機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第80話

オリバーノーツ基地には高速航行形態となり大気圏離脱用ブースターの取りつけ作業中に、フォルスが艦内にいないと言う事が発覚するも、問題が起きる前にフォルスがホワイトファングに戻った事もあり、その件にはウルフの小言で収まった。

 その他にはトラブルが起きる事なく、ブースターの取りつけが完了した。

 

「艦長、大気圏の離脱準備が完了しました」

 

 ブースターを取りつけて、ホワイトファングの各部署が大気圏の離脱の準備を終えたとの報告を受けていつでも宇宙に打ち上げが可能に成っている。

 

「スラッシュの母艦への通達はどうなってる?」

「一応、彼に言われた通信コードに要件だけは伝えておきましたが返事は来てません」

 

 宇宙に戻った後に、スラッシュを引き渡す為にメナスに連絡を取るが、向こうも警戒しているのか反応はないが、スラッシュを引き渡す為に接触する気がある事と、その宙域の情報は送っている。

 それに向こうが応じるかは向こう次第だった。

 

「そればっかりはどうにもならんか……それと、フォルスはいるな?」

「確認済みです」

 

 打ち上げが迫るなか、フォルスを地球に残している訳にはいかない。

 ラウラもそれは理解しており、事前にフォルスがホワイトファングに乗っている事は確認している。

 フォルスが乗っている事を確認し、各部署の準備が完了した事でオリバーノーツ基地の管制に打ち上げをする事を告げ、ホワイトファングは大気圏を離脱する為の打ち上げの準備に入る。

 準備に入るとやがて、艦体が傾いて行く。

 そして、ブースターが点火し、ホワイトファングは宇宙へと打ち上げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある小惑星帯の中に紛れているクライドのラボでクライドはモニターに映されているデータに目を通していた。

 それはクライドが研究している物ではない。

 クライドはヴェイガンの情報をEXA-DBの中の情報から電子戦用の技術を使い、得る事が出来る。

 その中から兵器関連の技術を盗み見ている。

 

「移動要塞ラ・グラミスね……厳しい環境で良くもまぁ……」

 

 映像に映されているのはヴェイガンが現在、地球侵攻作戦の為に用意している移動要塞ラ・グラミスの情報だった。

 この情報を連邦軍に流せば、ヴェイガンがラ・グラミスを動かした時に対処は出来るだろうが、クライドはそんな事をする気は毛頭無かった。

 

「要塞関連はどうでも良い……MS関連はっと……」

 

 クライドにとってはヴェイガンの要塞の情報の重要度は低く、ラ・グラミスの情報を流し読みしてMS関連の情報を探す。

 幾つかのMS関連の技術に目を通すが、水陸両用MSなどの局地戦用のMSの情報ばかりだ。

 

「連中も本格的に地球侵攻の為のMS開発に乗り出したって事だな」

 

 中々興味深い情報ではあったが、生憎と局地戦用のMSの情報は必要としていない。

 

「ん? コイツは……」

 

 MS関連の情報を流し読みをしていたが、クライドはある項目に興味を持つ。

 クライドはその情報を熱心に読む。

 

「成程な……ヴェイガンのMSにアスノ家の技術を融合させるか……開発コード『ガンダムレギルス』か……ヴェイガンもガンダムの開発するのか……コイツの開発に成功するとどの陣営もガンダムを持つ事になるな。有難みも何もないな」

 

 そこに記されている情報はヴェイガンの技術とアスノ家の技術を融合させると言う物で、それを融合した技術を使って開発するのはヴェイガンでは初となるガンダムタイプのMSであった。

 だが、情報を見る限りでは殆ど上手くは言っていない様だ。

 開発のはじまりは20年以上も前だが、基本設計すら碌に進んでいない。

 それは開発責任者のマリィがアスノ家の技術を一部しかクライドから受け継いではいない事や、元より異なる技術を合わせる事は困難であるからだ。

 その為、ガンダムレギルスの開発は責任者のマリィのコールドスピープの伴い、半ば凍結されている。

 

