火星圏から地球圏に到達した補給部隊はファ・ザードと合流する。
合流してすぐにファ・ザードにMSを搬入している。
ヴァニスはゼハートとフラムと共に格納庫まで来ている。
目的はセカンドムーンで開発された新型MS「ガンダムレギルス」だ。
「あれが新型のガンダムレギルスか」
ヴァニスは格納庫のハンガーに置かれているレギルスを見上げる。
レギルスはラファールを母体としている為、似ているところはあるが、起動していなくともその力を感じる事が出来る。
「こうも早く完成するとはな」
ゼハートはレギルスの完成の速さに少なからず驚いている。
ヴェイガンの現状の技術力ではゼハートのギラーガが頭打ちと聞いていたが、マリィが持ち込んだアスノ家の技術を使ってもここまで早く完成するとは思ってなかった。
ヴァニスはレギルスのコックピットに取りついて中を確認すると、最終調整の為にレギルスに乗り込み、周囲の整備兵がコックピットに集まって行く。
「本っ当に不本意だけど、どっかから流れて来た技術を使って完成させたのよ」
「マリィ……お前もいたのか?」
「まぁね。レギルスに使われた技術は未知の部分も多いからね。特にレギルスコアのフレーム部分なんて設計通りに作ったけど、訳が分かんないわよ。でも、そのフレームを使ったお陰でXラウンダー能力への感受性や追従性はギラーガやラファールとはダンチよ。そんでこれが1号機で2号機と3号機はまだ完成してないわ。ついでに量産化計画も進行中」
そう言って来たのはヴァニスとは入れ替わりでゼハートのところに来たマリィだった。
マリィもゼハート同様に23年前よりかは大人びているが、コールドスリープの影響で23年の年を取っているようには見えない。
相変わらずの癖毛にビン底のように分厚い眼鏡をかけて白衣を着ている。
マリィはレギルスの説明をするが、その表情は明らかに機嫌が悪い。
レギルスはマリィがコールドスリープをする前に設計した時から大幅に再設計をされている上に、コックピットの周りのフレームはXフレームが使われており、Xラウンダー能力への感受性、追従性は格段に向上していた。
それにより、当初はXラウンダー能力を機体操縦に使う事を重点を置いて、ビット兵器は搭載されない予定だったが、Xフレームの搭載でビット兵器を搭載しても機体操縦に影響がないと判断されて急遽、左腕にレギルスビットを展開するレギルスシールドが装備されている。
だが、マリィにとってはどこの誰だか分からない技術者に勝手に自分の設計したMSを再設計されて元よりも格段に性能が向上している事は面白くはないが、その技術者が自分以上の技術力を持っているという事も認めざる負えない。
それが分かるからこそ、マリィは機嫌が悪い。
「それと色々と持って来たから」
格納庫にはレギルスの他にも色々なMSが搬入されている。
主力機のダナジン以外にもだ。
「あれは? 見た事のないMSだが?」
「ああ……あれね。フォーンファルシア。何でも蝙蝠退治戦役で投入されたXラウンダー専用機のファルシアを改良したMSみたいよ」
「そんな古い機体が使えるのか?」
「使えるんじゃない? 一応は最新の部品を使ってるからね」
格納庫の一角には他のMSとは明らかに違うピンク色のMSが置かれていた。
蝙蝠退治戦役の最後の戦場となった宇宙要塞「アンバット」で投入されたXラウンダー専用MS「ファルシア」を改良したMS「フォーンファルシア」だ。
フォーンファルシアはビット兵器を改良する為のデータ収集用に使われていたが、新型の胞子状ビットの開発で必要がなくなり、セカンドムーンにあっても使い道がない事もあり、ファ・ザードに配備される事になった。
「パイロットまでは用意出来てないから、パイロットはそっちで用意しろってさ」
「簡単に言ってくれるな」
パイロットを用意するにも、フォーンファルシアはXラウンダー専用機でXラウンダーでなければ性能を引き出す事は出来ない。
用意しろと言われても簡単に用意できるものでもない。
「ゼハート様。私は適正検査でXラウンダー適正があると出ています」
「お前がか?」
「はい」
そう言ったのはゼハートの後ろに控えていたフラムだった。
ヴェイガンではXラウンダー適正があるか
どうかは軍に入る段階で検査される。
フラムはその時にXラウンダー能力の適正有りと結果が出ていた。
その時の検査ではXラウンダー能力は決して高い物ではなかった為、パイロットになる事は無かったが、適正があるという事はフォーンファルシアの性能を引き出す事も出来るかも知れないという事だ。
だが、ゼハートは余り気が進まない。
Xラウンダー能力の適正があろうとも、高い適正があればパイロットに回される事が多いが、そうならないという事はそこまで高い適正を持っている訳ではないのだろう。
「そんじゃ決定」
しかし、ゼハートの心中を気にする事なく、あっさりとマリィが決めえてしまう。
「えっと……」
「フラム・ナラです」
「じゃ、フラムに決定で良いわね」
こうなったマリィは何を言っても聞く耳を持たない事は分かりきっているのでゼハートはそれ以上は何も言わない。
「後は、ゼハートのギラーガ用のXトランスミッターを持って来たから作戦までにはギラーガにつけとくから」
