機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第8話

「戦闘の反応?」

 

 マッドーナ工房を後にした、アブディエルはトラブルもなく次なる目的地のコロニー『サザーランドポート』に接近していたが、そんな矢先にブリッジの索敵が戦闘と思しき反応を捕捉していた。

 

「恐らくは……」

「どことどこの戦闘だ?」

 

 クライドはオペレーターにそう聞く。

 戦闘をしている陣営によっては自分達の取る行動が変わって来るからだ。

 ヴェイガンが相手なら介入する可能性もあるが、それ以外なら無視する可能性が高い。

 

「片方は地球連邦軍のダーウィン級の宇宙戦艦1隻です。もう片方はUEのMS型が8機と思われます」

「どうする? クライド、このままだと連邦軍は確実に全滅するよ?」

 

 アルフレッドが言う通りガフランを倒す術の無い連邦軍が全滅する可能性が非常に高いことはブリッジクルーの誰もが簡単に予測が出来る。

 運が良ければガフランが全滅前に撤退する可能性はあるが、期待出来る程高い訳ではない。

 地力でガフランを退ける可能性は限りなくゼロな為に全滅は間逃れない。

 

「連邦なら俺達が助ける義理はないな」

 

 クライド達にとって連邦軍は味方と言う訳ではなく、寧ろ追われる立場にある。

 相手がヴェイガンと言えども、助ける理由も義理もなく、無駄に戦闘をする必要もない。

 

「だったら、迂回して行く? この位置なら戦闘を避ければUEとの交戦を避けられるかも知れないわ」

「いや……連邦を助けるつもりはないが、UEはここで叩いておく。コロニーの近くより戦い易いからな」

 

 ヴェイガンの明確な行動目的はクライド達にも分からない。

 それ故、敵が目的地のコロニーに向かう可能性がある。

 コロニー付近で戦闘を行えば、流れ弾がコロニーに当たる危険性がある為、迂闊に高い火力の火器は使えないが、ガフランの装甲を貫くためにはそれ相応の火力が必要となる。

 下手にコロニーに被害を与えて補給が受けられない事は避けたい。

 そのため、コロニーの近くでの戦闘を回避するためにこの場での戦闘をクライドは選択した。

 場合によっては連邦軍を助ければ恩を売ることも出来るかも知れないとの打算も含んでいる。

 

「分かったわ。私達は迂回してサザーランドポートに向かうから、UEを仕留めたら合流してね」

「了解」

 

クライドはそう言い、ブリッジを出て戦闘の準備を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クライドがブリッジを後にすると艦内放送で戦闘配備が告げられ、アブディエルのクルーは慌ただしく自分の配置についている。

 

「戦闘になんのかよ?アニキ」

 

 クライドがパイロットスーツに着替えると、同じくパイロットスーツに着替えたジゼルとレオナールも格納庫に入って来る。

 クライドは連邦軍の正規規格のパイロットスーツで黒一色の物を来ている。

 ジゼルは青いパイロットスーツで体のラインが出るデザインの為、さっきからレオナールが目のやり場に困っている。

 レオナールは突発的にアブディエルに乗艦したため、急遽用意した連邦軍の正規企画のパイロットスーツをそのまま使っている。

 

「敵はどこですか?」

「UEだ。MS型が5機、連邦と交戦している」

 

 クライドはアリスにそう言う。

 アリスはパイロットスーツを着ておらす、いつものメイド服のままだった。

 一応はアリス用のパイロットスーツも用意していたが、本人がメイド服以外の着用を拒んだために使われないでいる。

 アリスの後ろにはピンク色のパイロットスーツを着たユーリアもついて来ている。

 ユーリアのサイズのパイロットスーツやノーマルスーツはアブディエルにはおいて無かったため、マッドーナ工房に滞在中に急いで用意した。

 色がピンクなのはジェノワーズのカラーリング同様、ユーリアの強い要望があったからだ。

 

「連邦はどうでも良いが、ここでUEを叩く」

「おっし、任せといてよ!アニキ」

 

 そして、各員は自分のMSへ搭乗する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アブディエルが動いる頃、ガフランと交戦が続いている。

 連邦はダーウィン級の戦艦が一隻と連邦の主力MSジェノアスが数機残っているだけだった。

 

「こんなところでUEと遭遇するとは……」

 

