベルで受け止める。
そして、そのまま、高出力モードでフォトンキャノンを撃とうと構えていたガンダムZERO2を狙う。
ガンダムZERO2は両肩のシールドで防ごうとするが、防ぎきれる訳もなく、シールドは破壊されるが、破壊される直前にシールドをパージしていた為、シールド以外の損傷は無い。
「父さん!」
「問題は無い。続けろ」
ガンダムZERO ⅡはガンダムZERO ⅢSを弾き飛ばし通常射撃モードで攻撃する。
その攻撃をガンダムZERO ⅢSはかわして、ショートドッズキャノンで応戦する。
「一気に方をつける!」
ガンダムZERO Ⅱは胸部のフォトンブラスターキャノンの発射体勢を取り発射する。
ガンダムZERO ⅢSはスラスターを全開にして、それをかわそうとしてガンダムZERO Ⅱも逃がすまいとガンダムZERO ⅢSを追うように機体の向きを変える。
「判断を誤ったな。マルガリータ」
フォトンブラスターキャノンを放つ、ガンダムZERO ⅡをクライドのガンダムZERO2が後から羽交い締めにする。
「いつの間に……」
「捕まえた」
ガンダムZERO Ⅱの欠点の一つにフォトンブラスターキャノンの発射時にはビームの翼が使えないと言うものがある。
その為、フォトンブラスターキャノンを撃っている今は、背部が完全にガラ空きとなる。
そこをガンダムZERO2が背後を取ったのだった。
フォトンブラスターキャノンの掃射が終わるが、すぐにビームの翼は出せない為、背後から羽交い締めにしているガンダムZERO2を引き剥がす事が出来ない。
「父さん! 何をするつもりだ!」
「ここでコイツを自爆させる。それならコイツを破壊する事が出来る」
「正気ですか!」
「どうだろうな。こんな化物を生み出した時点で正気を失っているのかも知れん。だが、ツヴァイだけは破壊する」
ガンダムZERO Ⅱに並み大抵の攻撃では致命傷を与える事は出来ない。
その為、クライドは最後の手段としてガンダムZERO2の動力炉をゼロ距離で爆発させる事にした。
「そんな事をしたら父さんが!」
「俺にはこんな化物を生み出した責任がある」
「だからって!」
「後はお前に任せたぞ。エリアルド……」
クライドはそう言って機体の自爆装置を作動させる。
(怖いくらいに状況が整ってるな……アリスがいない以上、後は運を天に任せるだけだ)
「離せぇぇぇ!」
クライドが本気で刺し違える気であると悟ったインウィディアは必死にガンダムZERO2を引き離そうとするがビームの翼はまだ出せない上に完全に羽交い締めにされている為、どうしようもない。
「父さぁぁぁぁん!」
そして、ガンダムZERO2はガンダムZERO Ⅱを巻き込んで大爆発を起こした。