「マリィはまだ寝ているのか……たまには親らしい事でもして見るかな」

 

 クライドはそう呟き、EXA-DBの情報を検索し、ガンダムレギルスの開発に成り無い技術を探し出す。

 情報を出した後はその情報を凍結されたガンダムレギルスの基本設計に合わせてガンダムレギルスの設計図を完成させて、ヴェイガンに送りつけるつもりだ。

 

「クライド様、フォルスが宇宙に戻ったようです」

「ああ……そう言えばアイツは地上に降りてたっけな」

 

 ラボの研究室にはクライドしかいない筈だったが、何処からともなく声が聞こえる。

 それに対してクライドは驚いた様子が無い事から、クライドは声の主が何処にいるのかは把握しているようだ。

 

「地球も体験した事だし……そろそろ、戻すか。アリス。迎えに行ってくれないか」

 

 クライドは確かに「アリス」と言う。

 クライドは気をおかしくして、かつてアスノ家に仕えていたアリスの幻影と話している訳ではない。

 23年前、クラリッサがクーデターを起こした際にアリスは自動戦車を道連れにして自爆している。

 だが、クライドはアリスが人間ではないと知った時点でいざと言う時の為にリアルタイムでアリスの人格データをメモリーのバックアップを取っていた。

 それ故にあの時、クライドは「またな」と言った。

 アリスが自爆や破壊されても人格データとメモリーのバックアップがあればアリス自体とはまた会う事が出来る事は分かっていたからだ。 

 だからと言ってアリスを囮にする事は家族を囮に使うと言う事以外にもアリスにはオーバーテクノロジーの塊だった事もあり、それを失わせる事も躊躇う原因であった。

 そのアリスの人格データは今はシドの中に入っている。

 元々、シドはEXA-DBの開発者のエルド・イナージュの人格データをシドの制御プログラムに組み込まれていたが、今はエルド・イナージュの人格データにアリスの人格データを上書きし、アリスの人格データを制御プログラムとしている。

 その為、守護対象をEXA-DBからアスノ家に変わり、クライドの指示で動いている。

 

「よろしいので?」

「そろそろ10年だからな。十分だと思う」

 

 クライドがCMCにフォルスを送りこんでかれこれ10年となっている。

 ある目的でフォルスを送り込んだが、そろそろ、目的を達しているかも知れない為、一度フォルスをCMCから自分の元に戻す事にする。

 

「余り長居をさせる訳にもいかないからな」

 

 例え、目的を達していてもクライドの予想を上回る結果に成る事も考える為、この辺りが潮時と言う事だ。

 

「了解しました」

 

 ラボの格納庫のハッチが解放され、ラボからシドが出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 打ち上げられたホワイトファングは無事に大気圏を離脱し、スラッシュを引き渡す為に指定して宙域に接近している。

 付近には艦影は捕捉は出来ないが、宙域に到着するとメナスが見えざる傘から出て来る。

 

「艦長」

「ああ……気を抜くんじゃねぇぞ」

 

 ホワイトファングの呼びかけに応じたからと言って、敵対する意思が無いとは限らない。

 応じたフリとして油断したところを攻撃して来る可能性もある為、すでにMS隊はMSにて待機を命じてある。

 

「ゼイドラを射出します」

「ウルフ艦長……いろいろとお世話になりました」

「気にすんな。次に会うのは戦場かも知れんが、元気でな」

 

 ゼイドラとの通信が終わると、ゼイドラが射出される。

 ゼイドラが射出されて、警戒しつつ反転するとメナスからプロトギラーガが射出され、それに続きガフランやバクトも射出される。

 

「まぁ、そう来るわな。MSを出せ! こっちも応戦するぞ!」

 

 スラッシュを引き渡せば敵が攻撃して来る事は予想の範囲内の事だった為、慌てる事なくホワイトファングからもMSが射出される。

 

「どう言う事なんだ?」

「どうも何もこの機にガンダムとその母艦を叩くんですよ」

 

 スラッシュはメナスに通信を繋ぐとヴァレリがそう言う。

 ホワイトファングが反転して、メナスに背を向ける形になっている為、状況的にはメナスの方が有利となっている。

 

