宇宙海賊ビシディアンへの攻撃はビシディアンの保有しているガンダムタイプのMSを一機撃墜しただけで終わった。
目的としては完全にビシディアンを壊滅させることは出来なかったが、ビシディアンに打撃を与えたが、それ以上に被害も大きかった。
ダークハウンドXと交戦したMSの多数が撃破され、先手を打って配置しておいた、メナスに配備された5機のジルスベインと5人のXラウンダーを失い、ヴァレリの報告ではプロトギラーガとゼイドラも撃墜されたとゼハートに報告があった。
それを報告したヴァレリはその責任を取る為に、その場で自決しそうな勢いであったが、無論本気で責任を感じている訳もなくスラッシュを死なせた事に対して責任を感じているような演技をしていただけだった。
いつものゼハートなら気づかないまでも違和感を覚えたかも知れないが、スラッシュが戦死したという報告に顔にこそ出さなかったが、動揺しヴァレリの演技に気づく事はなかった。
報告を終わり、ゼハートはファ・ゼオスの一室で一人ため息をついていた。
「スラッシュ……」
生まれてすぐにコールドスリープに入ったため、生まれたときの事しか知らず数時間前に16年ぶりに再会する事の出来た息子がいとも簡単に戦死した。
これが戦争である以上は仕方がないと頭では理解できる。
だが、だからと言って納得できる訳がない。
「アセム……お前はどこまで……」
それが名も知らない連邦軍の兵士ならここまで納得がいかない事もなかったかも知れない。
しかし、スラッシュのゼイドラを撃墜したのはガンダムタイプのMSだと報告を受けている。
そのガンダムタイプのMSに乗っているのは名も知れらないパイロットではなく、ゼハートも良く知るパイロット、アセム・アスノだ。
スラッシュはXラウンダー能力を持たないが、パイロットとしての能力は高いと報告されていたが、相手がアセムならスラッシュが負けてもおかしくはない。
「アセム、お前は私が討つ」
ゼハートは静かにそう決意する。
ゼハートへの報告を無事に終えたヴァレリはファ・ゼオスとは別の戦闘艦の医務室に来ている。
そこには戦闘宙域で回収したビシディアンのパイロット、フォルスが寝かされている。
ダークハウンドXが爆発した時に機体の外に投げ出されて戦闘中に破壊されたMSの破片に叩きつけられた事で戦闘宙域から遠く飛ばされる事はなかったが、破片に叩きつけられた事で普通の人間なら衝撃で死んでいるところをフォルスは数か所の骨折を打撲で済んでいた。
だが、さすがにそれだけの衝撃を受ければフォルスも意識は失っている。
今は医務室で簡単な治療がされ、目が覚めた時の為に四肢を拘束されているが、それは普通の人間に対しては有効かも知れないが、フォルスには大して意味はなさないだろう。
「容体は?」
「生きてはいるけど、いつ意識が戻るかは……」
医師はヴァレリにそういう。
実際、医師もヴァレリもフォルスの傷を治す気はなかった。
回収したフォルスが生きていた為、生け捕りにして情報を引き出せれば良いので口さえ利ければどんな傷を負っていようとも、五体満足でなくとも問題はなかった。
その為、今は生命維持以上の治療は行ってはいない。
「まぁ良い」
「それで許可は出たのか?」
「ああ」
ヴァレリの乗っている戦闘艦はファ・ゼオスから離れてる予定だった。
名目は今回の戦闘で出た負傷兵を戦線から離脱させるという物だったが、本当の目的は回収したフォルスの移送だった。
ガンダムのパイロットだったフォルスを捕えた事をゼハートに報告すれば、それはヴァレリの戦果となるだろう。
それ以上に戦闘の指揮を執ったゼハートの戦果でもある。
ヴァレリはそれは気に食わない。
だからこそ、その事実を伏せて置き、直接イゼルカントに報告する事で自分一人の戦果にする算段だった。
