第十話、うけとれぇぇぇぇぇ!!!
今俺は競歩並みのスピードで歩いている。
行先は図書館島、ネギ先生がいる場所だ。
あの二人はすぐに寮へ帰した。
なにか言いたそうだったのでもう一度帰るように伝えたらすぐにいうことを聞いてくれた。
なんだかんだ言っていい子たちだ。
友達が心配なのもわかるというものだ。
ポケットの携帯電話が鳴り出す。あぁ、すっかり忘れていた。
通話ボタンを押すと我が姉のカワイイ声が聞こえる。怒っているが。
『ノックス!貴様どこをほっつき歩いてる!?』
「あぁ、エヴァさん。すまないが今日は帰れない。少し用事ができたんだ。」
『そんなことは聞いてない!早く帰ってこないか!!』
「無理だ。」
『なんだと!?』
「そうだエヴァさん。あの妖怪に一言一句違えずに伝えてくれ。」
『お、おい!いったいどうしt』
「事が終わったら三枚におろしてやると。」
言い終わると同時に電話を切る。
今はとにかく急がなければならない。
なにかエヴァさんが言ってた気がするが後で怒られよう。とにかく彼女たちを助けなければ・・・!
――――――――――――――――――――――――――――
「おい、ノックス!返事をせんか!チッ、あのアホめ。電話をきったな!!」
「どうしましたか、マスター?」
「どうもこうもない。あのじじい、いったい何をした・・・?」
ノックスの奴、何をそんなに怒っている?
第十話【魔法の本・後編】
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「キャー、助けてー!!」
「ま、まき絵さーん!?」
今、目の前で僕のクラスの生徒がゴーレムにつかまっている。
何とかして助けたいけれど、僕は今魔法が使えない。
僕はネギ・スプリングフィールド。
今年で10歳の魔法使いだ。
僕はお父さんを探すために、立派な魔法使い【マギステル・マギ】を目指している。
僕が麻帆良学園の先生になったのも、立派な魔法使いになるための修行内容が日本で教師になることだったからだ。
僕のお父さんは千の呪文の男【サウザンド・マスター】と呼ばれるすごい魔法使いだったけど、僕が生まれる少し前に死んでしまった。
でも3歳の僕にはよくわからなくて、きっとお父さんは近くにいる。僕がピンチになったら助けに来てくれる。と、本気で信じていた。
そして、僕の住んでた村が悪魔に襲撃された。
今も理由はわかってないけれど、あの時の僕は『僕がピンチになったらいいなんて考えたせいだ』と思い、燃える村を見ながら大声で泣いていた。
その声を聴いた一匹の悪魔が僕に襲いかかろうとしたとき・・・
フードの男性がその悪魔を倒してしまった。
男性は僕を見た後すぐに走り出し、村を襲っていた悪魔たちを次々と倒していく。
その時に思った。あの人が僕のお父さんだと・・・。
悪魔を倒し切ったお父さんが僕の目の前までやってくる。
「お・・・とう、さん?」
「ネギ、大きくなったな・・・。」
お父さんが僕の頭を軽くなでると、僕に大きな杖を渡す。
そのまま宙に浮いてはなれていってしまう。
「ネギ、大きくなれ。お前の活躍を楽しみにしている」
「お父さん・・・!まって、待ってよぉ!!・・・うぁ!?」
僕は転んでしまい顔を上げた時には、もうお父さんはいなかった。
「ハイヤー!!」
大きな音にハッと我に返る。古菲さんがゴーレムの腕に拳を叩きこみヒビを入れた。
「任せるでござる!」
「ひゃっ、ありがとー。」
腕から落ちそうになっているまき絵さんを楓さんが助けている。
(そうだ、僕はお父さんを約束したんだ。
立派な魔法使いになって活躍して、もう一度お父さんに会うんだ!!)
バランスを崩したゴーレムが倒れた時に、僕の背後の大きな本棚が揺れ僕に向かって落ちてくる。
僕はそれに気づいていなかった。
「ネギ!あぶない!!」
「え、明日菜さっ!?」
突然明日菜さんに突き飛ばされた。
周りの景色がスローになる。
僕がいた場所には明日菜さん。
そこに倒れ落ちようとしている本棚。
このままじゃ明日菜さんが・・・!!
誰か、誰か助けて!
