機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第81話

突然のフォルスの離脱を言うトラブルが起きたが、フォルス自身は自分の意思で離脱した事やその際に退職すると言っていた事から、ホワイトファングやCMCに戻る気が無い可能性が高い事から、ホワイトファングではフォルスの捜索は行う事は無かった。

 スラッシュを引き渡したホワイトファングはCMCの社長のジェラールの呼び出しで、CMCの本社のあるコロニー「アーヴィン」に接近している。

 

「艦長、入港完了しました」

「御苦労。さて……俺は社長に小言を言われて来る」

 

 ウルフはそう言い艦長席を離れる。

 呼び出された理由は分からない。

 少なくともフォルスが行方を眩ませたと言う事はないだろうが、フォルスが勝手に退職を宣言して行方を眩ませた事は本社にも伝わっている為、それに関しての事も言われるだろう。

 

「これも艦長の仕事ですよ」

「言ってくれるな」

 ウルフはそう言い、文句を言っていても始まらない為、本社へと向かう。

 アーヴィン内にはブランシャール運送の本社の他にもCMCの本社も立てられている。

 ウルフはCMCの本社に到着すると、社長室に通される。

 社長室に入るとウルフは顔を顰める。

 社長室にはCMCの社長のジェラールだけでなく、ソファーにはUIEのアルベリッヒが座っていた。

 ウルフもノートラム攻防戦に参加していた為、アルベリッヒの事は覚えている。

 

「コイツは何の冗談だ?」

 

 ウルフはジェラールを人睨みして、アルベリッヒの対面のソファーにどしりと座る。

 ジェラールは軽く怯むが、アルベリッヒは動じない。

 

「連邦軍はもう駄目だと私は考えているのだよ。ウルフ艦長」

 

 落ち着いたジェラールは偉そうにそう言う。

 

「だから、わが社はUIEをメインのクライアントにする事に決めたのだよ」

「コイツらが何をしようと分かってんのか?」

 

 UIEの行動目的は未だにはっきりとしないところが大きい。

 ノートラム攻防戦で介入して来てから連邦軍と交戦する事も少なくない。

 元連邦軍の軍人で何度もUIEの攻撃を受けているウルフからすれば、UIEを信用は出来はしない。

 そのUIEと組もうと言うのだ、ジェラールに対する不信感を持たない方がおかしい。

 

「アースブレイク計画……それが」

「社長しゃべり過ぎだ」

 

 ジェラールが得意げに話すが、アルベリッヒはそれを止める。

 ウルフが完全にUIEの側についた訳でもないのに、UIEの計画を話すのは愚かな行為でしかない。

 現に計画の全貌はともかく、無意味な計画名を付ける訳もない為、計画名からある程度はUIEの計画の一端が明るみになるかも知れない。

 UIEからすればCMCの保有している戦力は魅力的だが、自身の能力を過信気味のジェラールは頭の痛い問題でもあった。

 計画名だけだが、余りにも物騒な計画名にウルフの顔が険しくなっている。

 

「さて……それでウルフ艦長。我々は貴官の実績を買い。軍にいた時以上の待遇でUIEに向かえ入れる事を約束しよう」

「俺の様な老いぼれをそんな上手い条件で雇おうとは裏があると勘繰っちまうな」

「それだけ貴官の力を高く買っていると思って欲しい」

 

 アルベリッヒの言葉に裏がある訳ではない。

 実際に、ウルフの実績を高く評価し、UIEに高待遇で迎え入れる気でいる。

 

「ありがたい話ではあるが、話が話だ。少し考える時間が欲しい」

「良いだろう。あの白い狼を迎え入れるのだ。少しくらいは待つさ」

 

 アルベリッヒはそう言い、ウルフは社長室から出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スラッシュが帰還したメナスはホワイトファングを追撃する事無く、セカンドムーンからの指示で航海している。

 ノートラムに仕掛けてから、再度ホワイトファングに仕掛けた事から戦力は殆ど残っておらず、スラッシュが不在の時にも補給は受けたが、物資が殆どでMSは配備されてはいなかった。

 その為、AGE-2X改が単独で戦線を離脱した事は捕捉していたが、その後に戻っている可能性も否定できず、残っている戦力だけでも厳しい事もあって追撃は断念したところに本国のセカンドムーンから指定された宙域に向かう様に指示を受けている。

 

「スラッシュ様、どう言うつもりなのですか?」

 

 ヴァレリはホワイトファングに対する攻撃を止めるように指示を出した事を再度、スラッシュに問い詰める。

 スラッシュは帰投時に言った事が全てである為、鬱陶しそうに答える。

 

「言っただろ。あそこで仕掛けるのは卑怯だってよ」

「だからと言って……」

「そんな事よりも、指示された宙域に何があるんだ?」

 

 ヴァレリは納得のいかない様子だったが、スラッシュが強引に話を変える。

 それに対してヴァレリは不服そうにするが、聞かれたからには答える義務があるから知っている事を話す。

 