この戦闘艦に乗っているクルーは皆、ゼハートの事を良く思わない者が乗っているため、その事はゼハートに知れる事はない。
フォルスを乗せた戦闘艦はファ・ゼオスから離れて離脱していく。
戦闘宙域から離脱し、見えざる傘を展開して
ヴェイガンを撒いて安全宙域まで離脱すると、警戒レベルを下げて見えざる傘を解除して通常高校に入っている。
バロノークの格納庫では回収したゼイドラとプロトギラーガに整備班が数人取りついて作業をしている。
ビシディアンの仲間となったスラッシュとそれについて来るというティアナがビシディアンで出来る事と言えばパイロットくらいしかない。
その為、アセム二人の乗って来たMSが使えるかどうかを調べさせていた。
「どうだ?」
安全を確保したことでアセムは格納庫に様子を見に来ている。
アセムに聞かれた整備班は皆、浮かない顔をしている。
その様子から余り芳しくない事が分かる。
「キャプテン、こりゃ俺らには手が負えませんよ」
使えるか使えないかの以前に整備班にはゼイドラもプロトギラーガも手に余っていたらしい。
ヴェイガンのMSと言う事で地球側で運用されているMSとは基本構造やシステムなどがまるで違うために簡単な事は分かってもそれ以上の事はほとんど分からない。
これが一流の技術者ならある程度の判断がつくのだが、ビシディアンには優秀な技術者はいても一流の技術者は今はいない。
「マッドーナにつくまでは無理か……」
「流石のマッドーナでもあっちは無理だと思いますぜ」
比較的損傷の少ないゼイドラならマッドーナ工房に持ち込めば解析して予備パーツを作る事は可能かも知れないが、損傷の酷いプロトギラーガはマッドーナ工房に持ち込んだところで再生が出来ないかも知れない。
「だろうな……仕方がない。あのMSを出すか」
どの道、ゼイドラが予備パーツを製造した修理することが出来ても、バロノークの整備班に整備を任せても出来るようになるまである程度の時間が必要になるだろう。
バロノークの格納庫の一角には専属のパイロット不在のMSが置かれている。
そのMSは高性能が故にビシディアンでは扱えるパイロットと言えば、アセムかフォルスくらいで二人のどちらかの機体が出せない時の予備機として運用しようかと考えているMSだ。
そのMSをスラッシュが扱えるのであれば相当の戦力になることは間違いない。
ヴェイガンのMSとは操縦系統が違うのでスラッシュが慣れるまで時間がかかるだろうが、整備班がゼイドラの整備を覚えるよりかは時間はかからない。
「あれの整備もやっておいてくれ」
「あれですか……あの坊主に扱えますかね?」
「さぁな。だが、使えるようにしておく事に越した事はないさ」
スラッシュが扱えなかったとしてもアセムが扱えるので使えるようにしておいて無駄になることはないだろう。
「頼んだ」
アセムは整備班に指示を出すとブリッジに戻る。
アーヴィンを脱出したホワイトファングはマッドーナ工房に匿われていた。
補給や情報に関してはエリーゼがホワイトファングの新たな艦長となったため、ブランシャール運送を使えば問題はなかった。
だが、その補給を受けるに当たり、MSのパーツの問題が出て来る。
ウルフのGファングの部品はマッドーナ工房でしか製造出来ず、戻ってきたクリフォードが乗るMSはファムが奪取したゼイ・ドルグがあるが、奪取したゼイ・ドルグは3機でファムが1機を使うので残った1機をばらして予備パーツにするしかない。
当然、それではいずれは予備パーツも尽きるだろう。
そうならないためにもマッドーナ工房に持ち込んでゼイ・ドルグを解析して予備パーツを複製できるように依頼するためにホワイトファングはマッドーナ工房にゼイ・ドルグを持ち込んでいた。