お父さん!!!
「うおぉぉぉぉぉ!!!!」
いきなり走って現れたスーツの男性が明日菜さんを抱え、横に跳ぶ。
間一髪で誰にも当たらずに倒れる本棚。
「え、えぇ!?」
驚きすぎて言葉が出ない明日菜さん。そんな明日菜さんを助けたのが・・・。
「はぁ、はぁ・・・お前ら、無事だったか。」
僕と同じ新米教師。ノックス先生だった。
―――――――――――――――――――――――――――
せ、セーフ!!!
あぶなかった。本当にあれはヤバかった!!
なんだよあれは!?あんな衝撃だけで倒れる本棚とかダメだろう冗談抜きで!!
設計者顔を出せ!妖怪と同じように細切れにしてやる!
「の、ノックス・・先生?なんでここに?」
「それはこちらのセリフだ馬鹿者ども。テスト前に大冒険とは余裕なものだな。えぇ?」
「う、それはその・・・」
「言い訳は後で聞く。今はここを離れるぞ。」
神楽坂を立ち上がらせて辺りを見る。
ジャングルに生えてるシダの葉っぱみたいなものに隠された人工物を見つける。
あれが非常用の扉か・・・。
「お前ら!あそこが出口だ!!さっさと走れ!!」
叫ぶと同時に皆が一斉に走り出す。
少ししてゴーレム・・・壊しても構わない物体が立ち上がる。
『ふぉっふぉっふぉ!にがさん・・・ぞっ!?』
地面にある砂を凍らしてゴーレムに向かって投げつける。
バランスを崩した隙に俺も出口に向かう。
「な、なによこれ!?」
神楽坂が素っ頓狂な叫び声をあげる。
非常口のドアを開けた先は大きな螺旋階段になっており、会談の途中に大きなドアがあった。
そこにはこう書かれている。
≪英語の門≫
次の英単語を和訳せよ
【rabbit】
こ、ここにきて英語の問題?
「ふむ・・・うさぎ、でござるな。」
誰かが答えるとピンポーンと音が鳴り、扉が開く。
「「なにー!?」」
答えたのは特に英語の成績が悪い長瀬だった。ばかな、いったいどうなって・・・。
「この本を持つと答えがわかったでござる。」
「そ、その本は!?」
なんでメルキセデクの書がこんなところに!?
『それを返すのじゃー!!!』
またあんたのいたずらかぁぁぁ!!
絶対に許さん!
いや、今はここから脱出することが先決だ。
階段を上がっていくとまた扉。
途中足をくじいた綾瀬が長瀬に抱えられ、綾瀬が本を持つ。
≪理科の門≫
次の原子記号を応えよ
【Ca】
「ムムッ、答えはカルシウムです!」
正解音とともに扉が開く。
初めて見たよ。国宝級の聖書を教科書感覚で使う光景。
今度は綾瀬から古菲に投げられる魔法の本。
≪歴史の門≫
次の問いに答えよ
【平安時代に貴族や豪族、寺社などが持っていた私有地を何と呼ぶか。】
「あ!荘園アルね!!」
よし、古菲も難なくクリアだ。
後2問・・・。次はいったい何がくるのか。
≪数学の門≫
次の数式を解け
【2(x-1)=3(x+2)+(x-4) 】
「まき絵ー!早く解くアル―!!」
「え、えっと・・・x=-2?」
正解音。
佐々木は自信さえつけば問題なさそうだな。
さて、最後は・・・近衛か。
≪地理の問題≫
次の問いに答えよ
【人口に占める子どもの割合が低くなることを何というか】
「少子化やね、簡単や~。」
「みなさん!エレベーターです!!」
最後の扉が開き目の前にエレベーターが見える。神楽坂が一番にボタンを押すも一切反応しない。
するとブザー音が響き、ボタンの上の液晶に文字が流れる。
『最後の問題です。回答者は今までの問題に答えていない中学生限定となります。
次の漢字の読みを答えなさい――――』
「えぇ!?ここでもまだあるの!?」
「明日菜!これ使ってー!!」
佐々木が神楽坂へ魔法の本を投げる。しかし、それは阻まれてしまった。
『ふぉっふぉっふぉー!させんぞーい!!』
大きく飛び上がったゴーレムが魔法の本を奪い取る。しかし、着地まで考えていなかったのかそのまま落ちて行った。
『ふぉーーーー!?』
落ちていく途中、ゴーレムが螺旋階段にぶつかって大きく揺れる。
崩壊した個所から上へと亀裂が走る。
皆が慌てる中、神楽坂は問題を見て固まっている。
それを気にしたネギ先生も、その問題をみて固まってしまった。
「まずい!もうすぐ崩れるアルよ!」
「明日菜さん!回答をお願いします!!」
「キャー!もうそこまで迫ってきてるー!?」
「みんな、早く上がるでござる!」
「神楽坂!問題は・・・はっ?」
『――――「叢」』
「こ、これなんてよむんですかー!?」
ネギ先生の叫びが響く。
ここにきてこれかよ!?