「ようやく完成したか」
ゼハートの専用機のギラーガには脳波コントロールシステム「Xトランスミッター」を搭載される予定だったが、開発が遅れていたこともあり今までは搭載されていない状態で運用していた。
「それとさ……さっきの姫ちゃんだよね」
「姫様だ。それがどうかしたのか?」
ゼハートはヴァニスを姫ちゃんと呼んだ事を窘める。
地球出身のマリィからすればイゼルカントに忠誠を誓っている訳ではないので、イゼルカントの娘だろうと関係はない。
その為、火星圏でレギルスを開発していた時も畏れ多くもイゼルカントに開発費を直接ねだりに行くなど、とんでもない行動が多かったが、それは今でも変わらないようだった。
「んーどっかで見たような気がするんだよね。あの子」
「そんな訳がないだろう」
ゼハートは断言する。
今までゼハートですら、ヴァニスの事は影も形も知らなかった。
それなのにセカンドムーンではレギルスの開発に夢中になってほとんど研究所から出る事のなかったマリィがヴァニスの事を知る訳がない。
だが、それはマリィの思い違いと言う訳でもない。
ヴァニスはクライドがエリーゼに似せている為、ヴァニスはマリィの母であるエリーゼに似ているから見た事のあるような気がしていたが、ヴァニスも似ているというだけで細かいところは違うのと、雰囲気が似つかない事もありヴァニスとエリーゼとは繋がらなかった。
「まっそれもそっか」
マリィ自身もヴァニスをどこで見たか事があるかには興味が無い為、ゼハートにそう言われてあっさりと興味をなくした。
父、アセムが生きている事を知ったキオだが、祖父のフリットの言葉に混乱し、母ロマリーに通信を送ろうとするも、フリットの言葉が頭の中から離れないでいる。
フリットはアセムを死んだ事にしようとしている。
それには何か意味があるのではないかと。
良くスパイ映画で自身を死んだ事にして敵組織に潜入させるという事はキオも映画などで見た事がある。
もしも、そうなら自分のしている事はアセムやフリットの苦労と台無しにしてしまう行為ではないかと考えてしまう。
それは、フリットが本気でアセムの事を見限り死んだ事にしようと認めたくないからだった。
(爺ちゃんはどうしてあんな事を……)
キオは死んだと思っていた父が生きていて嬉しかった。
それはフリットも同じだと思いたい。
「勝手に通信をする事は禁止されているわよ」
ロマリーに通信を送るか否かで迷っていると通信室にユノアが入って来る。
ロストロウランの位置がスパイにより漏洩した事で連邦軍では通信規制が厳しくなり、個人での無許可な通信は禁止されている。
「やっと、ロマリーさんに顔を見せる気にもでなった?」
今まではガンダムから下されたく無い為、ロマリーに連絡を取る事をしなかったが、ようやく連絡を取る気になったかと思いきや、キオの表情を見る限りでは違うようだ。
「ユノア叔母さんは父さんが生きていた事は嬉しい?」
「そうね……私も兄さんが生きていて嬉しいわ。それは父さんもよ」
ユノアは自分にそんな質問をするキオの意図が分かっていた。
格納庫でビシディアンの首領が乗っていたと思われるMSにフリットの息子であるアセム・アスノが乗っていたという話しは広がり、ディーヴァ内では周知の事実となっていた。
事が事だけに大事にまではなっていないが、当然ユノアの耳にもアセムが生きていた事は届いている。
「でも爺ちゃんは……父さんは死んだって」
「大人になるとね。子供の時みたいに簡単にはいかないのよ。それにね……ああ見えて父さんは不器用なのよ。本当は兄さんが生きていて誰よりも嬉しいのににそれを表に出せないだけ」
キオにはフリットが不器用だと言う事に余り時間が持てない。
キオにとってはフリットは英雄的な祖父ではあるが、ユノアにとっては不器用な父でしかないのだ。
アセムが死んだ時にフリットは軍を退役している。
それだけ、アセムの死が大きかったという事だ。
そんなアセムが生きていてフリットも嬉しくないわけがない。
だが、アセムはフリットやロマリー、キオの元に戻って来る訳ではなく、連邦軍の敵である宇宙海賊の首領となっていた。
それでも、嬉しい事には変わりは無い為、今頃は自分の妻であるエミリーにその事実を伝えるかで一人悩んでいそうだとユノアは思っている。
「分かんないよ……そんなの」
「いずれキオにも分かる時が来るわ。でもね。父さんは兄さんの事を今でも大切に思っているという事は信じてあげなさい」
「うん……」
キオは頷くしかない。
オリバーノーツから宇宙に上がるまでの戦いでいろんなフリットを見て来た。
戦いが始まる前のように自分を可愛がるフリットだけでなく、ヴェイガンを強く憎むフリットもだ。
だからこそ、息子が生きていたという事実を知っても素直になれないのもまたフリットなのだと今はそれを受け入れるしかなかった。
アセムが去り際に射出したカプセルはAGE-3の機体に取りつき、ディーヴァに回収されていた。
AGE-3の整備の時に発見され、爆発物のような危険物でないと確認したのちにカプセルの中のデータを確認しようとするが、何重にも渡るプロテクトがかかっており、ロディ達がかんとか解除する事に成功した。
