やはり俺が高校球児なのは間違っている。   作:Nabucco

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冒頭は俺ガイル1巻の始めの作文の場面からです。
真木は青道に入学できました。やったね。


比企谷八幡にとってエースとは孤独なものである。

とある土曜日の練習前、俺、比企谷八幡は呼び出された。

 

「比企谷、なんやこれは……」

 

 仙泉学園野球部の監督、鵜飼一良は呆れた顔で、

いつものように顎に手をやりながらブツブツと俺の作文を読み上げた。

 

「なんやこれ、とは?」

 

 こうして聞いていると監督の呆れ顔もわかる気がする。

自分の文章力の未熟さに気づかされる。

 やはり小・中・高と野球漬けの毎日を送れば、文才だって錆びついてしまう。

いくら国語のテストで好成績を収めていようが、文字に触れる機会が少なくなれば

その分、文章を人に読ませるための気遣いが欠けてしまう。

やはり小難しい単語を並べ立てておけば頭が良さそうに見えるんじゃないか、などと

浅はかな考えでは世の中では通用しないのだ。

だが、そんな俺の浅はかさを俺だけでも愛してやろうではないか。

短所だって言いようによってはチャームポイントだと思います(小並感)。

 話はそれたが、呼び出されたのは自分の未熟な文章にあるのだろうか。

 もちろん違うよね。知ってました。というか何故呼び出された場に

監督がいるのだろうか。教師ですらないですよね・・・?

 監督が口を開く。

 

「平塚先生に相談を受けてお前の作文を読んでみれば、犯行声明みたいになっとるし、

『リア充爆発しろ』て……。そこに至るまでの文章全部いらんやないかい。

バカじゃなかろかホンマに……」

 

 監督の(ボヤキ)は長い。どれだけ長いかというと一応チームメイトである材木座が

「ぶひ、ぶひひひ」と音を上げ、二塁に舞い降りたラブリーマイエンジェル戸塚でさえ

「あ、あはは……」と苦笑いするほどだ。苦笑いする戸塚マジ天使。

そんな大天使の笑顔でさえ「なにわろとんねん」と言い捨てる監督は鬼である。

ちなみに材木座は「キモいわ」とバッサリ。残念だが当然、材木座らしい最期と言える。

 そしてさりげなく監督に問題を丸投げした平塚先生はどこへ行ったのだろう。

婚活パーティにでも行って、追い出されるという毎度のパターンになるのだろうか。

いい人なのは間違いないんだけどなぁ。早く誰か貰ってあげて!

 自分の話を聞いてない事を察し、鵜飼監督はひとつため息をつき、

 

「自分で言うのもなんやけど、なんでお前みたいな問題児をわざわざスカウトしたのか

ワシも分らなくなってきたわ……。チームにも溶け込めとらんし、エースやろお前……」

 

「はぁ……すんません」

 

「お前のそのふてぶてしい態度は間違いなく投手向きやが、そのままじゃこれから困るで?

八木も『やり辛い』て愚痴るし3年の連中だって接し方に困ってたし、戸塚と材木座以外と一緒なとこ見たことないし……、友達おるんか?どうでもええけど」

 

「戸塚は友達というより……天使です!」

 

 戸塚はリトルリーグからの付き合いで、その声援、笑顔すべてに癒された。

俺は戸塚がいなかったら野球が続かなかったかもしれない。

むしろ戸塚を甲子園に連れて行くために野球を続けているまである。

 

「……材木座は?」

 

「別に……」

 

 材木座もリトルリーグからの付き合いで、太っているからとファーストに回され上、

もっぱら補欠という可哀そうなやつである。長打力があってなんだかんだ助けられているが、

プライベートで関わりたいかと言えば答えはノーである。

自分のバッティングに技名を付けだしたあたりから一緒にいると恥ずかしいし、

練習が終わった後の時間を使って書いた小説を俺に押し付けてくる。

あいつのどこにそんな体力があるのか聞いてみたら「やる気があればできぬことなどない!」

と力説され、少しかっこよかった。が、小説そのものは下手糞であり評価は差し引いてマイナスである。

 

「何や友達ゼロやないか。あんな作文書くだけはあるわな。比企谷、エースってのは皆に見られてるんやで。その自覚もなしに好き勝手したらアカンで。少しは周りと打ちとけんかい」

 

「……一人でいいじゃないですか、マウンドに立てば孤独なんですから」

 