「詳しい事は分かりませんが、ゼハート様がコールドスリープから目覚め、ウォーミングアップがてら何やら作戦行動を行うらしく、我らにもその作戦に参加するように言われています」

 

 ヴァレリも詳しい事は知らされてはいないが、今までコールドスリープで寝ていたゼハートが目覚めて作戦の指揮を取る事になり、それにスラッシュのメナスの戦力も投入されるらしい。

 その作戦に伴い増援も予定されている。

 

「親父が?」

「ええ……それとスラッシュ様の母上も目覚めて本国で新型機の開発に携わると言う事です」

「お袋までもな……」

 

 両親がコールドスリープから目覚める事を知り、結局ガンダムを倒す事が出来なかった事を思い出すだけでなく、地球でフォルスに言われた事も思いだす。

 スラッシュの母のマリィが地球の人間である事は知っていたが、マリィがアスノ家の人間である事は知らなかった。

 更には地球に降りた時にいろいろな物を見て聞いて、スラッシュの中に地球の人間を全滅させる事に対しての戸惑いも生まれている。

 その為、地球の人間と深く関わっていたゼハートに聞きたい事が山積みとなっている。

 ゼハートが指揮する作戦ともなれば、ゼハートと会う事も出来るだろうから、スラッシュはゼハートに対してそれらの事を聞こうと決意する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 CMCの本社から戻ったウルフは明らかに機嫌が悪く、艦長室に戻りラウラは機嫌の悪いウルフに近寄りたくはないが、ウルフに呼び出された以上、艦長室に来ない訳にはいかない。

 艦長室にはピリピリとした空気が漂い、ラウラはさっさと要件を聞いて出て行きたい衝動に駆られている。

 

「ラウラ、変わった事は無かったか?」

「変わった事ですか……」

 

 ラウラは首を傾げる。

 ラウラはウルフが不在だった時の事を思います。

 

「変わった事と言う程ではないですが、アーヴィンの近くにUIEの艦隊が近づいているくらいですかね」

「UIEの艦隊? どの辺りだ」

「アーヴィンの防衛圏外ですが、本艦がアーヴィンを出港した場合、接触する可能性がありますね」

「成程な……そう言う事かよ」

 

 話を聞いたウルフの機嫌が更に悪くなる。

 ラウラの話からすると、アルベリッヒはウルフがUIEの側に付かない場合も想定して艦隊を配置していた。

 距離が離れている為、アーヴィンの管制から身を隠す事は可能だが、そうしないと言う事は無言の圧力と取れる。

 もしも、自分達に与しない場合は艦隊にて撃滅する言っている。

 

「舐められたもんだな。俺も」

 

 恐らくは社長室で会った時のウルフの言動から、ウルフがジェラールに不信感を持ち、UIEの側に付かないと言う事はアルベリッヒにも分かっているだろうから、こっちの動きは逐一監視されている可能性が高い。

 

「艦長?」

「向こうがその気ならこっちにも考えがあるって事を見せてやるよ」

 

 向こうがその気だと言うのなら、ウルフにも考えがあった。

 それからのウルフの行動は早かった。

 数時間後にはホワイトファングの全クルーを格納庫に集めた。

 集められたクルーは格納庫に集められた理由が分からずにざわついている。

 そして、ウルフがクルーの前に出て来ると静まり、クルーはウルフに注目する。

 

「今回集まって貰ったのは他でもない。回りくどいのは面倒だから、短答直入に言う。俺はCMCを抜ける」

 

 ウルフがそう言うと、クルーは先程よりもざわつく。

 ラウラも初耳だったので驚いている。

 

「理由は簡単だ。CMCはUIEと手を組むらしい。俺はこれ以上信用出来ない奴の下で戦うのは御免だ」

 

 今までは軍よりも待遇の良さもあり、基本的に連邦か民間に雇われる事が多くヴェイガンやUIEに雇われる事はなかったから、CMCに属していたが、今回ばかりはウルフもCMCにいる気が無くなった。

 

「UIEはCMCを取りこんで何か良からぬ事を企んでやがる。俺はそれを見て見ぬ振りは出来ねぇ」

 

 ジェラールが口走った「アースブレイク計画」

 その全貌は分からないが、碌でもない計画である事は確実だ。

 今更正義感を振りかざすつもりはないが、無視は出来ない。

 

「だから、CMCを抜けて連中を戦う事にした。だが、それにも戦力が必要だ。もしも、俺と共に戦う気のある奴は俺のついて来い!」

 

 すでにウルフは一人で戦うには歳を取り過ぎている。

 だからこそ、ウルフはホワイトファングのクルーにも自分と共に戦う様に言っている。

 

「だが、強制はしない。俺と共に来るって事は最悪、世界を敵に回す事になるかも知れない」

 

 CMCは連邦軍に雇われる事も多く、UIEの下についた事は当分は明らかにならないだろう。

 そうなれば、UIEだけでなく連邦軍をも敵に回す事に成りかねない。

 蝙蝠退治戦役で連邦軍を抜けて、軍からは反逆者の汚名を着せられても戦う道を選んでいる為、今更軍と敵対する道を選んでも自分の選んだ道だから迷う事はない。

 だが、他のクルーはそうもいかない。

 