その中身を確認する為にロディやフリット、セリックなどがブリッジに集まっている。
「ウイルスの類の元は確認できません」
「データを出してくれ」
念の為にカプセルにウイルスがないかと確認するが、ウイルスの類のデータではない事が確認されるとモニターにデータを映す。
すると、モニターにはバロノークの艦長席に座るアセムの姿が映しだされる。
ブリッジクルーは映像の人物が誰かは分からないが、フリットだけは映像の人物がアセムだと確信する。
13年前とは風貌が違うが自分の息子を間違える訳がない。
「この映像を見ているという事はプロテクトを解除したという事だな。合格だ。お前達にはこの情報を知る権利はある」
アセムはそう切り出す。
「我々、ビシディアンはある情報を握っている。この戦争の行く末を左右する情報だ」
その言葉にブリッジの空気が重くなる。
情報の真意はともかく、アセムの言う情報がそれほどの物であるのなら、この状況を打開する事も可能かも知れない。
「EXA-DB……我々はそれを呪われた秘法を呼んでいる。EXA-DBとは過去のコロニー国家戦争時代に使われていた兵器関連のデータが集約したデータベースだ」
「そんな物が存在していたのか……」
コロニー国家間戦争時の兵器関連の情報は銀の杯条約によってすべてが破棄されている。
MS鍛冶もあり程度は技術を受け継いではいるが、それが完全と言う訳ではなく、コロニー国家間戦争時の兵器レベルの高さは今のUIEのゼイ・ドゥなどを見ても明らかだ。
そのEXA-DBが実在するなら確かに戦争を左右する程の物である事は間違いない。
「ヴェイガンのMSにもそのEXA-DBの技術の一部が使われている」
それは長年、連邦軍の技術者達が頭を悩ませていた謎の答えでもあった。
ヴェイガンは天使の落日に投入したガフランでも当時の連邦軍の主力MS「ジェノアス」ですら歯が立たない性能を持ち、ドラドやダナジンのようにヴェイガンの主力機の性能は連邦軍のアデルやクランシェをも上回る事が殆どで、砂漠戦や水中戦用のMSまで開発している。
それらの高い技術力の出所がEXA-DBであるのならヴェイガンの高い技術力も納得がいく。
「そして、そのEXA-DBは地球圏のどこかにあるという事がこちらの調査で判明している。我らも一度はEXA-DBに近づくも土壇場で奪われてしまった。ドクターC……いや、クライド・アスノにだ。現在はクライド・アスノがEXA-DBを保有し、その技術を独占している状態にある」
「兄さんだと!」
フリットはモニターのアセムに掴みかかる勢いだった。
それも当然だ。
フリットはクライドが20年以上も前のノートラム攻防戦で戦死していると思っていたからだ。
「我々が掴んでいる情報はここまでだ。この情報をどうするかはお前達次第だ」
アセムはそう閉めて映像が途切れる。
映像が終わるがブリッジの空気は重く静まっている。
それだけ話しの内容が重要であったと言う事だ。
「なんか……凄い事を知っちゃいましたね……」
その空気に耐えかねたナトーラが空気を変えようとするが大して意味はなかった。
「コロニー国家間戦争時の兵器関連のデータが集約したデータベースにクライド・アスノ……余りにも突拍子もなくて信憑性はないですけど、アスノ元司令はどう思います?」
セリックが情報の真偽を確かめようとする。
映像に映されていたのが、アセムであり話しに出て来たクライドの両方を関わりがあるのはディーヴァの中ではフリット、エリアルド、ユノアくらいだが、その中ではフリットしかこの場にはいない。
「分からん。兄さんはノートラム防衛戦で戦死した筈だ」
「失礼ですが、その時の状況はどうだったんですか? クライド氏が生きていると言う可能性はあるんでしょうか?」
セリックは酷な事を聞いている事は分かっているが、この場にノートラム防衛戦を直接知るのはフリットしかいない為、確認を取ろうとしている。
アセムにとってはクライドは叔父に辺り、クライドが戦死したという事になっている事は知っていて名前を出している。
本当に死んでいるのに名前を出すとは考え難い事から何かしら生きているという確証を持っている可能性があるが、当時の事を知らなくては判断は付かない。
「私も詳細な事は分からんが、兄さんは敵MSに取りついて機体を自爆させたと聞いている」
「では、本当に亡くなっているという事ですか?」
「……いや、今になって考えるとあの兄さんが敵を倒す為に自らの命を犠牲にするなど考え難い」
クライドがエリアルドの前の前で機体を自爆させて、今まで連絡をして来なかった事から戦死した物だと考えていたが、今になって思えばクライドが自分を犠牲にするなど考え難い。
「兄さんなら、自爆しても何らかの形で生き残れるようにしていても不思議ではない」
「ドクターCと言えば僕も聞いた事があります。なんでも様々な技術を撒いている謎の技術者って噂です」
ロディがそういう。
ドクターCと言えば技術者なら噂は聞いた事がある。
「そして、ドクターCのCはクライドのCと言うのがもっぱらの噂です」
「それは私も聞いた事があるが、いくらなんでも安直過ぎると言う事で否定された筈です」
