機動戦士ガンダムAGE ZERO   作:ケンヤ

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第87話

連邦軍の総司令部ビッグリングが陥落し、ヴェイガンの戦艦は次々と地球に降下していく。

 ヴァニスの搭乗艦であるファ・ゼオスもまた地球に降下し、南米の都市のオリバーノーツに降下している。

 宇宙での戦闘を知る良しもなかったオリバーノーツの住人達は突然のヴェイガンの戦艦が下りて来た事に戸惑いを隠せない。

 そして、ヴァニスは再びラファールにて出撃している。

 今回はゼハートのギラーガも出撃し、ビッグリング戦で投入していなかったダナジンも出撃している。

 

「やれ」

 

 ヴァニスの命令が出るとダナジンは地上に降りるとビームバルカンやビームシューターでオリバーノーツの町に対して攻撃を開始する。

 ヴェイガンのパイロットは情け容赦なくオリバーノーツの町を破壊し、逃げ惑う住人をも関係なく攻撃する。

 オリバーノーツは一瞬にして地獄と化した。

 

「さぁ……出て来い。ガンダム」

 

 ヴァニスがファ・ゼオスに搭乗した最大の理由はそこであった。

 作戦開始時にある程度はその戦艦が地球のどの辺りに降下するというのは計算できる。

 その時にファ・ゼオスはオリバーノーツに降下するという事が分かり、ヴァニスは自身の権限を使いファ・ゼオスに移乗して来た。

 オリバーノーツで戦闘になればオリバーノーツでフリットが極秘裏に製造されていたガンダムAGE-3が出て来るかも知れないと踏んだからだ。

 

「どうやら前座が来たようだ」

「オリバーノーツ基地からの部隊のようですね」

「まぁ良い……部隊の指揮は任せた」

 

 ヴァニスはゼハートの指揮を任せると接近して来る連邦軍の部隊へと向かっていく。

 

 

 

 

 地球全土に対してのヴェイガンの降下作戦が開始され、地球上の連邦軍の基地はその対応に追われている。

 オリバーノーツ基地もその一つだ。

 すぐに出撃出来るMS隊を出撃させて、休暇中の軍人を呼び戻し、待機中のMS隊にもスクランブルがかかっている。

 今はクランシェカスタムを隊長機として4機のクランシェの5機で構成されたセリック・アビス少佐率いるアビス隊が発信準備を始めている。

 

「分かってますよ。すぐに出ますって」

 

 基地の管制から出撃を急かされてセリックはそう返す。

 セリックものんびりとしている訳ではないが、出撃命令が出て、すぐに出撃が出来る訳でもない。

 どんなに訓練しようとも、ある程度の時間はかかる。

 

「全機、出撃準備は良いな?」

「いつでも行けますよ。それで状況はどうなってるんですか?」

「さぁな。上は悪い情報は伝えてはくれんからな」

 

 すでにある程度の情報が回されているが、その情報は余り当てにはできない。

 無論、いい加減な情報を回す訳もないが、意図的に情報を伏せる事は珍しい事ではない。

 指揮官としては下に必要以上に悪い情報を回す事で戦意を喪失させないという事は理解できる。

 だが、隊長としては正確な情報があるとないとでは部下を死なせないで済むかどうかの分かれ道にもなりかねないのでどんなに最悪な状況でも正確な情報は欲しいところだった。

 

「だが、聞いたか? ピーターの声が上ずっていた。ピーターがあんなに上ずった声を出のを聞いたのは奥さんに浮気がばれた時くらいだ。その上、格納庫にアスノ少佐のガンダムがなかった。恐らくは事態は急を要しているな」

 