マッドーナ工房の格納庫の一つにホワイトファングから運び込まれたゼイ・ドルグが解体されている。
その横にはゼイ・ドルグが置かれているが、グレーだったカラーリングが紫に塗装されている。
更には左の腰のところにハイパー・バズーカ用の弾倉が追加され、機体の横にはゼイ・ドルグ用に調整されたハイパー・バズーカも置かれている。
「お母さん。調整は終わったけどどうかな?」
「うん。良い感じよ」
ファム用に調整されたゼイ・ドルグのコックピットでファムがキャロルにそう言う。
ゼイ・ドルグはカラーリングや武装の強化のほかにシステムもファムの操縦に合わせた調整がされており、ファムはその感覚を確かめている。
「それよりもあれもホワイトファングに運ぶの?」
「うん。そうだよ」
ファムは格納庫に置かれている別のMSを指さす。
そこにはノートラムから運ばれたプロト3 イノベーションが置かれている。
ノートラムからマッドーナ工房に運び込まれてからマッドーナ工房で戦闘データの解析作業などをした後に解体されるところを、戦力が必要となったホワイトファングに譲渡される事になり、パイロットはクリフォードとキャロルが務める予定だ。
「そう……キャロルも乗るのよね」
「仕方がないよ。あれは一人でも動かせるけど、二人の方が性能を引き出せるから」
クリフォードはパイロットとしてのセンスはあるが、実戦経験に乏しく、それをキャロルの知識で補う事でプロト3の性能を引き出す。
その為、プロト3にはキャロルも同乗するつもりだ。
「……何か来る」
「お母さん?」
ファムがそう言うとマッドーナ工房内に警報が鳴り響く。
「どうしたの?」
ホワイトファングの艦長席に座りエリーゼは状況の確認をしようとする。
ブリッジのメインモニターにララパーリーが映される。
「UIEの艦隊に囲まれてる。すでにMSも出てるわよ。それも相当数」
「狙いは私達でしょうね」
今までUIEがマッドーナ工房に仕掛けて来る事はなかった。
タイミング的にホワイトファングが転がりこんで数日で仕掛けて来た事を考えるとホワイトファングが狙いであると考えるのが自然だ。
「また、面倒な事に巻き込んでごめんなさいね」
「まぁ、あんた等が面倒事を持って来るのは今に始まった事じゃないしね。分かって匿ったから気にする必要はないわよ」
「MSは? Gファングは出せる?」
マッドーナ工房とウルフやエリーゼは蝙蝠退治戦役の頃からの付き合いで仕事だけでなく度々面倒事も持って来るため、工房側としても慣れた物でそれらの事を踏まえてホワイトファングを匿っている。
エリーゼは迎撃の為にMSを出撃させようとしている。
マッドーナ工房にはまともに戦えるパイロットはほとんどおらず、使えるMSも古い機体が多い。
その為、マッドーナ工房を防衛するためにはホワイトファングの戦力が必要不可欠である。
「すでに修理を終えています」
「なら、すぐに出して」
「了解です」
ホワイトファングからもMSが出撃し、マッドーナ工房に防衛戦が始まる。
「お前ら、やっかいになってんだ。死んでも守り抜くぞ」
マッドーナ工房から防衛のシャルドール改やアデルなどが出撃し、ホワイトファングからもMSも出撃している。
その先頭にはウルフのGファングが迫るゼイ・ドゥに向かっていく。
Gファングはハイパードッズライフルを放ち、ゼイ・ドゥを撃ち抜く。
戦闘が開始され、ゼイ・ドゥもビームマシンガンで応戦するが、Gファングはかわしてハイパードッズライフルでゼイ・ドゥを破壊する。
「お前ら、俺に続け!」
「続けと言われてもそう簡単についてはいけませんよ」
キースのGバウンサーはシールドを使いつつ、ドッズライフルで応戦し、後方からライルのジェノアスキャノンⅡがドッズキャノンを放つ。