「兄さんならあり得る」
「ですね。あの人は何かと自己主張が激しいですからね」
一時期はドクターCの正体についての議論が様々な場所でされた。
その時の一説にドクターCの正体はクライド・アスノであるという説だ。
ドクターCのCはクライドの頭文字ではないかと言うところから来て。
ドクターCの持つ高い技術力もクライドであるなら、納得がいくと言うのもあった。
だが、それを否定する意見として自身が死んだ事になっても表舞台から姿を消しているのに自分の名前の頭文字を使うなど考え難いと言う物があった。
しかし、クライドを知るフリットやロディからすればそれはあり得ない事だった。
クライドは自分の技術を大々的に見せつけたいという自己顕示欲が非常に高い。
その為、クライドが自分の頭文字を使う事も不思議ではない。
それで自分が生きているという事が明らかになったところで大して意味がないからだ。
今まではクライドは死んだ物と思っていたフリットやロディだが、今となってはドクターCはクライドと同一人物か何かしらの関わりがあるとしか思えない。
「クライド氏を知る二人が言うのでしたら、クライド・アスノが生きていると言う事で間違いはないですが、問題は彼が何の目的ですね。EXA-DBとクライド・アスノ……考える限り最悪の組み合わせと言える。EXA-DBの技術とクライド氏の頭脳、その両方が揃えば世界を征服する事も滅亡する事も出来る……失礼」
セリックはそこまで考えるが、フリットに謝罪する。
セリックの言う通り、コロニー国家間戦争時の兵器データの技術をクライドなら再現する事は可能でそれを使えば世界を征服する事も破滅させる事も可能だったが、肉親を前にはっきりと言って言う類の話しでもない。
「構わん。確かに兄さんならば、可能だ」
クライドが生きていた事に動揺していたが、フリットも冷静を取り戻している。
だからこそ、クライドならばそれが可能なのはフリットが誰よりも知っている。
「だが、兄さんは世界には興味はないだろう」
「そうですね。クライドさんが興味のある事と言えばMSの開発くらいな物ですからね」
フリットもロディもクライドの目的と言えば世界をどうこうする事よりもMSを開発する事しか思いつかない。
クライドからすればコロニー国家間戦争時の兵器関連のデータは宝の山に見えるだろう。
「そう考えれば、EXA-DBの技術が悪用されることは当面は無いと言う事ですね」
「でも……クライドさんがMSを開発した後にどうするんでしょうかね……」
クライドが世界に興味がないのであれば、当面の危険性はないとまとまりかけたが、ナトーラの一言は無視できない物だった。
技術者がMSを開発しただけで満足できる訳がない。
新型MSを開発すればそれを実践で使いたくなるのが技術者の性だ。
それがヴェイガンに向かえば連邦軍としては良いのだが、クライドが連邦軍に属していない以上、連邦軍に向く事も考えられない事もない。
クライドも一時期は連邦軍に属していたこともある為、ヴェイガンに向いて欲しいが今、連邦軍に属していない事から連邦軍に対して使われる事もあり得る。
そうなった場合、唯でさえヴェイガンとの戦闘が劣勢となっている上に、ヴェイガンが動き出して以降、全く動きを見せていないUIEの事もあり最悪の事態と言える。
「艦長! 索敵システムに反応! 本艦後方よりヴェイガンの戦艦、及びMSを補足!」
「前方からもです!」
だが、その空気を吹き飛ばすように報告が入る。
モニターに捕捉したMSが映される。
前方からはガンダムレギルスを先頭にXトランスミッターを装備して来たギラーガにフラムが乗るフォーンファルシアが映されている。
「挟撃されたか。新型機まで投入するとは……ヴェイガンは本気と見た」
「ロディ! AGE-3の新装備はどうなっとる!」
「今、設計が終わって製造中です!」
敵の中に新型のレギルスやギラーガがいる為、AGE-3の新装備を投入しようと考えるがAGEシステムが新装備の設計は完了しているが、まだ製造中であり使用は出来ない。
だが、敵がすぐそこまで来ているので完成を待ってはくれない。
「ぬぅ……私もAGE-1で出る! 艦長、フォトンブラスターの準備をしておけ、前方を突破する」
新装備が使えない上に敵の数が今まで以上に多い事もあり、少しでも戦力が必要でフリットもロストロウランで搭載して来たAGE-1 フラットで出撃する事を決める。
ディーヴァはすぐに戦闘配備が発令されて対応する。
ディーヴァにヴェイガンが挟撃を開始し、それに対応している頃、戦闘宙域から離れたところに宇宙海賊ビシディアンの母艦「バロノーク」が見えざる傘を展開して、航行していた。
アセムは何の考えもなく、フリットにEXA-DBの情報を教えた訳ではない。
EXA-DBの捜索に行き詰まり、次の手としてフリットに情報を流す事でフリットにもEXA-DBを探させる。
クライドが身内に甘い為、フリットに対しては強硬的な手段はとれないと考えフリットに探させようとした。
そして、ディーヴァに仕掛けた後も、ディーヴァを見失わないように距離を取った上で見えざる傘によって姿を隠して追いかけていた。