 セリックは情報を集めてそう推理する。

 悪い情報を隠したところで、その情報を知る司令部は緊迫している。

 オペレーターも人間である以上は緊迫した状況を隠そうとしても簡単に隠せる物ではない。

 その上、機体に搭乗する前にちらっと格納庫の中にいつもはエリアルドのガンダムZERO Ⅲが置かれていたはずだったが、今は置かれてはいなかった。

 状況的にエリアルドも出撃しているという事だ。

 エリアルドはオリバーノーツ基地のMS隊ではなく教導隊に配属されている。

 幾ら、エリアルドは優秀なパイロットであろうとも状況がよほど悪くない限りは教導隊にまで出撃命令は出ないだろう。

 エリアルドの性格を考えれば、命令がなくとも飛び出して行きそうだが、独断で飛び出したとしてもそれはそれだけ事態が悪いという事にもなる。

 それらの事を総合すると現在の事態は最悪に近いとセリックは推理した。

 大小さまざまな情報から事態を推理する事がセリックが戦場のホームズと呼ばれる所以であった。

 

「そう言う訳だ。油断するなよ」

 

 セリックのクランシェカスタムを戦闘にアビス隊が出撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 オリバーノーツが戦場となり、オリバーノーツ基地から出撃して来たMS隊とヴェイガンのMSが交戦している。

 空中ではクランシェが、地上ではアデルが交戦しているが、空中ではヴァニスのラファールが猛威を振るっている。

 一方の地上でエリアルドのガンダムZERO Ⅲがダナジンを撃破していた。

 エリアルドが乗っているガンダムZERO ⅢにはAGEドライヴは外れており、四肢のウェアはアデルマークⅡの陸戦用のウェアに換装されている。

 バックパックのビームサーベルや、シールドとドッズライフルもアデルマークⅡの物に変更されている。

 その上、Xブーストシステムも余りにも特殊なシステムで開発者のクライドがいない状況では扱いきれずに凍結されている。

 そのせいで全体的な性能は落ちているが脚部のローラー型ダッシュユニットによって陸上での機動力は増している。

 ガンダムZERO Ⅲはビームサーベルを抜いてダナジンの横を通り抜けざまに切り捨てる。

 

「これほどまでの数が入り込んでいたのか……」

 

 シールドでダナジンのビームを防ぎながら、ドッズライフルでダナジンを破壊しながら、ガンダムZERO Ⅲはビルの陰に隠れて敵の数を確認する。

 敵の数は多く、すでにオリバーノーツの制空権はヴェイガンにあり、頭を押さえられている状況だ。

 

「アスノ少佐。やはり出撃していましたね」

「アビス少佐か……助かる」

 

 基地より襲撃して来たアビス隊がオリバーノーツに到着し、増援の部隊も到着し押し戻しが図れそうだったが、ファ・ゼオスからイゼルカントの姿が投影される。

 

「我が名はイゼルカント。火星圏の独立国家『ヴェイガン』の代表である。地球種に告げる。我々ヴェイガンはここに地球侵略作戦をここに宣言する!」

 

 イゼルカントが高らかに宣言すると、地球上の各所で一斉にヴェイガンのMSが姿を現していく。

 ノートラム侵攻の失敗から23年、ヴェイガンは着々とこの日の為にMSや兵を地球に送り込んでいた。

 それらが一斉に蜂起して地球侵略作戦を開始したのだ。

 

 

 

 

 

 

「この程度のMSなど……」

 

 ラファールはクランシェをビームライフルで撃墜する。

 地上からアデルがドッズライフルをラファールを狙いがラファールは回避して地上にビームバスターを放つ。

 ビームバスターを放ちつつ、アデルを破壊しながらオリバーノーツの町をも破壊する。

 

「出て来い……ガンダム」

 

 ヴァニスはガンダムを出て来る事を待っていると視界の端に何がが映る。

 そこには小型の戦闘機であるコアファイターとGセプターが映されている。

 コアファイターとGセプターは互いに変形するとドッキングして1機のMSとなる。

 それこそが、ヴァニスが待ち望んでいたガンダムAGE-3だった。

 AGE-3はプロト3の戦闘データを解析して開発された。

 プロト3の時点で破格の威力を誇っていたシグマシスライフルはそのままで両肩の光波推進システムは性能を落とすことなく簡略化され二枚の装甲板になっている。

 機体を覆う質量装甲で戦闘に十分な防御力を得る事に成功している為、シールドは廃止され、両碗にはビームサーベルのラックも兼ねた装甲がつけられている。

 