「隊長」
敵陣に切り込むGファングにプロト3とゼイ・ドルグがついていく。
だが、キースとライルはそれについていく事が出来ないでいる。
プロト3はシグマシスライフルを放ち、射線上のゼイ・ドゥを破壊していきその攻撃をかわしたゼイ・ドゥをGファングがハイパードッズライフルで撃墜する。
「数は多いが雑魚ばかりか?」
「……来る」
敵はゼイ・ドゥだけかと思われたが、防衛のシャルドール改が長距離からのビームに撃ち抜かれる。
「アイツ……しつこいんだよ」
「今度こそ、落とさせて貰うぞ。白い狼」
アルベリッヒのゼイ・ガルムはファンネルを射出する。
6基のファンネルはGファングを囲むように展開して、全方位からビームを撃つ。
「何度もやられるか!」
Gファングはハイパードッズライフルで撃ち落しながら、ファンネルの攻撃を回避する。
その間にゼイ・ガルムはビームソードを抜いてGファングに接近する。
前回はそれで損傷を受けたが、二度も同じパターンにやられる訳もなく、Gファングはシールドからビームソードを展開して受け止める。
「ウルフ艦長!」
プロト3がシグマシスライフルを放ち、ゼイ・ガルムはGファングから距離を取り、残っていたファンネルをプロト3に差し向ける。
ファンネルを頭部のバルカンで牽制しつつ、シグマシスライフルで撃ち落そうとするが、素早く動くファンネルを捕える事が出来ない。
「くそ! 素早いんだよ!」
「クリフォード君! 前!」
前方にはゼイ・ガルムがロングビームライフルを構えており、その一撃でシグマシスライフルが破壊される。
プロト3はビームサーベルを抜いてファンネルを落とそうとするも、ファンネルはプロト3の攻撃を避けてビームを放つ。
「畜生!」
「落ち着いて!」
熱くなりかけているクリフォードをキャロルが諌めようとするも、余り効果はなく、プロト3はファンネルに翻弄される。
「下がって」
ゼイ・ドルグはハイパー・バズーカを放つ。
放たれた弾丸は弾丸が拡散する散弾であるため、細かい弾丸がファンネルに降り注ぐ。
散弾であるので一撃の威力は小さいが、ファンネルを落とすには十分だった。
ゼイ・ドルグの攻撃でファンネルは全基が撃墜された。
「奪った機体でやってくれるな」
「余所見をしてんじゃねぇよ!」
Gファングがシールドのビームソードで切りかかり、ゼイ・ガルムはシールドで受け止めるも、シールドごと左腕が切り裂かれる。
更に追い打ちをかけるようにゼイ・ドルグがハイパー・バズーカを放つ。
拡散した弾丸の威力ではゼイ・ガルムに損傷を与えるほどではないが、頭部のメインカメラにダメージを与える事は出来た。
「これ以上は無理か……第二次攻撃隊を出せ」
ゼイ・ガルムは後退に残しておいたMSを投入する。
その中にはボリスのBカスタムとレーナのLカスタムだけでなく、特に目立つMSがいた。
機体全体が金色に輝き頭部には6つ目でタテガミがついている。
背部には6基のビームガンが内蔵されたシールドがアームで固定されている。
胸部にはビーム砲が内蔵され、右手には大型のビームアックスを持っている。
クライドが設計した大罪シリーズの一機「ルシファー」だ。
「はっ! アルベリッヒがいなくても俺様一人で皆殺しにしてやるよ!」
ルシファーは胸部に内蔵されているビーム砲でシャルドール改を撃墜する。
アデルやシャルドール改がルシファーに集中砲火をするが、6基のシールドを使えばあらゆる方位からの攻撃に対応できる。
だが、シールドは攻撃を防ぐだけに留まらなかった。
シールドに当たったビームは湾曲して別のMSを貫く。
ルシファーのシールドには特殊な磁場を形成する事が出来る。
その特殊な磁場によってビームを湾曲させる事がルシファーには出来る。