いくらなんでもいじめだぞこれは。
というよりこれは中学生の問題じゃないだろ。
「か、神楽坂。これは―――「くさむら」――なに?」
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「2-A学年一位おめでとーーー!」
「「「イエーイ!!!」」」
あれから一週間後。
彼女たち2-Aクラスは見事学年一位になり、麻帆良を騒がせた。
誰もがこの結末を予想していなかったのか、オッズはとんでもないことになったそうだ。
もちろん、俺は教師だからそんなものは許さないつもりだが・・・まぁ、今日くらいはかまわないか・・・。
あの後、何とか図書館島を抜け出した俺はまずネギ先生を叱った。
「君は10歳でも一教師だろ!それを自分の生徒に押し負けて探検とはどういうつもりだ!?彼女たちに何かあればどうする!その責任をどうやってとるつもりだった!?」
「す、すいません・・・。」
「ちょ、ちょっと先生。そこまで言わなくても「お前たちもだ!魔法の本だか何だかは知らないが、そんなものに頼る前にまず勉強をしろ!お前たちは大人になった時に見ず知らずの誰かが養ってくれると思うのか!?」い、いえ・・・すいません。」
「・・・ノックス先生。今回は僕の監督不十分が原因です。皆さんも、僕のせいであぶない目にあわせてしまって・・・本当にごめんなさい!」
ネギ先生が俺に、みんなに頭を下げる。
確かに胸が痛むが、妥協してはいけない。
一歩間違えれば死人が出るかもしれなかったのだ。
「ネギ君は悪くないよ。だって図書館島に行こうって言ったのは私たちだもん。」
「確かに、拙者たちが止めていれば・・・」
「こんなことにはならなかったアルな・・・。」
「元々話を切り出したのはウチやし・・・」
「私が忍び込めるようにしなければよかったです・・・。」
「ネギを連れてきたのは私よ。だから・・・ごめんなさい!」
「「「「ごめんなさい!」」」」
ネギ先生に謝る生徒たち。
しっかり反省したんだろう。心からの謝罪はしっかり響くものだ。
「さぁ、反省もいいが今日は早く帰りなさい。明日はテストだ。しっかり休んで挑め。さっきの問題を解けたなら、テストくらいなら何とかなるさ。」
「「「「はい!」」」」
俺に一礼した後寮に向け帰る生徒たち。
ふと、気になったことを思い出した。
「そうだ、神楽坂。」
「え、なんですか?」
「最後の問題だがな・・・いったいどこで覚えたんだ?」
そう、くさむらなんて字は勉強した記憶がない。
教えたこともないのに、勉強嫌いの神楽坂はどこで・・・。
「へ?あれ、今日の現国の授業で教科書に載ってましたよ?」
・・・あぁ、そういえば。
コウヘイの手紙にそんな字があった。
しかし、その字を覚えているのに勉強ができんとは・・・。
「そうか、そうだったな。ありがとう、神楽坂。おかげで助かったよ。」
神楽坂に笑顔で感謝を伝えると、赤くなってそっぽを向く。
一礼したのち、足早に去って行ってしまった。
うむ、初心だな。
すこしほんわかした気分で帰路について思い出す。
そう、恐怖の権化。エヴァさんのことを・・・。
俺は、朝日を拝めるのだろうか・・・?
以上です。
長くなりすぎましたね、はい。
大体3000以下で切るようにしてるんですが4000を超えてしまうとは・・・。
まぁ、次からは意識していこうと思います。
それでは、ご意見、ご指摘、ご感想、お待ちしております。