「ホワイトファングを降りたい奴は降りれば良い。この事をCMCの連中に告げ口をしても構わない。俺はそれを裏切りだとは思わない」

 

 艦の雰囲気から、簡単に船を降りると言う後ろめたさもあり言い出し難い。

 だからこそ、ウルフは船を降りる事を裏切りではないと言い後めたさを少しでも軽減しようとしている。

 

「それでも、俺と共に戦う気のある奴は俺に力を貸して欲しい。今すぐに決断する事はねぇ。きちんと考えて答えを出して欲しい」

 

 ウルフはそうやって締める。

 今は雰囲気に当てられて、ウルフと共に戦おうと言うクルーも多いが、後々冷静になって後悔するかも知れない。

 時間を置かせたのは時間を置く事で冷静な判断をさせる為だ。

 それにより、ホワイトファングに残るクルーが激減して、まともにホワイトファングを運用出来なくなるかも知れない。

 ウルフがCMCを抜けると言う事を告げ口するかも知れない。

 それらのリスクを背負ってでも、今後の事を考えれば本気で自分について来るクルーが残った方が良かった。

 ウルフは言うだけ言い格納庫から出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウルフがクルーにCMCを抜けると宣言してから数日が経ち、その間にウルフは出来る事を一通りはやっておいた。

 その間にUIEやCMCが行動を起こさないと言う事は誰も告げ口はしていないと言う事だろう。

 そして、ホワイトファングを降りるクルーの一覧が完成しラウラがウルフに報告している。

 

「以外と少ないな」

「ですね」

 

 一覧に記されているクルーの数は数人でその程度なら、ホワイトファングを運用するのには問題はない。

 

「まぁ、こいつらなら仕方がないか」

「しかし、アキラが降りるのは痛いですね」

 

 降りるクルーの大半は家族持ちだ。

 ホワイトファングの外に家族を持っている為、ウルフについて行くと言う事は家族を危険に晒す可能性がある事から降りる事にしたのだろう。

 それに関してはウルフも仕方がないと思っている。

 ウルフも自分の家族を危険に晒してまで自分について来て欲しいとは思わない。

 その他にはアキラも降りる事になっている。

 ウルフがCMCを抜けると宣言した日に転勤願いを提出して、すでにホワイトファングにはいない。

 元々、アキラは仕事を仕事と割り切る為、嫌っていたフォルスとも連携を取っていたなどもあり、CMCを抜けてまでウルフについて来る気は毛頭無かったのだろう。

 アキラが抜けた事でホワイトファングの戦力は激減する事になる。

 エースパイロットのフォルスはCMCを抜けて行方不明となっている為、ホワイトファングのMSはアキラのクランシェを含めて4機だったが、アキラが抜ければ3機しかない。

 その内の1機はウルフのGファングで実質的に常に使えるMSは2機しか搭載されていない。

 キースにしてもライルにしても一騎当千のエースパイロットとは言えない。

 

「それについては考えてある」

 

 アキラが早い内に転属願いを出した事でウルフも抜けた戦力を補い策を打つ事が出来ていた。

 

「艦長、お客様が来ています」

「通してくれ」

 

 話の途中で、ウルフを訪ねて来た客が来たとの報告を受けてウルフは艦長席に客を通す。

 

「久しぶりだな。エリーゼ」

「私をここまで呼び付けたんだから、それなりの話なんでしょうね。ウルフ」

 

 ウルフを訪ねて来た客とはクライドの妻、エリーゼ・アスノだった。

 エリーゼは特研が閉鎖された後、軍を退役して今は実家のブランシャール運送を継いでいる。

 そのエリーゼはウルフに重要な話があると言ってホワイトファングまで呼び出していた。

 

「ああ……クライドの事だ。あの馬鹿は生きてやがるらしい」

「まぁ……そんな事だろうと思ったわ。それであの馬鹿は今何処にいるの?」

 

 エリーゼもクライドが簡単に死ぬとは思ってなかったらしく、驚く事は無かった。

 そして、何処にいるかとは聞くが何をしているかは聞かない。

 聞くまでもなくクライドはMS開発をしている事は明らかだからだ。

 

「さぁな。そこまでは俺も知らん。それよりも俺の力を貸して欲しい」

「どう言う事?」

 

 エリーゼも良い予感はしないが、一応は話を聞く。

 ウルフはCMCを抜ける事やUIEの計画の事をエリーゼに話す。

 ラウラのUIEが良からぬ事を計画している事は知っていたが、計画名がこの上なく物騒な名前である事に少なからず驚いている。

 

「成程ね……アースブレイク計画……連中は地球を破壊でもする気なの?」

「俺に聞くなよ」

 

 計画名を聞く限りではそう解釈が出来る。

 だが、地球を破壊するなど荒唐無稽過ぎる。

 