「止めろ」

「なぜです? これはチャンスですよ」

「それでもだ」

 

 ヴァレリの言う通り、ホワイトファングはMSを射出しているが、背を向けている事から状況は有利でこれを逃す事はない。

 だが、スラッシュはここに来るまでや、地上でホワイトファングに乗っている時にウルフやホワイトファングのクルーと関わった事で、この状況でホワイトファングを撃つ事が卑怯に思えて仕方が無かった。

 スラッシュに言われてティアナも機体を止める。

 

「スラッシュ様」

「とにかく、ここは撤退する」

 

 スラッシュは頑なにそう言い、ヴァレリは不服そうにするが、スラッシュにそう言われると引くしかない。

 それによってヴェイガンのMSは撤退を始める。

 

「撤退だと?」

「スラッシュが何か言ったんだろうね」

 

 ホワイトファングから出撃したMS隊もヴェイガンのMSが撤退して行く事を確認して、足を止める。

 

「敵が引くと言うのなら、追う必要はない。警戒しつつ帰投しろ」

「艦長、どうやらそれには早い様だよ」

 

 深追いをする必要はない為、ウルフは帰投を命じるが、フォルスは何かを感じ取る。

 すると、センサーに新たな反応が現れる。

 

「何処のMSだ!」

「機体識別……UIEのゼイ・ドゥです! 数は30!」

「多いな……撃って来るなら迎撃しろ!」

 

 捕捉したMSは数は多いが奪われたプロト3の機影は確認出来ない。

 このタイミングで仕掛けて来る理由は分からないが、敵である可能性は高い。

 ゼイ・ドゥはビームマシンガンを撃ちながら接近して来る。

 

「撃って来たね」

「各機、迎撃しろ」

 

 ホワイトファングのMS隊はゼイ・ドゥを迎撃する。

 ゼイ・ドゥの攻撃はヴェイガンには殆ど無く、ホワイトファングに集中している。

 その為、ヴェイガン側への被害は殆ど無い。

 

「スラッシュ様、如何しますか?」

「連中はガンダムの方が狙いの様です。気にする事はありません」

「放っておけるかよ! ティアナは俺について来い。他はメナスの守りに徹しろ!」

 

 数が多い為、ホワイトファングのMSでは数に圧倒されるだろう。

 そう考えるとスラッシュは自分だけ逃げる事は出来なかった。

 

「スラッシュ様! 地球種の潰し合いに関わる必要性はありません!」

 

 ヴァレリはスラッシュの判断に異を唱えるが、スラッシュは聞く耳を持たない。

 ゼイ・ドゥに向かうゼイドラの後にティアナのプロトギラーガも続く。

 完全に意見を無視されたヴァレリは、表には出さないがスラッシュの判断に憤りを覚えていた。

 

「数は多いけどさ」

 

 AGE-2X改はハイパードッズライフルでゼイ・ドゥを撃ち抜き、ビームサーベルで切り裂く。

 ゼイ・ドゥはビームマシンガンを放ち、AGE-2X改はかわしてハイパードッズライフルを撃ち、ゼイ・ドゥはシールドで防ぎシールドごと腕が破壊され、後方のジェノアスキャノンⅡのドッズキャノンに撃ち抜かれる。

 クランシェは飛行形態でビームをかわし、ドッズライフルを撃ちながらMS形態に変形して、ドッズライフルを放ち、それを回避したゼイ・ドゥをGバウンサーが撃墜する。

 

「その程度じゃね」

 

 敵の数は多いが、対応出来ない程ではない。

 ホワイトファングのMS隊がゼイ・ドゥと交戦していると、ゼイドラとプロトギラーガもゼイ・ドゥに攻撃を始める。

 ゼイドラはゼイドラガンを放ち、ゼイ・ドゥはシールドで防ぐが、背後からプロトギラーガがプロトギラーガスピアで切り裂き、プロトギラーガはビームバルカンを放つ。

 