「出て来たか……ガンダム。見せて見ろ。この私が倒すに相応しい力があるかどうかをな」

 

 目的のガンダムAGE-3は出て来た。

 次の問題はそのAGE-3がヴァニスの眼鏡に叶う程の性能を持っているかだ。

 地上に降りていくAGE-3をヴァニスはその力を見極めようとしていた。

 

「これが……ガンダム」

 

 ガンダムAGE-3に乗っているキオ・アスノはビルのガラスに映るAGE-3を見る。

 オリバーノーツがヴェイガンの襲撃を受けて、キオはこの状況を打開出来るのはフリットが開発した最強のMS、ガンダムしかないと確信した。

 そして、フリットの導きでコアファイターに乗り込み、そして今、キオはガンダムに乗っている。

 

「これからが本番だ。気を抜くなよ」

 

 Gセプターのコックピットからキオの座っているシートの後ろにフリットが移動して来る。

 プロト3の時から複座式ではあったが、プロト3の場合は緊急時の避難用だったが、AGE-3はそれだけでなくかつてのガンダムのようにウェア換装を前提となっていた。

 そして、ウェア側にもコックピットを設ける事でAGE-3の戦闘の幅を広げている。

 

「怖いか? キオ」

「ううん。大丈夫」

 

 初めての実戦を前にフリットはキオにそういう。

 だが、キオは怖いとは感じてはいなかった。

 先ほどまでヴェイガンの攻撃で町が破壊されるのを見て来た。

 しかし、不思議と今は怖いとは感じない。

 それは自分の後ろにフリットがいるからか、最強のMS、ガンダムに持っているからかは分からない。

 

「そうか……キオ。ガンダムを動かせ。そして、ガンダムを受け継ぐのだ」

 

 かつて、AGE-1、AGE-2をフリットの息子のアセムが受け継ぎ、そして、今度は孫であるキオがガンダムを受け継ぐ。

 

「僕が……ガンダムを……受け継ぐ」

 

 今まではただ、ガンダムに憧れていただけだった。

 だが、今はガンダムを受け継ぐと言う重みを実感し、無意識のうちに操縦桿を強く握る。

 

「来るぞ」

 

 AGE-3の前のダナジンが降りて来る。

 ダナジンはビームシューターからビームサーベルを展開してAGE-3に突っ込んで来る。

 キオはとっさにレバーを引いて、ダナジンの一撃を回避する。

 その一撃を回避するも、ダナジンはダナジンスピアーを振るいながら、ビームサーベルでAGE-3に連続攻撃を仕掛けるもキオは反射的にAGE-3を動かして回避した。

 

「出来た……でもなんで?」

 

 状況からキオはAGE-3に乗り込んだが、当然の事ながらキオは今まで一度もMSに乗った事はない。

 だが、キオはとっさの事で無意識にAGE-3を動かしていた。

 

「ガンダムは私がキオにやらせた。MSバトルシュミレーターと同じ操縦方法になっておる。今のキオならガンダムを動かせる」

 

 キオが幼い頃から遊んできたMSバトルシュミレーターのお蔭でガンダムの操縦はキオの体に染みついている。

 それ故に初めてAGE-3に乗ったキオでも十分に動かす事が出来た。

 今まで遊んで来たゲームでガンダムの操縦を身に着けていた事を驚いている暇もなく、ダナジンはビームシューターにビームサーベルを展開して突撃して来る。

 AGE-3はダナジンの首元を抑えて受け止める。

 そして、ビームサーベルを腕の装甲につけたままで展開して、ダナジンを切り裂く。

 それを見たもう一機のダナジンは空中に飛び上がる。

 

「逃がすな! キオ!」

「うん!」

 