「地球を破壊するってもどうやる? コロニーを何基落とせば地球が破壊出来るって話だよ」

 

 コロニーを落とせば、地球に対して大打撃を与える事が出来る。

 だが、どれだけ落とせば地球を破壊出来るかなど分かりはしない。

 一基や二基なら落とせるが、連邦もそう何度もコロニーを落とす事を許す訳もない。

 地球を破壊しようとすれば、地球を奪おうとしているヴェイガンも阻止に動く事は明白だ。

 

「地球を破壊出来る兵器なんて聞いた事もないわ」

 

 エリーゼが特研にいた時も、クライドからいろいろな兵器の話を聞いたが、どんな協力な兵器でも地球に大打撃を与えても破壊する事は出来ない。

 過去の戦争に遡っても地球を破壊する程の兵器が存在したかも怪しい。

 

「連邦軍に協力を仰ぐと言うのはどうでしょうか?」

「UIEが地球を破壊しようとしてるってか? そんな話を信用して貰えるとは思えないな」

 

 UIEが地球を破壊しようとしていると言う事は計画名から推測しているだけで、事実かすら危うい。

 計画名が計画を分かり易くつけた計画名なのか、計画が悟られないように計画とは関係ない計画名にしているかも知れない。

 その手段や明確な計画が分からな以上は、地球を破壊すると言う荒唐無稽は話を連邦軍にしたところでそれを信じて貰える訳がない。

 

「専門家じゃねぇ。俺達がああだこうだ、議論したって結論は出ないさ。こう言う時に役に立つ奴を俺は知っている」

「クライドね」

 

 UIEのアースブレイク計画がその名の通り、地球を破壊する作戦であるならばそれ相応の兵器を使って来る事は間違いない。

 兵器に関しては人並みの知識しかないウルフやエリーゼがここで議論しても情報が少な過ぎる為、答えなどではしない。

 だが、兵器に関しては二人とは比べ物にならない知識を持つクライドならば、何かしらの答えを出せるかも知れないと言う事だ。

 

「そう言う事だ。エリーゼ。俺らに協力して欲しい」

 

 クライドを探すに当たり、ホワイトファングには孫のキャロルを乗せているが、それだけでは見つけるのは難しい。

 しかし、地球圏で最もクライドの事を理解しているエリーゼがいればクライドを探すのは少しはマシになる。

 その上、エリーゼがいれば戦闘時に艦の指揮をエリーゼに任せる事が出来、ウルフはGファングで出撃する事が出来る。

 更にはエリーゼが社長をしているブランシャール運送は各コロニーに強い影響力を持ち、独自の情報網を持ち、運送業である為、補給を受けるのも容易になって来る。

 

「仕方がないわね。そんな話を聞いた以上は私も放ってはおけないし、何よりうちの馬鹿亭主を一発殴らないと気が済まないわ」

 

 クライドが何を考えていようとも、エリーゼにはどうでも良かった。

 どの道、クライドは自分の夢の為に爆進しているだろう。

 エリーゼはクライドの自分の夢を語るところを見て惚れたのだから、クライドが自分の夢を追い続ける限りはそれについて行くつもりだった。

 それなのにクライドは一人で動いている。

 それがエリーゼには許せなかった。

 クライドは自分の為ならある程度は手段を選ばない事はエリーゼも知っている。

 余りにも度が過ぎていればエリーゼはクライドを止めようとするから、クライドは一人でやろうとしているのだろう。

 だが、そんなのはクライドを追う言い訳に過ぎなかった、結局のところ、エリーゼはクライドに置いて置かれた事が納得出来なかっただけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリーゼがウルフを合流して数日、CMCの本社からクリフォードが出て来る。

 クリフォードは明らかに機嫌が悪い。

 ノートラムでホワイトファングを降りたクリフォードはアーヴィンにあるCMCの本社のジェラールに会いに来ていた。

 フォルスに言われた通り、ジェラールと話しをして向きあう為だ。

 何年も会っていない父に意気込んで会いに来たが、CMCの受付でその意気込みは打ち砕かれた。

 受付で社長のジェラールに会いに来たと言ってもアポが無ければ会えないと言われ、息子だと言っても変わらなかった。

 アポを取ろうとも、社長は忙しいと言われてアポすら取れない状態が続いた。

 社長と言う立ち場から時間が余り取れないのは理解出来る。

 だが、クリフォードが初めて本社を訪れてから一月近くも経っているのに一向にジェラールと会う約束すら出来ない。

 今日も、ジェラールを訪ねて来たが、やはり会う事は出来ず、いつなら会えるかもわからない。

 

「何なんだよ……」

 

 アポが無いで来ている為、今日会えない事は仕方がないが、アポすら取れない為、来る度に不満が募って行く。

 

「親父……」

 

 流石にここまで会う事も連絡を取る事も出来ないとなると、ジェラールははなっからクリフォードと会う気が無いとさえ思ってしまう。

 実際にジェラールの性格を考えれば会う気が無いと考えてもあり得る。

 