湾曲したビームはルシファーを守るだけでなく湾曲したビームによって別の敵を攻撃することになる。
「きかねぇよ! 雑魚どもが!」
ルシファーはビームアックスでアデルをシールドごと切り裂いた。
「ちっ……まだ厄介な奴が出て来やがった」
Gファングはルシファーにハイパードッズライフルを放つも、ビームは湾曲させられる。
「くそ……こいつでもダメかよ!」
ドッズライフルやドッズガンのよりも威力の高いハイパードッズライフルなら或いはルシファーのシールドに湾曲されずに撃ち抜けるかと思ったが、ハイパードッズライフルクラスの火力でも駄目だった。
ハイパードッズライフルの威力はMSの火器としては上位に位置し、それ以上の火力の火器となればプロト3のシグマシスライフルくらいだが、すでにプロト3のシグマシスライフルは破壊されている。
マッドーナ工房に帰投すれば新しいシグマシスライフルがあるのだが、今プロト3が戻ればそれだけ戦力が低下することに繋がる為、戻す訳にはいかない。
「仕方がねぇ……クリフォード、俺が援護する。お前が前に出ろ」
Gファングはハイパードッズライフルを放ち、湾曲されるがその隙にプロト3は近接戦闘を仕掛ける。
ビーム兵器が湾曲されるなら、実弾兵器の方が有効であるため、ファムのゼイ・ドルグがハイパー・バズーカで援護しようとするが、レーナのLカスタムがビームライフルを放ち、ボリスのBカスタムがレールガンを放って来る。
「邪魔をしないで」
ゼイ・ドルグはハイパー・バズーカを放ち、Lカスタムはビットを射出する。
ビットによるオールレンジ攻撃を避けるためにハイパー・バズーカと予備の弾倉をパージして、ドッズライフルに持ち替えてビットを落とす。
「奪った機体でいい気にならないでよ!」
Lカスタムはビームサーベルを抜いてゼイ・ドルグに切りかかり、ゼイ・ドルグはツインビームサーベルで受け止める。
「ボリス!」
「任せろ」
Bカスタムはビームアックスを持ち、鍔迫り合いをしていたゼイ・ドルグの背後を取る。
Bカスタムはビームアックスを振り上げるが、ゼイ・ドルグはLカスタムに膝蹴りとともに距離を離し、頭部のビームバルカンで牽制しつつ、ツインビームサーベルの両端からビーム刃を出した状態で逆手のままツインビームサーベルを振るう。
ツインビームサーベルはBカスタムのシールドを貫いてBカスタムに突き刺さる。
「ボリス!」
ゼイ・ドルグはツインビームサーベルを抜いてBカスタムから離れるとBカスタムは爆散する。
「良くもボリスをやったわね!」
Lカスタムはビームライフルとビットを連射して、ゼイ・ドルグはシールドで防ぎながら、ビームアックスを抜いて投擲する。
ビームアックスは回転しながら、Lカスタムのビームライフルに直撃して破壊され、ゼイ・ドルグはドッズライフルを放ち、ビットを打ち落としすと、Lカスタムの頭部を撃ち抜かれる。
「この!」
頭部を撃ち抜かれながらもビームサーベルで接近戦を仕掛けるもゼイ・ドルグに接近する前にドッズライフルの直撃でビームサーベルごと右腕を失う。
「止め」
体勢を崩したLカスタムに止めを刺そうとするが、数機のゼイ・ドゥがビームマシンガンを連射して妨害され、その間にLカスタムは撤退して行き、ゼイ・ドルグも追撃するよりもマッドーナ工房の防衛を優先してゼイ・ドゥにドッズライフルを放つ。
Gファングのハイパードッズライフルを湾曲させる時に出来る隙をついてプロト3が近接戦闘を仕掛けるが、ルシファーは避けるとシールドに内蔵されているビームガンでGファングとプロト3に同時攻撃を行う。
二機は何とか攻撃をかわし、ルシファーはGファングにビーム砲を放ち、Gファングの右足が吹き飛ぶ。
「ウルフ艦長!」
「こっちには構うな!」