「やはり、ヴェイガンはあの程度で諦めてはくれないか」
「新型も投入して来てるな。連中も本気と言う事だな。どうするキャプテン?」
ヴェイガンのMSの数は多く、サルガッソーで交戦したディーヴァのMS隊では対応は難しいだろう。
ここでディーヴァが沈められては、EXA-DBを探させる事が出来なくなる。
「仕方がない。俺も出る。バロノークはここで待機してくれ」
「一人で出るのか? 赤い奴に新型機までいるぞ」
「だからこそだ。余り戦場に近づき過ぎてもバロノークまでは守る余裕はないからな」
戦場に近づき過ぎればヴェイガンに気づかれるだろう。
そうなった場合、バロノークまで戦闘に巻き込まれる事になる。
バロノークを戦闘に巻き込ませない為にもバロノークにはこの場所で待機させる。
「ここにはスラッシュとティアナを残す。それにウェイボードを使っても俺のダークハウンドにはついてはこれないだろう」
アセムが抜けたところでスラッシュとティアナが残れば戦力としては十分だ。
その上で、アセムのダークハウンドの機動力に追いつけるMSはバロノークには搭載されいない。
速やかに戦場に到達する為には距離があり、ストライダー形態により長距離航行を高速移動を可能なのはダークハウンドだけである為、アセムは単独で出撃する事に決めた。
ディーヴァからMS隊が射出される。
前方にはキオのAGE-3にフリットのAGE-1 フラット、エリアルドのガンダムZERO Ⅲ、オブライトのジェノアスOカスタムが担当し後方からの敵には残りのセリックのクランシェカスタムとデレクとジョナサンのクランシェが担当する。
「ガンダムはこちらに来たか。新型は私がやる。他はお前らでやれ」
ヴァニスはそう言い、機体を一機に加速させる。
「なんて機動力だ。あれがガンダムの性能か……」
レギルスは一気にギラーガとフォーンファルシアを引き離してAGE-3の方に向かう。
「キオ、敵を無理に倒す必要はない。フォトンブラスターの発射までの時間を稼ぐ事が最優先だ」
「分かってる」
AGE-3はシグマシスライフルを放つ。
先頭のレギルスはかわして一気にAGE-3に接近してビームサーベルを振り下ろす。
AGE-3はビームサーベルで受け飛べると、そのままAGE-3を押しす。
「キオ!」
AGE-1 フラットはドッズライフルを向けるが、ギラーガの妨害が入る。
「邪魔をするな!」
「AGE-1……フリット・アスノか。フラム、奴はここで仕留める」
「了解!」
ギラーガはギラーガスピアを構えてAGE-1 フラットに突進して、ギラーガの攻撃をかわしたAGE-1 フラットにビームバルカンを放つが、AGE-1 フラットはシールドで防いでドッズライフルで反撃する。
フォーンファルシアは回避しきれずに腕の電磁装甲で防ぐ。
AGE-1 フラットの背後からギラーガスピアを振り落すが、AGE-1 フラットはシールドで弾き、ドッズライフルを撃ちつつ距離を取る。
「叔父さん!」
ガンダムZERO ⅢとジェノアスOカスタムがドッズライフルを放つ。
「ここは俺達に任せてください。元司令はキオを!」
「済まん!」
フリットはその場をエリアルドとオブライトに任せてキオの元に向かう。
「Xラウンダーが二機……厄介な役を引き受けた物だ」
「そう言うなよ。ここが腕の見せ所だ」
二機はAGE-1 フラットを追わせないようにギラーガとフォーンファルシアの前に出る。
「行きなさい! ビット!」
フォーンファルシアが5基のフォーンファルシアビットを射出する。
フォーンファルシアビットはガンダムZERO ⅢとジェノアスOカスタムを襲うが、二機はかわしてドッズライフルでフォーンファルシアビットを撃ち落す。
ガンダムZERO Ⅲはビームサーベルを抜いてフォーンファルシアビットを切り裂き、フォーンファルシアに接近する。
フォーンファルシアはフォーンファルシアバトンからビームを放つが、ガンダムZERO Ⅲはシールドで防いでフォーンファルシアに切りかかる。
その一撃を体勢を崩しながらもかわせたが、ジェノアスOカスタムがドッズライフルを放つ。
「フラム!」
ギラーガはフォーンファルシアの前に出るとギラーガスピアを回転させて防ぐ。
「ゼハート様!」
「下がれフラム。お前では無理だ」
「しかし!」
ゼハートは今回が初陣であるフラムにガンダムZERO ⅢとジェノアスOカスタムの二機を相手にする事は無理と判断する。
元々、今回の戦闘でフラムは戦場の雰囲気を感じさせる事が目的で戦果を挙げる事は期待していない。
ギラーガはギラーガビットを展開すると二機に差し向ける。
フォーンファルシアビットよりも数が多く、俊敏な動きのギラーガビットをガンダムZERO ⅢとジェノアスOカスタムはドッズライフルでギラーガビットを撃ち落しつつ回避する。
ギラーガはギラーガビットを操作しつつ、ガンダムZERO Ⅲにギラーガスピアで切りかかり、ガンダムZERO Ⅲはビームサーベルを抜いて受け止める。
「アスノ少佐!」
ジェノアスOカスタムがドッズライフルを放ち、ギラーガはガンダムZERO Ⅲから離れつつギラーガスピアからビームを放つ。