 連邦軍のMS隊の隊長のシャルル・ラファルグ大尉がそう言いながら、ジェノアスのビームスプレーガンを放つ。

 だが、ガフランの装甲に当てることが出来たが、ガフランの装甲を傷つけることはない。

 

「くっ……やはりジェノアスでは倒せないのか……」

「隊長ぉぉぉ!」

 

 シャルルの部下がシャルルの名を叫ぶがそれと同時に部下のジェノアスがガフランのビームサーベルで両断され爆散する。

 だが……シャルルに部下の死を嘆いている暇は無く、ガフランのビームライフルをかわすので精一杯だった。

 シャルルのジェノアスは必死にビームスプレーガンで応戦するが、ガフランには効果がない。

 すると、母艦のダーウィン級が反転しているのが見える。

 

「艦長!何をしているんですか!」

「ラファルグ大尉か……見ての通り本艦は現宙域を離脱する」

 

 シャルルは母艦の艦長の言葉に耳を疑う。

 近くにはコロニー「サザーランドポート」があり、今宙域を離脱すれば最悪サザーランドポートに向かう可能性もある。

 その為、例え隊が全滅しようともガフランをこの場に留める必要にある。

 

「何を言っているんですか!このままだとUEはサザーランドポートに向かう可能性があります!」

「サザーランドポートにも連邦軍は駐留している。向こうに向かったら、向こうで何とかするだろう。それよりも我々は生き延びねばならない」

 

 母艦の艦長の言う事は一見、正しいように思えるがシャルルにはそうは思えなかった。

 確かに生き残ることは大切かも知れないが、コロニーを見捨てる様な真似をしてまで、UEに対抗出来る策を持たない自分達が生き残る理由は無い。

 それよりも、自分達の命を賭してでもコロニーを守らないといけないとシャルルは考えていた。

 UEから故郷やそこに残して来た人を守る為にシャルルは連邦軍に志願している。

 

「これは命令だ。我々は生き延びて未来を繋がなければならない」

 

 シャルルは艦長の言う事が全て白々しく聞こえた。

 結局のところ、綺麗な理由を付けて死にたくないだけだと……

 そのためにシャルルの故郷でもあるサザーランドポートを見捨てると言うだけの事だったと……

 だが、MS隊を撃破してきたガフランが母艦に取りつき、ビームライフルを撃ちこむ。

 ガフランの放ったビームは母艦に次々と直撃し、やがて母艦は轟沈した。

 

「くっ……」

「隊長! 母艦が……ぐぁ!」

 

 母艦が沈んだせいでMS隊のパイロット達は混乱し、次々とガフランに撃墜されていく。

 

「このぉぉぉ!」

 

 シャルルのジェノアスはビームスプレーガンを連射するが、ガフランはかわしてバルカンを放つ。

 シャルルはシールドで防ごうとするも、防ぎ切れずに左腕が吹き飛び、バランスを崩したところを、ガフランのビームライフルで今度は右足が吹き飛ぶ。

 

「まだだ……まだ、俺は!」

 

 シャルルはビームスプレーガンをガフランに放つがガフランはかわして、ビームサーベルでジェノアスの右腕を切り裂く。

 そして、ビームサーベルをシャルルのジェノアスに突き刺そうとするが、その直前に動きが止まる。

 武装を完全に失い死を覚悟していたシャルルは突然の事で呆気にとられるが、ガフランの腹部から剣の先が見え、ガフランは爆散する。

 爆発が収まるとそこにはブリーズアーマーを装備したガンダムZERO Bが両手にロングソードを構えていた。

 

「何だ……あのMSは……」

 

 シャルルは突然の出来事に頭がついて行かなかったが、次第に意識が遠のいでいた。

 ガンダムZERO Bはシャルルのジェノアスをそのままで別のガフランに向かいロングソードで切り裂く。

 

「敵はいつもの奴か……アイツ……ブラッドはいないようだな。用心のためにブリーズで出る必要はなかったな」

 

 クライドはブラッドのゼダスが出て来た時の為にノーマルアーマーではなくブリーズアーマーを装備して来たが、敵がガフランだけだったので、その心配は杞憂に終わった。

 

「これならグラディエーターで出ても良かったかもな」

 

 グラディエーターアーマーの最終調整も終わり、後は実戦テストを残すだけになっていたため、ブラッドの様なエースパイロットが出ていない戦場ではヴェイガンのMSにどこまで有効かをテストする良い機会だった。