「親父に会えないんじゃどうしようもないだろ」

 

 ジェラールに会う事が出来なければ向きあう事も何もない。

 かといってクリフォードにはジェラールに会う策を思いつく事も出来ない。

 クリフォードには打つ手がなく途方に暮れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今まではウルフが座っていたホワイトファングの艦長席には今はエリーゼが座っている。

 当初は艦長の交代にクルーも戸惑っていたが、ウルフが自ら連れて来た事や、ウルフ同様の戦歴を持っている事などもあり、エリーゼを艦長として受け入れる事が出来ている。

 エリーゼは数日で艦の戦力やクルーの練度を把握し、すぐにでも艦を指揮する事には問題がないくらいには艦の事を把握している。

 

「それで艦長。どうしますか? 今、アーヴィンを出港してもUIEと遭遇します」

 

 ラウラはエリーゼの手腕を確かめるかのようにエリーゼに聞く。

 ラウラもウルフが呼んだ以上、エリーゼが艦長になる事に異論はないが、これからの戦いを生き残るのに足る実力を持っているかは実際に指揮するところを見てみたいと思っている。

 

「そうね。ここままUIEと交戦しても全滅する事は目に見ているわ」

 

 ウルフがパイロットとして復帰したとは言え、今のホワイトファングには戦力が決定的に不足している。

 もしも、交戦になれば確実に全滅する事は明白だった。

 

「すぐにコロニーの管制に連絡して」

「は?」

「早く。余り時間をかけてはいられないわ」

 

 エリーゼの指示に戸惑いながらも、言われた通りにアーヴィン側の管制室に通信を繋いだ。

 コロニーの管制に通信が繋がると向こうのスタッフは驚いている。

 行き成り、通信を繋いで来られてその相手がブランシャール運送の社長なのだ、無理はない。

 

「すぐに1番の港口を閉鎖して、内部側のハッチを開きなさい」

「社長? どう言う……」

「良いから急ぎなさい。それとコロニー内に緊急避難勧告を出して」

 

 エリーゼは有無を言わさずに命令する。

 スタッフは事情が飲み込めないが、相手が相手だけに断る事が出来ずに作業に入る。

 

「艦長、説明して貰えますか?」

「簡単な事よ。正面から出ても勝ち目はないから裏口からこっそりと逃げるのよ」

 

 エリーゼは簡単に言うが、言う程簡単ではない。

 エリーゼはホワイトファングをコロニー内を通って現在入港している港から反対側の港から脱出しようとしている。

 確かに反対側の港から出ればUIEの艦隊に出くわす事もなく、コロニー内を通れば気付かれる危険性も少ない。

 だが、コロニー自体、内部に戦艦を通る様に設計されていないので、コロニーの内部に戦艦を入れるのも一苦労で出るのも同様だ。

 更にはウルフの情報からアーヴィンにはアルベリッヒが滞在しており、いつからUIEとCMCが組んでいたかは分からないが、アーヴィン内にMSを運びこんでいる可能性も高い。

 行動を開始すれば確実にアルベリッヒに知れる事になり、そうなれば艦隊の方にも情報が行き、反対側に周り込まれる事になり、行動を起こせば迅速に行動して周り込まれる前に脱出しなければならない。

 

「さぁ、ゆっくりとしてられないわ。覚悟を決めなさい」

 

 無茶苦茶な作戦ではあるが、UIEの艦隊を相手にするよりはマシである為、ブリッジクルーも半ば自棄になる。

 管制に通信を入れて少しすると、正面のハッチが閉じるとコロニー内に入る為のゲートが開く。

 港に固定されているホワイトファングは港内で何とか反転すると、ゲートを潜ろうする。

 ゲートの大きさはギリギリで若干、ゲートで艦体を擦りながらも、何とかコロニー内に入ると最大速度で港に向かう。

 

「艦長! MSが接近!」

「やっぱり、アーヴィンの中にもMSを持ちこんでいたわね」

 

 ブリッジのモニターには数機のゼイ・ドゥが映されている。

 

「ウルフ。MSが出て来たわ。迎撃をお願いね」

「早かったな」

「連中も馬鹿ではないって事」

「だな……こっちもすぐに出るぞ」

 

 コロニー内でMS戦になる可能性は始めから分かっていた事だ。

 だから、コロニー内に緊急避難警報を出させた。

 まだ、完全に避難が終わってはいないが、警報を出していないよりかはマシだ。

 ホワイトファングからはウェイボードに乗せたMSが射出された。

 

 

 

 

 射出されたMS隊はホワイトファングに攻撃を開始しようとしているゼイ・ドゥの迎撃に出ている。

 ウルフのGファングのハイパードッズライフルはコロニー内では必要以上に威力がある為、Gバウンサー用のドッズライフルを装備している。

 

「無理に撃墜する必要はねぇ。とにかく、ホワイトファングのエンジンを撃たせるなよ」

 