 AGE-3はバックパックにマウントしていたシグマシスライフルを構える。

 ダナジンははダナジンキャノンを放ち、AGE-3はシグマシスライフルを放つ。

 二機の放ったビームはぶつかり合い、ダナジンの放ったビームをシスマシスライフルのビームが撃ち破り、ダナジンはシグマシスライフルの一撃で跡形もなく消し飛んだ。

 

「凄い……」

 

 キオはシグマシスライフルのMSの火器としては破格の威力に驚くが、敵は待ってはくれない。

 レガンナーがレガンナーキャノンをAGE-3に放って来る。

 

「ガンナータイプ! あれも戦った事はある!」

「なら、どうすれば良いか分かるな?」

「分かってる!」

 

 AGE-3はレガンナーの砲撃をかわしながら、接近して行く。

 MSバトルシュミレーターは何もキオにガンダムの操縦を身に着けるだけではなかった。

 ゲームと称していたが、敵キャラとして出て来るMSは全てが実戦で集められたヴェイガンのデータを使っている為、新型機でない限りはゲームの攻略方が実戦での対処方となる。

 レガンナーも一度、プロト3が交戦している為、その時の戦闘データを元にMSバトルシュミレーターでも再現されていた。

 レガンナーは弾薬が多く積まれている為、そのまま破壊しては周囲にも被害が及ぶ。

 これがゲームでは周りに被害が出ればペナルティーが発生し、クリア時のスコアに影響するが、実戦に置き換えれば周囲に被害が出る事で怪我人や死者が増えるという事になる。

 レガンナーの砲撃をAGE-3はかわし、取りつくとそのままレガンナーを上空へと持ち上げる。

 レガンナーの重量は1000トンをも超えるが、AGE-3はレガンナーを上空へと持ち上げていく。

 十分な高度までレガンナーを持ち上げると、レガンナーを更に上空へと投げつけるとシグマシスライフルを放ち、レガンナーを破壊する。

 破壊されたレガンナーは大爆発を起こす。

 

「良くやったぞ。キオ、これからはお前がガンダムのパイロットだ」

「僕がガンダムのパイロット……よろしくね。ガンダム」

 

 キオは対処方が分かっていても初めての実戦で否応なく緊張していたが、フリットにガンダムのパイロットであることを認めて貰うと緊張が解ける。

 そして、その一連の戦闘を上空からヴァニスが見ていた。

 

「成程……まだ若いが及第点と言ったところか、それにフリット・アスノも同乗しているところから、パイロットはキオ・アスノか」

 

 一連の戦闘からヴァニスはAGE-3とキオを倒す価値のある敵であると認めた。

 ラファールはビームサーベルを展開して、AGE-3に向かって行く。

 

「キオ! まだ来るぞ!」

 

 ラファールの動きにいち早く察知したフリットが叫ぶ。

 それに反応してAGE-3はビームサーベルを持って受け止める。

 

「私に見せて見ろ! 新しいガンダムの力を!」

「爺ちゃん! こいつ今までのMSとは違うよ!」

「落ち着いて対処するんじゃ! ディーヴァが来れば戦況は変わる!」

 

 AGE-3の性能を引き出す為にはAGEシステムの一つであるAGEビルダーが必要となって来る。

 そして、ディーヴァはオリバーノーツ基地に出航するように指示を出している。

 AGE-3はラファールを押し戻り、ラファールはセンサーバルカンを放つ。

 AGE-3は両手にビームサーベルを持ちラファールに接近する。

 ラファールは左手のビームサーベルでAGE-3と切り結ぶ。

 

「それでこそだ! それでこそ倒す価値があるというものだ! ガンダム!」

「キオ! 奴は普通の奴じゃない! 気をつけるんじゃ!」

 

 ラファールはAGE-3にビームサーベルで猛攻を加え、AGE-3は何とか二本のビームサーベルで凌いでいた。

 すると、オリバーノーツから出航して来たディーヴァがオリバーノーツに到着する。

 

「来たか! ディーヴァ! ガンダムのフリット・アスノだ!」

 