ジェノアスOカスタムはビームをかわしつつ、ドッズライフルで応戦し、ガンダムZERO Ⅲは頭部のビームバルカンを撃ちつつビームサーベルを振るう。
ギラーガはギラーガスピアで弾き飛ばし、ギラーガビットを差し向けてガンダムZERO Ⅲはビームバルカンでギラーガビットを迎撃する。
「これが戦場……」
ギラーガとガンダムZERO ⅢとジェノアスOカスタムの戦闘を見てフラムはこれが実戦であると感じている。
今までは戦艦からモニターで見ていた戦場と実際にMSで出る戦場の違いを肌で感じ取っていた。
ディーヴァ後方の戦闘ではザナルドの専用MS「ザムドラーグ」がセリック達と交戦している。
前方がゼハートとヴァニスに抑えられている為、ディーヴァにダナジンが取りついている為、デレクとジョナサンが迎撃に戻り、セリックがザムドラーグの対応をしている。
「ちっ……ガンダムはゼハートの方か……」
「でかい癖に良く動く!」
クランシェカスタムはドッズライフルを放ち、ザムドラーグを覆う電磁装甲に阻まれる。
「そして、見た目通りに固いな」
「その程度は効かんよ!」
ザムドラーグは両手の指に内蔵されているビームバルカンを連射して、クランシェカスタムはかわしながら、かわしきれない攻撃をシールドで防ぐ。
「アビス少佐! 後方より高速で接近するMSが!」
「ヴェイガンの増援か?」
「いえ……機体識別ではビシディアンの首領のMSのようです」
「なら問題はないだろう。攻撃を受けるまでは放っておく」
接近するMSがダークハウンドであるのなら、接近する理由は限られて来る。
このタイミングで仕掛ける理由は二つ。
一つは漁夫の利を狙うという可能性。
もう一つはディーヴァの救援だ。
前者なら双方が疲弊したタイミングを狙う筈だ。
後者は息子のキオや父のフリット、妹のユノアがいるという事であり得ない可能性ではない。
その為、セリックは後者であって欲しいと言う願いもあって、ダークハウンドは敵でないと判断する。
「キオはどこだ?」
戦場に到着したダークハウンドはキオのAGE-3を探す。
ダナジンがダナジンキャノンを放ち、ダークハウンドはMS形態に変形するとダナジンをドッズランサーで貫いた。
「海賊風情が!」
ザムドラーグがダークハウンドにザムドラーグキャノンを放つ。
「ちぃ!」
ダークハウンドはザムドラーグにドッズガンを連射するが、ザムドラーグの装甲を傷つける事は出来ない。
クランシェカスタムが飛行形態でドッズキャノンとドッズライフルを連射する。
ザムドラーグは片手をクランシェカスタムに向けてビームバルカンを放ち、クランシェカスタムは旋回して回避する。
ダークハウンドはその隙にストライダー形態に変形すると離脱する。
レギルスはAGE-3を弾き飛ばしてレギルスライフルを放つ。
AGE-3は回避してシグマシスライフルを放つが、レギルスは軽く回避してビームサーベルを振るう。
AGE-3はビームサーベルで受け止めるが、あっさりとレギルスに弾き飛ばされる。
「その程度か! ガンダム!」
レギルスはレギルスライフルを連射する。
AGE-3はかわしているが、右足に直撃してAGE-3の右足が吹き飛ぶ。
「うぁぁぁ!」
「キオ!」
体勢を崩したAGE-3にフリットのAGE-1 フラットはドッズライフルで援護射撃を行う。
レギルスはその攻撃をひらりとかわしてAGE-1 フラットにレギルスライフルを放つ。
「爺ちゃん!」
「奴は強敵だ。油断するな!」
AGE-1 フラットとAGE-3はレギルスにビームを放つ。
「良いだろう。ガンダムが二機だろうとこのレギルスの敵ではない!」
レギルスはビームサーベルを展開して、急加速でAGE-3に向かう。
レギルスがAGE-3に切りかかる前にAGE-1 フラットがドッズライフルを放ち、レギルスの動きを一瞬止めてAGE-3がビームサーベルをレギルスの振るう。
レギルスは尾のレギルスキャノンで牽制して距離を取る。
「成程……流石はフリット・アスノと言うところか」
ヴァニスはAGE-3から離れながら感心している。
機体性能ではレギルスの足元にも及ばないAGE-1 フラットだが、AGE-3の援護に徹する事でずいぶんと戦い難い。
「まぁ良い。三機まとめて相手をしてやる」
ヴァニスがそう言うとレギルスにビームの雨が降り注ぐ。
「父さん。キオ」
アセムのダークハウンドがMS形態に変形してAGE-1 フラットとAGE-3に並ぶ。
「アセム! 貴様、どの面を下げて私とキオの前に出て来るのだ!」
「父さんなんでしょ!」
「悪いが、話しは後だ」
フリットとキオがそれぞれ叫ぶがアセムの言う通り、話しをしている暇はない。
目の前にはヴァニスのレギルスが立ちはだかっている。
その力は強大で3機のガンダムをもってしても勝てるかどうか分からない敵だ。
フリットもそれを感じている為、今は目の前の敵に集中する。
「AGE-1にAGE-2、AGE-3と3世代のガンダムが揃い踏みか……面白い! ならば、このガンダムレギルスの力を見せてやる!」
ヴァニスはXラウンダー能力を最大で使う。
それにより、スリット状のセンサーがスライドしてその奥のツインアイが見え、バックパックに折り畳まれていた翼が開く。