Gファングは湾曲されて無駄であるがハイパードッズライフルを放つ。
「舐められたもんだ。この俺様がよぉ!」
ルシファーはビームを湾曲させて、ビームトマホークを構えて接近するが、無数のビームの横槍が入る。
「どこの雑魚だ! 俺様の邪魔をするのはよぉ!」
「来るのが遅いんだよ」
ルシファーがビームを湾曲さていると宇宙海賊ビシディアンのMSが戦闘宙域に入って来る。
マッドーナ工房に接近中に戦闘の反応を捕え、その中にウルフのGファングを発見し、ビシディアンもMSを出した。
「また、戦場で会う事になりましたね」
「悪いが話している余裕はない。手を貸せ。アセム」
「理由は分かりませんが……MS各機はマッドーナの防衛に向かえ」
アセムのダークハウンドがGファングの前に出て、友軍のMSをマッドーナ工房の守りに回すとルシファーと対峙する。
「気をつけろ。アセム……奴はビームを曲げる」
「ならば、俺のダークハウンドの出番と言う訳ですね」
「そう言う事だ。クリフォード。ここは俺達で時間を稼ぐ。お前は戻ってライフルを取って来い」
ダークハウンドは近接戦闘を重視し火力よりも格闘能力を重視しているのでビームを湾曲させるルシファーとは相性が良い。
ダークハウンドはストライダー形態に変形して、接近するとMS形態に変形してドッズランサーを突き出す。
ルシファーはシールドの一基で受け止めて、別のシールドのビームガンでダークハウンドを攻撃するが、ダークハウンドはルシファーから距離を取って回避し、Gファングはハイパードッズライフルを放ち、プロト3はマッドーナ工房に戻りシグマシスライフルを取りに戻る。
「逃がすかよ! お前も殺してやる!」
「させるか!」
ルシファーがプロト3にビーム砲を放とうとするが、ダークハウンドのフラッシュアイで視界を奪い。
その隙にダークハウンドはアンカーショットを放ち、ルシファーはビームトマホークで払い除ける。
「ちぃ! 海賊風情が!」
ルシファーはダークハウンドにビーム砲を連射して、ダークハウンドがかわしている内にGファングがハイパードッズライフルとシールドを捨てて両手にビームサーベルを持ってルシファーに接近していた。
Gファングのビームサーベルの一閃目がルシファーのビームトマホークの柄を切り裂き、もう一本のビームサーベルを突き出して、ルシファーの右肩に刺さる。
「てめぇ!」
「下がれ。スペルビア」
「ああん? なんで俺様がこんな奴らを相手に引かなきゃならない?」
撤退したアルベリッヒに撤退を指示されてスペルビアはあからさまに不快感を露わにしている。
例え、2対1でもスペルビアは負ける気がしない。
「予想以上の抵抗を受けている。これ以上の損失は認めない」
ビシディアンの参戦でマッドーナ工房への攻撃部隊の数も減らされている。
その為、これ以上損失を出してまで戦う理由はないからの撤退命令だった。
「……ちっ」
スペルビアは不満が残るが、大人しくアルベリッヒの指示に従い撤退する。
「撤退するのか?」
「みたいだな。他のMSも撤退してるんだ。一時撤退か、諦めたのか……」
「ウルフ隊長。隊長がここにいる理由とUIEがマッドーナを襲撃している理由、俺達がマッドーナに呼ばれた理由も関係していると見て良いんですね?」
ビシディアンがマッドーナ工房に呼び出されて来るとそこではUIEがマッドーナ工房を襲撃しており、そこにはウルフもいた。
流石にそのすべてが偶然とは考えにくい。
「まぁな。取りあえず、工房の方で話しをする。良いな?」
「構いません」
Gファングはマッドーナ工房に帰投し、それにアセムも続く。
UIEが完全に撤退していない可能性も考慮して、しばらくはマッドーナ工房のMSで警戒しているがホワイトファングのMS隊もマッドーナ工房に撤退して行く。