 ディーヴァが到着するとすぐにフリットはディーヴァと通信を繋ぐ。

 

「はっ始めまして! 私はナトーラ・エイナスで……」

「挨拶は良い! 分かっているな? 反撃の鍵を握っている!」

 

 フリットはナトーラの声を遮る。

 その言葉にナトーラは驚く。

 元々、ナトーラはつい先ほど、ディーヴァの艦長に任命されたばかりだ。

 その上、今までナトーラは事務職しか経験がない為、いきなり反撃の鍵を握っていると言われれば驚くのも無理はない。

 そうなった経緯はオリバーノーツ基地のアンディ・ドレイムスが退役しても尚、軍内部に影響力を持つフリットへの意趣返しの為にブリッジクルーは能力はさて置き、勤務態度に問題のある問題児を乗せている。

 

「私達がですか……」

「さっさと指示を出しな!」

 

 唖然としているナトーラをブリッジクルーの一人のエイラが怒鳴りつけて、ナトーラは反射的に縮こまる。

 

「アビス隊はアンタの指示待ちなんだよ!」

 

 ディーヴァには基地に帰投したアビス隊が配属されている。

 先の戦闘でデビットが戦死し、オーデックのクランシェも損傷していた為、隊から外してその穴をオブライトとエリアルド、デレク・ジャックロウを新しくアビス隊に編入させた。

 オブライトとエリアルドの二人のMSは重力化では飛行能力を持たないが、ウェイボードを使えば空中戦に対応する事が可能で、それでも劣ってしまう機動力を熟練のパイロットの技量で補わせろとの事だった。

 

「では! 戦える人、お願いします!」

 

 ナトーラは艦内放送でそう言う。

 その余りにも頼りない態度にブリッジクルーだけでなくディーヴァのクルーは皆呆れかえるが、今は戦闘中であるため、呆れている暇はなく、艦長が頼りない分自分の持ち場は自分で何とかしようと逆に気合が入っていた。

 

「ディーヴァ! 準備は出来ているか! ヴェイガンの母艦を落とすぞ!」

「えっと……母艦を落とすんですね。フォトンブラスターの準備を……」

「馬鹿者!」

 

 話している最中にフリットは怒鳴り、ナトーラはビビッって萎縮する。

 確かに敵母艦を落とすとなれば、フォトンブラスターキャノンを放つという選択は間違いではない。

 だが、フォトンブラスターキャノンは大気圏内で撃つには威力が強すぎる。

 大気圏内で使用するためにはシグマシスライフルクラスまで威力を落とさなければいけない為、今撃てば、敵艦を撃沈は可能だろうがオリバーノーツへの被害が大きい過ぎる。

 

「ガンダムの新たな武器を射出しろ!」

「新たな武器でしょうか……」

「貴様! まさかAGEシステムを起動させていないのか!」

「御免なさい!」

 

 フリットはナトーラの反応から未だにAGEシステムの一つのAGEビルダーを起動させていない事に気づき怒鳴り、ナトーラは反射的に謝る。

 

「AGEビルダーなら起動させてあります。ディーヴァを出航させたのはAGEビルダーを使う為ですよね」

「当然だ」

 

 格納庫からロディ・マッドーナが通信を繋ぐ。

 マッドーナ工房の2代目工房長になる筈だったロディは男なら一度は思う、自分の実力がどこまで通用するのかを外の世界で確かめて更には自分の能力を向上させる武者修行の為にマッドーナ工房を家出同然に飛び出して連邦軍に志願していた。

 その後、一兵卒からディーヴァの整備班長に任命されていた。

 そして、ロディは老朽艦であるディーヴァを出航させる理由としてAGEシステムを使うという事も考えて念のためにAGEビルダーを使えるように準備をしていた。

 

「でも、データ不足でエラーが出てます」

「構わん! それでもやるんだ!推論設計機構のワーニングレベルを30以下にして強引に構築させろ!」

「そんな無茶な! 何が出来るか分かりませんよ!」

 