 Gファングはドッズライフルを放ち、ゼイ・ドゥをビームマシンガンを持つ右腕を撃ち抜く。

 腕を撃ち抜かれたゼイ・ドゥはビームアックスを抜いて近接戦闘をしかけるが、コロニー内ではウェイボードで飛行しているGファングの方が早く、ビームアックスはかわされ、Gファングの後についていたジェノアスキャノンⅡのドッズライフルで撃ち抜かれて破壊される。

 ジェノアスキャノンⅡは肩の三連装ミサイルポッドのミサイルを地上のゼイ・ドゥに対して放つ。

 ゼイ・ドゥはビームマシンガンで迎撃するが、GファングとGバウンサーのドッズライフルで落とされる。

 順調に迎撃していると思われたが、ウルフは不意に殺気を感じて機体をウェイボードから飛びあがらせる。

 すると、ウェイボードは四方からのビームに撃ち抜かれる。

 もしも、あのままウェイボードに乗っていたならば、Gファングも無事では無かっただろう。

 

「ファンネルか!」

 

 レーダーに敵影は無かった。

 ステルスシステムで姿を隠していたと言う事もあり得るが、四方からの攻撃から考えるにビットやファンネルによる攻撃の可能性が高い。

 

「ウルフ艦長!」

「俺に構うな。お前らはホワイトファングを守れ!」

 

 ウルフは機体が地上に降下しながら、周囲を集中して見るとウルフの予想通り、小さい端末が戻っていく。

 その先には一機のMSが向かって来ていた。

 頭部はUIEのMSの特徴とも言えるモノアイにブレードアンテナが付いており、従来のMSよりも大型となっている。

 両肩にはスパイクアーマー、右手にはロングビームライフル、左腕には大口径のビームキャノンが内蔵されたシールド、胸部にはメガバルカン、腰には高出力ビームソードが装備されている。

 白やグレーと言ったカラーリングがされており派手と言う訳ではないが装飾もされている。

 

「あの攻撃をかわすか……流石は白い狼と言ったところか」

 

 アルベリッヒは機体の中で攻撃をかわした事に少なからず驚いていた。

 この機体こそがゼイ・ドゥをベースに開発され、コロニー国家間戦争で猛威を振るったアルベリッヒ専用MS「ゼイ・ガルム」だ。

 ゼイ・ガルムはGファングに向けていた6基のファンネルをバックパックに戻すとGファングに向かっていく。

 

 

 

 

 アーヴィン内で戦闘が起き、コロニーの住民は避難をしようとしているが、クリフォードは走っていた。

 コロニー内にホワイトファングが入って来たと思えばUIEのMSが現れてホワイトファングからもMSが射出されて戦闘に入っている。

 その中にガンダムAGE-2X改とクランシェが出て来てはいなかったが、そんな事を気にしている余裕は無かった。

 それ以上に問題だったのはゼイ・ドゥがCMCが保有している倉庫街の方から来たように見えた。

 その為、ゼイ・ドゥはCMCの倉庫から出て来たかも知れない。

 となればCMCがUIEのMSを隠していた事になる。

 クリフォードはそれを確かめる為に、倉庫街を目指していた。

 倉庫街に辿りつくとクリフォードは一番近い倉庫の中を確認する。

 

「何だよ……こいつは」

 

 そこには3機のMSが置かれていた。

 3機のMSは全部同じMSであったが、見た事もないMSだった。

 頭部のモノアイに小型のバルカンにブレードアンテナが付いており、右手にはドッズライフル、左腕には質量装甲で作られた楕円形のシールド、腰の裏側には両端からビーム刃が形勢出来るツインビームサーベル、シールドの裏にはビームアックスが装備されている。

 バックパックや脚部には光波推進システムが内蔵されると同時に疑似斥力システムも搭載されている。

 全体がグレー一色で塗装がされたMS「ゼイ・ドルグ」は奪取した4機のプロト3から得た技術を使って作られた新型の量産機ですでに先行試作機として3機が製造されている。

 倉庫内にはUIEなのかCMCなのか分からないが作業服を着た作業員が倒れている。

 クリフォードがそれに気がついて駆け寄ろうとするが、クリフォードの視界が回転して、背中に強い衝撃を受ける。

 クリフォードはすぐに何が起きたのか分からなかったが、すぐに自分が倒されたと言う事に気がつくが、片腕を背中に回されてうつ伏せにされて誰かに抑えつけられる。

 

「……子供?」

 

 クリフォードを抑えつけた人物がそう言う。

 その声から、自分を抑えつけている相手が女である事が分かる。

 

「貴方、UIE? それともCMC?」

 

 女がそう言い、クリフォードは必死に顔を横に振りどちらでもない事を主張すると、拘束が解かれる。

 

「ここは危険だから早く非難しなさい」

 