「ヴェイガンがどう言う吹き回しなんだい?」

「UIEは俺らにとっても敵だからな。ここで叩かせて貰う」

「好きにしなよ」

 

 戦闘にゼイドラとプロトギラーガが参戦するが、突如、ゼイ・ドゥが撃墜されて行く。

 

「何だ? 何処からの攻撃だ!」

 

 ゼイ・ドゥが破壊されて行き、やがて、見えざる傘を展開していたシドが姿を現す。

 

「何処のMSだ?」

「該当するMSのデータはありません!」

 

 姿を現したシドはビーム砲を放つ。

 ホーミング機能を持っているビームはゼイ・ドゥを破壊する。

 

「何なの……」

 

 シドの放ったビームをプロトギラーガは回避しようとするも、追尾するビームを腕の電磁装甲で防ごうとするも、腕ごと破壊される。

 

「ティアナ! くそ! 何なんだよ! アイツは!」

 

 ゼイドラはプロトギラーガの前に出るとシドにビームバスターを放つが、シドはその巨体に似合わない機動性能を見せつけてかわす。

 

「シド……何でここに?」

 

 混乱する戦場でフォルスだけは冷静に自体を把握していた。

 すると、AGE-2X改にメッセージが入る。

 

「ドクターから? 帰投命令か……」

 

 メッセージはシドから送られた物で、そこにはラボへの帰投命令だけが書かれている。

 それにより、シドが乱入して来た理由がフォルスに帰投命令を出すのが目的である事が分かる。

 

「仕方がないな……」

 

 AGE-2X改はストライダー形態に変形すると、戦場から離脱して行く。

 

「フォルス! 何処に行くつもりだ!」

「悪いね。艦長、ボクは今日限りで退職させて貰うよ」

「なっ! どう言う事だ! 説明……」

 

 突然の事でウルフは怒鳴るが、フォルスは通信を切る。

 そのまま、フォルスは振り返る事なく戦闘宙域から離脱して行く。

 フォルスが離脱した事でシドの戦う理由も無くなった為、撤退する。

 撤退したシドはAGE-2X改と共に見えざる傘で姿を隠す。

 シドの乱入でUIEもゼイ・ドゥの大半が撃墜されて、まともに戦闘が続けられる状況ではない為、UIEも撤退しスラッシュとティアナを回収したメナスも撤退し、戦闘は終了する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘から離脱したフォルスはシドと共にクライドのいるラボに戻って来ていた。

 ラボの格納庫に機体を置いたフォルスはクライドのいる研究室にまで来た。

 研究室に入ったフォルスを一瞥したクライドはすぐにモニターに視線を戻る。

 

「ご苦労さん。お前の機体に取り付けられた発信機は用済みだから外させておくかな」

 

 クライドはそう言いながらも、ヴェイガンから得たガンダムレギルスの設計を続けている。

 

「それで、どうだった?」

「中々、面白かった」

「へぇ」

 

 クライドは設計の手を止める。

 

「だったら、もう少し帰投命令は先延ばしにした方が良かったか?」

「それには及ばない。ドクターが帰投命令を出したのにも理由があるのだろう? ならば、その方が何よりも優先だからな。私はプロジェクトUGの為の存在だからな」

 

 それを聞いたクライドはある決断を下す。

 

「そうか……今のお前をガンダムに乗せる訳にはいかないな」

「……ドクター……今の冗談はつまらないな」

 

 フォルスは動揺を隠せないでそう言う。

 フォルスは冗談だと言うが、クライドは何も言わない。

 

「私はガンダムに乗る為に……」

「今のお前では俺の開発する最強のガンダムは使いこなせない。最強のパイロットでは無いお前ではな」

 

 その言葉が先ほどの言葉が冗談でも嘘でもない事を裏付ける。

 フォルスの頭の中は真っ白になり、混乱し何が何だか分からなくなっている。

 今まではクライドの開発する最強のガンダムのパイロットに成る為にクライドの指示に従って動いて来た。

 フォルス自身、その指示に疑問を持った事は一度も無かった。

 クライドに指示された事を忠実にこなして来た。

 だが、クライドの言葉はそれらを全て否定する言葉であった。

 フォルスは無意識の内に後退り、やがて、部屋の端まで後退って壁に持たれ掛かる。

 そして、フォルスは研究室から飛び出していく。

 

