主人×悪魔   作:ソナ

1 / 2
〜第一章〜 目覚めの時間

「王が生き返ったぞ!」

「セシル王、どうかお姿をお見せください!」

エレイローズの中心都市シャーロットでは、王の677年ぶりの目覚めを祝福してお祭り騒ぎであった。国の若い男は、酒を飲み、女は露出の多い服で舞を踊っていた。鳴り響く笑い声、鳴り響く美しい楽器のハーモニー。街は、とても賑やかだ。城の周りには、王を一目見ようと、人々は口それぞれに声を上げていた。その城の最上階の窓から6人の悪魔が人溢れる街を眺めていた。年は16〜18ぐらいだろうか。珍しいそうに、下を見下ろしていた。目を輝かせる者もいれば、つまらなさそうにしているやつもいた。これは、7人の悪魔と一人の王の話である。時は、少し前に遡る。

 

一体、俺はいつまで寝ていたんだ?そうだ、王が復活したんだ。

身体が痛え…。眩しい。どうやら、外はもう朝のようだった。話し声が聞こえる。男…?誰だ、まだ思考がまとまらない。眠い…。

「まだ、寝ているのか?大地の悪魔。」

そこには、金髪の男が立っていた。右目が青色で、左が黒…。オッドアイか…。

「目か、確か珍しいかもしれない。ただ、医学書によるとオッドアイは300人に一人。俺たちみたいに677年も生きていると、最低でも5人は、見たことあるだろう」

何言ってんだ、こいつは?医学書?って言うか、今声に出して言ったか?金髪の男は、肩にギリギリつく髪をなびかせ隣のベッドに移動した。

「氷河の悪魔、起きろ。何の、夢を見ているんだ?マザーツリー?レイシィー?妖精族か?」

俺の隣で寝ている奴は、お幸せにいい夢をみているのか、大の字でいびきをかきながら寝ていた。気持ち良さそうな奴だな。ったく、こんなんじゃ、二度寝もできない。一体、ここはどこ…

「ここは、どこだあ〜〜!!!」

やべえ、大声を上げてしまった。部屋にいた奴は、驚いたように、俺を見た。今は、それどころじゃねえ。俺はあの時、城の兵に打たれ…。急に頭痛がした。身体中が痛い。俺、もしかして誘拐されたのか⁉︎このまま、どこか変な国に売られてしまうのか⁉︎いろんな恐怖心が脳裏に浮かんだ。

「急に、大声出さないでよ。びっくりするじゃん…。」

そこには、小さい身体で涙目になっている奴がいた。白い髪に白い肌。

かわいいとさえ思ってしまう少年は、少し怒っているようだった。

「起きたか、大地の悪魔。俺は、

カスカ。」

さっきの金髪の男が自己紹介すると、俺に握手を求めてきた。

「俺は、キリュウ。お前なんで、俺が大地の悪魔だって分かるんだ?それに、お前さっきの俺が考えてたこと…ほら、目がどうとか、俺声に出して言ったか?」

「俺が思考を、読めたのは、俺が精神の悪魔だからだ。精神の悪魔は、相手の思考が読めたり、操ることができる。」

「そんな、悪魔が存在するのか…。他にも、悪魔はいるはずだろ?一体、何処にいるんだ?」

「僕も悪魔だよ!僕は、ソヒィ。回復の悪魔なんだ!分かるかなあ?」

かっ可愛い。いや、待て待て。こいつは、男だ。俺が、ソヒィの方を見ると、頬を染めニッコリ微笑んだ。

ノックアウト…。そんな、アホなことを考えてると、ドアから190ぐらいの銀髪の男と茶髪で華奢な身体をした奴が入ってきた。すると、いつ起きたのか、知らんねえが大の字で寝ていた奴が、

「うおー!待たしても、悪魔のご登場か?いいね〜興奮する」

なんだ、こいつ。忙しい野郎だな、ほれみろ、二人ともキョトン状態じゃねえか。

「おっおはよう、やっと起きたんだ。俺は、リヒト。それより、何なの、あの人?」

リヒトは、虫を見るような目で、あいつを指差した。気持ち良さそうに寝ていた男は気を取り直した。

「あ!いや、すまん。今のは忘れてくれ。俺は、グレン。氷河の悪魔だ」

雷鳴に氷河、強そうな悪魔だな。やっぱり、こいつらは俺と同じ人間以外の生物…悪魔なんだな。なんか、落ち着くな。鳥とかが、群れで行動するように、悪魔も群れで行動する生き物だったっていうことか。俺は、自己紹介を終えたリヒトって奴の手首がたまたま目に入った。包帯を巻いていた。その包帯には、わずかに血が付いていた。そっか、もしかしたら、ここに来るまでいろんな事情があってきた人もいるんだな。別にこいつが、リストカットしたことは、驚きはしない。きっと、こいつは、悪魔である自分が嫌いだったんだ。俺と同じだ。俺も、人間だったら、実の親に愛され、好きな子ができて、結婚し、子を産む。こんな、普通のことでさえできない。俺は、普通に生きることのない人生に決着をつけようと何度も、思った。