 監督はもう一つため息をつき作文の再提出を俺に命じ、グラウンドへ向かった。

マウンドに立てば頼れるものなんて結局のところ自分一人。その持論を曲げる気はまだない。まだ──。

 

 

 ──翌日の日曜日、仙泉学園グラウンドにて

 

 日曜日。それは野球部にとって試合を組む絶好の日である。

すでに時計は9時を回っておりベンチには選手が揃っている。

 

「八幡、今日の練習試合絶対勝とうね!」

 

「安心して見ていてくれ戸塚。お前は俺が守るから……」

 

 今日も戸塚の笑顔が眩しい。早起きは三文の徳というが、三文どころではない充実感を感じる。

この笑顔だけで1週間戦えるまである。今日はなんだか負ける気がしない。

 

「いや、バックが守らないとダメからな……?」

 

 ひややかにツッコミを入れるこの男は2年の春からレギュラー捕手という

地味にスペックの高い男、八木である。

メガネと出っ歯と伸びた顎と、特徴的な顔をしているが、監督譲りのねちっこいリードと

インサイドワークに定評がある。そしてこいつは……

 

「八木君も頑張ろうね!」

 

「お、……おう///」

 

 敵である。なに顔を赤らめてやがる。戸塚は俺のラブリーマイエンジェルなのに……。

しかしこちらは「八幡」であちらは「八木君」と俺の方が親密な関係にあるのは確定的に明らか。ざまぁ(笑)

 

「ククク、今日の試合のスタメンを我だ……そう、我こそはッ──「うるさいで」はい……」

 

 うるさくなりそうなところを、監督に釘を刺されて凹んでいるのはファーストを守る

(自称)剣豪将軍、材木座義輝である。せっかく意気込んでいたところに水を差され、項垂れる様を見ていると哀れでならない。しかし真に哀れなのはこいつからレギュラーを奪われた先輩なのではないだろうかと思う。

 監督はオーダー表を交換しにいった後らしく、相手のオーダーを見た後、八木にそれを手渡した。その後オーダー表を見終わった選手に整列を促す。

 

「整列!」

 

「「「「「しゃぁぁぁす!」」」」」

 

「礼!」

 

「「「「「しゃぁぁぁぁす!!」」」」」

 

 鵜飼一良はいつものようにボヤく。その視線の先には縦縞模様のユニフォームを身に纏った

中年男。知る人ぞ知る、社会人野球の名プレーヤー、轟雷蔵。

 

「最近力をつけとるチーム相手に、うちのエースがどうなるか見物やな……」

 

練習試合 仙泉─薬師 試合開始

 

 ──1回オモテ ノーアウト 薬師高校の攻撃 一番セカンド 福田

 

 打者の福田は相手投手の眼から発する殺気のようなものに若干戸惑っていた。

 

(目つきが怖ぇな、こいつ……。腐ってるみたいで)

 

 俺は相手が何か失礼なことを考えてるのではないかと訝しみなから、マウンドのプレートに足を掛ける。グローブを腰の位置につけるノーワインドアップから、腰を傾け、左足を踏み出し、全身から伝わる力を右手の指先に集約させてリリースするアンダースロー。ピッチャーの指先から放られたのは速球。そのボールがアウトローに吸い込まれて──、

 

「ットライ───ク!」

 

 と、コールかグラウンドに響き渡る。その特殊なボールの軌道に相手打者は面食らう。

 

 2球目はカーブ。コースはやや甘かったが、打者は見逃しストライク。

 

(もう追い込まれた……、次は何がくる?コースはアウトロー?)

 

 八木のリードに頷き、投げた3球目はストレートのアウトロー。

 

(来た!アウトロー──)

 

 待っていましたとばかりに打者はバットを振る。が、バットは振り遅れ、

パァン!とボールがミットを叩き、その中に収まる。空振り三振に打ち取った。

どよめく周りの反応を見て、俺はニヤッと口を歪め、周りから腐っていると評判の目を細めて笑う。

 

「はっ」

 

 仙泉学園エース、比企谷八幡(2年)。アンダースローの速球派投手。

彼にとってエースとは──、

 

『……一人でいいじゃないですか、マウンドに立てば孤独なんですから』

 

 どこまでも孤独なものであった。




いきなり薬師高校と練習試合(死亡フラグ)
ヒロインは川なんとかさんを予定してます。
このssのヒッキーのフォームは西武の牧田を参考にしました。
真木が日本一高いとこから投げるんで逆に低いところから投げさせたかった。渡辺俊介にしとけよって言わないでね!(泣)
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