 女の拘束から解かれたクリフォードは捻られていた腕を摩りながら女を見る。

 正確な歳は分からないが自分よりも随分と年上に見える。

 長い金髪をなびかせている女……クリフォードは面識が無かったが、キャロルの母親であるファム・アスノであった。

 ファムは今はブランシャール運送でエリーゼの秘書をしているのと同時に情報収集を行うエージェントをしている。

 エリーゼから事情を聞いたファムはブランシャール運送自体にはまともなMSは所有していない為、UIEからMSを強奪するしようとして倉庫に忍びこんでいた。

 その中で新型機であるゼイ・ドルグに目をつけて倉庫内の作業員を無力化している最中にクリフォードが来た為、クリフォードも無力化したが、クリフォードがUIEでもCMCの人間でもない事が分かると拘束を解いた。

 ファムはゼイ・ドルグに乗り込む。

 すでに起動状態のゼイ・ドルグの操縦系統を確認する。

 全方位モニターを採用されているゼイ・ドルグはヴェイガン系のMSと対して変わらない操縦系統だった為、ファムも問題なく動かす事が出来る。

 

「おい! 待てって!」

 

 クリフォードは訳も分からず、ファムを呼びとめるがゼイ・ドルグのコックピットハッチが閉じてその声は届く事は無かった。

 ゼイ・ドルグは足元のクリフォードを踏まないように倉庫から出て行くが、無視された形となった事でクリフォードはゼイ・ドルグに向かう。

 ファムが奪取する為に起動状態の時を見計らって行動を起こした為、クリフォードが乗ったゼイ・ドルグも動かせる状態にあった。

 ゼイ・ドルグはヴェイガン系の操縦系統でプロト3とは操縦系統が違ったが、ある程度は動かす事が出来た。

 操縦系統の違いで上手く動かせないが、何とか倉庫の外に出る。

 

「おい! アンタ、何もんだよ!」

「さっきの子? どうしてMSに……」

 

 ファムはただの子供がMSに乗って追いかけて来た事に驚くが、上空からGファングが降りて来る。

 

「ウルフさん!」

「その声……ファムか? そいつは……」

「ウルフ艦長!」

「それにクリフォードか! お前、何でこんなところに居やがる!」

 

 ファムがいる事自体は驚く事ではないが、流石にクリフォードがいる事までは予想外の事だった。

 だが、事情を確認している暇はない。

 Gファングの着地点にアルベリッヒのゼイ・ガルムが向かって来ている。

 

「面倒な奴が来やがったか……ファム、悪いがそこの奴をホワイトファングまで頼む」

「分かりました」

 

 ウルフはそう言ってゼイ・ガルムにドッズライフルを放ち、向かっていく。

 

「聞いての通りよ」

「分かったよ」

 

 クリフォードは事態が良く分からないが、ファムがウルフの知り合いと言う事は敵ではないと言う事は分かった。

 クリフォードが納得すると、ファムは倉庫に戻っていく。

 

「何処に行くんだよ?」

「ついでよ。もう一機も持って行くわ」

 

 倉庫には起動状態のゼイ・ドルグが残されている。

 パイロットはファムによって無力化されているので、倉庫に残しておく手はない。

 

「貴方も手伝って」

 

 ファムに言われて、クリフォードも残されているゼイ・ドルグをファムと共に掴み、倉庫の外まで持って来るとホワイトファングまで向かう。

 

 

 

 

 

 

 Gファングのドッズライフルをシールドで防いだゼイ・ガルムはバックパックのファンネルを繰り出す。

 射出された6基のファンネルはGファングを囲むように展開してビームを放つ。

 

「ちぃ!」

 

 並みのパイロットならば、そのオールレンジ攻撃で確実に仕留める事が出来るが、ウルフは並みのパイロットでは無かった。

 Gファングは四方からのビームを紙一重で回避する。

 だが、アルベリッヒにとってはファンネルのオールレンジ攻撃で落ちてくれれば儲けもんでしかなく、オールレンジ攻撃で否応なく、ファンネルに集中させている内にビームソードを抜いてGファングに接近していた。

 

「こっちが本命か!」

 

 Gファングはドッズライフルを向けるが、ドッズライフルを向けている右腕ごとビームソードで切り裂き、Gファングを蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされたGファングは地上に叩きつけられる。

 そして、ゼイ・ガルムは地上に叩きつけられたGファングに追い打ちをかける。

 ビームソードを突き出してGファングを串刺しにしようとするも、Gファングはスラスターを最大出力で回避する。

 ゼイ・ガルムのビームソードは地上に突き刺さるが、Gファングに胸部のメガバルカンを放つ。

 ゼイ・ガルムのメガバルカンに装填されている弾丸は通常のマシンガンに使われる弾丸とは違い着弾と同時に弾ける炸裂弾になっている為、防いだGファングのシールドが破壊される。

 Gファングも頭部のビームバルカンで牽制を入れるが、ゼイ・ガルムもシールドで防ぐ。

 

「ここまで凌ぐとはな……やはり、ここで始末するべきだ」

「たく……勘弁しろよな」

 