「よろしいので?」

「よろしいんだよ。あれで」

 

 フォルスが研究室を飛び出して行き、暫くするとアリスがそう言う。

 クライドはガンダムレギルスの設計を続けてそう返す。

 

「俺の求めているのは最強のパイロットだ。今のアイツはパイロットじゃない」

 

 クライドがフォルスに求めるのは最強のパイロットである事だ。

 フォルスはEXA-DBの中の情報を使いパイロットとしては最強の能力を持たせている。

 だが、今のフォルスは自身をガンダムの一部として自分を見ている。

 クライドの持論はMSは道具であるからこそ、クライドはフォルスをガンダムのパイロットにする訳にはいかない。

 

「外に出せば少しは変わるかと思ったが、どうやらまだ早かった様だな」

 

 フォルスが自身をガンダムの一部であると言うのは、最強のガンダムのパイロットとしてフォルスを作った事から仕方がない事ではあった。

 だから、外の世界に出し様々な人と関わる事で少しは人間らしくなる事を期待した。

 話を聞く限りではフォルスは少しは人間らしい感情を持つ様にはなったが、フォルスの話を聞く限りではフォルスを呼び戻したのは早計だった様だ。

 その為、フォルスに対してクライドは大きな賭けに出る事にした。

 

「だから、フォルスの存在理由を奪ったんですか?」

「これは賭けだよ。アリス。アイツが本当に最強のパイロットになるかどうかのな」

 

 クライドはフォルスの存在理由を奪った。

 それにより、フォルスがどう行動するかはクライドも予想は出来ない。

 存在理由を失ったフォルスがこのまま終わってしまうのか、それとも自身の存在理由をクライドに否定されても尚、ガンダムのパイロットに成る道を選ぶかはフォルス次第だ。

 

「クライド様、今さっきフォルスがガンダムAGE-2X改を持ちだしました。フォルスの薬も同様に全てが持ち去られています」

「フォルスが?」

 

 フォルスの体を維持する薬を全て持ち出したと言う事はフォルスはしばらく、クライドの元に戻らないと言う事だ。

 今まで、クライドの命令には忠実であったフォルスが初めて勝手な行動を取った事にクライドは目を潜める。

 フォルスが何を思って飛び出したかは分からないが、それはそれで興味深い事だった。

 

「そう言えば、発信機は取り外したんだったな」

 

 UIEに取り付けられた発信機はラボに来た時点で取り外す様に指示を出していた為、すでに取り外されているだろう。

 取り外していなかったら、その発信機を頼りにフォルスの動向を逐一把握出来るのだが、取り外してしまった以上は出来ない。

 

「まぁ……良いか」

「どうします? 私が追いますか?」

「放っておけ」

 

 AGE-2X改の機動力は高いがシドの機動力を最大限に使えば追いつく事は出来なくはない。

 だが、クライドはそれを止める。

 初めて独断で動いたフォルスが何をするのか、興味があるからだ。

 

「暫く好きにさせておけばいいさ。薬にも限界があるからな」

 

 フォルスの持ち出した薬の量には限界があり、EXA-DBの中のデータが使われている為、地球圏で複製するのはまず不可能だ。

 薬が底を尽きればフォルスは遠く無く死に至る。

 それを回避する為にはクライドの元に戻るしかない。

 クライドにとってはどちらに転んでも構わなかった。

 

「そんな事よりも、この場所はUIEには知れているだろうからすぐに破棄する。後はフォルスの知るラボも早急に破棄するぞ」

 

 発信機からこの場所にUIEが来るのは時間の問題で、クライドの元を去ったフォルスが自分の知るラボの場所を誰かに話す危険性もある為、このラボやフォルスの知るラボを破棄する必要がある。

 クライドはすぐにガンダムレギルスの設計を今の段階で出来ているところまでを纏めてラボの破棄の準備を始めた。

 

 

 

 

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