 AGEシステムの弱点の一つだ。

 AGEシステムが生み出す新兵器は戦局を打開できる可能性を秘めた武器であるが、それを構築する為にはガンダムの実戦データが必要となって来る。

 そして、AGEシステムを搭載しているAGE-3は戦闘データがほとんどない。

 そんな状況で新しい武器を構築させれば、どんな武器が出て来るのか全く分からない。

 だが、ロディもこの状況ではAGEシステムが生み出した新兵器でなければ対処するのは難しいという事は分かっていた。

 

「キオ、AGEシステムが新兵器を構築するまでなんとしても耐えるんだ!」

「新兵器があれば母艦を落とせるんだね?」

「それはお前次第だ」

 

 例え新兵器を構築しやところでキオが扱えなければ意味はない。

 だが、それでも敵は待ってはくれない。

 ラファールはビームバルカンを連射し、AGE-3は腕の装甲で防ぎビームサーベルを振り下す。

 ラファールもビームサーベルでAGE-3の一撃を弾き、ビームライフルを向けるが、ディーヴァより再出撃して来たセリックのクランシェカスタムが妨害する。

 それから始ったアビス隊のMSの集中砲火をラファールは回避する。

 

「ガンダムは私の指揮化に入って貰う」

「何を言っている! 我々は独自に動く!」

「この状況では連携が必要不可欠です。それは貴方もお分かりでしょう?」

 

 フリットはセリックの言葉に反論できない。

 確かに、今のフリットは軍属では無い為、軍の指示に従う必要はない。

 だが、敵は未確認の新型機と高レベルのXラウンダーで尚且つ、今は全体指揮を取り戦闘には参加してはいないが、ゼハートのギラーガもいる。

 状況を打開する為にはAGEシステムの新兵器だけでなく、軍と連携を取って戦う必要があることも理解できる。

 

「良いだろう」

「私は回り込む」

 

 クランシェカスタムは飛行形態に変形して、ドッズライフルとドッズキャノンを放ちラファールの背後を取ろうとする。

 ラファールはクランシェカスタムにビームライフルを放ち、クランシェカスタムは旋回して回避する。

 拡散ビーム砲を放とうとするも、飛行形態のクランシェ3機のドッズライフルの邪魔が入る。

 それを回避して、ビームバスターでクランシェを一掃しようとするも、今度はウェイボードに乗っているオブライトのジェノアスOカスタムとエリアルドのガンダムZERO Ⅲの正確な射撃によって妨害され、センサーバルカンで弾幕を張りつつも回避する。

 

「雑魚も徒党を組めばそれなりに戦えるという事か……ならば、私はそれすらも打ち砕くまでだ」

 

 ラファールはビームサーベルでアビス隊の集中砲火を抜けてAGE-3に切りかかり、AGE-3も二本のビームサーベルをクロスさせて受け止める。

 そして、その背後からはクランシェカスタムがMS形態に変形して、ビームサーベルで切りかかる。

 

「貰った!」

 

 だが、クランシェカスタムがラファールに切りかかるよりも先にクランシェカスタムとラファールの間にゼハートのギラーガが割り込み、ギラーガはビームバルカンでクランシェカスタムを牽制する。

 

「ちぃ!」

 

 クランシェカスタムは旋回してギラーガの攻撃をかわす。

 

「余計な真似を」

「ここからは私もやらせれ貰います」

 

 新型のガンダムをヴァニスが抑えてくれるなら、それに越した事はなかったが、予想外にヴァニスが手こずっている為、ゼハートも戦闘に参戦する。

 

「ゼハート・ガレットか……厄介な奴が出て来たな。キオ、奴はエースだ。気を抜くんじゃないぞ」

「うん……」

「フリットさん! 出来ました! すぐに射出します!」

 

 ゼハートが参戦し、ようやくAGEシステムが新兵器を設計し、ディーヴァのAGEビルダーで高速成型した新兵器が射出される。

 ディーヴァから射出されたコンテナから新兵器のアタッチメントが出て来る。

 AGE-3はそれを掴むとシグマシスライフルの先端にアタッチメントを取り付ける。

 