「これは……」
「あれはガンダムだと言うのか!」
「爺ちゃん! 父さん! 来るよ!」
レギルスのレギルスシールドから大量のレギルスビットが射出される。
その数は膨大でギラーガのギラーガビットの数とは比べものにならない。
レギルスビットはレギルスの機体を覆い隠す程の数が展開される。
そして、大量のレギルスビットが散開する。
3機のガンダムは一斉に散開し、レギルスビットは3機のガンダムを追いかける。
「ぬぅ……これ程とは!」
AGE-1 フラットはドッズライフルの先端をパージしたハンドガンモードで対応し、更にはXラウンダー能力で先読みして迎撃するもレギルスビットの数が多すぎて対応しきれずにシールドで防ぐが、AGE-1 フラットのシールドはレギルスビットで易々と砕かれる。
「父さん!」
ダークハウンドがストライダー形態に変形すると、ドッズガンとビームバルカンでレギルスビットを迎撃し、MS形態に変形してドッズガンを連射しつつ、アンカーショットを左手に持ち、アンカーショットを射出してワイヤーを振り回して、レギルスビットにワイヤーを当てる。
だが、それでも手が足りず、AGE-1 フラットがハンドガンモードのドッズライフルで援護する。
「爺ちゃん! 父さん!」
AGE-3はシグマシスライフルでレギルスビットを一気に撃ち落すも連射速度よりも威力を重視しているシグマシスライフルでは追いつかない。
ビームサーベルでシグマシスライフルの連射速度を補うが、ビームサーベルではレギルスビットを一度に切れる数には限りがある為、効果的ではない。
レギルスビットに気を取られている間にレギルスはAGE-3に接近してビームサーベルでAGE-3のシグマシスライフルを破壊する。
そして、レギルスビットがAGE-3を襲い、AGE-3の右腕と左足が吹き飛ぶ。
「「キオ!」」
AGE-1 フラットとダークハウンドがレギルスを牽制し、レギルスは2機にレギルスライフルを放つ。
「キオ! AGE-3の新しい装備が出来た。新しいウェアだ! すぐに射出するから取りに戻ってくれ!」
「ロディさん! 分かりました!」
AGE-3はGセプターから分離してディーヴァに戻る。
AGE-1 フラットがビームサーベルでレギルスに切りかかるが、レギルスは軽くビームサーベルで弾き、レギルスライフルを向けるが、ダークハウンドがアンカーショットを放ち、レギルスは回避する。
「アセム! キオが戻るまでの時間を稼ぐぞ!」
「ああ……分かってる!」
ダークハウンドはストライダー形態に変形してビームバルカンを連射しがらレギルスに突撃して、レギルスはかわしてレギルスライフルをダークハウンドに放ち、背後からビームサーベルを持って迫るAGE-1 フラットにレギルスキャノンを放つ。
AGE-1 フラットはその一撃をかわし、レギルスはレギルスビットを展開する。
レギルスビットはAGE-1 フラットとダークハウンドを襲う。
ダークハウンドはMS形態に変形してドッズガンで迎撃し、AGE-1 フラットもハンドガンモードのドッズライフルで迎撃する。
「これでは近づけん!」
AGE-1 フラットとダークハウンドが懸命にレギルスビットを迎撃していると突如、楔状のビームが撃ち抜く。
「来たか!」
「ほう……進化して来たか」
「爺ちゃんも父さんもやらせない!」
ディーヴァの方に戻り、ディーヴァから射出されたAGE-3の新ウェアのGバイパーとドッキングしたガンダムAGE-3 オービタルとなりキオは再び戻って来た。
オービタルは右手に装備されているシグマシスロングライフルを放つ。
楔状のビームはシグマシスライフルよりも威力は劣るが連射速度では勝っていた。
レギルスは回避しようとするが、楔状のビームは曲がりレギルスを追う。
シスマシスロングライフルの放つビームはパイロットのXラウンダー能力を命中補正に組み込み敵の動きに合わせて曲げる事が可能だった。
それに加えて宇宙でのダークハウンドをも上回る機動力を持つ事で高い機動力を持つラファールに対抗するためのウェアでもあった。
「やるな」
レギルスはレギルスビットで弾幕を張りシグマシスロングライフルのビームを防ぐ。
「アセム、私達はキオの援護だ」
「分かってる」
ダークハウンドがドッズガン、AGE-1 フラットはドッズライフルを放つ。
そして、オービタルは加速してシグマシスロングライフルを連射してレギルスに向かう。
レギルスは曲がるビームをうまく回避し、ビームバスターで撃ち落す。
オービタルは腕の装甲からビームサーベルを出してレギルスに切りかかり、レギルスは回避する。
「悪くはない機動性能だ。ラファールであれば良い勝負は出来たが、このガンダムレギルスの敵ではない!」
レギルスは更に加速し、シグマシスロングライフルの攻撃を回避する。
「当たらない! どうして!」
キオはレギルスの先を読んでいる筈だったが、レギルスのは掠りもしない。
それはキオのXラウンダー能力の先読みを更にヴァニスがXラウンダー能力によって先読みしているからだ。
Xラウンダー同士が戦闘する時は先の読みあいで制した方が有利となる。