 ガンダムZERO Bは3機目のガフランをロングソードで両断する。

 

「アニキ、アタシらの分も取っていてよな」

 

 後方から残りのMSも到着し戦闘に入る。

 ジゼルのジェノアス・キャノンはマシンガンを放ち、ガフランを牽制すると、レオナールのジェノアス改が腕に内蔵されているワイヤーアンカーを射出し、ガフランの右腕に絡みつく。

 ガフランは左手のビームサーベルでワイヤーを切断しようとするが、ジェノアス改はシールドに内蔵されているミサイルを放つ。

 ミサイルはガフランに直撃し、ガフランの動きが一瞬止まる。

 

「ジゼルさん!」

「わってるよ!」

 

ジゼルのジェノアス・キャノンはマシンガンを投げ捨てて、ビームランスを構えてガフランに突っ込む。

 ガフランはワイヤーを切断するよりも、ジェノアス・キャノンの追撃う優先し、ビームサーベルを振るうが片腕をワイヤーで抑えられていたために上手く攻撃が出来ずにジェノアス・キャノンを簡単にかわすとビームランスでガフランの左腕を切り落とす。

 

「この前の借りをお前で代わりに返してやるよ!」

 

 ジェノアス・キャノンはビームランスでガフランの腹部を貫きガフランを破壊する。

 

「うっし! 1機撃墜! 次行くぞ、レオ!」

 

 ジゼルはコックピット内でガッツポーズをして次の敵へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 デスドールはビームサイズでガフランを両断する。

 

「今回は新型が出ていないですね」

 

 ガフランはデスドールにビームライフルを放つ。

 デスドールはビームをかわすとヒートナイフを投擲する。

 

「相変わらず固いですね」

 

 ガフランは腕でデストールのヒートナイフを防ぐが、その隙にジェノワーズのビームライフルのビームがガフランを撃ち抜く。

 

「この子……良い反応」

 

 ユーリアはジェノワーズでの初めての実戦で、マッドーナ工房での慣熟訓練時とは違うジェノワーズの反応速度に満足そうに操縦する。

 ジェノワーズはガフランを撃破すると、残りの二機のガフランがジェノワーズにビームライフルを放つが、ジェノワーズは完全に回避する。

 

「成程……クライド様が設計したジェノワーズの性能は優秀ですね。それとも、これがXラウンダーの能力なのか……どちらも優秀過ぎて判断に困りますね」

 

 アリスがジェノワーズの動きを分析している間にも、ジェノワーズは左手にビームサーベルを持たせて、ガフランに突き刺す。

 残っているガフランがジェノワーズにバルカンを放つが、ジェノワーズはビームサーベルを突き刺しているガフランを盾にしてバルカンを防ぐと、ビームライフルでガフランを撃ち抜いた。

 ビームサーベルを抜くと突き刺されていたガフランが爆散する。

 

「どうやら今ので最後みたいだな」

 

 クライドが戦場を確認してそう言う。

 

「くっそ……アタシらの撃墜数は1機かよ」

「一機でも相手がUEなら十分な戦果ですよ」

 

 ジゼルは戦闘で1機しか撃墜出来なかったため悔しそうにしている。

 

「初陣で3機の撃墜ですか。グッジョブです。ユーリア」

「うん……この子のお陰」

「戦闘は終了だ。アブディエルに帰投するか」

 

 クライドはそう言い、戦闘宙域を漂っている大破したシャルルのジェノアスを掴む。

 

「アニキ、連邦の奴を助けんのかよ」

 

 過去の経験から連邦を毛嫌いするジゼルが不服そうする。

 

「まぁな。コイツらの母艦が沈んだ以上、ここに捨てておけば多分死ぬだろうな。流石にこの場で見捨てるのは目覚めが悪いからな」

「でもさ……そいつ連邦軍だぜ? アタシらも連邦に追われてんだ。仲間を呼ばれたら大変だぜ?」

 

 回収したジェノアスのパイロットの事を知らない以上、その可能性もゼロではない。

 

「その時は俺がコイツもろとも連邦を返り討ちにする。それで問題ないだろ?ジゼル」

「アニキがそこまで言うんなら……」

 

 ジゼルはまだ不服そうだったが、クライドが決めたことに強く逆らう事も出来ない為、渋々納得する。

 

「決まりだ。帰投する」

 

 ガフランの全滅を確認し、増援の気配もないため一同はアブディエルに帰還して行く。

 

 

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