「そいつはシグマシスライフルの威力を格段に上げる、いわば小型のフォトンリングレイです!」

 

 AGEシステムが生み出した新兵器はかつてディーヴァのフォトンブラスターキャノンの威力と射程を向上させるべく開発されたフォトンリングレイの技術を応用したシグマシスライフルの強化アタッチメントだった。

 その強化アタッチメントをつけた状態をブラスティアキャノンと呼称される。

 

「充電には時間がかかりますから気を付けて!」

 

 ロディの言う通り、ブラスティアキャノンのエネルギーの充電が開始されるが、その速度は遅くすぐには使えそうにはない。

 

「ガンダムの新しい装備か! そうはさせるか!」

 

 AGE-3の新装備を前にゼハートはそれを使われる前にAGE-3を叩こうとするが、その前にアビス隊が立ちふさがる。

 

「邪魔を!」

「ガンダムを撃たせるなよ」

 

 アビス隊の妨害によって着実にブラスティアキャノンの充電が進んでいく。

 ラファールがビームサーベルを展開してAGE-3に向かうが、ガンダムZERO Ⅲがドッズライフルで牽制が入る。

 

「お前には用はない」

 

 ガンダムZERO Ⅲにビームライフルを向けるが、クランシェカスタムのビームでビームライフルが破壊された。

 アビス隊によってラファールとギラーガが抑えられてようやくブラスティアキャノンの充電が完了する。

 充電の終えたブラスティアキャノンの先端の強化アタッチメントが開閉し、いつでも撃てる状態となる。

 だが、ブラスティアキャノンはすぐに撃たれる事はなく、AGE-3はアビス隊の前に飛び出す。

 

「キオ! 何をしている!」

「どうせ撃つなら!」

 

 AGE-3はアビス隊の前に出てブラスティアキャノンを放つ。

 ブラスティアキャノンから放たれたビームをラファールとギラーガは回避する。

 しかし、ブラスティアキャノンの射線上にはファ・ゼオスがいる。

 ファ・ゼオスにブラスティアキャノンの一撃が直撃して地上に落ちていく。

 そして、ファ・ゼオスはそのまま海へと落下して爆発を起こす。

 爆発によって海水が巻き上げられて火の上がっているオリバーノーツに降り注ぐ。

 それによってオリバーノーツの火は鎮火されていく。

 それがキオの狙いであった。

 ただ、ファ・ゼオスを撃沈するだけでなく、海に落とす事でオリバーノーツの火を鎮火までも狙っていた。

 うまくいく保証はなかったが、どうやらうまく行ったようだ。

 

「これが進化したガンダムの力なのか……」

「面白い。それでこそだ」

 

 ファ・ゼオスを撃沈する事は出来たが、AGE-3のブラスティアキャノンの先端の強化アタッチメントはデータの足りない状態で無理やり製造した事で強化アタッチメントの耐久性は一発しか持たなかった。

 その為、ブラスティアキャノンの強化アタッチメントは爆発を起こして破壊される。

 だが、その一撃でファ・ゼオスを撃沈する事には成功している。

 

「ファ・ゼオスが落とされた以上は……撤退します」

「よかろう」

 

 母艦が落とされた以上は戦闘を継続して戦力を消耗する訳にはいかない。

 その為、ゼハートは撤退を進言する。

 ヴァニスとしても、AGE-3の性能は確認して倒す価値のある敵だと認識した。

 ここで倒すよりかは、AGE-3に進化させてから倒しても構わない。

 むしろ、更に進化させてから倒した方が自身の最強を証明するのは都合がいい。

 ラファールとギラーガは後退を始め、戦闘をしていたヴェイガンのMSもそれに続いて後退して行く。

 オリバーノーツでは連邦軍はガンダムAGE-3の戦果もあり勝利を収める事が出来たが、ヴェイガンの降下作戦と一斉蜂起によって地球上の約40%がヴェイガンによって制圧された。

 

 

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