 Gファングは左手にビームサーベルを持って構える。

 ゼイ・ガルムもビームソードを構える。

 二機は互いに間合いを取り合っていると、ホワイトファングにクリフォードの乗る機体と無人のゼイ・ドルグを連れて行ったファムのゼイ・ドルグがドッズライフルをゼイ・ガルムに放つ。

 ゼイ・ドルグからは友軍信号が出ていた為に、反応が遅れるが難なく回避する。

 

「奪取されたか……」

 

 友軍信号が出ていたゼイ・ドルグから攻撃を受けるが、アルベリッヒは冷静に判断する。

 自分達もMSを奪取している以上、自分達のMSも奪取されるのはあり得ない話では無かったからだ。

 

「ウルフさん。あのMSは私に任せて下さい」

「悪い。任せた」

 

 Gファングは損傷しており、ゼイ・ガルムと戦うリスクは大きい。

 少なくとも今は戦う必要はない。

 その為、ウルフはこの場をファムに任せてホワイトファングに戻っていく。

 

「逃がさん」

 

 ゼイ・ガルムはロングビームライフルをGファングに向けるが、ゼイ・ドルグがドッズライフルを放ち、ゼイ・ガルムのロングビームライフルが撃ち抜かれる。

 

「貴方の相手は私よ」

 

 ゼイ・ドルグのドッズライフルをかわしつつ、ゼイ・ガルムはファンネルを射出する。

 ファンネルのオールレンジ攻撃をファムはXラウンダー能力で先読みしつつ、頭部のバルカンでファンネルの一基を破壊し、ドッズライフルで更に一基撃墜して、ファンネルの包囲網を突破すると、シールドの裏に装備されているビームアックスを抜いて、ゼイ・ガルムに振り下ろす。

 ゼイ・ガルムはその一撃をシールドで受け止める。

 

「大した性能だ」

 

 ゼイ・ガルムはゼイ・ドルグのビームアックスを押し返すのと同時にビームソードを抜きざまに振うが、ゼイ・ドルグは距離を取ってギリギリのところでかわす。

 そして、戦闘をしている内にホワイトファングがコロニー内を横断を殆ど終えており、ゼイ・ガルムに対して煙幕弾を放ち、横断を終える。

 ファムはアルベリッヒが煙幕で視界が奪われている間にホワイトファングを追いかける。

 

「……逃げられたか……まぁ良い」

 

 今から追いかけたところで振り切られる可能性が高く、幾らゼイ・ガルムといえども単機で仕掛けても勝算が少ない為、アルベリッヒはその場での追撃をする事はない。

 だからと言って、ホワイトファングを野放しにするつもりも無かった。

 ホワイトファングを追撃する為にアルベリッヒはCMCの本社の方に戻る。

 

 

 

 

 

 アーヴィン内を横断して、脱出したホワイトファングはファムとウルフを回収して高速巡航形態になると、最大船速で宙域を離脱した。

 アーヴィンから離れたところである程度は安全になったので、油断は出来ないが一息をつくくらいの余裕は出来ている。

 余裕が出来た事でウルフはクリフォードを呼び出していた。

 

「それで、何でお前がUIEの新型に乗っていた?」

「いろいろあったんですよ。それよりもどう言う事なんですか? コロニー内で戦闘なんて……」

 

 ウルフは軽く状況を説明する。

 CMCがUIEと組んだ事でホワイトファングがCMCを抜けた事を話す。

 

「そんな……親父が……」

 

 クリフォードは信じがたいが、ジェラールの性格やUIEのMSがCMCの倉庫にあった事もあり、ウルフが自分に対して嘘をつく理由もない為、それが事実だと確信する。

 

「まぁ、そう言う訳だ。お前はどうすんだ? 悪いがお前を下している余裕はないぞ」

 

 現在、ホワイトファングはUIEに追われている。

 今は撒いたとっは思うが、またいつ戦闘になるか分からない状態だ。

 

「俺もここで戦います」

「前にも言ったが覚悟はあるのか?」

 

 以前にウルフはこちらの世界に入るには相応の覚悟が必要だと言った。

 これからの戦いはあの時よりも過酷な物になるだろう。

 その為、それ以上の覚悟が必要になって来る。

 

「分かりませんよ。覚悟とか……だけど、親父がUIEと組んで碌でもない事を考えてんなら、俺が止めないといけないのかもしれないって事は何となく分かります」

 

 父であるジェラールの行いは息子である自分が止めなくてはならないと漠然と感じていた。

 その為に戦うと言うのがウルフの言う覚悟かどうかは分からない。

 

「だから俺は戦います」

 

 それがクリフォードの決意であった。

 

「成程な……こっちとしても戦力が欲しいところだったからな。丁度良い」

 

 フォルスとアキラが抜けた穴は大きく、ファムを加えたところで戦力はあるに越したことはない。

 そして、それはクリフォードがホワイトファングに乗ると言う事を肯定する言葉でもあった。

 

「それじゃ!」

「給料はでねぇが、こき使ってやるから覚悟しておけよな」

 

 クリフォードを再び乗せたホワイトファングはUIEの「アースブレイク計画」の阻止の為に行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

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