その上でヴァニスはキオのXラウンダー能力では追いつけない速度で機体を操縦してレギルスはその操縦に完璧に応じている。
「落ち着け! キオ! Xラウンダーも完璧じゃない!」
ダークハウンドがレギルスにドッズランサーを突き出してレギルスは回避し、AGE-1 フラットはその先に回り込んでビームサーベルを振り下ろす。
レギルスは回避してレギルスライフルを放つ。
「その通りだ。3機のガンダムで力を合わせれば必ず勝てる!」
圧倒的な力を持つレギルスを前に動じる事もなく、挑む父や祖父を見て気持ち的に立て直す。
「まだ、私に向かう気概を持つか。ならば、私もすべての力を晒し出そう!」
レギルスの周囲に再び大量のレギルスビットが展開する。
今度は先ほどよりも多く、レギルスの機体が見えない程に展開されている。
「まだあれほどの力が……」
そして、大量のレギルスビットが3機のガンダムを襲う。
3機のガンダムは連携を取りつつ大量のレギルスビットに対応する。
だがそれでも、レギルスビットに完全に対応は出来ずに苦戦する。
オービタルがシグマシスロングライフルを連射して、レギルスビットを迎撃しながら、その機動力を生かしてレギルスビットを回避する。
キオはレギルスビットに集中して次第に感覚が研ぎ澄まされていく。
だが、感覚が研ぎ澄まされると同時に機体が反応が遅れ気味である事を感じ取り、機体の反応の遅さに苛立ちを覚えて来る。
そして、ついには完全にキオの操縦にオービタルは反応しきれずにそれが致命的な隙となる。
オービタルのシグマシスロングライフルにレギルスビットが直撃し破壊され、それを皮切りにオービタルの下半身が吹き飛び、左腕も破壊される。
「キオ!」
オービタルが大破した事でフリットとアセムにも致命的な隙が生まれる。
AGE-1 フラットとダークハウンドもレギルスビットをかわし切れずに被弾する。
AGE-1 フラットは頭部とバックパック、右腕に直撃し、ダークハウンドには右腕と両足に被弾してそれぞれが破壊される。
「爺ちゃん! 父さん!」
Gバイパーからコアファイターが分離する。
「終わりだ」
レギルスはコアファイターにレギルスライフルを向ける。
だが、レギルスライフルを放つ事は出来なかった。
モニターには機体の至るどころからエラーが出ていると表示されている。
「何だ?」
「ああ……レギルスの調整が不完全じゃなかったって事だね。てか、初陣であそこまで使うからだよ」
ファ・ザードからのマリィの通信が入る。
マリィの方ではレギルスの不具合は把握できているようだった。
レギルスは今回が初陣であり、ラファールの戦闘データからヴァニス用に調整はされていたが、ヴァニスがレギルスの限界を超える操縦をした為に機体トラブルが起きたと言う事だ。
「取りあえず戻ってよ。今回の戦闘データを元に再調整をすれば同じ事は起きないだろうからさ」
「……命拾いをしたな」
機体トラブルが起きたとは言え、機体を動かす事は可能だった。
レギルスのバイザーが降りてスリット状のセンサーに戻る。
レギルスはコアファイターを抱きかかえる。
「ザナルド、ゼハート。AGEシステムは確保した。撤退するぞ」
「了解」
レギルスはファ・ザードにコアファイターを抱えて帰投して行く。
それにより、ゼハートとザナルドも各自の母艦に帰還して行く。
「ディーヴァ! 何をしている! フォトンブラスターで敵母艦を撃て!」
「まだチャージが完了していません」
「構わん! それでも撃つんだ!」
フリットはナトーラに怒鳴りつける。
フォトンブラスターキャノンでファ・ザードを撃沈すればキオとコアファイターを捕えたレギルスが帰投する母艦がなくなり奪還のチャンスもある。
しかし、前方からのヴェイガンのMSの対応にエネルギーを回している為、通常よりもフォトンブラスターキャノンのチャージに時間がかかってしまい、未だにチャージが完了していない。
チャージが100%でなければ射程も短い上に威力も落ちる為、ファ・ザードに対して有効的な一撃を放つ事は出来ない。
「父さん……もう、遅い」
そうこうしているうちにレギルスはファ・ザードに収容される。
無論、キオとコアファイターも一緒にだ。
その為、チャージが完了してもファ・ザードをフォトンブラスターキャノンを撃つ事は出来ない。
「ならば、私が直接乗り込む!」
フリットはファ・ザードに向かおうとするが、バックパックのスラスターがレギルスビットの直撃で破損しており、AGE-1 フラットは加速する事が出来ない。
「動け! 動いてくれ!」
フリットはレバーを何度も動かしたりフットペダルを踏むが思うように機体が動かない。
「父さん……」
「叔父さん! アセム!」
ヴェイガンが撤退した事でエリアルドとオブライトが損傷して漂っている2機の元に到着する。
「キオはどうした?」
「ヴェイガンに捕まりました」
「そうか……」
オブライトはそれ以上、何も言わない。
部外者が何を言ったところで、フリットやアセムの慰めにはならないからだ。
今回の戦闘は明らかにAGE-3を狙った物でAGE-3が鹵獲されたという事はこの戦闘は敗北以外の何物でもない。
「キオォォォォォ!」
フリットは思い切りコンソールを殴り声を上げた。