「全員、起きたか?下に来いって、王が言ってる。自己紹介が遅れたな、俺はウィル。身体の悪魔だ。これから、仲良くしていこうぜ」ウィルと名乗る奴はデカく銀髪でいかにも、ヤクザですオーラが出ていた。

「うん!よろしくね。僕はソヒィ」

ウィルは、ソヒィの方を見ると頬を染め、目をそらした。分かる。分かるぞ、ウィル。そのなんとも言えない、複雑な思い。

「ん?ウィルとキリュウの思考が乱れている。」

ギクッ…。そっか、こいつは精神の悪魔だった。こいつには、要注意だな。厄介な野郎だぜ。良さそうな奴もいれば、面倒くさそうな奴もいるんだな。

「お前ら、とっと下行くぞ」

グレンは、いつの間にか着替え、準備が整っていた。最後まで、グーグー寝てたのは、何処のどいつだ。全く、マイペースっていうか、自由っていうか…。俺たちは、下に降りた

大きく、長い廊下を渡り、階段を降りた。鎧や絵画が飾られ、俺たちの目的地には、大きなシャンデリアが天井にぶら下がっていた。横に長いテーブルには、7つの椅子が置かれていた。執事やメイドは、それぞれの席に案内させた。謎の緊張感の中、俺たちは、誕生日席が空いていることに気が付いた。その椅子だけ、妙に豪華であり、座りごごちが、良さそうだった。

「待たせたな。僕の悪魔たち」

なんだ、この威圧感。血が凍るような寒気がした。今まで、感じたことのない感覚だった。まるで、誰かに自分を独占されているような感覚。

吐き気がする。朝も、こんな感覚を味わったような。

「僕は、セシル。お前ら悪魔の主人となるものだ。」

こいつが、14歳にして7人の悪魔を自分の支配下においた奴…。俺は、あいつのせいでどれだけの長い時間、拘束されていたと思っているんだ。

紺色の髪に、人を見下すかのような、強い目つき。まるで、この世のもの全てを手に入れたかのようだった。俺は、生まれてきた瞬間からこいつのものだったのか…。

「僕は、君たちを痛みつけるようなことは、しない。ただ、君たちの力を僕に貸して欲しいんだ。嫌だったら、出て行っても構わない。既に、一人出て行ったがな。まあ、気が向いたら、またここに来るだろう。」

俺は、一つ席が空いていることに気がついた。一体、どんな奴が出て行ったんだ。もしかしたら、そいつには、帰る場所があるのかもしれない。帰りを待つ、そいつにとって大切な人…。誰も出て行こうとしない。別に出て行っても、なんの目的もないんだ。俺も、ここを出たことで、何かあるわけじゃない。なんなら、ここにいる方が、飯は食えるし、屋根の下で夜を過ごすことができる。ここに、いた方が出て行くよりずっとマシだろう。

「ここに、残ってくれるのか…。感謝する。それは、ありがたいことだが、僕はここの国の王だ。僕の命令には、決して逆らうな。まあ、お前らは、悪魔だ。自分の感情を抑えられなくなり、暴走する可能性がある。」

セシルは、そう言うと睨みつけるような目で俺たちを見た。その、瞬間首が締め付けら、身体が引っ張られた。首輪?首筋に手を当てると、ガチガチの鉄でできた。首輪がはめられていた。俺だけじゃない、俺たち悪魔全員に付けられていた。首輪は、鎖につながれており、鎖は、セシルの手元にあった。

「お前らは、僕に逆らうことは、できない。お前らが、暴走したらこの首輪で締め付けて殺してやるから、安心しろ。」

グレンは、ブチ切れたようにに大声を上げた。

「偉そうにしてんじゃねえよ!!!俺たちだって、こんなことしたくねえんだよ!!」

グレンは、そう言うと席を立った。

こいつの気持ちは痛いほど心に伝わった。グレンは、息を上げ目が赤くなって牙が見えていた。悪魔の姿になりかけている。ただ、悪魔の姿になったことで、暴走ことはない。

セシルは、そのままグレンがされている、首輪の鎖を引っ張った。その衝動でグレンは、バランスを崩した。

「言葉を謹め。この、悪魔ふぜいが!」

血が凍るような寒気が再び襲ってきた。グレンは、舌打ちをすると席についた。それと同時に、俺たちについていた首輪が消えた。

「もうすぐ、朝食が来る。お前らは、朝食を食ったら、風呂に入れ」

しばらくして、朝食が運ばれてきた、こんな朝食生まれて初めだ。温かいスープに、ターキーがテーブルに運ばれてきた。全員が、無言で食べ始める中、ソヒィは、キョロキョロしながら、周りの様子を伺っていた。どこか、不安気のある顔だった。俺は、キョロキョロするソヒィに目を合わせると、少し微笑んで見せた。ソヒィはそれを見て、安心したのか、天使スマイルを見せてくれた。守りたいこの笑顔…。それでも、異様な緊張感に包まれている以上誰も、話そうとはしなかった。本当に俺は、こいつらとやっていけるのか…。俺の不安は高まるばかりだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。